2017年6月26日 (月)

カムチャッカ・クリルの異変

ハザードラボによると(http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/0/20760.html)、カムチャッカ半島の4火山と千島列島北端のパラムシル島の火山がほぼ同時に噴火したそうです。それぞれの火山の位置は下の地図に示します。

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なかでもユーラシア大陸最大の活火山クリュチェフスカヤ山(4750m 標高は噴火のたびに変わる 下の写真)も大噴火したそうで、非常に大規模な火山活動が半島全体と千島列島の北部ではじまったと考えられます。

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富士山も近々噴火すると考えておいた方がよいかもしれません。昔の団地では高い場所に貯水槽が設置されていて、各棟に重力で水が供給されていましたが、現在は貯水槽が地下に有り(あるいは貯水槽のない水道直結方式)、ポンプで随時高い位置にある住居に供給しています。この方式では地震や火山の噴火などで停電した途端に水道が停止し、住民は難民になります。

このことを真剣に考える雰囲気はまだありません。困った問題です。

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2017年6月24日 (土)

暗澹

Photo_2大きな団地に住んでいますが、ずっと隣は何をする人ぞでした。

しかし管理組合の活動をお手伝いするようになって、全く違った景色が見えてきました。

お金持ちなのに行方不明の方がいたり、

車を盗まれた方がいたり、

管理費を支払わない人がいたり、

理事長に脅迫状まがいの手紙を出す人がいたり、

毎日管理事務所に来てクレームをつける人がいたり、

集会室の机にドスを突き立てる人がいたり、

正義をつらぬいたために団地を追い出された人がいたり、

管理組合を思うがままに支配しようとする派閥があったり、

話をまとめようとするべきなのに、ひっくり返して永遠に解決しないことを望む人がいたり、

ほとんど無給なのに、毎日管理事務所に出勤して黙々と仕事をこなしている理事長がいたり、

どんな書類もすらすらと書き上げてしまう達人がいたり、

総会で委任状も出さない人が大勢いたり、

中国や東南アジアの方がいたり、

こういう様々な人と関わりを持って毎日を生きる世界とは、私が住むべきではない異世界であることを痛感して暗澹たる毎日ですが、いくばくかの貢献をすることは住人の義務だと思うので、年季が明けるまでは辛抱しようと思う今日この頃です。


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2017年6月22日 (木)

やぶにらみ生物論77: ミトコンドリア

ミトコンドリアは「呼吸」について述べたところで、やや詳しくとりあげました(1)。ここではミトコンドリアという構造体について、もっと基本的なところからあらためて展開したいと思います。

ミトコンドリアを発見したのは、ミーシャーの協力者であり、「nuclein ヌクレイン」 を正しく 「nucleic acid 核酸」 と改名したリヒャルト・アルトマンです。ミトコンドリアはそのままでは光学顕微鏡による観察でサイズが小さすぎて見えないのですが、適切に固定・染色すれば細菌と同様観察することができます。アルトマンはその固定法や染色法を工夫して、あらゆる細胞の中に細菌のような生物が棲息していることを示唆しました。1890年頃のことです。アルトマンはそれをバイオブラストと命名し、シンビオント(共生体)であることを早くも予想していました(2、3)。

現在ではゲノムの解析などから、ミトコンドリアが αプロテオバクテリア にその起源を持つことは一般的に認められていますが、当時ではまさに荒唐無稽な説であり、アルトマンが言うところのバイオブラストは固定・染色のアーティファクトだとされて、全く相手にされなかったようです。そのためアルトマンは晩年は自室に引きこもって隠遁生活を余儀なくされたそうです(2、3)。アルトマンは21世紀になってから再評価されて、著書も復刻されました(図1)。彼はわずか48歳で他界していますが、その肖像は異様に年老いてみえます(図1)。悩みの多い人生だったことがうかがえます。

しかし当時から小数ながら彼を支持する研究者もいて、1898年にカール・ベンダはアルトマンのバイオブラストが、あるときには糸(mito in Greek)、あるときには顆粒(chondros in Greek)に見えることから、改めてミトコンドリオン(複数はミトコンドリア)と命名しました。さらに1900年にはレノア・ミカエリスが生細胞をヤヌス・グリーンという色素で染めてミトコンドリアを観察することに成功し、しだいにミトコンドリアはその存在を認められるようになりました(3)。

1960年代にはリン・マーギュリスがミトコンドリア=シンビオント説を再興し(4、図1)、現在ではそれが広く認められるようになりました。参照文献の著者がリン・セーガンとなっているのは、当時彼女がカール・セーガン(映画「コンタクト」の原作者:主演ジョディ・フォスターが素晴らしく、ストーリーもうまくできているのでおすすめします)の奥様だったからです。

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ウィキペディアによると、ヒトの場合ミトコンドリアの総重量は体重の約10%を占めるとされています(5)。確かに肝臓の細胞などを観察していると、そのことが納得できるくらい頻繁にミトコンドリアをみつけることができます。ヒトの場合ひとつの細胞に、平均すると数百個のミトコンドリアが存在すると言われています。ただ酸素を運ぶのが仕事の赤血球では、ミトコンドリアが途中で酸素を使ってしまうのを防ぐために、ミトコンドリアを消滅させています(6、7)。消滅させるメカニズムは、大隅先生のノーベル賞授賞で有名になったオートファジーなどです(6、7)。角質化した細胞(表皮上層部・爪・毛など)にもミトコンドリアはみられません。

ミトコンドリアは図2のように、いちばん外側は進化上真核生物に由来すると思われる外膜に包まれ、その内側に細菌(シンビオント)由来と思われる内膜が存在します。内膜は外膜を裏打ちしているわけではなく、ときおり細胞内に突出する場合があり、この構造をクリステといいます(図2)。外膜と内膜の間やクリステには膜間腔という狭い空間があります。内膜の内側にはマトリックスと呼ばれる細胞質があり、核はなくミトコンドリアDNAがあります(図2)。ひとつのミトコンドリアには通常数コピーのミトコンドリアDNAがあるようです(5)。DNAは裸ではなくタンパク質でラップされている状態にあるようです。

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ヒトを含めて多くの動物のミトコンドリアDNAに含まれる遺伝子は、リボソームRNAが2つ、トランスファーRNAが22、その他ATP合成酵素など13、計37個(8、図3)で大腸菌が約4000個の遺伝子を持つことを考えると、シンビオントが共生をはじめてから、進化の過程でほとんどの遺伝子がホスト(ヒト)のゲノムに移行または吸収されてしまったことが示唆されます。これはおそらくミトコンドリアが独立した生物として、勝手に増殖や機能発現を行わないように制御するためと思われますが、ここまで徹底的に移転させたのには、それなりの理由または特別なイベントがあったのかもしれません。ミトコンドリアの呼吸鎖複合体4つのすべては、ホストのゲノムにコードされているタンパク質がなければ活動できないので、ミトコンドリアにおけるATP産生はホストによって決定的に規制されています。

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ミトコンドリアDNAは円形(サーキュラー)でかつ非常に小さいので、ウィルスやプラスミドが行うようなローリングサークル型DNA複製を行います。これは図4のように、トイレットペーパーを引き出すような形で、とりあえず片側のDNAだけをタンデムに複数コピー作成し、切断・二重鎖化・環状化はそのあとゆっくり進行させるというやり方です。

このやり方のひとつの利点は、1個のミトコンドリアに「変異が蓄積して不要なDNA」と「無傷のDNA」が共存した場合、ミトコンドリアが分裂したときに無傷のDNAをローリングサークルで多数複製し、それを娘ミトコンドリアに送り込むことができるということです。これは1種のクローニングで、そうしてできた娘ミトコンドリアは新品同様なので、卵母細胞などメスの生殖細胞ではこのようなミトコンドリアが使われていると考えられます(9)。

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ミトコンドリアは静的な存在ではなく、しばしば融合や分裂を繰り返す動的な存在です。ミトコンドリアを縊り切って分裂させる装置の主役となるタンパク質は、細菌のチュブリンファミリーや真核生物のアクチンファミリ-ではなく、なんとダイナミンファミリーの Drp (哺乳類の場合)です(10、11、図5)。驚くべき事に彼らは過去の分裂装置を捨て去り、ホストの分裂装置も借りないで、全く新しい生き方を選びました。ホストの細胞内という環境の中で、ホストと自分自身の生存に有利な方向に進化してきたのでしょう。

しかも新しい分裂装置を獲得する中で、ミトコンドリア同士を融合するシステムを獲得しました(図5)。図5に示したダイナミンファミリーの Drp、 Mfn、Opa、の他にも多くのタンパク質が細胞融合にかかわっているようです(11)。獲得したと言いましたが、もちろんミトコンドリアが独自に進化したのではなく、これらのダイナミンファミリーの遺伝子はすべてホストのゲノムに存在しているので、ホストの進化といっても良いわけです。

ミトコンドリアの融合がなぜ有用なのかは、まだ完全に理解されているわけではありませんが、例えばDrp1の突然変異が重篤な新生児致死の原因となる、Mfn2 に変異が生じると末梢神経に障害をもつ神経変性疾患である Charcot-Marie-Tooth 病に罹患する、Opa1 の変異は視神経形成異常となるDominant Optic Atrophy の原因となるなどが報告されています(11、12)。ローリングサークルで大量のDNAを合成した場合、その事後処理のため大型のミトコンドリアが必要とも考えられます。心筋などでは多量のATPが必要とされるので、ミトコンドリアが巨大化し、かつびっしりと繋がって存在する場合があります(13)。

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ミトコンドリアは現在ではリボソームRNA遺伝子やシトクロムc遺伝子の構造比較から、αプロテオバクテリアに起源するとされており、そのなかでもリケッチアあるいはその祖先に近いとされるペラジバクター(現在でも海洋に浮遊する普通種)が起源ではないかと言われています(5)。

話は変わりますが、ミトコンドリアは母親から受け継がれるので、ミトコンドリアDNAの塩基配列を解析し系統樹を作成すると、最初の一人の母親にたどりつくという研究があります。そのアフリカに住んでいたとされる母親はミトコンドリア・イヴと呼ばれることもあります。ただし聖書のようにその母親からすべての人類が生まれたわけではなく、たまたま20万年もの間、子供に必ず女性がいたというとてもめずらしい家系の頂点にいる女性ということです。ミトコンドリアが母親から受け継がれるというのは真実で、それなら精子のミトコンドリアは受精後どうなってしまうのでしょうか?

図6のように受精後しばらくは精子のミトコンドリアも受精卵の中で生きているのですが、融合や増殖は禁止されています。そして受精卵が分裂を繰り返し個体に発生していく過程で、父系のミトコンドリアはオートファゴソームという袋につつまれて分解(オートファジー)されてしまいます(14、15)。父系のミトコンドリアをすべて殺してしまうというのが生物にどんなメリットを与えるのかはよくわかっていません。卵子ではミトコンドリアの品質がきちんと管理されているが、精子では管理されていないということも考えられます。

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ミトコンドリアは酸素を使って代謝を行っている上、鉄も多く含むため、活性酸素が発生しやすい条件が整っています。活性酸素はタンパク質・脂質・核酸などの生体物質と反応して変質させることがあります。したがってミトコンドリアは常に劣化する危険にさらされています。劣化したミトコンドリアは通常オートファジーによって排除されますが、それでも間に合わない場合、ミトコンドリア内部からシトクロムcというタンパク質が放出され、ホストの細胞ごと自殺に導くという究極のプロセスが発動します。

このプロセスはアポトーシスと呼ばれており、もともと細胞が修復不能なダメージを受けたとき、p53というタンパク質がシグナルとなってミトコンドリアに情報を伝え、それにミトコンドリアが反応してシトクロムcを放出するというメカニズムがあるのですが(図7)、それを利用してミトコンドリアの品質管理が行われることもあり得るということです。

真核生物はミトコンドリアからほとんどの遺伝子を奪い取りましたが、一方で自らの生死をミトコンドリアの指令によって決めるというメカニズムを構築しました。不思議な進化の物語です。

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ミトコンドリア遺伝子の異常、ミトコンドリア品質管理の異常などが原因の疾患はいろいろ知られています。詳しくはウィキペディアのミトコンドリア病の項などを参照していただきたいですが、アルツハイマー病やパーキンソン病にミトコンドリアの機能不全が原因とおぼしきものがあるらしいそうで、これはちょっとした驚きです(16)。

参照

1)http://morph.way-nifty.com/grey/2017/05/post-d4be.html

2)Brian O'Rourke, From Bioblasts to Mitochondria: Ever Expanding Roles of Mitochondria in Cell Physiology., Front Physiol., vol. 1: article 7, pp. 1-4 (2010)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3059936/pdf/fphys-01-00007.pdf

3)Carolyn Csanyi, Discovery of the Mitochondria, Sciencing (2017)
http://sciencing.com/discovery-mitochondria-20329.html

4)Lynn Sagan  On the origin of mitosing cells. J. Theoretical Biology vol. 14(3), pp. 255-274. (1967) PMID 11541392 doi:10.1016/0022-5193(67)90079-3

5)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2

6)H. Takano-Ohmuro, M. Mukaida, E. Kominami, K. Morioka., Autophagy in embryonic erythroid cells: its role in maturation. Eur. J. Cell Biol., vol. 79, pp. 759-764 (2000).

7)S. Honda et al., Ulk1-mediated Atg5-independent macroautophagy mediates elimination of mitochondria from embryonic reticulocytes. Nat. Commun.  Jun 4; vol. 5: 4004. (2014) doi: 10.1038/ncomms5004
http://www.natureasia.com/ja-jp/jobs/tokushu/detail/329
http://www.nature.com/articles/ncomms5004

8)Jeffrey L. Boore, Animal mitochondrial genomes., Nucleic Acids Res., vol. 27 (8): pp. 1767-1780 (1999),  DOI: https://doi.org/10.1093/nar/27.8.1767
https://academic.oup.com/nar/article/27/8/1767/2847916/Animal-mitochondrial-genomes

9)Feng Ling, Rong Niu, Hideyuki Hatakeyama, Yu-ichi Goto, Takehiko Shibata and Minoru Yoshida, "ROS stimulate mitochondrial allele segregation towards homoplasmy in human cells", Molecular Biology of the Cell, vol. 27:10 pp. 1684-1693 (2016)  doi: 10.1091/mbc.E15-10-0690
http://www.molbiolcell.org/content/27/10/1684.full.pdf+html?sid=f44cb659-f009-4cb0-9842-939478677381
http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160428_1/#note5

10)石原直忠、 融合と分裂によるミトコンドリアの形態制御の分子機構と生理機能 生化学 vol. 83, no.5, pp. 365-373 (2011)

11)伴 匡人,後藤雅史,石原直忠、ミトコンドリアの融合と分裂 その意義と制御機構 化学と生物 vol. 53, no.1, pp. 27-33 (2015)

12)H. R. Waterham, J. Koster, C. W. T. van Roermund, P. A. W. Mooyer, R. J. A. Wanders & J. V. Leonard:  A Lethal Defect of Mitochondrial and Peroxisomal Fission.  N. Engl. J. Med., vol. 356, pp.1736-1741, (2007).

13)http://www.cellimagelibrary.org/images/7567

14)佐藤美由紀  父由来のミトコンドリアが消されるしくみ 生命誌 vol.84-87 「つむぐ」 新曜社 pp. 100-105 (2016)
http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/085/research/2.html

15)佐藤美由紀、佐藤健  ミトコンドリアゲノムの母性遺伝のメカニズム オートファジーによる父性ミトコンドリアの分解 化学と生物 vol. 50 (7) pp. 479-480 (2012)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/50/7/50_479/_pdf

16)田中敦、Richard J Youle  ミトコンドリアの品質維持とパーキンソン病 細胞工学 vol. 29 (5) pp. 431-437 (2010)

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2017年6月21日 (水)

都響・大野-ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」@東京芸術劇場2017年6月21日

Imgaaa_2久しぶりの都響ですがなんと暴風雨。これは矢部ちゃんが雨男から嵐を呼ぶ男に昇格したのでしょうか? いや今日は彼はサイドで、コンマスは四方さんでした。指揮は音楽監督・小野和士。

池袋芸劇のホールにはいると、ビデオカメラが10台くらい設置してあり、ブルーレイ/DVDに収録するようです。ほぼ満席で、平日昼のコンサートは営業絶好調です。

メンバーはほぼ最強シフト。「牧神」はお馴染み曲ですが、いつもは南方担当のイングリッシュホルンを大植が担当。立派にミッションコンプリート。フルートソロは柳原でしたが、しょっぱなだけちょっと硬い感じでした。しかしその後素晴らしい演奏でミッションコンプリート。良い感じでした。

ダンディ「フランス山人の歌による交響曲」は、ホールで聴いたのは初めてです。ピアノが効果的に使われている曲でした。メロディや雰囲気もなかなか良い曲です。CD買ってみようかな。いや今日の演奏のDVDが出版されるまで待つべきか?

後半のベートーヴェン「田園」交響曲はマエストロ大野&都響の真骨頂でした。エレガントで繊細、隅々までコントロールされた完璧な演奏というのはこういうものですか・・・。

しかし何というか、硝子ケースの向こうにある、匠細工のジュエリーペンダント(数千万円?)を眺めているという感じで、もどかしい。都響と大野だけで近寄りがたい神がかった世界で遊んでいて、私たちはそこに連れて行ってくれないし、もちろん仲間には入れてもらえないという不思議な気分。カラヤン&ベルリン・フィルの演奏でもそういう気持ちになったことがあります。

マエストロ大野がベストテン上位からはずれるというのも、そういう感覚が影響しているのではないかと思いました。ですからこんなにすごい演奏なのに、客席の反応はわりとあっさりなんですね。

ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」
https://www.youtube.com/watch?v=06qDsdcqm1M

ダンディ「フランス山人の歌による交響曲」
https://www.youtube.com/watch?v=g5nIkXsW86Q 

ベートーヴェン「田園」交響曲
https://www.youtube.com/watch?v=aW-7CqxhnAQ

(↑ダニエル・バレンボイムはちゃんと連れて行ってくれる)

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2017年6月17日 (土)

憲法9条改正の危うさ

300pxdokdo_20080628panorama日本が領土と称している係争地域の中で、竹島は特別なものです。それは他の地域と違って、連合国が日本の領土として、下記の様にサンフランシスコ講和条約で明確に認めていることです。
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竹島の扱いについては草案から最終版までに下記の変遷を辿っている。
1947年3月19日版以降 日本は済州島、巨文島、鬱陵島、竹島の4島を放棄すること。 1949年11月14日、アメリカ駐日政治顧問ウィリアム・ジョセフ・シーボルドによる竹島再考の勧告。「これらの島への日本の主張は古く、正当なものと思われる。」

1949年12月29日版以降 日本は済州島、巨文島、及び、鬱陵島を放棄すること。日本の保有領土の項に竹島を明記。
1951年6月14日版以降 日本は済州島、巨文島、及び、鬱陵島を放棄すること。(日本の保有領土の項は無くなる) 1951年7月19日、韓国政府、日本が済州島、巨文島、鬱陵島、独島(竹島)、及び、波浪島を放棄すること条約に盛り込むことを求める[注釈 6]。
1951年8月10日、米政府より、竹島は韓国の領土として扱われたことは無く、1905年以降日本領であるとし拒絶される(ラスク書簡)。

1951年9月8日版(最終版) 日本は済州島、巨文島、及び、鬱陵島を放棄すること。
(ウィキペディアより)
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もし自衛隊を軍隊として憲法で明確に規定した場合、国土を防衛するはずの軍が竹島を放置しているのはおかしいということになるでしょう。国論が何かのきっかけで盛り上がってしまうと、政府は韓国と開戦せざるを得なくなるかもしれません。現在の憲法では日本は軍隊を持たず、戦争をできないことになっているので、不満ながらも竹島に自衛隊を送ることはしていません。

日本は竹島について国際司法裁判所に提訴すべきですが、それはそれとして、もし9条を変えるなら、その前に竹島と尖閣諸島の問題を何らかの形で決着しておかないと、非常に危うい感じがします。

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憲法第9条:

1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
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2017年6月15日 (木)

クッキー

Img_1901イオンで売っていたインドネシアのクッキー。なにか懐かしい味がします。

米国製のクッキーより好ましい感じ。

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晋三の内閣官房のトップ13名のうち、警察出身が3名。警察を味方につけておけば、何やっても大丈夫ってことですか。

http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/kanbu/


おそらく民進党政権で、総理が友人に利益供与なんてしていたら、あっというまに総辞職か、下手すると韓国のようになっていたのではないでしょうか?

人間は権力を持つと、人の良い人間ほど、家族・友人・世話になった人々に利益供与しようとするものです。

蓮舫が同じ空気を吸うのも嫌だと言っていましたが、まったくその通りです。さてクッキーでも食べて機嫌を直しますかね。

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2017年6月13日 (火)

やぶにらみ生物論76: 細胞骨格3

これまでにも述べてきましたように、マイクロフィラメントや微小管は細胞骨格というより、細胞移動・細胞内輸送・細胞分裂などを実行するためのツールであり、変動も激しくそのためにATPやGTPを大量に使用します。それらと比較すると中間径繊維は安定で、形成にATPやGTPを必要としないので、細胞骨格という名前にふさわしいかもしれません。

中間径というのは、約6nm径のマイクロフィラメントと約25nmの微小管の中間のサイズ=約10nmという意味です。

図1はケラチンを例にとりましたが、Ⅰ型とⅡ型のケラチンがヘテロ2量体をつくり、そのヘテロ2量体がアンチパラレルに結合して4量体を形成し、それらが4本集まってプロトフィブリルを形成します。プロトフィブリルが多数集まって、中間径繊維ができあがります。このような構造を形成するためにATPやGTPは消費しません。

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中間径繊維も伸長や短縮を行いますが頻繁ではなく、基本的には細胞の形態を決めるのに役立っているとも言えますが、実際にはそんなに単純ではなくて、例えばケラチンの場合、その生理的意義は多岐にわたっており、角化によって水分の蒸発を防ぐ、細菌やウィルスの侵入を防ぐ、紫外線のダメージを吸収する、体温を維持する、捕殺や負傷を防ぐ、敵を突き殺す、指先に力を与える、蹄で体重をささえて走る、羽毛で空を飛ぶ、など数えきれません。

中間径繊維を構成するタンパク質は図2のように多数のグループがあり、通常それぞれのグループに複数の種類のタンパク質が所属します。グループを越えて複合的な繊維をつくることは一般的にはありません。ケラチンは上皮組織、ビメンチンは間充織、デスミンは筋肉、ニューロフィラメントは神経など特定の組織で発現するタンパク質が多いのですが、ラミンだけは例外的に広汎な組織にみられます。

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各タンパク質の分子構造をみていきますと、図3のように、すべてNH2側(N末)とCOOH側(C末)にαヘリックスやβシートを形成しない領域があり、中央にαヘリックスからなるロッド領域があるという形で、3つのドメインで構成されています。ロッド領域は2~3ヶ所の非αヘリックスリンカーで分断されています。

ロッド領域で多数の分子がパラレルに結合することによって太いケーブルが形成され、C末とN末がタンデムに結合して長いケーブルとなります。他の分子はすべて細胞質にありますが、ラミンだけは核にあるのでC末ドメインに核局在配列が存在します。(分子量は5万~7万です)。

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ケラチンは注意深くない生化学者には嫌われているタンパク質です。というのはラーメン店でスープを指にかけながら持ってくるウェイトレスのような研究者もいて、電気泳動槽のバッファに指をちゃぽちゃぽ浸しながら移動させることがあるので、そうなると皮膚のケラチンが検出されます。風呂に入っていない研究者だとフケが落下したりもします。

ケラチンにはSHが多く(髪が焦げると硫黄の臭いがします)、となりの分子のSHと結合してSS(ジスルフィド結合)を形成するので、分子の独立性は失われ、やや大げさに言えば毛髪・爪・角・鱗などはひとつで1巨大分子ということになります。ケラチンは肝臓のような柔らかい組織にもあるので、存在場所に応じて多くの種類があります。ヒトを含めて動物は数十種類のケラチン分子種すなわち遺伝子を保有しています。

ケラチンを発見したのは誰だか判りませんが、16世紀の中国の薬草学者李時珍(Li Shih-chen 図4)が治療に用いていたことが、私は未読ですが、彼の大著「本草綱目Compendium of Materia Medica」から読み取れるそうです(1、2)。最初にケラチン遺伝子の配列を決めたのはハヌコグルとフックスです(3、図4)。

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これはややめずらしいことだと思いますが、たとえばヒトの場合、I 型ケラチングループの各遺伝子は第17染色体の特定部位に、II 型ケラチングループの各遺伝子は第12染色体の特定部位にぎっしりかたまって存在しています。しかも上皮ケラチン・毛根鞘ケラチン・毛&爪ケラチンはそれぞれクラスターを形成しています。偽遺伝子もいくつかみつかっています(図5)。ケラチンの大きな特徴として、表皮・毛髪・爪・角・鱗などの死細胞においても、垢・雲脂・生え替わりなどで外界に廃棄されるまで、その機能を果たしていることが上げられます。

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ビメンチン(分子量57,000)は発見者がはっきりしています。ドイツのマックス・プランク研究所の Franke WW, Schmid E, Osborn M, and Weber K. です(4)。オズボーンとウィーバー(夫妻)は生化学に手を染めた者なら誰でも使ったことがある米の飯のような「SDS-PAGE」という分析法を開発したことで有名な研究者です(図6)。フランケは近年はアンチ・ドーピングの研究者としても有名です(5、図6)。

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図7Aはマウス胎児の皮膚で私が撮影したものですが、ビメンチンが茶色に染まっています。表皮や毛包の上皮性組織はほとんど染まらず、間充織である真皮や毛乳頭はよく染まっていることがわかります。違いが明白なので、腫瘍が上皮性か間充織性かを判別するのに、ビメンチンの染色が使われています。図7Bは細胞内におけるビメンチンの分布です。核を包み込むような感じですが、ミトコンドリアや小胞体と結合する場合もあるようです(6)。

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ビメンチンの機能はかなり微小管が代替することができるようではっきりとわかっていませんが、細胞に弾力を与えたり、オルガネラを保護するような役割があるようです(6)。ビメンチンの遺伝子を欠損すると負傷からの回復が遅れるという報告もあります(7)。

デスミン(分子量53,500)は筋細胞に特異的に存在するタンパク質で、デスミンがつくる繊維は細胞骨格と言うより筋組織のパーツとしての役割を担っています。。ラザリデスのグループによって発見され(8)、遺伝子配列はLi Zhenlin(9)らによって解明されました。デスミン遺伝子を欠損させたマウスでは、正常な筋肉組織が形成されないことが明らかになっています(10)。デスミン遺伝子の突然変異によるヒト筋肉疾患も報告されていま(11)。

デスミン繊維は横紋筋細胞では図8のように配置されていて、筋原繊維のZディスク同士、Zディスクと筋鞘(サルコレンマ)のコスタメア、Zディスクとミトコンドリアや核を連結しています(12)。

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ニューロフィラメントは神経細胞に特異的に出現する中間径繊維で、発見者は F.C. Huneeus & P.F. Davison です(13)。構成しているタンパク質は3種類の分子量がかなり異なるアイソフォームで、それぞれNF-H (分子量 200-220 kDa)、 NF-M (分子量145-160 kDa)、 NF-L (分子量68-70 kDa)と命名されています。軸索の内径を広げて、神経伝達がスムースに行われるようにするという説があります(14)。

類似したタンパク質にα-インターネキシン(分子量66kDa)というのがありますが、図9のようにニューロフィラメントタンパク質(グリーン)とは異なる細胞(図9の場合は未分化な神経細胞 レッド)に発現する場合があります。神経細胞にはこの他にネスチン、ペリフェリンなどの中間径繊維形成タンパク質も発現します。

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最後にラミンですが、ラミンだけは核に局在しているタンパク質で、ラミン繊維は核ラミナと呼ばれる核膜を裏打ちしている構造となっています。初期の研究は Aaronson RP と Blobel G によって行われました(15)。10年後には遺伝子配列も明らかになりました(16)。

ラミンは真核生物が出現すると同時に生まれたのではないようです。ヒドラからヒトまですべての動物(後生生物)にあるのですが、植物・カビ・単細胞生物は持っていません。このことはラミンが動物独特の体細胞分裂に関与していることを示唆しています(17、18)。また核内での染色体の位置決めとかDNAの転写にも関与しているかもしれません(18)。

ラミンにはAタイプとBタイプがあり、それぞれ別の遺伝子にコードされています。CタイプとAタイプは同じ遺伝子にコードされており、選択的スプライシングによって生成されたものです。Cタイプも含めたAタイプは胎生期にしか発現しません。一方BタイプはB1・B2が別の遺伝子にコードされており、これらはすべての細胞に認められます。AタイプはBタイプから進化的に派生したと考えられています(17、18)。

とは言っても、Aタイプラミンの機能をBタイプラミンが代替できるわけではなく、マウスではAタイプラミンの欠損によって、成長が著しく遅れ、筋ジストロフィーが発生するそうです。またラミンBの欠損は致死です(18)。ラミンの局在は、参照に記載したサイトをご覧ください(19-22)。

参照

1)Compendium of Materia Medica:https://en.wikipedia.org/wiki/Compendium_of_Materia_Medica

2)The discovery of keratin. http://keratininformation.weebly.com/discovery.html

3)Hanukoglu, I.; Fuchs, E., "The cDNA sequence of a human epidermal keratin: divergence of sequence but conservation of structure among intermediate filament proteins". Cell. vol. 31 (1): pp. 243–252.  (1982) doi:10.1016/0092-8674(82)90424-X. PMID 6186381.

4) Franke WW, Schmid E, Osborn M, Weber K. Different intermediate-sized filaments distinguished by immunofluorescence microscopy. Proc Natl Acad Sci USA vol. 75: pp. 5034-5038 (1978)

5)http://www.sueddeutsche.de/sport/anti-doping-experte-werner-franke-in-der-zweiten-halbzeit-wirkt-sich-epo-fantastisch-aus-1.2379897

6)https://en.wikipedia.org/wiki/Vimentin

7)Eckes B, Colucci-Guyon E, Smola H, Nodder S, Babinet C, Krieg T, Martin P., "Impaired wound healing in embryonic and adult mice lacking vimentin.". Journal of Cell Science. vol. 113: pp. 2455–2462. (2000) PMID 10852824.

8) Izant JG, Lazarides E.,  "Invariance and heterogeneity in the major structural and regulatory proteins

of chick muscle cells revealed by two-dimensional gel electrophoresis". Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. vol. 74 (4): pp. 1450–1454. (1977) PMC 430794 Freely accessible. PMID 266185. doi:10.1073/pnas.74.4.145

9)Li Zhenlin, Alain Lilienbauma, Gillian Butler-Browneb, Denise Paulin., Human desmin-coding gene: complete nucleotide sequence, characterization and regulation of expression during myogenesis and development., Gene, vol. 78, Issue 2,  pp. 243–254 (1989)
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0378111989902278

10)Capetanaki Y1, Milner DJ, Weitzer G., Desmin in muscle formation and maintenance: knockouts and consequences., Cell Struct Funct., vol. 22(1): pp. 103-116. (1997)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9113396

11)デスミンミオパシー,デスミン遺伝子の突然変異による心筋ミオパシーを伴った骨格筋ミオパシー: 
http://www.nejm.jp/abstract/vol342.p770

12)Panagiotis Koutakis et al., Abnormal Accumulation of Desmin in Gastrocnemius Myofibers of Patients with Peripheral Artery Disease: Association with Altered Myofiber Morphology and Density, Mitochondrial Dysfunction and Impaired Limb Function., Journal of Histochemistry and Cytochemistry (2015)
https://www.researchgate.net/publication/270705709_Abnormal_Accumulation_of_Desmin_in_Gastrocnemius_Myofibers_of_Patients_with_Peripheral_Artery_Disease_Association_with_Altered_Myofiber_Morphology_and_Density_Mitochondrial_Dysfunction_and_Impaired_Li

13)F.C. Huneeus. and P.F. Davison,  Fibrillar proteins from squid axons: I. Neurofilament protein, Journal

of Molecular Biology, vol. 52, Issue 3, pp. 415-418 (1970).
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0022283670904109#

14)https://en.wikipedia.org/wiki/Neurofilament

15)Aaronson RP, Blobel G., Isolation of nuclear pore complexes in association with a lamina. Proc Natl Acad Sci vol. 72: pp. 1007–1011 (1975)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2964183/

16)McKeon FD, Kirschner MW, Caput D., Homologies in both primary and secondary structure between nuclear envelope and intermediate filament proteins. Nature 319: 463–468 (1986)

17)https://en.wikipedia.org/wiki/Lamin

18)Thomas Dechat, Stephen A. Adam, Pekka Taimen, Takeshi Shimi,and Robert D. Goldman, Nuclear Lamins., Cold Spring Harb Perspect Biol;2:a000547 (2010)

19)http://www.abcam.co.jp/lamin-b1-antibody-nuclear-envelope-marker-ab16048.html

20)http://www.abcam.co.jp/lamin-a-antibody-ab26300.html

21)https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/life-science/antibodies/primary-antibodies/cell-marker-antibodies/lamin-ac-antibodies.html

22)http://ruo.mbl.co.jp/bio/dtl/A/?pcd=PM064

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2017年6月 8日 (木)

2016都響ベストテン

A0960_005280_2都響 あなたが選ぶ、想い出に残った公演《2016年度》の結果が発表されました。

大野-国塩のコンビになってから、いまいち盛り上がりに欠ける感じです。大野さんも小泉さんも優等生タイプで立派な人すぎるというのが問題なのかも知れません。

インバルさんや井上さんには、何か負のエネルギーのような勢いが感じられます。

1位 7/24・25 アラン・ギルバート マーラー 交響曲第5番 他

2位 12/13・14 ヤクブ・フルシャ マ-ラ- 交響曲第1番 他

3位 2/26 ダニエレ・ルスティオーニ ベルリオーズ《幻想》交響曲 他

4位 9/20 エリアフ・インバル ショスタコーヴィチ交響曲第8番 他

5位 1/10 小泉和裕 ブルックナー交響曲第5番

6位 4/12 フランソワ=グザヴィエ・ロト ストラヴィンスキー《ペトルーシュカ・火の鳥》 他

7位 3/26 大野和士 プロコフィエフ《ロメオとジュリエット》 他

8位 9/10 エリアフ・インバル シューベルト交響曲第8番《ザ・グレート》 他

9位 3/5 井上道義 ドヴォルザーク交響曲第8番 他

10位 9/15 エリアフ・インバル バルトーク:管弦楽のための協奏曲 他

だいたい予想通りでしたが、ロトの《ペトルーシュカ・火の鳥》が少し低かったかな。私的にはこれがナンバーワンでした。《ペトルーシュカ》はオケが必死のパッチでしたが、後半《火の鳥》の指揮者&オケが一体となった切れ味の良い音楽の素晴らしさには圧倒されました。ロトが常任になったら、都響はとてつもないオケになるんじゃないかと想像してしまいました。

私の2位はフルシャのマーラー交響曲第1番。これはフルシャ自家薬籠中の曲らしく、ちょっとラフな感じでも思いきり都響をドライヴして、アドレナリン全開のマーラーを聴かせてくれました。こういうかしこまらないマーラーもなかなかいいもんです。

大野が7位にしかはいらなかったことを多くの方が指摘していますが、私も川崎でのショスタコーヴィチ交響曲第5番以外に印象に残る演奏がないのはどうしてでしょうか? 不満だったこともほぼないのですが。井上の演奏は逆に、強く印象に残っています。

毎年書いているのですが、エヴァ・オリカイネンをまた呼んで欲しいと思います。彼女&都響のブラームス「悲劇的序曲」は堂々とした押し出しの良い素晴らしい演奏でした。シベリウスじゃなくてブラームス/ベートーヴェンの交響曲を是非聴いてみたいと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=IEK_8CINK6A

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2017年6月 7日 (水)

サラとミーナ186: 朝はベランダで

Imga_3人間よりは寝起きが良いサラとミーナですが、朝から走り回ることはなく、なんとなくぼんやりした感じです。サラは特に雨が降っていたりすると、濡れるわけでもないのにベランダに出ないこともあります。

ミーナはベランダに食べたい植物があるので、ほぼ毎日出てきます。サラはペットショップで売っている植物のペレットが好きなので、あまりベランダの植物には関心を持たないようですが、種類によっては食べることもあります。ミーナはペレットには全く興味を示しません。

食べたい植物も2匹で全く異なっているのが面白いところで、季節によってもある植物が違うので、それぞれ別の植物に興味があるようです。

この頃猫の世界には法律などなくていいなと思うことがあります。人間社会では、面倒な法律が多すぎますし、特に刑法などは毎年厳しくなっても、ゆるくなることはなく、そのうちなし崩し的に監視社会になってしまうという愚かな方向に向かわざるを得ないというのは、なさけない話です。

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2017年6月 4日 (日)

やぶにらみ生物論75: 細胞骨格2

真核生物のチューブリン・アクチン・ケラチンについて、基本的なことはすでに以前に述べています(1)。従ってここではもう少し進んだ話題、または別の話題を取り上げます。

まずチューブリンについて。チューブリンにはいずれも分子量約5万の α と β があり、通常 α と β が結合してαβ の形で存在します。このほか動原体にある γ 、中心体にある δ と ε などが知られています。微小管はαβ がタンデムに連結したプロトフィラメント(αβαβαβαβ・・・)同士がパラレルに11~16本結合して、中空のチューブを形成しています(図1)。微小管は細胞分裂の際には紡錘体を形成し(図2)、鞭毛・繊毛においても特殊な配列をとりますが(図2)、一般的には細胞質全体にひろがって存在します(図1)。

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α  と β はヘテロダイマーとして行動し、αβαβαβαβ・・・という形でプロトフィラメントが形成されるので、プロトフィラメントには極性が存在します。しかもフィラメント同士はパラレルなので、微小管全体として極性が発生し、β側を+末端、α側を-末端と呼びます。β 側でフィラメントが伸長し、α 側で崩壊するという意味での+-なのですが、-末端は比較的安定で、+末端は-末端より頻繁に大規模な崩壊(カタストロフ)や修復(レスキュー)を繰り返していることがわかってきました(図3、参照 2、3)。

カタストロフの過程では、プロトフィラメントの末端からGTP結合チューブリンの脱落からはじまるフィラメントの短縮だけでなく、フィラメント同士の接着もはがれるようです(図3、参照 3)。

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このような微小管の動態を制御しているタンパク質群はMAPS(microtubule-associated proteins、4、5)、+TIPS(6)など非常に数多く、微小管の機能や制御の多彩さを示しています。あまりに複雑怪奇なので、私はこの方面になるべく関心を持たないようにしようと思っていました。それ故に、現在でもまだ未知の現象が多い宝の山かもしれません。

もうひとつ微小管の重要な役割は、細胞の中の道路として機能することです。ダイニンやキネシンはATPをエネルギー源として微小管上を袋(ベシクル)をかついで「歩行」し、細胞の隅々まで物質を届けます(図4)。神経細胞の軸索などは1mくらいの場合もあるので、ダイニンやキネシンのようなモータータンパク質を使わないと、必要な物質を末端まで供給できません。

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次はアクチンです。チューブリンを発見・精製・命名したのは戦後間もない日本の毛利秀雄でしたが、アクチンの発見者も当時科学では辺境の地であったハンガリーのブルノ・フェレンツ・シュトラウプでした。彼はハトの筋肉をすりつぶし、アセトンにいったん溶かして乾燥し、アセトンパウダーを作成して、そこからアクチンを抽出・精製しました。今でもアクチンの精製には、基本的にシュトラウプの方法が使われています(7)。

アクチンは単独の分子の場合G-アクチンともいい、G-アクチンが連結して線維を形成している場合F-アクチンといいます。Fアクチンにざまざまな制御タンパク質が結合してマイクロフィラメントが形成されますが、千差万別になって表現できないので、図5ではアクチンのポリマーとして示してあります。

マイクロフィラメントには微小管と同様+末端と-末端があり、ATPが結合したGアクチンが+末端に結合してフィラメントを伸ばし、ADP-Gアクチンが-末端から脱落してフィラメントを縮めるということになります。図5の下図をみると、マイクロフィラメントは細胞がある方向に伸長している場合、その伸長方向に平行に伸びている場合が多いことがわかります。また細胞膜近傍に顕著に観察されます。

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真核生物が誕生したとき、生物の生き方に関するひとつの革命が起きました。それは水中を浮遊したり泳いだりして生きるのではなく、固体に密着して生きるということです。そして移動には鞭毛ではなく、アメーバ運動を利用する生物が生まれました。アメーバ運動をするためには仮足が必要です。仮足には図6Bのような糸状仮足(フィロポディウム)と図6Cのような葉状仮足(ラメリポディウム)があります。いずれも仮足の先端部にはマイクロフィラメントが密集していて、マイクロフィラメントの伸長・短縮によって仮足が動いていることが示唆されます。

一方でマイクロフィラメントの基部には微小管が集結しています。あたかもマイクロフィラメントの枝を微小管の幹がささえているようなイメージです。糸状仮足が伸びるということは、マイクロフィラメントの+末端にGアクチンが次々と結合している状態に他なりません。

BCと異なり、Aではマイクロフィラメントが赤になっていることに注意してください。動いていないAのような細胞では、マイクロフィラメントは細胞膜の裏打ち構造を形成しています。細胞質のマイクロフィラメントは太い束にならず、細胞全体に分散しているように見えます。ただし方向はランダムではなく、パラレルな感じで分布しています。一方微小管(緑)は核の周辺に密集し、そこから部分的に細胞の辺縁に伸びているように見えます。

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アクチンは細胞の形態を決める細胞骨格としての役割以外に、細胞運動にもかかわっていますが、さらに細菌や古細菌ではFtsZが担っていた細胞分裂の主役も、真核生物ではアクチンが担うようになりました。図7のようにアクチンが分裂溝に集結しています。

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私達のような動物では、アクチンはミオシンという別グループのタンパク質と協力して筋肉という組織を形成して、これを使って歩行したり、キーボードをたたいたり、胃腸を動かしたり、心臓を収縮させたりしています。横紋筋にはサルコメア(筋節)という収縮の単位構造があり、この中にアクチン線維とミオシン線維が交互に配置されていて、その相互作用により筋収縮が行われています(図8)。

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このことは1954年に Andrew Fielding Huxley ら(8、図9)と Hugh Esmor Huxley ら(9、図9)によって同時に発表されました。しかしミオシン線維の中にアクチン線維が滑り込むといういわゆる「すべり説」は、現在でも基本的に正しいとされているにもかかわらず(10)、二人ともこの件ではノーベル賞を授与されていません。江橋節郎(図9)がカルシウムが筋収縮のシグナルであることを発見したにもかかわらずノーベル賞を授与されなかったのも、このことが影響していると思われます。

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江橋節郎は「カルシウムと私」という文のなかで、カルシウム説を学会で発表した当時の様子を次のように述べています:

「“座長のハンス・ウェーバーが 「討議の結果、カルシウム説は明らかに否定された」と宣言するや、娘のアンネマリー・ウェーバーは激昂して絶叫し、エバシは日本語でわめいた。皆は腹をかかえて笑った” 座長は、皮肉なことにアンネマリーの父であり、当時筋研究の泰斗として世界に知られるハンス・ウェーバーだった。アンネマリーが激昂して絶叫したのも本当だし、私がわめいたのも本当である。しかし、いかに興奮したとはいえ、日本語を使うはずがない。私の英語が誰も理解できなかったのである。この会議で、2人はまさにピエロだった。厳格な父親のウェーバーは、娘が変な日本人に引っ掛かって困っていると言っていたそうだ。」(11)。

勿論現在ではカルシウムがトロポニン・トロポミオシンを介して筋収縮を制御している・・・細胞内のカルシウム濃度が上昇する際に収縮し、下降するとき弛緩する・・・ということは明らかとなっています(図10)。

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「すべり」は当然ミオシンとアクチンの分子的相互作用によっておこるわけですが、そのメカニズムについては当初ミオシン分子がATPのエネルギーを用いて変形し、そっれに伴ってアクチンが動くという「首振り説」(図8)が有力でしたが、その後柳田敏男らがミオシン分子滑走モデルを提出し(12、図8)、激烈な論争になりました。

私には詳細はよくわかりませんが、首振りのような動作ではなくても、ミオシンの分子変形がアクチンの動きに関与していることは否定しがたい事実のようです(13、14)。ただし1個のミオシン分子の変形によって、接するアクチンの移動する距離を説明することはできないので、さらなる研究が必要です(15)。

参照

1)http://morph.way-nifty.com/grey/2017/02/post-ef6b.html
  http://morph.way-nifty.com/lecture/2017/02/post-2862.html

2)Tim Mitchison & Marc Kirschner, Dynamic instability of microtubule growth., Nature vol. 312, pp. 237 - 242 (1984); doi:10.1038/312237a0

3)伊藤知彦: 微小管 動態の基礎 in  「細胞骨格と細胞接着」 蛋白質 核酸 酵素 vol. 51, pp. 529 - 534 (2006)

4)小谷 亨、松島一幸、久永眞市: 微小管結合タンパク質の構造と機能 蛋白質 核酸 酵素 vol. 51, pp. 535 - 542 (2006)

5)https://en.wikipedia.org/wiki/Microtubule-associated_protein

6)Anna Akhmanova and Michel O. Steinmetz, Microtubule +TIPs at a glance.,  J Cell Sci., vol. 123(10), pp. 3415 - 3419 (2010)
https://pdfs.semanticscholar.org/3f9f/197f841548e9cd9f886ca76e58bfe77b7942.pdf

7)水野 裕昭、山城 佐和子: アセトンパウダーからのATP, ADPアクチンの精製 日本細胞生物学会HP
http://www.jscb.gr.jp/protocol/protocol.html?id=25

8)HUXLEY AF, NIEDERGERKE R., Structural changes in muscle during contraction; interference microscopy of living muscle fibres. Nature. Vol. 22;173(4412): pp. 971-973. (1954)

9)HUXLEY H, HANSON J., Changes in the cross-striations of muscle during contraction and stretch and their structural interpretation. Nature. Vol. 22;173(4412): pp. 973-976. (1954)

10)W. O.Williams, Huxley’s Model of Muscle Contraction with Compliance., Journal of Elasticity, Vol. 105, Issue 1,  pp. 365–380 (2011)
http://www.math.cmu.edu/~wow/papers/complmusc.pdf

11)生命誌ジャーナル12号 JT生命誌研究館

12)http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1140

13)上田太郎、ミオシン首振り説:部位特異的変異による検証から構造遺伝学によるメカニズム解明へ。生物物理 Vol. 37 No.1 pp.331-335 (1997)

14)Lauren J. Dupuis, Joost Lumens, Theo Arts, Tammo Delhaas, Mechano-chemical Interactions in Cardiac Sarcomere Contraction: A Computational
Modeling Study., PLOS Computational Biology,  | DOI:10.1371/journal.pcbi.1005126 October 7, (2016)
http://journals.plos.org/ploscompbiol/article?id=10.1371/journal.pcbi.1005126

15)http://brownian.motion.ne.jp/16_FlexibleMolMachine/03_IsMascleMorter.html

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2017年6月 1日 (木)

都響-小泉 シューマン交響曲第2番@東京文化会館2017年5月31日

Imga最近収入を伴わない多忙で、都響の演奏会にもすっかりご無沙汰してしまいました。マエストロ・ブラビンスの音楽を聴けなかったのは残念です。ようやく上野の東京文化会館に出撃です。

本日の指揮者は小泉さん、コンマスは山本さん、サイドはマキロンです。平日のコンサートにしては結構集客しました。>80%くらいでしょうか。

ベートーヴェンの「皇帝」協奏曲の第2楽章は私の大好きな音楽です。マエストロ小泉の音楽を聴いていていつも感じるのは、京都古刹の手入れの行き届いた庭の情景です。隅々まで配慮が行き届いた清潔な音楽は、いつ聴いても気持ちが良いのです。

ただ庭の池から突然アリゲータが顔を出すというような面白みには欠けるかもしれません。いや一度だけアドレナリン大噴出の演奏を聴いたことがあります。大植さんの代役のときです。
http://morph.way-nifty.com/grey/2012/07/post-6b53.html

ソリストのエル=バシャさんは、音楽的趣味がマエストロ小泉と一致しているようで、端正な音楽を聴かせてくれました。

後半のシューマンも、この晦渋な音楽をすっきりとわかりやすい演奏で聴かせてくれて、ちょっとびっくりしました。精神病でなやまされていた頃のシューマンが書いた音楽とはとても思えないくらい、活気があって健康的な音楽のように感じました。

ところで1Vn 美里は最近次第に体型や演奏スタイルがマキロンに似てきた感じですが、彼女が永遠に都響のアイドルであることには変わりはありません。決して無理にダイエットなどして、体調を崩さないようお願いします。

こんな音楽です

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番第2楽章 浅田真央とともに
https://www.youtube.com/watch?v=_LUIph2WC_Q

シューマン:交響曲第2番第2楽章
https://www.youtube.com/watch?v=8UnZOse43dI

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2017年5月31日 (水)

高安関の口上

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大関高安が誕生
http://www.sankei.com/sports/news/170531/spo1705310010-n1.html

高安氏の口上「正々堂々と精進する」というのは正しい日本語でしょうか?

精進というのは鍛錬=エクササイズであるとすると、「正々堂々と」いう修飾語には違和感があります。正々堂々であるかどうかは練習ではなく本番の問題です。

しかも「正々堂々と」やるという言葉は、他の力士はイカサマをやっているかもしれないが、私は正々堂々とやるというニュアンスを免れません。

ですから「正々堂々と」いう言葉は口上としてふさわしくなく、精進するを生かすならば、「粉骨砕身に精進する」とか「全身全霊で精進する」とかにすればよかったとおもいますが。

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2017年5月28日 (日)

西島三重子 貴重映像

Img昔はビデオテープをたくさん持っていたのですが、まずβがダメになり、VHSも見た目変わりはなくても、デッキで再生できなくなって廃棄。この時のショックは言葉に出来ないものでした。結局20世紀のものはこのDVDだけが残りました。

西島三重子の若い頃の映像は、YOUTUBEで出たり消えたりのカラオケだけかなと思っていたのですが、 

https://www.youtube.com/watch?v=fYRbd146omI

56ABENDさん、懐唄逸郎さんが「千登勢橋」の驚きの映像をアップしてくださいました。

ずいぶん首を振りながら、歌っているので驚きました。

うーん それにしても若い!!!!!

千登勢橋
https://www.youtube.com/watch?v=45MVYFVAuPA
https://www.youtube.com/watch?v=nQ3zwJet61k

池上線
https://www.youtube.com/watch?v=Rn8Yx6UiJ2c

56ABENDさん、懐唄逸郎さん 有難う

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YOUTUBEの西島三重子名作集
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目白通り
https://www.youtube.com/watch?v=Cb3KqZ8mIUk

口笛を吹かないで
https://www.youtube.com/watch?v=Ock2wY2XbTM

朝顔(しののめぐさ)
https://www.youtube.com/watch?v=uptGuFThJkM

セザンヌの絵
https://www.youtube.com/watch?v=vfCtCp6Krn8
https://www.youtube.com/watch?v=Vt5IHi4Rw3c

星めぐり
https://www.youtube.com/watch?v=34t_VTW07Zc

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そうよ Smile again
https://www.youtube.com/watch?v=YvzFbk7R60c

SEQUENCE OF MEMORIES~思い出のページ
https://www.youtube.com/watch?v=kaAtY_Bjdc8

ラストワルツ
https://www.youtube.com/watch?v=qY6mCEA8yXc

冬のカルナバル
https://www.youtube.com/watch?v=KI0GbDxfYU0

夜間非行
https://www.youtube.com/watch?v=Fh3UWa6DdPs

サライ・サライ・サライ
https://www.youtube.com/watch?v=X1mS6Cb6qHg

ロンリーガール
https://www.youtube.com/watch?v=i7L6ix0DuMQ

(Ena)
https://www.youtube.com/watch?v=nVGkoWcf8r8

Jealousy
https://www.youtube.com/watch?v=SH_sn__dCq0

Imagination Canvas
https://www.youtube.com/watch?v=7cdNRmqB4zU

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代表曲「池上線」をはじめ数々の名曲を世に送り出してきた

西島三重子が贈る、夏のスペシャルライブ!

日 時:

2017年8月17日(木)

開場18:00/開演19:00

会 場: ラドンナ原宿 (東京都渋谷区)
  JR山手線・原宿駅より徒歩7分
出 演: 西島三重子(Vo.)・平野融(Gt.)・織原洋子(Pf.)
料 金: 前売5,000円(1ドリンク込)当日5,500円 5/13(土)発売開始
プレイガイド: ◯ アオイスタジオ 03-3585-6178

ラドンナ原宿HP予約フォーム 

03-5775-6775

お問い合わせ:

◯ アオイスタジオ 03-3585-6178(平日10時~17時)
Mail:info@nishijima-mieko.com

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2017年5月25日 (木)

やぶにらみ生物論74: 細胞骨格1

250pxtaraibune1船は船の格好をしているので、漕げば思う方向に進むのであって、これが不定形のふにゃふにゃとしたものであれば、乱流が発生して漕ぐのはとても困難になるでしょう。

左の写真はウィキペディアから佐渡のたらい船ですが、実際にこれを漕いでみた方は、その困難さに驚いたのではないでしょうか?

https://www.tripadvisor.jp/ShowUserReviews-g1021355-d1947724-r278970072-Rikiya_Kanko_Kisen-Sado_Niigata_Prefecture_Chubu.html)。

ですから細菌がピンと張った船あるいは棒状の細胞であることは重要です。彼らは唯一の複雑で高級な備品である鞭毛を動かし、栄養物質を求めて泳ぎます。細菌はアメーバのような方法で移動することはできません。

脂質で構成されている細胞膜ではこのような堅さは実現できません。そこで細菌は糖ペプチドや糖脂質でできた細胞壁で細胞を被って、丈夫でかつ鞭毛で泳ぎやすい細胞を作り出しました。細菌にも細胞骨格があるという話を聞いたときには、おそらく硬い屋根のような構造には梁が必要だろうと思ったわけですが、事はそう単純ではありませんでした。

真核生物の細胞骨格には、チューブリン系・アクチン系・ケラチン系の3つのグループのタンパク質群が存在します。細胞骨格という名前からは骨のような硬い物質が連想されますが、そうではなく、分子が重合して繊維状の構造を形成できる物質と考えた方が近いと思います。ひとつ注意したいのはカイコの繭やクモの糸などは繊維状のタンパク質重合体ではありますが、細胞の外に出て機能するものは細胞骨格とは言いません。

細菌の細胞骨格研究の萌芽は、1991年のバイとルトケンハウスによる FtsZ の局在に関する研究でした(1)。どうして真核生物に比べて、細菌の細胞骨格研究が著しく遅れたかというと、それは細菌におけるタンパク質の局在は、光学顕微鏡で研究するのはターゲットが小さいためなかなか難しく、電子顕微鏡に頼らざるを得なかったからです。電子顕微鏡によるタンパク質の同定(免疫電顕)には多くの技術的制限があって、一筋縄ではいかないことが多いのです。

バイとルトケンハウスの研究をまとめたのが図1(左)です。真核生物の収縮環にアクチンが集合するのはわかっていたので(図1右)、細菌型アクチンかと色めき立ったのですが、真相はもっと驚くべきことでした。デブール(図1)らとレイチャンドゥーリらは1992年、FtsZ がアクチンではなくチューブリンのホモログであることを発表したのです(2、3)。細菌ばかりでなく、一般的に古細菌もFtsZ を使って細胞分裂を行うようです(4)。

A

FtsZ は20世紀の中頃、広田幸敬が細胞分裂の温度感受性突然変異体を多数作ったなかに、この遺伝子のミュータントがみつかっていました(5)。これがチューブリンのホモログだなんてきっと墓の中で驚いていることでしょう。ようやく1990年代になってその研究が端緒についたわけです。まだ FtsZ がどのように分裂溝形成にかかわっているかということは完全には解明されていませんが、細胞膜と結合するためのアンカーや制御因子の研究は進んでいるようです。この遺伝子を分裂酵母に組み込んで発現させると、やはり分裂溝に集まってくるそうなので(6)、分裂溝となんらかの関係があることは確からしいです。

FtsZ は葉緑体にも存在し、驚くべきことに真核生物においては、真核生物にしかないダイナミンファミリーのタンパク質が太古のタンパク質 FtsZ と共同して分裂装置を形成するそうで、まさに10億年の時空を越えたコラボレーションです(7)。

私達ヒトのミトコンドリアはもはや FtsZ を持っていませんが、原生動物・藻類・粘菌など古参の真核生物のミトコンドリアは FtsZ を使って分裂しているようです(8)。

クインとマーゴリンは、大腸菌の細胞分裂時における FtsZ の局在をGFPラベルで示した美しい写真を、教育用に提供してくれているので図2に示しました。平常時にはラベルが分散しているのではっきりとはみえませんが、細胞分裂時には分裂溝に集結するのでよく見えます。

A_2

図3は β-チューブリンと FtsZ の分子構造を比較したものですが(10)、素人目にもかなり似ている部分(サークル内)があるように思いました。

Photo

このようにしてチューブリンのホモログはみつかりました。ではアクチンに類似した細菌タンパク質もあるのでしょうか? このことが判明したのは21世紀になってからでした。

MreB というアクチンスーパーファミリーに属するタンパク質が細菌に存在することを発見したのはフシニータ・ファン・デン・エントらでした(11)。アラインメントの結果、MreB は真核生物のアクチンとはわずか15%の一致でしたが、重合してケーブルを形成することや、細胞の形態を維持するために必須であること、3次元構造がよく似ていること(図4、参照12)などから、ホモログであると考えられています。MreB を欠損すると、大腸菌は棒状(ロッド状)の形態を失って球形の大きな細胞になり、娘細胞への染色体の分配がうまくできなくなって致命的となります(13)。

A_4

MreB は細胞膜直下でコイル状やリング状に重合したケーブルとなって、細菌のロッド状構造を維持することができます(図5、14)。これはシュラフからテントへの昇格に例えられるでしょう。細胞分裂の際には真核生物の紡錘糸のような役割も果たしているようです(15)。しかしそれではチューブリンとアクチンの役割が細菌と真核生物で入れ替わったということになり、奇怪なミステリーです。ただチューブリン系は重合にGTPのエネルギーを、アクチン系はATPのエネルギーを使うという方式は十億年以上の時を越えてほぼ維持されているようです。

A_5

MreB そのものは膜結合タンパク質ではないため、細胞膜直下に局在するためには他のタンパク質がアシストしてあげなければなりません。ファン・デン・エントらは図6のようなモデルを提出しています(16)。このモデルではRod Z というタンパク質が MreB と膜貫通タンパク質の両者と結合して、クランプの役割をはたしていることになります。

細菌のアクチンホモログの研究は21世紀になってからはじまったので、まだまだ解決しなければ行けない課題は多いと思います。ただこの種の研究はいまやカルトな趣味の世界にはいりつつあり、そのような世界で生きようとする人々には好ましい状況です。それでもこれは生身の生物についての科学ですから、どんなところに人類に有用な知識が潜んでいるかわかりません。

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細菌のアクチンホモログはMreBだけではなく、同じオペロンに含まれる MreC、MreDなどのほか、ParM というグループもみつかっています(図4、図7、参照12)。Mre B の役割としては、細胞分裂の際に図7のようにプラスミドDNAを細胞の両端に押し分け、片方の娘細胞に偏ってプラスミドが分配されないようにすることがわかっています(図7、参照10、12)。

図7の右側はParM がプラスミドDNAに結合したParRと結合していることを示しています。さらにフリーのParMは、ATPのエネルギーを使ってParM線維にDNA側から結合し、線維を伸長させることを示唆しています。

ガスパール・ジェケリーはその総説の中で、原核生物のタンパク質ネットワークは1)プラスミドのパーティショニング(ParMの語源)、2)細胞分裂のための装置、3)細胞膜の合成と細胞の骨組み のために発達してきたと述べています(16)。

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古細菌の細胞骨格研究はあまり進んでいないようですが、クレナクチンという真核生物のアクチンとよく似たアクチンホモログがみつかっています(18、19)。アクチンホモログの分子進化はおおまかには図8のようになっています。FtsA は分裂溝に出現するタンパク質です。

A_8

最後にケラチン系のタンパク質についてみてみましょう。このグループがつくるケーブルは中間径線維と呼ばれています。真核生物の場合、アクチンがつくるケーブルはマイクロフィラメントと呼ばれており、径は5~9nm。チューブリンがつくるケーブルは微小管と呼ばれていて、径は約25nm。中間径繊維のケーブルの径は8~12nmで、マイクロフィラメントと微小管の中間的なサイズなのでそう呼ばれているわけです。

真核生物の中間径繊維をつくるタンパク質は多様で、ケラチン・ビメンチン・ニューロフィラメント・核ラミンなどがあります。細菌にもこのグループのタンパク質はみつかっていて、それはクレセンチンです(20、21)。細胞がロッド状でなくジェリービーンズのような格好をした菌、あるいはヘビのようにくねくねした形態の菌に、図9のように片側に偏った感じで配置されています。クレセンチンがあるサイドはテンションがかかっていて縮み、逆サイドは延びるということになります。両サイドが交互に重合と解離を繰り返せば泳げるかもしれません。

クレセンチンはウィキペディアによると、ケラチン19のアミノ酸配列を比較すると25%が一致し40% の領域で相同性が認められるそうです。核ラミンと比較しても同様なホモロジーがあるそうで、ケラチン系タンパク質の祖先であることは間違いないと思われます。

C

脂質二重層でDNAを被えば、それは生物としての出発点といえるでしょうが、脂質だけの細胞膜は脆弱すぎるという問題があります。ですから細胞膜を多糖類やタンパク質で裏打ちしたり、その工事のために足場をつくったりするために細胞骨格が必要であったとは容易に想像できます。しかしジェケリーが言うように(17)、とりわけプラスミドDNAをうまく娘細胞に分離するために必要だったという考え方にもうなづけるものがあります。例えば図8の分子系統図をみるとMreBやFtsAより、ParMファミリーの方が古いタンパク質とされています。

参照

1)Erfei Bi and Joe Lutkenhaus, FtsZ ring structure associated with division in Escherichia coli., Nature vol.354, pp.161-163 (1991)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1944597
https://www.researchgate.net/publication/21210591_FtsZ_ring_structure_associated_with_division_in_Escherichia_coli

2)de Boer P., Crossley R., Rothfield L., The essential bacterial cell division protein FtsZ is a GTPase., Nature vol. 359, pp. 254-256 (1992)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1528268

3)RayChandhuri D., Park J. T., Escherichia coli cell-division gene ftsZ encodes a novel GTP-binding protein. Nature vol. 359, pp. 251-254 (1992)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1528267

4)http://tdl.libra.titech.ac.jp/hkshi/xc/contents/pdf/117098745/12

5)https://ja.wikipedia.org/wiki/FtsZ

6)Ramanujam Srinivasan et al., The bacterial cell division protein FtsZ assembles into cytoplasmic rings in fission yeast. Genes and Development vol. 22, pp.

1741-1746 (2008)
http://genesdev.cshlp.org/content/22/13/1741.full

7)宮城島進也、葉緑体の分裂制御機構とその進化 植物科学最前線 vol. 5, pp. 21-36 (2014)

8)Kiefel BR1, Gilson PR, Beech PL., Diverse eukaryotes have retained mitochondrial homologues of the bacterial division protein FtsZ., Protist.  vol. 155 (1), pp. 105-115. (2004)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15144062

9)Qin Sun and William Margolin, FtsZ Dynamics during the Division Cycle of Live Escherichia coli Cells.,  J Bacteriol., vol. 180 (8):  pp. 2050–2056. (1998)

10)Yu-Ling Shih and Lawrence Rothfield, The bacterial cytoskeleton., Microbiol Molec Biol Reviews pp. 729-754 (2006)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1594594/figure/f1/

11)Fusinita van den Ent, Linda A. Amos & Jan Lowe, Prokaryotic origin of the actin cytoskeleton. Nature vol. 413, pp. 39-44 (2001)
http://www.ibt.unam.mx/computo/pdfs/cursosviejos/bcelular/procaryoticoriginofactin.pdf

12)Joshua W. Shaevitz and Zemer Gitai, The Structure and Function of Bacterial Actin Homologs, Cold Spring Harb Perspect Biol, 2:a000364 (2010)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20630996

13)Kruse T, and Gerdes K., Bacterial DNA segregation by the actin-like MreB protein. Trends Cell Biol. vo. 15(7), pp. 343-345. (2005)

14)Figge RM, Divakaruni AV, Gober JW., MreB, the cell shape-determining bacterial actin homologue, co-ordinates cell wall morphogenesis in Caulobacter crescentus. Mol Microbiol. Vol. 51(5), pp. 1321-32. (2004)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/14982627

15)生物史から、自然の摂理を読み解く 
http://www.seibutsushi.net/blog/2008/09/566.html

16)Fusinita van den Ent, Christopher M Johnson, Logan Persons, Piet de Boer, and Jan  Löwe, Bacterial actin MreB assembles in complex
with cell shape protein RodZ., EMBO J., Vol. 29(6), pp. 1081–1090 (2010)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2845281/

17)Gaspar Jekely, Origin and evolution of the self-organizing cytoskeleton in the network of eukaryotic organelles. Cold Spring Harb Perspect Biol, 6:a016030 (2014)

18)Thierry Izoré, Danguole Kureisaite-Ciziene, Stephen H McLaughlin,  Jan Löwe,  Crenactin forms actin-like double helical filaments regulated by arcadin-2, eLife Vol.5:e21600 (2016)
https://elifesciences.org/content/5/e21600

19)Tatjana Brauna et al., Archaeal actin from a hyperthermophile forms a single-stranded filament.,Proc NAS USA vol.112, pp. 9340-9345 (2015)
http://www.pnas.org/content/112/30/9340.full

20)Nora Ausmees, Jeffrey R Kuhn, Christine Jacobs-Wagner, The Bacterial Cytoskeleton. An Intermediate Filament-Like Function in Cell Shape. Cell,Vol.

115, Issue 6, pp. 705–713, 12 December (2003)
http://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(03)00935-8?_returnURL=http%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS0092867403009358%3Fshowall%3Dtrue

21)Ausmees N, Intermediate filament-like cytoskeleton of Caulobacter crescentus. J Mol Microbiol Biotechnol. 2006;11(3-5):152-8.

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2017年5月24日 (水)

野田数

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小池百合子の特別秘書「野田数(のだかずさ)」

業務上横領の疑いで話題の野田数氏ですが、不可解な人物です。このような人物を特別秘書に採用しているから、小池百合子もうさんくさい。

http://www.sankei.com/affairs/news/170518/afr1705180031-n1.html

wikipedia より
日本国憲法無効論を唱える。2012年10月に大日本帝国憲法復活請願を東京都議会に提出したが、自身の会派東京維新の会が連携を目指していた日本維新の会代表橋下徹からは「ありえない」「大日本帝国憲法復活なんてマニアの中だけの話だ」と批判された。

日刊現代より
もっとも、ナショナリスト的な言説とは対照的な、幼稚な言動も目撃されている。東村山市議時代の同僚議員が語る。「野田さんはいつもソワソワしていて、議会中に何度も席を外す人でした。単刀直入に『あなたはどうしてそんなに落ち着きがないの?』と聞くと、彼はムキになって『ボクは15分しかジッとしていられないんです!』と言い返してきた。聞いてもないのに、『ボクは小池百合子さんの秘書だったんですよ~』

赤旗より
2012年9月都議会で同氏は、「我々臣民としては、国民主権という傲慢(ごうまん)な思想を直ちに放棄」して、現行の日本国憲法を無効とし大日本帝国憲法の復活を求める時代錯誤の請願に紹介議員となり、賛成しました。(日本共産党、自民党、公明党、民主党などの反対で不採択)

上記の詳報 http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-9063.html
南出喜久治国体護持塾長(京都市)らが12年6月に都議会に提出した「我々臣民としては、国民主権という傲慢(ごうまん)な思想を直ちに放棄」して、日本国憲法を無効とし、大日本帝国憲法は現存するとの都議会決議を求める請願は、10月4日の都議会本会議で、東京維新の野田数(かずさ)都議が紹介議員になり、一人会派・平成維新の会土屋敬之議員と東京維新の3人(民主党を離党した栗下善行・柳ヶ瀬裕文両都議と自民党を離党した野田数都議の3人、2012年9月に東京都議会に新会派「東京維新の会」として設立)が賛成したのみで、民主党、自民党、公明党、日本共産党、生活者ネット・みらいなどの反対で不採択となった。

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2017年5月22日 (月)

バルサ無念 優勝を逃す

1「mes que un club クラブ以上のもの」が宗教(メッシ教)であってはなりません。バルサはメッシを信じるあまり現実がみえなくなりつつあります。優勝したレアル・マドリーとどこが違っていたのか?

それはマドリーがCロナウドの体調が万全でないとみると、すぐに休養の措置をとったのに対して、バルサはメッシを故障以外の時はずっと出し続けました。体調が万全でなくてもメッシなら何とかしてくれるという期待です。メッシも出場し続けなければならないという使命感でやっているようです。おかげで、ネイマールやスアレスまで、メッシを探し求めるプレイスタイルになってしまっています。

このような状況はレベルの高い戦いでは致命的です。冬から春にかけてパフォーマンスが落ちてしまったのは、言うまでもなく週に2回のゲームが主力選手の集中力と精度を奪ってしまったからです。ルーチョにくらべてジダンは思い切ったローテーションで、最後まで選手達のパフォーマンスを高い状態で維持することができました。Cロナウドも、「ジダンのおかげで最後の数試合を最高の体調でプレーできた」と語っていました。

もう一つはペップ時代のバルサ・スタイルへのノスタルジアではないかと思います。ずっとオーソドックスなスタイルのアレイシ・ビダルを使わなかったのもそのせいではないでしょうか。使ったらうまく回り出したというところで負傷長期欠場というのは皮肉でしたが・・・。今のバルサにはメッシとイニエスタがいなければ、全く違うスタイルのサッカーを創出できる選手が揃いつつあります。

新しいバルサに生まれ変わるにはメッシを放出するしかないというのが私の個人的意見ですが、同じことを感じた人もかなりいるような気がします。しかしクラブでそういう意見をあからさまには表明できない雰囲気があることもうかがわれます。パージされた人もいるようです。バルトメウは「メッシはバルセロナのドラえもんだ。なぜなら、彼はいつも難しい状況を解決してくれるからだ。一方、その点から言っても、私はのび太だ。なぜなら、いつも彼に問題を解決してくれるようお願いしているからね」などと言っているところをみると、メッシ派だと思います。

バルサは極端ですが、このようなことはチームでやるスポーツではよく問題になることで、名選手といえども遅かれ早かれ退かなければいけないときがきます。メッシの場合は、来年もゴールを量産するでしょうが、彼がバルサにいる限り、監督が交代しても多分バルサは変われない、そしてまた2位か3位でしょう。

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2017年5月19日 (金)

GAKU縦横無尽@Tenerife 

Tenerife_locator私はJリーグのことはよく知らなくて、観戦も10年くらい前にたった一度鹿島に見に行っただけなのですが、テレビで日本代表の試合は見るので、一応柴崎岳は知っていました。

しかしびっくりしたのはクラブワールドカップ。守備的MFという認識を覆す攻撃のセンスに目を奪われました。レアル・マドリーから2点取ったので世界からも注目されました。

やはり欧州からお声がかかって、スペイン2部リーグのテネリフェに所属することになりました。ところがテネリフェ島での生活になじめず、一時はバルセロナで静養しているという話もあって心配しましたが、最近はすっかりチームになじんでプレイしているようです。

テネリフェはやはりGAKU(と呼ばれている)を攻撃の中心のポジションに置いていて、彼もそれに答えて、ここという適所に顔を出して攻撃の起点になり、見事なスルーパスやクロスボールも供給しています。やはり守備的なポジションに置いておくにはもったいないセンスです。ただドリブルはやや物足りないのですけどね。

テネリフェはカナリア諸島の島のひとつで、19世紀からの豪華なリゾート地です。小さな島なのに空港が2つあったり、路面電車が走っていたりするそうです。富士山とほぼ同じ高さの山もあるようです。言葉にさえ慣れれば、アウェイ戦がすべて長距離遠征という不利をさしひいても余りある優雅で余裕の生活でしょう。

テネリフェのゲームをWOWOWが急遽放映するそうです。

第41節「テネリフェvsジムナスティック」【放送日】6/3(土)or 6/4(日)
第42節「サラゴサvsテネリフェ」【放送日】6/10(土)or 6/11(日)
プレーオフ「準決勝1st Leg」【放送日】6/14(水)or 6/15(木)
プレーオフ「準決勝2nd Leg」【放送日】6/17(土)or 6/18(日)
プレーオフ「決勝1st Leg」【放送日】6/21(水)or 6/22(木)
プレーオフ「決勝2nd Leg」【放送日】6/24(土)or 6/25(日)

テネリフェのGAKU (Thanks)
20番ですが、ヘヤースタイルなどからどこにいてもすぐわかります。

https://www.youtube.com/watch?v=eGBTJYZC95U

https://www.youtube.com/watch?v=Tt4yZLvu-Qc

CWC
https://www.youtube.com/watch?v=XW7L44QoYJQ

密着
https://www.youtube.com/watch?v=cfg5yaqaK4o

大瀧詠一 カナリア諸島にて
https://www.youtube.com/watch?v=5JcH35l5V8E
https://www.youtube.com/watch?v=JVf8SzqaZ7c

今井美樹バージョン
https://www.youtube.com/watch?v=OTBjP7qqB44
https://www.youtube.com/watch?v=SNsCkVw1nE8

ウクレレ
https://www.youtube.com/watch?v=uHaWGwdJfJc

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2017年5月17日 (水)

エッフェル塔→東京オリンピックに暗雲漂う

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テレ朝ニュースによると
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000074680.html

(引用)フランスの検察は12日、「2013年の7月と10月に、日本の銀行口座からシンガポールの口座に『東京オリンピック入札』の名目で約2億2000万円が振り込まれたことを確認した」と発表しました。誰が振り込んだかは明らかにしていませんが、振り込みの時期が東京での開催が決定したIOC総会の前後でもあり、マネーロンダリングなどの疑いで捜査を始めたということです。

英ガーディアン紙・ギブソン記者:「金が振り込まれた口座はシンガポールの会社のものだ。当時、IOC委員として招致の投票権を持っていた国際陸連のディアク前会長の息子に関係している」 フランスのメディアは「開催地決定に影響力を持っていたディアク氏に日本側が賄賂として金を振り込んだ可能性がある」と伝えています。(引用終了)

今になってこのような発表があったということは、今までこの話を安倍政権が押さえていたが、新政権とはまだ話をつけていないということなのでしょう。さてこれでフランス新政権が検察を押さえきれないと、本当に東京オリンピックが終了するかもしれません。安倍政権は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長森喜朗氏・竹田恆和日本オリンピック委員会会長あたりの首を差し出して事件を決着させようとするのでしょうが、さてそれで解決するでしょうか。

東京都も金欠で、国に必死でおねだりしないとオリンピックを開催できない状態らしいので、そんなことをするくらいなら、不正発覚で検察に断罪される前に放り出した方がよいと思いますが・・・。そうもいかないのなら、超質素なオリンピックをやるという姿勢でいけばどうでしょう。「不満があるなら本当にやめるよ」という姿勢で押し切れと小池都知事に求めたい。それなら直前にフランス検察にストップされても被害は少なくてすみます。数兆円を投じてから中止では目も当てられません。

(画像はフリーフォトサイト「足なり」より)

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2017年5月15日 (月)

リーガ・エスパニョーラ第37節: DF裏はスアレスの職場です

Braugranaラス前の第37節。大西洋の島グラン・カナリアに遠征。ラス・パルマスと戦います。ラス・パルマスはアウェイ戦はいつもスペイン本土に遠征ですから大変です。よくやっていると思います。今季残留決定だそうでおめでとうございます。

ラス・パルマスはバルサと同じく。ポゼッション命のチーム。ワントップはあのACミランの中心選手だったボアテング、2列目はヘセ・ビエラ・ロケ=メサ・モモ、ボランチはモントーロ、DF:エルデル=ロペス・ビガス・レモス・ミシェウ、GK:ハビ=バラス。

バルサはFW:ネイマール・スアレス・メッシ、MF:イニエスタ・ラキティッチ・ブスケツ、まではいいのですが、ピケが腹痛、マスチェラーノがアップ時に故障発生、セルジはカード累積で出場停止ということでDFは非常事態です。アルバが左SB、CBウムティティと組むのはリーガ初出場のマルロン=サントス、右SBははじめてのディニュです。ピケの「腹痛」とはなんでしょう? 気になります。GKはテア=シュテーゲン。

とはいえ極端にコンパクトなサッカーをめざすラス・パルマスなので、DF裏の広大なスペースはスアレスの職場。彼にとっては願ってもないゴールチャンスです。

開始早々ディニュが不慣れな右サイドのプレーでカードをもらって暗雲漂いますが、25分ブスケツのヒールにイニエスタが機敏に反応して、すぐにスアレスに絶好のスルーパスを提供。スアレスは中央に突っ込みましたが、より確率の高い右でフリーのイニエスタにパスしてゴール。これはイニエスタをフリーにして、すでに2人ついていたスアレスのケアに意味もなく走ったDFのミス。これだから素晴らしい攻撃陣を持ちながらこのチームは上位に行けないんですね。

27分にはネイマールが一発ロングパスをDF裏に出して、スアレスの抜け出しにピッタリ合わせてお返し。これはラス・パルマスの高いDFラインをついた芸術的なゴールでした。

後半すぐになんとディニュが故障したらしく、MFのAゴメスをSBで使うという非常手段です。早速ヘセに振り切られて大ピンチ。これはテア=シュテーゲンがシュートを止めてくれました。しかし直後ボアテングのパスをビガスに合わされて失点。CBビガスは自陣のゴール前から相手ゴール前までピッチ完走です。

危なくなったバルサですが22分、ラキティッチのロングクロスをスアレスのフェイクをつかってネイマールがうまく頭でゴールに押し込みました。これでバルサは余裕ができました。最後のゴールはアルバのパスをネイマールが決めたのですが、これがネイマールの究極の器用さが効いた超絶のゴール。

バルサは最終節を勝って、マドリーの結果を待つだけです。

https://www.youtube.com/watch?v=0eRXyu3nZT4

https://www.youtube.com/watch?v=tUAU-nItVE4

https://www.youtube.com/watch?v=i4P-qbgKfsw


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2017年5月13日 (土)

スノーデン 日本への警告

Imgスノーデン氏については様々な報道がなされていますし、映画やDVDもあります。映画「スノーデン」はなかなかスリリングで面白い映画でしたし、記事を書いたこともあります。

http://morph.way-nifty.com/grey/2017/02/post-5ccb.html

スノーデン氏自身が登場するドキュメンタリーも大変興味深いものです。映画よりも厳しい緊迫を感じました。私たちが住んでいるこの世界を、「監視社会」という全く異なる凶悪な閉塞社会へと変質させようとする巨大な勢力に、ひとりで反旗を翻したヒーローは静かで控えめな青年でした。

監視社会に誘導しているのは既得権益者のグループです。なぜなら彼らと一般人の間に貧富の差が出来れば出来るほど刺されるのが心配になるからです。とはいえ彼らの「社会はどんどん危険になってきている。犯罪を防ぐには監視するしかない」というプロパガンダに乗って、監視社会を推進する政党に投票する私たち市民の心の中にも闇はあるのでしょう。

安心・安全な社会というのは、貧富の差が巨大であればあるほど実現しないものだと思いますが、なんとか徹底的な監視社会によって安心・安全を実現しようと思う人々はいるのです。秘密保護法や共謀罪はそのために便利なツールです。

この本「スノーデン 日本への警告」エドワード・スノーデン他著 集英社新書 2017年刊 は、2016年に公益社団法人自由人権協会がスノーデン氏を招いて、東京大学本郷キャンパスで開催したシンポジウムの記録です。

いろいろ面白い話が満載なのですが、決定的な話をひとつ紹介しますと、米国政府は「プログラムで国民を監視しているということは国家機密なので、ジャーナリストであれ市民団体であれ自らが監視の対象であるという事実を立証することは許されない」という立場で、最高裁判所も「政府の主張通り監視プログラムが現に実施されているか否かを立証することが禁止されている」と判断したそうです。これは日本でもそういうことになりそうです。

このような事態をひっくり返すには、最終的には憲法も最高裁も無力で、政権をひっくりかえすしかないということです。もし選挙結果がソフトで操作されているとすると革命しかないわけですが、それは監視と共謀罪でほぼ不可能でしょう。監視社会は永遠不滅になります。

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監視システムの全貌を図にまとめましたが、私たちに直接関係があるのはマスサーベイランスです。スマホ・PC・電話・カード・監視カメラなどを使って監視されるのが監視社会です。特にスマホは危険で、ドキュメンタリーのなかでスノーデン氏がスマホで自室の特定や画像が撮影されるのを恐れて、使わないときは電子レンジの中にしまうというシーンは印象的でした。

誰か1人マークされている人がいたとして、同じ時間に同じ場所にいた人はすぐにわかるので、その人とコンサートで隣の席にいたというだけで、当局に追尾されるということもあり得ます。

ささやかな抵抗をするとすれば、この本に書いてあるように情報を暗号化することでしょうが、それもイタチごっこでしょう。あとはマスコミのふんばりでしょうが、政権側には逮捕や暗殺という手もあります。だいたい個人のプライバシーも無限に犯されているわけですから、ささいな違法行為や浮気などをネタに脅迫することもできます。それを作り出すことさえ可能でしょう。

監視システムを用いたメタデータは巨大なので、人力で検索するのはそのうち不可能になり、ロボットが検索して容疑者を自動的にしぼりこむということになるのでしょう。これは恐ろしい社会です。人為的に作り出された犯罪をロボットがとがめて起訴されてしまうという可能性もあります。

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2017年5月11日 (木)

やぶにらみ生物論73: 細胞膜

生命の起源をたどっていけば様々な触媒物質上での生化学的化学反応にたどりつくのでしょうが、これが生物であると言うためには外界との仕切りが必要であり、それは細胞膜以外にありません。しかし意外なことに細胞膜の基本的な構造がわかってきたのは20世紀終盤でした。

現在では細胞膜は脂質二重層からなることがわかっていますが(図1)、最初に脂質二重層仮説を提出したのはゴーターとグレンデルです。1925年のことでした。彼らは赤血球から脂質を抽出し、それが水面を完全に覆ったときの面積を赤血球の表面積で割るとほぼ2という値が得られたことから、赤血球の細胞膜は脂質二重層で構成されていると考えました(1)。

その後 Davson-Danielli のモデル、すなわちタンパク質が脂質二重層でサンドイッチされているというような考え方もありましたが(2)、結局シンガーとニコルソンが1972年に提出した流動体モザイクモデル=脂質二重層モデル(3)が、その後多くの検証を得て現在では基本的に正しいと考えられています(4)。

デジタル大辞泉では「(生体膜は)リン脂質分子の二重層からなり、親水性の部分を外側に向け、疎水性部分を内側に挟み込むように向い合い、たんぱく質分子がその表面や内部もしくは上下に貫通するようにモザイク状に入り混じっており、脂質・たんぱく質ともに流動性をもつ」と説明されています。模式図で示すと図1のようになり、電子顕微鏡でも二重層を見ることができます。

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ニコルソンはこのモデルが認められたことで有名になりましたが、もうひとつ彼を有名にした事件があります。余談となりますが、このことに触れないわけにはいきません。ニコルソンは Ph D であり、経歴を見ると医学を学んだ形跡はありませんが、次第に医学に傾斜し、湾岸戦争症候群の原因解明に主導的な役割を果たしました。

彼とナンシー夫人は、湾岸戦争症候群の主要な原因が、遺伝子改変が行われ生物兵器として用いられたマイコプラズマであることを、妨害を乗り越えてつきとめ多くの患者を救いました(5-9)。しかしそのために盗聴やさまざまな生活妨害を受け、そのうち研究を停止させられるという目に遭いました。結局カリフォルニアに自分で分子医学研究所を設立して、そこで研究を続けることになりました。

生物兵器をいったん世の中に出してしまうと、それを完全に回収することはできません。したがっていつパンデミックが発生してもおかしくない事態になります。慢性疲労症候群などの原因がマイコプラズマである可能性は高く(10)、これが生物兵器由来である可能性は否定できないと思います。また生物兵器を使用するには、テスト=人体実験をしなければならないので、政府にとっては調査が行われることは甚だまずい事態となります。ニコルソン夫妻は有名人だったので消されずにすんだのだと思います。

さてこれまでにも述べてきましたが、細胞膜を構成する脂質は主にフォスファチジルセリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、グリコシルセレブロシドの5種類です(図3)。

すべて親水性の頭部と疎水性の尾部という構造になっており、同じ方向を向いた層と、逆向きの層とが合体して脂質二重層を形成しています(図1)。各脂質の比率は生物種・細胞によって異なり、たとえば大腸菌ではほとんどがフォスファチジルエタノールアミンであり、ヒト赤血球ではフォスファチジルセリン・フォスファチジルエタノールアミン・フォスファチジルコリン・スフィンゴミエリンの4種がバランス良く配合されています(11)。脳神経系ではグリコセレブロシドの比率が高まるでしょう。

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シンガーとニコルソンの流動体モザイクモデルは細胞膜一般についてのモデルですが、細胞膜はどこでも均一ではなく、マイクロドメインが存在するということは電子顕微鏡を用いた観察から、1950年代にはすでに話題となっていたそうです(12)。しかしそれが脂質ラフトという名で、機能的にも重要であることが認識されてきたのは20世紀末のことです(13)。ラフトというのはいかだを意味し、細胞膜という湖にいかだが浮かんでいるというイメージなのでしょう。この「いかだ」は通常の脂質以外にコレステロールとタンパク質が多く含まれていることがわかっています(14)。

図4にウィキペディアに出ていた脂質ラフトのイラストを転載します。ラフトには膜貫通タンパク質やグリコフォスファチジルイノシトールという柄のついた傘のようなタンパク質、さらに糖タンパク質、糖脂質、コレステロールなどが集結しています。通常の部分が細胞を外界と仕切る壁とすれば、ラフトは細胞膜の特別な機能を果たす場所と言えます。コレステロールはこの特殊な場所が他の場所と混じり合わないよう、ラフト領域の流動性を低下させていると考えられます(15)。またラフトの疎水部が比較的直線的に描かれているのは、飽和脂肪酸が多いことを表しています。膜貫通タンパク質がラフトに多いのは、不飽和脂肪酸の絡まり合った状態(図4の左右部)より、飽和脂肪酸のストレートな状態(中央部)の方がすわりがよいからでしょう。

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膜貫通タンパク質は次の3つのグループに分けられます。

1.1回貫通タンパク質
2.イオンチャンネル
3.7回貫通タンパク質(Gタンパク質共役受容体)

まず1回貫通タンパク質ですが、多くはチロシンキナーゼ活性またはセリン/スレオニンキナーゼ活性をもつ酵素です。細胞外からシグナル因子がくると、それの受容体となって結合し、構造変化を起こしてチロシンキナーゼ活性を発動させ、細胞内の因子をリン酸化してなんらかの効果を得るという機能を持つタンパク質です。インスリン受容体、上皮成長因子(EGF)受容体、神経成長因子(NGF)受容体、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体、インスリン様増殖因子(IGF)受容体、繊維芽細胞増殖因子(FGF)受容体、肝細胞増殖因子(HGF)受容体、血小板由来成長因子(PDGF)受容体、各種サイトカイン受容体、各種細胞接着因子受容体など多くのタンパク質がこのグループに所属します(16)。

代表例としてインスリン受容体を図5に示しました。ちなみにインスリンがどのようにインスリン受容体と結合するかが解明されたのはごく最近のことです(17)。図をみると一見2回貫通しているように見えますが、細胞外でダイマーを形成しているわけで、それぞれの酵素は1回貫通です。ただしダイマーのうち片方にしかインスリンは結合しません。インスリン結合によって受容体は活性化され、細胞内のチロシンキナーゼ活性によってIRS-1という因子がリン酸化され、さまざまな反応が連鎖しておこります。この結果グルコースが細胞にとりこまれ血糖値は低下します(図5)。

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次にイオンチャンネルですが、細胞には適切なイオン濃度があって適宜調節が必要です。もちろん最適なイオン濃度はイオンによって異なりますし、細胞によっても異なります。ロデリック・マッキノンら(図6)は放線菌のカリウムチャンネルタンパク質を結晶化して構造解析することに成功しました(18)。

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カリウムチャンネルは1回膜貫通タンパク質であり、中心に穴が開いていてイオンが通過できる構造になっています(図7)。

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ただし図8左図のようにイオンを選別するフィルターがあり、ここのドメインにうまく結合しないとチャンネルを通過できないようになっているため、各イオンチャンネルは特定のイオンだけを選別して通す機能を持っています。すなわち穴のサイズだけでイオンを選別しているわけではありません。

イオンチャンネルはミトコンドリアのプロトンポンプのように、エネルギーを消費してイオンをくみ出したりはせず、単に濃度勾配で移動させるだけですが、開閉によってイオン濃度を調節することができます。開閉のシグナルは膜電位・リガンド・機械刺激・温度・リン酸化などさまざまです(19)。

水を選択的に透過させるチャンネルもみつかっています。解明したのはピーター・アグレらで(図6、参照20)、アクアポリン(水チャンネル)と呼ばれるこのタンパク質は6回膜貫通タンパク質であり、イオンチャンネルとは全く素性の異なる物質です。他の膜貫通タンパク質と異なり、N末とC末の両者が細胞内にあります。水チャンネル=アクアポリンには多数の種類があり、水以外の物質を通過させるものもあるようです(21)。

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マッキノンとアグレは2003年のノーベル化学賞を受賞しました。マッキノンは医学への道を棄てて基礎科学に転じた人ですが、東洋系の奥さんのおかげでポストドク時代の困難な生活を乗り切ることができたそうです(22)。基礎科学では飯が食えないので医師に転じたという知人・友人は多いですが、逆のケースはほとんど知りません。フランソワ・ジャコブが戦傷で医師への道を断念して基礎科学に転じたというのは有名な話ですが。

アグレはしばしばキューバに渡航して、学会や講義活動を行ったばかりでなく、フィデル・カストロ首相と会ったりして外交的活動にも関心があったようです。また北朝鮮にも渡航して学術交流を行うなど、学問を通した国際交流にも熱心で、一時は上院議員を志したこともあるそうです。

膜貫通タンパク質の最後は7回膜貫通タンパク質です。その構造を二次元的に展開したのが図9ですが、細胞膜を7回貫通し、細胞外にN末端、細胞内にC末端があります。7回膜貫通タンパク質はすべてGタンパク質共役受容体です。すなわちGタンパク質がループを形成している図9の青色などの部分に結合すると、Gタンパク質は結合していたGDPをリリースしGTPと結合します。同時に、Gタンパク質はサブユニットGαとGβγに分離し、それぞれの機能を発揮します。その後GαはGTPを加水分解し、そのエネルギーを用いてGβγと再結合します。

すなわち7回膜貫通タンパク質は外界からの情報を受け取る、すなわち細胞外にある受容体にリガンドが結合すると、細胞内部分がGタンパク質と結合して、Gタンパク質が活性化されて、生化学反応のカスケードが起動されるという機能を持っています。

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7回膜貫通タンパク質=Gタンパク質共役受容体はメジャーなホルモンなどの受容体なので、市販の薬の約60%がこのグループをターゲットとしていると言われています。主なものを図10に示しました。ほぼ同じ長さの7本のαヘリックスが円筒状の構造を形成しているタンパク質であることがわかります。このほかにも嗅覚受容体・光受容体など非常に生理的に重要な物質も含まれています。

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Gタンパク質共役受容体(GPCR=G protein-coupled receptor)の研究で、ブライアン・コビルカとロバート・レフコウィッツの2名が2012年のノーベル化学賞を共同で受賞しています(図11)。

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細胞膜を職場としているタンパク質には、膜貫通タンパク質以外に、特殊なアンカー(GPIアンカー、GPI:Glycosylphosphatidylinositol )で膜とつながり、膜の外に突き出た状態で機能するものがあります(図4)。GPIアンカーの構造は図12のようなもので、タンパク質とアミド結合するフォスフォエタノールアミン-3個のマンノースとNアセチルグルコサミン-フォスファチジルイノシトール-2脂肪酸という順につながっています。最後の脂肪酸が細胞膜に埋め込まれている部分です。GPIアンカー型タンパク質は原生生物・酵母・カビ・粘菌・植物・無脊椎動物を含む真核生物全域でみつかっています(23)。

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細胞膜の外側で酵素を働かせようとした場合にGPIアンカーが使われるようです。リストを図13に示しますが、酵素の他、細胞接着、補体の制御、神経系のレセプターなどの機能があるようです。FGFの活性を制御していると言われるグリピカンファミリーもこのグループに属します(24)。Gタンパク質共役受容体のグループに比べると地味な感じですが、薬剤のターゲットとして注目されているようです。

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参照

1) E. Gorter and F. Grendel, On bimolecular layers of lipoids on the chromocytes of the blood., J Exp Med. vol. 41(4): pp. 439-443. (1925)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2130960/pdf/439.pdf

2)J. Danielli and H. Davson, A contribution to the theory of permeability of the films.,  J.Cellul.Physiol. vol. 5, Issue 4, pp. 495-508 (1935)

3)S. J. Singer, and Garth L. Nicolson, The Fluid Mosaic Model of the Structure of Cell Membranes., Science. vol.175 (no.4023): pp.720-723 (1972)
http://www.jstor.org/stable/1733071?origin=JSTOR-pdf&seq=1#page_scan_tab_contents

4)Garth L. Nicolson, The Fluid—Mosaic Model of Membrane Structure: Still relevant to understanding the structure, function and dynamics of biological membranes after more than 40 years. Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Biomembranes, Vol. 1838, Issue 6,  pp. 1451–1466 (2014)
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0005273613003933

5)Garth L. Nicolson, Ph.D. and Nancy L. Nicolson, Ph.D. Chronic Fatigue Illnesses Associatedwith Service in Operation Desert Storm. Were Biological Weapons Used Against our Forcesin the Gulf War?  TOWNSEND LETTER FOR DOCTORS 1996; 156:42-48.
http://www.immed.org/GWI%20Research%20docs/06.26.12.updates.pdfs.gwi/TownsendLettGWI1996.pdf

6)湾岸戦争症候群に罹患した復員軍人の「家族」の血液から生物兵器?を続々検出
http://www.asyura2.com/0311/war41/msg/282.html

7)白血球から検出のマイコプラズマにエイズウイルスの被膜遺伝子配列:生物兵器の証拠文献
http://www.asyura2.com/0311/war41/msg/582.html

8)米軍病理学研究所へようこそ!:これが米国のばら撒いた「免疫不全」マイコ生物兵器:全訳付き
http://www.asyura2.com/0311/war41/msg/707.html
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/141.html

9)ニコルソン博士夫妻に驚くべき妨害
http://satehate.exblog.jp/11649060/

10)Endresen, G.K., Mycoplasma blood infection in chronic fatigue and fibromyalgia syndromes., Rheumatol Int. vo. 23(5), pp. 211-215. Epub 2003 Jul 16.
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00296-003-0355-7

11)京都大学大学院 梅田研究室
http://www.sbchem.kyoto-u.ac.jp/umeda-lab/research/hikaku.html

12)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%82%E8%B3%AA%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88

13)Kai Simons & Elina Ikonen, Functional rafts in cell membranes., Nature vol. 387, pp. 569-572 (1997) | doi:10.1038/42408

14)Richard M. Epand, Proteins and cholesterol-rich domains., Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Biomembranes, Vol. 1778, pp. 1576-1582 (2008)
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S000527360800120X

15)慶應義塾大学環境情報学部・基礎分子生物学3 「膜の構造と機能」
http://chianti.ucsd.edu/~rsaito/ENTRY1/WEB_RS3/PDF/JPN/Texts/biobasic3-2-7.pdf#search=%27%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB++%E8%86%9C%E6%B5%81%E5%8B%95%E6%80%A7%E3%81%AE%E4%BD%8E%E4%B8%8B%27

16)薬のすべてがわかる!薬学まとめ
http://kusuri-yakugaku.com/pharmaceutical-field/pharmacolory/receptor/membrane-receptor/1tm-receptor/

17)John G. Menting et al., How insulin engages its primary binding site on the insulin receptor., Nature  vol. 493, pp. 241–245 (2013) doi:10.1038/nature11781

18)Doyle DA, Morais Cabral J, Pfuetzner RA, Kuo A, Gulbis JM, Cohen SL, Chait BT, MacKinnon R.,  The structure of the potassium channel: molecular basis of K+ conduction and selectivity.,  Science vol. 280 (5360): pp. 69–77. (1998)  doi:10.1126/science.280.5360.69. PMID 9525859

19)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB

20)Peter Agre et al., Aquaporin CHIP: the archetypal molecular water channel., American Journal of Physiology - Renal Physiology  Vol. 265  no.  4,   F463-F476  (1993)

21)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%B3

22)https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/chemistry/laureates/2003/mackinnon-bio.html

23)Varki A, Cummings RD, Esko JD, et al., editors. Essentials of Glycobiology. 2nd edition. Cold Spring Harbor Laboratory Press (2009).

24)http://www.glycoforum.gr.jp/science/word/proteoglycan/PGA02J.html

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2017年5月 7日 (日)

リーガ・エスパニョーラ第36節: 暇なバルサは絶好調

Braugranaチャンピオンズリーグ敗退で暇なバルサで、さすがにスアレスも調子をとりもどし、ネイマールに至っては3試合出場停止で絶好調。あとはマドリーの取りこぼし待ちのバルサとなりました。ただ今日は強豪ビジャレアルとの一戦です。好カードで時間も早い試合とあって、カンプノウは満席(10万人)に近い大盛況です。

バルサはFW:ネイマール・スアレス・メッシ、MF:イニエスタ・ラキティッチ・ブスケツ、DF:ディニュ・ウムティティ・ピケ・セルジ、GK:テア=シュテーゲン。
ビジャレアルはFW:バカンブ・ソルダード、MF:Rソリアーノ・ロドリゴ・トリゲロス・ジョナタン、DF:Jコスタ・Aゴンザレス・ムサッキオ・Mガスパール、GK:アンドレス=フェルナンデス。

ビジャレアルは典型的な442なので、こんなときはバルサも343でもいいと思いますが、やはり433は落ち着きます。21分スアレスが右サイドに進出して、左サイドのメッシにパス。メッシがシュートしますがガスパールの足に当たって偶然中央ネイマールの前にこぼれます。これをネイマールがゴール。メッシが蹴る前に、ネイマールが数歩戻っていたのが功を奏して、オフサイドを免れました。

しかし32分、カウンターからピケがバカンブに振り切られて失点。これはウムティティが前に出過ぎだったのでしょう。40分にもソルダードにフリーでヘディングされますが、失敗で事なきを得ました。

ビジャレアルのペースになりかけていたところ、前半終了間際、メッシが左へ走りながら得意な体勢からのシュートでゴール。3人でカバーしながら普通に決められたので、ビジャレアルとしては大ショックでした。

後半は完全にバルサペースで、24分、早いリスタートからセルジが中央を押し込んで右のスアレスにパス。スアレスが強引に切り込んで、1発切り返してゴール。3:1です。

このあとPKもあって、バルサ4:1の完勝でした。やはりバルサの敵はスケジュールを実感しましたが、だからこそローテーションでパコやアルダが出たときのやり方を考えるのがベンチの課題で、次のシーズンにはきちんと練習を重ねて、周到に準備して試合に臨んで欲しいと思います。前の3人が出場しているときに3人に頼るのは当然ですが、チャンピオンズリーグをきちんと戦うにはローテーションは必須で、エンリケに足りなかったところはここでしょう。

https://www.youtube.com/watch?v=FKXDkj9HWlE

https://www.youtube.com/watch?v=RyVtRz5fb4I

https://www.youtube.com/watch?v=aPbuP0iu_Bw


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2017年5月 5日 (金)

やぶにらみ生物論72: 呼吸

ハンス・クレブスらの研究によって、クエン酸回路の全貌が明らかとなり、ブドウ糖が体内でどのように代謝されるかが解明されました(図1)。しかし図1にATPという文字はどこにも書かれていません。酸素もどこにも現れません。クエン酸回路は呼吸の要なのにどうなっているのでしょうか?

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まずクエン酸回路に投入される物質(インプット)と、クエン酸回路で精製される物質(アウトプット)を図2にまとめてみました。科学者に課せられた課題は、このアウトプットがどのようにATP生成や酸素の消費にかかわっているかということでした。

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クエン酸回路の反応が行われている場所がミトコンドリアであることは、当時から推測されていたわけですが、その反応系を試験管の中に取り出すことは誰にもできませんでした。そのためにはまず細胞を壊して、反応系が無傷で保存されているミトコンドリアを取り出さなければいけません。つまり細胞は壊れているけれど、ミトコンドリアは壊れていないという状態です。これに成功したのがアルベール・クロード(1898~1983、図3)でした。

クロードはベルギー人で、子供の頃に母親を亡くして叔母の手で貧困の中で育ちましたが、第一次世界大戦がはじまったときにチャーチルにあこがれて英国のスパイ組織に従事し、戦後連合国のメダルと退役軍人のステータスを獲得することができて、進学の機会を与えられました。彼は高校に行ってなかったので、リエ-ジュ大学医学部に入学する前に鉱山学校で勉強して、鉱石を遠心分離機で分離する技術を知っていました。何が幸いするかわかりません。彼はこれを細胞にも応用して、ミトコンドリアを遠心分離機を使って無傷で取り出すことに成功したのです。この技術は細胞分画法とよばれるもので、後の生化学の発展に大きく寄与しました(1)。

ミトコンドリアはサイズが小さすぎて光学顕微鏡ではうまく観察できないので、構造を解明するためには電子顕微鏡を用いた研究が必要でした。クロードはルーマニア人のジョージ・パラディー(1912~2008、図3)を誘って電子顕微鏡を生物試料に適用する研究を進めてもらいました。二人は後年(1974年)ノーベル医学生理学賞を受賞しました。

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さてそのミトコンドリアですが、もともとは細菌だったと考えられているわけです。真核生物にとりこまれ、紆余曲折を経て現在のようにオルガネラとして細胞の中で生きています。ミトコンドリアの最もシンプルな構造図を図4に記します。外膜は真核生物由来らしく、細菌から引き継いだ特異な機構は内膜に集中しています。ウィキペディアによるとミトコンドリアの重量は体重の10%を占めるそうで、私達はまさしく真核生物と細菌の合作であることを思い起こさせます。

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ミトコンドリアは真核生物に取り込まれる前から、クエン酸回路で生成したNADHやFADH2、および取り込んだ酸素を使ってH+(プロトン)を膜間腔に追い出し、マトリックスと膜間腔の間に形成されたH+の濃度差による化学浸透圧を利用してATPを合成しています。このようなメカニズムに最初に気がついたのはピーター・ミッチェル(1920~1992、図5)でした。彼はその研究結果を1961年にNature誌に報告しました(2)。しかしその理論はあまりにも斬新なものだったので信じる人が少なく、職を得ることができなかったので、自宅をGlynn研究所と名付けて自費で研究を続けるしかありませんでした(3、4)。

この困難な状況はエフレム・ラッカー、香川靖雄(図5)らによって、ミトコンドリアの内膜に埋め込まれたATP合成酵素が発見されたことで改善され、ピーター・ミッチェルは1978年にノーベル化学賞を受賞しました。このあたりの事情は参照文献(3)に詳述されています。図4の膜内粒子とはATP合成酵素でした。この酵素は複雑で巨大な構造をとっており、まだ正確な分子量は明らかになっておりません。

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現在の理解では、図6に示されるように膜貫通システム複合体 I、III、IV、およびそれを補佐するシステムIIによって、NADH、FADH2、酸素を使ってプロトン(H+)をマトリックスから膜間腔に排出するポンプを駆動し、排出されたプロトンが化学浸透圧によってマトリックスに回帰する際に、そのエネルギーを利用してATP合成酵素がADPからATPを合成するということになっています(5、6)。

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複合体 I についてウィキペディアの受け売りをしますと、図7のように、「複合体 I では、解糖系およびクエン酸回路から得られた NADH から2つの電子が取り除かれ、脂質可溶キャリアであるユビキノンに移される。ユビキノンの還元生成物であるユビキノールは膜の内部を自由に拡散し、次の複合体 III に電子伝達を行なう。複合体 I はプロトンポンプ機構(プロトンが膜を通過する機構)およびキノンサイクル機構を用いて4つのプロトンを膜を通して移動させ、プロトン勾配を作る」 ということになっているそうです(7)。ユビキノンの還元について関心のある方は(8)をご覧下さい。複合体 I が行っていることの収支式は

NADH + ユビキノン(Q) + 5H+ in → NAD+ + ユビキノール(QH2) + 4H+out

ということになります。

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プロトンの排出を行っている複合体は細菌とミトコンドリアではかなり異なっているようですが(7)、ATP合成酵素は全生物共通で進化の痕跡がみられない(9)というのは驚異的です。

ATP合成酵素の研究でポール・ボイヤーとジョン・ウォーカーが1997年にノーベル化学賞を受賞しましたが(図8、参照10)、その影には木下一彦(~2015、図8)らの革命的な研究があったことは確かでしょう。ボイヤーらはATP合成酵素がタービンのように回転するという仮説をたてていましたが、誰もそれを証明することができなかったのです。しかし木下らは酵素を標識することによって、顕微鏡下でその回転を可視化することに成功しました(11)。これによってボイヤーは98才という高齢でノーベル賞を受賞することができたと思われます。

木下らは当然ノーベル賞を受賞すべき成果を上げましたが、ボイヤーが高齢であることから迅速にということで、彼と結晶化して分子構造を解析したジョン・ウォーカーが、とってつけたような Na-K-ATPase のイェンス・スコウと共に授賞されました。論文発表の年に授賞というのはいくらなんでも無理だったのでこういうことになったのでしょう。

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ATP合成酵素は膜間腔につきだしているF1部位と、ミトコンドリア内膜に埋め込まれているFo(エフオー)部位からなる巨大なタンパク質複合体です(図9)。プロトンの流れによってF1部位の γ サブユニットがタービンのように回転し(反時計回り)、ATPを合成するエネルギーを生み出していると考えられます(12)。ATP合成酵素によってマトリックスにとりこまれたプロトンは、すぐに酸素と結合して水になってしまうので、クエン酸回路とプロトンポンプが動いている限り、内膜の外と内でプロトンの濃度差がなくなる状態にはなりません。

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以上のようにエムデン・マイヤーホフ系はミトコンドリア外の細胞質で、クエン酸回路はミトコンドリアマトリックスで、プロトンポンプとATP合成酵素はミトコンドリア内膜で機能しています。

木下一彦先生は2015年の秋に、南アルプス小仙丈岳付近で滑落死するという不慮の死をとげられました(13)。私もこのあたりは何度も歩いたことがありますが、夏山では何の問題もないハイキングコースのようなところでも、凍結していると危険なことをあらためて痛感しました。ご冥福を祈ります。

参照

1)https://en.wikipedia.org/wiki/Albert_Claude

2)Peter Mitchell, Coupling of phosphorylation to electron and hydrogen transfer by a chemi-osmotic type of mechanism. Nature  vol. 4784, pp. 144 - 148 (1961)

3)香川靖雄 「ATP合成酵素の発見から人体エネルギー学まで」 日本蛋白質科学会 シリーズ「わが国の蛋白質科学研究発展の歴史」第4回 pp. 23-32
http://www.pssj.jp/archives/files/ps_history/PS_History_04.pdf
(管理人=本稿執筆者註:この文献はいつ出版されたのか確認できませんでした。日本蛋白質科学会が設立されたのが2001年なので、それ以降であることは確かです)

4)杉晴夫 「栄養学を拓いた巨人たち」 講談社ブルーバックス (2013)

5)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%88%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A2

6)電子伝達系と酸化的リン酸化
http://kusuri-jouhou.com/creature1/dentatu.html

7)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E4%BC%9D%E9%81%94%E7%B3%BB

8)ユビキノンについて
http://hobab.fc2web.com/sub4-CoQ.htm

9)https://ja.wikipedia.org/wiki/ATP%E5%90%88%E6%88%90%E9%85%B5%E7%B4%A0

10) The Nobel Prize in Chemistry 1997,
https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/chemistry/laureates/1997/

11)Noji H1, Yasuda R, Yoshida M, Kinosita K Jr.,  Direct observation of the rotation of F1-ATPase.,  Nature, vol. 386(6622): pp. 299-302. (1997)

12)野地博行 安田涼平 木下一彦 「回る酵素の観察」 バイオサイエンスとインダストリー vol. 56, no.10, pp. 665-670 (1998)
http://www.k2.phys.waseda.ac.jp/PDF/1998BioSI_Noji_RotEnz.pdf

13)明滅する一筋の光が我々にみせたもの ~木下一彦さんの追悼に代えて~
http://slight-bright.hatenablog.com/entry/2016/01/28/225438

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2017年5月 4日 (木)

明日から12年目に突入

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2017年5月 3日 (水)

サラとミーナ185: 窓辺でまどろむサラ

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Img_1859cミーナの昼寝は、夏以外はシーツやタオルケットに潜り込むというパターンですが、サラは窓辺でゆっくりするのが好きなようです。

サラは中年になって貫禄が付いてきました。顔も横に広がったでしょうか。私はサラには敬意を持って接しています。

サラとつきあっていると、ネコという種族とヒトという種族の接点をさぐる楽しみがあります。

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2017年5月 2日 (火)

ノドン

1024pxoperation_upshotknothole__bad北朝鮮は20年以上前に日本のほぼ全土を射程距離内におくノドンを開発したことがわかっています。そして故江畑謙介氏によると、10年以上前に搭載する核弾頭も完成しているということです。

隠蔽可能で、移動できる車両から発射されるので、スピードが出ないうちに打ち落とすのはまず無理。200発くらい撃てると推測されています。最低でも数発同時発射は可能でしょう。

http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50764849.html

日米安保条約をいくら強化しても、安保法制を施行しても、自衛隊を増強しても、意味ありません。ノドンの脅威から逃れるには、日米安保条約を破棄して、日本から米軍基地を引き払ってもらうしかありません。

そのためには米国による経済制裁に耐えるような経済システムを実現することが必要です。とりあえず米国への経済依存を少なくしていくことがポイントです。2010年から2015年にかけて1.5倍に輸出が増加しているのは好ましいことではありません(米国にとっても好ましくはないでしょうが)。

http://www.jftc.or.jp/kids/kids_news/japan/country.html

経済依存が減れば、政治的な結びつきも希薄にすることが可能です。年がら年中戦争をやっている米国と共に戦う国としての日本はあり得ません。それをめざしている安倍政権を日本人の過半数が支持しているというのは異常です。

安倍政権がなぜ高い支持を得ているかというと、政権にとってまずいことは隠蔽するか、嘘をつくという作戦に徹しているからです。人はうすうすわかっていても耳障りの良い言葉を信じるのです。しかしちょっとした努力で真実を知ることは可能です。

とりあえず これかな↓

http://saigaijyouhou.com/

http://www.tokyo-np.co.jp/

http://lite-ra.com/

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2017年4月29日 (土)

小泉都響-メンデルスゾーン交響曲第3番@オペラシティー2017年4月29日

Img昼間にサンクンガーデンに行った記憶が無いのですが、子供達が多くて大変賑っていました。サントリーホールが改装ということで、オペラシティー・コンサートホールでの代替開催です。本日のコンマスは矢部ちゃん、サイドはマキロン、指揮は小泉さんです。

このホールは非常に見にくいホールですが、音響は素晴らしい。うるさいくらいに音が響きます。いつもの都響の演奏も、ここでやるとグレードアップされた感じがします。ゴージャスな音響が実に心地よい。

それでも私はこのホールは好きになれません。ステージの半分も見えない席が結構あるというのは、聴衆をバカにしているとしか思えません。

マエストロ小泉は慌てず騒がずの堅実な演奏で、じっくりとベートーヴェンとメンデルスゾーンを聴かせてくれました。これだけ素晴らしい音響だと、オケも指揮者もソリストもぐぐっとテンションが上がって、アグレッシヴな演奏だったような印象を受けました。客席は満員ではありませんでしたが、非常にうまくいった演奏会だったと思います。私のテンションも上がりました。ライヴレコーディングの会場としては最高のホールだと思います。

ソリストのキム・ソヌクは、おそらくベートーヴェンが得意なのでしょう。完全に自分のスタイルでやりきっていたと思います。まだ20代ですが、もはや巨匠のような雰囲気です。ただできあがりすぎという感じもしました。演奏終了後、矢部ちゃんと握手して欲しかったと思いますが、ちょっと舞い上がっていたのかな。

終了後、マエストロがメンバーを立ち上がらせて拍手するわけですが、なんと南方は楽器にヒラヒラとワイパーをくっつけたまま立ち上がる。はなたれ小僧みたいでした(爆)。

こんな演奏家です↓↓

キム・ソヌク

https://www.youtube.com/watch?v=7MpLN8gjxaA

https://www.youtube.com/watch?v=_1vvBT9MnVE

小泉和裕-都響

https://www.youtube.com/watch?v=wJRZPxddOk4

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2017年4月28日 (金)

やぶにらみ生物論71: 解糖

17世紀の英国の化学者ジョン(ヨハネス)・メイヨー(1640~1679、図1)は、密閉容器にねずみとろうそくを入れ、ろうそくを燃やすと、まずろうそくが消えて、そのあとねずみが死ぬことを発見しました。ろうそくを燃やさないと、ねずみは燃やしたときと比べてもっと永く生きられました。

ボイルがすでに燃焼には空気が必要であることを主張していましたが、メイヨーは燃焼および生命現象には、空気の成分の1部だけが必要であるとし、その要素を酸素と命名しました。彼は肺が空気から酸素をより分けて血液に供給していると考え、さらに筋肉の活動も体温維持も酸素の燃焼によって行われていると考えていました(1)。メイヨーの慧眼には恐るべきものがあります。

メイヨーの学説はほぼ100年後に、ジョゼフ・プリーストリーとアントワーヌ・ラボアジェ(1743~1794、図1)によって再発見され、特にラボアジェは当時流布していたフロギストン説(「燃焼」はフロギストンという物質の放出の過程である)を否定し、物質と酸素が結合することが燃焼の本質であることを証明しました。彼はこのことを契機に質量保存の法則をみつけました。

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ラボアジェはメイヨーの考えを正しく引き継ぎ、生命の本質とは、呼吸によって体内に取り込まれた酸素によって、体内の物質を燃焼させることであると考えました。彼の著書 "Elements of Chemistry" は英文版もあり、無料でダウンロードして読むことができます(2)。業績をわかりやすくまとめたサイトもあります(3)。

彼は炭の燃焼を研究し、その本質が炭素と酸素の結合によって二酸化炭素が発生することであることを発見しました。さらに人間の呼吸もこれと類似した現象で、体内にとりこまれた酸素が、体内の炭素と結合して炭酸になることであるとしました。図2はラボアジェと共同研究者達が人の吐く息を集めて、成分を分析する実験を行っているところです。一番右でノートをとっているのが彼の妻マリー・アンヌで、彼女は実験ノートをとるだけでなく、実験器具や実験を実施している状況を正確に絵に描いたり、実験の手伝いや英語の論文の翻訳など八面六臂の大活躍で、世界最初の女性科学者とされています(4)。

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ラボアジェは徴税請負人の仕事で研究費を稼いでいました。この仕事は当然恨みを買う仕事であり、フランス革命において断罪され処刑される結果となりました。彼の名はもちろんエッフェル塔に刻まれています。

さて、ではラボアジェの酸素と結合して燃焼する生体物質とは何なのでしょうか? この答えを得るために大きな貢献をしたのがクロード・ベルナール(1813~1878、図3)でした。彼はエネルギー源となる物質はブドウ糖であること、ブドウ糖はグリコゲンという形で肝臓に貯蔵され、グリコゲンは必要時にブドウ糖に分解されることなどを証明しました。このほかにも膵液がタンパク質や多糖類を消化する、胆汁は脂質の消化を助ける、など栄養学の基盤となるような現象を次々と解明しました(5)。ただベルナールの時代には実験動物の取り扱いが悲惨なものだったので、彼の家族は動物実験に反対してみんな出て行ってしまいました(3)。国葬までされた偉大な科学者でしたが、プライベートは寂しい人生だったようです。

クロード・ベルナールは科学哲学者でもあり、松岡正剛がまとめた彼の言葉(6)から少し引用してみました。

● 実験は客観と主観のあいだの唯一の仲介者である。
● 実験的方法とは、精神と思想の自由を宣言する科学的方法である。
● われわれは疑念をおこすべきなのであって、懐疑的であってはならない。
● 実験的見解は完成した科学の最終仕上げである。

ベルナールの「実験医学序説」は私も学生時代に読んだ記憶があります。現在も岩波文庫で出版されているようです(7、図3)。

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エネルギー源がブドウ糖であることがわかったので、次はブドウ糖がどのように代謝されてエネルギーが生み出されるのかという問題でした。この問題を解明したのはグスタフ・エムデン(1874~1933、図4)とオットー・マイヤーホフ(1884~1951、図4)でした。

エムデンとマイヤーホフは共にユダヤ人だったので、ヒトラーが台頭してからは悲惨な人生でした。エムデンはヒトラー・ユーゲントの乱入で講義を妨害され、自宅に引きこもって失意のうちに病死、マイヤーホフはフランスからピレネー山脈を越えてスペインに逃れ、さらにアメリカに亡命しました。このあたりの事情は木村光が詳細を記述しています(8)。彼の文章を読むと、マイヤーホフがアメリカに亡命できたのはまさに奇跡であったことがわかります。

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エムデンとマイヤーホフと彼らの協力者達が解明したブドウ糖からピルビン酸への代謝経路を図5に示します。現代的知見では、この経路で1分子のブドウ糖の代謝によって4分子のATPが生成され、2分子のATPが消費されます。またNADHが2分子生成されます。図5で計算が合わないと思われる方もおられるかもしれませんが、グルコース1分子からグリセルアルデヒド-3-リン酸2分子が生成されるので計算は合っています。この代謝経路は解糖におけるエムデン-マイヤーホフ経路と呼ばれています。エムデンとマイヤーホフはまさしくライバルであり、非常に仲が悪かったようです。

エムデン-マイヤーホフ経路は、多少のバリエーションはありますが、細菌・古細菌・真核生物のドメインを問わない共通の代謝経路です。酸素がなくてもATPを産生できるので、地球の大気に酸素がなかった時代から完成していたと思われます。地球の生物がひとつのファミリーであることの証左でもあります。

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拡大図↓

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エムデン-マイヤーホフ経路の解明だけでは、もちろんラボアジェの「酸素と結合して燃焼する生体物質」は明らかになっていません。ラボアジェに答えるためには、ATP(アデノシン3リン酸)の発見と機能の解明、およびミトコンドリアにおけるクエン酸回路と電子伝達系の解明が必要でした。しかしそれもこれもエムデンとマイヤーホフが解明した解糖系でピルビン酸が生成されるということが出発点になっています。

ATPを誰が発見したのかということについては杉晴夫が詳しい調査を行っています(4)。彼の結論によると、「ATP (アデノシン3リン酸) の発見者はカール・ローマンということになっており、論文出版も1ヶ月早かったのですが、これはフィスケの研究室をマイヤーホフが訪問したときに聞いた話をローマンに漏らしたせいであり、本当の発見者はサイラス・フィスケ(1890-1978)とイェラプラガダ・サバロウ(1896-1948)」 だそうです(4,9)。理系の方の多くは学生時代にフィスケ・サバロウ法でリンを定量したと思います。丸山工作はフィスケとサバロウの実験ノートを調べて、彼らが1927年から1928年にかけて、ATPを発見していたことを確認したそうです(4)。

そして松田誠によると、ATP (アデノシン3リン酸) の分子構造を解明したのもローマンではなく、牧野堅(1907~1990、図6)だそうです(10,11)。これには私も全く知らなかった話で、仰天しました。牧野がどのような方法で解明したかも文献(11)に詳しく記載してあります。牧野堅は実験を行った場所こそ大連という辺境の街の病院でしたが、論文はドイツ語で書いてドイツの雑誌に受理されているわけですから(10)、もっと正当に評価されるべきだったと思います。

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すでに核酸のところでも出ましたが、ATPの構造を再揭します(図7)。ATPは図のように高エネルギー結合を2ヶ所に持っており、加水分解されてADPあるいはAMPに代謝されると、エネルギーを放出します。狭い場所に酸素原子が5個も存在して、電気的反発で非常に居心地が悪いのに、酸素を挟んで並ぶPとPが中間にある酸素のローンペアを綱引きしているので、いわゆる共鳴による安定化ができないため、非常に不安定な状態にあります。両側からバネで無理矢理圧縮されているような状態なので、加水分解で解放されると激しく振動し、温度を上昇させます(4)。

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またATPは図8に示したように、共役反応によって、基質Aをより自由エネルギーの高い活性化状態に担ぎ上げることができます。この状態でBと反応が進行し、リン酸を放出して化合物A-Bが生成します。この場合AとBと酵素を単にまぜあわせても、ATPがなければA-Bという化合物はできません。ATPを使う共役反応で、生物は必要な物質を、高分子物質すら合成することができます。ATPはこのように生合成や発熱に使われるだけでなく、筋収縮や能動輸送など生物に特異な現象に幅広く関わっています。

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1937年ハンス・クレブス(1900~1981、図9)はハト胸筋のスライスにピルビン酸とオキザロ酢酸を加えるとクエン酸が生成されることを発見しました。その頃までにコハク酸からオキザロ酢酸への経路はセント・ジェルジによって、クエン酸からα-ケトグルタル酸への経路はカール・マルチウスとフランツ・クヌープによって明らかにされていたので、この両者をつなぐことができたことで、一気にクエン酸回路の完成に近づきました(4)。彼は天才的科学者でかつ医師でしたが、ユダヤ人であったためにドイツで働くことができず、英国に移住して研究を行いました。

クレブスの実験はあくまでも細胞にピルビン酸とオキザロ酢酸を加えると、途中の経路はブラックボックスで、結果的に細胞がクエン酸を生成するというもので、反応の実体は不明でした。このブラックボックスを解明したのがフリッツ・リップマン(1899~1986、図9)でした。リップマンもユダヤ人であり、ナチスの迫害を逃れて米国で研究を行いました。彼らに限らず、20世紀における科学の重要な進展の大部分は、ナチスに追われたユダヤ人によって成し遂げられたように思います。

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解糖によって生成されたピルビン酸が、どのようにしてクエン酸回路に投入されるかという問題はリップマンによって解明されました。キーとなる因子はリップマンが発見したコエンザイムA(CoA あるいは HSCoA などとも表記します)でした(図10)。まずピルビン酸はコエンザイムAと反応してコエンザイムをアセチル化し、アセチルCoAを生成します(図10、図11)。この反応で二酸化炭素とプロトンが発生し、二酸化炭素は肺から外界に排出されます。プロトンはミトコンドリアに蓄積されます。

次にアセチルCoAはオキザロ酢酸とアセチル基を連結させてクエン酸とHSCoAを生成します。クエン酸はクエン酸回路に投入され、HSCoAは再利用されるということになります。クレブスとリップマンはクエン酸回路の解明によって、1953年にノーベル医学・生理学賞を受賞しています(12-14)。

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なぜコエンザイムAのような非常に複雑な分子が、酸素存在下で生物が大発展するためのキーファクターになったのか、それは謎です。

参照

1)J.J.Beringer,  John Mayow: Chemist and Physician.,  Journal of the Royal Institution of Cornwall. Royal Institution of Cornwall. vol.IX, pp.319-324
https://books.google.co.jp/books?id=10MBAAAAYAAJ&pg=PA319&redir_esc=y&hl=ja#v=onepage&q&f=false

2)https://archive.org/details/elementschemist00kerrgoog

3)近代化学の父:ラボアジェ
https://istudy.konan.ed.jp/renandi/materialcontents/107932/101920/2016PreLabo09.pdf

4)杉晴夫著 「栄養学を拓いた巨人たち」 講談社ブルーバックスB-1811 (2013)

5)F. G. Young, Claude Bernard And The Discovery Of Glycogen: A Century Of Retrospect., The British Medical Journal, Vol. 1, pp. 1431-1437  (1957)
https://www.jstor.org/stable/25382898?seq=1#page_scan_tab_contents

6)松岡正剛の千夜千冊
https://1000ya.isis.ne.jp/0175.html

7)クロード・ベルナール著、三浦岱栄訳 「実験医学序説」 岩波文庫 青916-1 (1970)

8)木村光、オットー・マイヤーホッフのヒトラーとナチスからの逃脱-ピレネー越えの真相 化学と生物 vol. 53 (11), pp.792-796 (2015)
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=478

9)Fiske CH, Subbarow Y.,  Phosphorus compounds of muscle and liver. Science 1929, vo. 70, pp. 381-382 (1929)

10)Makino K., Ueber die Konstitution der Adenosin-Triphosphorsaeure. Biochem Z. vol. 278, pp. 161-163 (1935)

11)松田誠 牧野堅によるATP構造解明 慈恵医大誌 vol. 125, pp. 239-248 (2010)
http://ir.jikei.ac.jp/bitstream/10328/6505/1/125-6-239.pdf

12)Award Ceremony Speech.
https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/1953/press.html

13)Hans Krebs: Nobel lecture, The citric acid cycle.
https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/1953/krebs-lecture.pdf

14)Marc A. Shampo and Robert A. Kyle., Fritz Lipmann—Nobel Prize in Discovery of Coenzyme A. Mayo Clinic Proceedings, Volume 75, Issue         1,  Page 30
http://www.mayoclinicproceedings.org/article/S0025-6196(11)64252-3/pdf

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2017年4月27日 (木)

JPOP名曲徒然草179: 「六甲おろし」 by 矢井田瞳

Summer Koshien 2009 Final.jpg

いろんなバージョンの六甲おろし(正式には阪神タイガースの歌)を聴いてきましたが、

矢井田瞳の歌が一番だと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=NxxygB9WqC0

https://www.youtube.com/watch?v=iFeBjUQ0Jjs

https://www.youtube.com/watch?v=JNY-Guacfs8

https://www.youtube.com/watch?v=7RD9hbFKV48

今まで聴いた中でもっともひどい六甲おろし(by トーマス・オマリー 昔阪神タイガースの4番バッターだった人です)

https://www.youtube.com/watch?v=6uio6ayqpOk

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2017年4月26日 (水)

リーガ・エスパニョーラ第33節: バルサ首の皮一枚で踏みとどまる

Braugranaサンチャゴ・ベルナベウでのクラシコは、新生バルサの幕開けを予感させるものでした。

アディショナルタイムでの怒濤のカウンターは、自陣深くからのセルジのドリブルではじまりました。最も長い距離をすでに走っていた彼は、マドリーの選手を次々交わして突進。これに触発されたバルサメンバーの7人が全力疾走でマドリーゴールに殺到します。最後のメッシの決勝ゴールも、数的優位の結果です。

カゼミーロの意図したラフプレーは許せませんが、まあ新たにマドリーの中心選手に抜擢されたという気負いがなせるものとしましょう。マルセロのひじ打ちは彼の本質があらわれたものです。バルサにとってせめて幸いだったのは、悪童コンビの片割れぺぺが出場していなかったことです。

ベイルが故障明けで絶不調だったのも幸いしました。とはいえバルサも、ネイマールが誰もケガさせてないのに3試合出場停止という、あまりにも理不尽なペナルティーで出られず。スアレスは1年の疲労がどっと出た感じで絶不調。メッシはマルセロにやられて、出血をタオルで止めながらのプレイということで(4針縫うことになったそうです)、バルサのチーム力は昨年秋頃に比べるとがっくり落ちています。

その中でGKテア=シュテーゲンが頑張りました。長身とジャンプ力を生かしてシュートを止めまくり、特にクロースのミドルを止めたプレイは鳥肌ものでした。

決勝ゴールの後、メッシがカード覚悟でユニホームを脱いでアピールしたのは、やはり数々のマドリーのラフプレーに対する抗議だと思います。

これで首の皮一枚で優勝争いに生き残りましたが、休養十分のネイマールのこれからの大活躍を期待したいと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=FTPxORAlT0Y
https://www.youtube.com/watch?v=kcQU8PGlHu8
https://www.youtube.com/watch?v=eBiFZWXUWjw

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2017年4月23日 (日)

やぶにらみ生物論70: ステロイド

ステロイドというと一般的には炎症を抑えるために処方されるコルチゾール系の薬品を意味しますが、学術的にはもっと幅広く、性ホルモン・胆汁酸・コレステロールなども含みます。

ステロイドという生体物質は、脂肪酸や油脂とは全く異なり、図1に示されるような風変わりな基本構造(ステロイド骨格)を持っています。この基本構造はA,B,Cという3つの6員環とDというひとつの5員環からなり、通常3の位置がヒドロキシル化(-OH)またはカルボニル化(=O)されています。また10と13の位置はメチル化、17の位置はアルキル化されています。アルキル化というのはCH3、CH2CH3、CH2CH2CH3、・・・ などCnH2n+1が結合するという意味です。

ステロイド骨格そのものは脂溶性で水に不溶ですが、ヒドロキシル化されていると多少水に溶ける場合があります。17位に結合しているアルキル基がヒドロキシル化されることもあります。

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ステロイドはほとんどの真核生物の体内で生合成され、細胞膜の重要な構成成分となっているほか、胆汁に含まれる胆汁酸やホルモン類(性ホルモン・副腎皮質ホルモンや昆虫の変態ホルモンなど)として、幅広く利用されています。ただしステロイドは真核生物だけに合成能力があり、細菌や古細菌にはみられません。したがって例えば化石にステロイドが含まれていれば真核生物と示唆されます(もちろん現生生物による汚染の問題は常に考慮されなければなりません(1))。

話は変わりますが、多くの硬骨魚類は鰾(うきぶくろ)を持っていますが、サメなどの軟骨魚類はもっていません。従って泳がないと海底に沈んでしまいます。このような事態をさけるために、一部のサメは肝臓に多量のスクワレンという脂質を蓄えて浮力の足しにしています(2、3)。サプリメントの肝油というのはこの種のサメの肝臓の抽出物でです(4)。辻本満丸は1906年にサメの肝油からスクワレンを発見して記載しています(5、図2左)。後日書籍にもなっているようです(図2右)。

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スクワレンの構造は、1929年になってイアン(イシドール)・ヒールブロンによって明らかにされました(6)。よく化粧品に使われるスクワランは、スクワレンの-C(?)=C(?)-をすべて-CH(?)-CH(?)-に変換したものです(?はCH3またはH)。スクワレンはクエン酸回路やβ酸化にもかかわっている、いわば代謝の交差点のようなアセチルCoAから生合成されます(図3)。そしてスクワレンがステロイド合成の起点となります。

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スクワレンはスクワレンエポキシデース(7)とラノステロールシンテース(8)という2種の酵素のはたらきで、ラノステロールというステロイド骨格をもつ化合物に変化します。

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ラノステロールはあらゆるステロイド化合物の前駆体ですが、自身もラノリンの成分として動物の皮脂腺から分泌されており、毛皮に水分が浸透しないように保護する役割があるとされています(10)。

実は毛根は表皮を経由せず直接外界と接しているので、もし皮脂がなければ容易にウィルスや細菌が侵入してきます。したがって毛穴を皮脂で埋めておくことは大事なことです。ですから、毛根鞘の死細胞を取り除くというメリットがあるとしても、毎日髪をシャンプーで洗うことは健康には良くないと言えます。どうしてヒトは髪を洗うと気分が良くなるのか、生物学的には不思議な現象です。もちろん毎日シャンプーで毛を洗う生物なんて、ヒト以外にあり得ません。

ラノステロールからコレステロールが合成される経路をウィキペディアからコピペしました(図5)。

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これらの複雑なステロイド生合成経路を解明した業績で、コンラート・ブロッホ(1912-2000)とフェオドル・リュネン(1911-1979)(図6)が1964年のノーベル生理学・医学賞を受賞しています。ブロッホはユダヤ人で、ナチスから逃れて米国にたどりついた人です。リュネンはミュンヘンで生まれ育ち、ミュンヘン大学教授からミュンヘンのマックス・プランク細胞化学研究所の研究所長になりました。伝説の 故沼正作先生(http://scienceandtechnology.jp/archives/9655)はこの方のお弟子さんだそうです。

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代表的なステロイド系化合物の構造を図7に示しました。コレステロールは細胞膜の構成要素、コール酸は胆汁の成分、テストステロンは男性ホルモン、エストラディオールは女性ホルモン、コルチゾールは副腎皮質ホルモンです。

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図8にみられるように、コレステロールは細胞膜の構成要素です。細胞膜の基本構造はリン脂質が「親水部位」を細胞外および細胞内の外側向け、「疎水部位」を膜内部にむけて整列した2重膜構造になっていますが、コレステロールも親水側を細胞外または細胞内に向け、疎水部をリン脂質の疎水部位に埋め込んだ形で存在します。

コレステロールが膜構造に加わることによって、膜の流動性(しなやかさ)が高くなり、温度が下がることによって発生する相転移(硬くなる)が阻止されます。細胞膜は単なる壁ではなくて、その中で化学反応や分子構造の変化、物質の出し入れなどが行われているので、それなりの可塑性の高さが必要だと思われます。

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コレステロールが特に集積している組織として、ミエリン鞘が知られています。ミエリン鞘は神経細胞の軸索を被うカバーのような組織です。その実体は図9に示すように、シュワン細胞はが「ふとん」で軸索が「人」だとすると、「ふとん」でぐるぐる巻きにしたような構造になっています。すなわち細胞膜が何重にもなっているような構造なので、細胞膜の脂質は当然大量に含まれることになります。脳の白質はミエリン鞘が集積している組織なので、特に脂質が豊富です。

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コレステロールというと、すぐに健康診断でのHDL・LDLの値が頭に浮かぶわけで、ここを避けては通れません。コレステロールは水への溶解度が低く(95マイクログラム/リットル)、体の中を移動するにはタンパク質と結合して、リポタンパク質の形をとらなければなりません。

コレステロールは主としてLDL(low density lipoprotein)またはHDL(high density lipoprotein)というリポタンパク質として移動します。LDLはコレステロールを肝臓から末梢組織へ供給し、HDLは過剰なコレステロールを末梢組織から肝臓に戻す役割があると言われています。HDLでもLDLでもコレステロール自体の分子構造に変わりはなくて、結合するタンパク質の方が異なっています。

LDLは悪玉コレステロール、HDLは善玉コレステロールと呼ばれていますが、これは害虫と益虫のような自然科学とは乖離した命名で、私たちは使いたくないのですが、LDLが動脈硬化の一因であることは確かなようです(12)。LDLが細胞内で発生する活性酸素によって酸化されると、マクロファージに貪食され、大量にLDLを取り込んだそのマクロファージが死ぬと、死んだ場所にコレステロールの塊(胆石はコレステロールの塊です)が残されます。これによって動脈硬化が促進され、最悪心筋梗塞や脳梗塞に至ります。

HDLが少なすぎると、余分なコレステロールを肝臓にもどせなくなるわけですが、かといってどんどんもどすと脂肪細胞が巨大になって、脂肪細胞が分泌するホルモンなどが過剰になり、生理活性物質のバランスがくずれると思うのですが、そのあたりのことはよくわかりません。

肥満になると脂肪細胞から分泌される物質(アディポサイトカイン)が異常となり、生活習慣病を誘発すると指摘している書物はあります(13)。ただHDLの wikipedhia をのぞいてみると、HDLのないマウスも生きているみたいなので、コレステロールを運搬する別経路もあるようです(14)。ならば健康診断の結果を見て、指導員がHDLが少ないからどうしろこうしろというのも、本当に妥当な指示かどうかは疑わしいと思います。すくなくともまだ医学的な根拠には乏しいようです。

コール酸は肝臓でコレステロールから合成されてたあと、グリシンやタウリンと結合してグリココール酸やタウロコール酸となります(図10)。これらは抱合胆汁酸と呼ばれますが、胆嚢に蓄積された後、胆汁の成分として腸内に放出され、脂肪をミセル化して腸に吸収されやすくします。脂肪をミセル化した代表的食品として図10のマヨネーズがあります。

A_10

性ホルモンについてはあらためて述べる機会もあると思います。最後に糖質コルチコイド(=グルココルチコイド)についてすこし述べておきます。コルチコステロン・コルチゾール・コルチゾンなどがこれに相当します。デキサメタゾンなどは自然に存在するものではなく、人工的に合成された薬剤であり、主として炎症をおさえるため、または免疫反応を抑制するために使用されます。

生体に存在する糖質コルチコイドは副腎皮質で作られ、抗炎症作用や免疫抑制作用のほか、図11のようにインスリンと逆の役割で、血糖値を上昇させる作用があります。主に生体がストレスを感じたときに分泌されます。糖質コルチコイドなどのステロイドホルモンは一般的に細胞膜を通過することができ、細胞質にある転写調節因子と結合して核内に侵入し、転写を調節することによって機能が発揮されます(15)。

A_11

参照

1)http://blog.livedoor.jp/science_q/archives/1861037.html

2)http://markpine.blog95.fc2.com/blog-entry-69.html

3)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%B3

4)http://www.241241.jp/products/supplement/same/

5)辻本満丸  “黒子鮫油に就て”. 工業化学雑誌 vol. 9 (10): pp. 953-958. doi:10.1246/nikkashi1898.9.953 (1906)

6)Heilbron, I. M.; Thompson, A. ,  "CXV.—The unsaponifiable matter from the oils of elasmobranch fish. Part VI. The constitution of squalene as deduced from

a study of the decahydrosqualenes."  J. Chem. Soc. pp. 883–892. (1929)  doi:10.1039/JR9290000883.

7)榊原順、小野輝夫、スクアレンエポキシダーゼ -もうひとつのコレステロール合成律速酵素 蛋白質 核酸 酵素 vol. 39 (9), pp. 1508-1517 (1994)
http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=1994&number=3909&file=j9768PH3xxMJB18tkcGRUQ==

8)阿部郁朗、スクワレン閉環酵素の生物有機化学 蛋白質 核酸 酵素 vol. 39 (10),  pp. 1613-1624 (1994)
http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=1994&number=3910&file=c/RbruPLUSYUeEJB18tkcGRUQ==

10)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%8E%E3%83%AA%E3%83%B3

11)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB

12)http://fmd-kensa.jp/pg2.html

13)近藤和雄 「人のアブラはなぜ嫌われるのか」 ~脂質「コレステロール・中性脂肪など」の正しい科学 技術評論社 (2015)

14)https://en.wikipedia.org/wiki/High-density_lipoprotein

15)http://kanri.nkdesk.com/hifuka/ste2.php

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2017年4月22日 (土)

アラン・ギルバート&都響 エロイカ by ベートーヴェン など@東京芸術劇場2017年4月22日

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今日は池袋芸劇で都響のC定期です。雨の予報でしたがコンマス矢部ちゃんの行いがやや良かったのでしょうか、終演時にも降っていませんでした。サイドは四方さん。指揮アラン・ギルバート。

出かける前にミューザ川崎のサイトにアクセスして、フルシャの「わが祖国」のチケットを予約。開始時間まで待機してアクセスしたのですが、ブロックごと全部売り切れの場所もあって、かなり慌てました。

エキチカを歩いて行くと、芸劇入り口のパティオ・ドゥ・メトロが改装中でお休みとはがっかりです。ここの焼きカレーが好きなもので。

前回は男性奏者が全員白の蝶ネクタイだったのですが、今回は通常モードにもどりました。美里もロングドレスからいつものボディコンパンツに復帰。

アラン・ギルバートはしなやかで強靱な音楽をやりたいようです。風貌に反して彼なりのエレガンスがゆきとどき、特に弦の音がやせたり、硬くなるのを避ける音作りをしています。都響のためには非常に良いことではないでしょうか。ただどんな曲でも同じコンセプトで金太郎飴という感じがしないでもありません。とはいえ、最初の「エグモント序曲」からヴィヴィッドな演奏でテンション上げてくれます。

2曲目のラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」で、ソリストのイノン・バルナタンが登場。この人は非常に繊細なピアノ演奏をしますが、かなり小柄で、腕力と体重が足りないような感じがします。ロシア風でも米国風でもない、彼独特の繊細なラフマニノフですが、私はこの人はコンチェルトよりも独奏や室内楽の方が向いているように思いました。その証拠に、ソリストアンコールの J.S.バッハ:『わが楽しみは、元気な狩のみ』BWV208より「羊は安らかに草を食み」の素晴らしかったこと。いや参りました。

彼の部屋に私たちオーディエンスが招き入れられて、聴かせていただいた感じです。「私の音楽を聴きたければ、私の中にはいっておいで。外にこれ見よがしに発散するのはあまり好きじゃないんだよ」というイメージでしょうか。

休憩後の「エロイカ」はじっくりと聞かせてもらいました。特に弦の音とまとまりと躍動感が気持ち良い演奏でした。広田氏のオーボエをはじめとして、いつものことながら管楽器(ホルンを除く)・打楽器も素晴らしいと思いました。

アラン・都響の演奏が公開されています。↓のサイトにアクセスし、少し下にスクロールしてクリック。

ベートーヴェン交響曲第7番第4楽章
http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/detail.php?id=3029&year=2017&month=4

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2017年4月20日 (木)

猫アレルギーの話

A1130_000532_2猫アレルギーの原因のほとんどは Fel d1 というタンパク質であることが明らかになっています。このタンパク質は猫の唾液、汗腺、皮膚から分泌されます(1)。分子構造も明らかになっています(2)。

2006年にアレルカ社(現ライフスタイル・ペッツ社)は低アレルギー猫を発売しました(3)。しかしこれがどのような方法で製造されたのかが企業秘密でわからないのです。Fel d1 の遺伝子をノックアウトして製造したと考えたくなりますが、会社はそうは言っていません。遺伝子組み換え生物に関する法律の網の目をくぐるために、グレーゾーンでビジネスを展開しようと考えているのかもしれません(4)。Allerca GD という名で約70万円だそうです。ちょっと高価で飼育するのも大変ですが、Ashera GD というのもいます(5)。これも低アレルギー猫です。

私はこの種の遺伝子組み換え生物については、モンサント社の農薬+遺伝子組み換え植物のセットなどとは全然次元の違う問題で、遺伝子組み換え生物であることが明らかになったとしても、政府は輸入許可を出すべきだと思います。高濃度の農薬の影響などは考えなくてもいいですし、口に入るわけでもありません。猫アレルギーの人も猫を飼育できるという大きなメリットがあり、近隣に猫アレルギーの人がいる場合でも大丈夫というメリットもあります。

アレルギー軽減猫は将来の話として、いまとれる有効な対策としてはプラズマクラスターがあります。学術論文もあるので、プラズマクラスター付きの空気清浄機が有効なことは確かでしょう(6,7)。もちろん医師にアレルギー反応をおさえる薬を処方してもらうのは有効でしょうし、医師の指導のもとに免疫寛容を狙うことも可能かもしれません。

猫アレルギーなのに、自宅で17匹の猫を飼っている方がいらっしゃるようです(8)。また私の知人で、ネズミアレルギーなのに、ネズミを飼育して研究している方もいます。

(写真はフリー写真サイト「足なり」より)

1)A. J. Dabrowski et al., Cat skin as an important source of Fel d I allergen. The journal of allelgy and clinical immunology. vol.86(4), pp. 462-465 (1990)
http://www.jacionline.org/article/S0091-6749(05)80200-3/pdf

2)L. Kaiser et al., "The crystal structure of the major cat allergen Fel d 1, a member of the secretoglobin family". J. Biol. Chem. vol.278(39) pp. 37730-37735 (2003)
http://www.jbc.org/content/278/39/37730.full.pdf

3)"Hypoallergenic" Cats
http://news.nationalgeographic.com/news/2006/06/060609-allergies-cats.html

http://abcnews.go.com/Business/worlds-hypoallergenic-cat-scientific-breakthrough-hype/story?id=19692501

4)NHKクローズアップ現代紹介の「遺伝子組み換え猫」について
http://hideyukihirakawa.com/blog/archives/201011/252325.php

5)http://www.ne.jp/asahi/box/kuro/report/geneticpet.htm

6)プラズマクラスターは猫アレルギーを軽減するか?
http://www.konekono-heya.com/news/2016/september/29.html

7)Kazuo Nishikawa, Exposure to positively- and negatively-charged plasma cluster ions impairs IgE-binding capacity of indoor cat and fungal allergens. World Allergy Organ J. vol.9(1): pp.27-33 (2016)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5011831/pdf/40413_2016_Article_118.pdf

8)http://news.mynavi.jp/articles/2014/06/25/catallergy/





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2017年4月18日 (火)

アラン・ギルバート&都響:「シェヘラザード.2」 by ジョン・アダムズ @東京文化会館2017年4月17日

Imgaまた雨ですか~。矢部~。といっても今日は矢部ちゃんはサイドで、コンマスは四方さん。指揮はマエストロ=アラン・ギルバートです。ついに新年度の都響定期演奏会開幕です。男性奏者は全員白の蝶ネクタイで、これは楽団が配布したんでしょう。ただエキストラさんが目立ちます。これはどうしたわけですかねえ。私にはわかりません。

月刊都響にはひとつ大きな変更がありました。楽曲解説に英文版がついたのです。最近は外国人のお客さんも多いので、このようなサービスはあった方がいいですね。ただ集客を狙うなら、中国語版・韓国語版で中国・台湾・韓国のお客さんをターゲットにした方が有効だと思います。

開幕演奏会の集客はいつものウィークデイ夜の定期レベルで70%くらいの入り。空席が目立ちました。まあ現代音楽の本邦初演では致し方ないかも。確かに本邦初演ということになれば、楽団の業績として認められるわけですが、それで集客がうまくいかないのでは本末転倒です。

前半はラヴェルの「マ・メール・ロワ」。バレエ用の拡大版で、非常に楽しめました。やはりラヴェルは音響の天才です。アラン・ギルバートは無骨な感じですけど、この曲は都響には向いている音楽で、演奏は夢のように美しい。前半だけでも来た甲斐はありました。

休憩後の後半はソリスト、リーラ・ジョセフォヴィッツの登場。細いパンツなのですが、なんと膝くらいまでスリットが入っているという風変わりなコスチュームです。演奏は若い頃のようなエグさが軽減して、彼女も円熟してきたのかなと思いました。舞台を見渡すと、3分の1くらいの幅を占めるゴングが壮観でした。普段はティンパニ担当の久一さんが演奏。

ジョン・アダムズの曲「シェヘラザード.2」は、ラヴェルの「マ・メール・ロア」とかなり似ているところがあります。ただツィンバロン・タムタム・ゴング・大太鼓などを多用して、より派手な効果をねらっています。残念ながらラヴェルには遠く及びません。学者が頭で作った音楽という感じが払拭できないのです。聴き所は結構あったように思うのですが、個人的にこの音楽には全くのめりこめませんでした。もちろんリムスキー・コルサコフのシェへラザードとは比べる意味もないくらいの作品でしょう。シェヘラザード.2というネーミングも納得できかねますね。

というわけでそこそこ楽しめましたが、CDを買って帰ろうという気にはなれませんでした。それにしても四方さんのヴァイオリンは、いつもながら心がリフレッシュされるような素晴らしい音です。退任される前に、何でもいいから都響とコンチェルトを演奏して欲しいと思います。

リーラの演奏

ブルッフ バイオリン協奏曲 第1楽章
https://www.youtube.com/watch?v=e6S-XWlGmjw

カフェ・コンサート
https://www.youtube.com/watch?v=-s4K_nVhYYk

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2017年4月17日 (月)

ジェットストリーム

A1820_000007FM東京の番組ジェットストリーム(1)は、今年で50周年だそうです。良く続いたものだと思います。最近また聴く機会が多くなって、というのは夜のネコ会議の時間なので、やることがなく、小さな音でFM東京を聴くことになりました。

猫たちは音楽を聴いているわけではありませんが、トランペットが高周波を発したりすると、「あれ、何だろう」という感じで耳をそばだてます。サラはリズミカルに指圧をすると気持ちが良いようで、そういう意味ではリズムは理解できるようです。

会議は毎日の習慣なので土日も深夜FM東京を聴いているのですが、土曜日はゆきりん(2)、日曜日はナベサダ(3)が別番組をやっています。ゆきりんは非常に頭が良いという印象です。何事も的確にてきぱきこなしていくような人物で、フェミニンな雰囲気はほとんどありません。女子力もゼロに近いと想像します。むしろ会社の上司や部下がこんな人だったらいいのにという感じです。

ナベサダは自身の40年以上前のライブ録音をかけたりしています。ものすごいのですが、深夜の放送にふさわしいかどうかは疑問です。最近引っ越しで疲労困憊しているようです。どの本、どのレコード・CD、どの石(石収集が趣味)、どのゴルフクラブを棄てるかで悩ましいと語っていました。

ナベサダの後、横山幸雄(4)が登場してクラシック番組になります。横山幸雄は超人ピアニストで、ショパンのピアノ曲は166曲あるそうですが、それを暗譜で18時間かけて全部演奏したそうです。昨年「上野学園大学の経営に不正の疑いがある」として経営陣を刑事告発し、それに対し「業務妨害」として2017年3月13日付で大学を解雇されたとのことです(5,6)。

ジェットストリームはいつも、DJ大沢たかおの語りはなるべく少なくして、音楽を垂れ流すという印象なのですが、直近の金曜日に2回続けてユーミンが登場してびっくりしました。そこでユーミンのデビュー曲「出さない手紙」(7)がかかったのですが、私には全く記憶がなくてもう一度驚きました。非常に地味な曲で、ご本人の話だと300枚しか売れなかったそうです。

ユーミンの twitter (8)をみていると、頻繁に更新しつつ、ファンの質問にもきちんとウィットをもって答えているようで、結構マメな人だと思いました。

1) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E5%B1%B1%E5%B9%B8%E9%9B%84
2) http://yukiring.jp/
3) http://www.sadao.com/
4) http://yokoyamayukio.net/
5) https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/201944
6) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E5%B1%B1%E5%B9%B8%E9%9B%84
7) https://www.youtube.com/watch?v=zx-0FP_ZN6k
8) https://twitter.com/yuming_official

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2017年4月14日 (金)

やぶにらみ生物論69: 糖脂質

前回68で、スフィンゴシンやセラミドの発見者としてヨハン・トゥーディヒョウムの名前を出しましたが、彼は臨床医で科学実験は自宅でやっていたこともあって、当時の学会からは嘲笑・圧殺されるような存在だったそうです。しかし彼はスフィンゴシンやセラミドのみならず、糖脂質の研究も創始しました。トゥーディヒョウムは1901年に死亡しましたが、死後1910年代になって再評価が進み1913年以降、1870年代に彼が脳から抽出精製した糖脂質(セレブロシド)の構造が解明されて、埋もれていた研究が日の目を見ることになりました(1)。

セレブロシドの構造を解明したのはオットー・ローゼンハイムやハンス・ティーレフェルダーらで、トゥーディヒョウムが脳から抽出して精製した物質はガラクトース-スフィンゴシン-リグノセリン酸およびガラクトース-スフィンゴシン-セレブロン酸の2種であることがわかりました(図1)。いずれもスフィンゴシンに糖と脂肪酸が結合した化合物であり、これが糖脂質(スフィンゴ糖脂質)の基本構造になります。

光合成細菌や植物はスフィンゴ糖脂質とは異なるグリセロ糖脂質(図1右下)を持っており、これはグリセリンの3つのOHのうち、2つに脂肪酸、1つにガラクトースが結合している構造になります(2)。機能も研究されています(3)。私たち動物の体にも多少見つかるようですがその機能はよくわかっていないようです。

A

その後エルンスト・クレンクやアルバート・キンバルらによって、セレブロシドの脂肪酸の部分が、リグノセリン酸とセレブロン酸以外にネルボン酸やα-オキシネルボン酸の場合もあることが示されました(4、5、図2)。

A_2

セレブロシドに含まれる糖はガラクトースだけでなく、グルコースの場合もあります(図3)。ガラクトセレブロシドが脳に多いのに対して、グルコセレブロシドは全身に存在します。グルコセレブロシドをグルコースとセラミドに分解する酵素(グルコセレブロシダーゼ)に遺伝的欠陥または欠損があった場合ゴーシェ病となり、肝臓・脾臓・骨髄・脳などにグルコセレブロシドが蓄積して様々な症状を発症します。

グルコースを含むセレブロシドの存在は、ゴーシェ病の患者に蓄積されたセレブロシドの解析から明らかになりました(1)。このように、病気の解析が基礎科学の進歩に寄与することはよくあることです。

A_3

実はクレンクらが提出していたセレブロシドの構造式には間違ってい点があって、ハーバート・E・カーターらはそれまでの間違いを正し最終的にスフィンゴシンの構造を確定ました(6)。もしろん図1に示した構造は確定されたものです。第二次世界大戦後の糖脂質の研究は、ハーバート・E・カーター(図4)を中心に進められました。彼の人となりなどは「参照」に示したメモアールに記載されていますが、学会の前日でも雨のゴルフコースに出て行くほどゴルフ好きだったようです(7)。

A_4

さてスフィンゴ糖脂質にはセレブロシド以外にもうひとつ大きなグループがあり、それはウィキペディアの定義によれば、糖がセレブロシドでは単糖であるのに対してオリゴ糖のものということで、ガングリオシドと呼ばれています。

ガングリオシドの名の由来はガングリオン(神経節)で、脳の灰白質に多いことからクレンクが命名しました(8)。図5に代表的なガングリオシドであるGM1の構造式を示しましたが、セレブロシドとの違いは糖が単糖ではなく、オリゴ糖であることです。

ノイラミン酸という新顔も登場します。これらで構成されるオリゴ糖には多様性があり、図6に示されるように、外からひとつづつ糖を削っていくとGM2、GM3となりますし、追加や枝分かれもあるので、非常に多様な構造になり得ます。

A_5

図6にはGM1、GM2、GM3の関係を示します。

A_6

ノイラミン酸は糖脂質だけでなく、糖タンパク質においても頻出しますが、ノイラミン酸そのものは生体には存在せず、アミノ基や水酸基の水素が置換されてできた化合物が重要な役割を果たしているようです。N-アセチルノイラミン酸やN-グリコリルノイラミン酸はその例で、これらをまとめてシアル酸とよびます(図7)。

A_8

細胞膜は脂質でできているので、ガングリオシドはそのスフィンゴシンやステアリン酸の疎水性の部分を細胞膜に埋め込み、オリゴ糖部分を細胞外に突き出すことができます。まさしく樹木の地下部分と地上部分のようなイメージです。そうすると地上部分のオリゴ糖の構造によって、細胞を識別することが可能です。つまり接着しやすい構造の細胞が集まって組織をつくることができるわけです。また細胞外からの情報を、あるグループの細胞だけが受けとることもできます。

第二次世界大戦前後の頃は、そんな糖脂質の機能など想像もされていなかったのですが、突破口を開いたのは戦後間もない日本の山川民夫(図8)でした。彼が目を付けたのは、ウマの赤血球をウサギに注射すると、ウマの赤血球を凝集する抗体がウサギの血清中に産生されますが、その血清は、ウシやヒツジなどの赤血球を凝集することはできないという、いわゆる種特異性凝集反応でした。彼は赤血球膜には種特異性を示す何かがあるかもしれないと考えました。

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まずウシの赤血球を水に投入して溶血させ、細胞膜を遠心分離によって沈殿させます。その沈殿(ゴーストという)を多量に集めて脂質を抽出すると、セレブロシドではなくガングリオシドに似た物質が抽出されました。これを山川はヘマトシドと名付け、ブタの脳のガングリオシドと比較研究をはじめました。ヘマトシドにはブタのサンプルと異なりノイラミン酸が含まれていることがわかりました。

その後ヒトの赤血球の糖脂質とも比較しましたが、それはウマの糖脂質とはかなり成分が異なっており、グロボシドと名付けられました。グロボシドには脂肪酸・スフィンゴシン・グルコース・ガラクトース・アセチルガラクトサミンが含まれていました。

いろいろな動物で調べてみると、ノイラミン酸がなくてガラクトサミンがあるタイプ(グロボシド型、ヒト・ブタ・モルモット・ヒツジ・ヤギ)と、ノイラミン酸があってガラクトサミンがないタイプ(ヘマトシド型、ウマ・イヌ・ネコ)に分かれていることがわかりました(1)。

カール・ラントシュタイナー(1868-1943、図7)がABO血液型を発見したのは1901年のことでした。1960年になって、山川らはグロボシドと抗A抗体の沈殿から糖脂質を抽出し、血液型物質が糖脂質であることを示唆しました。このことは多くの研究者によって追試され、赤血球表層にある血液型物質が糖脂質であることは確定しました(1)。

図9をみるとわかるように、ガングリオシド(グロボシド)のオリゴ糖部分はO型が基本となっており根元がフコースで、ガラクトース・Nアセチルグルコサミン・ガラクトースとつながっています、A型ではフコースの次に位置するガラクトースにN-アセチルガラクトサミンの側鎖があり、B型では同じガラクトースにガラクトースの側鎖がついています。AB型ではA型の側鎖があるガングリオシドとB型の側鎖があるガングリオシドの両者があります。

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血液型についての説明は下にウィキペディアをコピペしておきます。内容はちょっと難しいかもしれません。H抗原というのは図9ですべての型の人が持っているフコース+ガラクトース+Nアセチルグルコサミン+ガラクトースのチェインのことだと思います。このチェインにNアセチルガラクトサミンまたはガラクトースを結合させる際に、それぞれ別の酵素が必要で、それがA型、B型の人は1種づつ、AB型の人は2種もっていて、O型の人は両方とも持っていないということでしょう。

ただそのH抗原の糖鎖をつくるのにも酵素が必要なので、この土台をつくる酵素が欠損している場合、Nアセチルガラクトサミンまたはガラクトースを結合させる酵素が存在しても、実際にはA抗原もB抗原も形成されず、見かけ上O型と同じになってしまうので注意が必要です。

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A型はA抗原を発現する遺伝子(A型転移酵素をコードする遺伝子)を持っており、B型はB抗原を発現する遺伝子(B型転移酵素をコードする遺伝子)を、AB型は両方の抗原を発現する遺伝子を持っている。A抗原、B抗原はH抗原からそれぞれA型転移酵素、B型転移酵素によって化学的に変換される。

3種の遺伝子の組み合わせによる表現型、ABO式血液型を決定する遺伝子は第9染色体に存在する。H物質発現をコードする遺伝子は第19染色体に位置し、H前駆物質をH物質へ変換させる。この遺伝子が発現しない場合はボンベイ型となる(後述)。

  • A型 - A遺伝子をすくなくとも一つ持ち、B遺伝子は持たない(AA型、AO型)→A抗原を持つ。B抗原に対する抗体βが形成
  • B型 - B遺伝子をすくなくとも一つ持ち、A遺伝子は持たない(BB型、BO型)→B抗原を持つ。A抗原に対する抗体αが形成
  • O型 - A遺伝子・B遺伝子ともに無い(OO型)→H抗原のみ持つ。A,B抗原それぞれに対する抗体α、抗体βが形成
  • AB型 - A遺伝子・B遺伝子を一つずつ持つ(AB型)→A抗原、B抗原両方を持つ。抗体形成なし

A抗原とB抗原は、持っていないとそれに対する自然抗体が形成されることが多く、この場合、型違い輸血により即時拒絶が起こる。自然抗体がなくとも型違い輸血により1週間程度で新しいIgM抗体が生産されこれが拒絶反応をおこす。そのため、基本的には型違い輸血は行われない。輸血される血液は受血者の血液より少量のため、血漿によって希釈されて抗原抗体反応が起こらなくなる。そのため、かつてはO型は全能供血者、AB型は全能受血者と呼ばれていたが、ABO以外の型物質(Rh因子やMN式血液型など)が存在することもあり現在では緊急時を除いては通常行われない。2010年4月には大阪大学医学部附属病院で治療を受けた60代の患者が同型の赤血球製剤とO型の新鮮凍結血漿の輸血後に死亡する事故が発生している(但し、この患者は搬送当時すでに意識がなかったことから輸血が原因でない可能性もある)。

なお、自然抗体を持っている理由は、細菌やウイルスが唾液や性的接触などにより人間間で感染するように、人間の細胞や細胞の断片も人間間を移動するからであり、移動した断片はマクロファージによりファゴサイトーシスされ、これがT細胞に提示され抗体が作られる。主にIgMが作られるが、IgG抗体も作られることもある。

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糖脂質についてもっと詳しく知りたい方には総説(9、10)などがあります。

参照

1)山川民夫著 「糖脂質物語」講談社学術文庫 (1981)

2)日本光合成学会:http://photosyn.jp/pwiki/index.php?%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB

3)下嶋美恵・小林康一・太田啓之 葉緑体チラコイド膜を構成するグリセロ糖脂質の生合成と機能 化学と生物 vol.46, pp.330-337 (2008)

4)H.Thierfelder and E.Klenk., Die Chemie der Cerebroside und Phosphatide. (1930)

5)A.C.Chimball, S.H.Piper, and E.F.Williams.,  XVIII.THE FATTY ACIDS OF PHRENOSIN AND KERASIN. Biochem.XXX pp.100-114 (1936)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1263366/pdf/biochemj01065-0112.pdf#search=%27Thierfelder+and+Klenk+1930%27

6)Herbert E. Carter et al., Biochemistry of the sphingolipides. III. Structure of sphingosine.  J. Biol. Chem. vol.170, pp.285-294 (1947)
http://www.jbc.org/content/170/1/285.full.pdf

7)N a t i o n a l  Ac a d e m y  o f  S c i e n c e s,  H e r b e r t  E d m u n d  C a r t e r 1 9 1 0 — 2 0 0 7
A Biographical Memoir by Robert K. Yu and John H. Law (2009)
http://www.nasonline.org/publications/biographical-memoirs/memoir-pdfs/carter-herbert-e.pdf

8)William W. Christie., GANGLIOSIDES STRUCTURE, OCCURRENCE, BIOLOGY AND ANALYSIS (2012)
https://web.archive.org/web/20120328213709/http://lipidlibrary.aocs.org/lipids/gang/file.pdf
https://web.archive.org/web/20091217095434/http://lipidlibrary.aocs.org:80/Lipids/gang/index.htm

9)Sen-itiroh Hakomori., Structure and function of glycosphingolipids and sphingolipids: Recollections and future trends. Biochim Biophys Acta. vol. 1780(3) pp. 325–346. (2008)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2312460/

10)Zhou and Blom. Trafficking and Functions of Bioactive Sphingolipids: Lessons from Cells and Model Membranes. Lipid Insights vol. 8 (S1) pp. 11–20 (2015) doi:10.4137/LPI .S31615.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4685176/pdf/lpi-suppl.1-2015-011.pdf

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2017年4月13日 (木)

勝利を呼ぶ猫

Photo

勝利を呼ぶ猫

そう 猫は虎の仲間でした!

https://www.youtube.com/watch?v=fIi35-F9H-M

https://www.youtube.com/watch?v=0C8-A5Vefiw

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2017年4月11日 (火)

PCディスプレイ with 北総の桜満開

Imga雨天の隙間をぬって、今年も北総の桜並木を撮影しました。

パソコンのディスプレイがリタイヤしてしまってたのですが、北総ではもはやPCディスプレイなど売っているお店が稀少で困りました。ようやく牧ノ原の量販店に置いてあったので、購入することができました。メーカーはI・ODATA・フィリップス・BenQ・Acerくらいしかなく、こんなところにも日本の製造業の敗北を感じさせられました。

ソニー、富士通、パナソニック、NECなどのPCメーカーはもはや単品ディスプレイなど製造していないようです。自由貿易を貫徹すると、ほとんどの製品がこういうことになるんですよ、池上さん。ただI・Oデータだけは頑張っていて、昔PCメモリー専業の会社だったころ、金沢の本社前を通りかかったことがあるのですが、秋葉原裏路地のパーツ屋さんみたいな感じでした。今でも本社は金沢にあるみたいで、多くのメーカーが倒産したり手を引いたりするなかで、よく生き残ったと思います。

というわけで、ウェブ上ではあまり評判が良くなくても、私はI・ODATAの23インチの製品を選択しました。なんだかんだ言って、メモリー、ハードディスク、ディスプレイなどいろいろな製品で長い間お世話になっています。今度もセットアップしてみると、非常に見やすい感じでOKでした。ただデフォルトの色調はやや黄色っぽくて納得できませんでした。リセットしても大して変わらなかったので調整用のソフトをダウンロードして、あれこれやってみましたが、まだ満足できる色調ではなく、さらに調整が必要です。

本日東芝の決算が発表されましたが、なんと監査法人は会社の事業継続に疑義を呈しているとのことでお墨付き無しとは驚きました。東芝というのは日本でも最も優秀な学生が集まる会社のひとつで、それでこのていたらくですから、いかに日本のトップビジネスが脆弱かということでしょう。日産・三洋・三菱自動車・シャープときて東芝です。マリアナ沖海戦あたりまで来たかな。なにしろ日本のトップが晋三ですから(おそらく大本営以下)、またろくでもない延命政策をやって税金をドブに棄てることになるのでしょう。エルピーダの2の舞ですね。しかも規模は数十倍(@_@)。

I・ODATAはまだメモリーを製造して販売しているのに、東芝は売却やむなしまで追いやられているというのは、いくら有能な技術者がいても、マネージメントがダメだったり、政府がどうしても原発をやれ(爆発した後になっても)などと茶々を入れたりすると、どうしようもなくなるという好例です。

もうひとつ心配なのは、東大法学部などの有能な学生の就職先である官僚が、晋三政権によって書類自動消去など漫画チックな集団になっていることです。やれやれ。

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2017年4月10日 (月)

2016~2017リーガ・エスパニョーラ第31節: バルサ リーガ制覇は風前の灯火

Braugranaマラガに2:0で敗戦です。これで今シーズンのリーガ制覇はほぼ絶望となりました。4月のマドリーとバルサのスケジュールは超多忙です。そんな中でレアル・マドリーは、レガネス戦でBBCとモドリッチ・イスコ、すなわち主力ほとんどを休ませるという布陣で勝利したのに対し、中2日のバルサは絶不調のマラガに、ネイマール・スアレス・メッシを使って敗戦。しかも彼らを休ませたときに出場させるべきサンドロにやられるという皮肉。この差は何なのでしょうか?

確かに、マスチェラーノをSBで使うのは無理筋ですし(多分セルジを温存したかったのだと思いますが)、デニス・ゴメス・メッシの中盤は慣れない連携に難がありました。しかし決定的なのは、体が重くてプレイの精度が低下、特に守備の時に俊敏に動けない選手が多いのではどうしようもありません。サンドロへのロングパスの時のマチューの反応などは、頭脳の反応がおかしくなっているとしか思えませんでした。敵陣深くからのロングパスに、サンドロのケアとは逆方向に走っていくのには呆然です。

それにしても、どうしてビダルが負傷したときにすぐにSBを補強しなかったのでしょうか? 週に2回づつセルジを右SBで使うとつぶれることは明らかで、じゃあ経験が乏しいマスチェラーノの右SB起用もやむなきに至ることは明らかだったはずです。

セヴィージャの5バックにはがっかりしましたが、マラガの5バックは納得できます。瞬殺カウンターにかける作戦がうまくいきました。しかも今回のバルサは、最終ラインが2人になる場合が多く、ブスケツのポジションが前すぎたことも彼らに味方しました。

そうこうしているうちに、ネイマールが昔のネイマールとなって2枚もらってしまい退場とはあきれました。あえてカードをもらいに行ったような行為の意味がわかりません。なきっつらにハチで、私のモニターがかげろうのように揺れ始めて、これはオカルト? なんとかしなくっちゃ・・・。

これからは、ともかく次のユヴェントス戦に全力を尽くして、何とかUEFAチャンピオンズリーグの勝ち残りにかけるほかありません。

https://www.youtube.com/watch?v=nWFLLk8HE20

https://www.youtube.com/watch?v=aW-uju24JDY

https://www.youtube.com/watch?v=wSgRxNeQFEY


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2017年4月 8日 (土)

JPOP名曲徒然草178: 「いくたびの櫻」 by ふくい舞

Imga_2今年は3月が寒かったですが、桜は昨今の暖かさでいつも通りの北総スケジュールで、4月第2週に満開になりそうです。現在8分咲きくらいか。ただ現在の天気は悪くて雨模様。良い写真がとれるかどうか心配です。

ふくい舞さんはシンガーソングライターですが、この「いくたびの櫻」は作詞:山上路夫、作曲・編曲 佐藤博の作品です。この曲は佐藤博さんの飼い犬への追悼曲だそうです。

めったにシングルは買わない私ですが、曲の良さに惹かれてつい買ってしまいました。

ふくい舞さんはネバリッ気の多い重厚な歌唱ですが、この曲にはマッチしていると思います。いろいろ他の曲も聴いていくと、この人は洋楽の造詣が深い方だということがわかります。ちょっと宇多田ヒカル的な曲もあるかな?

https://www.youtube.com/watch?v=9vwVMyKuZxw
https://www.youtube.com/watch?v=abi05nEjbD0
https://www.youtube.com/watch?v=IHJMmaz8gxc

アコースティックバージョン
https://www.youtube.com/watch?v=iiHTS4JCo9c

「アイのうた」
https://www.youtube.com/watch?v=gsmDdmrkxD0
https://www.youtube.com/watch?v=6TT4qu9irTw 
(in English)
https://www.youtube.com/watch?v=5FBKV5lB0lU
https://www.youtube.com/watch?v=nXZmhG9pnj0

「Rain-bow」
https://www.youtube.com/watch?v=6VP1gnd36og

「Believe」
https://www.youtube.com/watch?v=aBHxqGa8m4g

「Beautiful Days」
https://www.youtube.com/watch?v=c4NmoTD9qdc

「約束の場所」
https://www.youtube.com/watch?v=RFY5oq-gVuk
https://www.youtube.com/watch?v=72ZpPROoUic

「悲しみよこんにちわ」
https://www.youtube.com/watch?v=5BYiJDo_PK0

「Cancan」
https://www.youtube.com/watch?v=c0YPEti5pvc

神戸ハーバーランドにてストリートライヴ
(思い切りエモーショナルに、でもナチュラルにやっています)
https://www.youtube.com/watch?v=Wc3PTMG5jP0

オフィシャルサイト:http://fukuimai.net/
Twitter: https://twitter.com/fukuimai



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2017年4月 7日 (金)

2016~2017リーガ・エスパニョーラ第30節: セビージャ消極作戦が裏目

BraugranaUEFAチャンピオンズリーグの関係でミッドウィークにもリーガの試合があります。レアル・マドリーはなんとBBCばかりか、モドリッチとイスコもベンチに置くという思い切った作戦で勝ってしまうという、恐ろしいばかりの選手層の厚さを誇示しました。

さてバルサはどうか? ラフィーニャは重傷で今季絶望です。セビージャとの対戦ですし、FWはネイマール・スアレス・セルジ、MF:イニエスタ・メッシ・ラキティッチ・ブスケツ、DF:ウムティティ・ピケ・マスチェラーノ、GK:テア=シュテーゲン。私はどうして3バックをやるのかよくわかりません。中盤の人数が足りないときはSBを上げれば済むことですし、守備の人数が足りなければブスケツを後退させればいいわけですから。

セビージャはホアキン・コレアというイケメンの若い選手をワントップで使ってきました。2列目にナスリ・エンゾンジ・イボーラ・ビト-ロ、DFはエスクデロ・ラングレ・パレハ・メルカド・マリアーノ、GK:セルヒオ・リコ。セビージャというリーガを代表するチームのひとつが5バックというのは感心しませんねえ。451の方が戦えると思うのですが、現場責任者の考えるシビアな采配には、何か重苦しいものを感じます。

バルサとしては5バック大歓迎です。前線・中盤のチャージが甘くなるので、とりあえず自由に球が回せます。ただセビージャの2列目はクセ者揃いなので、16分にはエンゾンジに右に割り込まれて1:1で打たれますが、テア=シュテーゲンが足ではじいて事なきを得ました(失敗した後のエンゾンジの顔がお茶目)。18分にはイニエスタからの球をラキがヘディングで狙いましたが、少し外れました。

25分にはラキが奪った球をメッシが受けて、右サイドを疾走。メッシからのパスを受けたスアレスの豪快なバイシクルでバルサ先制。これは5バックもなすすべがありません。28分にはカウンターからネイマール→スアレス→メッシとつないでゴール。スアレスのマイナスパスはプロの技で、うならせてくれました。2:0です。

さらにバルサはたたみかけ、33分にFKのこぼれ球をメッシが密集の隙間を突き抜けるシュートでダメ押し。勝負を決しました。後半は特に何事も無く時間をつぶして終了。レアル・マドリーがこけるのを待つだけのバルサですが、ここにきて元気な選手が増えてきたのは心強い。

https://www.youtube.com/watch?v=SV6HVlmgmKY

https://www.youtube.com/watch?v=rJ-mIAczJjU

https://www.youtube.com/watch?v=LgyYQJcymso


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2017年4月 6日 (木)

憲法第八九条

A1130_000078憲法を読んでいて一番露骨に守られていないのは第89条だと思います。

憲法第89条は特定の宗教団体、慈善団体、私立学校などに補助金を与えることで、特定の宗教や思想を意図して蔓延させることによって、国民を洗脳支配しようとする政党がでてこないようにすることを意図しています。

もともとのターゲットは「神道」と「臣民の道」だったのでしょう。

こちら

非常に納得できる条文だと思います。それだけに守られていないのは残念です。

-------------------------------------------------------------
第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
-------------------------------------------------------------

重要文化財などの維持管理のために神社仏閣に補助金を出すのは、この条文の趣旨に反するわけではないので容認できますが、私立の幼稚園から高校までの学校に補助金を出すのは明らかに条文の趣旨に反しています。

日本を独裁的に支配しようとする勢力が必ず考えるのは教育の支配です。自分たちの思想を徹底させた私立の教育機関どんどん作って、それらを補助金によって支配し、学徒を洗脳すれば、何度選挙をやっても自分たちが勝つような社会に変質させることができます。森友はその1例ですし、今の政府はその他にも政府関係者の息のかかった学校を増加させようとしているではありませんか。

http://saigaijyouhou.com/blog-entry-15874.html
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-16208.html

そうでなくても高圧的な政府から経営に必須な補助金をもらえば、忖度した教育を行わざるを得なくなります。例えば教育勅語の採用はその一例でしょう。国民は臣民であることが刷り込まれるのです。現在のような官僚と政党が一体化している政治システムだと、ますます私学助成は危険です。学校を特定の政治勢力の支配下に置かないように、この89条が厳密に守られるようにすべきでしょう。

http://www.asahi.com/articles/ASK434JXWK43UTFK006.html

ただし中高の部活(スポーツ・音楽・文芸・学術)や先生の研究を助成することは可能でしょうし、私立大学における学術研究の助成はもちろん89条とは関係ありません。

-------------------------------------------------------------

教育勅語
朕󠄁惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇󠄁ムルコト宏遠󠄁ニ德ヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我カ國體ノ精華ニシテ敎育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦󠄁相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博󠄁愛衆ニ及󠄁ホシ學ヲ修メ業ヲ習󠄁ヒ以テ智能ヲ啓󠄁發シ德器ヲ成就シ進󠄁テ公󠄁益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵󠄁ヒ一旦緩󠄁急󠄁アレハ義勇󠄁公󠄁ニ奉シ以テ天壤無窮󠄁ノ皇運󠄁ヲ扶翼󠄂スヘシ是ノ如キハ獨リ朕󠄁カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺󠄁風ヲ顯彰スルニ足ラン斯ノ道󠄁ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺󠄁訓ニシテ子孫臣民ノ俱ニ遵󠄁守スヘキ所󠄁之ヲ古今ニ通󠄁シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス朕󠄁爾臣民ト俱ニ拳󠄁々服󠄁膺シテ咸其德ヲ一ニセンコトヲ庶󠄂幾󠄁フ


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2017年4月 4日 (火)

2016~2017リーガ・エスパニョーラ第29節: スアレス ループで決める

Braugrana降格圏内のグラナダとのアウェイ戦です。グラナダはスペイン人選手がほとんどいないという、驚くべき選手構成。EUがあればこそのチームです。2トップでペレイラとクラヴェツ、MF:アングバン・ワカソ・アグボ、DF:エクトル・ガストン=シルバ・ロンバン・ソニエ・フルキエ、GK:オチョア。

バルサはメッシがカード累積で出場停止。スアレスの1トップで、2列目がネイマール・Aゴメス・ラキティッチ・ラフィーニャ、ボランチがブスケツ、DF:アルバ・マチュー・マスチェラーノ・セルジ、GK:テア=シュテーゲン。4バックに戻しました。これは歓迎します。

チケットが1万円からということで、早々と勝負が決しないようにレフェリーの忖度が著しく、グラナダはファウルのやり放題です。エリア内でスアレスが後ろから羽交い締めされてもおかまいなしなのにはあきれました。カードも出しません。後半はガチンコになったので、何か話が付いていたのではないかという疑いをもちました。

バルサは16分にラフィーニャが故障でパコと交代。ラフィーニャもよくよくツキのない男です。パコはまだバルサになじんでいなくて、遠慮がちのプレイ。27分にはフリーのシュートチャンスをスアレスにパスで譲り、スアレスがシュートしましたが、GKオチョアが今日は冴え渡っていてスーパーセーヴ。

このままハーフタイムかと思っていた前半終了直前、アルバが自陣深くからロングフィードをスアレスに一発通して、スアレスがループで決めました。見事な瞬殺カウンターでした。

ところが後半5分、後半から出ていたボガにスルーパスでDF裏に抜け出されて失点。オフサイドトラップの失敗でした。バルサも今年はDFラインがめまぐるしく変わるので、弱点を突かれた感じでした。しかしバルサも19分、スアレスのループパスでパコが抜け出してゴール。返礼に成功。パコもこの調子で、早くバルサになじんで欲しい。

後半はレフェリーの変身で、じゃんじゃんカードが出て、37分にはアグボ退場。中盤がスカスカとなり、38分にラキティッチがゴール。アルニャー初出場の余裕です。終了直前には、パコが右から豪快なクロスをネイマールにあわせてゴール。バルサ4:1の勝利でした。

メッシとイニエスタがいないと、バルサのサッカーは変わります。全員が起点となり、一発の瞬殺パスで決めるサッカーです。意思統一ができていれば、緊張感のある面白いサッカーになりそうです。

https://www.youtube.com/watch?v=v5d0NmOp3Uc
https://www.youtube.com/watch?v=I5VTNvClOwM
https://www.youtube.com/watch?v=VxgXY5hMFm8


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2017年4月 3日 (月)

やぶにらみ生物論68: 脂肪酸と油脂

脂肪というとすぐ中性脂肪とかセルライトが気になるわけですが、エネルギーを蓄えておくためのツールとして脂肪は重要です。動物にとって飢餓は日常的であり、いざというときに生き残れるかどうかは、どれだけ脂肪とグリコーゲンを体内に蓄えておけるかにかかっています。人間については、現在世界で9億2500万人が飢餓状態にあり(1)、日本でも2011年の厚生労働省の調査では年間1746人が餓死しています(2)。食べ物がないときに生き残るには冬眠・夏眠が有効ですが、残念ながらヒトにはその能力はありません。

しかし生物にとってエネルギー蓄積が課題になるより進化上はるかに前の段階で、脂肪は細胞膜の最も主要な成分として、すなわち生命と外界を分かつパーティションとしての役割がはじまったはずです。これは生命誕生のひとつの条件であり、たとえ熱水噴出口近傍の金属片の上で核酸や酵素が生成されたとしても、それらが細胞膜で包み込まれるまでは生命体とは言えないでしょう。そして現在では、脂肪はホルモンや情報伝達物質としても重要な役割を果たしていることがわかっています。

脂肪の基本は脂肪酸です。最初に脂肪酸を発見したのは誰だか私にはわかりませんが、ステアリン酸やオレイン酸を発見して精製したのはミシェル=ウジェーヌ・シュヴルール(1786~1889)です(図1、参照3、4)。彼はフランス革命とエッフェル塔建設を目撃した数少ないフランス人だそうです。エッフェル塔の展望室の少し下の壁に、フランスの偉人の名前が刻まれていますが、シュヴルールの名も図2の赤の矢印の下にみつけることができます。図2をクリックして拡大すると、名前が読めます。

A

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脂質は脂肪酸関連物質、芳香族化合物の環構造を持つ物質、複合脂質の3つのグループにわけられると思いますが(図3)、量的に言えば脂肪酸関連物質が生体内には圧倒的に多量に存在します。カルボン酸をR-COOHと書くとすると、Rが水に溶けないCとHからなる場合脂肪酸といいます。ただしRがH、CH3、CH3CH2あたりまではカルボキシル基の影響が強く、脂肪らしくない性質なので、通常脂肪酸とは呼びません。CH3CH2CH2(酪酸)あたりからは脂肪酸と呼びます(図4)。これらの脂肪の性質を与える炭素+水素の鎖を、鎖の長さを問わずアシル基と呼ぶことがあります。

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常温で液体の脂肪酸は世の中で最も臭い物質の1グループだと思います。吉草酸やカプロン酸の臭さは半端じゃありません。私が学生実習などでかいだ臭いの中では、ピリジンとトップを争う悪臭と思います。屍体の臭いは多数の物質の混合臭なので比較することはできません。

これらの低分子量の脂肪酸は確かに飲むと健康を害しますが、特別にそのような脂肪酸を忌避する能力(臭いと感じる能力)が私たちに備わっていることには何らかの理由があるまたはあったのでしょう。炭素原子数が10くらいになると常温で固体なので、臭いは気にならなくなります(図5)。図5にはR-COOHのR部分にC=Cの二重結合がない、いわゆる飽和脂肪酸のリストを示しました。カプリル酸より分子量が大きい脂肪酸は食用に使えます。

A_5

カプリル酸はウィキペディアによると母乳に含まれているそうですが、カプリル酸には殺菌作用があるので、免疫機構が未発達の新生児には有益なのかもしれません。

脂肪酸は生合成されるときに炭素が2個単位で重合していくため(5、6)、生体内に存在する主要な脂肪酸の炭素の数は偶数になります(図5、参照5)。ただしメインであるアセチルCoAとマロニルCoAとの縮合ではなく、プロピオニルCoAとマロニルCoAの縮合を出発点とする経路もあるので、炭素が奇数の脂肪酸が全く存在しないわけではありません。

脂肪酸は数値表現されることがあり、図5の左端列に示してあります。コロンの左側が炭素分子の数。コロンの右側が二重結合(C=C)の数になります。飽和脂肪酸の場合二重結合がないのでコロンの右は0になります。数値表現はわかりやすくて便利です。

二重結合(C=C)が分子内に存在する脂肪酸を不飽和脂肪酸と呼びます。炭素数が18の例を図6に示しますが、例えば18:2(9、12)というのは炭素数=18、二重結合=2ヶ所、二重結合がカルボキシル基から数えて9番目と10番目および12番目と13番目の炭素によって形成されているという意味です。オレイン酸はステアリン酸から生合成されますが、ヒトの場合、生きていく上で必要なのにリノール酸、リノレン酸、EPA、DHAなどは生合成できないので、これらは必須脂肪酸とされています。

A_6

図6では炭素の鎖が途中で180度折れているように描いてありますが、慣用表記のひとつであり、実際にこのように折れているわけではありません。分子の屈曲は二重結合の性質(シスかトランスか)、数、位置によって異なります。図7に例を示します。αリノレン酸は大きく屈曲しています。

A_7

混乱して困る話しなのですが、脂肪酸の命名法のなかに、カルボキシル基と反対側のCH3から数える方法もあって、ω:オメガ法ではα-リノレン酸は3つめに最初の二重結合があるのでω3脂肪酸、γ-リノレン酸は6つめに最初の二重結合があるのでω6脂肪酸などと呼ばれます(図8)。n-数値という表現も逆から数えた表現法です。α と γ は習慣的に使用している表現法に過ぎません。

A_8

C=Cの二重結合にはシス型とトランス型があって、一般にシス型すなわち二重結合の片方にふたつのHが来る場合、図9のように分枝は屈曲します。自然界に存在するオレイン酸はほとんどシス型なので、通常オレイン酸と言った場合シス型を意味します。

シス型がの二重結合が二つあった場合、リノール酸のように屈曲が修正されることがあります。人工的に製造されたトランス脂肪酸は食べると健康に悪影響があることがわかっています(7)。アメリカの食品医薬品局(FDA)は、マーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」の発生源となる油の食品への使用を、2018年以降原則禁止すると発表しました(8)。日本政府はこの規制には消極的なようです。

A_9

グリセリン+脂肪酸=油脂+水という公式は、中学の化学の時間に皆さん習ったはずですが、再掲しておきます(図10)。油脂は生体内では最もメジャーな脂質です。

油脂は図10のように、グリセリン(グリセロール)1分子に脂肪酸3分子がエステル結合(-OC[=O]-)したものです。これによってグリセリンのOH、脂肪酸のCOOHという親水性の部分が消滅するので、典型的な疎水性の物質ができます。

3分子の脂肪酸はそれぞれ種類が指定されないので、例えば10種類の脂肪酸が用いられるとすると、10x10x10で1000種類の油脂ができ得ることになります。実際には脂肪酸の種類はもっと多いので、油脂の種類は無数にあることになります。

A_10

グリセロリン脂質はグリセリンのOHのうち、R1・R2は油脂と同じ脂肪酸と結合し、R3のOHがリン酸エステル(-OP[=O、-O]-)結合したものです。グリセリン以外のリン酸に結合する物質によって、フォスファチジルコリン・フォスファチジルセリン・フォスファチジルエタノールアミンなどが知られています(図11)。これらは脂質であるにもかかわらず、親水的な部分が存在するという特異な性質を持っています。この性質は両側で水と接触する細胞膜にとって、あるいは脂肪を血液中で運搬する作業にとって重要です。これらについては別のセクションで述べます。

A_11

動植物の細胞膜中に最も多量にあるのはグリセロリン脂質ですが、次に多いのはスフィンゴ脂質です。哺乳類では特に中枢神経に多いとされています(9)。スフィンゴ脂質の基本骨格はスフィンゴシンです。アミノ基1個とOHを2つ持つ直鎖状の分子です(図12)。このアミノ基に1分子の脂肪酸がアミド結合したものがセラミドです。

セラミドの末端のOHにフォスフォコリンやフォスフォエタノールアミンが結合したものを、スフィンゴミエリンといいます。スフィンゴミエリンは神経のサヤである神経鞘の主成分です。セラミドは最近では保湿剤としてよく化粧品に配合されています(10)。「うるむセラミド」などというキャッチフレーズもありました。

A_12

スフィンゴシンやセラミドを発見したのはトゥーディヒョウム(図13 日本ではツディクムと発音される Johann Ludwig Wilhelm Thudichum 1829~1901)です。1884年に刊行された ”Chemische Konstitution des Gehirns des Menschen und die Tiere (Chemical constitution of the brain)” という本に記載されているようですが私は読んでおりません。

竹富保の「"神経化学の父"ツディクム」という文献が廃刊となった「自然」誌にあります(11)。 ドイツ生まれで、主にイングランドで仕事をしたトゥーディヒョウムは多才な人だったようで、ウィキペディアにはお料理の本を出版しているという記載があります。山川民夫によると、トゥーディヒョウムがスフィンゴシンという名前をつけたのは、旅人になぞかけをしたスフィンクスにちなんで、「謎物質」という意味だったそうです(12)。

A_16


アラキドン酸(5,8,11,14-Eicosatetraenoic acid)は図14のとおり何の変哲もない不飽和脂肪酸の1種なのですが、そこからプロスタグランディン、トロンボキサン、ロイコトリエン(すべて総称で特定の化学物質を指しているわけではありません)を生合成する経路が派生しています(アラキドン酸カスケード)。これらの物質は免疫反応と深い関わりがあり、薬学の分野では数十年間、間断なく注目を集めています。

A_14

参照

1)JIFH集計: https://www.jifh.org/joinus/know/population.html

2)厚労省: http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11541237843.html

3)http://www.cyberlipid.org/chevreul/work0003.htm

4)Michel Eugène Chevreul, Recherches chimiques sur les corps gras d'origine animale. (1823)
https://books.google.co.jp/books?id=94_H7hfQfS0C&hl=fr&redir_esc=y

5)福岡大学 脂肪酸の生合成:
http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/fa-syn.htm

6)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8

7)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8

8)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150619-00000009-wordleaf-soci

9)ホートン 生化学第3版 東京化学同人(2003)

10)https://www.youtube.com/watch?v=8RtDw0FKzPk

11)自然 / 中央公論社 vol. 29, 12号、pp.44-52

12)山川民夫 「糖脂質物語」 講談社(1881)

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2017年3月30日 (木)

JPOP名曲徒然草177: 「未来へ」 by 熊田このは

A0790_000529_2ご存じの方も多いと思いますが、からおけバトルですごい中学生をみました。

その名は!熊田このは!

薬師丸ひろ子・白鳥英美子以来の声の美しさで、その歌のエクスタシーは聴衆を圧倒する素晴らしさ。バラードシンガーになりたいそうで、期待したいです。

未来へ(作詞・作曲 玉城千春)
オリジナル・キロロ

https://www.youtube.com/watch?v=Civrh2ZI4rQ

https://www.youtube.com/watch?v=qHmzzqLhDj4

https://www.youtube.com/watch?v=xtCJz503jjc

original
https://www.youtube.com/watch?v=yeemyGtk9wY

 

YELL

https://www.youtube.com/watch?v=3JfJ2SShURg

https://www.youtube.com/watch?v=Bgw-Ok_e-U8

https://www.youtube.com/watch?v=J-KS0JhkTGE

https://www.youtube.com/watch?v=aiC1IGqKOt8

春よ、来い

https://www.youtube.com/watch?v=C-FS-6r1sUQ

https://www.youtube.com/watch?v=u9xojLnE9Nk

十五の君へ

https://www.youtube.com/watch?v=CaeN2rwtddw

みんな空の下

https://www.youtube.com/watch?v=fvWtv2R5RC8

365日の紙飛行機

https://www.youtube.com/watch?v=LE2HwxlYJhM

==========

ありがとう (路上ライヴ これが一番いいかも)

https://www.youtube.com/watch?v=UHcMOXIFVqk

明日への手紙 (路上ライヴ これが一番良いかも)

https://www.youtube.com/watch?v=QKC_kb1kd5s

ライヴ in 目黒 (13才)

https://www.youtube.com/watch?v=IJApgOJnGUA

You Raise Me Up

https://www.youtube.com/watch?v=OYUlFe0--_c

---------------------------------

twitter: https://twitter.com/konohakumada

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2017年3月29日 (水)

ある蜘蛛の死

Imga夏が終わる頃には、ベランダにセミが飛んできて、中にはそこで死んでしまう者もいます。しかしそれ以外で、しかも今時の季節に、わが家を死に場所に選ぶ生き物はめずらしい。

トイレに入ると壁に大きなクモがいてびっくりしました。そのままにしておくと3日くらい糸を張るでもなく、ただじっとしていて、ポトンと下に落ちて死んでしまいました。

確かに静かで暗くて、死に場所としては悪くないかも知れませんが・・・。あまり俊敏ではないようなこんなクモが、いつどこから入ってきたのでしょう。部屋をつっきり、廊下を這って、扉の下の隙間から進入して、しかも7本足で壁にはいあがって死ぬとは。

合掌。

アシナガグモだと思いますが、種を同定するのはあきらめました。あまりクモに興味を感じたことはなかったのですが、実は脳が巨大な生物で、体重の80%以上が脳だという種もあると聞いてびっくりしました。ミツバチなどは社会性の昆虫で体の割に巨大な脳を持っていますが、クモはそんな脳で何を考えているのでしょうか?

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/5378/?ST=m_news

家族で暮らすクモとか、仲間が集まって暮らす社会性のクモもいて、性格によって向いている仕事があるそうです。

http://gigazine.net/news/20140622-social-spider-personality/

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2017年3月28日 (火)

やぶにらみ生物論67: 糖タンパク質

糖が生体構成成分となる場合、しばしばタンパク質や脂質と共有結合した複合分子として利用される場合があります。今回は糖とタンパク質の複合体に着目します。谷口直之先生によると「タンパク質のおよそ50%以上には糖鎖が付加されている」そうです(1)。これが多少盛った話だとしても、糖タンパク質が生体内でありふれた存在であることに間違いはありません。

糖がタンパク質と共有結合する場合に通常2つの方法があって、ひとつはN-結合型、いまひとつはO-結合型です(2)。N-結合型の場合、タンパク質のアスパラギンの側鎖アミノ酸の窒素原子(N)にグリコシド結合します(図1)。アスパラギンならどれでも良いわけではなく、アスパラギン-(任意アミノ酸)-セリン/スレオニンという配列に限られます。最初の糖鎖は多くの場合N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)です。

O-結合型の場合は、タンパク質のセリンまたはスレオニンの水酸基とO-グリコシド結合します。タンパク質と結合する最初の糖鎖は多くの場合N-アセチルガラクトサミンです(図1)。ひとつのタンパク質分子が複数の糖鎖をもつこともありますし、N-結合型とO-結合型の両者の糖鎖をもつこともあります。同じ種類のタンパク質でも糖鎖の付いている分子と付いていない分子がありますし、糖鎖が付いていてもその構造が異なる場合もあります。

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糖には無数のバラエティーがありますが、タンパク質に結合する糖鎖を構成する単糖は、ほぼ図2に示した8種に限られています。これは合成する酵素の自由度やバラエティーに限界があるからでしょう。8種類とは少ないようですが、DNAが4種の塩基で構成されていることを考えると、8種類でも順列組み合わせを考えると膨大な種類の糖鎖ができ得ることは明らかです。この中にアミノ糖が3種はいっていることは特徴的です。N-アセチルグルコサミンはグルクナック、Nーアセチルガラクトサミンはギャルナックとよばれることもあります。1種の愛称のようなものです。

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N-グリコシド結合を行ってできる糖鎖は3つのグループ、すなわち複合型(コンプレックス型)・高マンノース型(ハイマンノース型)・混成型(ハイブリッド型)に分類できます(3)。いずれもアスパラギンにN-アセチルグルコサミンが結合し、その先図3の破線に囲まれた部分は共通の構造(コア)ですが、さらにその先複合型ではN-アセチルグルコサミン→ガラクトースという順に並び、高マンノース型ではマンノース→マンノース、混成型ではマンノース・N-アセチルグルコサミン・N-アセチルグルコサミン→ガラクトースという3種類構成になっています。

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O-グリコシド結合を行ってできる糖鎖は、N-グリコシド結合の場合よりもバラエティーに富んでいますが、コアは8種類に分類できます(3、4)。いずれもタンパク質のセリンまたはスレオニン残基と最初に結合する糖はN-アセチルガラクトサミンで、α型結合でアミノ酸と結合します。2番目の糖がガラクトース・N-アセチルガラクトサミン・N-アセチルグルコサミンなどとなり、分岐もあるので、8種類のバラエティーが発生します(図4、参照 3、4)。図4下方のエピトープは抗体によって認識される部位(抗原)のことで、血液型については糖脂質のところで述べます。3番目以降は千差万別で、分類する意味も多分ありません。

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これらの糖鎖の構造決定には多くの人々が関わって解明されてきましたが、N-結合型糖鎖の根元、すなわちタンパク質と結合している糖がN-アセチルグルコサミンであることを解明したのはサウル・ローズマン (1921-2011、図4)です(5、6)。彼は「セレンディピティー(思いがけない発見)のプリンス」と呼ばれていたそうです(7)。

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では個別の例についてみていきましょう。まずエリスロポエチンをみてみますと、3ヶ所にN-結合型糖鎖が、1ヶ所にO結合型糖鎖が認められます(図6)。

エリスロポエチンは主に腎臓で合成されるタンパク質ホルモンで、赤血球の増殖や分化を促進します。腎不全が貧血を伴うのは、このホルモンの合成が低下するからです。糖鎖がついていないホルモンも生理活性がないわけではないのですが、糖鎖が付くことによって生理活性が高まり、安定性も増加します。

図6に示された所定の場所に糖鎖が結合することによって最大の活性が得られることが、村上真淑らによって最近証明されました(8)。糖鎖の位置にそこまで遺伝的セレクションがかかっているとは、私にとってはちょっとした驚きでした。腎不全による貧血をエリスロポエチン投与によって治療するというやり方は、かなり以前から行なわれています。

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ムチンは納豆や山芋などネバネバした食品にはたいてい含まれている糖タンパク質ですが、ヒトの粘液などにも含まれており、なんとヒトは20種類以上のムチン遺伝子を保有しているそうです(9)。セリンとスレオニンを多数含んでいるアミノ酸配列なので、O結合型糖鎖が非常にできやすい状態にあり、タンパク質の周りに密林のように糖鎖が生えています(図7)。そのため抜群の水分保持力があり、乾燥を防ぐほか、体表にゲル状に広がっていると感染を防ぐこともできます。粘膜を保護する役割も重要です。これだけ多数の糖鎖に被われていると、タンパク質分解酵素がアクセスしにくくなるので、壊されにくい分子になっています。胃が消化液で消化されないのも、胃粘膜のムチンのおかげなのでしょう。

A_7

最後に細菌の細胞壁に使われているペプチドグリカンをみてみましょう。図8は典型例(黄色ブドウ球菌)ですが、N-アセチルグルコサミンとN-アセチルムラミン酸がひとつのユニットになっており、糖鎖はN-アセチルムラミン酸の乳酸残基にテトラペプチドが結合しています(図8左図)。このユニットがタンデム、およびペプチドを介してラテラルに結合して細胞壁を形成しています(図8右図)。

細菌によって使われている糖の種類も変わり、ペプチドの種類や長さも変わりますが、グラム陽性菌は分厚いペプチドグリカン層で細胞全体が被われており、細胞膜が脆弱であっても生きていけるわけです(4、10)。分厚いペプチドグリカン層がクリスタルバイオレットという色素で染まるので、グラム陽性菌という名前になりました。

A_8

参照

1)理化学研究所 研究紹介: 
http://www.riken.jp/research/labs/grc/sys_glycobiol/

2)IonSource (Mass Spectrometry Educational Resource)
http://www.ionsource.com/Card/carbo/nolink.htm

3)大阪大学 Kajihara Laboratory:
http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/kajihara/background.html

4)Lianchun Wang, O-GalNAc Glycans:
https://www.ccrc.uga.edu/~lwang/bcmb8020/O-glycans-B.pdf

5)Fabrizio Monaco and Jacob Robbins,  Incorporation of N-Acetylmannosamine and N-Acetylglucosamine into Thyroglobulin in Rat

Thyroid in Vitro.,  J. Biol. Chem., Vol. 248, No. 6,  pp. 2072-2077 (1973)
http://www.jbc.org/content/248/6/2072.full.pdf?sid=b4c0f52f-ec70-497d-b615-fe3651ae6f9b

6)Saul Roseman, The synthesis of complex carbohydrates by multigulycosyltransferase systems and their potential function in

intercellular adheshion. Chem. Phys. Lipids vol. 5, pp. 270-297 (1970)

7)Biologist Saul Roseman, 90, champion of serendipitous discovery
http://archive.gazette.jhu.edu/2011/07/18/biologist-saul-roseman-90-champion-of-serendipitous-discovery/

8)ResOU: 精密化学合成により調整した糖タンパク質:エリスロポエチンの糖鎖機能を解明
http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2016/20160116_1

9)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%83%81%E3%83%B3

10)こちら

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2017年3月26日 (日)

さっちん 活動再開

A0001_0127322010年06月20日、この日から鈴木早智子は姿を消しました。そしてその日のメッセージを残したブログは、7年経過してもそのまま残されています。なぜだろう?

http://blog.livedoor.jp/sachikosuzuki/

などと思っていたら、昨年から(こっそり)活動再開していましたね。

おめでとうございます。そしてご活躍をお祈りしております。

公式HP
https://sachiko-suzuki.amebaownd.com/

Wink:

愛が止まらない
https://www.youtube.com/watch?v=9OuplY3_X8s
https://www.youtube.com/watch?v=U449EUWNdew

淋しい熱帯魚
https://www.youtube.com/watch?v=F88DEpvS_Dc
https://www.youtube.com/watch?v=X4jlKvEbVrs

いつまでも好きでいたくて
https://www.youtube.com/watch?v=iUlyoVg6XvU
https://www.youtube.com/watch?v=QUTXzOckQOE

私たちらしいルール
https://www.youtube.com/watch?v=R-QtIl14EmU
https://www.youtube.com/watch?v=OB3tiyTi_WI

Solo:

止まった時計
https://www.youtube.com/watch?v=eomucGyZs98

ノスタルジア
https://www.youtube.com/watch?v=Mi4_5yIKKxI

雨音はショパンの調べ
https://www.youtube.com/watch?v=TlfzrDCEVA8

永遠に・・・
https://www.youtube.com/watch?v=zKPp2KaA3EM

シェスタ
https://www.youtube.com/watch?v=S-kkd0xY_HM

days
https://www.youtube.com/watch?v=Jg2dQa5UwGI

only one
https://www.youtube.com/watch?v=yPCGyr-mh4k

一年前の恋人
https://www.youtube.com/watch?v=4J2x5fRDqOs

帰りつく場所に
https://www.youtube.com/watch?v=lVYlBOckDVE

朝焼けのバルコニー
https://www.youtube.com/watch?v=Iw2yS9BV0Pw
https://www.youtube.com/watch?v=rOSD4TdZsU0

Joanna
https://www.youtube.com/watch?v=ND_chAI5cSc

ラスト・ダンスは頬よせて
https://www.youtube.com/watch?v=7Ixz8f-7Id4

心に響く歌唱というのは、どこか”ダメ”な人間の特権なのかな・・・。
さっちんの歌を聴いていてそんな気がしました。

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2017年3月24日 (金)

学術研究のレベル低下

A0002_001177
情報速報ドットコムに下のような記事が出ました
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-16044.html

引用開始:日本の科学力の低下が顕著化しています。報道記事によると、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」が日本の研究論文の割合がこの五年間で低下しており、世界における日本の伸び率がダウンしていると指摘したとの事です。

ネイチャーは全世界にある68の科学雑誌に掲載された論文の数を計算し、その中で日本の研究論文が激減していることを発見しました。

2012年の時点で掲載された日本の研究論文が5212本だったのに対して、2016年には4779本に激減。5年間で1割近い433本もの論文が減っている状態で、これは世界的に見ても異常な減少幅となっていました。世界に占める日本の研究論文の割合も、2012年の9.2%から2016年には8.6%に低下しています。

このような日本の低下にネイチャーは、「日本の科学研究がこの10年で失速し、科学界のエリートとしての地位が脅かされている」と警鐘を鳴らしていました。
原因として安倍政権になってから大幅に減らされた大学交付金の影響があると見られ、5年間で大学の研究員も派遣社員のような短期労働者ばかりとなっています。改善するためには交付金の増額や支援が必要不可欠だと言えるでしょう。:引用終了。

このような事態は小泉政権のときから予測されていました。小泉政権は大学などの研究機関のスタッフを期限付きにすることにしたのです。しかも文部省の役人を大学の職員や教員に天下りさせて、支配を強める方向に動きました。安倍政権もこのやり方を踏襲しています。その結果が上のような事態を招いたわけです。

大学が官僚的な運営になり、総定員法によりパーキンソンの法則は成立しないので、どうなるかと言うと、個人の事務仕事が毎年増えるということになります。くだらない形式的な仕事ばかりが増えるのです。小泉以前には大学での研究は大学院生と、パーマネントスタッフである助手・補佐職員達でささえられていました。彼らをパートタイム化あるいは削減することによって成果が細切れになり、次の職を確保するために短期にまとまる仕事をせざるを得なくなって、研究のレベルが低下しました。

私が大学にいたときの経験から言えば、当時(小泉政権以前)は大学のすべての建物に守衛さんがいて、3交代制で常駐していたので、仮眠用宿泊所も整備されていました。また複数の管理人がいて、建物の営繕・電気設備・清掃などを担当してくれるので、古くても清潔な場所で仕事ができました。教授には秘書がいて、各教室の事務室には複数の事務職員、図書室には司書がいました。研究室には技官や教務職員がいましたし、実験所には動物採集人やまかない婦、事務職員など多数が常駐していました。だからこそきちんとした教育研究ができたと思います。

大学は最大限自由で、教育と研究にすべてのエネルギーを注入できるような場所でなければ、優れた研究は生まれません。私は大学・研究の制度に関わる官僚が1年でいいから大学で研究をやってみろと言いたいですね。そうすればあふれる事務仕事がいかに研究意欲を低下させるか、細かく決まった成果が求められる研究がいかに研究の独創性を消滅させるか、などが体験できると思います。

どんな会社でも最初は現場からです。公務員だって警察は交番勤務からです。官僚はあまりに現場を知らなさすぎます。現場感覚を体にしみこませないと、こういう制度を作ったら、こういう結果になるということが予想できません。一方で研究者も1年くらい事務職をやってみることも良い経験になると思います。事務職員に要求すべきことと、すべきでないことがはっきりわかるでしょう。また組織全体の仕事の流れがわかるのも悪くありません。

小泉政権は米国流の研究制度に習おうとしたわけですが、米国の研究の裾野は圧倒的に広大で、ポストドク制度も充実していますし、何かまともな論文をひとつでもまとめれば次の就職口はみつかる可能性が高いのです。国研の期限付き職しかない、しかもそれも簡単ではないような日本とは全然違います。

ただ米国の研究業界でも問題はあって、今中国の留学生が30万人以上流入していて(日本の留学生は台湾より少なく2万人以下)、多くの米国の研究は中国人に依存しています。いまや米国でも、優秀な白人学生が飛び込むには、研究業界での収入がプアすぎるのです。この傾向はトランプ政権でさらに激しくなると思われ、万一人種差別で中国人を追い出すなどという事態になれば、米国での科学研究はぐちゃぐちゃにしぼんでしまうでしょう。もしこれから中国が科学に力を入れなければ、世界の学術研究が崩壊してしまうことになりそうです。

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2017年3月22日 (水)

大野-都響:ブラームス交響曲第4番@東京文化会館2017年3月21日

Imga_2雨の東京文化会館へ。ここは傘をさして歩く距離が非常に短いので助かります。それにしてもほとんど好天だった3月のこの悪天候の日にコンサートとは、大野か矢部の行いがよほど悪かったに違いない。

本日のコンマスは矢部ちゃん、サイドは山本さん。指揮は音楽監督の大野さんです。ソリストはルガンスキーさんの予定だったのが病欠で、ヴラダーさんに交代。平日夜の演奏会にしては異常にお客が詰めかけ、ほぼ満席の大盛況です。

ブラームスのピアノ協奏曲第1番はかなりおどろおどろしくはじまるというイメージがあったのですが↓↓↓
ミュンヘン・フィル(指揮 チェリビダッケ)
https://www.youtube.com/watch?v=KE93NdTBBvc

大野・都響は清々しく小綺麗なスタート。これはちょっとした驚きでした。ヴラダーさんの演奏もスーッと一体感を持った感じではじまりました。ヴラダーさんの演奏を聴いていて、これは大野・都響が彼の趣味・演奏スタイルに合わせたに違いないと思いました。

満場の拍手に答えて、ヴラダーさんはソリストアンコールでリスト:コンソレーション第3番 変ニ長調を演奏してくれました。これがまた絶品。

Imgb休憩後はブラームス交響曲第4番。第1楽章ではフレージングがいちいち作為的に感じられて、これは相性悪いなと思ったのですが、第2楽章からはそれがなくなって指揮者のタクトに乗っていけました。

昔はこの曲は寂寥枯淡のシンフォニーというイメージだったのですが、ここ10年くらいそんな演奏を聴いたことがありません。今日の都響も休憩前の協奏曲の高雅な雰囲気から一転して、肉食系の強烈な演奏で聴衆を圧倒してくれました。

終演後には、本日の演奏会をもって都響を卒業するヴァイオリン奏者の小池賢治さんとヴィオラ奏者の渡辺眞さんへ花束贈呈がありましたが、小池さんの花束がまず矢部ちゃんに渡されたので、「矢部退団か!」と勘違いして腰が抜けそうになりました。矢部経由で小池さんに手渡されてやれやれ。退団する彼らにとっても、今日の素晴らしい演奏会はよい思い出になったのではないでしょうか。

マキロンのハイヒールは似合ってないと思います。スカート着用ならまだしもね。今日は1人だけ逆ストロークなどもあって目立ってました。

ヴラダーさんの若かりし頃の演奏
https://www.youtube.com/watch?v=D8AaEE7hkLQ







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