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2006年11月24日 (金)

鼻の穴の話 その2

さて、では肺魚はどうなのか? 現存の肺魚は皆立派な内鼻孔を持っていて鼻で呼吸することができます。ダーウィンの仇敵であるリチャード・オーエンは、レピドシレン・パラドクサの標本を手に入れたときに、この内鼻孔を見逃して大失敗したことが、カール・ジンマー著「水辺で起きた大進化」(早川書房)に詳しく書いてあります。シーラカンスは内鼻孔を持っていなくて、これがシーラカンスが我々のご先祖様でないことの重要な根拠になっています。

250pxpleaisaideszica 肺魚の祖先が四つ足動物のもっとも原始的なイクチオステガ(←)やアカントステガに進化する過程は、やっとあきらかになりつつあります。特に化石から明らかになった、胸びれが手に変化していく過程の骨の変化は見事なものです(1)。しかし、内鼻孔の形成は手足の形成よりも先行していて、ケニクチスという非常に原始的な肺魚の段階で、すでに原始的な内鼻孔が認められています(2)。

東京タワー水族館の話題の項で書きましたが、鼻の穴と肺を使って呼吸するためには、肺魚は頻繁に(種類によって異なりますが)水面に出ては潜るといる面倒な活動を強いられます。彼らがこのようなつらい生活をしなければならなくなったのには何らかの理由があるはずです。

海の酸素濃度が落ち込んだ時代があったのでしょうか? 海岸近くで生きていたため、引き潮で取り残されることがよくあったためでしょうか? 川や池で生きていたときに、乾期に干上がるため、内鼻孔と肺を使って呼吸せざるを得なかったのでしょうか? 現存の肺魚の中には、乾期に繭のようなものを作って、その中で乾眠するものがいますが、昔の(デボン紀の)肺魚もそうしていたのでしょうか? 乾眠するには肺呼吸は必須です。しかし現存の肺魚はすべて淡水魚ですが、昔は海水魚もいたのです。海水魚が乾眠するとは信じられません。

参照 1) JA Long et al.: An exceptional Devonian fish from Australian sheds light on tetrapod origins. Nature 444, pp199-202 (2006)  2) M Zhu & PE Ahlberg: The origin of the internal nostril of tetrapods. Nature 432, pp94-97 (2004)

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