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2007年11月21日 (水)

リッジバックドッグ

1_2 昔南部アフリカに住むホッテントット族(コイコイ人)は、背中の中央部が逆毛になって、毛が立っている感じの(ヘヤーリッジ)犬を飼って、猛獣を撃退したり、狩猟に利用したりしていたそうです。この勇猛果敢な犬種をペットにしようとしたヨーロッパ人達がいて、彼らはこの犬をグレイハウンドなどとかけ合わせて、背中の特徴を残したままで飼いやすい犬種を確立しました。これがローデシアン・リッジバックドッグ(ライオンドッグ)といわれるものです。

これと似たような特徴を持つ犬がアジアにもいて、これはタイ・リッジバッグドッグ、ベトナムフクオク犬などと呼ばれています。この犬達はヨーロッパ人がアジアに出没する前から飼われていて、ローデシア・リッジバックドッグが持ち込まれたものではないようです。このことはミトコンドリアDNAの解析からも証明されています。

この犬種はまた、ヒトの先天性皮膚盲管に似た良性腫瘍を持つ場合が多いことで知られています。この腫瘍の中には毛、皮脂腺、汗腺などの形が崩れたものがごちゃごちゃと含まれています。リッジができるとか、皮膚盲管(類皮洞)ができるとかの異常は、発生の過程で神経管の閉鎖(もともとシート状だったものが閉じて管になる)がうまくいっていないことと関係があると考えられています。

リッジを持つという遺伝因子は優性で、ヘテロでもリッジを持っているので、ヘテロ同士をかけ合わせると、リッジを持たないリッジバックドッグも生まれてきます。このような犬には決して皮膚盲管はできません。一方スエーデンの研究者達の調査によると、皮膚盲管を持つ犬11匹のうち10匹がこの遺伝因子をホモで持っていることがわかりました。

彼らはこの遺伝因子が、FGF3, FGF4, FGF19, ORAOV1 という遺伝子を含む 133-kb の長さのDNA領域が重複している(コピーがある)ことにあるということをつきとめました。すなわちこれらの遺伝子の発現異常がリッジや皮膚盲管形成の原因であるというわけです。

FGF は細胞増殖因子、ORAOV は口腔癌で過剰に発現する因子として知られています。FGF のグループの一部は毛や皮膚の形成に関与することが知られており、これらの4分子種すべてまたは一部の因子も、なんらかの形で神経管、皮膚、毛の発生にかかわっていることが示唆されます。

http://www.dogfan.jp/zukan/hound/Rhodesian_Ridgeback/index.html

文献:N. Hillbertz et al.: Duplication of FGF3, FGF4, FGF19, and ORAOV1 causes hair ridge and predisposition to dermoid sinus in Ridgeback dogs. Nature genetics 39, pp.1318-1320 (2007)

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コメント

はじめまして。リッジバックの類皮洞を調べていたら、このブログにたどり着きました。大変興味深く読ませていただきました!
皮膚や毛をご専門に研究されているのですか?私は現在犬の毛色やそれにまつわる疾患について個人的に勉強をしている者です。
たくさん興味深い記事がありますので、また、遊びに来させていただきます!!

投稿: oga | 2009年1月15日 (木) 17:03

コメント有り難うございます。
いちおう皮膚特に動物の体毛・洞毛の研究をやっております。
皮膚病の専門家ではありませんが、よろしくご指導くださいませ。
またお気軽においでください。
(ちょっと脱線が多すぎてはずかしいブログですがcoldsweats01

投稿: monchan | 2009年1月17日 (土) 00:50

英語版 カルドメックチュアブルPを3分の1の価格で手に入れた! なぜ箱だけ違って、国内のは3倍の値段にするか分かりません。ネット通販は初めての私が注文してみて、入金後約1週間後商品が届きました。海外から直送ですから、心配でした。かなり親切な対応してくれてまたPet-Ezさんへ注文するはず。ここでPet-Ezさんを紹介させて頂きます。
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または
http://www.pet-ez.jp 
ご覧ください。

投稿: ももこ | 2010年2月19日 (金) 16:27

> ももこ様

貴重な情報有難うございました。

投稿: monchan | 2010年2月19日 (金) 22:45

サワディ〜カ〜
はじめまして、タイリッジバックの皮膚疾患を調べておりましたら、ここにたどり着きました。
つい最近、飼い犬のタイリッジバックがその手術を致しました。
しかし、お医者様は詳しい話はして下さいませんし、何せ、タイ語ではして頂いてもわかりません。ここへ来て、やっと理解出来ました。ありがとうございました。

投稿: takoome | 2010年4月26日 (月) 19:00

>takoome 様

ようこそ

多少なりともお役に立てて幸いでした。
ワンちゃんと楽しくお過ごし下さい。

投稿: monchan | 2010年4月26日 (月) 21:58

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