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2006年5月17日 (水)

デバネズミ

Deba1 デバネズミ。英語では Mole rat (もぐらねずみ)ですが、もぐらでもラットでもなく、やまあらしやモルモットにより近縁なようです。デバは出歯で、とても美しい姿態とは言えませんが、最近 Nature 誌などに面白い論文が発表され、業界の話題となっています。

彼らは生涯のほとんどを、歯や爪で土中に掘ったトンネルの中で過ごし、アリやハチのような社会性に富む習性をもっています。すなわち女王が一匹いて全体を統率し、メイトする少数のオス、女王の世話や巣の管理、掘削を担当するその他の数十頭の個体(労働者)でひとつのグループを形成します。女王はフェロモンを出して、他の個体が交配するのを阻害していると考えられています。女王が死ぬと、王位を狙うメス同士の激しい戦いが始まり、勝ち残った者が次の女王になります。

面白いのは労働者動物がふたつに分かれていて、ひとつのグループはよく働き、他のグループはほとんど働かず、さぼってばかりのデブ動物だということです。ところがこのデブグループは、雨が降って(サバンナではめったに降らない)土がやわらかくなると、突然がむしゃらにトンネルを掘り始め、熱心な労働者に変身するというのです。

生涯自分たちが掘った穴で生活するこの動物は、近親交配を避けるのが大変で、たまたま土中で他のグループと遭遇することが必要です。このチャンスは雨で土がやわらかくなったときに、トンネルを飛躍的に延長することによって、大幅に拡大します。その一瞬のチャンスを逃さないために、普段は体に脂肪をため込んで、じっと休んでいるのがデブ労働者グループというわけです。いやはやなんとも。ちなみに、埼玉県こども動物自然公園で飼育しているとのことです(写真は公園のブログより借用)。

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コメント

とおりすがりのデバネズミスキーのものです。

昔読んだものでは、二つのコロニーが出会うと殺し合いが始まってしまうと書いてあったと思うのですが、積極的にほかの巣とつなげようとするってことでしょうか?
もし記事内容の元ネタの本、覚えておいででしたら教えていただけませんか。。。('ω')ノ

投稿: デバマニア | 2013年12月 2日 (月) 13:29

>デバマニア様

かなり昔の記事なので忘れていますが、多分下記の論文だと思います

Nature 440, 795–797 (6 April 2006) | doi:10.1038/nature04578
Energetics reveals physiologically distinct castes in a eusocial mammal
M. Scantlebury , J. R. Speakman , M. K. Oosthuizen , T. J. Roper & N. C. Bennett

投稿: monchan | 2013年12月 2日 (月) 14:34

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