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2008年4月 5日 (土)

ケラチンの起源

Helicobacter_pylori_diagram 細菌にも骨格があるということは21世紀になってから発見されたことで、それまでは細菌の細胞の中は、プールの中にタンパク質のくっついたDNAがふらふら泳いでいるというイメージでとらえられていました。

2001年になって Jeff Errington 博士は、MreB というアクチンに似た細菌のタンパク質が重合してコイルのような骨格になっていることを示して、みんなをあっと驚かせました。われわれ真核生物の細胞はアクチン系、チュブリン系、ケラチン系の3種類の繊維(洋服の繊維と区別するために線維というふうに記述されることも多い)を作ることが出来て、それらを組み合わせて細胞の形を作っています。実はチュブリン系の FtsZ というタンパク質も細菌はもっていて、これが細胞の周囲を帯状に囲んで、細菌細胞の構造維持に大きな役割をはたしていることも明らかになりました。

そこで残るケラチン系の話なのですが、正しくは中間径繊維といって、数十種類のケラチンやその他様々な関連タンパク質がその形成にかんでいます。皮膚、爪、毛髪などはその主要成分がケラチンですが、そのほかさまざまな体の組織でも関連タンパク質の重合体が細胞の骨格になっています。

最近の研究によると、この種のタンパク質を持つ細菌がいるそうです。それは Caulobacter というグループで、三日月型の構造をしています。このような構造をつくっているのがクレセンチンという細菌の中間径線維構成タンパク質だということがわかってきました。そう、毛や爪の主成分も、歴史をたどれば地球創世期に近いところ、すなわち細菌と真核生物の共通の祖先に起源しているのだと感慨にふけってしまいました。

胃潰瘍の原因で有名なピロリ菌(図、ウィキペディアより)の学名ヘリコバクター・ピロリのヘリコはらせんという意味ですが、この菌のらせん構造も、そうような構造をとる細胞骨格が存在するからだそうです。その成分はまだわかっていないようです。一見体をくねらせて泳いでいるようなイメージですが、実はこの格好は固定されていて、泳ぐためには図にもある毛(鞭毛)を使うようです。

Ausmees, N. et al. “The bacterial cytoskeleton: an intermediate filament-like function in cell shape.” Cell. 2003 12 December;115(6):705-13.

Bacteria's new bones. Nature 451, pp.124-126 (2008)

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