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2023年1月26日 (木)

続・生物学茶話200:意識の起源

生物学茶話1~100は管理人と仕事上ある程度かかわりがある話題でしたが、101以降の続・生物学茶話については私はアウトサイダーであり、意識の問題などについて書いているこの記事も含めて単なるスタディノートにすぎません。とりわけ難解な「意識」についての考察などというラビリンスにどうして迷い込んだかと言えば、円口類について調べているうちにファインバーグとマラットの論文に行き当たり、彼らが単に円口類の生物学者ではなく壮大な脳科学の難問にチャレンジしていることがわかったからです。これも何かの縁ということで彼らの著書(1)を購入して読んでみることにしました。翻訳したのはやはり円口類の研究者である鈴木大地氏です。よくまあこんな本を翻訳しようと思いついたと思います。さぞかし大変なご苦労だったと思います。

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意識とは何かを考える上での1丁目1番地は「意識についての神経存在論的な主観的特性」の定義だそうですが(1)、この言葉自体の難解さで最初のドアから開けられなくなります。とりあえず「意識を科学的にみるとどんな特徴があるか」とでも考えた方がよさそうです。脳科学者は哲学的問題まで取り扱うので、やたらと言葉が難解になりがちというのが大きな障害です。

ファインバーグとマラットによれば、意識とは1.参照性、2.心的統一性、3.クオリア、4.心的因果だそうで(1)、言葉を羅列しただけではなんのことかさっぱりわかりません。最初の参照性からして難解ですが、どうも生物が感覚器から得た情報は、それが脳によって記憶されるということ自体は全く知覚されることはなく、外界または体全体に投影されたものとして感じられるということらしいです。例えば押上のスカイツリーを見るという経験をすると、別の日に空を見上げるとそこにスカイツリーを投影するという形で情報を引き出すことができます。脳のどの部位にこの映像が収蔵してあるかを知覚することはできません。指を骨折して痛かったという記憶は、指を意識することによってその記憶を引き出すことができるわけですが、脳を探ることによって引き出すことはできません。それは参照性という言葉が適切かどうかは別として、確かに脳神経系の特徴のひとつであるということは納得できます。脳科学には参照点依存性(2)という言葉があるので混同しそうですが、これは別の意味のようです。

心的統一性というのは割とわかりやすい概念です。人間は2つの眼で別々の画像を見ているのに、その映像は一つとして認識されます。それぞれ別の神経系で処理された情報が脳で統合されて、その統合された後の結果だけが認識されるというわけです。処理されるプロセスを私たちは認識することができません。文献(1)の表現では、脳は客観的には砂粒の集まりのように見えるのに、主観的には砂浜全体として意識が経験されるということです。私の理解ではプロセスは認識されず、結果だけが認識されて「意識」を構成するということなのでしょう。

3つめのクオリアというのは難解です。感覚質と訳されているようですがあまり使われてはいません。脳科学辞典のクオリアという項目にある「点と十字を組み合わせた動く画像」がヒントになりそうです(3)。この動画の中央の緑の点滅をずっと見つめていると、まわりの黄色い3つの点が消えたり現れたりします。個人的には左上の点がよく消えます。これは脳の作用によって、実際に見えているはずのものとは違うものが認識され意識を構成することがあるということを意味します。人間はある画像を見ても記憶できるのは中央部だけであり、周辺部は全体的な雰囲気としてその「感じ」は認識しているものの、詳細を記憶として引き出すことはできないのです。その「感じ」がクオリアだというわけです。という風に聞かされてもやはりよくわかりません。結局自然科学寄りの人はとりあえずスキップしても良いのではないかと思いました。

最後の心的因果というのは脳科学辞典やウィキペディアにも項目がなく、「心の哲学まとめWiki」などというサイトに説明がありますが(4)、これは哲学の問題であり、実験科学の立場に立つ者としてはとりあえず避けて通るべきではないかと思われます。ただ神経伝達という単純なプロセスと意識の形成という高次な過程の間には大きなギャップ(ハードプロブレム)があるというのは事実で、それは新しい手法で解明しなければならないということは明らかです。

ファインバーグとマラットはハードプロブレムを解決するために、神経進化的アプローチを試みようとしています(1)。それは単純な生物であるほどハードプロブレムにおけるギャップは小さいと考えられるからでしょう。神経細胞がない生物に意識があるはずはなく、ハードプロブレムも存在しません。しかし脳がある<下等?>な生物には意識があるかもしれません。

彼らの考え方の基本は、進化の初期段階で獲得された意識は後々の高次に進化した意識でも反映されるということです。それは進化は古いものをとっぱらって新しいものを作るという形ではなく、古いものを抱え込んだまま徐々に変化するという形でしか実現できないからです。彼らは「反射」を「意識」の対置概念ではなく、先駆けとしてとらえています。

脳科学辞典によると、反射とは「特定の感覚入力が、定型的な身体反応を誘発する現象」と定義しています(5)。「反射」のアントニムが「意識」ではありません。私たちは右足と左足を同時に出すと歩けません。「無意識」のうちに左右交互に足を出すことによって歩けるわけです。始原的左右相称動物も筋肉を使った移動、すなわち定型的な身体反応は「無意識」のうちに行っていたのでしょう。ではエサの位置をなんらかの感覚で知覚し、そこに向かって歩くという行為はどうでしょう? ファインバーグとマラットはそれは「意識」とは言えないとしています。そればかりかフェロモンに導かれて行う生殖行為も「意識」には至らない行為としています(1の71ページ)。彼らはアン・バトラー説にしたがって視覚を重視していて、イメージを形成できるレンズを持った眼によって得られた情報を解析するためにニューロンの複雑な階層構造が形成され、そのニューロンの連鎖が「意識」を形成したと考えているようです(7)。ただヌタウナギはレンズ眼を持っていないので、彼らには意識がないかというと、そうは言えないと思います。嗅覚が特別に発達した動物はそれなりの意識を持っているに違いありません。

今のところイメージを形成できると推定される眼をもつ最古の生物は5億2000万年前のハイコウイクチス(=ミロクンミンギア 7)です。この少し後の時代のメタスプリッギナも同様な眼を持っています。これらの生物はおそらく脊椎動物だと推定されています(7)。そしてバトラー、ファインバーグ、マラットらは、これらの生物が「意識」を持っていたと考えています。彼らはさらに、このような眼が形成されたのは5億6000万年前から5億2000万年前の間、つまりエディアカラ紀終盤からカンブリア紀序盤にかけてと考えています(1)。

参照

1)トッド.E.ファインバーグ、ジョン.M.マラット著「意識の進化的起源」 日本語訳:鈴木大地 勁草書房(2017)

2)道産子北国の経済教室 【参照点依存性とは?】他人と比較してしまう理由
https://kitaguni-economics.com/referencepoint/

3)脳科学辞典 クオリア
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%A2

4)心の哲学まとめwiki
https://w.atwiki.jp/p_mind/

5)脳科学辞典 脊髄反射
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%84%8A%E9%AB%84%E5%8F%8D%E5%B0%84

6)Ann B. Butler, Hallmarks of consciousness., Adv Exp Med Biol., vol.739: pp.291-309. (2012) doi: 10.1007/978-1-4614-1704-0_19.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22399410/

7)ウィキペディア:ミロクンミンギア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%83%B3%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%82%A2

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2023年1月23日 (月)

まきちゃんぐ 15周年おめでとう

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前に王子に来たのはもう20年くらい前のような気がします。王子ミュージックラウンジは飛鳥山公園に沿って坂を上がっていったところにあります。この坂の名前は飛鳥坂で、ちなんだ歌もあります(歌:水森かおり、作詞:みろく師匠 作曲:西島三重子)。
https://www.youtube.com/watch?v=3tjiAiRPSmU

着くともう20人くらい並んでいました。入場してカウンターにならび、関東ではとてもめずらしい岡山名物「ままかり」酢漬けのおにぎりを注文。こんなに美味な魚をどうして関東では捨ててしまうのか不思議です。ちゃんぐさんが岡山出身ということで、お店が気を利かせたようです。

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まきちゃんぐは絶好調で名曲を次々と熱唱

ハニー
雨と傘と繋いだ手
ちぐさ
鋼の心
愛の雫
海月
赤い糸
不器用
ジンジャエールで乾杯
花の種まき
愛が消えないように

などなど

彼女はアンコールはやらない主義なのですが、なんと「愛と星」をスキップしていたことが判明し、あらためて歌いました。

愛と星
https://www.youtube.com/watch?v=XI468c7Hlxk

1番をアカペラで歌ったのですが、なぜかオフマイクだったので生声が聴けました。これが天国的に美しくて、やっぱりマイクは声をスポイルするんだとあらためて思いました。

終了後撮影タイムがあって、この写真お客さんのスマホが体にかかっているのがちょっと残念ですが、私のベストショットはこれかな。

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アルバムの制作も進めているようで、本年もご活躍をお祈りします。

official HP: https://twitter.com/makichang_info

 

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2023年1月22日 (日)

お詫び

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このブログのサイドバーのトップが上のようになっていない方がおられるかもしれません。アクセスカウンターが消えている場合があります。これは多分ウィンドウズ10で Firefox を使っているときだけだと思いますが、その他の場合にも発生しているのかもしれません。まあこんなところを見ている人はほとんどおられないと思いますが、その不具合はこちらの問題です。

@ニフティと何度かやりとりしたのですが、結局現時点ではこれを修正するスキルがないという情けないアンサーなので致し方ありません。Firefox でもウィンドウズ11では正しく表示されています。またエッジでは10でも11でも正しく表示されています。これだけの問題ならまあ仕方ないのですが、崩壊の序曲でないことを祈りたいです。ご心配をおかけして申し訳ありません。

 

 

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2023年1月19日 (木)

続・生物学茶話199:神経堤と頭部プラコード

節足動物の中には早くもカンブリア紀に肉食を行っていた生物がいましたが、多くの脊索動物はまだ濾過摂食(1)といって、体長が1mm 以下のプランクトンなど海水に浮遊する生物あるいは有機物を何らかの方法でトラップして食べていたようです。ただコノドント動物は歯を持っていて、肉食していた可能性があります(2)。現在の円口類の歯は私たちのとは違ってケラチンを主成分とするので、当時の大部分の円口類の祖先たちもおそらく歯はケラチンだったのでしょう。コノドントの歯は石灰質ですが、ケラチンはタンパク質なのでそれ自体は化石として残りません。オルドビス紀の魚類はまだ濾過摂食で、顎のある肉食の魚類が生まれたのはシルル紀と考えられています(3)。肉食を行うためにはエサを見つけて・捕獲し・殺さなければなりません。このためにはさまざまな進化が必要です。

脊椎動物におけるこのような進化は、主に発生過程で神経板と表皮の中間領域に存在する神経堤と頭部プラコードに由来する細胞によって実現しました(4、5、図199-1)。脊椎動物に進化する少し前の動物の姿に似ていると考えられている頭索動物のナメクジウオには、神経堤やプラコードに相当する組織が見当たりません。ただ Six1/2とEyaを産生する細胞は神経板以外の外胚葉に点在し、神経細胞に分化するようです。また神経板と外胚葉の境界には脊椎動物と同様、中枢神経系の形成に関与するPax3/7、Zic、神経堤の外胚葉→中胚葉転換に関与する Msx1/2 などの発現があり境界領域の萌芽はみられます(6)。

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図199-1 外胚葉由来の4つの部域 表皮・神経板・神経堤・プラコード

プラコードや神経堤からは脊椎動物にあるべき視覚・聴覚・内分泌・感覚神経・自律神経・骨・歯などに関連した組織が発生するので(7、図199-2)、発生過程でこの2つの部域を獲得したことは脊椎動物らしさを獲得するために重要です。脊椎動物と思われるコノドント、ハイコウイクチス、ミロクンミンギアなどはカンブリア紀に生きていましたし、ホヤらしき生物もいたようです(8)。つまり神経堤・プラコードは脊椎動物がまだ濾過摂食を行っていたカンブリア紀に、すでに存在していたということです。

図199-2に血管条という言葉がありますが、これは私も初めて聞く言葉だったので調べてみました。日比野浩氏のサイトが参考になりました(9)。音を感知する細胞は内リンパ液と接しており、その内リンパ液は高濃度のカリウムを含んでいて、細胞内のカリウムとの濃度差を利用して振動が電気パルスに変化することによって音は感知されます。血管条というのは耳の内耳蝸牛にある組織で、リンパ液のカリウム濃度を高く保つために必要であるとされています。通常の神経細胞はナトリウムの濃度差を利用して興奮するので、耳の神経細胞に相当する有毛細胞は特殊な機能を持つ細胞と言えます。このような新組織をつくるためにもプラコードという新機軸が進化の過程で必要であったと思われます。

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図199-2 プラコード、神経堤から分化する細胞

神経堤・プラコードという第4の胚葉を獲得するという進化を実現したヤツメウナギは、エディアカラ紀の生物の特徴を色濃く残していると思われるナメクジウオに比べて、脳や周辺の感覚器官が格段に複雑になっています。濾過摂食からいわゆる肉食の生物に進化するためには、視覚・嗅覚とそれらの情報を処理するための脳の構造が格段に複雑化することが必須だったと思われます(10、11、図199-3)。ヤツメウナギは私たちと同様な脳のコンパートメントを持っていますが、ナメクジウオの脳には形態学的な分化はみられません。

こうしてみるとナメクジウオが現代に生きていることは奇跡のように思われます。彼らと近縁な、しかしよりすぐれた感覚器官・運動器官・脳を持つほとんどの生物が種としての生命を終えた中で、海底の砂に潜るという一芸で絶滅をまぬがれ、また脊椎動物と非常に近い生物であるにもかかわらず、私たちがまだ知らないその能力によって5回の大絶滅時代をしぶとく生き延びたナメクジウオは、まさに「生きた化石」と言えます。

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図199-3 ナメクジウオとヤツメウナギの頭部 Vedantu free education for kids (modified by the auther) および Wikipedia: Lamprey の図を利用しました 引用文献10、11。

神経堤やプラコードができてくる過程で、そこにどんな因子(モルフォゲン)が発現してくるかというのは昔から発生生物学の基本的テーマです。とはいっても、なにしろ細胞数個分の領域に一時的に発生する多くの物質の濃度勾配や相互作用が複雑に関係して細胞の運命が決まるわけですから、最終的にはAIに答えを求めるしかないと思いますが、大雑把に理解することもまた重要であり、サワニとグローヴスが提供してくれている最新情報を図199-4に示しておきます(12)。

おおまかにはBMPやWntが濃い状態では表皮に分化し、それらのアンタゴニストが濃い状態では神経に分化するわけですが、神経堤やプラコードはその中間の微妙な状況のなかで出現する部域です。中間的であるということは分化の方向性決定を保留できるということでもあります。具体的には多能性幹細胞として残って表皮や神経に早期に分化するのを回避し、後の適切な時期や移動した場所で分化するということです。オリジナルの図(閲覧フリー)に付属している説明文をそのまま掲載しておきました。

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図199-4 脊椎動物発生過程におけるモルフォゲンの分布 Early ectodermal patterning at the anterior epiblast. Although the ectodermal patterning varies significantly across chordates, and even within amniotes, we illustrate, here, the key stages of ectodermal patterning most faithful to amniote development. The medial epiblast begins to exhibit molecular differences compared to the surrounding tissue, with the medial region expressing pre-neural/neural (salmon) markers and lateral (blue) region with predominantly non-neural/epidermal gene expression. At the initial stages of gastrulation, the transitional zone between the neural and non-neural ectoderm, called the neural plate border (yellow), becomes more defined. By the early stages of neurulation, two distinct spatially segregated populations of cells can be detected at the border region – pre-placodal ectoderm laterally (purple) and neural crest cell progenitors medially (green). Although much remains uncertain about the roles and timing of WNT, BMP, and FGF signaling pathways and associated gene-regulatory networks during the early ectodermal patterning, a general consensus of the signaling levels and classic spatially distinct markers are indicated below the epiblast cartoons. Additionally, the asymmetric WNT signaling along the anterior-posterior axis and, subsequently, key molecular expression differences are also presented on the right-most panel.

頭索動物は組織としての神経堤やプラコードがみられませんが、それに相当する Six/Eya を発現する細胞は予定表皮のなかに存在し、実際化学物質や機械刺激などに反応する感覚器や関連する神経細胞、あるいはハチェックスピットと呼ばれる分泌器官などに分化します(7、12、図199-5)。これらは表皮に分化するのをある確率で免れた細胞なのかもしれません。肉食に必要な諸器官をつくるためにはナメクジウオのような機構ではまかないきれなくて、多数の未分化細胞が予定表皮と予定神経の中間に大きな集団となって確定して出現するように進化した生物、すなわち脊椎動物の祖先にあたる生物がカンブリア紀に適応放散したのでしょう。

尾索動物は一見両者の中間のようにも見えますが(図199-5)、彼らの祖先はいったん脊椎動物と同様な進化を遂げながら方向転換して全く別の生き方を選んだので、これはそのような方向転換の結果と考えるべきでしょう。

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図199-5 脊索動物における神経・表皮境界領域の進化 Evolution of the neural plate border in chordates. The diagrams compare the neural plate border (neural – salmon; non-neural – blue) derivatives between different taxa within the phylum Chordata. The vertebrate neural plate border gives rise to two distinct cell populations – the placodes (purple) that thicken and invaginate in the anterior embryo and the neural crest cells (green) that migrate along the entire length of the embryo except for the anterior neural fold (black arrows show migratory properties). However, this feature is an evolutionary novelty in vertebrates. The embryos from the sister clade, urochordates, have a molecularly distinct border region with several gene markers common with the vertebrates (magenta and light green); however, the crest-like migratory cell populations (light green) are relatively limited, such as the bipolar tail neurons. Cephalochordates, the phylogenetic neighbors considered less evolved to tunicate-vertebrate group, have some migratory epidermal sensory cells (pink) with similar molecular signatures to the vertebrate placodes; however, these are largely scattered individual cells that delaminate from the ectoderm much lateral to the neural/non-neural boundary.

参照

1)ウィキペディア:濾過摂食
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BF%BE%E9%81%8E%E6%91%82%E9%A3%9F

2)ウィキペディア:コノドント
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%8E%E3%83%89%E3%83%B3%E3%83%88

3)ウィキペディア:棘魚類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%98%E9%AD%9A%E9%A1%9E

4)R. Glenn Northcutt and Carl Gans, The Genesis of Neural Crest and Epidermal Placodes: A Reinterpretation of Vertebrate Origins., The Quarterly Review of Biology, vol.58, no.1, pp.1-28 (1983)
https://www.journals.uchicago.edu/doi/10.1086/413055

5)G.Schlosser Evolution of neural crest and cranial placode in "Invertebrate origins of vertebrate nervous system" Elsevier (2017)
https://books.google.co.jp/books?hl=ja&lr=lang_ja%7Clang_en&id=XTUYCwAAQBAJ&oi=fnd&pg=PA25&dq=protoplacodal+ectoderm&ots=Io8phXiMHX&sig=yUOWMHO4GlFA6TlysMPUzFJrfbk&redir_esc=y#v=onepage&q=protoplacodal%20ectoderm&f=true

6)G.Schlosser, From so simple a beginning – what amphioxus can teach us about placode evolution., Int. J. Dev. Biol. vol.61: pp.633-648 (2017) doi: 10.1387/ijdb.170127gs
https://www.academia.edu/70157393/From_so_simple_a_beginning_what_amphioxus_can_teach_us_about_placode_evolution

7)G. Schlosser Evolution of neural crest and cranial placode., Elsevier (2017)
https://books.google.co.jp/books?hl=ja&lr=lang_ja%7Clang_en&id=XTUYCwAAQBAJ&oi=fnd&pg=PA25&dq=protoplacodal+ectoderm&ots=Io8phXiMHX&sig=yUOWMHO4GlFA6TlysMPUzFJrfbk&redir_esc=y#v=onepage&q=protoplacodal%20ectoderm&f=true

8)Jun-Yuan Chen, Di-Ying Huang, Qing-Qing Peng, Hui-Mei Chi, Xiu-Qiang Wang, and Man Feng, The first tunicate from the Early Cambrian of South China., Proc Natl Acad Sci U S A., vol.100(14): pp.8314–8318. (2003) doi: 10.1073/pnas.1431177100
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC166226/

9)日比野浩、内耳聴覚研究班
https://www.med.niigata-u.ac.jp/ph2/past/ri_bi_ye_yan_jiu_ban.html

10)Vedantu free education for kids  (modified by the auther)
https://www.vedantu.com/question-answer/wheel-organ-is-found-in-a-herdmania-b-amphioxus-class-11-biology-cbse-5f2235d705c8ea56440f6f8d

11)Wikipedia: Lamprey
https://en.wikipedia.org/wiki/Lamprey

12)Ankita Thawani and Andrew K. Groves, Building the Border: Development of the Chordate Neural Plate Border Region and Its Derivatives., Front. Physiol., Sec. Developmental Physiology vol.11: no.608880. (2020)
https://doi.org/10.3389/fphys.2020.608880
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7750469/

 

 

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2023年1月16日 (月)

冬だけの家族2023

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カーテン越しで不鮮明ですが、今年もジョージⅢ世(ひよどり)が12月からうちの家族となっています。ちょうどパンくずを食べているところ。危険を感じさせてはいけないので、カーテンは引いたままで撮影しました。Ⅲ世というのは寿命から推測しただけで、個体識別はしておりません。ひょっとすると文化の伝承なのかもしれません。最近の生物学ではあり得ない話じゃないそうなので。お正月くらいまでは2羽で来ていたので、どこかで抱卵しているのかも。

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おまけ写真。これはたまたま撮影できたのですが、団地から見えた月とヴィーナスベルトです。

 

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2023年1月13日 (金)

私のインスタントランチ:ドライカレー

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ドライカレーにミニトマトとイタリアンパセリ。ドライカレーは冷凍物をフライパンで加熱するだけなので5分でできます。

昨今地上波テレビのつまらなさにはあきれ果てますが、たまにすごい番組にあたることがあります。クレイジージャーニーというTBSの番組はときどきすごい。最近は南アフリカでのサバンナ徒歩ツァーをやっていました。現地ツァーコンである日本人女性太田ゆかさんの案内で、猛獣が徘徊するサバンナを乗り物なしで歩いて、野営するというものです。

水辺に近づくとカバが猛スピードで追いかけてくるとか、野営していると深夜に象の一家がやってくるとか、すごい話です。ライオンはちょっかいださない限り割と安全だというのにはびっくりしました。ハイエナや豹が来たらどうするんだろうと思います。でも一番怖いのは人間の密猟者だそうで、一つ間違うとライフルやマシンガンで撃たれるそうです。密猟を防ぐためにサイの角を切断しているという話にも愕然です。そういえば南米で猿に育てられた女性の本を読んだときに、猿たちが一番恐れていたのはジャガーではなく人間だと書いてあったことを思い出しました。

2番目に怖いのは年老いて群れから追い出された水牛だというのもなんとも言えないもの悲しさがあります。彼らは眼も耳も衰えてしまって、判断できない恐怖のために、近づく生物に襲いかかってくるそうです。

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2023年1月11日 (水)

この死者の増加をどう説明するのか?

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?の部分が増加した死者です。マスコミはまだあまり取り上げていないようですが、超過死亡が発生しているようです。どう説明すれば良いのでしょうか? 単調増加しているので、医療逼迫で救急車が間に合わないからというわけではないようです。

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2023年1月 8日 (日)

サラの考察25:少子化問題

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私「日本は少子化で滅亡しそうなんだよ。何かいいアイデアはないかな」

サラ「母猫は1ヶ月しか子猫の面倒は見ないのよ。寿命の差を考えて人になおせばせいぜい数ヶ月程度。20年も面倒見なきゃいけないなんて人は異常としか思えない」

私「それは種によって成長が違うんでまあ仕方ないんだよ。戦前は子供が数人いるのは普通で、私の大伯父などは16人もいたんだけどね(母親は2人)。別に大学なんか行ってなくても普通に成長してそれぞれ生きていけた時代だったようだ」

サラ「ふむふむ」

私「子供が16人いても誰も保育園なんて通ってないし、乳離れしたら放置が基本で、どうしても必要な世話は年長の兄姉がやるということで、先に生まれた者は大変だったと聞いている」

サラ「要するに放置を基本とすれば少子化は解消するってこと?」

私「放置というとすぐに炎天下の車の中に子供を放置というのを思い出すけれど、これは放置じゃなくて監禁だろう。どこにでもいけるようにしておいたら死なないんだよ。」

サラ「猫はマイクロチップを埋め込まれるけど、あれを人の子供にも埋め込めば場所はわかるわね。自由猫が熱射病で死んだっていうのもないわね。猫の頭脳でも暑けりゃ涼しい場所に移動するからね」

私「そうそう。だから科学が発達した現代では、戦前よりも少ない労力で子育てはできるはず。近藤とも氏によると肉食の習慣はここ50年ほどのことで、戦前は牛や豚を食べるなんてほとんどやっていなかったので(1)、本当は食費だってもっと節約できるはずだよ」

サラ「いろんな子育ての仕方を認めるということね」

私「ごはんだけ食べさせてあげれば、あとは放置してもバッシングを受けないという社会的コンセンサスが必要だと思うね。子育てに税金をどんどんつぎ込むと、税金がどんどんふくらんでマッチポンプになってしまう。戦前は子供が多すぎて困っていたんだから、そこにヒントがあるのは当然だと思うよ。戦後でも私が子供の頃は保育園はなく4歳くらいから幼稚園に通っていた子が多かったけど、スクールバスなんてなくて私も含めて一人で1キロくらい歩いて通うのは当たり前。車は結構走ってたけど、はねられたという話は聞いたことがないね。そういう育てられ方をしてたんだね」

サラ「少子化解消のためには、たくさん産んで放置で育てるってことが出発点ってことね」

私「そうそう。それを社会が認めることが大事」

1)近藤とも 私たちはいつから肉を食べるようになったのか?日本人と肉の歴史を徹底解説!
https://intojapanwaraku.com/culture/48024/

 

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2023年1月 5日 (木)

続・生物学茶話198:エディアカラ紀のトピック

1945年9月2日 戦艦ミズーリにおいて、日本政府は無条件降伏とポツダム宣言受諾の署名を行い第2次世界大戦は終了しました。レジナルド・スプリグは1942年に修士号を取得していましたが、大戦中は従軍し原爆に必要なウラニウム資源の調査に従事していました。終戦後化石の調査を始め、1946年にはアデレード郊外で採掘された鉱物の残渣を調査していました。そこでカンブリア紀以前と思われる地層からクラゲ様の化石を発見し、Nature 誌に投稿しましたが掲載を拒否されました。その後英国の学会でも発表しましたが話題にもなりませんでした(1)。

それでもスプリグは地元の雑誌に論文を発表しましたが、なんとそのタイトルは early cambria にクエスチョンマークをつけたものでした(2)。しかしその後他の研究者も興味を持って研究を始めた結果、しだいに彼の成果も認められるようになりました。スプリグは古生物の研究に興味を失ったわけではありませんでしたが、むしろ天然ガス・ウラニウム・ニッケルなどに関連した資源調査の会社を作って社長としての仕事に取り組むことになりました(1)。彼の業績が本当に認められるようになったのは、おそらくグレスナーが1959年にNature誌に論文を書いてからだと思います(3)。エディアカラ紀という名称を国際地質科学連合(IUGS)が正式に承認したのは2004年のことでした。スプリグはエディアカラ紀という名称が認められる10年前の1994年に亡くなりましたが、彼の声と映像は YouTube で知ることができます。クラゲの化石を手にして説明しています(4)。彼の写真とその名前に因んだ生物を図198-1に示しました。

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図198-1 スプリグと彼に因んで命名された古生物

地質時代の名称として、カンブリア紀以降は顕生代(Phanerozoic eon)、エディアカラ紀以前は原生代(Proterozoic eon)ということになっています。このような分け方は生物学の観点からは好ましいものではありません。なぜならエディアカラ紀は現代の生物が誕生する上で非常に根源的で重要な時期だったからです。エディアカラ紀とカンブリア紀が分断されるのは、エディアカラ紀においては化石になりやすい骨格や殻などが未発達であったからに過ぎません。従って生物学の観点からはエディアカラ紀以降とクライオジェニアン紀以前に分けて命名するのが適切だと思います。クライオジェニアン紀はその名前からも想像できるように、赤道付近まで凍り付くいわゆるスノーボールアースとなった極寒の時代でした。まあ区分を決めるのは地質学者なのでそれなりの理由があるのでしょう(図198-2)。

エディアカラ紀には前口動物と後口動物共通の祖先となる左右相称動物=ウルバイラテリアが存在したはずという仮説がデ・ロバーティスと笹井によって1996年に提出されましたが(5、6)、その実態は謎に包まれていました。以前からエディアカラ紀の地層に残された移動の痕跡に注目していた研究者はいましたが、それを残した生物についての情報はありませんでした(7、図198-2)。

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図198-2 エディアカラ紀以前の年代区分とエディアカラ紀の生物痕跡

しかしエバンスらはついにその生物の実体を捉えたようで2020年にプロナスに論文を発表しました(8)。この論文には美しい再構成図も添えられているので是非ご覧ください。フリーで閲覧できます。感動します。ウィキペディアにも別の図(漫画的)がでているので、こちらはコピペしておきます(9、図198-3)。

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図198-3 エディアカラ紀のウルバイラテリアに近いとおぼしき生物

エディアカラ紀は海底に細菌が繁殖し、その上に何層もの藻類がびっしりと生えそろった、ある意味楽園のような世界が広がっていましたが(10)、海水に浮遊する細菌や浮遊物を食べている動物しかいなかった時代はこの楽園が維持されていました。しかし藻類を食べる動物が生まれたことによって状況は徐々に変化しました。藻類を食べるには口が下になければいけません。このためには平衡感覚が必要となります。藻類を食べる動物はまわりの藻類を食べ尽くしたら、他の場所に移動しないと食事ができません。そしてランダムに移動すれば良い時代から、探さないといけない時代に移行するのは時間の問題でした。上下を判断する必要性とエサの方向に進む必要性は、左右相称動物誕生の進化的圧力になったと思われます。

エサを探すには移動するための筋肉、それを制御するための神経、エサをみつけて移動方向を決めるための感覚器などが必要です。藻類が食べ尽くされるにつれて、移動するための器官・組織の必要性は大きくなります(10)。エバンスらがみつけたこの体長数ミリの生物(Ikaria wariootia)は直線的に進むだけでなく曲がることができたようです(8)。このことは左右の運動器官を整合性をもって制御しながら進むことができるということで、この生物がかなり高度な神経系をもつことを意味します。

藻類を探して食べているうちにその藻類も食べ尽くされ、ついに肉食生物が登場したのがカンブリア紀でした。肉食生物を代表するのは節足動物のアノマロカリスの仲間たちで、イメージを構成できる眼とエサをつかむ触手を活用し、彼らは海の帝王の地位を獲得しました(図198-4)。他の生物はこの節足動物に食べられないように遺伝子を改変した者が生存に有利となりました。私たちの祖先に近縁な脊索動物、ハイコウイクチス、ミロクンミンギア、メタスプリッギナ、ピカイアなどは泳いで逃亡するという手段を選択しました(図198-4)。これは結構成功したようで、現在でも彼らにかなり近いタイプの子孫=魚類が繁栄しています。

この他にも防御の装備をかためる(ハルキゲニア、ウィワキシア、貝類)、海底の砂に潜る(オットイアなど)、海綿の中に潜る(アイシュアイア)など様々な作戦で捕食を免れる生物が現れました(図198-4)。これによってバラエティーに富んだ生物が生まれたのがカンブリア紀です。貝類は現在でも繁栄していますし、海底の砂に潜る生物も数多く見かけられます。

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図198-4 カンブリア紀に多様化した生物

 

参照

1)Wikipedia: Reg Sprigg
https://en.wikipedia.org/wiki/Reg_Sprigg

2)Sprigg R.C., Early Cambrian(?) jellyfishes from the Flinders Ranges.
Transactions Royal Society South Australia vol.71, pp.212-214 (1947)
https://web.archive.org/web/20070929092905/http://www.samuseum.sa.gov.au/Journals/TRSSA/TRSSA_v071/trssa_v071_p212p224.pdf

3)M. F. Glaessner, Precambrian Coelenterata from Australia, Africa and England. Nature vol.183, pp.1472-1473 (1959).
https://doi.org/10.1038/1831472b0

4)Reg Sprigg's Discovery in South Australia
https://www.youtube.com/watch?v=cpTTdcH0Tvc

5)E. M. De Robertis & Yoshiki Sasai, A common plan for dorsoventral patterning in Bilateria., Nature vol.380, pp.37–40 (1996). https://doi.org/10.1038/380037a0 
https://www.nature.com/articles/380037a0

6)続・生物学茶話 124: ウルバイラテリアをめぐって
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/01/post-4f9530.html

7)Soren Jensen, The Proterozoic and earliest Cambrian trace fossil record; patterns, problems and perspectives. Integr. Comp. Biol. vol.43, pp.219–228 (2003)
https://doi.org/10.1093/icb/43.1.219

8)Scott D. Evans, Ian V. Hughesb, James G. Gehling, and Mary L. Droser., Discovery of the oldest bilaterian from the Ediacaran of South Australia., Proc.N.A.S., vol.117, no.14, pp.7845–7850 (2020) doi/10.1073/pnas.2001045117
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32205432/

9)Wikipedia: Ikaria wariootia
https://en.wikipedia.org/wiki/Ikaria_wariootia

10)トッド・E・ファインバーグ、ジョン・M・マラット 翻訳:鈴木大地 「意識の進化的起源」 勁草書房 2017年刊

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2023年1月 3日 (火)

2023初詣

毎年近くの阿夫利神社に初詣に行くのですが、数年前までは大変でした。特に元日に行くと狭い田舎道が渋滞し、渋滞するとすれ違えないので車の中から人が出てきて口論になったりして、新年早々険悪な雰囲気になるのが常でした。その後徐々に駐車場が整備されたりして混雑は緩和しました。そこでコロナですから昨年などは閑散としていましたが、さて今年はどうなるかと思っていたら、人は相当増えましたが車の整理をする人などもいて、神社もかなりきちんと管理体制をととのえたようで、スムースな初詣になりました。

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神社に行くにはこの長い階段を上がります。

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鳥居の前には花手水が用意してあります。これは今年の新機軸。

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参拝します。元日は階段の下まで行列ができますが、2日は鳥居の前くらいからです。

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参拝が終わったら、破魔矢を購入し、おみくじを引いて豚汁をごちそうになります。たき火は豪快。

 

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2023年1月 1日 (日)

謹賀新年

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明けましておめでとうございます。

今年も読者の皆様にたくさんいいことが
ありますように。

A HAPPY NEW YEAR ユーミン (miko sings)

https://www.youtube.com/watch?v=b05fL1Z2Uq4

 

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2022年12月29日 (木)

私の紅白歌合戦2022

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今年もまた暮れようとしています。皆様良い1年でしたでしょうか? どんな1年だったにしても、大晦日にはすべて忘れてリフレッシュするのが1番。もちろん音楽ファンは音楽に浸って過ごすのが至福でしょう。

「私の紅白歌合戦」の内容はミイディアム-スローな歌謡曲寄りのJPOPがメインで、クラシック系も多少という構成です。YouTube にアップしてくださった方々、アーティストの方々に感謝します。

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1a.タンホイザー ピルグリムコーラス(ワーグナー)
デンマーク放送交響楽団と合唱団 Lawrence Foster
https://www.youtube.com/watch?v=fjD126tBlnQ

アップしたとおぼしき人が 「信じてくれ、これがベストのピルグリムコーラスだ」 と書いていますが、納得です。それにしてもすごい女声コーラスに震撼。

1b.いちご白書をもう一度(ユーミン) 小野友葵子 東京大学コールアカデミー
https://www.youtube.com/watch?v=DWon3NOxq2U

小野さんは往年の名力士水戸泉の奥様で、本業は相撲部屋のおかみ。メガネが多いがコールアカデミーも素晴らしいサポート。

2a.粉雪 レミオロメン
https://www.youtube.com/watch?v=1wxTksLZ1Mw

クリスマスより大晦日に雪が降ってほしいと思う。

2b.ホームにて(中島みゆき) ぷりん
https://www.youtube.com/watch?v=gSo4CfOItA4

ギターの弾き語りでしみじみ聴かせてくれます。

3a.Day in vacation 渚のオールスターズ
https://www.youtube.com/watch?v=PnDYIXMqz1E

スペインで首絞められる前の織田哲郎 最後は足でキーボードを弾く(必見)。

3b.マリーゴールド あいみょん
https://www.youtube.com/watch?v=0xSiBpUdW4E

中国の抗日映画撮影の聖地である上海影視楽園でロケ。そのような場所に堂々と乗り込んでしれっと撮影したことに拍手を送りたいです。このPVの視聴回数はまもなく3億回になりそう。
https://www.recordchina.co.jp/b747771-s182-c30-d1182.htm

4a.輝きながら 德永英明
https://www.youtube.com/watch?v=iLAe1qSw-oU

富士フイルムのCMソングですが、フィルムなんて知らない人も多くなりました。FUJIBRO WP FMシリーズには業務上大変お世話になりました。

4b.もっと Je-vous-aime  石川秀美
https://www.youtube.com/watch?v=4RDVgV7hVlA

薬丸裕英氏の奥様 いまでもインスタは人気だそうです。それにしてもハンドマイクなのに一歩も動かず、お地蔵様のように歌う石川秀美とは・・・・・。

5a.Imitation rain Sixtones
https://www.youtube.com/watch?v=pTh-ncw31ZA

Yoshiki の音楽を懐かしく感じるのが不思議。でもこれは2020年の音楽。

5b.Ailleurs  Keren Ann
https://www.youtube.com/watch?v=CkwgugYJFpM

テンポはゆったりなのに、なんとなくウキウキした感じ。Ailleurs(アイヤ)はどこか他の場所でという意味らしい。

6a.DISH// (北村匠海)  猫
https://www.youtube.com/watch?v=gsT6eKsnT0M

2億回再生間近 あいみょんのすごさ でもこのボーカルもほんとにいいね。

6b.愛が消えないように  まきちゃんぐ
https://www.youtube.com/watch?v=-PJlrmWwOiw

コロナ禍で苦しんだすべての人のために、アップライトピアノの弾き語りで歌う。まきちゃんぐの素晴らしい歌を、多くの人に聴いてほしいと思います。

7a.いざ進めよ、いばらの道を  山田晃士&流浪の朝謡
https://www.youtube.com/watch?v=X2rl1P7xqmE

これはフラメンコなのか?

7b.Iza Susumeyo OTTA-orchestra
https://www.youtube.com/watch?v=uMj2kKLZISw

7a のロックバージョン みなさん楽器が達者なロシアのガールズバンド。本来インストゥルメンタルのグループなので歌っているのは珍しい。

8a.誰も寝てはならぬ(プッチーニ) ヨナス・カウフマン
https://www.youtube.com/watch?v=xN-JCdM4or0

荒川静香選手がオリンピックで金メダルを獲得したときの曲です。

8b.Dich, teure Halle 貴き殿堂よ(ワーグナー) リセ・ダヴィドセン
https://www.youtube.com/watch?v=U9TofuLQOuk

ホールが小さく見えるような豪快な歌唱。マイクが1.5mくらい離れている。

9a.猫になりたい スピッツ
https://www.youtube.com/watch?v=O-Ehx19Bz-U

野外ライブも雨降ると大変。

9b.愛から遠く離れて(中島みゆき)  伽藍琳
https://www.youtube.com/watch?v=OwmEBrrF-6U

中島みゆきも、時にはこんな<無毒で清澄>な曲もつくるのか?

10a.レンガ通り  村下孝蔵
https://www.youtube.com/watch?v=ak9QPtAqHgU

あまりに気の毒な人生だった故村下孝蔵が世に残した名曲。

10b.海辺の葬列 青葉市子/マヒトゥ・ザ・ピーポー
https://www.youtube.com/watch?v=rh_IsgFI_mc

今の時代の空気を恐ろしいほどの音楽で投射する青葉市子。

11a.いつの日か(矢沢永吉) 矢沢singバラード企画
https://www.youtube.com/watch?v=j8XfhkDzn8E

なりきっている 偉大。

11b.口うつしロマンス 中村佳穂
https://www.youtube.com/watch?v=y3Br32he0C4

こういうのがむしろ音楽の原点かもしれない。

12a.SMILE〜晴れ渡る空のように〜  桑田佳祐
https://www.youtube.com/watch?v=HcaMkpdkN_4

地球の歴史・・・・・参りました。

12b.こと 熊木杏里
https://v.youku.com/v_show/id_XNzQ1MjkxNzky.html?s=362628

浮浪者に扮するという驚愕のMV ピアノは清塚信也。YOUKUなのでCMは中国語です。音声が出ないときはXをクリック。CMの間に進むことがあるので、戻す操作が必要になる場合もある。

13a.ビッグスカイ 中川五郎&真黒毛ぼっくす
https://www.youtube.com/watch?v=Qnu9Ms6FiZg

辞世の歌を楽しくみんなで演奏。

13b.雨が降る パリスブルー
https://www.youtube.com/watch?v=PU9ce2PE8Ho

今まで生きてきていろんなボーカルを聴きましたが、谷口實希さんの声はJPOPの歴史で一番美しいと思います。女子が左前のシャツを着るのが流行していた頃。

14a.雨上がりの夜空に 忌野清志郎
https://www.youtube.com/watch?v=cHehR50TaOo

喉頭癌で2009年に死去 声をあきらめて手術で除去しておけば助かったかもしれなかった。 歌と心中した男。

14b.私は風(カルメン・マキ&OZ)  中森明菜
https://www.youtube.com/watch?v=fi25Q-PtVdk

中森明菜がどんなに偉大なシンガーであるかは、これだけで十分。

~~~ 最後のペアになります ~~~

15a.小さな風景(小田和正) 鎮目政宏
https://www.youtube.com/watch?v=61NyvN2uHCU

TVドラマ 遺留捜査の最後に流れる曲

15b.千登勢橋 西島三重子
https://www.youtube.com/watch?v=0TYECCELT6c

もう40年以上前の曲ですが、今でも千登勢橋の下は電車と車が並んで走っています。

🌼🌼🌼🌼🌼

では皆様良いお年をお迎えくださいませ。(^_^)ノ""""

 

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2022年12月27日 (火)

インバル都響 年末第九@サントリーホール2022/12/26

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今日は都響最後のおつとめで恒例の第九演奏会最終日です。指揮はマエストロ・インバル、コンマスはボス矢部、サイドはゆづき。インバルさんは86歳だそうですが、大変お元気でシャープな動きに驚きます。彼のベートーヴェンは運命交響曲のCDを聴けばわかるように、軍隊的規律とも言えるような統制されたアンサンブルで押し切る感じの潔さが特徴です。

この第九も最初からオーケストラと聴衆を戦場にたたき込み、全力疾走させます。第3楽章もアンサンブルの美しさが印象的で素晴らしい。ところが第4楽章はソリストも合唱もはいるので、インバル流で押し切ろうとすると破綻します。合唱の美しさは損なわれ、ソリストは自分の歌が歌えなくてアップアップしている感じ。ベートーヴェンは結構ロマンチストだったと思いますが、それは感じられませんでした。なんだかもやもやしたまま終了で残念。私的にはさっぱり納得がいかない第九でしたが、隠岐彩夏さんという素晴らしいソプラノに遭遇できたことは幸運でした。佐藤しのぶさん以来の実力派スターになりそう。終演後はY夫妻とスタバでささやかな忘年会。しばしマスクを外しておしゃべりする幸福な時間でした。

そろそろ都響も若い指揮者をスタッフに入れて、ガラガラポンで再起動する時期に来ているのではないかと思いますが、アドバイザリーボードを入れ替える方が先かな。

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2022年12月24日 (土)

My favorites 13: 松田マヨのアルバム「夏」

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忘れられた天才と思っていましたが、ワーナーにはまだ記事が残っていました。

ワーナー・ミュージック・ジャパンによる松田マヨの紹介
<<1999年5人組ロックバンド"デイジー"のソングライター、アレンジャー、ボーカリストとしてデビュー。そのプログレ歌謡ロックとも言うべき才気溢れる作風と松田の謎のキャラが話題を呼びサブカル界のカルトアイドルとなる。2001年にデイジーは松田マヨのソロプロジェクトとして再始動。>>

https://wmg.jp/daisy/discography/

そしてディスコグラフィーには「はじまり」というシングルが1枚紹介されています(この似顔絵はよくできていると思う)。まだ販売しているのでしょう。私が紹介したいのは2000年に出版された「夏」というアルバムです。聞き始めて数秒でもう幽体離脱してしまうような不思議な音楽。もちろんデイジーでやっていたロックではなく、プロデューサーの曽我部氏によればアシッド・フォークというジャンルだそうです。

はっきりした記憶として呼び出せない、脳の深部に潜む秘密の領域に音楽でアクセスする術を持つ不思議な能力があるアーティストだと思います。ただここ20年くらい活動の形跡がありません。ところがアマゾンで検索してみると、発売から20年以上経過していますがまだこのアルバムは新品が販売されていました。自分の脳の深部を探索してみたいと思う方は是非。

記憶(memory), 波打ち際(the seashore), 短い日(darken earlier), 夏(summer), 愛(love), 水(water)  どれもとてつもない名曲。

YouTube に一曲だけ映像と共にアップされていました。ワーナーに言いたいのは、まだCD売ってるんだったら、きれいな映像を一つくらいアップしとけよってことです。

今彼女がどうしているかわかりませんが、まだ引退するような年齢じゃないと思うので再起を期待したいです。

松田マヨ「夏」
https://www.youtube.com/watch?v=jynsl5H6r6c

💧 ググったら松田マヨネーズばかりで閉口

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2022年12月23日 (金)

私のインスタントランチ: ラーメン

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インスタントラーメンをどうやって美味しくいただくかというのは大きなテーマです。基本はしょうゆラーメンですが、このマルちゃん-飯田商店のラーメンスープの味は私的には完璧に思えます。カップは捨てて鍋でつくります。

さてスープはそのまま使うとして、ついているチャーシューはちょっとアレだし、かといってチャーシューを買うというのもこれにしか使わないので逡巡します。当たり外れもあります。なるとも麺類にしか使いません。一番経済的なのはフリーズドライのパックを買っておくのがいいのですが、それだけでは物足りない。というわけでハムを1枚入れると、これは当たり外れがなくていいかも。あとのりと乾燥わかめを入れて完成。

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2022年12月21日 (水)

インバル都響 フランク交響曲ニ短調@東京芸術劇場2022/12/20

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平日のマチネなのにインバル都響の公演は大盛況でした。クラシック音楽の演奏会でクラスターが発生したという話はききませんし、会社を休んで来ている人も多いようです。

いつも思うのですが、スタインウェイのピアノでベートーヴェンを演奏すると何か違和感があります。私はヤマハの方が圧倒的に適合していると思います。ヘルムヒェン氏は独自の世界をスタインウェイと共に完全に構築していて完結しています。ベートーヴェンの音楽がこんな高雅な響きでいいんだろうかと思いますが、まあ四の五の言わずに「私の世界に酔ってくれ」と言うことなんでしょう。ソリストアンコールのシューマンも完全にヘルムヒェンの世界。

メインはフランクの交響曲。これはとてもフランクらしい響きでしっくりきました。イングリッシュホルンのソロはいつもの南方さんではなく大植さんでした。私はこの第2楽章がお気に入りです。やたらと豪華なハープも好アシスト。弦も管も絶好調で素晴らしい演奏を有難う。第2楽章の主題を口笛で吹きながら帰路につきました。

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2022年12月19日 (月)

サラの考察24:ワールドカップ終了 アルゼンチンおめでとう

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サラ「ワールドカップはアルゼンチンが優勝して、Monが一押しのフランスは負けちゃったけど、なにかいいたいことはある?」

私「アルゼンチンはフォワードの3人を抑えるのではなく、その背後の3人(グリーズマン、ラビオ、チュアメニ)を押さえにかかったね。これは良いアイデアだったと思うよ。前半フォワードはほとんど仕事ができなかったからね」

グレチコ「ちょっと修正が遅すぎたけど、さすがに後半になるとデシャン監督はなるべく長いパスで中盤を省略する作戦に出て、アルゼンチンの思惑をようやく外すことができて延長に持ち込んだ」

サラ「延長はきついわね。でも今日はメッシも結構走っていたみたい」

私「もう延長は個の技術と精神力の戦いだね。デンベレはPKの原因まで作って前半でベンチに下がったけど、クンデはヴァランとウパメカノという怪物たちと共によくまあ120分頑張ったね。絶大なる拍手を送りたい」

グレチコ「この試合、メッシとエムバペもPKを1回もはずさないで決めたのは立派」

サラ「これで終わったけど、印象に残った選手は?」

私「メッシとエムバペはまあ別格として、GKのボノ(モロッコ)は強く印象に残ったね。スペインは彼に息の根を止められたという意味でもね。日本人では三苫のタイミングをはずすドリブルが印象的だった」

グレチコ「アルゼンチンのアルバレスもいい選手だったね。印象に残ったよ。彼のふわふわしたドリブルはアンスーを思わせるところもある」

私「マンCで使わないんだったら、レンタルでもバルサでプレーして欲しいよ。ずっとトップをレバンドフスキでやるわけにはいかないんだから」

サラ「じゃ 皆さんお疲れ様でした。ともかくアルゼンチン優勝おめでとう」

私「リーガ・エスパニョーラは大晦日から再開されるそうで、また忙しくなるけど頑張るべし」

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2022年12月18日 (日)

私のインスタントランチ 担々麺

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日清の冷凍担々麺に湯がいたチンゲンサイをいれただけ。お店と違うのは、表面をすくって捨てることで辛さを調節できることです。

さあ今日はワールドカップの決勝です。

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2022年12月16日 (金)

熊木杏里のニューアルバム「風色のしおり」

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熊木杏里がニューアルバム「風色のしおり」をリリースしました。今時の流行音楽とは一聴全く無縁なような密やかなサウンドと歌ですが、それが逆に時代の空気に驚くほどフィットしていると思います。

最初に聴いたときには戸惑いました。なにか音楽ごと別の世界にひっこしたような感覚。ウィスパーに近い曲が多いし、バックの楽器はとても控えめです。追い詰められているという感覚がアルバム全体を支配しています。そして歌いたいことを押し出すのではなく、耳打ちするような内向き感が強いですね。さらに共感できる人だけ聴いてくれればいいというさっぱりと割り切った感じもします。

「いのち輝く」や「あなたと共に」は私のフェイバリット。生物学を愛する者としては「根」の歌詞を絶賛したいところですが、実はこのような思想が地球環境を破壊してきたのです。そのくらい人という種スピーシーズは凶悪なんです。「はなむけの歌」はこのアルバムでは例外的に大きな声で歌い上げています。「同じ景色を見て欲しいと思うでしょう それが愛だって言うことが分かるでしょう」という歌詞がこの曲にあります。私もこのことは考えてきましたが、そうなのだろうか なにか違うような気もするのですがどうなんだろう。「もうすぐ春なのに」というラストナンバーは、この時代ならではの情感があふれた佳作。

個人的評価ではアルバム「人と時」を100とすると、このアルバムは80くらいだと思います。この時代の閉塞感が音楽まで閉塞させてしまわないように祈りたい。

あなたと共に
https://www.youtube.com/watch?v=LX2nkSClN_E


https://www.youtube.com/watch?v=Tmzzh79PpCo

 

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2022年12月15日 (木)

サラの考察23:ワールドカップ5

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サラ「セミファイナル 終わったね」

私「クロアチアもモロッコも全力を出し切った感じだったね」

グレチコ「クロアチアは中心がモドリッチ、コバチッチの高年齢コンビで最後まで保たなかった感じだし、ストライカーの人材不足もあった」

私「メッシは子供の頃からドリブルの天才と言われていたけど、ロナウジーニョに言われてPKとFKの練習をものすごく熱心にやったんだ。彼はこの点では努力の人でもあるんだ。今でもPKとFKは世界一なんじゃないかな。」

サラ「アルゼンチンは疲労を最小限に抑えて、ファイナルまでスタミナを残すようなプレースタイルだったのかな。メッシなんていつも歩いてるし・・・。モロッコvsフランス戦はモロッコの中盤選手が疲労していた感じがしたわね」

私「そうだね。フランスはあの故障がちなエムバペがずっと絶好調だったのが大きいね。バルサのメンバー、デンベレとクンデもずっとスタメンで頑張った。あのメンバーでスタメン張るのは半端じゃないよ。私が一押しのウパメカノが、多分コロナだとおもうけどセミファイナルに出場できなかったのは残念だけど」

グレチコ「ファイナルはどうなるかな?」

私「もちろん死闘になると思うけどフランスが勝つよ。デンベレ・ジルー・エムバペのトリデンテは止められないと思うよ。もちろんベンゼマが出ていたらもっと危なげなかったと思うけどね。フランスが注意しないといけないのはエリア内でのファウルだね。わざとファウルを誘うようなプレーに気をつけないと。メッシはPKうまいから止められないよ」

サラ「予想が当たるといいわね」

 

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2022年12月13日 (火)

続・生物学茶話197:円口類の嗅覚

韓国ではヌタウナギを食べるそうです(1)。私は食べたことありませんし、世界でもほとんど食用にする地域はないでしょう。粘液を出したり、かみついたりするので漁業の邪魔で、そのせいか agriculture の領域では嫌われているようで、研究は進化に興味のある生物学者たちが細々と続けてきました。ただヌタウナギが放出する粘液に含まれる繊維がクモの糸より軽くて丈夫だということがわかって、近年注目を集めているようです(2)。

今回は主にヌタウナギの嗅覚について話題にしようともくろんだのですが、どんな匂いに反応するかということについての研究がなかなかみつかりませんでした。もちろんヌタウナギの嗅覚が鈍感なわけではなく、暗い場所でも好むエサを置けばたちまち集まってくるので、彼らが嗅覚を基盤にして生活している動物であることは明らかです。

昔 Walbig という人がオスロ大学の研究施設近郊の海で53匹のヌタウナギを採集し、個体のマーキングを行って2.5km離れた場所に放流したところ、4年後に18匹が元の場所に戻ってきたそうです(3)。ヌタウナギは海底をはいずって生きているベントスであるうえに、死んだり、食べられたり、見つけられなかったりする個体もあったでしょうから、これは驚異的な帰還率だと思います。そして嗅覚をたよりにもどってきたとしか思えません。

鮭の母川回帰は有名なお話ですが、 どうもまだそのメカニズムは完全には解明されていないようです(4)。ですからヌタウナギの嗅覚に関する研究が進んでいないのも仕方ないのかなと思います。Sutterlin はいろいろなアミノ酸やその組み合わせでヌタウナギを引き寄せようとしましたが、失敗におわりました。タラの筋肉には引き寄せられましたが、何が臭いの元なのかということは突き止められませんでした(5)。2019年に出版されたグローバーらの論文には「Currently there is only a rudimentary understanding of chemosensory systems in hagfish」と書いてありました(6)。

まあ気を取り直してヌタウナギの鼻周辺の構造を文献(7、8)をたよりにみていきましょう(図197-1)。ヌタウナギの鼻は口の上にあり、喉に通じています。しかも私たち哺乳類と同様に口と鼻の間に隔壁がある高度な構造です。鼻孔の途中に臭いのセンサーがある嗅覚器官があります(図197-1)。鼻からの水量と口からの水量は、口の中にある弁で調節できます。また鰓からも排出できるので、消化管にすべて流れ込んでしまうことはありません。

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図197-1 ヌタウナギ頭部断面図と嗅覚器官 ヌタウナギの鼻孔はひとつで咽頭に貫通しています。途中に囊(嗅覚器官)があり嗅上皮と神経細胞が分布しています。

嗅覚器官は脳と極めて近接した位置にあり、素早く情報が伝わるようになっています(図197-1)。歯は下向きにも使えるようになっていて、これは顎がないことの利点です。固い物は噛むのではなく、下向きの歯でこそぎとることができます。上向きにすれば石や骨を消化管にいれないようにするフィルターとしても使えます。

鼻の穴をヤツメウナギ、ヌタウナギ、ウツボ(ウナギの仲間の硬骨魚類)で比べてみると、ヌタウナギの鼻がいかに巨大であることがわかります(9-11、図197-2)。正面から見ると口は下についているので、顔のほとんどが鼻の穴という感じです。これはヤツメウナギとは非常に違う点です。ヤツメウナギの場合鼻の穴は頭の上にあるので、これはエサを探すという用途とは直接関係がなさそうな位置です。ヤツメウナギはエサかそうでないかは視覚で判断できるので、嗅覚はおそらく別の目的のために用いられているのでしょう。ヤツメウナギとヌタウナギは鼻の穴がひとつですが、魚類であるウツボは左右ふたつあります。これは発生の初期段階から原基を用意しなければならないので大きな相違です。眼の原基は円口類と魚類が分岐する以前から2つ用意されていたことは明らかなので、鼻については分岐後に大きな発生上の改変がおきたことになります。

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図197-2 円口類の鼻孔はひとつですが、ヤツメウナギの場合頭の上にあり、ヌタウナギは前方に大きく開口します。ウツボは有顎動物であり、私たちと同じく鼻孔は2つです。図のソースは左から順にそれぞれ参照文献9-11です。

ヤツメウナギとヌタウナギで鼻の構造はかなり異なるのでその発生を比較したくなりますが、それは論文が出版されています(12、図197-3)。ポンセラとシメルトによれば、嗅覚器官と腺下垂体(人間の脳下垂体の一部と相同)は一体で分化し、最終的に前後に並んだ形で落ち着きます(図197-3 adult)。

しかしその部域に隣接する前部(青)と後部(緑)はかなり違った形になります。ヤツメウナギの場合前部はとても小さな部域である鼻の穴の後部領域のみを形成しますが、ヌタウナギでは鼻の穴から体内に続く長いダクトの上部全体を形成します。そして隣接する後部は、ヤツメウナギの場合反転して口の上側とここから90°折れて鼻のダクトの下部を構成する大きな部域となります。これに対してヌタウナギでは口と鼻の穴の隔壁を形成します(図197-3)。見方によれば、ヤツメウナギの鼻の穴を90°前に倒して引っ張るとヌタウナギのようになります。

ここでひとつ重要なのはヤツメウナギでは鼻の穴は盲囊になっていてつきあたりがありますが、ヌタウナギでは喉に貫通しているという違いがあることです。盲囊になっていると、そこにたまっている物質を追い出さないと次の臭いを判別できませんが、貫通していると刻々と変化する臭いをリアルタイムで感知できます。これは嗅覚に頼って生活している動物にとっては必要なことでしょう。

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図197-3 ヤツメウナギ・ヌタウナギ嗅覚器官の発生

ヌタウナギはほとんどの時間を何もしないで、近くに屍体が落ちてくるのを待機するという生活をしています。エサを食べずに9~11ヵ月も生存していたという報告があります(13)。これは彼らが脂肪を筋肉に蓄積できるからと考えられています(14)。このような特殊能力こそが、彼らがさして形も変えずにカンブリア紀以来5回の大絶滅を乗り越えてきた要因なのでしょう。

少し脱線しますが、昨今の地球の危機は増加した人類が大量の食料とエネルギーを消費し始めたためといえます。その結果6回目の生物大絶滅時代がすでにはじまっています。これを止めるのは簡単なことです。全世界で株式市場を廃止すればいいのです。バースコントロールだけではなく、こうして時間を稼いでる間に科学を進展させて、人間を冬眠させるとか、記憶を転写して生命活動を停止させ後に再生するとかの技術を開発して人口を削減することによって、真のSDGsが可能となるでしょう。

元に戻してヌタウナギの話ですが、彼らはいったん活動を始めると非常に活発に動いて、時には捕食者になるようなこともあるようです。ジンツェンらはそんな様子をビデオに収録しています(15)。視覚によってエサとなる生物の位置を正確に知ることができないので、狙いをつけてからかみつくまで何時間もかかっていますが、最終的には捕食しているようです。前記のように臭いを頼りに故郷に帰るというような行動も行ないます。

ヌタウナギが臭いに関してどんな行動をとるかという実験はまだまだ始まったばかりのようで、グローバーらは迷路を使ってとりあえずエサには近づき、安息香酸の誘導体からは遠ざかるというような結果を発表しています(6)。

嗅覚情報を処理する脳の部位=嗅球はヤツメウナギもヌタウナギもはっきりとわかります(理研のグループによる16、図197-4)。特にヌタウナギの臭球は大脳や間脳に匹敵するほどのサイズとなっています。断面を見ると、ヌタウナギは臭球だけでなく脳全体がヤツメウナギに比べて容積が大きいことがわかります。

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図197-4 ヤツメウナギ・ヌタウナギの脳の形態と断面図
A, B, E, F:外観、C, D, G, E:断面図 スケール・バー=1mm

同じ理研のグループは聴覚についても研究を進めていて、5億年以上前の円口類と有顎類の共通祖先が内耳半規管を持っていたことを示唆しています(17)。ヌタウナギやヤツメウナギも内耳を持っていて、重力や平衡を感知できるようです。ただ彼らに聴覚があるのかどうかはよくわかりません。魚類は外耳を持っていませんが、うきぶくろや側線を使って実は我々よりよく音が聞けるという説もあるので、円口類についても研究が必要でしょう。

参照

1)Konest ウナギ・ヌタウナギ
https://www.konest.com/contents/gourmet_guide_detail.html?sc=2091

2)National Geographic ヌタウナギの粘液が環境志向の繊維に
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9167/

3)Walving F., Experimental marking of Hagfish (Myxine glutinosa L.)., Nytt. Mag. Zool., vol.15, pp.35-39 (1967)

4)Maruha Nichiro, Salmon Museum. 鮭の母川回帰
https://www.maruha-nichiro.co.jp/salmon/jiten/jiten02.html

5)A. M. Sutterlin, Chemical Attraction of some Marine Fish in their Natural Habitat., Journal of the Fisheries Board of Canada Volume 32, Number 6 (1975)
https://doi.org/10.1139/f75-095

6)Chris n. Glover, Dustin Newton, Jasmin Bajwa, Greg G. Goss & Trevor J. Hamilton, Behavioural responses of the hagfish Eptatretus stoutii to nutrient and noxious stimuli., Scientific Reports vol.9, no.13369 doi: 10.1038/s41598-019-49863-x
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31527627/

7)York University, Kelly Laboratory, Lecture 6, Evolution and Classification Part II, Class Myxini
https://www.yorku.ca/spk/fishbiol09/FB09lecture6.pdf

8)Kjell B. Doving, The Biology of Hagfishes (eds Jorgensen et al), Chapman and Hall 1998, p.534

9)Private Aquarium
https://aqua.stardust31.com/

10)@ニフティブログ HK21 ヌタウナギ2
http://hk21.cocolog-nifty.com/blog/2018/10/post-2056.html

11)The Aquarium Adviser Moray Eel Size and Tank Size for Saltwater Eel Species
https://theaquariumadviser.com/saltwater-aquarium-moray-eel/

12)Guillaume Poncelet and Sebastian M. Shimeld, The evolutionary origins of the vertebrateolfactory system., Open Biology, Volume 10, Issue 12, No.200330. (2020)
https://doi.org/10.1098/rsob.200330
https://royalsocietypublishing.org/doi/epdf/10.1098/rsob.200330

13)Mario N Tamburri, James P Barry, Adaptations for scavenging by three diverse bathyla species, Eptatretus stouti, Neptunea amianta and Orchomene obtusus
Author links open overlay panel., Deep Sea Research Part I: Oceanographic Research Papers, vol.46, issue 12, pp. 2079-2093 (1999)
https://doi.org/10.1016/S0967-0637(99)00044-8

14)Vincent Zintzen, Karyne M. Rogers, Clive D. Roberts, Andrew L. Stewart, Marti J. Anderson, Hagfish feeding habits along a depth gradient inferred from stable isotopes., MARINE ECOLOGY PROGRESS SERIES Mar Ecol Prog Se, vol.485: pp.223–234, (2013) doi: 10.3354/meps10341
https://www.researchgate.net/profile/Vincent-Zintzen/publication/269336865_Hagfish_feeding_habits_along_a_depth_gradient_inferred_from_stable_isotopes/links/548761b30cf289302e2eda58/Hagfish-feeding-habits-along-a-depth-gradient-inferred-from-stable-isotopes.pdf?origin=publication_detail

15)Vincent Zintzen, Clive D. Roberts, Marti J. Anderson, Andrew L. Stewart, Carl D. Struthers & Euan S. Harvey., Hagfish predatory behaviour and slime defence mechanism., Scientific Reports volume 1, Article number: 131 (2011)
https://www.nature.com/articles/srep00131

捕食の様子を収録したビデオ
https://static-content.springer.com/esm/art%3A10.1038%2Fsrep00131/MediaObjects/41598_2011_BFsrep00131_MOESM2_ESM.mov

16)Fumiaki Sugahara, Yasunori Murakami, Juan Pascual-Anaya, Shigeru Kuratani, Forebrain Architecture and Development in Cyclostomes, with Reference to the Early
Morphology and Evolution of the Vertebrate Head., Brain Behav Evol vol.96, pp.305–317 (2021) DOI: 10.1159/000519026
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34537767/

17)神戸大学 Research at Kobe: 脊椎動物の半規管の進化 -脊椎動物の共通祖先の内耳は、思いのほか複雑だった-
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2018_12_05_01.html

 

 

 

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2022年12月10日 (土)

西島三重子 Spell ~呪文~

Nisijima

個人の見解ですが、私は西島三重子の最高傑作オリジナルアルバムと言えば、テイチク時代の「Lost Hour」と「Soft-i」だと思います。どちらも西島流のメロディーラインが満載のポップスで、時代の影響が少ないシンガーソングライターだったこともあって、今でも十分楽しめるのではないでしょうか。きちんと4ビートで折り目正しいポップスもありますが、アクセントのないゆるい6ビートの曲などもあり、私は特に後者がお気に入りです。

これより前にリリースされたアルバム「Bye-Bye」はCD化されたのに、上記2枚はいまだにCD化されていません。とはいえ YouTube にアップしてくれているので、全曲試聴可能です。

「Soft-i」
https://www.youtube.com/watch?v=ncQQWbwfg88

「Lost Hour」
https://www.youtube.com/watch?v=EqQPfZmseto

当時の曲を収録したベストCDとしては 「Spell~呪文~」といういうのがあるのですが、アマゾンをのぞいてみたら、中古品が4000円くらいに高騰していました。

若い頃の映像「千登勢橋」 これはテイチクに移籍する直前のテレビ出演でしょう。
(多分1980年頃だと思います)
https://www.youtube.com/watch?v=0TYECCELT6c

===============

『西島三重子 Christmas Live 2022』
2022年12月22日(木)開場18:15 / 開演19:00
会場:南青山マンダラ
https://www.facebook.com/nishijimamieko/

 

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2022年12月 8日 (木)

サラの考察22:ワールドカップ4

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サラ「スペインもモロッコに敗退しちゃったね」

私「心配していたとおり、やっぱりB級ストライカーしかいないチームなので順当な結果だね。いくら中盤を支配していても、シュートが打てないんじゃ勝てるわけないよ。アンスーの体がしっかりしてきて、常時出場できるようになるまでの辛抱かな」

サラ「それにしてもPK戦はなさけなかったね。Jのリピートみたいで」

私「ボノもすごかったけどね。完全に方向を読まれていたし、上に打ってもギリギリじゃないとセーブされていたような気がする」

グレチコ「最後のハキミのゆるい中央へのキックはフットボルの神髄だね。相手の心を読むというのがね。パネンカというらしいよ」

私「あとは私が優勝を予想したフランスを見届けるだけになってしまった」

 

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2022年12月 6日 (火)

サラの考察21:ワールドカップ3

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サラ「Jは終わったね。がっくり」

グレチコ「あのPKは駒野の亡霊にとりつかれていたね」

私「そうそう、絶対ふかしちゃいけないという呪縛」

サラ「クロアチアのGKは方向を確認してから動いていたわね」

私「ひとつ監督に言いたいことは、三苫はSBじゃなく、ヴィニシウスやロドリゴのようなエストレーモ(サイドアタッカー)として使うべきってこと」

グレチコ「サッカー協会は監督の続投をもくろんでいるようだけど」

私「私の意見としては、リカルド・ロドリゲスにJを率いてほしい。森保監督とは全く違う景色のJをみてみたいね。浦和を解任されたみたいで、ちょうどいいんじゃない」

グレチコ「浦和がフランクフルトに4:2で勝った試合はすごかったね。でも協会はロドリゲスのサッカーは好まないと思うよ」

サラ「日本人はサッカーはいかにして人をだますかという詐欺師のスポーツだということを理解していないのよ」

私「そうだね。パワー・スピード・根性 vs テクニック・コンビネーション・詐術
というのは アングロサクソン・ゲルマン vs ラテン という昔からのテーマではある。ところでサラ まだ眠っちゃいけないよ。あの弱いスペインを応援しなくちゃ」

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2022年12月 4日 (日)

第13回音楽大学オーケストラフェスティバル

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寒い日でしたが、土曜日に第13回音楽大学オーケストラフェスティバルにでかけてきました。全席1000円だし、練習時間はたっぷりあるので、ひょっとしたらプロオケよりいい音楽が聴けるのではないかという期待がありました。同じ考えの人が多いのか、池袋芸劇は結構盛況。3Fまで大勢詰めかけていました。

円光寺-武蔵野音楽大学はラフマニノフです。いやー固い。間違えないようにと恐る恐るやっている感じで音楽が流れません。ああこんなもんかなと思っていたのですが、第3楽章あたりからようやくエンジンがかかって、フィナーレは盛り上がりました。

終了してからステージの構造を全面的に作り替える作業に30分かかって、ようやく次の桐朋学園の番です。

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高関-桐朋学園は打って変わって、最初からまるでプロオケのような演奏。これはすごいわ。激しいテンポの揺れにもびくともしませんし、ニュアンスもたっぷり。弦の音の美しさもとびきりです。コントラバスのソロもいい感じ。でも一番はティンパニでした。学生なのにまるで老舗旅館の女将みたいにオーケストラを統率していました(Aの方)。お名前はわかりません。演奏するアクションが美しい。プロオケにはこういう映像でも聴衆を魅了できる奏者が必要です。あと個人的にはフルートの音にひきつけられました(Bの方)。都響は打楽器とフルートのメンバー足りないので是非💕。

それにしてもマエストロ高関の指導は素晴らしいですね。はっきり言ってこのマーラー交響曲第1番には、プロオケの演奏会より感動しました。私の前の席の人は狂ったように拍手してました。

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2022年12月 3日 (土)

続・生物学茶話196:円口類の視覚

私たち脊椎動物のルーツに非常に近い生物と思われるカンブリア紀のメタスプリッギナは、鰓弓を持ち、脊索は分離して骨になり、眼を持つ動物でした(1)。彼らはおそらく有顎脊椎動物の祖先とはエディアカラ紀に分岐したと考えられています(2、3)。なので彼らが生きていれば、脊椎動物の眼や視覚のルーツや進化について多くの情報が得られたのでしょうが、カンブリア紀に絶滅してしまいました。円口類が分岐する前には、他にコノドント、ピピスキウス、アナスピッドという生物群が分岐しましたが、現存するものはいません。つまり有顎脊椎動物と最も近い現存生物は円口類ということになります。したがって円口類の脳神経系やそれと接続する感覚器・運動器の研究は特別な意味を持っています。

肉眼で観察すると成体のヤツメウナギにははっきりと魚類のような眼があります。魚類と哺乳類の眼はレンズを収縮するメカニズムに違いがありますが、ほぼ同様な構造です(4)。ヤツメウナギの場合、大雑把な形態は図196-1のようなものです。角膜(透明化した皮膚)、レンズ、網膜、見る方向やピントを合わせるための筋肉が装備されています。一方ヌタウナギは角膜・レンズ・筋肉がない低機能の眼しか持っていません。ヤツメウナギは左右の眼だけでなく、第3の眼である松果体が機能していて、ここに2種類の光受容細胞があって、紫外部と可視部をそれぞれ受光しています。したがって色を識別することができます(5)。ヤツメウナギの眼にはヒトの光受容細胞の始原を思わせる桿体細胞と錐体細胞のような形態を持つ2種類の光受容細胞があります(6)。ヌタウナギが非常に低機能な眼しか持っていないのは、彼らが光があまり届かない海底に住んでいるからと思われますが、このことについてはあとで議論します。

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図196-1 円口類の眼

次に円口類の網膜に言及したいのですが、その前にヒトの網膜の構造について確認しておきたいと思います。ウィキペディアにきれいな図があったので、これに字を入れました(7、図196-2)。本来なら光が当たる側に光受容細胞があって、その裏側に神経細胞が分布しているのが理にかなっていて、実際軟体動物の網膜はそうなっていますが、なぜか脊椎動物の網膜は最初に光が当たる側に神経節細胞の軸索が配置されていて、一番奥に光受容細胞と色素上皮が配置されています。これは明らかに進化上の失敗です。

図196-2のようにヒトの網膜は光が最初に当たる位置から網膜神経節細胞と脳につながる軸索、内網状層、内核層、外網状層、外核層、視細胞外節層、色素上皮という構造になっていて、ここに2種類の光受容細胞(錐体細胞、桿体細胞)、4種類の神経細胞(網膜神経節細胞・アマクリン細胞・水平細胞・双極細胞)、そしてグリア細胞であるミュラー細胞が収蔵されています。

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図196-2 ヒトの網膜

有顎脊椎動物の網膜はほとんどの場合196-2図の様な構造ですが、円口類についてはブラッドショーとアリソンが比較図を公開してくれているので、図196-3に使わせていただきました(8)。図196-2とは上下逆になっているのでご注意ください。

ヤツメウナギの場合、幼体では網膜は未発達で領域は狭く、光受容細胞は1種類、神経細胞は2種類、そしてミュラー細胞しかありません。その他の細胞は変態と同時に分化してくるようです(8、図196-3C)。しかし成体の網膜は驚くべきことにほとんど私たちと同じ構造、同じ種類の細胞で構成されています。違う点は網膜神経節細胞の軸索が網膜の外側ではなく、内側を通って脳と接続している点で、フラッドショートとアリソンはこの領域を optic fibre layer としています(8、図196-3)。このことはこのような共通構造がすでにエディアカラ紀に完成されていたと言うことを示唆し、驚くほかありません(9)。有顎脊椎動物で神経節細胞軸索が露出しているのは、硝子体が進化して保護できるようになったからと思われます。

ヌタウナギの場合、ヒトやヤツメウナギのように各層の境界線がはっきりせず、光受容細胞は1種類しかなく、ミュラー細胞はみつかっていません。しかし4種類の神経細胞は存在するようです(8、図196-3)。あと重要なのは色素上皮層がないことです。これでは散乱光を吸収できないので、光の方向さえわかりません。要するに明るいか暗いかさえわかればいいという、非常に機能の低い眼となっています。眼が松果体の役割を果たすため、松果体はないようです。ヤツメウナギは松果体を持っています。

ヌタウナギ、ヤツメウナギ、有顎脊椎動物の網膜を比較してまとめた表を図196-4に示しました。ヤツメウナギと有顎脊椎動物の組織・細胞の有無が完全に同じであるのに対して、ヌタウナギにはいくつかの欠落が見られます。大石らによってヌタウナギとヤツメウナギの近縁性は証明されているので(9、10)、これはヌタウナギが視覚を重視しない生活環境に適応する過程で失ったと考えるのが妥当でしょう。

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図196-3 有顎脊椎動物と円口類の網膜を比較する(字が小さいのでクリック拡大してご覧ください)

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図196-4 網膜を構成する組織・細胞の比較

構造にかなりの相違がみられるにもかかわらず、網膜の発生に関連するホメオボックス遺伝子は、ヌタウナギ・ヤツメウナギ・有顎脊椎動物で差はみられません(8、図196-5)。これらの遺伝子はおそらくエディアカラ紀の共通祖先が用意したものが引き継がれていると思われます。一方bHLHのグループには差が見られます。この差が網膜構造の差違に関連しているのでしょう(8、図196-5)。

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図196-5 網膜の発生に関連する遺伝子の有無

ヌタウナギの眼はヤツメウナギと比べて非常に貧弱なので、この原因についてはいろいろ議論があります。図196-6Aの考え方は、ヌタウナギがより古いタイプの円口類だというものです。しかしこの考え方はサラ・ガボットらの研究によって旗色が悪くなりました。彼女らは古生代のヌタウナギ Myxinikela siroka の化石を調べ、その眼は現在のヌタウナギより高機能と思われる形態で、当時のヤツメウナギに遜色なくメラニン色素もちゃんと存在することを示しました(11、12)。このことは眼を退化させたグループが現在まで生き残ったことを意味します(図196-5B)。眼の退化は進化というスケールで見れば、極めて短い時間で実現することが洞窟生物などの研究でよく知られています(13)。

一方でヌタウナギの眼は幼形成熟(ネオテニー)による進化によって形成されたという考え方もあります(8、図196C)。ネオテニーという現象は決して珍しい現象ではなく、たとえば鳥類の頭部は恐竜のネオテニーによってできたものだというような説もあります。確かにヌタウナギは洞窟生物のように色素を全く失っているわけではありませんし、洞窟における眼の退化の時間スケールより遙かに長い間明暗を感じることができる眼を保持しています。まあそれは中途半端な暗さの中でずっと生きてきたからだと言えばそれまでですが、真相はまだ定かではありません。

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図196-6 脊索動物における眼の進化

ヌタウナギの生態についてはナショナルジオグラフィックのサイトに動画や解説があります(14)。興味のある方はのぞいてみてはいかがでしょうか。

 

参照

1)ウィキペディア:メタスプリッギナ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AE%E3%83%8A

2)渋めのダージリンはいかが 続・生物学茶話195:円口類の源流
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/11/post-1f4cf6.html

3)Tetsuto Miyashita, Michael I. Coates, Robert Farrar, Peter Larson, Phillip L. Manning, Roy A. Wogelius, Nicholas P. Edwards, Jennifer Anne, Uwe Bergmann, Richard Palmer, and Philip J. Currie, Hagfish from the Cretaceous Tethys Sea and areconciliation of the morphological?molecularconflict in early vertebrate phylogeny., Proc Natl Acad Sci USA vol.116, no.6, pp.2146-2151 (2019).
https://www.pnas.org/doi/suppl/10.1073/pnas.1814794116

4)髙橋恭一 魚眼の構造と機能 ――水晶体の役割を中心にして――
広島修道大学リポジトリ (2020)
https://shudo-u.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=3062&item_no=1&page_id=13&block_id=62
file:///C:/Users/Owner/Downloads/KJ19001.pdf

5)Seiji Wada, Emi Kawano-Yamashita, Tomohiro Sugihara, Satoshi Tamotsu, Mitsumasa Koyanagi and Akihisa Terakita, Insights into the evolutionary origin of the pineal color discrimination mechanism from the river lamprey., BMC Biol vol.19, article no.188 (2021)., https://doi.org/10.1186/s12915-021-01121-1
https://bmcbiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12915-021-01121-1

6)森慶二,外崎昭、ヤツメウナギの視細胞― 桿状体細胞と錐状体細胞の始まり 電子顕微鏡 Vol.31,No.1(1996) pp.40-44
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo1950/31/1/31_1_40/_pdf/-char/ja

7)ウィキペディア:網膜
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B6%B2%E8%86%9C

8)Sarah N. Bradshaw and W. Ted Allison, Hagfish to illuminate the developmental and evolutionary origins of the vertebrate retina., Front. Cell Dev. Biol.10: 822358 (2022). doi:10.3389/fcell.2022.822358
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35155434/

9)Oisi, Y., Ota, K., Kuraku, S. et al. Craniofacial development of hagfishes and the evolution of vertebrates. Nature vol.493, pp.175–180 (2013). https://doi.org/10.1038/nature11794
https://www.nature.com/articles/nature11794

10)大石康博、太田欣也、工樂樹洋、藤本聡子、倉谷滋 ヌタウナギの頭蓋顔面の発生と脊椎動物の進化
https://staff.aist.go.jp/t-fukatsu/CATNewsVol3NoS2.pdf

11)Sarah E. Gabbott, Philip C. J. Donoghue, Robert S. Sansom, Jakob Vinther
, Andrei Dolocan and Mark A. Purnell, Pigmented anatomy in Carboniferous cyclostomes and the evolution of the vertebrate eye., Proc. R. Soc. B., vol.283: issue 1836 (2016)
http://doi.org/10.1098/rspb.2016.1151
https://royalsocietypublishing.org/doi/epdf/10.1098/rspb.2016.1151

12)Answers in genesis: Elizabeth Mitchell Discovery of Hagfish Eyes Debunks Claim About Eye Evolution (2016)
https://answersingenesis.org/aquatic-animals/fish/discovery-hagfish-eyes-debunks-claim-about-eye-evolution/

13)Alex Keene and Johanna Kowalko, Repeated evolution of eye loss in Mexican cavefish: Evidence of similar developmental mechanisms in independently evolved
populations., This is the author manuscript accepted for publication and undergone full peer review but has not been through the copyediting, typesetting, pagination and proofreading process, which may lead to differences between this version and the Version of Record. doi: 10.1002/jez.b.22977.
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/am-pdf/10.1002/jez.b.22977

14)ナショナルジオグラフィック:【動画】深海魚のヌタウナギ、驚異の7つの異能力
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/031600099/

 

 

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2022年12月 2日 (金)

ワールドカップ 日本代表ベスト16おめでとう

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JvsスペインのゲームにJが勝利しました。これは第一に森保監督の作戦勝ちでしょう。Jは批判を恐れず541の守備的なフォーメーションでスタートしました(テロップがそうなっていないのにはあきれましたが)。しかもワントップの前田がDFとブスケツのラインを切るという戦術です。普通1トップにこのような守備の重荷を課すというのは邪道ですが、ブスケツの年齢と後半の作戦も考慮してやらせたと思います。これでスペインはデフォルトのパスルートがなくなり困りました。

ただJも5バックは経験が少ないのでラインコントロールが難しく、よく頑張ったと思いますが、失点のシーンは少し下げすぎたかな。でも前半1点の失点で終わったのは想定内だったと思います。後半は例によって三笘・堂安の切り札をだして攻撃的なフォーメーションに転換し、2人の大活躍で2点とれました。リードしてからは前回のベルギー戦の敗退の教訓を生かして、徹底した守備に再び戦術変更し逃げ切りました。Jチームおめでとう。

バルサファンとしてはペドリ、ガビ、バルデはいつも通りのプレーができていて良かったと思います。ただブスケツは前田になすすべなく完封されるという失態で、ダメでした。もっと球をもらえるよう動かないといけませんが、もうプレーヤーとして晩年なのかなあとあらためてがっかりしました。スペインのチームはやはりストライカー日照りです。最後にアンスー・ファティが出ましたが、Jのガチ守備の前にいいところなしでした。まあ彼はガラスのエースなので無事で良かったです。スタメンで使わなかったエンリケ監督に感謝です。

Jの次の相手はモドリッチとコバチッチが率いるクロアチアですが、このチームは多分スペインより相当当たりの強いチームだと思います。でも5バックで戦う相手じゃないので、普通のガチンコ勝負でいくしかありませんね。頑張れJ。

 

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2022年12月 1日 (木)

また言い値でミサイルを買うのかい?

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敵基地攻撃能力などといっても、高速移動するトラックから撃つとか、トンネルの中から列車を出して撃ったら引っ込むとか、潜水艦から撃ってきたら、いったいどこをミサイルで反撃するのでしょうか? そうなると別に撃ってきた場所を攻撃することに意味がなくなるので、どこでも攻撃せざるを得なくなります。まさしく制限のない普通の戦争ですよ。いまは反撃能力に言い換えてるとか馬脚を現していますが。

北朝鮮も中国も核兵器をもっているわけですから、普通に戦争をやって勝てるわけがありません。米国が日本を守るために中国と核戦争をやると思いますか?? ですから常識で考えて、安全保障がどうしても必要なら、北朝鮮のように他国からの非難制裁を覚悟で核兵器とミサイルと原子力潜水艦の開発をやるしかありまん。安全保障が必要だと言っている人々も、それをやる覚悟はないんでしょう。ならばどうやっても安全保障などありません。私も国境を警備する程度の軍備は必要と思いますよ。でもそれは戦争のためであってはなりません。まあどうしても何かしたいというなら、朝鮮語と中国語を勉強しておくことです。私はそんな必要は全くないと思いますが。

要するにアメリカに言われて、言い値でミサイルを買わされるんでしょう。全く迷惑な話です。そんなお金、今の日本にあるわけないんですよ。

(写真はウィキペディアより)

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談合

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日本の保守派が守ろうとしている文化とは何なのでしょうか? それは天皇崇拝ではありません。実際晋三と皇室はうまくいっていませんでした(1)。彼らが本当に守りたいのは異論・反論・オブジェクションのない静かな社会なのだと思います。そのような社会を実現するために必要なのは2つです。ひとつめは根回し・談合によってすべてを決定すること、ふたつめはマスコミを規制することです。マスコミで御用評論家の意見ばかり聞かされていると、そりゃ強固なバイアスが形成されて静かになります。根回し・談合によってすでに決まっていることを会議で議論するわけですから、そりゃしゃんしゃんと議事が進行します。

オリンピックのような国家が主導する大事業でも、税金の配分はきっちり業者間の談合で取り分を決めるという違法行為が行われていたようで、司直によって捜査中です(2)。根回し・談合・賄賂は日本社会の隅々まで浸透しています。私が団地の管理に関わっていた頃もそれを痛感しました。例えば業者のリベートが季節の挨拶の範囲を超えているんじゃないかと私が発言すると、みんな黙ってしまうだけで、言いっぱなしでおしまいです。これが上から下まで日本社会の裏側です。本当は犯罪者を捕まえるかどうかの裁量も、政府は談合で決めたいようで、最近も二階元自民党幹事長が大勢の警察幹部を接待したというのが明るみに出ました(3)。

結局保守派が守ろうとしている文化からはみ出しているのは辛うじて検察だけということで、晋三はそこまで件の保守派文化に取り込もうとしたので制裁を受けたのだと思います(4)。

1)https://gendai.media/articles/-/50676

2)https://news.yahoo.co.jp/articles/333265e186f8822353b9ad36a56306f13ea5bb72

3)https://news.yahoo.co.jp/articles/55ed61d42cfc7debc2c5b091fd6853048614c4af

4)https://gekibuzz.com/archives/22076

(写真はウィキペディアより)

 

 

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2022年11月27日 (日)

サラの考察20:ワールドカップ2

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夜11時頃空を見上げると、天空の頂点に火星が輝くようになりました。さてワールドカップの頂点にはどこの国が立つのでしょうか?

サラ「なんだか けだるい試合だったね。眠くなっちゃう。で、引き分けならともかくコスタリカに負けちゃうなんて」

私「私が監督なら、三笘・南野・伊藤純のスリートップで行くけどね。まあいろいろチーム事情とか監督の趣味とかあるからね」

グレチコ「むしろスペインと対戦するときは、浅野か堂安のワントップがいいかもしれない」

私「そうそう、5バックでワントップはありかも。あとブスケツにマンマークをつけるのがポイント。古くさいやり方と言われても、臆せずマンマークをつけるべき。それでペドリが下がってくれるとゴール前の危険度がさがるからね」

グレチコ「スペインがドイツに勝つかどうかによっても変わるね。勝てばブスケツは休ませるだろう」

私「その時はペドリにマンマークをつけるといいでしょう」

サラ「森保監督は5バックはやらないよ きっと」

私「だろうね。ならば451だね。Jはカウンター向きの攻撃陣には事欠かないからね。でもそれもやらないね。なぜなら守備的なサッカーを嫌うという風潮が日本のサッカー界には根強いから。結局、三笘・タケ・伊藤純でガチンコ勝負にいくんじゃないか」

グレチコ「柴崎を使うかどうか、どうかな?」

 

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2022年11月26日 (土)

私のインスタントランチ ブロックベーコンのペペロンチーノ

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ブロックベーコンをさいの目状に細かく切ってから炒め、青の洞窟のペペロンチーノソースに加えるだけです。このソースには香草とニンニクチップが付属しているので、別途加える必要はありませんでした。シンプルだけどこれが結構いけます。

 

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2022年11月24日 (木)

サラの考察19:ワールドカップ1

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私「いよいよワールドカップがはじまった」

サラ「人間は下等な生物だと思うけど、いいところもあるんだね」

私「生まれて初めて AbemaTV というのを見たよ」

サラ「Abema って安倍晋三のテレビじゃないの?」

私「いやいや Ameba を反対に読んだだけらしい」

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サラ「サウジがアルゼンチンを負かしたのね」

私「サウジは守備に人数かけるんだけど、その最終ラインが異常に高い位置で、これにアルゼンチンははめられたね。攻撃しようとしてもみんなオフサイドになってしまう」

サラ「これはずいぶん練習しないとできない作戦?」

私「その通り。そのために国内組でたっぷり練習したらしい」

サラ「Jもドイツに勝ったのね」

私「Jもサウジとは違うやり方だけど守備を頑張って、前半最少失点にとどめ、相手が疲れたところで一気に攻撃陣を交代してドイツの守備を突破したね」

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グレチコ「普通のサッカーじゃない面白さを三苫は見せてくれた。相手DF2人を前にして時間を止めたように静止したんだ。DFの横に南野がいて、もしDFが自分にチャージしてくると南野を走らせるよというサインで、DFもフリーズしてしまったんだ」

私「そうそう、これはロナウジーニョとエトオを思い出させてくれる。ロニーは時間を止めることができるんだ」

サラ「三苫はJのロナウジーニョなのね」

私「あとはメンバーがそれを認めてくれるかどうかだよ」

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2022年11月22日 (火)

続・生物学茶話195:円口類の源流

一時期ヌタウナギとヤツメウナギが異なるグループの生物であるという考え方が優勢になって、円口類という分類群が消滅していた時期があったそうです(1)。しかし今世紀にはいって、特に大石康博がヌタウナギの腺性下垂体がヤツメウナギと同様外胚葉由来であることを示し(2)、ハイムバーグらが miRNA の比較を行ってからは(3)、ヌタウナギとヤツメウナギの類縁関係が明白になって円口類という分類群が復活し、このグループの分類学的位置が明らかになってきました(4)。

宮下哲人らは円口類の進化について包括的に示した仮説図を提供してくれていて(5)、カンブリア紀以降の円口類の進化や脊椎動物の関係についてもやもやしていたものが吹き飛ぶ快感が得られました。図195-1はその一部を示したものです。勇気を持ってたたき台を作ってくれる人がいるジャンルの研究者は幸運だと思います。

この宮下らの図は2014年にサイモン・コンウェイ・モリスらが発表した図(6)とはひとつ大きな違いがあります。モリスらは円口類は早い時期に有顎類の祖先と分岐し、その後有顎類の祖先からコノドントやアナスピッドが分岐しているとしていますが、宮下らは円口類・コノドント・アナスピッドの共通祖先が有顎類の祖先と分岐したとしています(図195-1)。

いずれにしても脊椎動物のルーツはエディアカラ紀にあり、ここでハイコウエラ、ミロクンミンギア、メタスプリッギナ、無顎類、有顎類それぞれのルーツが分岐し、この5つの生物群がそれぞれカンブリア紀に進化して化石に残る生物となりました(図195-1)。宮下らによると、意外にも円口類が分岐したのはカンブリア紀にはいってからで、エディアカラ紀とされる有顎脊椎動物の分岐より遅いとしています(図195-1)。

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図195-1 円口類と有顎脊椎動物の源流(宮下ら-参照5ーの系統図の一部を日本語化)

これから図195-1に登場する脊椎動物のルーツに近い生物たちを探訪していきたいと思います。まずハイコウエラ、ハイコウイチクス、ミロクンミンギアですが、これらは中国雲南省の澄江で発掘された化石生物で、カンブリア紀前期に生息していたとされています。ウィキペディアなどにあった図をまとめて図195-2に掲示しました。宮下らはこの中でもハイコウエラの祖先を脊椎動物の一番の根元に置いています(図195-1)。ハイコウエラについてはこのサイトでも以前にレポートしました(7)。Chen の報告によると、この生物は中枢神経系、鰓弓(6対らしい)、背びれ、眼、そして萌芽的脊椎を持っているそうです(8)。それらの根拠となる化石は図195-3のようなものです。この図は Chen の論文(8)からお借りしました。

宮下らの図にはユンナノゾーンは出ていませんが、ユンナノゾーン Yunnanozoon (図195-3)はハイコウエラと同じ生物だという説が長い間ずっとくすぶっていて、なかなか結論には至らないようです。たとえば Pei-Yun Cong らは論文の中で we consider that ‘Haikouella’ is a junior synonym of Yunnanozoon と述べていますが、アブストラクトにはそうは書いていません(9)。ハイコウイクチスとミロクンミンギアについても、同じ生物だという人もいますが、宮下らやモリスとカロン(6)は別の生物としています。彼らは遊泳力と視覚を持っていたので、カンブリア紀の前期にはそこそこ繁栄していたのでしょう。しかしおそらく次第に他の遊泳生物の後塵を拝するようになり、カンブリア紀の途中で絶滅しました。

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図195-2 最も始原的な脊椎動物と考えられている生物群

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図195-3 ユンナノゾーンとハイコウエラ

私たちやヤツメウナギも含めて現存脊椎動物とハイコウエラのグループ(クレスト動物)の中間的な存在として、サイモン・コンウェイ・モリスらがバージェス生物群からみつけだしたメタスプリッギナという生物がいます(6、10、図195-4)。メタスプリッギナはエディアカラ紀のスプリッギナ(11)とは関係が無い生物なので、この命名は失敗でした。

図195-1によると、メタスプリッギナはコノドントや円口類が生まれるずっと前に有顎脊椎動物の祖先と分岐しています。その意味では今のところ有顎動物と最も近い無顎動物かもしれません。メタスプリッギナはノトコードに沿って7対の骨をもっていますが、これらは脊椎のようにそれぞれ独立しています。そして7対のうち6対は鰓をささえる役割を持っていますが、最前部の1対はサイズが大きく萌芽的な顎の骨と考えられています(12)。このような特徴はこの生物が有顎脊椎動物の祖先と近い関係にあることを示唆します。

ハイコウエラなどそれまでの生物が2~3cmの大きさだったのに比べて、メタスプリッギナは大きなものでは体長が10cmのものもみつかるので、これは大きな進化だと言えます。また中国と米国でほぼ同じ化石がみつかっているので、ユニバーサルな生物だったことも確実です(13)。筋肉の付き方がよくわかる化石があって、それによるとメタスプリッギナはうなぎのようにくねくねと泳ぐ術を習得していたようです。したがって鰭が貧弱または無くても遊泳できたと考えられます。形を認識できそうな立派な一対の眼を持っていました(12、図195-4)。このような眼と遊泳術、細長いからだがあれば敵が来ても、岩の隙間や穴に隠れることができます。エサはヤツメウナギのように海底の有機物を吸い込んで摂取していたのでしょう。カンブリア紀に絶滅しましたが、これはニッチをコノドントや円口類の祖先に奪われたからかもしれません。

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図195-4 メタスプリッギナ

コノドントは19世紀の半ばに歯のような固形物が化石として発見されて以来、どんな生物のものなのか100年以上もさっぱりわからなかったのですが、20世紀の終盤になってようやくアルドリッジらがヤツメウナギと似たような生物であることを証明しました(14、15)。ですからコノドントは歯のことを意味して、その歯の持ち主はコノドント動物と呼ばれる場合も多いようです。

コノドントはヤツメウナギと似た生物ですが大きく違うのはその歯です(図195-5)。歯と言ってもコノドントの場合かみ砕いたりすりつぶしたりするのではなく、石や貝などを吸い込まないようにするためのフィルターのように見えます。従来ヤツメウナギの歯はケラチン、コノドントの歯はリン酸カルシウムと言われてきたのですが、テリルらはX線光電子分析法によってコノドントの歯にイオウが含まれていることをつきとめ、少なくとも部分的にはケラチンが含まれていると推定しています(16)。

コノドントの歯は海底の有機物を飲み込んで栄養源にする生物としては理想的なフィルターと思われ、コノドント動物はヤツメウナギやヌタウナギと同様にペルム紀末大絶滅を乗り越えるという圧倒的な生存能力を発揮しましたが、なぜか三畳紀に絶滅しました。

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図195-5 ヤツメウナギとコノドント

ウィキペディアの絵をみると、ピピスキウスはやはりヤツメウナギに似た感じの生物ですが、アナスピッドはむしろ魚類に似た感じです。円口類はもともと見た目魚類に似たような生物でしたが、臭覚で海底の有機物を探してそれらを吸い込んで栄養を吸収し、視覚で認識した捕食者からは砂に潜ったり、狭い岩の間や穴に隠れてやりすごすという生き方を追求するうちに魚類とは異なる形態に進化し、別のニッチを獲得したということなのでしょう。


参照

1)ウィキペディア:円口類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%86%E5%8F%A3%E9%A1%9E

2)大石康博 ヌタウナギの頭部発生から脊椎動物の頭部形態の進化を読む
神戸大学学術成果リポジトリ
https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/kernel/D1005717/

3)Alysha M. Heimberg, Richard Cowper-Sal・lari, Marie Semon, Philip C. J. Donoghue, and Kevin J. Peterson, microRNAs reveal the interrelationships of hagfish,lampreys, and gnathostomes and the nature of the ancestral vertebrate., PNAS, vol.107, no.45, pp.19379?19383 (2010)
https://www.researchgate.net/publication/47499985_MicroRNAs_reveal_the_interrelationships_of_hagfish_lampreys_and_gnathostomes_and_the_nature_of_the_ancestral_vertebrate

4)続・生物学茶話171: ヌタウナギ
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/02/post-73233a.html

5)Tetsuto Miyashita, Michael I. Coates, Robert Farrar, Peter Larson, Phillip L. Manning, Roy A. Wogelius, Nicholas P. Edwards, Jennifer Anne, Uwe Bergmann, Richard Palmer, and Philip J. Currie, Hagfish from the Cretaceous Tethys Sea and areconciliation of the morphological?molecularconflict in early vertebrate phylogeny., Proc Natl Acad Sci USA vol.116, no.6, pp.2146-2151 (2019).
https://www.pnas.org/doi/suppl/10.1073/pnas.1814794116

6)Simon Conway Morris and Jean-Bernard Caron, A primitive fish from the Cambrian of North America., Nature vol.512, pp.419-422 (2014) doi:10.1038/nature13414
https://www.nature.com/articles/nature13414
http://eprints.esc.cam.ac.uk/3073/1/nature13414.pdf

7)続・生物学茶話172:ハイコウエラ
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/02/post-17ba80.html

8)Jun-Yuan Chen, The sudden appearance of diverse animal body plans
during the Cambrian explosion., Int. J. Dev. Biol. 53: 733-751 (2009)
doi: 10.1387/ijdb.072513cj
http://www.ijdb.ehu.es/web/paper/072513cj/the-sudden-appearance-of-diverse-animal-body-plans-during-the-cambrian-explosion-

9)Pei-Yun Cong, Xian-Guang Hou, Richard J. Aldridge, Mark A. Purnell, Yi-Zhen Li, New data on the palaeobiology of the enigmatic yunnanozoans from the Chengjiang Biota, Lower Cambrian, China., Palaeontology vol.58, issue 1 pp.45-70 (2015) https://doi.org/10.1111/pala.12117
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pala.12117

10)Simon Conway Morris, A Redescription of a Rare Chordate, Metaspriggina walcotti Simonetta and Insom, from the Burgess Shale (Middle Cambrian), British Columbia, Canada. Journal of Paleontology vol.82 (2): pp.424–430. (2008) doi:10.1666/06-130.1
https://www.cambridge.org/core/journals/journal-of-paleontology/article/abs/redescription-of-a-rare-chordate-metaspriggina-walcotti-simonetta-and-insom-from-the-burgess-shale-middle-cambrian-british-columbia-canada/070D2759C11CFA7CD52732D996211A20

11)ウィキペディア:スプリッギナ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AE%E3%83%8A

12)Wikipedia: Metaspriggina
https://en.wikipedia.org/wiki/Metaspriggina

13)Evolution News & Science Today: Metaspriggina:Vertebrate Fish Found in Cambrian Explosion
https://evolutionnews.org/2014/08/metaspriggina_v/

14)R.J.Aldrige, D.E.G.Briggs, M.P.Smith, E.N.K.Clarkson and N.D.L.Clark, The anatomy of conodonts., Phil.Trans. R. Soc. Lond. B., vol.340, pp.405-421 (1993)
https://www.academia.edu/25163368/The_Anatomy_of_Conodonts

15)Scotland - the home of geology, Conodont animals from Granton, Edinburgh.,
https://www.scottishgeology.com/geo/scotlands-fossils/conodont-animals-from-granton-edinburgh/

16)D. F. Terrill, C. M. Henderson and J. S. Anderson, New applications of spectroscopy techniques reveal phylogenetically significant soft tissue residue in Paleozoic conodonts., J. Anal. Atom. Spectrom., issue 6 (2018)
DOI: 10.1039/c7ja00386b
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2018/ja/c7ja00386b#!divCitation

 

 

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2022年11月20日 (日)

2022ワールドカップ開幕

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2022ワールドカップ@カタールが本日開幕します。私は普段はラ・リーガのバルサの試合しか見ないので、ドイツや英国でやっている選手が多いJのメンバーはよく知りません。スペイン代表(ラ・ロハ)は一応知っている選手が多いです。普通サッカーのファンは特定のチームのファンなので、ワールドカップのようにチームのためでなく、別の目的で選手を持っていかれるのは不安半分です。特にワールドカップは国威発揚やチームとは異なるいろんな組織・会社の利益のために利用されている感じが嫌ですね。それでもJとスペインは応援しますが。

スペイン代表について言えば、FWにバルサのフェラン・トーレスのようなGK正面にしかシュートしないような選手が選ばれている時点でアウトでしょう。まあ最近はやや改善の兆しはありますが。モラタもオルモもアセンシオも一流とは言えませんし、結局ニコ、ピノ、ファティらの若手に期待することになるのでしょうか? バルサファンとしてはファティは何度も手術した選手で、腫れ物に触るように大事に使っているので、ワールドカップでフル出場したりするのはメチャクチャ怖いです。勘弁してほしい。MF・DFには一流選手がそろっているので、簡単には負けないと思いますが。

日本代表は常識的に考えれば歴史上最強のはずです。プレミアリーグやブンデスリーグで活躍している選手が多いので、チームワークさえうまくいけばそこそこいけるのではないでしょうか。久保も頑張るでしょう。カナダとの練習試合を見ると柴崎も好調のようです。でもなんと言っても、プレーを見たい選手は三笘ですね。スペイン代表にはいってもスタメン張れるでしょう。体調が良からんことを祈りたいです。日本代表もスペインと同じで、MF・DFには一流選手が多いようですね。ただカナダ戦を見ていると、スタミナには不安があります。

個人的感情を抜きにすると、グループEで一番国威発揚してほしいのはコスタリカですね。軍隊を持たない国ですから、国威発揚は青天井でOKです。

優勝予想ということになると、ベンゼマが故障しましたがフランスでしょうか。あとはやっぱりブラジルかな。バルサのクンデやラフィーニャには活躍してほしいです。個人としてはバルサの攻撃を完封したフランス代表のダヨ・ウパメカノ(FCバイエルン所属)をリスペクトしているので応援します。

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2022年11月19日 (土)

ドヴォルザーク:新世界より by 齋藤友香理指揮東京シティフィル@ティアラ江東2022/11/19

Saitou

(指揮者変更のため編集)

東京シティフィルの晩秋のクラシック。場所は住吉のティアラ江東です。全席¥3300ということもあって大人気でしたが、なんと指揮者の三ツ橋さんが急病とかで齋藤友香理さんが急遽代役です。さてどんな人なのでしょう?

初めて見るマエストロ齋藤はスケルトン齋藤と呼びたいくらい細身の華奢な女性でした。しかしタクトを握るやピューマに変身。エッジの立った清新で強烈な演奏でした。オケメンをこれだけやる気にさせるという才能も素晴らしい。演奏終了後は皆さん足踏みで絶賛です。ソリストの亀居優斗さん(バセットクラリネット)のモーツァルトも、とっても表情豊かで楽しい演奏でした。

お二人とも初めてだったので、素晴らしい音楽家を二人も発見した素晴らしい1日でした。またシティフィルもプレ演奏会にオーケストラアンコールまで盛りだくさんの演奏を有難うございました。マエストロ三ツ橋のご快復を祈ります。

 

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2022年11月17日 (木)

私のインスタントランチ チヂミ

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購入した時点で、すでに正方形に切れているチヂミ。フライパンにごま油を薄くひいて焼く。これでわかったことは、場所によって思ったより火の通りが違うことです。注意深く焼け具合をみることだけがポイント。

ダイショーの餃子のタレで食べます。フィットしてないかもしれませんが、イタリアンパセリとバナナ添え。

 

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2022年11月14日 (月)

続・生物学茶話194: 円口類

インターナショナルな教育を目的とし、随時改訂される教科書としてウェブサイトに無料公開されているCK-12(1)に採用されている脊椎動物の進化系統図を図194-1に示します。この図に表示されている生物より少し以前に現れた生物であるナメクジウオについては、このブログでもそれなりに突っ込んで議論してきましたが(2-4、6-9)、ここで階段を一つ上がって円口類に進もうかと思います。

円口類というのは学術用語ではないらしく、無顎魚類のうち現在も生きている生物をまとめてそう呼ぶ一般用語のようです。無顎魚類(jawless fish)という学術的な呼び方はヤツメウナギ、ヌタウナギ、それらの祖先を含めて、魚のイメージとはかけ離れた一群の生物も魚類と称するという一種の思想のようなもので、それが適切かどうかはわかりませんがとりあえずそうしておきます。

その無顎魚類ですが、それらしき最も古い化石はカンブリア紀のものが見つかっています(10)。したがってヤツメウナギやヌタウナギは、おそらくシーラカンスなど足下にも及ばないほど太古からの特徴を引き継いでいる生きた化石と言えます。頭索動物・尾索動物から無顎魚類に進化する際にはゲノムの2倍化が起きていて、一気に進化のスピードが増しました(5)。ちなみに無顎類から有顎魚類に進化する際にもゲノムの2倍化が起きています(5)。こうした不連続性があるので、普通に考えれば無顎魚類(円口類)は頭索動物・尾索動物・脊椎動物と同等な分類上のランク(亜門 subphylum)が与えられるべきだと思います。

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図194-1 脊椎動物の進化系統図

円口類と魚類との関係を考えるときに避けて通れないのがコノドントという生物です。コノドントはパンダーが1856年に記載して以来、歯のような堅い構造物しかみつからず、どんな生物か全くわからなかったのですが、1983年に英国エジンバラのグラントンというところで全身の化石が発見され、ようやく歯の持ち主がわかりました(11、12)。サイモン・ネルの本にはこの頃の興奮がかかれてあると思いますが、アマゾンの配送料が\2269(本は\3695)というので読むのは諦めました(13)。現在では全身化石の情報も蓄積されて、ウィキペディアには想像図まで掲載されています(14)。この生物が円口類と近縁であることがわかります。実際ウィキペディアにはヤツメウナギと近縁な生物として系統図も書かれています(14)。すなわち現在の分類学を容認するなら、彼らも当然脊椎動物の一員ということになります。ただ化石に残るほどの脊椎は持っていなかったということです。

歯の化石はカンブリア紀からみつかっているので、コノドントがカンブリア紀にはすでに歯を持って生きていたことは明らかです。おそらく脊椎動物で最初に歯を持った生物です。彼らはその後繁栄してペルム紀末の大絶滅も乗り越え三畳紀まで生き延びましたが、そこで絶滅しました(14)。ヌタウナギやヤツメウナギの祖先は生き延びたのに、コノドントだけがなぜ絶滅したかは謎です。

図194-2はウィキペディアの図(15)をベースにして作成した魚類中心の脊椎動物の系統図ですが、今も生きている円口類の祖先、コノドント、現存魚類の祖先生物がカンブリア紀あるいはそれいぜんにどのような関係にあったかは不明でやむなく?印になっています。脊椎動物系統樹の根元あたりにはこれ以外にも謎の生物がいます。それは翼甲類と甲皮類です(9)。翼甲類は背中に甲羅をしょった無顎の魚のような生物で、ドレパナスピスの化石が国立科学博物館にあります(16)。甲皮類も同様な生物です(17)。これらの生物はデボン紀に絶滅し円口類との関係はよくわかっていないようですが、ヌタウナギよりはヤツメウナギに近いとされています(10)。いずれにしてもも脊椎動物系統樹の根元に近い生物ではあるようです。

円口類を生きた化石と言いましたが、私たち哺乳類がたった一度の大絶滅時代(白亜紀大絶滅)を経験したのに比べると、彼らは5回の大絶滅時代を生き延びたスーパースターであり、また5億年の長きにわたって進化を重ねているので、現在の円口類がカンブリア紀と同じであるわけはありません。多くは海洋と淡水を行き来できるような浸透圧調節システムを獲得しましたし、ある者は魚類や海獣の屍体を食べるのに適した口器を発達させ、粘液をまきちらすという特技を獲得し、また変態によって眼を発生させるという進化も行いました。なかには魚類の皮膚に吸い付いて生活する吸血寄生生物になった者もいます。私たちがまだ知らないさまざまな進化も重ねてきたと思われます。

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図194-2 魚類を中心に見た脊椎動物の進化系統図 2億5千万年前あたりに段差があるのは、ここでペルム紀末の大絶滅があったためです(驚くべきことに円口類は影響を受けていないとされています) ウィキペディアの Evolution of fish の項目に収録されていた図をベースに作成しました。

生物分類学の父であるカール・フォン・リンネの弟子であるペール・カルムは、1747年に北米に調査にでかけるためスウェーデンのエーテボリを出航しましたが、すぐに嵐に出会って、船を修復するためノルウェーのグリムスタッドに何週間も滞在することになりました。暇を持て余したカルムは当地の様々な生物を調査することにしました。そんなうわさを聞きつけた地元の漁師が見たこともない生物を持ってきたのですが、それは地元の漁業者にはよく知られた生物で、網にかかるとお金になる魚を食い荒らし、大量の粘液をまき散らして商品を台無しにする悪者でした。カルムはきちんと記録をとってレポートにしました(18)。

カルムのレポートを読んだリンネはこの生物に Myxina glutinosa (mixa=スライム、gluten=糊)という学名をつけましたが、後に前口動物系の生物だと誤って別の学名に代えたりして失敗しました(18)。最初の学名はいまでもヌタウナギ科の Myxinidae として残されています。日本語では以前はメクラウナギとしていましたが、これは差別用語だとして2007年からはヌタウナギに変更されました(19)。ヌタとは沼とか泥という意味です。英語では hagfish ですが、hag は鬼婆という意味です。

無顎類(円口類)のもうひとつのグループはヤツメウナギで、ヌタウナギが海洋生物なのに対してヤツメウナギは主に淡水に生息する生物です。ただし一時期海洋を回遊する種もあります(20)。ヌタウナギの鰓孔の数は不定ですが、ヤツメウナギは左右に7つづつと決まっていて、眼とあわせてヤツメという名前がつけられました。ドイツ語では Neunauge でココノツメですが、これは鼻の穴も数えてそうなったようです(21)。英語は lamprey で、これはラテン語系の言葉で石をなめるという意味だそうです(22)。図194-3は両者の形態を比較したものです。

ヤツメウナギは水底の有機物を食べるとか書いてありますが、多分魚糞とか藻類とかを食べているのでしょう。変態して成魚になってからはあまり餌も食べないで繁殖行為をおこなったらすぐに死ぬようです。しかし40年くらい生きるという情報もあってはっきりしません。テリトリーも主張しないおとなしい生物ではあるようです(23)。しかしなかには Sea Lamprey(ウミヤツメ) のように、生きた魚に吸い付いて血液を吸い取りながら寄生するような種もあります(24、25)。ヤツメウナギが餌を吸い取るのに適した口であるのに対して、ヌタウナギは立派な歯を持っていて、これで魚の屍体などの肉をこそぎとって食事をします(26、図194-3)。鯨の屍体は大好物のようです(27)。

敵に襲われたときにどうするかは、ヌタウナギとヤツメウナギでは大きく違います。ヌタウナギは全身に多数の粘液排出口を持っていて、襲われると粘液(スライム)を一気に放出します。これが鰓にくっつくと捕食者は窒息してしまいます。ヤツメウナギは立派な鰭をもっていて自由に泳げますし、捕食者に吸い付くことができるので、そうなると食べたくても食べられません。食べるつもりが気づくと自分が食べられているという結果になります(28)。サメもヤツメウナギに食べられるそうです(28)。ヤツメウナギはある意味海洋最強の捕食者かもしれません。

ヌタウナギはヤツメウナギにはない咽皮管(いんひかん、pharyngo-cutaneous duct)という器官を持っています。これは体の左側にしかなく、飲み込んだ余分な水分を排出するためのものです(29)。ヌタウナギは腐肉を食べるので、海底のスカベンジャー(清掃人)として重要な生物です。このような生物を底曳き網で根こそぎさらって殺してしまうというのは、重大な環境破壊です。The IUCN Red List of Threatened Species によると現在約2割の種が絶滅の危機にあるそうです。

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図194-3 ヌタウナギとヤツメウナギの形態 wikimedia commons の図ですが、ヌタウナギの図の原典は Zintzen et al., Hagfish predatory behaviour and slime defence mechanism., Scientific Reports 1 : 131 (2011) DOI: 10.1038/srep00131

図194-3のようにヌタウナギとヤツメウナギは顔相をはじめとしてかなり形態が異なっており、うなぎのように細長い体であることを除いてはあまり似ていなくて系統的に遠いのではないかという疑いが持たれていたわけですが、大石康博らは両者の発生過程を詳細に検討して、非常に似ている発生段階があることを確認し、やはり円口類としてまとめてよいという見解を発表しています(30、31)。確かに文献31の図3をみるととてもよく似ています。両者の祖先が分岐してから4.5億年~5億年経過していると考えられるので(32)、それぞれ独自の進化をとげたとしても不思議ではありません。

実際脳の解剖図をみると成体の脳の形態はヌタウナギとヤツメウナギでかなり異なっています。前者は「The Biology of Hagfishes」という本の図(33)、後者は「Zoology Notes」というウェブサイトの図(34)を元に描いてみました(図194-4)。かなり異なると言っても、同じ哺乳類でもヒトの脳とマウスの脳では大きな形態的な違いがあるので、驚くほどの違いではありません。

単純に眺めてみた印象では、ヌタウナギの方が各部域の境界があいまいで原始的な印象を受けます。ヤツメウナギは松果体を持っており、特に視葉(中脳)が顕著に大きいという特徴があります。両者とも魚類では明確に識別できる小脳は少なくとも形態学的に識別はできません。ヌタウナギの脳が原始的なのか、退化した結果そうなったのか、あるいはむしろ中身は立派なのかはよくわかりません。

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図194-4 ヌタウナギとヤツメウナギの脳の形態

 

参照

1)CK-12 Biology for High School, 12.5 Vertebrate Evolution
https://flexbooks.ck12.org/cbook/ck-12-biology-flexbook-2.0/section/12.5/primary/lesson/vertebrate-evolution-bio/

2)ナメクジウオと脊椎動物の進化
http://morph.way-nifty.com/grey/2008/07/post_ad46.html

3)脳のはじまり3
http://morph.way-nifty.com/grey/2020/08/post-d3e786.html

4)ナメクジウオ
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/01/post-c8b5d8.html

5)沖縄科学技術大学院大学 公開資料 古生代における種間交雑:脊椎動物における全ゲノム重複の真実が明らかに (2020)
https://www.oist.jp/ja/news-center/press-releases/35053

6)頭索動物の脊索
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/07/post-d3842a.html

7)頭索動物の光受容 その1
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/08/post-53d84a.html

8)ナメクジウオの4種の眼
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/08/post-e84af9.html

9)ナメクジウオ脳の部域化
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/08/post-277eea.html

10)ウィキペディア: 無顎類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%A1%E9%A1%8E%E9%A1%9E

11)Scotland - the home of geology, Conodont animals from Granton, Edinburgh
https://www.scottishgeology.com/geo/scotlands-fossils/conodont-animals-from-granton-edinburgh/

12)Derek E. G. Briggs, Euan N. K. Clarkson, Richard J. Aldridge, The conodont animal., Lethaia vol.16, Issue 1, pp.1-14 (1983)
https://doi.org/10.1111/j.1502-3931.1983.tb01993.x
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1502-3931.1983.tb01993.x

13)The Great Fossil Enigma: The Search for the Conodont Animal (Life of the Past) Auther: Simon J Knell Indiana University Press (2012)
https://www.amazon.co.jp/Great-Fossil-Enigma-Search-Conodont/dp/025300604X/ref=sr_1_7?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=25MLFN9KGUL5D&keywords=conodont&qid=1668050722&qu=eyJxc2MiOiIyLjc1IiwicXNhIjoiMC4wMCIsInFzcCI6IjAuMDAifQ%3D%3D&s=english-books&sprefix=conodont%2Cenglish-books%2C169&sr=1-7

14)Wikipedia: Conodont
https://en.wikipedia.org/wiki/Conodont

15)Wikipedia: Evolution of Fish
https://en.wikipedia.org/wiki/Evolution_of_fish

16)Hatena Blog: 【古生物紹介】ドレパナスピス
https://prehistoriclifeman.hatenablog.com/entry/2020/09/12/185259

17)樽本龍三郎 魚の系統進化その3 顎のない魚ー甲皮魚類
http://tarumoto.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-ccd3.html

18)The biology of hagfishes., ヨルゲンセンらによる編集 Capman and Hall によって出版 (1998) 現在は Springer Science + Business Media Dordrecht によって出版

19)ウィキペディア: ヌタウナギ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8C%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE

20)ウィキペディア: ヤツメウナギ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%84%E3%83%A1%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE

21)ドイツ釣りにんげん Neunauge ヤツメウナギ
http://angelnaufjapanisch.blogspot.com/2012/05/neunauge.html

22)Wikipedia: Lamprey
https://en.wikipedia.org/wiki/Lamprey

23)アクアリウム生活 ヤツメウナギの飼育方法:奇妙な生態とは?餌は何を食べるの?
https://aquarium-style.com/1314.html

24)Wikipedia: Sea lamprey
https://en.wikipedia.org/wiki/Sea_lamprey

25)Tronto Japan Magazine 特集記事 水産学博士の雨宮さんが語る、オンタリオの水辺に生息するちょっと変わった魚たち (2014)
https://torja.ca/fish-in-ontario/

26)沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアム公式ブログ ヌタウナギの歯がすごい
https://ameblo.jp/numazu-deepdea/entry-12179156249.html

27)マイケル・アランダ クジラの死骸が豊かな生態系を作る
https://logmi.jp/business/articles/121733

28)NWK. World, Hagfish vs Lamprey: 5 Key Differences
https://nmk.world/hagfish-vs-lamprey-5-key-differences-189427/

29)ウィキペディア小見出し辞書: 咽皮管 (いんひかん、英: pharyngeo-cutaneous duct) または 食道皮管(しょくどうひかん、羅: ductus oesophageo-cutaneus)
https://www.weblio.jp/content/%E5%92%BD%E7%9A%AE%E7%AE%A1+%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%81%AF+%E9%A3%9F%E9%81%93%E7%9A%AE%E7%AE%A1

30)Oisi, Y., Ota, K., Kuraku, S. et al. Craniofacial development of hagfishes and the evolution of vertebrates. Nature vol.493, pp.175–180 (2013). https://doi.org/10.1038/nature11794
https://www.nature.com/articles/nature11794

31)大石康博、太田欣也、工樂樹洋、藤本聡子、倉谷滋 ヌタウナギの頭蓋顔面の発生と脊椎動物の進化
https://staff.aist.go.jp/t-fukatsu/CATNewsVol3NoS2.pdf

32)菅原文昭・倉谷 滋 円口類から解き明かされる脳の領域化の進化的な起源 ライフサイエンス 新着論文レビュー
DOI: 10.7875/first.author.2016.015
http://first.lifesciencedb.jp/archives/12168

33)The Biology of Hagfishes. Chapman and Hall, London (1998) Chapter 29 written by Ronan and Northcutt

34)S. Bhavya, Anatomy of Lamprey., Zoology Notes
https://www.notesonzoology.com/phylum-chordata/lamprey/anatomy-of-lamprey-with-diagram-vertebrates-chordata-zoology/7897

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2022年11月12日 (土)

Alba string quartet @五反田文化センター音楽ホール2022.11.11

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不動前という駅には何十年か前葬儀で来たことがありますが、記憶はほぼとんでいます。その桐ヶ谷斎場のすぐ近くにあるのが五反田文化センター。迷いながらも早めに到着。品川区の施設だそうですが、大変立派な音楽ホールでした。ホワイエも天井が高い上に、たくさんソファがあって、早く着いても困りません。東京文化会館とはえらい違いです。ただひとつ難を言えば、客席の傾斜がややゆるめで後方席は不利な感じがします。自由席だったので、私は最前列に着席しました。

私は都響の会員なのでカルテットを聴くのは年に1回、このアルバSQの演奏会だけです。初心者なので死と乙女はあらかじめYOUTUBEでインテグラSQの演奏を聴いて予習しました。インテグラSQと違ってアルバSQは兼業なので、前半は小形さん(読響)、後半は小関さん(都響)が1Vnを受け持ちます。専業ならあり得ませんが、兼業ならこの方式もありでしょう。兼業とはいえ演奏は大変素晴らしく、戦闘的と感じたインテグラSQよりもやわらかくむしろ親密な印象をうけました。次々に現れるニュアンスの変化が自然に聴衆にはいってくる感じです。

死と乙女の第2楽章は、雰囲気もメロディーもベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章とそっくりで、これはシューベルトも意識していたに違いありません。またこの曲は小関さんが書いているように、タイトルと違って死とは関係がなく、生命力あふれるポジティヴでロマンティックな作品だと思いました。

帰途に空を見上げると煌々と輝く月のそばに火星が寄り添い、周りをオリオン座やシリウス・プロキオンが徘徊するという素晴らしい天体スペクタクルで、まるでアルバSQの演奏会を祝福し、楽しんでいるかのようでした。

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2022年11月10日 (木)

私のインスタントランチ スパゲティ:ボロニア風ミートソース

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MCCのボロニア風ミートソースです。レトルトなので暖めるだけです。セージの葉を細かく切って香りをととのえ、トマトを添えました。

もとの袋の写真は下のようなものです。

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MCCは神戸の調理食品専業メーカーです。私は牛肉はなるべく食べないようにしていますが、これは例外です。どちらかというと肉好きでない人でもおいしくいただける味だと思います。業務用と書いてありますが、アマゾンなどで少量でも買えます。家庭用もありますが、あまりスーパーではみかけません。会社から直接通販しているようです。

http://www.mccfoods.co.jp/domestic/029_002.html

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2022年11月 7日 (月)

最後の NOROJOURNEY

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長年愛用してきた日記帳「NOROJOURNEY」です。コロナまではスケジュール帳として使っていただけなんですが、コロナ禍のなかで自分の行動の記録をつけるべきだと思って、以来本来の日記帳としても使ってきました。

その黒猫NOROが老衰のため20才で他界したということで、この2023年版がおそらく最後のNOROJOURNEYになるのでしょう。黒猫にしてはフォトジェニックで、世界37カ国を旅して各国の風景も楽しませてくれました。検疫などの困難を乗り越えてのことで、著者の平松さんもご苦労なさったと思います。ご冥福をお祈りします。

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2022年11月 5日 (土)

サラの考察18: ザポリージャ原発の危機

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サラ「戦争で最初に被害を受けるのはペットでしょ。ウクライナ戦争でどれだけのペットが捨てられて命を落としたのか悲しい」

私「戦争をはじめるというのは、どんな理由があるにせよ絶対悪だね」

グレチコ「今ザポリージャ原発がとんでもない状況になっているんだ。NHKの報道によると外部からの電源供給が完全に絶たれたらしい」

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221103/k10013879991000.html

私「ロシア軍はウクライナ軍の包囲の中で原発を死守しているので、包囲を破ろうとするロシア軍の砲撃が電線を切断したのかな」

グレチコ「非常用のディーゼル発電機を動かす燃料は15日分しかないので、それが切れるとたちまちメルトダウンになってしまう」

私「だってロシア軍が燃料をとどけようとするとウクライナ軍に砲撃されるし、ウクライナ軍は敵に燃料を運ぶわけにはいかないし、一時停戦するしかないと思うけど、そこまで冷静な判断ができるかどうか」

グレチコ「結局最終的にはロシア系住民が多数の地域とウクライナ系住民が多数の地域の間に線を引いて、国家を分割する方向で話を進めなければ解決はできないだろう」

私「地球温暖化問題の2大キーであるアマゾンの森林伐採とシベリアのメタン噴出の問題も人類にとって超重要な課題だよ。アマゾンはボナソーロが負けてとりあえずよかったけど、シベリアの問題はロシアを巻き込んで議論しないと進まないので、今の状況はまずいね」

サラ「人間の利権争いやテリトリー争いは本当に愚かで醜いわね。猫より下等な生物だと思われても仕方ないよ」

私「そういえば日本もロシアを激しく非難していながら、サハリンのガス利権はしっかり確保する方針だっけ」

=====

東京外国語大学・伊勢崎賢治教授の意見

一方的とはいえ民族自決を建前にしている限り、今回のロシアの武力侵攻を、イスラエルがパレスチナ住民にしているような武力による単純な土地収奪 Land grabbing ととらえるのは間違いである。同じ侵略行為でも、戦端を切る法的な建て付けの問題を見ない限り、現行の国際法の根本的な瑕疵への学術的な議論にならない。

ロシアによる先制攻撃を問題にするなら、大量破壊兵器の所在を偽装してまでイラクへの侵攻を正当化した2003年のアメリカの行いと相対化されるべきである。一般市民20万人を犠牲にしたイラク戦争との相対化を避ける法学的議論には、極めて明確な政治的恣意が感じられる。

https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51479#idx-4

 

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2022年11月 3日 (木)

私のインスタントランチ:月見とろろそば

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蕎麦は日本でも有史以前から栽培されていたようで、遅くとも奈良時代には雑穀のひとつとして食べられていたという記録があるそうです。現在ではネパール人と日本人がよく食べる食料のようです。

ゆでて具を入れればすぐ食べられるので、カップ麺でなくてもインスタント料理です。とろろもチューブ入りがありますし、卵を割ってネギとのりを切るというわずかな手間です。

ただひとつ困るのは、関西で育った人間には東京のそばつゆはどうしても塩辛くこいくち醤油の風味なので、つけ蕎麦はともかく、かけ蕎麦のつゆとしては受け入れられません。かと言って関西風のうどんつゆで食べるのも、蕎麦とはマッチしない感じがします。なので私は関東風のつゆと関西のうどんつゆの素を1:1でまぜます。ここではトップバリューのオーガニックそばつゆ半量とヒガシマルのうどんつゆの素半量でつくりました。

 

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2022年11月 1日 (火)

続・生物学茶話193: 脳の老廃物廃棄システム

21世紀になって2光子顕微鏡という新しい技術が開発され、形態学に革命が起きました。この顕微鏡の原理は量子力学に無知な私には全くわかりませんが、1931年にゲッペルト=マイヤ-という人がその可能性を述べているそうです。藤崎久雄が量子力学的原理をスキップして説明してくれているので、彼の論文の一節を引用すると「2光子顕微鏡は、1個の蛍光色素分子が1光子励起の場合の吸収波長の2倍の波長の光子2個を同時に吸収して光子エネルギーの2倍の準位に励起され、励起光波長の1/2より少し長い波長の蛍光を発する2光子励起という現象を利用する」(1)ということだそうです。

2光子による励起は非常に光子密度が高い状態で起こる現象なので、集光点近傍でしか起きません。このことはバックグラウンドを低くおさえることができるという利点があります。一方で必ず起きる1光子励起に対して、2光子励起は偶発的に起こるので絶対的解像度は普通の蛍光顕微鏡に比べて劣るということになります。

2光子励起は集光点近傍だけでおきるので、集光点の深度を変えて撮影しコンピュータで処理すれば立体的な画像が得られます。また赤外線によって励起を行うので試料を透過しやすく、現在では1.6mmくらいの深部まで見ることができるようです(2)。このことはサンプルを薄切せず、生きたままの生物の内部を観察できるということを意味します。また励起が集光点近傍だけで起きるとということは、図193-1(脳科学辞典参照2からの引用、赤字と点線は管理人の脚色です)の青い鼓型シェードの部分全体で発生する蛍光の影響を受けないことだけでなく、自家蛍光によるバックグラウンドを低く抑えられるという利点があって、この意味でも革命的な技術といえます。

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図193-1 2光子顕微鏡

話は変わりますが、少し前まで脳にはリンパ系の組織がないとされていました。他の体の部分は常にリンパ管を介してリンパ液が流れており、老廃物を洗い流しています。この流れは筋肉によっておきるので、筋肉がない脳にリンパ系の組織があっても機能しないでしょう。それでも老廃物は出るので、何らかの方法で排出しなければなりません。この謎はなかなか解けませんでした。そして解明の糸口が見つかったのは21世紀になってからで、先鞭をつけたのはイリフらのグループでした。彼らは2光子顕微鏡を用いて、マウスに投与した蛍光物質の動態を観察しました(3)。

彼らはまず脳実質と髄膜の間にあるマウスの Cisterna magna(後小脳延髄槽)にトレーサーとなる蛍光物質を注入し、30分後には脳室をはじめとする脳全体に広がることを確認しました(蛍光物質の分子量によってその速度は異なる 分子量3000の TR-d3 で50%程度の領域に確認)。そして頭蓋骨に穴を開け2光子顕微鏡を使って、脳表層から100μmくらいの脳内部の蛍光物質の分布を観察しました(図193-2)。

自分の経験から言うと、血液にはかなり自家蛍光があってトレーサーによる蛍光観察は困難と思っていましたが、この2光子顕微鏡による観察、特に図193-2DEなどでは、血管が黒くみえて自家蛍光が非常に低いことがわかります。そして目的のトレーサーはDをみると、動脈(赤点線)の周辺にみられることがわかります。静脈(青点線)の周囲にはトレーサーの発光がみられません。このことは後小脳延髄槽に注入したトレーサーが動脈の血管周囲腔(PVS)を伝って脳全体に広がっていることを示唆します。血管周囲腔は細胞のまわりの間質液と直接つながっており、脳脊髄液の通路ともつながっているので、この経路で脳の老廃物が排出されることが推定されることになりました。そしてその流れの動力となるのが動脈の脈動であることもこの論文は示唆しています。図193-2Lはアストログリア細胞が血管周囲腔を介して血管と接触していることを示しています。

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図193-2 2光子顕微鏡によるトレーサー実験

脳の老廃物廃棄システムを考える上でもうひとつ重要なのは、脳脊髄液とリンパ系の関係なのですが、その前に脳脊髄液の産生についてみておきましょう。発達した脳を持つ生物は通常脳内に細胞がない脳室という液体に満たされたプールのような部分があり、こことつながる液体の領域が老廃物廃棄システムの主役であることは容易に想像できます。

ヒトの場合脳の深部に位置する2つの側脳室・第3脳室および小脳の近傍にある第4脳室にある脈絡叢という部分で脳脊髄液が作られます(4、図193-3)。脈絡叢は窓空き型の毛細血管と上皮細胞からなり、この上皮細胞は毛細血管から血液成分を取り込んで脳脊髄液を反対側の脳室方向に分泌します(4)。したがって原材料は血液ですが、脳脊髄液では血球は排除されることになります。脳弓・視床・脳梁・小脳などは常に新鮮な脳脊髄液に浸されていることになり、これらの部域が生命にとって重要であることが想像されます。

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図193-3 脳脊髄液は脳室の脈絡叢でつくられる

なんらかの理由で脳脊髄液が過剰になると人も動物も水頭症という脳圧が高まる病気になります(5)。このことは脳脊髄液がなんらかのバリアを通過してゆっくりとリンパ系に出て行くことを意味しています。どこからどのように出て行くのでしょうか?

この質問に対する回答は、2015年にアスペルントら(6)とルーヴォーら(7)の2つのグループによって独立に発表された論文で行われました。ルーヴォーらの論文とウィキペディアの図(8)によって説明します(図193-4)。彼らの研究によって脳実質を覆う髄膜(外側から硬膜・くも膜・軟膜)にリンパ管が存在することが証明されました。なぜこのような基本的な知見が得られていなかったというと、リンパ管の内皮細胞の特異的マーカーが報告されたのが21世紀になってからだったという事情があるようです(6)。ともあれ脳の間質液・脳脊髄液とリンパ管が髄膜内でつながっていることが明らかになりました。そして髄膜のリンパ管は鼻粘膜を経由して首のリンパ管に接続していることも明らかになりました(7)。

これらのことから、脳の老廃物は体の他の部分と同様にリンパ管をつかって排出されていることがわかりました。また脳が独自の免疫系をもっているのではなく、通常の免疫システムによって保護されていることも示唆されます。

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図193-4 脳脊髄液とリンパシステムの接点

イリフやネーダーガードらはさらに詳細な研究を重ねて、リンパ系と脳脊髄液が共同して老廃物の排出や免疫を行うシステムをグリンファティックシステム(glymphatic system)と呼んでいます(9-11、図193-5)。まとめると、脳室の脈絡叢で産生された脳脊髄液は髄膜の動脈周囲の領域を伝わって脳表層全体に拡がります。その動脈が脳実質に入り込むときに、動脈周囲腔の脳脊髄液も内部に入り込み、動脈の脈動を利用して脳細胞の間隙にある脳間質に浸透し間質液となります。間質液は排出される老廃物をともなって移動した後静脈周囲腔を伝わって脳の表層方向に移動します。そして静脈が表層の髄膜に入ったときに間質液はリンパ管に取り込まれます。リンパ管は鼻粘膜を通って首のリンパ系に老廃物を輸送し、リンパ系の細胞によって分解処理されるというわけです。興味深いことに、このような脳の清掃システムは主に睡眠中に稼働しているそうです(10)。

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図193-5 グリンファティックシステム

当初はこのグリンファティックシステムのアイデアには多くの批判があったようですが、その多くは実験動物を殺してから切片をつくるという旧来の研究法によるアーティファクトが原因だとネーダーガードらは主張しています(10)。動物を殺した瞬間に動脈の脈動も止まり、結果に大きな影響が出るのです。2光子顕微鏡やMRIによる生きたままの生物を観察する手法によってはじめて実態が明らかになりました。現在ではいろいろ反論はあるものの、イリフやネーダーガードらの主張は多くの脳科学者に概ね受け入れられているようです(12、13)。参照12のレビューは27の研究機関に所属する研究者が著者になっていてます。脳の老廃物の問題はアルツハイマー病をはじめとして、さまざまな疾病に関与すると思われるので、少なくともグリンファティックシステムの考えをたたき台にして、これから進展していくのでしょう。

参照

1)藤崎久雄 ビデオレート2光子顕微鏡
生物物理 vol.40, no.3, pp.195-198 (2000)
file:///C:/Users/Owner/Desktop/193/%EF%BC%92%E5%85%89%E5%AD%90%E9%A1%95%E5%BE%AE%E9%8F%A1%EF%BC%88%E8%97%A4%E5%B4%8E%EF%BC%89.pdf

2)脳科学辞典 2光子顕微鏡
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/2%E5%85%89%E5%AD%90%E9%A1%95%E5%BE%AE%E9%8F%A1

3)Jeffrey J. Iliff, Minghuan Wang, Yonghong Liao, Benjamin A. Plogg, Weiguo Peng, Georg A. Gundersen, Helene Benveniste, G. Edward Vates, Rashid Deane1, Steven A. Goldman, Erlend A. Nagelhus, and Maiken Nedergaard, A Paravascular Pathway Facilitates CSF Flow Through the Brain Parenchyma and the Clearance of Interstitial Solutes, Including Amyloid β., Sci Transl Med. vol.4(147): 147ra111.(2012) doi:10.1126/scitranslmed.3003748
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22896675/

4)Wikipedia: Choroid plexus
https://en.wikipedia.org/wiki/Choroid_plexus

5)あいむ動物病院 動物の病気 水頭症
https://www.119.vc/illness/archives/5

6)Aleksanteri Aspelund, Salli Antila, Steven T. Proulx, Tine Veronica Karlsen, Sinem Karaman, Michael Detmar, Helge Wiig, and Kari Alitalo, A dural lymphatic vascular system that drains brain interstitial fluid and macromolecules., J. Exp. Med., Vol.212, No.7 pp.991–999 (2015)
www.jem.org/cgi/doi/10.1084/jem.20142290
file:///C:/Users/Owner/Desktop/193/Aspelund%20JEM.pdf

7)Antoine Louveau, Igor Smirnov, Timothy J. Keyes, Jacob D. Eccles, Sherin J. Rouhani, J. David Peske, Noel C. Derecki, David Castle, James W. Mandell, S. Lee Kevin, Tajie H. Harris, and Jonathan Kipnis, Structural and functional features of central nervous system lymphatics., Nature., vol.523(7560): pp.337–341 (2015)
doi: 10.1038/nature14432
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4506234/

8)ウィキペディア:髄膜
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%84%E8%86%9C

9)Jeffrey J. Iliff and Maiken Nedergaard, Is there a cerebral lymphatic system? Stroke., vol.44(6 0 1): S93–S95. (2013) doi:10.1161/STROKEAHA.112.678698
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23709744/

10)Humberto Mestre, Yuki Mori, Maiken Nedergaard, The brain’s glymphatic system: current controversies., Trends Neurosci., vol.43(7): pp.458–466. (2020) doi:10.1016/j.tins.2020.04.003
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32423764/

11)Lauren M. Hablitz and Maiken Nedergaard, The Glymphatic System: A Novel Component of Fundamental Neurobiology., The Journal of Neuroscience, vol.41(37): pp.7698–7711 (2020)

12)Tomas Bohr, Poul G. Hjorth, Sebastian C. Holst, Sabina Hrabetova ́ , Vesa Kiviniemi, Tuomas Lilius, Iben Lundgaard, Kent-Andre Mardal, Erik A. Martens, Yuki Mori, U. Valentin Na ̈ gerl, Charles Nicholson, Allen Tannenbaum, John H. Thomas, Jeffrey Tithof, Helene Benveniste, Jeffrey J. Iliff, Douglas H. Kelley, and Maiken Nedergaard, The glymphatic system: Current understanding and modeling., iScience 29, 104987, September 16, (2022)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36093063/

13)毛利拡 脳を司る「脳」 講談社ブルーバックス B-2157 2020年刊

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2022年10月30日 (日)

サラの考察17: クッションを死守

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サラ「これ使っちゃダメだよ 私のだから」

私「えええ そんな。もっとふかふかのがあるだろう」

サラ「このさらさらした感じがいいの」

私「えええ もっと猫らしくコタツで丸くなれば! 風邪ひくよ」

サラ「私は私らしくでいいの」

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2022年10月28日 (金)

まだあと1ヶ月はベランダで過ごすサボテン

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このサボテンも2008年のブログに写っているのでかなり古株です。
http://morph.way-nifty.com/grey/2008/12/post-88f1.html

マミラリアという品種のようです。サボテンは小さいうちは水とか日当たりとか大変ですが、ある程度生長するとたまに水さえやって陽が当たる場所に置いておけば、放置で大丈夫な植物です。

ただこの株はいろいろあって主幹を切断することになってしまい、これは残った幹です。枯れてしまうかと思ったら意外に生命力が強くて、ボコボコと新しい幹が出てきています。これからどうなっていくのでしょうか?

サボテンは寒さには強い植物ですが、さすがに氷点下になるとまずいので、私は12月から2月は室内に入れることにしています。冬は動物で言えば冬眠したような状態になるので、水も2週間に1回くらいになります。ですからリビングのような暖かめの部屋はダメで、寝室の窓際あたりが冬越しには適していると思います。私は寝室の冷暖房はほぼしません。

 

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2022年10月26日 (水)

私のインスタントランチ ペペロンチーノ

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青の洞窟のペペロンチーノソースを使ったパスタ。鮭ほぐしとオーガニックベビーリーフをアソート。

香草とにんにくチップはソースに別袋で付いています。私は薄味好きなので少し塩辛く感じます。これならパスタ(バリラ1.7mm)は無塩で茹でるべきだったかも。

 

 

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2022年10月25日 (火)

都響-準・メルクル ムソルグスキー(ラヴェル編曲)「展覧会の絵」@東京文化会館2022/10/24

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11月の都響は初台にはりついてオペラのお仕事なので、このコンサートのあとはしばしのお別れです。薄ら寒いなか上野の東京文化会館にやってきました。今日の指揮者は準メルクル、コンマスはボス矢部、サイドはマキロンです。最近のボス矢部はステージで鎮痛剤を飲むようなこともなく、健康を取り戻して絶好調だそうです。都響の近況としては、最近デイヴィッド・メイソンというヴィオラ奏者が加入しました。彼は達人である上に演奏している姿が絵として素晴らしく、トロンボーンの髙瀨新太郎につぐすごい補強だと思います。オーケストラといえども、聴衆のテンションを上げるうえでビジュアルは意外に重要だと思います。

最初は細川さんの現音で渦という曲ですが、まあ軽井沢のはずれで秋の自然に触れるような音楽。自然にはメロディもリズムもないのでこういう感じかも。ただそれを実行するには旅費・宿泊費がかかるので、文化会館で体験できるのには意味があるかもしれません。自然の音はサラウンドなので、本当は客席が中央で周りで演奏するのがベストかもしれませんが、そういう意味ではテニスコートに客を入れて観客席でオケが演奏するのが良いのかもしれません。

プロコフィエフのVn協奏曲はなんと言ってもソリスト五明佳廉のヴァイオリンの音ですね。あまたのストラディバリウスのなかでもとびきり柔らかい夢のような響きです。この曲は若い頃の作品で、あまりとんがってなくてロマンチックなのがいいです。それでも過去の作曲家の作品とは全く似ていないと思います。こんなすごい楽器を手に入れた演奏家は、この楽器のための人生を送らざるを得なくなるのでしょうが、それはきっと幸福なことです。

休憩後の「展覧会の絵」はラヴェルの編曲が圧倒的に素晴らしい曲で、しかもメルクル都響の面目躍如で素晴らしい演奏でした。ただ今日の都響は、多分すべての管楽器にエキストラを入れていて、これで都響といえるのか?? という疑問がわいてきました。ひょっとすると他のオケとの合併を水面下で画策しているのでしょうか?

 

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2022年10月21日 (金)

続・生物学茶話192 カリウムチャネル

カリウムチャネルはナトリウムチャネルやカルシウムチャネルに比べて生物進化のなかで古くから存在すると言われています(1)。そしてその研究もイオンチャネルのなかでは最も早くから進み、ロデリック・マキノンは細菌のカリウムチャネルの構造をX線結晶解析によって1998年に解明し、2003年にはノーベル化学賞を受賞しました(2、図192-1)。

カリウムは皆様ご存じのように、周期律表をみればナトリウムよりひとまわり大きな原子なので、チャネルのイオンフィルターがカリウムを通過させてナトリウムを通過させないというのは謎でしたが、構造が解明されることによってその理論的な裏付けがとれました(3)。基本的にはカリウムはまわりのカルボニル基のマイナスイオンから均等な位置をとれますが、ナトリウムは片側に吸着されるという差があるようです。そういうわけでナトリウムはカリウムの1000分の1くらいしか通過しないとされていましたが、最近の研究によって80分の1くらいは通過することがわかりました(4)。

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図192-1 マキノンと電位依存性カリウムチャネルの立体構造

カリウムチャネルについては脳科学辞典にわりと詳しい解説があって、初心者もはいっていきやすくなっています(3)。大別するとこのチャネルの核心部を形成するαサブユニットには3つのタイプがあり、最もシンプルなものは2カ所の膜貫通部位とひとつのポア構成部位をもつ2TM(transmembrane)型で、このタイプは4つの分子が集合してイオン通過ポアを構築します(図192-2左)。ふたつめは4カ所の膜貫通部位を持ち、ふたつのポア構成部位をもつ4TM型で、この分子は2個でひとつのイオン通過部位を構築することができます(図192-2中央)。Two-pore domain potassium channel とも呼ばれています。ここで主に取り扱いたいのは最も一般的な図192-2右に示したタイプで、6つの膜貫通部位を持ち、ひとつのポア構成部位を持つ6TM型です。

6TM型はポアから離れた位置にあるN末側の4つの膜貫通部位が電位センサーとして機能し、C末側の2つの膜貫通部位がポア構成部位となります。4分子が集合してひとつのイオン通過ポアを構築します(図192-2右)。基本的には電依存性チャネルですが、一部の6TM型は電位依存性は持たないで、脱分極ではなくカルシウムによって活性化されるチャネルとして機能するものもあります(3)。哺乳類は2TM・4TM・6TMのすべてのタイプのカリウムチャネルを持っており、細菌の時代から生物進化の過程で構築されてきた分子型をすべて廃棄せず保有していることになります。しかもそれぞれのタイプにはさらに細かいバラエティーがあり、膨大な分子集団が多様な仕事をしていてまだ不明な点も多いようです(3)。

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図192-2 さまざまなタイプのカリウムチャネル

イオン通過ポアの開閉はダイナミックな分子構造の変化によって行われるようで、特にオープン時の細胞質部分にみられる分子が傘が開くように構造変化する様子には驚かされます(5-7、図192-3)。ただすべてのカリウムチャネルの開閉がこのように行われるとは限らないようで、チャネルの種類によってメカニズムは多様で、βサブユニットの関与もあるようです(3)。

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図192-3 カリウムチャネル開閉時の立体構造

図192-4はカリウムチャネルから派生した分子群の系統図で、これらのほとんどがヒトにも存在するということには驚かされます(6、7)。ナトリウムチャネルやカルシウムチャネルもカリウムチャネルから派生した分子群ですが、これらが神経伝達や筋収縮のキープロセスを担っていることはもちろんですが、この親戚筋にあたる図の緑系の分子群は精子のCatSperだけでなく、痛覚・味覚・温度感知・血圧・視覚などに関与する TRP(transient receptor potential channel) も含みます(8)。

赤・橙・ピンクで示されている分子群がいわゆるカリウムチャネルを構成しています。カリウムチャネルの最も一般的な役割は、電位依存性カリウムチャネルが担っている脱分極した細胞をカリウムイオンを放出することによってもとの静止電位にもどすことですが、Inwardly Rectifier K+ channels (または Inward-rectifier potassium channel)はカリウムを取り込む(回収する)役割を担っています。

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図192-4 カリウムチャネルファミリーの分子系統

電位依存性カリウムチャネルの種類・機能・分布について、脳科学辞典の記載のほかいくつかの文献を参考にリストアップしてみました(3、9-12、図192-5)。まだよくわかっていないことも多いようです。興奮性の制御とはカリウムを放出して脱分極した細胞を静止電位にもどすことですが、カリウムを出したままでは困るのでいずれ取り込まなければいけません。この作業は主に2TM型のKirという分子が担っているようです(図192-2、192-4)。

このほかにも Two-pore domain型やカルシウムによって活性化されるタイプなど、アイソフォームを含めると非常に多くの種類のカリウムチャネルがあり、詳しい研究が行われていないものも多いようです。

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図192-5 電位依存性カリウムチャネルのアイソフォームとその性質

最後にペンシルベニアのジグラらの興味深い仮説を紹介しておきましょう。カリウムチャネルはもともとショウジョウバエのシェイカー変異をもたらす遺伝子の産物として注目され、同じ6TMタイプであることから、植物のカリウムチャネルもプラントシェイカータイプと呼ばれていましたが、彼らは分子構造の詳細から見て植物のチャネルは動物のシェイカー型とは全く異なる出自であることを示しました(13)。

特に興味深いのは、彼らの図によると動物(メタゾア)は細菌由来と古細菌由来のチャネルを保有していますが、植物は細菌由来のものだけを保有していることになっています(図192-6)。これが真実であるとするならば、ウィルスによる遺伝子の水平伝播ということも考えられるでしょう(14)。

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図192-6 カリウムチャネルの進化

参照

1)Peter A.V. Anderson and Robert M.Greenberg, Phylogeny of ion channels: clues to structure and function., Comparative Biochemistry and Physiology Part B: Biochemistry and Molecular Biology vol.129, issue 1, pp.17-28 (2001)
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1096495901003761?via%3Dihub

2)ウィキペディア:ロデリック・マキノン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%87%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%AD%E3%83%8E%E3%83%B3

3)脳科学辞典:カリウムチャネル
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB

4)Kenichiro Mita, Takashi Sumikama, Masayuki Iwamoto, Yuka Matsuki, Kenji Shigemi, and Shigetoshi Oiki, Conductance selectivity of Na+ across the K+ channel via Na+ trapped in a tortuous trajectory., Proc. Natl. Acad. Sci. USA vol.118, no.12, e2017168118 (2021)
https://doi.org/10.1073/pnas.2017168118
https://www.pnas.org/doi/epdf/10.1073/pnas.2017168118

5)Jiang, Y., Lee, A., Chen, J., Cadene, M., Chait, B.T., Mackinnon, R., Crystal Structure and mechanism of a calcium-gated potassium channel, Nature vol.417: pp.515-522 (2002) DOI: 10.1038/417515a
https://www.nature.com/articles/417515a

6)Educational portal of  PDB (PDB-101)
https://pdb101.rcsb.org/motm/38

7)Wikipedia: Potassium channel
https://en.wikipedia.org/wiki/Potassium_channel

8)Wikipedia: Transient receptor potential channel
https://en.wikipedia.org/wiki/Transient_receptor_potential_channel

9)澤田光平,日原裕恵,吉永貴志  電位依存性イオンチャネル探索研究における蛍光および電気生理学的高速スクリーニング(HTS)法
日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)126,321~327(2005)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/126/5/126_5_321/_pdf

10)Yuanzheng Gu, Dustin Servello, Zhi Han, Rupa R.Lalchandani, Jun B. Ding, Kun Huang, Chen Gu, Balanced Activity between Kv3 and Nav Channels Determines Fast-Spiking in Mammalian Central Neurons., iScience, vol.9, pp 120-137 (2018)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30390433/

11)H. Ying; D. J. Ramsey; H. Qian, The Potassium Channel kv12.1 Is an Interactor for the Go Subunit in Mammalian Retina.,
Investigative Ophthalmology & Visual Science., Vol.49, 1289 (2008)

12)Guo, J., Cell Surface Expression of Human Ether-a-go-go-Related Gene (hERG) Channels is Regulated by Caveolin-3 via the Ubiquitin Ligase Nedd4-2., The Journal of Biological Chemistry, 287(40), 33132-33141 (2012)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22879586/

13)Timothy Jegla, Gregory Busey, and Sarah M. Assmann, Evolution and Structural Characteristics of Plant Voltage-Gated K+ Channels., The Plant Cell, vol.30: pp.2898–2909 (2018)
http://www.plantcell.org/cgi/doi/10.1105/tpc.18.00523
file:///C:/Users/Owner/Desktop/192/Plant%20potassium%20channels.pdf

14)Gerhard Thiel, Anna Moroni, Guillaume Blanc, and James L. Van Etten, Potassium Ion Channels: Could They Have Evolved from Viruses? Plant Physiology, vol. 162, pp.1215–1224 (2013) http://www.plantphysiol.org/cgi/doi/10.1104/pp.113.219360
file:///C:/Users/Owner/Desktop/192/Kion%20channel%20Thiel.pdf

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2022年10月18日 (火)

サラの考察16: 冬に備えて

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これはサラが自主的にハウスに入居したのではなく、冬に備えて暖かいハウスになれてもらうために私が運んだのですが、サラは意外にもすぐには移動せず首だけだしてしばらくくつろいでいました。でもやっぱりここを住処とすることはなく、1時間くらい経つと出て行って私の座椅子に落ち着きました。人間が良かれと思って用意した場所をサラが気に入ることはほとんどありません。

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サラ「私は閉所恐怖症だけど、首が外に出ているとちょっぴり安心かも」

私「もうすぐ冬だけど、それじゃ困るよね。ミーナはよく布団にもぐっていたけれど、サラはどうするんだい」

サラ「こたつくらいの広さがあればギリ大丈夫なのよ」

私「じゃあそろそろコタツを出すとするかな」

植物の冬支度も必要です。ベランダの植物で一番寒さに弱いのはコーヒーで、もうそろそろ限界で取り込まなければいけません。うちに来て5年目ですが花は咲かず実もつけません。ガジュマルとサボテンは20年以上うちにいますが、彼らはあと1ヶ月くらいは外で大丈夫です。

家に取り込むには、ガジュマルは超重量級なので腰痛に注意しなければいけませんが、それよりも家の中に場所を確保するのが大変です。もうそろそろ限界かもしれません。もらってくださる方がおられたらコメントください(コメントしても内容が直ちに表示されることはありません。個人情報が含まれる場合表示はいたしません)。もちろん無料ですが、私の家までクルマでとりにきていただく必要があります。冬には陽が当たる室内に1.5mx1.5mくらいのスペースが必要です(12月~2月)。20年も経てば本来は大木になっているはずの木ですが、うちのは盆栽化しています。

写真:http://morph.way-nifty.com/grey/2019/10/post-847354.html

 

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2022年10月15日 (土)

木星大接近

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私は特に星に興味は無いので普通に夜空を見上げるだけなのですが、木星が非常に明るいので人に聞いてみたら、地球と木星が大接近しているそうで、なんと手持ちのコンデジで撮影できるほどです。次の大接近は12年後だそうで気がついて良かったと思います。

https://turupura.com/new/2022/2209_99.html

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木星はとても人が住めるような星ではないのですが、衛星が80個もあってそのなかにはエネルギ-と水さえ確保できれば住める場所があるかもしれません。この写真に写っている衛星はイオとエウロバだそうです(パブリックドメイン)。

そんな毒にも薬にもならないことを書いていたら、1ドル=148円というニュースが耳に入ってきました💥。

昨今非常に腹立たしいのはリフレ派に日銀が乗っ取られていることで、異常な円安になっても何もできない彼らは日本にとって害虫でしかありません。これは晋三の負の遺産の最たるものです。野口悠紀雄氏(一橋大学名誉教授)はこう言っています「円安によって自動的に輸出企業は儲かるため、企業は技術開発したり、新しいビジネスモデルを構築してこなかった。だから、日本経済の体力が衰えたのです。そして、足腰が立たない状態になった」そもそも金融緩和はすべきではなかった?「もちろんそうです。大企業や株式を所有している人にとってはプラスでも、国民の大半を占める働く者にとっては良くなかった。賃金が上がらず、物価だけが上がってしまっている。日銀は大企業の利益を重視し、働く者を無視してきました」

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/312110

リフレ派はとっくに学派ではなく、国家の中枢で政策を実行している責任者であり、失敗すれば当然責任をとるべきです。



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