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2007年9月30日 (日)

沈潜するピアノ エルフルン・ガブリエル

1 宝石箱を大理石の床にぶちまけたような、イングリッド・フリッターの華やかなプレイを紹介しましたので、今回はその対極にあるボヘミア出身のピアニスト、エルフルン・ガブリエルを紹介します。ヨーロッパでは有名だけれど、日本では無名というピアニストは多いと思いますが、彼女もその一人でしょう。

図のCDは3枚組で、GEMA VKJK 0023-1~3
1:ショパン プレリュード
2:ショパン 幻想即興曲 ノクターン ピアノソナタ第2番など
3:ショパン マズルカ グランドワルツ ピアノソナタ第3番など

特にショパンのプレリュードがお気に入りで、何度もレコーディングしているようです。2曲目からそのピアニズムの特質が明瞭に示されます。こんなに沈鬱なショパンを聴いたことがあったでしょうか? すべての音が、何かを夾んでハンマーを使っているように地味で、響きが暗く沈んで行きます。この雰囲気はずっと最後まで続き、ああショパンはこういう寂しくわびしい状況で、この曲をつくっていたんだと説得される感じです。この暗いショパンは結構くせになります。あの終曲もほかのピアニストだと、絢爛たる技術を駆使して華やかに盛り上がるところですが、このピアニストは徹底的にピアノを華やかに響かせることをしないので、何かやけくその欲求不満で終わる感じなんですね。そしてそれがこの曲の本質だと納得させられるのです。

エルフルン・ガブリエルの弾いているピアノは、このCDにはスタインウェイと記してありました。フリッターもスタインウェイなので、どうして同じメーカーのピアノでこんなに音が違うのか不思議です。しかしエルフルン・ガブリエルが他のメーカーのピアノを弾いたCDがあるそうです。アリアCDの店主氏の文を引用すると。
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スタインウェイやベヒシュタインと同じく1835年に創立された歴史あるピアノ・メーカー、ブリュートナー・ピアノ。同じドイツということで西のベヒシュタイン、東のブリュートナーといわれることもある。多くの王族、貴族が愛用し、アインシュタインは彼のヴァイオリン演奏の伴奏楽器としてブリュートナーを選んだ。ショスタコーヴィチ、オルフ、エック、ワーグナー、レーガーもまたブリュートナーを愛したという。
 人々がブリュートナーを愛好するのはそのふくよかで暖かみのある音による。・・・実はそのふくよかな音は、特別な仕掛けのせいである。それはブリュートナーだけが採用している「アリコート・システム」と呼ばれる機構。ピアノは通常1音に対して3本の弦を張るが、このメーカーは中音から上の音にかけて、3本弦の横にもう1本同音の弦を張り、その弦をハンマーでは叩かず共鳴させるためだけに用いた。こうすることで音色は深みと奥行きをもつことになったわけである。
 その反面高価であること、維持・調弦が大変であることはご想像のとおり。だから本当に裕福で音楽を愛する人のみがブリュートナーを持つことができるといわれるのである。そんな名器ブリュートナーだが、残念ながらこのピアノを用いたCDの数は多くない。LINNでピツァロが数枚、あとはCambria Master Recordings とHANSSLER などから少し出しているくらい。
 ところがお客様から、当のブリュートナー社がCDを出している情報を得た。・・・ということでさっそく交渉して入手できることになった。しかも価格もかなり安い。***ゴトーニ以外はあまり有名な人はいない***ようだが、何せご当家のCDである。最大最高のブリュートナー効果が生まれていることは間違いない。
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*** その有名でないピアニストの中にエルフルン・ガブリエルが入っています。

HP: http://www.elfrun-gabriel.com/cms/front_content.php?idcat=57&lang=1

後日追記: タワーレコードでもCDを売っています。

http://tower.jp/artist/730113/Elfrun-Gabriel

YouTube:

http://www.youtube.com/watch?v=O7Pa8fADra0
http://www.youtube.com/watch?v=TMSkklnXwfQ
http://www.youtube.com/watch?v=M1lNiIqyi9c

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