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2007年10月20日 (土)

ヒゲが先か毛が先か

Photo_5ヒゲが先か毛が先かというのは、なかなか難しい問題です。古生代に生きていた哺乳類型爬虫類のひとつ獣弓類化石のあごの骨には、細かい穴が鼻のまわりにある場合があるそうです。これを感覚毛(ヒゲ)が生えていた穴とか、ヒゲに通じる感覚神経に関係があるとかの考え方も理にかなっています。

哺乳類のヒゲは洞毛と呼ばれ、体毛と違ってまわりを血洞で囲まれ、特別に豊富な栄養分を供給されています。立派な横紋筋や、細かい神経も配備され、運動器官であると同時に感覚器官でもあります。暗闇の中で四つ足動物が行動するには必須のアイテムです。実際ほとんどの哺乳動物はヒゲを持っています。

しかし人は二足歩行を行うため、暗闇で行動するとき両手を前に出して歩けるのでヒゲの必要性は低下しました。そのため洞毛の構造は退化しています。しかしその代わりかどうかわかりませんが、人のヒゲは不思議な能力を獲得しました。それは男性ホルモンに反応するということです。普通頭髪などは男性ホルモンの作用によって禿げるのですが、ヒゲは逆に元気になって立派になります。ですからもし女性がヒゲの立派な男性を配偶者に選ぶとすれば(アラブ諸国ではそういう傾向があるようです)、進化のいたずらのなかで、ヒゲという器官が生き残るかもしれません。

しかしヒゲが先か毛が先かといえば、毛が先と考えるのが普通でしょう。ペルム紀大絶滅の一つの要因は寒冷化だったので、毛皮を持っていた生物が生き残ったというのは大いにあり得ることです。ほとんどの生物が死に絶える中で、わずかに生き残った中のキノドンというグループから哺乳類が生まれたというのは一応定説です。しかも体毛の構造は洞毛に比べるとシンプルなので、常識的には体毛が先でしょう。

ただ地球が寒冷化する前から毛があったとすると、それはヒゲだったかもしれません。ひとつの毛の化石であっと驚く逆転があるかもしれません。ラットのヒゲを調べると、胎仔では体毛より先にヒゲが生えます。そして生まれる前から感覚神経がヒゲの毛根に接触します。ひょっとすると目が見えない新生仔は、母親の乳首をヒゲで探すのかもしれません。まだまだこの疑問を解決するには時間がかかりそうです。

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