「渋めのダージリンはいかが」へようこそ

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生物学茶話(Science):こちら1

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JPOP名曲徒然草(Music):こちら3

生物学茶話PDF版 こちら4  こちら5
(PDF版には、はしがき、ページ付きもくじ、巻末索引がついています)

すべてフリーですので、ごゆっくりどうぞ 

「生物学茶話:@渋めのダージリンはいかが」の紙本は九州大学理系図書館、京都大学理学部図書館、島根大学附属図書館、東京大学理学図書館、東京工業大学大岡山図書館、北海道大学理学部図書室、杏林大学医学部図書館、電子書籍としては国立国会図書館に収蔵されています。

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2022年5月28日 (土)

アリゼのステージ

French singer Alizée at Les Enfoires 2013 - DSC5744.jpg

アリゼももう40才近くの年齢に達しているそうですが、彼女が10代の頃のパフォーマンスの衝撃は忘れられません。最初に知ったのはブルボンのCMだと思いますが、来日して「笑っていいとも」にも出演していたそうで、これは見逃しました。

最近素晴らしいステージの映像がアップされていることに気がつきました。

Moi...Lolita  多分これがデビュー曲
https://www.youtube.com/watch?v=sz4xDGUr91A

J'en ai marre!    大ヒット曲 (うんざり 日本でのタイトル=恋するアリゼ)
https://www.youtube.com/watch?v=d8KPZAC4rAc

Toc de mac (ぴかいち)
https://www.youtube.com/watch?v=yTfFYEBKUr4

J'ai pas vingt ans (はたちじゃないの)
https://www.youtube.com/watch?v=B8uoyPZhuUw

Gourmanndises (ごちそう)
https://www.youtube.com/watch?v=MshULZzbpc0

Tempete (暴風雨) バラードです
https://www.youtube.com/watch?v=r3LPL67YPF8

(写真はウィキペディアより)

 

 

 

 

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2022年5月25日 (水)

小泉-都響 チャイコフスキー交響曲第4番@東京芸術劇場2022/05/25

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都響は以前の賑わいが戻って快調に復活しました。池袋の街も賑やかで活気をとりもどしています。今日の指揮者は小泉さん、コンマスはボス矢部、サイドはゆずきです。ソリストは清水さんで、ラフマニノフの2番のピアノコンチェルト。この曲は曲自体が素晴らしいので、普通に衒いなく弾いていただければメロディに没入できる曲です。清水さんは巨匠ですが、瑞々しいタッチで聴かせていただいて大変楽しませていただきました。

後半はチャイ4ですが、なぜか指揮台を交換して背もたれ付きになりました。今日はかなりエキストラが多くて、特にクラリネットのN響の方は目立っていました。この方のプレイスタイル好きです。もうひとり珍しかったのはヴィオラに黒人奏者の方が参加しておられたことです。チャイ4は欧州での演奏会にも持って行ったくらいで、都響の18番です。

都響は小泉さんが指揮をすると、なぜかのびのびと思い切り弾けるみたいで、特に弦楽器のアンサンブルの凄さはこの大編成でも全くゆるぎなく、まさしく鳥肌ものです。最近割とうるさいことが多い柳原ですが、今日は目立たず良いバランスで演奏していました。打楽器は今日くらいガンガンやった方がいいですよ。特にこの曲の場合はね。

終了後1Fに降りたら、「風呂敷東京」という催し物をやっていて、皆さんに風呂敷を無料で配っていました。東京都も税金使ってバカなことをやるものです。私も並んで風呂敷をもらって帰りましたが。

 

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続・生物学茶話179: 頭と胴尾、脳と脊髄

オットー・マンゴルトはシュペーマンの弟子で、その仕事を受け継いで発展させた功労者です。ドイツ動物学会の会長まで務めた著名人ですが、教科書などで取り上げられる場合も少なく、ウェブサイトの情報は多くありません。これは彼がナチの協力者であったことが影響していると思われます。Second.wiki や de.zxc.wiki などには少し情報があります(1-3)。

オットー・マンゴルトはシュペーマンと共にオーガナイザーの研究を行ったヒルデ・プレショルトと結婚しましたが、新婚のヒルデはキッチンでのガス爆発が原因で亡くなりました。さらに息子は第二次世界大戦で戦死するという家庭的には悲運の人です。彼はシュペーマンと同様両生類の胚を使って、原口背唇から外胚葉の裏側に潜り込んだ組織がその後どのような役割を果たすかについて研究を行いました(図179-1)。

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図179-1 オットー・マンゴルトとイモリ

原口背唇部は原腸形成後、原腸の天井に位置することになりますが、オートー・マンゴルトはその周辺領域(ルーフ)に、将来頭部・胴部・尾部を形成する活性が前後に順に並んで存在することを証明しました(4、5、図179-2)。すなわちルーフの前部を他の個体のルーフに移植するとその部分に2次的な頭部ができ、中央部を移植すると2次的胴体、後部を移植すると2次的尾部が形成されます(尾は肛門より後ろの胴体のことです)。つまりそれぞれの部分にヘッド/トランク/テイルのオーガナイザーが存在するというオットー・マンゴルトのモデルです(図179-2)。

その後ニューコープらはマンゴルトらがみつけた誘導現象はワンステップではなく、まず原口背唇部・ヘンゼン結節・ノード・ノトコードなどによって外胚葉が前脳になるような誘導 (activation) がかかり、その後側板中胚葉などから中脳・後脳・脊髄への誘導 (activation) がかかるという理論=Activation-Transformation theory を唱えました(6)。この理論は若干の修正はあるものの現在でも概ね正しいとされています(7)。前脳とは脳科学辞典の記述によれば「大脳(扁桃体、海馬などの辺縁皮質を含む)、中隔核、乳頭体、視床前核、嗅球といった大脳皮質外の構造、視床、視床上部、視床下部などからなる領域」ということになります。

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図179-2 オットー・マンゴルト、ピーター・ニューコープの理論

シュペーマン、オットー・マンゴルト、ニューコープらは両生類の胚を実験材料として使っていましたが、それと共により私たちに近いマウス、ニワトリ、ゼブラフィッシュの胚の予定領域を並べて見ると驚くことがあります。それはマウスやニワトリなどの有羊膜類では、対応する発生ステージにおいて予定脊髄領域が著しく小さいことです(8、図179-3の黄色の部分)。

哺乳類と鳥類には羊膜がありありますが、魚類や両生類にはありません。しかしこのことが予定脊髄領域のテリトリーに関与しているかどうかはわかりません。ただ前者は後者に比べて脳が格段に発達しているので、ともかく発生段階から脳と視・聴・嗅覚を先に発達させて、胴部・尾部は後回しというボディープランになったと想像できます。

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図179-3 脊索動物胚背部の予定運命

頭部優先で発生を行うためには、原溝(原条)は前後平等であってはいけません。実際原溝最前部にはヘンゼン結節(鳥類)・ノード(哺乳類)など特に活発な活動を行う部位があり、ここから落ち込んだ原外胚葉細胞を中心に頭部形成の準備を始め、それが一段落してから原溝は後退して、体節中胚葉や脊髄の前駆細胞を送り出します(8、図179-4)。

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図179-4 ニワトリ原溝の消長と体節・脊髄の形成

ツァキリディスらは2014年に細胞培養などの手法を用いて、多分化能を持つエピブラスト(原外胚葉細胞)がWntの作用によって体節中胚葉と神経細胞などの限定分化能をもつ幹細胞に変化し、さらに体節中胚葉を形成する細胞と、脊髄を形成する細胞を生み出すことを報告しました(9)。

すなわちヘンゼン結節やノードには分化の可能性は限定されつつも、自己増殖あるいは不等分裂によって自分自身を保存しながら分化した細胞を生み出すことができる幹細胞が存在し、その働きで幹細胞を温存しつつ予定体節細胞や予定ノトコード・予定神経細胞を結節外に送り出し、順次体節や脊髄の形成に資することができるわけです(10、図179-5)。

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図179-5 ヘンゼン結節またはノードには幹細胞がある

図179-6では単純化していますが、実際には自己複製と単一の分化しか行わない細胞(図179-5)以外に、このような体節にも神経にも分化できる細胞が実際にありそうだとされています。Sox2は神経系細胞のマーカー、Brachyury は中胚葉細胞のマーカーで、バイポテンシャルな前駆細胞には両者が存在します(10)。

ただ原外胚葉細胞からは他のタイプの幹細胞・前駆細胞も形成されていると思われますし(たとえば多分化能を持つ細胞)、それぞれの分化誘導機構も様々でしょうから、実際にはコンピュータでしか答えが出せない複雑なメカニズムが潜んでいることは容易に想像できます。

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図179-6 2種類の細胞に分化できる幹細胞

ここで忘れてはならないのは脊索(ノトコード)の存在です。ここまでの説明では脊索がこの種の前駆細胞とどのようにかかわっているかはわかりません。脊索が脊髄を誘導することは昔からしられていますが、新しい考え方が出てきたからには再検討が必要になります。中胚葉系の細胞群と神経系の細胞群を制御統括するのが脊索であることが示唆されていますが(11)、このあたりの問題は次の機会にとりあげたいと思います。

参照

1)second.wiki: Otto Mangold
https://second.wiki/wiki/otto_mangold

2)Qw: Otto Mangold
https://de.zxc.wiki/wiki/Otto_Mangold

3)The Embryo Project Encyclopedia: Otto Mangold (1891-1962)
https://embryo.asu.edu/pages/otto-mangold-1891-1962

4)Mangold, O., Uber die Induktionsfahighkeit der verschiedenen Bezirke
der Neurula von Urodelen. Naturwissenshaften vol.21: pp.761-766.(1933)
https://link.springer.com/article/10.1007/BF01503740

5)Claudio D. Stern et al., Head-tail patterning of the vertebrate embryo:
one, two or many unresolved problems? Int. J. Dev. Biol. vol.50: pp.3-15 (2006)
doi: 10.1387/ijdb.052095cs
https://web.mit.edu/7.72/restricted/readings/Stern%20et%20al.pdf

6)Nieuwkoop, P. D. and Nigtevecht, G. V., Neural activation and
transformation in explants of competent ectoderm under the influence of
fragments of anterior notochord in urodeles. J Embryol Exp Morphol vol.2: pp.175-193. (1954)
https://journals.biologists.com/dev/article/2/3/175/49249/Neural-Activation-and-Transformation-in-Explants

7)Fraser, S.E., and Stern C.D., Early rostrocaudal patterning of the
mesoderm and neural plate, In Gastrulation: from cells to embryo, C. D. Stern,
ed. (New York: Cold Spring Harbor Press), pp. 389-401. (2004)
http://gastrulation.org/

8)Ben Steventon, and Alfonso Martinez Arias, Evo-engineering and the cellular and molecular origins of the vertebrate spinal cord., Developmental Biology vol.432, pp.3-13 (2017)
https://doi.org/10.1016/j.ydbio.2017.01.021
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012160616305103

9)Anestis Tsakiridis et al., Distinct Wnt-driven primitive streak-like populations reflect in vivo lineage precursors. Development vol.141, pp.1209-1221 (2014) doi:10.1242/dev.101014
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24595287/

10)Domingos Henrique, Elsa Abranches, Laure Verrier and Kate G. Storey
Neuromesodermal progenitors and the making of the spinal cord
Development vol.142, pp.2864-2875 (2015) doi:10.1242/dev.119768
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26329597/

11)Nitza Kahane and Chaya Kalcheim, From Bipotent Neuromesodermal Progenitors to
Neural-Mesodermal Interactions during Embryonic Development., Int. J. Mol. Sci., vol.22, no.9141, (2021) https://doi.org/10.3390/ijms22179141
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8431582/

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2022年5月23日 (月)

内田康夫「中央構造体」

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これは2002年に講談社から出版された、皆さんお馴染みの浅見光彦が大活躍する内田康夫の小説ですが、スケールが大きくまさしく日本の政治経済の背骨の病巣をえぐった物語です。

モデルとなった日本長期信用銀行(長銀)はバブル崩壊によって膨大な不良債権をかかえ、結局税金を4~5兆円投入したにもかかわらず(ウィキペディア)倒産し、米国資本に二束三文で買い取られて新生銀行となりました。ひとつの企業が税金4~5兆円をドブに捨ててしまったのです。小説の中で光彦も激しく言及していますが、これで革命どころか政権交代もおこらなかったというのは日本の恥です。

先日私の預金通帳のプリントがいっぱいになったので新しい通帳にしようと思ったら、みずほ銀行の最も近い(といっても往復は半日仕事)支店である鎌ケ谷支店が廃止され、業務が船橋支店に移管されていました。たかが通帳更新のために船橋までいかなければならないとは末期的です。駅やスーパーから時計が消えたのも末期的、水道事業を外国企業にやらせるのも末期的、バスや鉄道の路線がなくなるのも末期的、交番の縮小も末期的です。最近デジタル化とうるさく言われますが、これもお役所の弱体化を糊塗するためと、外国資本へ産業を売り渡すためのプロパガンダです(堤未果著 「デジタル・ファシズム」 NHK出版)。

この小説のストーリーとはあまり関係がない会話の中で、内田康夫は何度も「日航ジャンボ機墜落事故の原因は自衛隊の誤射」と言わせています。このことははマスコミが報じていないだけで、関係者の間では常識なのかもしれません。

ウィキペディアの記事をみると、平将門は決して小説で持ち上げているような革命家ではなく(見ていませんがNHKの大河ドラマでも持ち上げていたそうです)、関東豪族間の私闘を制して自ら天皇を名乗ったお調子者のような印象を受けました。とはいえ現在でも神田明神をはじめとして多くの神社が将門を祀っていることを思うと、平安時代の当時としては将門の反乱はとてつもない大事件だったのでしょう。

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2022年5月21日 (土)

サラの考察6: 休暇

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サラ「最近は天気が悪いんで、眠くて。考察はお休み」

私「そりゃ猫は雨天だと狩りができないから、眠くなるのは本能だろうけど、あまり動かないと糖尿病になるかも」

サラ「糖尿病は人間の病気じゃないの?」

私「とんでもない、猫だって糖尿病になるし命を落とすこともあるんだよ」

サラ「じゃそろそろ起きるとするかな」

私「来週は天気が良くなるそうだから、ベランダで遊ぼう」

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2022年5月19日 (木)

Feam のオタ芸@インドネシア

最長不倒の地下アイドル「Feam」はもはや日本の重要なサブカルチャーのひとつですが、そのパフォーマンスに欠かせないファンのオタ芸が、なんとインドネシアにまで移植されていました。

Ota

https://www.youtube.com/watch?v=5f3J8raZNNA

本家オタ
https://www.youtube.com/watch?v=YJHY4mSqYn0

Feam (2006年結成~現在に至る)
https://www.youtube.com/watch?v=ANO23YtHmSk

なんと「笑顔のスイッチ」にはバラード版まである
https://www.youtube.com/watch?v=c6GRVwXWC-o
https://www.youtube.com/watch?v=gmt1V4YOVxM

イーロン・マスクが「当たり前のことだけど、出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう。これは世界にとって大きな損失になる」と言ったそうですが、同意します。出生率があがらないのなら、どんどん移民をふやして賑やかな国にしましょう。そして日本は常に世界の辺境にあるようにしましょう。優れた文化は辺境のカオスから生まれます。

 

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2022年5月15日 (日)

クレア・フアンチ ピアノリサイタル@多古町コミュニティプラザ文化ホール2022/05/15

曇天で湿度は高いとはいえ、気温は最適で過ごしやすい日曜日です。今日はピクニック気分でディープ千葉の多古町にでかけました。アクセス特急でまず成田空港のターミナル2に行き、エスカレーターで到着ロビー前のバス乗り場に行きます。

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ここから多古町行きのシャトルバスが出ています。海外との往来が解禁されたとはいえ成田空港はまだ閑散としていて、なんと構内をツバメがたくさん飛び交っています。ターミナル2の看板の裏に巣を作っていると思われる者もいました(2の数字の上にいます)。

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バスに乗って美しい水田をながめつつ多古町へ向かい、役場前で降りて少し歩くと立派な文化ホールがありました。

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入り口にある催し物の看板。

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ホールは大変立派で、特にステージはヤマハのフルコンサートが小さく見えるほど広大。

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フアンチのリサイタルは、白寿ホール、ブルーローズと通って3回目ですが、なぜ今回こんな不便な片田舎のホールでリサイタルをやるのかわかりません。お客も少ないです。彼女は今次々とメジャーレーベルからCDも出版していて、絶好調の状態だと思います。

本人が登場すると、あれれプレグナント? そのことと新型コロナが関係して東京でのコンサートを避けたのかもしれません。まあ彼女はヨーロッパでもほぼ週1回のコンサートをやっていて、片田舎のホールで演奏することもしばしばあるようではあります。

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以前と比べて、今回の演奏には全く新しい印象をうけました。作品を一度自分の中で完全に解体して再構築しているような感じで、バッハにしてもモーツァルトにしても、とても新鮮な感覚の演奏に感じました。すごかったのはトッカータとフーガで、まるで彼女がダイヤモンドナイフのような指でたたく鍵盤から散乱する鉄塊が、ホールを粉々に破壊するような迫力を感じました。

ベートーヴェンの田園交響曲をリストがピアノ独奏用に編曲した作品ははじめて聴きましたが、特に嵐から感謝に至る終盤のやわらかな感動がテンションを高めてくれました。

Claire Huangci | Bach-Busoni - Toccata and Fugue in D minor BWV 565 (live recording)
https://www.youtube.com/watch?v=WJ5eIxZ4cIc


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2022年5月13日 (金)

続・生物学茶話178: ラウバーの鎌

ニワトリ胚の卵割については、私は学生実習でもやったことがないので簡単に復習しておきます。カエルのような両生類は単に水中に卵を産み落とすだけですが、陸上生活をすることになった生物は殻付きの卵を産む爬虫類・鳥類のグループと、胎盤を形成する哺乳類に分かれました。殻と卵白に包まれた鳥類の胚は大部分が栄養成分である卵黄で形成されているため、卵割する胚本体は卵黄にへばりつくような薄く小さなスペース(胚盤 直径2~3mm)しか与えられていません。このため盤割とよばれるタイプの、まず薄いシート状に細胞が増殖することから発生がはじまります(図178-1)。

この胚盤周辺には学術的な名前がつけられていて、卵黄部分は Area pellucida (暗域、不透明域)、細胞部分は Area pellucida (明域、透明域)、中間部分は Marginal zone (境界域)とされています(1、図178-1)。Area の代わりに Zone が使われることもあります。

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図178-1 ニワトリの卵割

Area pellucida が細胞のシート(エピブラスト=胚盤葉上層)で埋まる頃、まだ卵白も殻もついていない卵は輸卵管を移動し始めます。このときに移動方向の前後がそのまま胚の前後となるそうです(2)。このとき後方にあたる部分のエピブラストの裏側にラウバーの鎌と呼ばれる構造ができます(図178-2)。

ラウバーの鎌(Rauber's sickle)というのは、図178-2のように胚の後方からハイポブラスト=胚盤葉下層となる細胞が増殖し始めた形が鎌に似ているからですが、コラーの鎌 (Koller's sickle)ともいうことがあるそうです。ウィキペディアによれば発見者がラウバー (August Rauber 図178-3、3)なので、ラウバーの鎌というのが適切かと思います。そのあたりの事情はおそらく Atlas of Chick Development という本(4)に詳しく書いてあると思われますが、Marc Callebaut and Emmy van Nueten の文献(5)によると、ラウバーが1876年にこの構造を発見しましたが、そこから原条が発生することを記載したコラーにちなんでコラーの鎌と呼ばれるようになったそうです。この文献の著者らはラウバーの鎌と呼んでいます。

胚盤葉上層の裏側には上層から剥離した細胞が落ち込んでいますが、後方からの増殖で伸びてきたラウバーの鎌はこれらの細胞をひろって結合し。最終的には最前方の胚盤葉上層まで到達して閉じた構造になります(6)。ラウバーの鎌が多少なりとも脚光を浴びたのは Marc Callebaut と Emmy van Nueten がウズラの鎌をニワトリに移植すると第2の原始線条(primitive streak) が発生したことを報告してからでしょう(5)。これはラウバーの鎌が両生類のオーガナイザーに相当することを意味します。

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図178-2 ラウバーの鎌と胞胚の形成

ラウバーはウィルヘルム・ヒスの弟子でドイツ人ですが、エストニアのタルトゥー大学で仕事をした発生学者です(図178-3)。タルトゥー大学は知らなかったので調べると、なんと江戸時代初期の1632年設立で、現在も150のビルを擁するエストニア最大の大学だそうです。それでも辺境の学者だったせいか、ラウバーの鎌(コラーの鎌)の発見は100年以上も前の業績にもかかわらず、発生生物学の教科書にはよくてちょっぴりふれてあるというのが普通で、私はその種の学科の出身ですがまったく習いませんでした。スコット・ギルバートの教科書(第7版)にもラウバーの名はありません(Koller's sickle という記載はあります)。

オーガナイザーに相当するラウバーの鎌は、そこに含まれる細胞から増殖した細胞群が原始線条 (primitive streak) やヘンゼン結節 (Hensen's node) を誘導するというはたらきがあり、ニワトリの胞胚・嚢胚形成=形態形成はここからスタートすると言っても良いような重要な組織です。

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図178-3 アウグスト・ラウバー

ラウバーの鎌を構成する細胞群の予定運命を Bachvarova らの知見に基づいて図示しました(7、図178-4)。ラウバーの鎌は自らが活発に増殖するとともに胚盤葉上層細胞を誘導してヘンゼン結節と原始線条を形成し、中胚葉や脳神経組織などに分化します。また下部の細胞は内胚葉となります。生殖三日月環は、原条形成期に内胚葉細胞の増殖によって胚盤葉下層の細胞群(黄色)が前方に押されてできた形態ですが、それ自身は臓器に分化するわけではありません。しかしこの領域は生殖細胞の前駆細胞を含んでおり、これらの前駆細胞は将来血流によって生殖巣に運ばれることになります(6)。

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図178-4 ラウバーの鎌の発生予定運命

ステージが進むとラウバーの鎌部分はテイルバッドと呼ばれるようになりますが、囊胚期になってもこの領域は、筋・骨格・神経などに分化する幹細胞(neuromesodermal progenitors)のニッチとして重要な役割を果たすことになります(8)。


参照

1)ボヘミアンへこっち 存在の耐えられない軽さ ニワトリ初期発生のまとめ
https://kohecchi.hatenablog.com/entry/2019/04/06/184733

2)東中川徹・八杉貞夫・西駕秀俊編 「ベーシックマスター 発生生物学」オーム社 p.53 (2008)

3)Wikipedia: August Rauber
https://en.wikipedia.org/wiki/August_Rauber

4)Ruth Bellairs, Mark Osmond “Atlas of Chick Development”Elsevier (2005) 新版(2014)
https://www.amazon.co.jp/Atlas-Chick-Development-Third-Bellairs/dp/0123849519

5)Marc Callebaut and Emmy van Nueten, Rauber's (Koller's) Sickle: The early gastrulation organizer of the avian blastderm., Eur. J. Morphol. Vol.32, No.1, pp.35-48 (1994)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8086267/

6)Scott F. Gilbert “Developmental Biology”7th edn Sinauer Associates Inc., p.355 (2003)

7)Rosemary F. Bachvarova, Isaac Skromne and Claudio D. Stern, Induction of primitive streak and Hensen’s node by the posterior marginal zone in the early chick embryo., Development vol.125, pp.3521-3534 (1998) doi: 10.1242/dev.125.17.3521.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9693154/

8)Charlene Guillot, Yannis Djeffal, Arthur Michaut, Brian Rabe, Olivier Pourquie, Dynamics of primitive streak regression controls the fate of neuromesodermal progenitors in the chicken embryo., eLife vol.10: e64819. (2021) DOI: https://doi.org/10.7554/eLife.64819
https://elifesciences.org/articles/64819

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2022年5月 9日 (月)

サラの考察5: 愛について

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サラ「私たち猫族のメスはひとりで子育てできるから、愛は完全に自由で純粋なのよ。どう、うらやましいでしょう」

私「人類が始まった頃はメスひとりで子育てするのは無理だっただろうね。まあ21世紀の今でも困難なことだけど」

サラ「天敵のいる弱い生き物のメスは、どうしても腕力や権力を持ったオスを求めるのよ。だから愛といっても、私たちの愛とは違うのよね」

私「ヒトも元々は弱い生物だったから、メスが集団社会のボスやマッチョなオスを求めるのは自然な流れだね」

サラ「ヒトの祖先のサルも社会を作って、そのボスに多くのメスが寄ってくるような脳のしくみがあるのでしょう。ヒトにもそういう私に言わせれば不純な愛の要素は残っているはず」

グレチコ「ヒトは文明を発展させて、もはや天敵は寄生生物だけになったので、このまま数百万年経過すれば、猫のような愛の形になる可能性はあるかもな」

私「それは楽天的すぎるんじゃない。完全に男女平等な社会では、実はオスは精子を運ぶ以外に用無しになるんじゃないだろうか? そうすると愛は消滅するかもしれない」

サラ「魚や昆虫にはそういう連中もいるわね」

グレチコ「オスだけが持っているY染色体はX染色体に比べると圧倒的に欠陥があって、X染色体を2本持つメスの方が生命力は強いんだ。だから遺伝子を劣化させない技術があればオスは不要という説は一理ある。遺伝子操作の技術は進んできたからね。オスに何らかの社会的優位性がない場合、生殖にも不要となればオスは自然淘汰されて消滅する可能性すらあるね。そういうメス主導の社会では、特に遺伝子の管理をどうするかというかということが問題になるだろうね」

私「セックスというランダムな遺伝子のまぜあわせを経由しない生殖というのは重い課題ですよ。しかもたとえば暴力に関わる遺伝子、支配欲に関わる遺伝子、差別に関わる遺伝子など、どのような遺伝子を残すか潰すかという議論が無数にでできますね。」

グレチコ「その問題でトラブルになる可能性は大きいね。イスラム教というのはそれが失敗した場合の保険かな」

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2022年5月 7日 (土)

連休

私が連休に行った場所は、ペットショップ、イオン、コンビニ、医院の4ヵ所だけでした。どこも普段より人は少なかったと思います。しかしテレビで見る野球場・江ノ島・鎌倉の混雑はちょっと怖いものがありました。またあの悪夢がぶり返すのか? 来週はちょっと緊張します。

自粛していた人は目だけでも楽しみましょうか? 昔仕事で行ったドイツの写真です。

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ミュンヘン空港。着いたのは夜で、空港直結のホテルで一泊しました。従業員がチュースと言って挨拶していたのが、日本語のチヮ-スと似ていて笑ってしまいました。方言的な挨拶のようです。

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ミュンヘン駅から列車に乗ります。切符を買うときに駅員に「発音が悪い」と言われて3度も言い直しました。それが本当にわからないのではなくて、アジア人に教育的指導を行ってやろうという感じだったのが嫌み。しかし私が直立不動で3度目の発音をしたので、それを評価したらしく、駅員はうなずいて切符を発行しました。

田舎の町で下車したら、目的地へは交通機関がタクシーしかないことがわかりました。

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ここが目的地。修道院の宿舎で3泊しました。

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仕事(会議)が終わった後、エクスカーションのバスから見たアルプスの山々。ドイツの農村は美しい。本当にきちんと農業をやっている国です。

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ノイシュバンシュタイン城。この画角の写真はかなりやばい吊り橋の上からしか撮影できません。

 

 

 

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2022年5月 5日 (木)

おかげさまでブログが17周年となりました

For-blog

今日はちょっぴり昔話を。

SNSは21世紀になってフェイスブックやツイッターができたことによってはじまったと思っている人が多いと思いますが、実は半世紀前にすでに存在していました。このブログが利用している@ニフティは当時ニフティサーブという名前で存在し、そのメインはフォーラムというまさしくSNSでした。

フォーラムの実態は一昔前の2チャンネルのようなボードと似ていて、同じ趣味を持った人のウェブ上での集いの場でした。現在と一寸違うのはテキストしかアップできないことと、固定電話の回線を使っていたので、つないでいた時間だけ電話代を請求されるということです。チャット機能もありましたが、寝落ちすると莫大な電話代をとられることになります。有料なので広告はなく、荒らしや工作員などももちろんいなくて牧歌的な世界でした。

フォーラムは有志によって管理運営され、ボードに何か書き込むとウェイトレス係の人が「いらっしゃいませ、コーヒーはいかがですか?」などとエアー喫茶風のもてなしを受けるサイトもありました。オフ会も盛んで、それで知り合って結婚する場合も多かったようです。趣味が一致しているわけですから、お見合いよりはよかったのかもしれません。ただ運営方法をめぐって管理者の仲間内でいさかいが起きることもままあったようです。

SNSは社交ですが、ブログはちょっと違っていてある種の文化だと私は思っています。他の会社が次々とブログサービスを廃止する中で、@ニフティが危機を乗り越えて継続してくれているのは有難いことだと思っています。

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2022年5月 4日 (水)

My favorites 8: Carpenters "I need to be in love"

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カーペンターズの名曲はたくさんありますが、私的に一番はこの「I need to be in love」です。写真のペストアルバムでは2枚目に収録されています。このアルバムは37年前に出版されたものですから、ずいぶん年月がたちました。

歌詞の意味(私の解釈)は 「世の中はすべて不完全である。なのにどうして私は愛に完全を求めていたのだろう。不完全な愛を容認し、そのなかに飛び込んでいくべきだがそれはなかなか難しい」というようなことでしょう。

シンガーとして世界の頂点を極めたカレンが、たかが少し太っていたからといってダイエットがきっかけで拒食症で死ぬなんて受け入れがたい悲劇ですが、いったん脳に変なスイッチがはいってしまうと、脳は薬でコントロールするのは困難な臓器なのでどうしようもなかったのでしょう。現在でもなかなか治療が難しい難病だそうです。

カバーしている人は多いですが、本人の歌唱はやはり一番です。

https://www.youtube.com/watch?v=EmFiOb0To7w
https://www.youtube.com/watch?v=-60LjZd8Ocs

Oncemores:

https://www.youtube.com/watch?v=50ovGUYfACQ

素晴らしい声で浸れます。ただ英語が日本語っぽいゆるい発音でちょっぴり気になります。

Ai Ninomiya:

https://www.youtube.com/watch?v=W-ssTfBc0i4

すごい実力派のシンガーだと思いますが、こんなに情熱を込めてたっぷり歌い上げられるとちょっと違うんじゃないかと首をかしげたくなります。

峠恵子:

https://www.youtube.com/watch?v=wajljR0yS9Q

なんとリチャード・カーペンターの前で歌うという・・・。フェミニンなベクトルですが、多分この曲のニュアンスをよく理解した歌唱で、リチャードも絶賛しています。

 

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2022年5月 2日 (月)

続・生物学茶話177: 神経幹細胞の源流

ニワトリの発生図はどんな生物学の教科書にも記載してあると思いますが、ここでも教科書(1)を参考にして模式図を描いてみました。トリの場合原溝前端の盛り上がった部分をヘンゼン結節と呼びます。マウスの場合は単に結節(ノード)です。原溝は原条と区別せず原条と表現することもあります。結節より前で頭部形成の準備が行われ、結節部分から後方で脊髄形成の準備が行われます。脊髄形成に先立って結節周辺から体節が形成されます。

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図177-1 ニワトリの発生

ニワトリの卵割が盤割であるのに対して、マウスなど哺乳類は等割で初期発生が行われるので、初期胚の形はかなり違うように感じますが、図177-2(参照文献2に基づいて作成)でニワトリの図を上から見て時計回りに90度回転し、さらに正面から見て時計回りに90度回転すると似たような感じになります。頭部を形成するための細胞がまず大量に蓄積し、脊髄などの尾部は後回しになっていることがわかります。ですからこの頃の体は2等身くらいの感じです。

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図177-2 マウスおよびニワトリの中枢神経発生

マシスとニコラスは初期胚における幹細胞が、発生が進むにつれてどこに移動し、どのような運命をたどるかを解析するため、伝統的なβガラクトシダーゼとX-galによる青色の発色が偶発的な相同組み換えによって発動するというシステムを考案しました(3、図177-3)。このシステムの利点は遺伝子レベルでの置換なので、細胞を通常の方法でラベルすると増殖することによって「ラベルが希釈されてしだいに判別困難になる」という弱点がないことです。プロモーターとしては神経系細胞特異的に機能するエノラーゼのプロモーターを使用します(図177-3)。

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図177-3 相同組み換えで発色させる仕組み

マシスとニコラスはこの方法を用いて中枢神経系をつくる幹細胞の動態を解析しました(4)。彼らの方法の難点のひとつは偶然に頼るということですが、それでも3000個の胚を調べて、163のクローンのデータを得ることができました。そのなかの2つの例を図177-4に示しました。Aのクローンは脳の全域に分布していますが、体幹部には分布がみられませんでした。Bのクローンは脳には見られず体幹部のみにみられました。これは発生初期に中枢神経の中でも脳部分を受け持つ細胞と、脊髄部分を受け持つ細胞が分岐するということを意味しています。

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図177-4 神経幹細胞クローンの可視化

163のクローンのすべてについてまとめたデータが図177-5に示してあります(4)。これは彼らのオリジナル図そのものですが、この右下の二等辺三角形領域が空白の奇妙な図を見て、私は最初意味がわからず1時間くらい呆然とみつめていて、あるときやっと意味が理解できました。

まずマウスの中枢神経系を頭から尾まで64等分して、最前部(頭)を1、最後部(尾)を64と番号付けします。たとえば左上に中空きの赤点が集中していますが、その左上隅X=1、Y=64の位置にあるクローンは、64等分した端から端まで広範囲に発色細胞が分布していることを意味します。このクローンは予定中枢神経細胞ができてすぐに発色可能になった幹細胞からできたクローンというわけです。著者はこのようなクローンを very long clone と表現しています。つまり最初から頭部を作る幹細胞と脊髄をつくる幹細胞が別々に生まれるのではなく、最初はどちらにでも移動・分化ができる幹細胞ができるというわけです。

次に中埋めの赤点群がグラフ中央上部にありますが、これらのクローンは X=1~24のいわゆる頭部には発色細胞がみられないタイプのクローンです。つまりこのタイプのクローンをつくる幹細胞は頭部をつくることはなく、脊髄をつくることを運命づけられた後の幹細胞であると言えます。逆に左下の黄色い部分のクローンは脳をつくることを運命づけられた後の幹細胞がつくったクローンです。空白部分との境界線である斜め45度のライン上のクローンは狭い領域に限定されたクローン(short clone)で、移動または細胞分裂終了間近で発色可能となったと考えられます。水色の領域のクローンはすべて脊髄を構成する細胞です。

ここでひとつ注目すべきは、斜めのはしごで示された領域の大部分がクローンがほとんどみられないことです。これは何を意味するのでしょうか? 著者が言う long clone と short clone の中間のいわば middle clone が極めて少ないということは、発生のある時点で急激に幹細胞の移動が制限される(25をまたいだ移動は困難)と考えれば理解できます。特に脳の方向に移動した細胞は体前部、尾の方向に移動した細胞は体後部のみで移動・増殖をおこなうようになることが示されています。

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図177-5 予定中枢神経幹細胞クローンの分散性の検証

マシスとニコラスは図177-5にみられるクローンの動向を解析し、頭部に展開する幹細胞と尾部に展開する幹細胞の分岐は胎生6.5日目前後に起きるものと推定しています(図177-6 参照文献4にもとづいて作成)。胎生8日目くらいにはそれぞれの幹細胞は移動先に定着して増殖・分化をおこない、中枢神経系の構築に中心的役割を果たすものと思われます。

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図177-6 神経幹細胞の胎生時の動向

 

参照

1)Scott F. Gilbert 「Developmental Biology」7th edition, Sinauer Associates, Inc., Publishers, Sunderland, Massachusettd, 2003

2)Ben Steventon, Alfonso Martinez Arias, Evo-engineering and the cellular and molecular origins of the vertebrate spinal cord., Developmental Biology vol.432, pp.3-13 (2017)
http://dx.doi.org/10.1016/j.ydbio.2017.01.021

3)Luc Mathis and Jean-Francois Nicolas, Autonomous Cell Labeling Using a laacZ Reporter
Transgene to Produce Genetic Mosaics During Development., A. Cid-Arregui et al. (eds.), Microinjection and Transgenesis, Springer-Verlag Berlin Heidelberg 1998
https://rd.springer.com/chapter/10.1007/978-3-642-80343-7_24

4)Luc Mathis and Jean-Francois Nicolas, Different clonal dispersion in the rostral and caudal mouse central nervous system., Development vol.127, pp.1277-1290 (2000)
https://journals.biologists.com/dev/article/127/6/1277/41116/Different-clonal-dispersion-in-the-rostral-and

 

 

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2022年4月30日 (土)

クレア・フアンチが来日するそうです

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クレア・フアンチは中国系米国人のピアニストです。新型コロナ蔓延まではドイツや米国の田舎町を中心に大変活発にコンサートを開催していました。日本でも何度かリサイタルをやっていて、私もコロナ前に一度聴きに行って大変素晴らしいピアニストだと感動した記憶があります。

今年コロナ後初めて来日し、神奈川フィルとコンチェルトをやるというチラシを見て、これはリサイタルもやるだろうと探索したら、なんとディープ千葉の多古町でやるというのでびっくり(しかも初めてじゃないそうです)。横浜まで出かけるのは遠くてきついのですが千葉ならどうか調べてみました。北総から千葉県中心部へ行くのは結構大変なのです。成田市へは成田湯川駅で降りてバスで行かなければいけませんし、千葉市へは成田または成田空港から鉄道移動です。

下記の多古町サイトに電話をかけてみると、まだ空席は十分あるそうです。できればチケットを買いに多古町まで来て欲しいそうですが、遠くの場合は取り置きもするとのことでした。

さてどうやって行くかという方法ですが、電車が通っていない町らしく、東京方面からだと、どうも成田国際空港第2ターミナルの1F到着ロビー13番停留所からシャトルバスに乗るのがベストのようです。

多古町コミュニティプラザ文化ホール 公式サイト
https://www.town.tako.chiba.jp/category/bunya/kanko/bunka/

TEL:0479-76-7811 (月曜と祝日はお休みだそうです)

こくちーずスペース
多古町コミュニティプラザ・文化ホール
こちら

クレア・フアンチのHP:
https://clairehuangci.com/en/

ヤマハ ピアニストラウンジ
https://jp.yamaha.com/sp/pianist-lounge/interview/claire-huangci/p3/

 

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2022年4月28日 (木)

大野-都響 マーラー交響曲第5番@東京芸術劇場2022/04/28

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午後からとても気持ちの良い天気となりました。都響も4月からいよいよ新型コロナモードを脱して通常モードに突入しました。定期会員も復活して、いつもの指定席となりました。ほとんど満席に近い盛況です。指揮者のすぐ後ろの最前列に陣取る4つ足ステッキの方や、犬連れの恐めのおじさんなどの昔の常連さん達も復活して、いつもの都響演奏会の景色です。連休が終わって何事もなければ、新型コロナ騒ぎもようやく終焉を迎えそうです。

今日の指揮は大野音楽監督、コンマスはボス矢部、サイドはゆづきです。開始前にハーピストの吉野さんが入念にチェックしていました。もうひとつめずらしかったのは、鷹栖さんが開始前にステージに出てきていたことです。初めてじゃないかな。

前半は都響の広田さんがソリストを務めるR・シュトラウスのオーボエコンチェルト。広田さんの楽器がとてもやわらかくきこえました。素晴らしい作品だとは思いますが、全く感情移入ができない曲でこれは予想通りでした。

後半のマーラー交響曲第5番は、最初の部分で trp がずっこけてどうなるかと思ったのですが、以降は立ち直って大丈夫。西條さんのホルンが絶好調で曲を盛り上げました。終わったときに大野さんがいの一番に指名して立たせていたくらいです(これは本日のゲストである吉野さんを差し置いてのことでびっくりしました)。

前回の第3番のときにエキストラと間違えたトロンボーンの新人高瀬さんの音が素晴らしく、都響の音響をあきらかに前進させました。素晴らしい。マエストロ大野のタクトは繊細で丁寧、迫力も十分で文句のつけようがないのですが、なぜかソディやアランの時のような湧き上がる感動がないのが不思議。これはなぜなのだろう。大脳皮質の音楽だからでしょうか? 

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2022年4月27日 (水)

サラの考察4: 爪

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私「サラが寝ぼけてるうちに爪をカットしようかな」

サラ「だめよ。爪は人間よりも猫にとって特別に大事なものなのよ。人間に切られるのは本当に不愉快」

私「まあそう言わずに切らせてくれよ。爪が伸びると壁や家具が傷だらけになっちゃうし、私の足も傷だらけだよ」

サラ「爪って生きてるのかしら」

私「毛と同じで生きてるとも死んでるとも言えるね。大雑把に言えばケラチンというタンパク質が無数の結合でつながって塊になったようなものだよ」

サラ「でも毛と爪はちがうわね」

私「ケラチンは数十種類以上あって、それぞれ違うんだよ。皮膚の細胞はケラチンでいっぱいになると垢になって落ちてしまうんだが、爪や毛はそう簡単には落ちないんだよね。毛は抜けたりするけどね。実は私は爪も生え替わったことがあるんだけどね(1)。ま、それはそれとして、そんなことで美容室や理容室やネイルサロンも成り立っているわけよ。さあさあ、君とバトルして爪を切らないとね」

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猫の爪切りと人の爪切り

この猫壱の爪切りは気持ちの良い切れ味で、私のお気に入り。

1)http://morph.way-nifty.com/grey/2019/10/post-19e9fe.html

 

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2022年4月25日 (月)

My favorites 7: 「愛が消えないように」 by まきちゃんぐ

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新型コロナはとりあえずオミクロン株になって一息つきました(これからどうなるか不安ではありますが)。

鬱々とした日々の中で、ひとすじの光明を与えてくれたのがこの歌です。

まきちゃんぐさんの「愛が消えないように」
https://www.youtube.com/watch?v=-PJlrmWwOiw

彼女は新型コロナ蔓延のあいだだけファンクラブをやっていて、自宅からライブの配信などやっていました。この4月でとりあえず終了しますが、これからは普通の活動になるそうです。むしろ残念!

もう一曲 これは代表作「愛の雫」
https://www.youtube.com/watch?v=MVoqMgESftU

 

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2022年4月23日 (土)

My favorites 6: Sailor gel 0.38mm

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このボールペンの描きやすさは自分史上一番です。ボールペンのような書き心地ではありません。
さらさらと流れるような感じで、安定した筆跡でくっきりきれいに書けます。

メーカーのサイトは
https://sailor.co.jp/product/81-5121/

正式名称は ICリキッドボールペン0.38mmというらしいです。
定価132円

ひとつ心配なことが書いてありました。
「在庫がなくなり次第販売終了」 
あれ、限定販売なのか? どうして?
看板製品になっても不思議じゃないと思いますが???

モニターの字やプリンターの字は万人の字ですが、自分で書いた字は自分のものです。

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2022年4月20日 (水)

サラの考察3:ゼレンスキー

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私「ウクライナが大変だ」

サラ「人間は困った生き物よ。草食動物はわりとテリトリーを決めないんだけど、サルは決めるのよ。人間もその血をひいているのね。私たちは肉食動物だけど、みつけた獲物に食いつくだけで、テリトリーを死守しようなんてことはしないわね」

私「それにしても、どうしてゼレンスキーはあんなに頑ななんだろう。このままいくとウクライナ人が絶滅してしまうかもしれない」

グレチコ「ゼレンスキーは日本を見習えばいいんだよね。日本には治外法権の米軍基地がたくさんあるし、米軍が支配する広大な空域もある。月2回日米合同委員会という秘密会が開かれて、日本政府に米国が指示を出しているようだし。ゼレンスキーは最初から、NATOには加わらない、ロシアと軍事同盟を結ぶという条件で交渉すれば何事もなかったのに。多分日本よりもゆるい属国化で済んだと思うけどね」

私「今となってはゼレンスキーがやめない限り、ウクライナの平和はないようだ」

 

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2022年4月18日 (月)

続・生物学茶話176: Prdmファミリー

DNAはタンパク質の情報を記述した辞書であり、どの情報をいつ発現させるかという統合されたシステムが生命の本質です。このシステムのひとつの根幹は、DNAという辞書に状況によってあるいはタイミングによって読める部分と読めない部分をつくるという作業であり、そのためにはDNAを包装するタンパク質を部分的にはがす機構が重要となります。どうやってはがすかというと、それは包装タンパク質を化学修飾して構造を変化させるというメカニズムによります。ひとつの卵から生命体ができあがっていく過程では、必要なタンパク質は時間によって変化するので、はがした包装を埋め戻すという作業も必要になります。

塩基性タンパク質であるヒストンに多く含まれるリジンやアルギニンのメチル化はそのひとつのメカニズムです。まずその化学変化を復習しておきましょう(1)。アルギニンのメチル化はPRMT(Protein Arginine N-methyl transferase)ファミリーの酵素によって行われ、反応産物は図176-1に示した3種類となります。リジンのメチル化はやはり反応産物が3種類となりますが、アルギニンの場合より単純で、側鎖のアミノ基にひとつメチル基がつくとMe1、2つがMe2、3つがMe3と表現されます(図176-1)。この反応を触媒する酵素はSETファミリー(Protein Lysine N-methyl transferase)と呼ばれます。酵素活性に必須なSETドメインがショウジョウバエの3つのタンパク質 Su(var )3-9、Enhancer of zes t (EZ)、Tri thorax(TRX) でみつかったことから、それぞれの頭文字をとってSETという名前になりました。

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図176-1 アルギニン、リジンのメチル化

Protein Lysine N-methyl transferase (Histone methyl transferase) の反応基質はSアデノシルメチオニンとヒストンN末のいくつかのリジン残基です(2、図176-2)。ヒストンをメチル化する酵素があるのだから、これが転写の調節をやっているのなら当然メチル基をはずす酵素もあるはずです。しかしヒストンの脱メチル化酵素については、21世紀になってようやくその存在が確実になりました(3、4)。ここでは2編しか引用していませんが、2007年に一気に10報くらい論文が出版されたそうです。

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図176-2 リジンメチル化の基質

SETドメインを持つタンパク質は真核生物にはユニバーサルに存在しますが、遺伝子の調査によって細菌や古細菌にも存在することが明らかになっています(5、6)。このなかにはもちろん真核生物に感染したり、共生したりする関係でヒストンの修飾を行なう場合も含まれていると思われますが、少なくとも古細菌の場合には真核生物のタンパク質の祖先型の存在が示唆されています(7)。

ダントン・イワノチコはSETファミリータンパク質の分子系統樹を作成しました(8、図176-3)。この図で黄色の枝のタンパク質群は細菌・古細菌・真核生物にいずれにも存在しますが、青色の枝のタンパク質群は真核生物のなかでもメタゾア(いわゆる動物)にしか存在しないという特徴をもっています。したがって当然メタゾアにしかない形態形成や生理機能の維持に関与していると思われます。

この青色グループの分子群はPrdmファミリーと呼ばれ、SETドメインと相同なアミノ酸配列を含むPR(PRDI-BF1 and RIZ)ドメインを持つタンパク質です。相同と言っても配列ホモロジーが20%台のものもありますが、そのような場合であっても図176-3のようにSETファミリーとPrdmファミリーに属する当該分子の3次元構造は類似しているようです(7)。

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図176-3 SET/PRDMファミリーの分子系統樹と構造比較

PrdmファミリーはSETファミリーから派生したグループですが、特徴的なのはこのグループの分子種のほとんど(Prdm 11 以外)がZnフィンガーをもっていることです(9-11)。Prdmタンパク質のなかにはリジンのメチル化を介して機能するものもありますが、むしろZnフィンガーなど他のDNAやタンパク質と結合するドメインを介して転写制御をしている場合が多いようです(12)。木滑(きなめり)らはPrdmファミリー各タンパク質のZnフィンガードメインの位置を一覧表にして供覧しています(13、図176-4)。彼らが表題でプロトオンコジーンと言っているのは、この遺伝子の変異によって癌が発生する場合があるからです。増殖や分化に関係している遺伝子なのでそれは普通のことです。アステリスクがついている分子は主として神経組織に存在するもので、このグループが神経の発生・分化・機能発現に深く関わっていることを示しています。

図176-4のリストには Prdm 7 に関する情報がありませんが、後の報告により Prdm 7 はアイソフォームAとBがあり、AはZnフィンガーを含まずBは4つ含むこと、このタンパク質はH3K4(ヒストンH3のN末から4番目のリジン)をメチル化することなどが明らかになっています(14)。FOGは血液細胞の分化にかかわる因子でPrdmファミリーのメンバーであることが知られていますが、イワノチコの論文ではPrdmのナンバーがつけられていないので別扱いなのかもしれません(7)。

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図176-4 Prdmファミリータンパク質の構造

Prdmファミリ-はSETファミリーから派生したとはいえ、その歴史は古く海綿動物や平板動物にも存在することが知られています(10、図176-5)。これらの動物は神経を持たないので、神経の発生や維持のためにこのファミリーが生まれたわけではありません。酵母やカビには存在しないとされています。脊索動物は一般に十数種類のPrdmファミリーを持っていますが、例外的に尾索動物(ホヤなど)では数が少なくなっています。尾索動物は脳を持たないので、脳形成や維持に関連したこのファミリーの遺伝子が消失したものと思われます。

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図176-5 各動物門および脊索動物門の種におけるPrdm遺伝子の数

コアヒストンと呼ばれるヒストンH2A・H2B・H3・H4はヌクレオソームを構成しますが、H3のN末はヌクレオソームの内部に収納されないで外部に出ているので、転写制御の主たるターゲットとして使われています。この部分に様々な化学修飾が行われますが、図176-6ではSETおよびPrdmファミリーによるメチル化部位を示してあります(文献15を参照して作成)。ここで示されていないPrdmファミリーの因子は、ヒストンメチル化活性を失っているか、まだ知られていないと推測できます。Me1、2、3というのは図176-1で示したメチル基をいくつ転移するかという標識です。Prdmファミリーの酵素はH3以外のヒストンをメチル化することはできないようです。

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図176-6 SET/PRDMファミリーの酵素によって直接メチル化されるヒストンのリジン残基

Prdm の機能や作用機構については多くの研究が行われていますが、私的に興味をひかれた仕事をひとつ紹介します。江口りえこ氏はPrdm遺伝子群の発現をアフリカツメガエル初期胚で観察し報告しています(16、17)。カエルの卵は哺乳類と違って体外で発生しますしサイズも大きいので、このような研究目的に適しています。普通カエルは池と陸地が必要なのですが、このカエルは一生水の中で生活するので水槽で飼えるというのが大きなメリットです。研究室内に池と陸地をつくって実験動物のカエルを飼うというのは困難です。しかしデメリットもあります。このカエルのゲノムは近い過去に2種類のカエルが交配して全ゲノム重複が起きたという、4倍体とも言えるような特殊な構成なので、ポピュラーな実験動物なのに全ゲノム解析が2016年までかかったという変わり種ではあります。

江口らによれば、まず初期発生過程におけるそれぞれのPrdm遺伝子の発現を半定量PCR法で測定したところ、「Prdm 1, 2, 4, 9 は発生初期から一定に発現し、Prdm 3, 11, 13, 16 は発生が進むにつれ発現量が増加していた。さらに、Prdm 1, 2, 4, 9, 11, 15 は Stage 6-7 の胞胚期から発現していたため、母性由来の mRNA の存在が示唆された」(16)という結果となりました。さらにフォールマウント in situ hybridization 法によって各Prdm遺伝子の発現を調べた結果、図176-7ABC のような結果になりました。この図は私が勝手に一部を抽出したものであり、不適切である可能性があります。正確な情報を得たい方は是非文献16および17をご覧になることをお勧めします。

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図176-7ABC アフリカツメガエル発生過程におけるPrdm遺伝子の発現

全体的に脊索・脊髄・頭部のに発現している場合が多いようですが、Prdm 3,12 のように腎臓領域に発現するもの、Prdm 3, 4, 10 のように鰓に発現するもの、Prdm 16 のように臭板や咽頭囊に特異的に発現するもの、Prdm 12, 13 のように初期発生時に神経堤に発現するものなどバラエティーもあります。全体的に神経堤細胞に起源をもつ組織や神経系の細胞に発現しているように見受けられました。

参照

1)ウィキペディア:メチル化
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%81%E3%83%AB%E5%8C%96

2)Wikipedia: Methyltransferase
https://en.wikipedia.org/wiki/Methyltransferase

3)束田裕一 ヒストンのメチル化と脱メチル化 ―脱メチル化を中心に―
生化学 vol.79, no.7 pp.691-697 (2007)
https://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2018/12/79-07-09.pdf

4)Shun-ichiro Kageyama,Hiroki Sonehara,Masao Nagata and Fugaku Aoki, Expression of Histone Methylases and Demethylases during Preimplantation Development in Mice., J. Mamm. Ova Res.Vol.24,pp.126-131 (2007) DOI: 10.1274/jmor.24.126
https://www.researchgate.net/publication/232686018_Expression_of_Histone_Methylases_and_Demethylases_during_Preimplantation_Development_in_Mice

5)Raúl Alvarez Venegas, Bacterial SET domain proteins and their role in eukaryotic chromatin modification., Frontiers in genetics, vol.5, article 65. (2014)
doi: 10.3389/fgene.2014.00065

6)Karishma L. Manzur, Ming-Ming Zhou, An archaeal SET domain protein exhibits distinct lysine methyltransferase activity towards DNA-associated protein MC1-a., FEBS Letters vol.579, pp.3859–3865 (2005)
https://ur.booksc.me/book/16783560/2b3556

7)Danton Ivanochko, Structural and Functional Elucidation of PRDM Proteins., Ph.D thesis, Department of Medical Biophysics, University of Toronto, (2021)
https://tspace.library.utoronto.ca/bitstream/1807/105025/4/Ivanochko_Danton_202103_PhD_thesis.pdf

8)Yanling Niu, Yisui Xia, Sishuo Wang, Jiani Li, Caoyuan Niu, Xiao Li, Yuehui Zhao, Huiyang Xiong, Zhen Li, Huiqiang Lou, and Qinhong Cao, A Prototypic Lysine Methyltransferase 4 from Archaea with Degenerate Sequence Specificity Methylates Chromatin Proteins Sul7d and Cren7 in Different Patterns., J. Biol. Chem., vol. 288, no. 19, pp.13728–13740, (2013)
DOI 10.1074/jbc.M113.452979
https://www.researchgate.net/publication/236081740_A_Prototypic_Lysine_Methyltransferase_4_from_Archaea_with_Degenerate_Sequence_Specificity_Methylates_Chromatin_Proteins_Sul7d_and_Cren7_in_Different_Patterns

9)Irene Fumasoni, Natalia Meani, Davide Rambaldi, Gaia Scafetta, Myriam Alcalay and Francesca D Ciccarelli, Family expansion and gene rearrangements contributed to the
functional specialization of PRDM genes in vertebrates., BMC Evolutionary Biology, vol.7:187 (2007) doi:10.1186/1471-2148-7-187
http://www.biomedcentral.com/1471-2148/7/187

10)Michel Vervoort, David Meulemeester, Julien Be´hague, and Pierre Kerner, Evolution of Prdm Genes in Animals: Insights from Comparative Genomics., Mol. Biol. Evol. vol.33(3): pp.679–696 (2015) doi:10.1093/molbev/msv260
https://www.researchgate.net/publication/283729937_Evolution_of_Prdm_Genes_in_Animals_Insights_from_Comparative_Genomics

11)Emi Kinameri, Takashi Inoue, Jun Aruga, Itaru Imayoshi, Ryoichiro Kageyama, Tomomi Shimogori, Adrian W. Moore, Prdm Proto-Oncogene Transcription Factor Family Expression and Interaction with the Notch-Hes Pathway in Mouse Neurogenesis., PLoS ONE, vol.3, issue 12, e3859 (2008) DOI:10.1371/journal.pone.0003859
https://www.semanticscholar.org/paper/Prdm-Proto-Oncogene-Transcription-Factor-Family-and-Kinameri-Inoue/a627bb67e7dd4bfc5e8c80d139fe124ee1e96f9f

12)Erika Di Zazzo, Caterina De Rosa, Ciro Abbondanza and Bruno Moncharmont, PRDM Proteins: Molecular Mechanisms in Signal Transduction and Transcriptional Regulation., Biology vol.2, pp.07-141, (2013) doi:10.3390/biology2010107

13)Emi Kinameri, Takashi Inoue, Jun Aruga, Itaru Imayoshi, Ryoichiro Kageyama, Tomomi Shimogori, Adrian W. Moore, Prdm Proto-Oncogene Transcription Factor Family Expression and Interaction with the Notch-Hes Pathway in Mouse Neurogenesis., PLoS ONE vol.3, issue 12, e3859 (2008) DOI:10.1371/journal.pone.0003859
https://www.semanticscholar.org/paper/Prdm-Proto-Oncogene-Transcription-Factor-Family-and-Kinameri-Inoue/a627bb67e7dd4bfc5e8c80d139fe124ee1e96f9f

14)Levi L. Blazer, Evelyne Lima-Fernandes, Elisa Gibson, Mohammad S. Eram, Peter Loppnau, Cheryl H. Arrowsmith, Matthieu Schapira, and Masoud Vedadi, R Domain-containing Protein 7 (PRDM7) Is a Histone 3 Lysine 4 Trimethyltransferase., J Biol Chem., vol.291(26): pp.13509–13519. (2016) doi: 10.1074/jbc.M116.721472
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4919437/

15)Cell Signaling Technology, Epigenetic Writers and Erasers of Histone H3. (2018)
https://www.cellsignal.jp/pathways/epigenetic-histone-h3-pathway

16)江口りえこ 学位論文「動物発生過程におけるPrdm遺伝子群の発現と機能に関する研究」
九州大学学術情報リポジトリ (2015)
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/1500526/sls0139.pdf

17)Eguchi R, Yoshigai E, Koga T, Kuhara S, Tashiro K., Spatiotemporal expression of Prdm genes during Xenopus development., Cytotechnology., vol.67(4): pp.711-719. (2015)
doi: 10.1007/s10616-015-9846-0.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25690332/



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2022年4月14日 (木)

My favorites 5: A Whiter Shade of Pale(青い影): プロコルハルム

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今年の2月にプロコルハルムを率いていたゲイリー・ブロッカーが亡くなりました。私が子供の頃のみんなの楽しみは、近隣の山野を冒険して歩くことやラジオのヒットチャートを聴くことでした。ファミコンやウォークマンもない時代です。プロコルハルムはこの A Whiter Shade of Pale(青い影)によって英米欧そして日本のヒットチャートの頂上まで駆け上がりました。

オルガンをフィーチャーしたポップスなんて聴いたことがなかったので、実に新鮮な感動がありました。ただ歌詞はなんの意味だか全然わかりませんでした。今聴いてみると、いままで信じていたものが崩壊していくような喪失感に襲われるという感じがします。ユーミンはこの曲を聴いて感動し音楽家になろうと思ったそうで、それだけ人の心の深部に影響を与える音楽だったのかもしれません。

エミリー・リンジはピアノの弾き語りというシンプルなパフォーマンスで、この音楽の持っているメッセージを聴く者にきちんと届けていると思います。3月3日にアップして、早くも175万のビューです。私がこの記事を書いてみようと思ったきっかけです。

そしてプロコルハルムのオフィシャルビデオを見て驚愕しました。オフィシャルビデオに戦争のフィルムが挿入されているではありませんか。これは反戦歌だったのでしょうか? 現在ではPVは普通に制作され容易に見ることができますが、当時このオフィシャルビデオを見るチャンスはほぼなかったと思います。

この曲が出版された1967年当時はベトナム戦争が激しさを増していた時代で、結局この戦争によって400万~500万人の死者が出ました。現在米国はプーチンを虐殺者と避難していますが、いったいどの口がそんなことを言っているのかあきれます。ドイツではすべての主要都市を絨毯爆撃で灰にし、日本には原爆まで落としましたし、沖縄では洞窟に逃げ込んだ市民を火炎放射器で焼き殺すというのが米国の戦争のやり方です。ベトナムで枯れ葉剤という化学兵器をもちいて多くの奇形児が生まれました。その後も世界各地で数限りない戦争と虐殺を繰り返した米国こそ虐殺者です。もちろん太平洋戦争をはじめたのは日本ですし、帝国陸軍も中国では暴虐の限りをつくしました。日本もプーチンを虐殺者と呼べる資格はありません。せめてできるのはウクライナ人の避難民を受け入れることくらいでしょう。

Emily Linge
https://www.youtube.com/watch?v=_GwpWATKsMU

Procol Harum (1968)
https://www.youtube.com/watch?v=F6AaRtQFn5Y

Procol Harum (1997)
https://www.youtube.com/watch?v=iDioqrKEbEA

Procol Harum (2006)
https://www.youtube.com/watch?v=St6jyEFe5WM

Procol Harum (Official Video)
https://www.youtube.com/watch?v=z0vCwGUZe1I

日本語訳を試みた人がいます
https://ameblo.jp/kagegisu-the-writer/entry-12284966072.html

Annie Lennox
https://www.youtube.com/watch?v=VZqPoriYXho

写真はウィキペディアより

 

 

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2022年4月10日 (日)

ソディ-都響 マーラー交響曲第3番@東京文化会館2022年4月10日

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雲ひとつない快晴の日曜日。京成上野駅で降りてガード下のTOWAで昼食。この店は狭い階段を2Fに上がっていくめだたない蕎麦屋なのですが、午後1時30分頃でも大盛況で階段に並びました。飲食も活気がもどってきたんですね。そういえば桜は終わっていましたが、周辺も結構混雑していました。オミクロンは重症化率が低いということをみなさん承知でこうなったのでしょう。

今日の都響はマーラーの交響曲第3番で前からとても楽しみにしていました。指揮者はアレクサンダー・ソディ、コンマスは山本さん(さすが晴れ男)、サイドはマキロンです。特筆すべきはホルンとトロンボーンのファースト奏者(エキストラ)で、演奏に特段の深みがありました。このくらいのレベルの奏者が団員になってこそ、都響は世界でもS級のオケと言えるのではないでしょうか。

ソディはとても丁寧で細部もきっちりまとめていくという、カリスマとは正反対の職人的指揮者だと思います。それでも第6楽章ではむしろ弦楽奏者の感性を信じてまかせていたようなところもあり、素晴らしいニュアンスとハーモニーで都響ならではの味わいがあって、この演奏は一期一会の名演で絶賛したいと思います。

マーラー交響曲第3番 第6楽章 
精神に強制的にやすらぎを与えてくれるような音楽はありそうでなかなかないのです

https://www.youtube.com/watch?v=M622tyRUYKg

 

 

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2022年4月 9日 (土)

My favorites 4: ふたごパンダのこころコロコロ

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上野動物園の双子パンダ シャオシャオとレイレイ は3月25日から公開を再開しましたが、観覧は事前申し込みの抽選制だそうです。この本はその双子パンダにちなんで、はせがわゆうじ氏が描いた絵に、みーちゃん(西島三重子)がニフティワーズをつけた本です。

みーちゃんは1月26日にご主人を亡くされたばかりで、この本への思いはひとしおと思われます。ご主人のWOOさんはライブにも必ず顔を出してカメラマンをやっておられまして、常連さんとはいつも親しくトークしておられたとても気さくな方でした。合掌。

私も16年間毎日文字通り何時間も一緒にいたミーナを亡くしてしまい、体調を壊してしまいました。この本のページをめくりながら回復に努めたいと思います。

シャオシャオとレイレイのサイト
https://www.ueno-panda.jp/topics/detail.html?id=487

みーちゃんのフェイスブック
https://www.facebook.com/mieko.nishijima

水色の季節の風
https://www.youtube.com/watch?v=e7elduTJot8

私が残していくもの
https://www.youtube.com/watch?v=n-2KXYRepGA

アマゾン
こちら

 

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2022年4月 7日 (木)

サラの考察2:自由について

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本日からサラの考察にはエアー宇宙人グレチコが降臨します。

私「自由って何なんだろうね?」
サラ「猫でいえば野良猫っていうことになるけど、結局 <自由=飢える> ということかな」
私「それは人も同じで、会社や上司に逆らって自由に行動すれば解雇=飢えるという意味では同じ事だね でも科学者や芸術家にとっては自由であることは大事なこと」
グレチコ「中国は共産党1党独裁なうえに習近平がその共産党を圧倒的に牛耳っているので、国民の自由はないと言われているね」
サラ「そりゃそうでしょ」
グレチコ「ところがだ、科学者にとって中国ほど自由に研究できる国はないんだよ。なにしろ米国では危険すぎて中止されたような遺伝子編集実験も中国では可能なので、ファンドをつくって中国に研究を委託しているというような場合もあるようだ」
私「米国より自由ってことは、まあ世界一自由といってもいいかもね」
グレチコ「医療や遺伝子以外でも、ネットやソフトウェアの分野でも開発を自由にやらせて金も出すということで、5Gの技術では世界の先頭に踊り出て、米国や欧州はあわてふためいて、結局政治の力で中国技術の世界標準化を阻止したというわけだ」
私「日本はもう何でも蚊帳の外で、面白いアイデアで研究費を申請しても政府の筋と違っていると通らないから、事実上自由な研究は捨てられることになる」
グレチコ「まあ要領の良い科学者は中国にもポストを持っていて研究を進めているよ。ただ米国は中国に先を行かれることには異常に神経をとがらせているからね。逮捕されないように注意しないと。」
サラ「独裁国家のほうが自由ということもあるのね。何でも落ち着いて考えてみないと」
私「サラ おまえが考える猫だということはよく知っているけど、もう少し意固地なところは改めてほしいね」

参照

Subculture at Heretical Voices
中華人民共和国「世界で最も自由に科学研究や実験ができる国」(2021)
https://www.subculture.at/chinatech/

玉井克哉 「経済安保」と「研究の自由」は両立できるか
Wedge Report (2021)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21682?page=2

 

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2022年4月 6日 (水)

続・生物学茶話175:神経堤のデラミネーション

胚表層の外胚葉から神経板ができるときのキーとなる分子は、外胚葉を表皮へと誘導するBMP4の作用をブロックする Noggin/Chordin/Follistatin の3つであることが知られています(1)。予定表皮と予定神経管の中間にある神経堤の領域ではBMP4と Noggin/Chordin/Follistatin の2大勢力が均衡していて、表皮にも神経管にも分化できないまま取り残された状態といえます。

皮膚や神経管が形成され始めると、ようやく取り残された神経堤領域にも動きが出て、一部は神経管の一部を構成する位置に移動し最背部のルーフプレート(蓋板)になりますが、取り込まれなかった部分はG1/S転換、剥離(デラミネーション)、移動(マイグレーション)を開始します。ルーフプレートの細胞も遅れて同様な行動をとります(2)。このような変化の模式図を図175-1に示しました。

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図175-1 神経堤の模式図 左は19世紀のヘンリー・グレイの教科書の図 右はウィキペディアの図を加工したもの

図175-1には19世紀の解剖学者ヘンリー・グレイ(図175-2)の教科書の図も掲載しておきました。多分ニワトリの図だと思いますが、わかりやすく描いてあります。この教科書グレイズアナトミーは1858年の初版以来、多くの解剖学者の手によって改訂がおこなわれ、現在でも解剖学の教科書として使用されています(図175-2右上)。日本語版もあります(3、図175-2右下)。この教科書の人気が出たのは、イラストを担当したヘンリー・ヴァンダイク・カーターの功績が大きかったとウィキペディアには記載してあります(4)。図175-2右上の現行版にはそのヘンリー・カーターの名前が表紙に出ています。ヘンリー・グレイは31才の時に上記の本を出版しましたが、天然痘でわずか34才で夭逝しています(4)。余談ですが、グレイズ・アナトミーというタイトルの医療テレビドラマが米国で人気で、日本でもWOWOWで放映されています。

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図175-2 グレイズアナトミー(初版と現行版)と著者

BMP4は表皮形成の司令塔でしたが、時間が経過すると神経堤由来細胞のG1/S転換・剥離・移動を促すという別の用途に再利用されます。これは神経堤由来細胞群の環境の変化によって、noggin による抑制がはずれることによって実現します(2、5)。おそらく新しくできた体節細胞からなんらかの noggin を抑制するシグナルがでると考えられています。BMP4の抑制が外れたからといってそこに表皮ができるわけではなく、BMPのシグナルを受け取る細胞内外の環境が時間の経過=発生のステージによって変化しているので同じシグナルでも結果は異なります。すなわち神経管が完全に落ち込んだステージでは、図175-3のようなシグナルカスケードを通じて神経堤細胞のデラミネーションと移動の準備が行われます。

G1/S転換はデラミネーションや移動とは独立に行われるようです。たとえば神経堤細胞から直接デラミネーションのフェイズにはいる細胞はG1/S転換の状態ですが、ルーフプレートの細胞はM期に入った状態でデラミネーションが起こります(2、5、6)。デラミネーションの前段階としてNカドヘリンが阻害され、かつタンパク質分解酵素(ADAM10)によって分解されることが必要です。新たに形成されるカドヘリン6Bや7はクラシックカドヘリンで細胞のブランチングを促します(7、8)。カドヘリン6Bは神経管と神経堤細胞の分離を促しますが、神経堤細胞のデラミネーションはそのカドヘリン6Bの分解が引き金となるようです(9)。

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図175-3 神経堤細胞の移動に必要なシグナル伝達

神経堤という組織の解体すなわちデラミネーションはNカドヘリンの分解だけですむのではなく、NCAM(neural cell adhesion molecule)やタイトジャンクションを解体しなければ実現しません。これはマトリックスメタロプロテイナーゼ群(MMPs)によって実行されます(10、図175-4)。図175-4のオリジナルはウィキペディアですが、実はこのウィキペディアの図では上が dorsal 下が ventral と記載してあるのですが、これは誤りで 上が ventral、下が dorsal が正しいと思われます(11)。Basal lamina は basement membrane ではありません。ですから図175-4では dorsal および ventral の表示は抹消しました。

MMPsはさまざまな生物にユニバーサルに存在する亜鉛を含む酵素群で、カルシウム依存的にマトリックスタンパク質などを分解し、細胞の移動を含むさまざまなプロセスで機能するとされています(12)。

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図175-4 神経堤細胞のデラミネーション

デラミネーションと移動の問題はまだすべてが解決したわけではありませんが、細胞の集団的移動経路とそれにかかわる様々なシグナル伝達因子(リガンド)とその受容体のうちのいくつかはみつかっており、図175-5に示しました(13)。頭部は複雑なので後で取り扱うとして、ここでは体幹部の場合だけ示してあります。神経堤細胞の移動経路は大きく分けて 1)体の中央(navy blue)あるいは筋節にそってアーチ状に腹側に移動する(blue) 2)背側から側方に移動する(pale blue) のふたつに分けられます。

体の中央から腹側に移動する細胞は交感神経とグリア、さらに副腎髄質の組織に分化し、アーチ状に移動する細胞は主として後根神経節に分化します。背側から側方に移動する細胞は主として色素細胞に分化しますが、色素細胞は腹側に移動する細胞からも生じるそうです(13、14)。神経堤細胞の移動経路は誘引性物質(緑)と忌避性物質(赤)でコントロールされています(13)。

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図175-5 神経堤細胞の移動経路

図175-5は Céline Delloye-Bourgeois and Valérie Castellani(13)のレビューにあった図がもとになっていますが、彼女らの図のレジェンドには 1.AMは図にない、2.Adの説明がない、3.Meの説明が2回繰り返されている という3ヵ所も誤りがあり、したがってレジェンドはここでは無視して別途日本語化しました。ポストドクが書いたのしょうが、指導教官も雑誌のレビューアーもエディターもみんなちゃんとチェックしていないからこのような凡ミスが見逃されて出版されてしまうことになるわけで残念至極です。ただイラスト自体は美しく、わかりやすいと思います。

 

参照

1)脳科学辞典:神経誘導
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E8%AA%98%E5%B0%8E

2)Eric Theveneau, Roberto Mayor, Neural crest delamination and migration: From epithelium-to-mesenchyme transition to collective cell migration., Developmental Biology vol.366, pp.34-54 (2012) doi:10.1016/j.ydbio.2011.12.041
https://discovery.ucl.ac.uk/id/eprint/1337167/2/1337167.pdf

3)アマゾン グレイの解剖学
https://www.amazon.co.jp/s?k=%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%81%AE%E8%A7%A3%E5%89%96%E5%AD%A6&i=stripbooks&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=1ARZCKY3AQK21&sprefix=%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%81%AE%E8%A7%A3%E5%89%96%E5%AD%A6%2Cstripbooks%2C177&ref=nb_sb_noss_1

4)ウィキペディア:ヘンリー・グレイ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%82%A4

5)Burstyn-Cohen, T., Stanleigh, J., Sela-Donenfeld, D., Kalcheim, C., Canonical Wnt activity regulates trunk neural crest delamination linking BMP/noggin signaling with G1/S transition. Development vol.131, pp.5327-5339. (2004) doi:10.1242/dev.01424
https://www.researchgate.net/publication/8258260_Canonical_Wnt_activity_regulates_trunk_neural_crest_delamination_linking_BMPnoggin_signaling_with_G1S_transition

6)Burstyn-Cohen, T., Kalcheim, C., Association between the cell cycle and neural crest delamination through specific regulation of G1/S transition. Dev. Cell vol.3, pp.383?395. (2002) https://doi.org/10.1016/S1534-5807(02)00221-6
https://www.cell.com/developmental-cell/pdf/S1534-5807(02)00221-6.pdf

7)脳科学辞典:カドヘリン
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AB%E3%83%89%E3%83%98%E3%83%AA%E3%83%B3

8)Sarah H. Barnes, Stephen R. Price, Corinna Wentzel, and Sarah C. Guthrie1, Cadherin-7 and cadherin-6B differentially regulate the growth, branching and guidance of cranial motor axons., Development. vol.137(5): pp.805–814. (2010) doi: 10.1242/dev.042457
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2827690/

9)Alwyn Dady, Jean-Loup Duband, Cadherin interplay during neural crest segregation from the non-neural ectoderm and neural tube in the early chick embryo., Dev.Dyn. vol.246, Issue 7, pp.550-565 (2017) https://doi.org/10.1002/dvdy.24517
https://anatomypubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/dvdy.24517

10)Wikipedia: neural crest
https://en.wikipedia.org/wiki/Neural_crest

11)Roberto Mayor and Eric Theveneau, The neural crest., Development, vol.140, issue 11, pp.2247–2251., (2013) https://doi.org/10.1242/dev.091751
https://journals.biologists.com/dev/article/140/11/2247/45713/The-neural-crest

12)Wikipedia: matrix metalloproteinase
https://en.wikipedia.org/wiki/Matrix_metalloproteinase

13)Céline Delloye-Bourgeois and Valérie Castellani, Hijacking of Embryonic Programs by Neural Crest-Derived Neuroblastoma: From Physiological Migration to Metastatic Dissemination., Front Mol Neurosci., vol.12, no.52, (2019) DOI: 10.3389/fnmol.2019.00052
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30881286/

14)脳科学辞典:神経堤
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%A0%A4

 

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2022年4月 3日 (日)

ワクチン後遺症

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ワクチン後遺症がこれだけ深刻なものとは驚きです。ワクチン後遺症については、おそらくテレビでは取り上げないようにという申し合わせが上層部であると推測していますが、よくABCテレビで取り上げたと思います。短期的な副反応ではなく、長期にわたって影響が出るのがワクチン後遺症です。

ABCテレビ
新型コロナのワクチンを接種した後に、長期間、体の異変に、悩まされている人がいます。
数日以内に症状がおさまる「副反応」とは、区別されている「ワクチン後遺症」・・・その実態を取材しました。
https://www.youtube.com/watch?v=CvDjx13oFQI

私がさらに知りたいのはノババックス製のようなタンパク質性のワクチンでもこのような後遺症が発生するのかどうかということです。

実は私もファイザーのワクチンを接種した翌々日から9ヶ月くらい左胸に痛みがあったのですが、DHA+EPAのサプリをとりはじめてからあまり感じないようになりました。

 

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2022年4月 1日 (金)

サラの考察1

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どうしてシートをすぐにぐちゃぐちゃにしてしまうのか? それがわからない。

うちの猫がサラだけになってしまったので、「サラの考察」というシリーズを立ち上げることにしましたので、よろしくお願いします。

ミーナはなかなか愛嬌のある猫でしたが、サラは決して人に愛嬌をふりまくなどということはしません。なんでも自分で考えて納得したことしかやらないので、ペットを飼うという観点で言えば難易度は結構高いと思います。

ミーナは明らかに私を猫仲間だとは思っていなかったのですが、サラは同レベルの猫だと思っているに違いありません。その証拠に鼻と鼻で挨拶してきます。これは飼い主としての私に愛嬌を振りまいているのではなく、猫同士の挨拶です。

ただ最近は歳をとって固形配合飼料だけでは痩せてしまうので、ウェットフードを与えるようにしています。ところがウェットフードだと、サラは毎日同じものを出すと飽きて食べなくなるので、とっかえひっかえになって悩みの種です。食べるのを確認するためにしばらく見ているので、ここで食べるサラと見ている私のコントラストが発生し、ようやく私が仲間の猫ではないことを多少は理解し始めたように感じます。

 

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2022年3月30日 (水)

新版 生物の分類

私たちが学生の頃に学んだのはヘッケルの3界説で、これが最も大雑把な生物の分類でした。この表をみるとヘッケルの3界説は100年以上も揺るぎなく君臨していたわけです(1、図1)。

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図1 生物の最も大雑把な分類法の遷移

それが遺伝子解析が進むとともに、20年くらい前にスーパーグループという概念が生まれて、真核生物を動物・植物・原生生物などと分類してはいけないこととなりました。それはなぜかと言えば、原生生物と一括されていた生物の中には動物と植物以上に分類学的にはるかに遠く離れたグループが存在することが明らかになったからです。さらに昆布などの海藻を植物と呼ぶには、これらが陸上植物とはあまりにも遠いかすかな関係しかなく、適切でないということもわかりました。

そのスーパーグループも最近ではすっかりリニューアルされて、15年前の名残りは星印のものしかなく、同じ地位を与えられているのは Archaeplastida しかありません(2、図2)。図2では色分けしているグループが当時のスーパーグループに相当するとして確定されたものです。Excavates はおそらく今後解体されて複数のスーパーグループになると思われます。

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図2 最新の分類法(クリックして拡大して見てください)

私たちが日常語で動物と言っている生物は Amorphea というスーパーグループに含まれます。この中にはアメーバ、襟鞭毛虫、私たちがその一員である Opisthokonta(オピストコンタ)などが含まれています。日常語で植物と言っている生物は、Archaeplastida というスーパーグループのなかの Chloroplastida という分類群に所属することになります。

オピストコンタとは鞭毛が体の後方にあるという意味で、ヒトの場合も精子をみると後方に生えた1本の鞭毛を使って前方に進むという生物であることがわかります。オピストコンタの中には菌類(カビやキノコ)なども含まれているので、日常語で動物と呼ばれる生物群は、生物学ではオピストコンタのなかの分類群のひとつメタゾア (Metazoa) ということになります。

参照

1)ウィキペディア:生物の分類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%89%A9%E3%81%AE%E5%88%86%E9%A1%9E

2)Fabien Burki et al., The New Tree of Eukaryotes, Trends in ecology and evolution., Vol.35, Issue 1, PP.43-55, (2020) DOI:https://doi.org/10.1016/j.tree.2019.08.008
https://www.cell.com/trends/ecology-evolution/fulltext/S0169-5347(19)30257-5

 

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2022年3月29日 (火)

桜咲く 2022

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毎年北総の桜開花は東京より1週間くらい遅れるのですが、今年は3日遅れくらいのようです。突然暖かくなったので、桜もびっくりして早起きしたのでしょうか?

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しだれ桜も見事に開花しました。

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地面の近くにも咲きました。おまえ達もガンバレよと言いたくなりますね。

 

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2022年3月27日 (日)

アラン・ギルバート-都響 ブルックナー交響曲第7番 @ 東京芸術劇場 2022/03/26

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ミーナの位牌を胸に抱いて、強風にさやさやとそよぐユキヤナギの道を駅に向かって歩いている。これは一体現実なのだろうか? 皮肉なことにコンサートにミーナを連れて行くのは初めてだ。昨日は咲いていなかった桜が今日は花開いている。世の中は今日から春なのだ。春の風を感じるまで生きられなかったミーナが不憫だ。それでも今日は私とコンサートに行くのだ。

東京はもう桜がかなり咲いている。池袋芸劇に到着。4ヶ月ぶりに見る都響は、あり得ないくらいにお客が少ない。30%くらいしかいないのではないか? アラン・ギルバートの指揮でブルックナーの交響曲第7番。矢部・四方の豪華コンビ。これで集客できないのでは、もう都響は危ないのではないかと不安になる。事務局は茫然自失ではないだろうか。コロナが一段落したにもかかわらず、これは何を意味するのだろうか?

でも考えてみると私だって4ヶ月ぶり。それはコロナのせいだけじゃない。大野の音楽が醒めすぎていることもあるし、生活上の問題もある。みんなそのせいで都響離れしたのだろうか? いや違うな、おそらく日本人の若手指揮者や女性指揮者を登壇させて爽やかな風を吹かせることが必要だと思うし、角野を呼んだコンサートなどあっという間の完売だよ。どうして呼ばないのだろう。芸術主幹の頭が固すぎるんじゃないか? オケを見渡すと、あれっ 管楽器にやたらとエキストラが多い・・・それもファーストに。コロナに感染したのだろうか?

音楽はアランらしい、細部まで彫琢され温かいブルックナーだった。宗教的な音楽よりミーナに聴かせるにはむしろふさわしいような気もした。こんな素晴らしい音楽が聴けてよかったよね。

アランがNDRを指揮した映像(42分くらいからブルックナー)
https://www.youtube.com/watch?v=omOOgwXldvQ

 

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2022年3月24日 (木)

サラとミーナ263: 最終回

Mina

16年間皆様にもかわいがっていただいた、このブログの看板猫であるミーナが死んでしまいました。獣医さんの話では老衰ということで、「よくここまで生きました」というお言葉をいただきました。長い間どうも有難うございました。

あとまだ2~3週間は生きていてくれると思って、獣医さんから缶ミルクとシリンジをいただいて飲ませていたのですが、それも飲まなくなって静かに息を引き取りました。ミーナは柏のシェルターから引き取って16年と少しになります。シェルターでは引き取り手がいそうな猫はケージに入れて飼育していますが、居候の成猫たちは施設内自由な放し飼いで、ミーナはその自由猫でした。柏の前は名古屋にいたそうで、多分名古屋で捕獲された猫が捕獲後に生んだ猫だと思います。なので野良猫だったことはありません。

そういうわけでもらい受ける前にかなりヒストリーがある猫なので、正確に何歳かはわかりませんが、多分17歳か18歳だったのでしょう。陽気な性格なので、誰に飼われても、またシェルターの居候でも幸福な人生を送れたと思うので、うちで16年も過ごしてくれたのは私にとってラッキーでした。死後も私はミーナと共にあります。

私はサイエンスの世界で生きてきた人間ですが、ミーナの骨をひろったり、位牌を作ったりするのは本当に心の救いになります。人にとって宗教は必要だと思います。

読者の皆様への感謝の気持ちを込めまして、最後に何枚かスナップ写真を貼っておきます。サラとミーナのコーナーはこれで終了しますが、サラはまだ元気で生きておりますので、また皆様のお目にかかる機会をつくろうと考えております。

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2022年3月19日 (土)

しばらくお休みします

ミーナと最後の日々をすごすために、ブログはしばらくお休みします。

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2022年3月18日 (金)

藤岡-東京シティ・フィルのシベリウス

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今年2回目のコンサート通いです。前回は江東のティアラで藤岡-シティフィルのシベリウス交響曲第1番だったのですが、今回も藤岡-シティフィルで、曲目はシベリウスの交響曲第2番。場所は池袋の芸劇です。この演奏会はシティフィルのサイトでも発見が難しいくらいプロモーションをやっていなくて、フライヤーも制作していないようでした。それでも東京都から補助があるようで、料金は格安です。

私は当日発売に並びました。さて順番が回ってくると、ウェブサイトで確認した状況に比べてピンクでマークしてある空席があまりに少ないのにびっくり。こんなに売れているんですかと訊くと、実はご時勢なんで売っていない席がかなりありますと言われました。

ところがいざ見渡してみると、1Fは最前列まで売っていますし、左右の端までびっしりと満席です。しかし私のいた2Fはびっくりするくらいガラガラで、これで感染対策になるんだろうかとあまりにいい加減なやり方にあきれてしまいました(主催は日本演奏連盟)。

しかしそんなことはプレーヤーには関係ありません。ソリストの郷古さんは素晴らしいイケメンのヴァイオリニストで、演奏はまるで轟音を立てて流れ落ちる滝のほとりに咲いた野百合の花のように繊細かつ強靱で、シベリウスの音楽に的確に切り込んでいたと思います。技術をひけらかそうというような雰囲気は微塵もありません。

マエストロ藤岡はシベリウスは得意中の得意。常に演出過剰となる寸前でコントロールするという神業で、シティフィルの快演とともにシベリウスらしい乗りに没入させてくれました。彼の指揮はどちらかと言えば野暮ったい感じなのですが、そこから導き出される音楽は作曲家と聴衆を直結させてくれます。有難う。

ひとつ難を言えば、演奏がまだ終わっていないうちに拍手が来ることで、これがシティフィルのお決まり作法なのだろうかと、シティフィル初心者としてはちょっと疑念がわきました。

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2022年3月17日 (木)

続・生物学茶話174: 皮膚と神経板の境界領域

ウィキペディアのウルバイラテリアンの項目を見ると、始原的左右相称動物の2つのモデルが掲載されています(1、図174-1)。おそらくこの2つのモデルより前に本当の意味でのウルバイラテリアが存在したと思いますが、それはそれとして、体節が存在すると言うことが重要で(2)、眼で移動方向を確認しながら各体節の付属器で移動するというのが、大部分の前口動物・後口動物の共通祖先として考えやすいと思います。背中に棘のないハルキゲニアのような生物、つまり左側のモデルがウルバイラテリアと近いのではないでしょうか。右側のモデルでは左右相称である必然性に乏しいと思います。むしろ固着型刺胞動物の祖先のようにも感じます。眼を使って移動するには、運動神経系をつかって体を動かさなければいけませんが、散在神経系でそれが可能なのでしょうか? 眼を明暗とその方向を知るために使うなら左右相称であることは却って不利です。海底の泥を吸って栄養分を吸収し、また移動して泥を吸うというような生活をするなら左右相称である必要はありません。

もうひとつの可能性としては、前口動物のうち主に脱皮動物系と後口動物の共通祖先としてウルバイラテリアがあり、それよりかなり前に図174-1のプラニュロイド系のような祖先動物が分岐して、冠輪動物(らせん動物)系の前口動物が生まれたという考え方もできるのではないでしょうか? 妄想に過ぎませんが、このふたつのモデルを見て、そんなことも想像させられました。

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図174-1 始原的左右相称動物の2つのモデル

なぜ左右相称というボディープランが好ましいかと言えば、左右の眼によって指定された位置をめざして特定の方向に移動するためには、左右の筋節および足などを利用して直線的に接近するのが効率的だからでしょう。そのためには左右の末梢神経系とそれらを統合する中枢神経系が存在するウルバイラテリアが前口動物と後口動物の共通祖先として存在していたに違いありません。まさしく図174-1の左側のモデルです。

このようなタイプの生物の発生はどのようにして行われるかというと、まず外胚葉の正中線あたりに中枢神経となる予定の組織が形成され(前口動物では腹側、後口動物では背側)、まわりの将来皮膚となる予定の組織との区別が行われます。次に予定皮膚と予定中枢神経の境目に特殊な領域が形成され、そこから末梢神経が発生するというのが前口動物・後口動物で共通のメカニズムです(3)。後口動物の場合、この境目の領域が神経堤を形成した後デラミネーション、すなわち細胞が結合して組織を形成していた状態が崩れて自由に動けるような変化をおこして移動し、特定の場所に移動定着して分化するという役割を持つ幹細胞を生み出す方向に進化したと考えられます(4、図174-2)。頭索動物ではまだデラミネーションは行われず、そのレベルから進化した脊索動物と尾索動物の共通祖先がこの幹細胞の移動・定着・分化というメカニズムを獲得して、魚類と円口類はそれを発展的に引き継いだというわけです(4、図174-2)。

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図174-2 York と McCauley の論文(4)にしたがった、神経板と皮膚の境界領域の進化

Yongbin Li らは後口動物だけでなく、センチュウ、ハエ。ゴカイなどの前口動物についても神経板と予定皮膚の境界領域について研究を行い、Msx/Vab-15 遺伝子が調査したすべての生物について境界領域に発現し、しかもすべての生物において感覚神経細胞の形成に不可欠であることを示しました(3、5、図174-3)。この Msx ファミリーの遺伝子は左右相称動物以外の生物も持っているユニバーサルなホメオボックス遺伝子で、生物の発生に深く関わっている遺伝子です。このファミリーの一部が突然変異することによって、ヒトにおいて歯・口蓋・唇・爪が異常になることがわかっています(6)。おそらく予定表皮領域と神経板領域の分化、中間領域の特殊化、中間領域からの末梢神経の形成までは前口動物と後口動物で共通のメカニズムで行われていると想像できます。


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図174-3 境界領域に発現する Msx/vab-15

Msx ファミリーがユニバーサルであることが Li らによって示された一方で、Zhao らは様々な生物の中間領域において、発生に関わる基本遺伝子が多様な発現をしていることを報告しています(7、図174-4)。なかには Msx の発現が見られない場合も散見されます(チマキゴカイ、ヒモムシ、ミズワムシ)。もっとも近縁の遺伝子で測定にひっかからない発現があるのかもしれませんが。かと思えば脊椎動物と、左右相称動物ではないイソギンチャクにおける Msx、Pax3/7、Zic、 Nk6 などの発現が酷似しているという不思議な現象も見られます。ミズワムシに至っては Nk6 しか記載されていないなどまだデータが不十分な感じの部分もありますが、それはそれとして、形態形成の初期の段階においても著しい転写調節因子発現の多様性がみられることには驚かざるを得ません。

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図174-4 様々な生物で予定皮膚・神経板境界領域に発現する転写調節因子

参照

1)Wikipedia: Urbilaterian
https://en.wikipedia.org/wiki/Urbilaterian

2)Jean-Pierre Cornec et Andre Gilles, Urbilateria, un etre evolue ? Urbilateria, a complex organism ? Med Sci (Paris) vol.22, no.5, pp.493-501 (2006)
https://doi.org/10.1051/medsci/2006225493

3)Yongbin Li et al, Conserved gene regulatory module specifies lateral neural borders across bilaterians., proc natl acad sci USA, E6352-E6360 (2017)
www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1704194114
https://www.pnas.org/doi/pdf/10.1073/pnas.1704194114

4)Joshua R. York and David W. McCauley, The origin and evolution of vertebrate neural crest cells., Open Biol. 10: 190285 (2020).
http://dx.doi.org/10.1098/rsob.190285

5)筑波大学プレスリリース 平成29年7月19日
線虫から脊椎動物まで共通して保存されている発生メカニズム ~進化的に広く保存された感覚神経細胞が作られる仕組みの解明~
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/images/pdf/170719horie-2.pdf

6)Hirokazu Takahashi, Akiko Kamiya, Akira Ishiguro, Atsushi C. Suzuki, Naruya Saitou,
Atsushi Toyoda, and Jun Aruga, Conservation and Diversification of Msx Protein in Metazoan Evolution., Mol. Biol. Evol. vol.25(1): pp.69–82. 2008 doi:10.1093/molbev/msm228
http://www.saitou-naruya-laboratory.org/assets/files/pdf/Takahashi_MBE07.pdf

7)Di Zhao1, Siyu Chen, Xiao Liu1, Lateral neural borders as precursors of peripheral nervous systems: A comparative view across bilaterians., Develop Growth Differ., vol.61: pp.58–72. (2019)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30575021/

 

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2022年3月16日 (水)

地球終了の瀬戸際で

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プーチンは大統領という要職にあるとは言え、ただの愚かで凶暴な右翼ですが、ゼレンスキーは地球が始まって以来のバカになりかねません。もし彼の要望通りNATOが参戦したら、ロシアが核兵器を使用して世界核戦争になり、生物が営々と何十億年もかけて作り上げてきたこの世界が一瞬にして消滅することになったかもしれません。生物の頂点に立っている人類が、膨大な数の種の異なる生物たちを道連れに絶滅するなんてなんとむなしい、そして恥ずかしいことでしょう。

個人の生命より国家が大切だという右翼的な勇ましい考え方は、核兵器があふれかえるこの時代では、常に世界の消滅をもたらす危険の芽をはらんでいます。米国の大統領がトランプだったらと思うと、冗談ではなくゾッとします。プーチンもゼレンスキーも晋三も自分の国がそんなに他と違った優れた国であるというような幻想を抱かないで欲しい。住めば都なのです。要は人種差別を排し、国家というものを意識しないような世界にしていくことが人類の存続のためには重要です。グローバル企業が世界支配を行わないようにという法律をつくるのはたやすいことでしょう。

国 by 熊木杏里
https://www.youtube.com/watch?v=52PyD80-ESc

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My favorites 3 Ole Antonsen: Napoli

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Ole Edvard Antonsen さんは1962年生まれのノルウェー人トランペッターです。
この曲はフニクリ・フニクラだと思っていましたが、欧米ではナポリというタイトルなんですね。超絶です。来日して演奏会もやったことがあるようですが、私は迂闊なことに知りませんでした。

ナポリ(フニクリ・フニクラ)
https://www.youtube.com/watch?v=elo0SPMo6qg

日本公演
https://www.youtube.com/watch?v=yOPT3EkL3S0

クラシックが本職らしく、アルビノーニのトランペット協奏曲の見事な演奏。
Albinoni concerto in B-flat op7 no 3
https://www.youtube.com/watch?v=ZPd07ad0JX4

パイプオルガンとの共演 "Toccata" by G.Martini
https://www.youtube.com/watch?v=znYWp9Fet3Q

トランペットって、こんな音がでるの?
Bosporus
https://www.youtube.com/watch?v=ShxOZwGQi1I

多分自宅での練習風景
https://www.youtube.com/watch?v=WZ9T_8wI94Q

HP:
https://oleedvardantonsen.com/






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2022年3月13日 (日)

ウィザードリィ8

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ウィザードリーは40年以上前のPC原始時代に初版が制作されたRPGで、いわば現行のRPGの祖先です。私はゲームと言えばほぼこれしかやったことがありません。ドラゴンクエストやファイナルファンタジーもこのゲームを基本に設計されたそうです。どんなゲームだったかはウィキペディアに詳しい解説があります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A3

I~Ⅲまではよくできていたのですが、IV、V あたりは進行困難で、しかも途中で難しいクイズなどが出てきて興ざめとなりました。しかし VI からは現在のRPGと基本的に変わらない普通のゲームとなってやりやすくなりました。そしてついに超名作の Ⅷ が誕生したのです。しかし Ⅷ は難産だったようです。制作していた米国 Sir-Tech 社が1998年に倒産し、引き継いだカナダの支社がようやく2001年に完成させました。完成後そのカナダ支社も倒産しました。

完成が遅れたのは、私見ですがあまりにスタッフが理想のゲームにこだわり、もう会社は倒産しても良いから満足のいく作品を作ろうと考えたからだと思います。当時としては斬新なシステムでしたが、私が評価したいのはその膨大なテキスト量です。キャラメークの時にキャラの性格を選べるのですが、これがとても多くて、しかもそれぞれ別テキストなのでゲームの雰囲気が変わります。キャラを選んだ後さらに声優を選べて、その声優によっても全く異なるデキストになります(たとえば高貴な雰囲気とダークな雰囲気とか)。これだけでも制作に膨大な時間と資金が必要です。

しかしこの膨大なテキストのおかげで、実際にパーティーのメンバーといろいろ話しながらゲームを進行させることができるので、もう一つの人生を生きているような感じにさせてくれます。いじめに遭って閉じこもっている人などにとっては、PCの中で生きている感が絶大なので特にお勧めできます。

日本語化はこのせいで困難を極め、トークまで日本語化すると膨大な時間と予算が必要になるので、結局日本語字幕になりトークは英語の珍妙な日本語版となりました。Sir-Tech 倒産でプレスができなくなってからは、恐ろしいことに日本語版がアマゾンで100万円近くとなりました。いまでもアマゾンの売り場で「すべての出品を見る」をクリックすると当時の名残がみられます。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%82%B9-%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A3-8-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88/dp/B00005REZ4

数年後に米国ではCD版が再出版され価格は落ち着きました。日本ではウェブでだけでできるオンラインゲームが開発されましたが、これはオリジナルとは似ても似つかないもので、ファンには評判悪かったと思います。そのうち Steam がほぼオリジナルのウィザードリー8をダウンロード販売するようになって、誰でもこの名作を楽しめるようになりました。ウィンドウズ10では昔のCD版は動かなかったのですが、Steam 版は動きます。代金もなんと980円で、あの100万円の頃から比べると夢のような安価です。

ただ問題は英語だということです。とは言ってもすべてテキストは字幕で出るのでゲーム進行上は全く問題ないと思います(英語ができないとクリアできませんなどと書いてあるサイトもありますが、そんなことはありません。ゲーム進行上必要な台詞はすべてノートに自動的に記載されます。パスワードのようなせりふはごくわずかです。一番下のリンクなどを参照すれば、何をすれば良いかはわかると思います。7からの続きのように書いてありますが、もちろん7はやってなくても8からはじめることは可能です。私見では7はクソゲーです)。それより瓢箪から駒といいましょうか、英語の学習には秀逸なツールです。出会う人によっていろいろな英語を話します。僧侶はとても丁寧で美しい英語ですが、聞き取りづらい乱暴な英語やスペインなまりの英語とかも出てくるので、これらを繰り返し聞いていると自然にネイティブの発音がわかるようになると思います。引きこもりの間に英語の達人になって、しばらくぶりに登校したら先生もびっくりなんてことになるかも。

私も Steam 版を購入して、10年ぶりくらいにプレイしてみましたが非常に快適です。

トップの図はこのゲームが進行するフィールドの地図で、通常は湖の左岸の Higardi Monastery から始まって、Arnika に行き、長い長い労苦の後に上方の Ascension Peak でエンディングです。

ゲームの雰囲気とか攻略法は下記に

Wizardry8 on steam
https://store.steampowered.com/app/245450/Wizardry_8/

Wizardry8 攻略的な何か
http://wizardry8.blog70.fc2.com/

エルアキ☆によるウィザードリィ8攻略
http://eruaki.ninpou.jp/wiz8index.html

a Wizardry #8
http://metal.the-ninja.jp/wizardry/678/wiz8-index.html

 

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2022年3月11日 (金)

サラとミーナ262: 老猫となっても

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サラもミーナも17才。とは言ってもそれはうちに来てからの話で、特にミーナはその前に何年シェルターにいたかは定かではありません。柏の前は名古屋にいたという話は聞きましたが、それ以上はわかりません。本当はもう19才くらいかもしれません。最近は高齢化した様子が顕著で、まあ生きていくこと自体が重労働という有様です。それでもミーナはミーナ。キャラは変わりません。

うちに来てからサラとミーナが遠出したのは原発が爆発したときに疎開した時だけです。そのとき足柄サービスエリアで撮影した写真です↓ そういえば今日は3月11日ですね。あれから11年が経過しました。

http://morph.way-nifty.com/.shared/image.html?/photos/uncategorized/2011/03/24/photo_3.jpg

事故の次の日の私のブログです。
http://morph.way-nifty.com/grey/2011/03/post-93bb.html

原発事故の時にはたくさんの本を読んで勉強しました。今思うことは当時の総理・菅直人と官房長官・枝野幸男は、本当に彼らがなし得るベストの処理を行ったと思います。突然思いも寄らない大事故が発生し、担当すべき役所(原子力安全保安院)が役に立たないことがわかったときの絶望感はいかばかりだったかと思います。それでも4号機の使用済み核燃料プールに偶然水が流れ込まなかったら、関東全域は人が住めない場所になっていました。彼らそして私たちは本当にツイていたのです。彼らはいわゆる左翼ではありません。彼らの政府は事故があるまで原発を推進していましたし、当時も現在も日米安保条約を維持する立場をとっています。ただ事故後の原発の管理のために、多くの方が職務上とはいえ寿命を縮める結果になったことは誠にお気の毒な事実です。原発を稼働させない政権を選挙で選ぶことが私たちの責務であると考えます。

原発事故のことは忘れたとか、当時は子供だったという人も多いと思いますが、原発は今でも稼働していますし、巨大地震は必ず起こります。読むべき本を一冊だけ推薦するなら、純粋にジャーナリストとしての立場から膨大な情報を1冊の文庫本にまとめ上げた大鹿靖明さんの著書「メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故」(講談社文庫2013年刊)を推薦します。この本にはいろんな人が登場しますが、著者は誰にも肩入れせず、公平無私な立場から記述しようという姿勢があらゆる部分に感じられます。

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報道ステーションでは3.11らしく原発についてみっちりと報道していました。いろいろ不満があるとはいえ、とりあえず高く評価したいと思います。

 

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2022年3月 9日 (水)

続・生物学茶話173: 神経堤の進化

ウルバイラテリア(始原的左右相称動物)から分枝した前口動物・後口動物という二つの幹の生物群は現在どちらも繁栄していますが、カンブリア紀には節足動物、オルドビス紀には軟体動物という前口動物が食物連鎖の上位にいたと考えられています。後口動物は無顎魚類・筆石などの目立たない生物たちが命脈を保っていました(1、2)。

後口動物がシルル紀以降に大繁栄したのは、神経堤の細胞が独自に移動し分化することによって顎や新しいタイプの頭部が形成されたことに起因したと考えられます。内胚葉・中胚葉・外胚葉からそれぞれ消化管・臓器・皮膚が形成されるという動物の古典的定則に加えて、神経堤由来細胞からのバリエーションが加わることになったのが脊椎動物の特徴です(3)。3胚葉はいわば大工、神経堤は左官の仕事にたとえられるでしょう。

マウスの神経堤細胞をシャーレで培養すると、図173-1のような様々な細胞に分化させることができます。また未分化なまま維持することもできます(4)。

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図173-1 神経堤細胞の多彩な分化

確認のために、もう一度脊索動物の系統樹を示します。脊索動物は頭索動物・尾索動物・脊椎動物の3つのグループからなり、それぞれの関係は図173-2に示されています。後口動物というのはこれ以外に半索動物(ギボシムシ)と棘皮動物(ウニ・ヒトデ)があるだけで、脊椎動物以外はとても地味な生物群であることがわかります。

なぜそのような格差が生まれたかと言えば、それは脊椎動物が神経堤細胞を一つの組織としてとどめ置かず、分散させて(デラミネーション)、移動した場所で革新的な組織を形成させるという新機軸を生み出したからです。ナメクジウオは神経堤を持ちますが、デラミネーションには至りませんでした。最初に成功したのはホヤの祖先だと思われますが(5)、ホヤは魚類のような生活を捨てて固着する生活を選んだため多くの機能が退化し、遺伝子も廃棄しました。なので進化の道筋を知るには不適切な材料と言えます(これは個人的な感想です)。

したがってここでは神経堤細胞デラミネーションの基点に近い生物として円口類(ヤツメウナギとヌタウナギ)に着目しました(図173-2)。円口類はウナギという名前がついていますが、れっきとした硬骨魚類であるウナギとは全く異なる生物で、顎がなく、歯の主成分はケラチンであり、左右対称の胸びれや腹びれはありません。魚類のウナギは腹びれは退化していますが、胸びれはちゃんとあります(6)。ヤツメウナギは体の片側に7つの鰓口があり目と合わせて8つとなることからヤツメウナギと名付けられたのでしょう(7)。ヌタウナギでは鰓口の数は種によって異なるようです(8)。

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図173-2 円口類の進化上の位置

脊椎動物の祖先生物に近いと思われるナメクジウオ、脊椎動物の中で最も古いタイプの生物に近いと思われるヤツメウナギ、そして私たち有顎の脊椎動物の3つのグループについて、神経堤遺伝子ネットワークの主な分子メンバーをリストアップしてみました(図173-3)。データは文献9-11によります。

まず外胚葉において皮膚・中間領域・神経の3つの領域への差別化が行われるのですが、どの領域でもBMP、Fgf、Wnt、Delta/Notch というリガンドが、それぞれの濃度と相互作用によって、おそらくパラクライン的に作用して各領域に所属する細胞に特徴を付与し、それぞれの予定運命を維持していると思われます。その結果予定神経堤領域(中間領域)に発現する転写因子は、Zic、Msx、Dlx、Pax3/7 などで、ナメクジウオ・ヤツメウナギ・有顎動物で驚くほど一致しています。これはこの3つのグループの生物が同じメカニズムで神経堤を形成していることを示す証拠で、これらの生物が同じルーツを持つことを強く示唆しています。

この3つのグループの内でナメクジウオが特に始原的な特徴を持っていることは、分化した神経堤という組織に発現する主な転写因子が Snail のみであることに起因するのかもしれません。Snail はおそらく神経堤が中胚葉に落ち込むために必要な因子で、これはほかのふたつのグループでも発現しています。ただ他の2つのグループはその他に多彩な転写制御因子を発現していて、これらが神経堤という組織の解体(デラミネーション)とその後の細胞の運命に関与していると思われます(図173-3)。

単純に考えると有顎動物で発現している Twist や Ets-1 が顎の形成に関与していると思われますが、これについては稿を改めて取り扱いたいと思います。ヤツメウナギと有顎動物で神経堤に発現している因子が極めて類似していることは、この2つのグループがナメクジウオよりさらに近縁であることを示唆しています(図173-3)。

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図173-3 ナメクジウオ・ヤツメウナギ・有顎動物における神経堤遺伝子発現ネットワークの比較

一般的に胞胚期には予定神経堤領域はみられず、BMPやWntがハイレベルで存在する予定皮膚領域と、それらのインヒビター(Delta/Notch)とFgfがハイレベルで存在する予定神経領域にわかれています。しかし発生が進んで囊胚になるとその中間に、FgfやWntは存在するがBMPのレベルはインヒビターにより低下している中間領域が出現し、これが予定神経堤領域となります(11、12、図173-4)。Wnt の濃度は前後軸によって異なります(図173-4)。

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図173-4 予定表皮域と予定神経域の中間に新領域が出現する

最近の研究結果をまとめたタワニとグローブスの総説(11)にしたがって、発生の進行と共に発現する転写制御因子をみていくと、表皮・神経堤(プラコード)・神経管に分化するために必要な因子がわかります。表皮は図173-5のように胞胚から囊胚・神経胚に至るまで同様なセットで分化を進めていくようですし、神経板→神経管への分化も Sox2/3 を中心として進行させていくようです。神経堤の細胞はこれら2者に比べると、様々な異なる細胞に分化しなければいけないので、メカニズムは複雑です。さらに移動する、分化する、増殖する、原基をつくるという予定表皮や予定脊髄とは別次元の仕事をこなさなければならないので、単にシグナル伝達因子を羅列するだけでは情報過疎ですが、経路の変わった様々な因子が出現することはこの表からでもわかります(図173-5)。

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図173-5 脊椎動物胚における外胚葉の分化と転写因子

ここでは少し話を単純化しているので、より詳細な情報に接したい方は最近の総説などをお読みになることをお勧めします(13)。結局細胞分化に伴う化学変化は複雑な四次元のマップなので、人間の脳で全体像を把握することは無理で、完全にメカニズムが解明されたとしてもコンピュータの力を借りなければ表現したり、理解したりすることは不可能な領域だと思います。ただその概略を単純化することによって理解していることは生物を理解する上で必要でしょう。

参照

1)カンブリア紀の生物 II
http://morph.way-nifty.com/lecture/2020/01/post-a26294.html

2)オルドビス紀の生物
http://morph.way-nifty.com/lecture/2020/01/post-c05a7b.html

3)Joshua R. York and David W. McCauley, The origin and evolution of vertebrate
neural crest cells., Open Biol. vol.10, no.190285 (2020)
http://dx.doi.org/10.1098/rsob.190285

4)Bao H. Nguyen, Mamoru Ishii, Robert E. Maxson, Jun Wang, Culturing and Manipulation of O9-1 Neural Crest Cells., J. Vis. Exp. (140), e58346 (2018)
doi:10.3791/58346
https://www.jove.com/t/58346/culturing-and-manipulation-of-o9-1-neural-crest-cells

5)堀江健生 筑波大学プレスリリース 脊椎動物の「頭」の起源に迫る ~ホヤから脊椎動物への進化の一端を解明~ (2018)
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/images/pdf/180801horie-1.pdf

6)Private Auarium ニホンウナギ
https://aqua.stardust31.com/unagi/unagi-ka/unagi.shtml

7)ウィキペディア:ヤツメウナギ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A4%E3%83%84%E3%83%A1%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE

8)ウィキペディア:ヌタウナギ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8C%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%8A%E3%82%AE

9)Jr-Kai Sky Yu, The evolutionary origin of the vertebrate neural crest and its developmental gene regulatory network – insights from amphioxus., Zoology vol.113, pp.1-9, (2010) https://doi.org/10.1016/j.zool.2009.06.001
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0944200609000683

10)Tatjana Sauka-Spengler and marianne Bronner-Fraser, , Insights from a sea Lamprey into the evolution of neural crest gene regulatory network., Biol. Bull., vol.214, pp.303–314, (2008) https://doi.org/10.2307/25470671
https://www.journals.uchicago.edu/doi/10.2307/25470671

11)Ankita Thawani and Andrew K. Groves, Building the border: development of the chordate neural plate border region and its derivatives., Front Physiol, vol.11, no.608880, (2020)
doi: 10.3389/fphys.2020.608880
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33364980/

12)Xiao Huang, Jean-Pierre Saint-Jeannet, Induction of the neural crest and the opportunities of life on the edge., Develop. Biol., vol.275, pp.1-11 (2004)
doi:10.1016/j.ydbio.2004.07.033
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15464568/

13)Megan L. Martik and Marianne E. Bronner, Regulatory logic underlying diversification of the neural crest., Trends Genet., vol.33(10): pp.715–727. (2017) doi:10.1016/j.tig.2017.07.015.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0168952517301324
https://www.cell.com/trends/genetics/pdf/S0168-9525(17)30132-4.pdf

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2022年3月 7日 (月)

My Favorites 2 Otta Orchestra:「Dove」

Otta

5人の女性ミュージシャンで構成されるロシアのインストゥルメンタル・バンドです。10年以上のキャリアがあると思いますが、私が知ったのは昨年。昨今の事情でなかなか活動は困難だと思いますが、腕もセンスも素晴らしいのでなんとか続けてくれることを祈ります。

平和を祈って
"Dove"
https://www.youtube.com/watch?v=u8hlEwPXi7E

彼女たちは親日派だと思います(茨の道を越えてゆけ)
"Iza Susumeyo"
https://www.youtube.com/watch?v=uMj2kKLZISw

フルオーケストラでロック
"Turbo Classic"
https://www.youtube.com/watch?v=RJMSX7qTvws

美しいロシア
"Dejavu"
https://www.youtube.com/watch?v=YFVZdIJMajc

やすらぎのバラード
"Travel to Marseille"
https://www.youtube.com/watch?v=faslrmGicos

一体何が起こっているのだろう
"What is going on?...
https://www.youtube.com/watch?v=bb-ONUUth-g

多分公開テレビ番組
https://www.youtube.com/watch?v=lN6qNzMdqSM

リハーサル風景
https://www.youtube.com/watch?v=XClrwm1ifqA

otta orchestra home page
http://ottaorchestra.com/index_uk.html








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2022年3月 4日 (金)

核兵器と憲法改正

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ロシアによるウクライナ侵攻は日本の安全保障にも不都合を噴出させました。特に右翼には困った問題です。ロシアはNATOが参戦したら、本当に核を使う気満々だということが明らかになったので、日本がいくら大枚かけて軍備を整えても、核を使われたらあっという間にご破算です。

そういうわけで慌てふためいた晋三や橋下は核共有などということを言い始めました。結局核保有国になるというのが彼らの夢であって、今こそ実現するチャンスだと思っているのでしょうが、さすがにそんなことを声高に主張すれば、自民党は憲法改正ができないでしょう。

私は日本が正規軍を持ち、敵基地先制攻撃も行うことが可能になるよう憲法を改正するなら、日本独自の核兵器保有と日米安保条約廃棄の3点セットでないとダメだと思います。日米安保条約の存在下で憲法を改正すれば、米軍の戦争に常に日本軍が協力しなければならなくなる恐れがありますし、米国の安全のために日本の米軍基地からミサイルを発射することになってしまう可能性もあります。地理的にみても日本はロシア・中国の攻撃に対して米国の盾になる絶好の位置にあります。

ですがその独自核保有を日本ができるわけがありません。米国や中国がやらせないでしょう。かといって米国と核を共同保有したりすれば、それこそ核戦争になれば間違いなく日本に核爆弾が落ちてきます。そしてロシアは存亡危機事態になれば必ず核を使います。

核保有をできないのなら、核攻撃を回避するためには非核三原則を確実に実行する必要がありますが、現状では米軍基地に核兵器があるかどうかを調査する手段がありません。日米地位協定の改正が必要ですが、政府は全くこれに手をつける気はないようです。可能性があるとすれば、米国で民主党左派のオカシオ=コルテスあたりが大統領になったときだと思いますが、それは今回のロシアの暴発によってはるかに遠のきました。

よって現状のままでは憲法改正は×、敵基地先制攻撃も×です。

では尖閣はどうするんだという話になりそうですが、私は日本はサンフランシスコ講和条約の枠内で生きていくべきだと思うので、尖閣は気にしていません。尖閣諸島は日本の領土と定義されていませんし、中国の領土でもありません。国連が施政権者となって信託統治すべきです。

5分でわかる日米地位協定!内容や不平等といわれる理由をわかりやすく解説!
https://honcierge.jp/articles/shelf_story/7099

(写真はウィキペディアより)

 

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2022年3月 2日 (水)

My favorites 1 「雨が降る」: Paris blue

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パリスブルーは1992年~1996年に活躍した、日本のデュオです。
メンバーは 谷口實希(ボーカル、作詞)& 日比野信午(作曲、コーラス) 。
晋三らによって日本のすべてが汚濁する前の時代。透明感あふれ、初夏の優しい風のような美しい曲をたくさんリリースしてくれました。

「雨が降る」 Paris blue

Unionjoke スタジオライブ1
https://www.youtube.com/watch?v=PU9ce2PE8Ho

Unionjoke スタジオライブ2
外が暴風雨というのがすごい 傷はあってもこれが最高
https://www.youtube.com/watch?v=Q1n_8TebebA

dainistage スタジオライブ
https://www.youtube.com/watch?v=uG-ekXewKlQ

mari nadel
https://www.youtube.com/watch?v=sX_BuuhKMyw&list=PL-zRxgbVug9eoWaTWArpshWgaWrS-6tkL&index=7
https://www.youtube.com/watch?v=sX_BuuhKMyw

melody fairy
https://www.youtube.com/watch?v=QXlOW91wECo

punyu009
https://www.youtube.com/watch?v=wPyQSP5U6h4

 

In addition: 「いつかまた二人で」というバラード
mari nadel
https://www.youtube.com/watch?v=rUhszbKWM3k&list=PL-zRxgbVug9eoWaTWArpshWgaWrS-6tkL&index=18

 

Kokki さんのサイト「あなたの知らない、Paris Blue(パリス・ブルー)」
http://jibunhack.com/11171/








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2022年2月28日 (月)

BA.2について

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BA.2についての重要な論文が日本人研究グループによって発表されたので拙訳を貼っておきます。

拙訳:重篤な呼吸器疾患を引き起こす新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)のBA.1株が世界に蔓延してしばらくして、今度はもう一つのオミクロン株BA.2がそれに取って代わる勢いとなりました。統計的な分析によればBA.2はBA.1の1.4倍の有効再生産を行うことがわかりました。BA.1の場合と異なり、BA.2ではワクチンによって誘導された免疫は無効です。BA.1とBA.2の免疫的特異性は異なります。細胞培養による実験結果によると、BA.2はBA.1とくらべて鼻粘膜でより早く増殖し、細胞膜との親和性が高いことが示されています。さらにハムスターを用いた実験では、BA.2はBA.1より病原性が高いことが示されています。我々の様々な実験からBA.2の健康リスクはBA.1より高いことが示されました。

タイトル:Virological characteristics of SARS-CoV-2 BA.2 variant

著者:Daichi Yamasoba, Izumi Kimura, Hesham Nasser, Yuhei Morioka, Naganori Nao, Jumpei Ito, Keiya Uriu, Masumi Tsuda, Jiri Zahradnik, Kotaro Shirakawa, Rigel Suzuki, Mai Kishimoto, Yusuke Kosugi, Kouji Kobiyama, Teppei Hara, Mako Toyoda, Yuri L Tanaka, Erika P Butlertanaka, Ryo Shimizu, Hayato Ito, Lei Wang, Yoshitaka Oda, Yasuko Orba, Michihito Sasaki, Kayoko Nagata, Kumiko Yoshimatsu, Hiroyuki Asakura, Mami Nagashima, Kenji Sadamasu, Kazuhisa Yoshimura, Jin Kuramochi, Motoaki Seki, Ryoji Fujiki, Atsushi Kaneda, Tadanaga Shimada, Taka-aki Nakada, Seiichiro Sakao, Takuji Suzuki, Takamasa Ueno, Akifumi Takaori-Kondo, Ken J Ishii, Gideon Schreiber, The Genotype to Phenotype Japan (G2P-Japan) Consortium, Hirofumi Sawa, Akatsuki Saito, Takashi Irie, Shinya Tanaka, Keita Matsuno, Takasuke Fukuhara, Terumasa Ikeda, Kei Sato

https://doi.org/10.1101/2022.02.14.480335

アブストラクト原文:Soon after the emergence and global spread of a new severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) Omicron lineage, BA.1 (ref1, 2), another Omicron lineage, BA.2, has initiated outcompeting BA.1. Statistical analysis shows that the effective reproduction number of BA.2 is 1.4-fold higher than that of BA.1. Neutralisation experiments show that the vaccine-induced humoral immunity fails to function against BA.2 like BA.1, and notably, the antigenicity of BA.2 is different from BA.1. Cell culture experiments show that BA.2 is more replicative in human nasal epithelial cells and more fusogenic than BA.1. Furthermore, infection experiments using hamsters show that BA.2 is more pathogenic than BA.1. Our multiscale investigations suggest that the risk of BA.2 for global health is potentially higher than that of BA.1.

==========

この論文のラストオーサーである東大医科研の佐藤先生によると、BA.2とBA.1の遺伝子配列の違いは、デルタ株とBA.1との差よりも大きいということで、オミクロン株という名前はふさわしくないようです。既存のファイザーやモデルナのワクチンは全く効かないので、日本のTVでワクチン打て打てキャンペーンをやっているのは時代遅れです。

欧米ではBA.2が蔓延したことに伴い、ワクチンパスポートは廃止されています。意味がないので当然です。BA.2用のワクチンが必要です。抗体試薬が効かないのは当然ですが、その他の薬の有効性を早急に確認して欲しいと思います。

これは個人的希望になりますが、本当に早くBA.2に有効なタンパク質のワクチンまたは不活化ワクチンを世に出して欲しいものです。90%以上の有効性などという贅沢はいいません。mRNAのワクチンはどの細胞にどれだけ発現するかわかりませんし、発現した細胞はいずれ自己の免疫システムで攻撃されるので、それが神経細胞や心筋細胞であった場合はまずいでしょう。実際私も半年くらい痛くて、ようやく最近痛みがやわらいできました。多分細胞が死んだか入れ替わったのでしょう。

(写真は国立感染症研究所撮影)

 

 

 

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2022年2月26日 (土)

ウクライナ問題-ロシアの暴発

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ウクライナのことは、チェルノブイリがある場所くらいの知識しかなかったので、少し調べてみました。まあロシアにしてみれば、アメリカにとってのキューバの様な場所なのでしょうか? 報道特集の金平氏はルーマニアから車でウクライナに突入したようで、現地から中継していました。金平さんの思想はともかく、もう結構なお年と思いますがその衰えない行動力には驚きます。この番組に東郷和彦という元外交官の方が出演していろいろお話ししてくれたので、少しづつ事情がわかってきました。

ゴルバチョフ時代にソ連は解体し、資本主義国となってペレストロイカ、グラスノスチを遂行し、西欧のような国家に変貌しました。したがって東側の軍事同盟であるワルシャワ条約機構は解消しました。それで西側の軍事同盟であるNATOは敵がいなくなって解消したかというと、そうではなく存続しました。これは私見ですが、英仏の軍需産業が商売あがったりとなるのを恐れて、ロビー活動を行って存続させたと思われます。彼らはさらに顧客をふやすために旧東欧諸国もNATOに加盟させるよう運動したに違いありません。ロシアがNATOと約束したことは果たされず、NATOへの加盟も拒否されたということで、ロシアが追い詰められて暴発したようです。

私が不思議に思っていたのは、ウクライナ東部のロシア人実効支配地を長い間独立させず、今回もベラルーシからキエフをめざして全土を戦場にしたという事なのですが、これは東郷さんの話では民族紛争がある国はNATOに加盟できないという規則があるそうで、それでロシアは東部地域を今まで独立させなかったんだということがわかりました。今回はそんな規則を利用するなどということはやめて、実力行使でウクライナを支配するという無茶な最終手段に出たものと思われます。

今回はジョージアの場合と違って、思惑通りにウクライナに言うことをきかせるのはなかなか困難だと思います。ウクライナ人はテンペラメントが異なるのでそう簡単にはいきませんよ。ただロシアだけが世界の悪者ではなく、米国もイラクを壊滅させました。このときもバクダッドをはじめとして多くの町や村を空爆しましたし、スンニー派の村落を包囲して、斬首作戦も行いました。攻撃理由だった大量破壊兵器はありませんでした。

とりあえず現地出身の方で日本語が話せる人の意見を聞いてみましょう。

【これが現実】ウクライナ/ロシアのハーフは、ウクライナ情勢についてこう考えています。
https://www.youtube.com/watch?v=FC6NFRJEve4&t=102s

日本にいるロシア人は親日の方がほとんどだと思うので、ビザをとりあげないで欲しいと思います。

 

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2022年2月23日 (水)

続・生物学茶話172: ハイコウエラ

脊椎動物がカンブリア紀に生息していたかどうかという問題は、古生物学上重要な問題で永年議論されています。ハイコウエラ、ユンナノゾーン、ミロクンミンギアなどはその候補ですが、ここではとりあえずナメクジウオつながりで、ハイコウエラにフォーカスしたいと思います。ハイコウエラの化石は中国雲南省澄江(チェンジャン)で発掘されています。図172-1はグルノーブル自然史博物館所蔵のもので、多数の個体がまとまって化石となっています(1)。これは彼らが群れを作って行動していたことを示唆しています。

1体ものとしては、Palaeos Life Through Deep Time というサイトに素晴らしい化石の写真があります(2)。興味がある方は是非リンクをご覧ください。シンプルですが可愛いイラストがウィキメディアコモンズにあったので図172-1下部に貼り付けました。背中や尾の突出は魚類の鰭とは違って、筋組織が充填されている構造と考えられています。ナメクジウオと違って眼があります。

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図172-1 ハイコウエラの化石とイラスト

図172-2は古生物学者 Jun-Yuan Chen が発表したハイコウエラの解剖図です(3)。顎はありませんが、それ以外はかなり脊椎動物に近い感じのボディープランを持つ生物であったことがうかがえます。中枢神経系と鰓弓があり、プロトタイプの脊椎まであります。ヒトの背骨の役割としては 1.身体を支える(支持性)、2.神経の保護 が考えられているようですが(4)、カンブリアの海を泳いでいた彼らがなぜ脊椎を作り始めたかというのは謎です。活発に泳ぐには脊索と筋肉とひれ状の構造があれば十分で、彼らはひれは未発達だったかもしれませんが、脊索と筋肉はしっかりと保有してたと考えられます。

脊椎らしきものを彼らが作り始めたには(作り始めた者が生き残ったには)、なにか非常に重要な理由があるはずです。それは神経や神経鞘の保護のためかもしれませんが、私はひとつの仮説を考えました。カンブリア紀は多くの生物が眼を持つようになって、餌をさがして食べるというライフスタイルを持つ生物が繁栄し、毎日生活する場所が弱肉強食の戦場と化しました。こんななかで多くの弱い生物はなんらかの対策を講じました。それは敏捷に移動する、体を堅い殻で被う、棘を生やす、隠れて生活する、大量の子孫をつくる、など様々でした。ハイコウエラは体長数cmの小さな生物で、アノマロカリスなど大型の節足動物のエサとなっていても不思議はありません。それで骨を食べたアノマロカリスは、これはエサとして適切ではないと感じたのではないでしょうか? 平たくて薄い骨は刃物となってアノマロカリスの消化管を損傷したかもしれません。

現存するナメクジウオは、ハイコウエラに比べると退化していると思われる部分がありますが、そのひとつはこのプロトタイプの脊椎で、ナメクジウオではほとんど痕跡的になっています。それは彼らのライフスタイルがベントス(底生生物)に近くなったからかもしれません。ハイコウエラは真正魚類の登場によってニッチを奪われ絶滅しましたが、ナメクジウオは主に有機堆積物やプランクトンを食べるベントスに近い生活をしていたために、異なるニッチで生き残ったと考えられます。動くエサを捕らえたり、俊敏に泳いだりする機会がなければ、眼も退化してかまわなかったのでしょう。

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図172-2 ハイコウエラの体の構造

現存するナメクジウオは見た目明確に識別できる脳はありません。ただ電子顕微鏡観察や分子生物学的解析によれば、中枢神経系の一部に脳に相当する部分はあるようです(5-7、図172-3C、D)。ハイコウエラはより明確にふくらんだ脳らしきものが中枢神経の前端にあります(8、図172-3B)。これはバトラーが描いたいわゆるセファレートという脊椎動物のプロトタイプ(9、図172-3A)に似ています。前口動物と後口動物が分岐する前に脳のプロトタイプが形成されていたことが示唆されます。ナメクジウオの場合眼を使わなくなって、中枢神経系が退化したと思われます。そのかわり体中に光受容器があって眼とは全く異なる光の感知を行っているようです(10)。

図172-3の脊椎動物の脳の基本形はウィキメディアコモンズの図(11)を元に製作したもので、Telencepharon(終脳)の部分は、ハイコウエラやナメクジウオにはおそらく存在しません。それでもハイコウエラは眼をもち、エサや天敵を認識して行動していたと思われ、プロトタイプの脳を使って記憶とか意識を持って生きていたのでしょう。カンブリア紀にしてすでにエサを探して口から食べ、消化して腔門から排泄し、自在に泳いで移動し、敵が来れば逃走し、痛覚や触覚をもち、ホルモンで体調を維持し、雄雌で繁殖行動を行い、記憶や意識を持って、つまりかなりの部分私たちと同じように毎日を生きていたご先祖様がいたらしいことにはちょっと感動します。

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図172-3 ハイコウエラとナメクジウオの脳のかたち

ナメクジウオやハイコウエラのような生物から、どのように脊椎動物が分岐してきたかというのは興味深い課題です。ナメクジウオ(頭索動物)も脊椎動物も、将来皮膚となる外胚葉から神経堤が盛り上がり、その中央部(神経板)が落ち込んで神経管が形成されることに変わりはありません(12、図172-4)。しかし大きな違いは、脊椎動物の場合、神経堤の細胞が神経板とともに中胚葉に落ち込み、そこから各方面に分散して組織を形成するようになったことです。このようにもともと外胚葉性だった細胞が中胚葉細胞化することを上皮間葉転換(epithelial-mesenchymal transition=EMT)といいます(13)。

このように中胚葉化した細胞は脳や顔面の一部、神経鞘、骨格筋、平滑筋、軟骨、骨、血管壁、色素細胞、神経節、副腎髄質、その他の様々な細胞に分化し、まさしく脊椎動物において第二の発生とも言えるような構造形成を行います。そのうちのひとつが顎の形成で、頭索動物は顎の形成ができないということは、神経堤細胞が上皮間葉転換を行なわないことに起因しています(図172-4)。

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図172-4 ナメクジウオと脊椎動物の神経堤

図172-5は Meulemans と Bronner-Fraser がまとめた表(14)の一部ですが、全体的には頭索動物(Amphioxus)と脊椎動物で明らかに類縁関係が認められます。特に神経板に発現している因子はほとんど同じなので、中枢神経系の形成については特に強いホモロジーが認められます。大きく異なるのは、頭索動物の場合神経堤が形成されてもそれが神経管だけに分化し、中胚葉系細胞への分化を行わないことで、それと関連して Fox をはじめとするさまざまな転写因子の発現がありません。このあたりが脊椎動物への進化の鍵になっています

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図172-5 表皮・神経堤・神経管形成に関連するシグナルと転写制御因子

 

参照

1)File:Haikouella lanceolata Museum Grenoble 03082017.jpg (from Wikimedia Commonds)
http://palaeos.com/vertebrates/chordata/haikouella.html

2)Palaeos Life Through Deep Time. Chordata : Chordata (3), Haikouella lanceolata.
http://palaeos.com/vertebrates/chordata/haikouella.html

3)Jun-Yuan Chen, The sudden appearance of diverse animal body plans during the Cambrian explosion., Int. J. Dev. Biol. 53: 733-751 (2009) doi: 10.1387/ijdb.072513cj
http://www.ijdb.ehu.es/web/paper.php?doi=072513cj

4)特定非営利活動法人 兵庫脊椎脊髄病医療振興機構 せぼねの豆知識
http://hosd.or.jp/tips

5)デンジソウ 遺伝子で脳の進化を探る-形の進化とゲノムの変化―ナメクジウオが教えてくれること
http://denjiso.net/?p=12150

6)Èlia Benito-Gutiérrez et al., The dorsoanterior brain of adult amphioxus shares similarities in expression profile and neuronal composition with the vertebrate telencephalon. BMC Biol vol.19(1): no.110 (2021) doi: 10.1186/s12915-021-01045-w.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8139002/pdf/12915_2021_Article_1045.pdf

7)Jun-Yuan Chen, Early Crest Animals and the Insight They Provide Into theEvolutionary Origin of Craniates., Genesis vol.46, pp.623-639 (2008)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/dvg.20445

8)Todd E. Feinberg and Jon Mallatt, The evolutionary and genetic origins of consciousness in the Cambrian Period over 500 million years ago., Frontiers in Psychology vol.4, article 667 (2013)
https://www.researchgate.net/publication/257600431

9)Ann B. Butler, Chordate evolu-tion and the origin of craniates:an old brain in a new head. Anat.Rec. vol.261, pp.111–125. (2000)
https://web.mit.edu/~tkonkle/www/BrainEvolution/Meeting1/Butler%202000%20AnatRecord.pdf

10)窪川かおる ナメクジウオの生物学 The Journal of reproduction and development., vol.47, no.6 (2001)
http://reproduction.jp/jrd/jpage/vol47/470603.html

11)https://commons.wikimedia.org/wiki/File:EmbryonicBrain.svg

12)Linda Z. Holland, The origin and evolution of chordate nervous systems., Phil. Trans. R. Soc. B 370: 20150048. (2015)
http://dx.doi.org/10.1098/rstb.2015.0048

13)脳科学辞典:神経堤
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E5%A0%A4

14)Daniel Meulemans and Marianne Bronner-Fraser, Gene-Regulatory Interactions Review in Neural Crest Evolution and Development., Developmental Cell, Vol. 7, pp.291–299, (2004)
https://core.ac.uk/reader/82595000

 

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2022年2月20日 (日)

東京文化会館

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昨日テレビ東京が「新・美の巨人」という番組で東京文化会館の特集をやっていました。主に建築物としての素晴らしさを紹介していましたが、都響もちょっぴり出演していました。私もここには学生時代から通っていました。印象に残っているのは「椿姫」で、舞台装置はテーブルと花瓶がひとつだけ。日本人は日本語で、イタリア人はイタリア語で歌うという今ではあり得ない公演でしたが、結構楽しめました。

その後いろいろありましたが、石原都知事が勝手に予約をキャンセルし自分の息のかかった公演をやるという暴挙に出て、館長が辞任という結果になったのはショックでした。石原はそれだけではなく、東京都が管理・後援する芸能を石原と読売グループで支配する構造にしたり、都響をリストラし音楽監督のベルティーニ氏を解雇するとか、団員の退職金に手をつけるとかの暴挙は枚挙に暇がありません。都立病院などのリストラも行いました。東京都にお金がなかったわけではなく、湾岸開発などには数千億のお金をかけていたのです。くたばったのは誠にめでたいことです。本人も人に恨まれて本望と述べていました。

加藤裕子の La bella vita (美しき人生)
https://plaza.rakuten.co.jp/casahiroko/diary/200502190000/

もし上記リンクが繋がらない場合は「石原文化行政にモノ申す 加藤裕子」で検索してみてください。館長辞任事件の詳細が綴られています。

現在の文化会館はいささか時代遅れです。客用のエレベーター・エスカレーターのないコンサートホールは今では見かけません。席は狭くて隣と接触します。1Fだけでも入れ替えた方がいいと思います。トイレにはまだ旧式便器も残っています。コロナ時代にはふさわしくありません。多少のお金をかければ、あと数十年は使えるのではないでしょうか。

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2022年2月19日 (土)

狂熱の北京オリンピック クライマックスは日曜日

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(ロコ・ソラーレの故郷 北見市HPより)

以前は冬季オリンピックにはほとんど関心がなかった私ですが、カーリングという競技を知ってからは話が違ってきました。ロコ・ソラーレはすごいです。ついに2位以上確定です。本当におめでとう。藤澤選手のデンマーク戦の最後の一投にはしびれましたし、スイス戦の最後の一投には血管切れそうでした。こんなに激しく、そして精密に、頭と体を使うスポーツはサッカーくらいでしょう。オシムはサッカーは因数分解しながら走るスポーツと言いましたが、カーリングの戦略は因数分解よりずっと難解です。素人には全く思いつかないような狙いがあるんですね。日曜日は最高の試合を!!!

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Amber McNultyによるPixabayからのフリー画像)

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2022年2月17日 (木)

大阪の重大危機

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(大阪府のHPより)

宿泊療養施設・大規模医療療養センターに空きがあるのに入院できずに死亡する人が多いのは、非常に不可解??? やはり人手が足りていないのか?

吉村はなんとか自分の政治生命を維持しようとしているみたいですが、大勢の死人が出るというのは自分が政治家としての資質に欠けていると自覚すべきでしょう。

2022.02.17 毎日新聞
大阪府は17日、新型コロナウイルスの感染者が新たに1万3912人確認されたと発表した。また、54人の死亡も判明。死者数は2021年5月11日に確認された55人に続き、過去2番目の多さとなった。

 

 大阪が歴史的医療逼迫 現場で何が起こっているのか 講じられている対策は
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuraharayu/20220213-00281823

 吉村“ワースト知事”の呆れた開き直り 大阪府コロナ死者数が全国最多、通常病床すでにパンク状態
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/301449

 

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2022年2月15日 (火)

都響 2022シーズン会員券発売

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都響ネクストシーズンの会員券が発売になりました。ラインナップはいつになく名曲のオンパレードで驚きます。とはいえクラオタに批判されないよう、珍しい曲もちらほら。今年はペッテションはなしでがっかり。マデトヤとかランゴーとかにはあまり興味わきません。コパチンスカヤが何をやるかには少し興味があります。あとチック・コリアのトロンボーン協奏曲も多少の興味をひかれます。マエストロ・インバルのブルックナーは彼に最もふさわしい感じの交響曲第4番で、これは必ず聴かねば。

個人的に期待しているのはマケラ指揮のマーラー交響曲第6番とショスタコーヴィチの交響曲第7番。これで盛り上がらずして何で盛り上がるのか! 定期ではありませんが、春祭のマーラー交響曲第3番にも期待しています。音楽監督のタクトではグラゴル・ミサかな。マーラーの交響曲第2番は監督とイメージが合わない感じがします。

都響の各シリーズはプロムナードやスペシャルも含めて、全くそれぞれの特徴がなく、単にアルファベットとか名前をつけて適当に割り振ったという感じがします。それが都響の特徴といえば特徴。あと女性指揮者や日本人の若手指揮者を全く起用しないのも今季プログラムの特徴で、これは音楽監督と芸術主幹の見識を疑いたいです。

オリカイネンの再演は今年もありませんでした。残念。
https://www.youtube.com/watch?v=O8QlEH0QgOI
https://www.facebook.com/evaollikai/

コロナが猖獗を極め、私自身心が後ろ向きになっていることは否めません。なぜか古めかしく懐かしい音楽が聴きたいと思います。そういえば、昨年一番印象に残ったのは小泉さんが指揮したフォーレのレクイエムでした。2番目はアランのペッテション。どちらも完全に音楽に浸り切れました。マエストロとオーケストラ/ソリストに感謝です。オリカイネンはモダンな曲も演奏しますが、彼女の音楽にはなにかそういう古い欧州の香りがします。それも貴族的なものではなく、土の匂いです。

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2022年2月12日 (土)

ワクチン3回目接種はクラスター発生に無効

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国立病院機構函館病院で発生した新型コロナウイルスのクラスターは、ワクチン3回目接種を終えた多くの医師と看護師らの感染が判明しており、「ブレークスルー感染」となっていることがわかりました。

(第10報)当院における新型コロナウイルス感染症の発生について

こちら

この病院では医師・看護師・その他の従業員・出入り業者600人ほどがすべて3回目のワクチン接種をうけており、ワクチン接種がクラスター発生を防ぐことができないことが証明されました。

(写真は国立病院機構函館病院とは関係ありません)

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