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2006年7月14日 (金)

さらば文明人 その3

さて件の石器時代人の日常生活ですが、ほんとに何もない社会だったようです。芋やバナナなどを栽培する畑を持っていて必要な時に収穫するだけなので、毎日畑に出るわけでもなくのんびりした生活です。酒はないのですがたばこは子供も吸っており、これと夜数人で集まって火を囲んでボソボソ話すとか、歌を唄うというのが楽しみなのだろうと西丸氏は観察しています。

常に栄養不足で、40歳になるともうヨボヨボなんですが、光源氏のような高い位の人物でも平安時代には40歳でヨボヨボだったみたいなので、まあそのあたりはちょっと前の日本とたいして変わりないかな。

食人種の部落だから怖いところだろうと思うわけですが、何しろ個人の財産がほとんどないし、生産手段の畑はみんな持っているので、強盗・窃盗・詐欺などの犯罪はなく --- とは言っても文明化すると、たちまちこれらの犯罪が発生するので、彼らが特別高級な人間であるわけではない --- 実は文明社会より、彼らの原始社会の方が平和だと西丸氏は述べています。さらに西丸氏にしてみれば、満員電車で毎日出勤するほうが彼の地よりもずっとつらく、日本の満員電車の環境条件はニューギニア最悪の地よりも余程劣悪で耐え難いとのことです。それより何より、文明社会は必要以上に競争が激しい社会なので、原始社会より格段にストレスが強いという西丸氏の指摘は、いまでも的を得ていると思います。

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