鳥と恐竜
鳥類の雌は固い殻のたまごをバンバン産むために、特殊な機構をそなえています。哺乳類でも赤ちゃんができると、母親の歯がボロボロになることがありますが、鳥は歯がないので、どんどん卵にカルシウムをつぎこむと骨がボロボロになるおそれがあります。しかも鳥は卵の殻を作らなければなりません。
通常哺乳類や鳥類の骨の内部は軟らかな骨髄とよばれる組織で、骨ではない血液関係の細胞(赤血球や白血球など)をつくってため込んでいます。ところが鳥類の雌の場合、骨髄の中に骨をつくってカルシウムを貯蔵することが可能で、これを骨髄骨といます。血液細胞は他の組織で代替生産されているのでしょう。
ワーニング博士とリー博士は、このたび一億5千万年前の恐竜の大腿骨に骨髄骨がみられると報告しました。すでに羽毛や翼をもつ恐竜は数多く報告されていることから、恐竜と鳥類の距離はますます近づきました。いまや鳥類が恐竜の子孫であることを疑う人はいないという状況になりました。中には今空を飛んでいる鳥は実は恐竜だという人もいるくらいです。
参照: Soft tissue in Dinosaur fossils? The evidence hardened. Science 314 p.920 (2006)
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