タウリンと毛髪
タウリンというのは昔からリポビタンDに入っていたので、よく知っているという方も多いでしょう。ちなみにリポビタンDは1962年から現在まで販売されていて、博物館まであります。
http://www.taisho.co.jp/lipod/
最初は19世紀に牛の胆汁から発見されたそうで、牛=タウロス(ミノタウロスはミノス王の牛という意味)にちなんで命名されたようです。タウリンは魚介類に多く含まれており、イカをするめにしたときにみられる白い粉の主成分だそうです。
図はミノタウロスを刺殺するテーセウス(ウィキペディアより)。
普通アミノ酸はアミノとカルボン酸を含みますが、構造式からわかるようにタウリンは変わっていて、アミノとスルホン酸を含みます。プロリンのようにアミノ基を含まなくてもアミノ酸といっている化合物すらあるので、タウリンもアミノ酸といっていいわけですが、通常のアミノ酸と違うのは、タウリンはタンパク質の構成成分ではないということです。
タウリンは胆汁の中に結構多量に含まれていて、胆汁酸と協力して脂肪の乳化を行い、消化を助ける役目を果たしています。そのほかに血圧を下げるとか、筋肉や肝臓の活動を促進するとか、ある種のビタミンのような役割を果たしています。
ヒトやネズミはタウリンを自分で合成できますが、ネコは合成できません。長年肉食を続けていると、ほとんど自分と同じアミノ酸組成を持つエサなので、アミノ酸合成をする必要が少なくなり、アミノ酸合成をささえる酵素の遺伝子がつぶれても平気なので退化が進みます。植物は動物とはかなりアミノ酸の組成が異なっているので、草食動物は自分に必要なアミノ酸をつくる必要があります。タウリンが欠乏するとネコの毛づやが悪くなることは知られていますが、ではヒトの毛とタウリンは何か関係があるのでしょうか?
東工大の西教授らは特殊な方法で毛髪の弾性を調べ、ダメージヘヤーで極端に低下した弾性がタウリンによって回復することを発見しました。これはビゲンヘヤカラーでおなじみのホーユーとの共同研究だそうです。
http://www.titech.ac.jp/tokyo-tech-in-the-news/j/archives/2005/07/1120435200.html
すでにタウリンを含むシャンプーが発売されています。
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