もっと世界を、あたしは見たい by 白川由紀
ちょっとややこしい事情があって、職場でイベントを開催しなければならなくなりました。しかも私が担当者のひとりになってしまいました。民主主義は難しい。まず何をやるかを決めるシステムをつくらなければいけません。そしてそのシステムができてから何をやるかを議論し、紆余曲折を経て講演会を開催しようということになりました。
何しろ初めての経験なので全く五里霧中でしたが、ともかく講師を紹介してくれる会社があるというので、そこでこちらの事情を説明して何人かの講師を紹介してもらったのですが、皆さんの了解を得られませんでした。やむなく私が会社のHPから数百名の講師のプロフィールなどをつぶさに見て数名を選択し、関係者が集まってやっと白川由紀さんにお願いしようということになりました。まだかなり先のお話なんですが、これからポスターを作ったり、お話のテーマの打ち合わせをやったりしなくてはいけません。
図の本は彼女の自伝で、吸い込まれるように読んでしまいました。日本でのサラリーマン生活が嫌で外国を放浪する人は結構いると思いますが、彼女はひとりでヨーロッパからネパールへのバスツァーを企画して実行するという破天荒な事業をやってのけます(参加する人もすごいですが)。その後もアフリカ縦断とか、南米縦断とかのツァーを実行する傍ら、写真集を出版したり、自宅を自力で改造して喫茶店を開店するなど、信じられないバイタリティーで次々と人生を切り開いていく様子が描かれています。この本を読めば、誰もがエネルギーを少しわけてもらったような充実感で満たされるのではないでしょうか。
特に私が強い印象を受けたのは、ヒマラヤの標高5,800メートルの峠で吹雪のあとに見た、青黒い空の徹底的に無生物的な静寂の世界と、無数の動物が生き生きとうごめくアフリカとのコントラストでした。そのほかドキドキするようなエピソード満載で飽きさせません。文章も秀逸でおすすめです。
白川由紀著「もっと世界を、あたしは見たい」ポプラ社刊(2006年)
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