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2006年9月21日 (木)

空飛ぶタクシーに乗って

Photo 最近は道をぴょんぴょんはねていくハンミョウという昆虫をみかける機会も少なくなりましたが、もっと地味な色合いのツチハンミョウという生物がいます(図参照)。

カンタリジンという、忍者も使用したという毒を持っていて危険な虫なんですが、その生態は奇妙なもので、卵から孵った幼虫は集合して重なり合い、ハチのような形をつくります。それでオスのハチを呼び寄せ、幼虫は飛んできたオスバチがさあ交尾しよう でも相手がいないなあ と困っているうちに、数十匹以上のかたまりのまま背中に相乗りします。これが素早くて1秒くらいで乗車を完了します。何人何脚なのでしょうか? すごいとしかいいようがありません。

さらにそのオスのハナバチがやっと本物のメスをみつけて交尾しているうちに、メスの背中に乗り換え、メスが生活している巣まで連れて行ってもらって降車し、ハチの巣に落ち着いて花粉や蜜をただ食いしながら成虫になる --- という とんでもない生き方をします。

しかしそんなに都合よく、近くにハナバチのオスが来てくれるものでしょうか? Saul-Gershenz博士らは、この幼虫がハナバチのメスと同じ成分(特殊な炭水化物)の性フェロモンを分泌して、空中タクシーになってくれるオスを呼び寄せるということを証明しました(メスを呼び寄せることができれば、乗り移る手間が省けてよかったのでしょうが、それは手段がみつからなかったのでしょう)。なるほど納得です。しかし、どういうシグナルで他の昆虫でなく、ハナバチのオスに乗るのか、そしてまたメスに乗り移るのか、なぜうまくハチをだまして育ててもらえるのか、など謎はつきません。

参照: LS Saul-Gershenz, JG Millar: Phoretic nest parasites use sexual deception to obtain transport to their host's nest. Proc NAS USA 103 pp.14039-14044 (2006)

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