2019年3月24日 (日)

ゲノム編集という言葉は不適切

そもそも編集と言うからには、削除・修正・追加という3つの作業ができなければいけません。ところがゲノム編集では削除しかできないのですから、編集という言葉を使うことは不適切です。
この技術は人間が発明したのではなく、細菌がそのDNAに侵入してくるウィルス(バクテリオファージ)を排除するために発明したものであり、人間はそれを利用させてもらっただけです。もともと進入してくる敵対遺伝子を無効にするためのメカニズムですから、それで特定の好ましくない遺伝子を好ましい遺伝子に改善したり、好ましい遺伝子と入れ替えたりすることはできません。ですからゲノム編集というのは間違った表現で、正しくは遺伝子無効化と言うべきでしょう。
そんなことは百も承知であえてゲノム編集という言葉を使っているのは、こ分野の研究者のいかがわしい臭気を感じさせます。このような連中ですから、科学的真実を隠蔽しても、大衆受けや商業利用の推進を優先するということはあり得ることでしょう。孔子の言葉を思い出します。
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孔子はある小さな国の政治をやってくれないかと頼まれました。しかしその国には予算は少なく、軍隊も弱い状態でした。弟子である子路は心配して、孔子に「そんなところで、先生は何をなさるのですか」とききました。すると孔子は
必也正名乎。名不正則言不順、 言不順則事不成。
(かならずや名をたださんか。名正しからざれば則(すなわ)ち言(げん)順(したが)わず、言順わざれば則ち事成らず)
という有名な言葉で答えました。この意味は「私はまず言葉を正しく定義する。もし言葉の定義が正しくなければ、何を言っているか意味がわからない。何を言っているかわからなければ、何事もできなくなってしまう」 
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http://morph.way-nifty.com/lecture/2017/12/post-7e2f.html
http://morph.way-nifty.com/lecture/2017/12/post-7b78.htm

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2019年3月23日 (土)

報道特集:ゲノム編集

本日TBS報道特集でゲノム編集の特集をやっていました。
もちろんゲノム編集は遺伝子組み換えとは異なり、品種改良と基本的には同じです。
しかしそのスピードが非常に速いので、一気に多数の製品がつぎつぎと出現するため、品種改良のようにのんびりと評価できないという問題があります。
狙った遺伝子がつぶれるだけなのかどうかというのも保障はありません。
最も危険なのは自然の突然変異と区別できないから野放しにするしかないと言っている学者で、それは警察が発売した企業を調査すればわかることであり、ごまかされてはいけません。ですから当然ゲノム編集でつくられたものであるという表示は意味があり、検証も可能です。番組によると、現在政府は表示しなくてよいという方向に向かっているらしく、これは問題です。
私は食料品に関しては、医薬品ほど厳密ではなくて良いので、メーカーが動物実験で安全性を確認したあと、試食を希望する一定のユーザーに無料でサンプルを提供し、安全性に関するテストを厚労省あるいは傘下の独立行政法人の管理のもとに実施すべきであると思います。
http://morph.way-nifty.com/lecture/2017/12/post-7e2f.html
http://morph.way-nifty.com/lecture/2017/12/post-7b78.html
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ココログの管理プログラムの変更に伴って、ブログの一部の写真が消えるという事故が発生しています。はやく何とかして欲しいと思います。

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2019年3月21日 (木)

ココログが工事中のようです

ココログの工事が長引いているようで、うまく管理ができていません。
しばらく開店休業になりそうです。

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ノイシュバンシュタイン城
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2019年3月17日 (日)

インバル-都響 ブルックナー交響曲第8番@サントリーホール 2019/03/17

Img今日の都響は1曲だけのコンサートです。その曲はブルックナーの交響曲第8番(第2稿ノヴァーク版)。指揮インバル、コンマスは山本さんで(なので? 天気は快晴)サイドはマキロン。

チケットは完売です。席に着くとうしろで怒声が・・・? 盲導犬連れのおじさんがスタッフに罵声をあびせています。どうも案内する席を間違えたらしいです。都響ファンはたいてい年間指定席(圧倒的に安い)を購入するので、いつも同じ席なのですが、今日は都響スペシャルで別売となり、いつも通りには行きません。彼の盲導犬はいったんステージ前のスペースに出て、そこから上にあがって席に着くように訓練されているので、いつもと違った道順で案内されると訳がわからなくなってしまいます。

向かって右からチェロ~ヴィオラ~2Vn~1Vnの並びです。マーラーと違って、ブルックナーの時はインバル翁は、あまり策を弄しません。リズムが垂れないようにあおるくらいでしょうか。ずっとうなりながらの指揮です。彼も団員も非常に乗っている感じです。私は1Vnの前の席でしたが、前の4人は非常に張り切ってビシバシ弾いている感じですが、3列目のふみちゃんと美里は第3楽章などでは非常にやわらかく情感豊かな演奏で、柔軟な都響のサウンドには絶対に欠かせない2人だということを再認識しました。

実に爽快な演奏でした。80才をとっくに越えているのに、ずっと立って指揮していました。終了すると絶大なる拍手で、照明点灯後も2回のオールスタンディングカーテンコール。2回目は山本さんをつれて出てきました。

こんな曲です
https://www.youtube.com/watch?v=0ytSj6mSgJg

インバル
https://www.youtube.com/watch?v=oszDPk7Ksgg

インバル都響
https://www.youtube.com/watch?v=dLdPoW-ItwU

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2019年3月14日 (木)

サラとミーナ214: 春の陽光のなかで 

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前の日にはそれこそ殴り合いの大げんかをしていたサラとミーナですが、1日経つともうこんなに仲良しになっているという不思議。ずっと猫を飼っている私にもその心の動きがわかりません。春の陽光につつまれて、窮屈そうではあってもゆったりと過ごすサラとミーナです。

こうなるには2つのパターンがあって、サラが休んでいるときにミーナがくるのは、サラを舐めたくなるというのが理由なのですが、ミーナがいるときにサラが押しかけてくるのは、ややテリトリーをおかされたという気分があるようです。たいていミーナを追い出そうとします。ときにはミーナが居座ってそのまま2匹になることもありますが、喧嘩になったり、ミーナがいったん去る場合が多いと思います。しかしミーナはすぐに戻ってきて、最初のパターンになります。

最近団地に1本だけアセビの灌木があることに気が付きました。いま花を付けています。

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アセビはグラヤノトキシンという毒を持っている毒草です。グラヤノトキシンは、最近私が関心を持っている神経の活動に影響を持つ物質です。グラヤノトキシンは神経細胞の細胞膜に埋め込まれているナトリウムチャネルの活動を阻害します。ナトリウムチャネルが働かないと脱分極が起こらず、神経細胞は機能を果たすことができません。

高山にシカが増えると、シカが食べない毒草のバイケイソウばかりになるのは八ヶ岳で実感しましたが、奈良にはやはりシカが食べないアセビが多いという話を聞いたことがあります。それにしてもシカや他の野生動物はどうして毒草を識別できるのでしょうか? ヒトは進化の過程で、重要な能力を失っています。

https://en.wikipedia.org/wiki/Grayanotoxin

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2019年3月11日 (月)

3月11日のマーラー ダニエル・ハーディング

Harding

ダニエル・ハーディングがマーラーの交響曲第5番のライヴ・レコーディングをやって、ハルモニア・ムンディから発売しました。これがすこぶる評判いいそうで、アマゾンのカスタマーレビューやアリアCDの松本社長も絶賛しています。これはスウェーデン放送交響楽団との演奏ですが、ウィーンフィルとの演奏がYouTubeで聴けます。肩肘張らない自然体の演奏で、全てのフレーズでマーラーと対話できるような感じです。ならばということで私も発注しました。到着するのが楽しみです。

Mahler - Symphony No. 5 - Daniel Harding - Wiener Philharmoniker
https://www.youtube.com/watch?v=HZjFSUYZSlI

この曲とダニエル・ハーディングには深い因縁があります。私が2012年3月13日にこのブログに書いた記事を再掲します↓。

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2012年3月11日(土)NHK総合テレビで「3月11日のマーラー」という番組をやっていました。すでにいろいろなウェブサイトで紹介されていますが、私も一言。番組の主役である新日本フィルは新たにダニエル・ハーディングを指揮者に迎えて、これから都響の最大のライバルになるかも知れません。ハーディングは30代半ばですが、すでに欧米でもわが国でもかなり有名な人気指揮者です。

3月11日彼は都心のホテルから、就任した新日本フィルではじめてのコンサートを行うため、楽団の本拠地すみだトリフォニーホールまでタクシーで向かっていました。その途中にあの地震に遭遇するとは、彼は日本とよほど深い縁があるのでしょう。電車で向かっていたらたどりつけなかったでしょうから、タクシーに乗っていたというのも不思議な因縁です。

ともかくたどりついたら、待っていたのは動揺する団員でした。リハーサルは延期され、コンサートをやるかどうか、楽団は難しい決断を迫られていました。しかし楽団は建物をチェックして無事を確認し、お客さんが一人でも来てくれればコンサートを断行するという方針を決めました。

集まったお客さんは105人。何時間も歩いて来た人もいたそうです。そして団員の中にも電車で地震に遭遇し、新橋から40歩走っては40歩あるくという方法でホールにたどりついた人もいたそうです。本来は1800人定員のホールだそうで、寂しい客席だったと思います。

曲目はマーラーの交響曲第5番。この曲はトランペットのソロではじまりますが、テレビでその演奏を聴いていて、こんなに深い憂愁の響きを聴いたことがあっただろうかと震えました。指揮者は全くタクトを振らず、じっと佇んでいます。全曲聴きたかったのですが、番組の時間の関係で一部しか放映されませんでした。それでも、その一期一会の演奏には胸を打たれました。

終了後、事務局員・団員・指揮者・聴衆、家に帰れなかった多くの人がホールで一夜を過ごしたそうです。その記念写真に顔をぼかした人が何人かみられました。「こんな時にホールで音楽を聴いているなんて不謹慎な」という非難が怖かったのでしょう。しかし私は地球が滅亡する時には、この曲をホールで聴いていたいなと思いました。

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On the afternoon of March 11 I was in a car driving across Tokyo for a general rehearsal of Mahler's 5th Symphony with the New Japan Philharmonic. What happened that afternoon, and in the subsequent days, will colour the way I think of this music for ever.

That evening we played a concert together in Sumida Triphony Hall for a tiny audience of those who had made their way to the concert hall, as bewildered and shocked by the events of the day as we were. This was my first concert as Music Partner of NJP. A concert we had all been looking forward to for a long time, a moment for celebration. However, as it turned out, it was a moment touched by unimaginable tragedy and sadness. None of us who were in Japan on that day, and in the following week, will ever forget what we experienced and the horrendous news and images coming to us from the Tohoku region.

I have had the privilege of spending much time in Japan over the last 13 years. Yours is a country I have come to love very deeply and I feel an enormous respect and warmth for the Japanese people. For me to be in Tokyo on March the 11th, and to experience the dignity and bravery of those so deeply affected by the earthquake and tsunami, was a humbling and touching experience. It was with a heavy heart that I left for Europe 5 days later. In the past I have often missed Japan after departing, this time the feeling was more intense.

Our planet is alive. Without the geological activity that causes such tragedy and suffering there would be no life on Earth. This is a mind-numbing paradox and can bring no comfort to those whose lives have been ripped apart. Maybe music, amongst the many great achievements of mankind, can help us to try to comprehend the magnitude and the context of such suffering. Maybe music can also help us, in the smallest way, to begin to heal.

This has been a disaster of unprecedented scale. All over the world now people look to Japan and the extraordinary, almost superhuman, dedication and effort of the Japanese people to rebuild. We are all moved and inspired by this devotion and sacrifice. There is no doubt in any of our minds that Japan will recover even stronger and even greater than before.
As musicians we can try to provide those in need with happiness, emotion, vitality and courage through beautiful and thought-provoking music.

It seems absolutely appropriate to me to play Mahler's 5th on the occasion of this charity concert. It is a great discourse and meditation on Love, Tragedy, Life and Death. In this concert, and indeed every time I again have the privilege of conducting this symphony, I would like to dedicate it to those who lost their lives, their loved ones, their homes or their livelihoods during those days in March.

I would also like to express my deep thanks and gratitude to the organisers of this charity concert and also to the NJP for all of their understanding and gracious cooperation, without which this concert would not have been possible.

Daniel Harding

(ハーディングさんのコメントは新日本フィルHPから引用しました)
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ベニスに死す
(映画を全部みたい人はYouTube ムービーで¥400で見られるようです)
https://www.youtube.com/watch?v=TyflXLYlNRE&t=349s

私も阪神淡路大震災では実家を失ってしまいました。ダニエル・ハーディングも、ある意味生き残った人々との共感もあったのではないかと思います。また震災の日に新日本フィルとマーラーを演奏したことが、その後の彼の人生と仕事に何らかの影響を与えたのではないかと思います。

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2019年3月 9日 (土)

クレア・フアンチ ピアノリサイタル@ブルーローズ2019・3・8

Imgサントリーホールのブルーローズに行ってきました。クレア・フアンチのピアノリサイタル。

なぜか全席自由席とあって、開場前から長蛇の列です。本来なら大ホールでマレイ・ペライアのピアノリサイタルがある予定だったそうですが、体調不良で中止ということで演奏者もファンも誠にお気の毒です。

そのせいで、ブルーローズの列以外はカラヤン広場も閑散としていて、風も吹いているし、よけいにもどってきた寒気が身にしみます。

客席は7~8割くらいの入りでしょうか。やはり手が見える、ステージに向かって左側が人気です。

フアンチはポスター通りの赤のコスチュームで登場。いつも右手にブレスレットをつけていますが、あれはバランスをとるためにつけているのでしょうか?

スカルラッティのソナタは彼女の18番と思われますが、これを巨大なスタインウェイのフルコンサートで演奏されると、やっぱり倍音がうるさくて聴きづらい感じがします。

本来チェンバロのための曲なので、響きの少ないピアノの方が聴きやすいと思います。

ショパンの夜想曲と、特にバラード第1番は圧巻でした。卓越したテクニック・激しいパッション・隅々まで浸透する歌謡性で聴衆を惹きつけるパワーには圧倒されました。これはアリですね。YouTube でも聴けます(注意:最初の演奏は広告)↓
https://www.youtube.com/watch?v=xziZgGfZk7g

ピアノソナタも聴けます
https://www.youtube.com/watch?v=BEpb2m43nh0

休憩後のラフマニノフの前奏曲は、彼女の芸風から言えばショパンよりさらに向いている感じでした。CDを発売したとのことで、トレイラーも公開されています↓。https://www.youtube.com/watch?v=_kvPnipWFm4

作品23の1
https://www.youtube.com/watch?v=vPkjUh_FQAU

アンコールを4曲もやってくれて、大満足のコンサートでした。終了後サイン会もやっていました。ファンサービスも怠りない人です。

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2019年3月 7日 (木)

やぶにらみ生物論123: アドレナリンとノルアドレナリン

神経伝達物質のうち、まずアセチルコリンについて前稿で述べましたが(1)、生体内にはその他にも多くの神経伝達物質があります。おおざっぱに分類するとアセチルコリン、モノアミン、アミノ酸、ペプチド、その他ということになりますが(図1)、これから順次みていきましょう。

種類は多くても、これらの神経伝達物質はシナプス小胞に蓄えられ、必要な場合にシナプス間隙に放出され、シナプス後細胞の受容体にトラップされることによって情報伝達を行なうというメカニズムに変わりはありません(図1)。

A


まずモノアミン類ですが、主要な分子はノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミン、セロトニン、ヒスタミンの5つです。アセチルコリンがコリンの酢酸エステルであるのに対して、これらは水酸基のついているベンゼン環またはインドール環をもつ芳香族で、ローンペアのある窒素を含むアミンです。アセチルコリンの窒素原子は電子を供与できません。ヒスタミンについては後に記すことにします。

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渋谷駅の東口を出て六本木通りを六本木方向に進むと、すぐクロスタワーが見えてきます。クロスタワーの前を通り過ぎて少し歩くと長井薬学記念館というビルがあります。日本薬学会の事務所があるビルですが、この長井という名前は日本の近代薬学の創始者であり、薬学会の初代会頭である長井長義の名にちなんだものです。

長井長義は波乱に満ちたアドレナリン物語の起点となる人物でもあります。上中啓三(図3)は東京大学医学部薬学科に入学し、長井長義の研究室で薬学者としてのスタートを切りました(2)。長井らはエフェドリンの結晶化と構造決定に成功しており、上中もここで有機物質の抽出結晶化の技術をきっちりと身につけることができました。しかも図3に示すようにエフェドリンとアドレナリンの構造は似ており、ほぼ同じ方法で抽出結晶化ができたことが、上中の成功の要因でした。

ちなみにエフェドリンは今でも使われている鎮咳薬で、塩酸エフェドリンやその誘導体が風邪薬によく含まれています。アドレナリンにも鎮咳作用はありますが、医薬品としては主に強心剤として使われます。

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アドレナリンは上中がかかわるよりかなり前にその存在が確認されていましたし(3、4)。1895年にはムーアが血圧上昇作用を持つ副腎抽出物が塩化第二鉄と反応して緑色になるというヴルピアン反応を示すことを確認していました。アルフレッド・ヴルピアン(図3)は19世紀半ばに、副腎が塩化第二鉄で緑色、ヨードで桃色もしくはバラ色を呈することを発見していました。これはカテコール関連物質に特異的な反応で、アドレナリンの同定にも有用でした。

しかし上中が米国の高峰譲吉研究室に留学した頃(1899年)になっても、その構造は明らかになっていませんでした。

当時高峰はタカジアスターゼの製造でパーク・デービス社という大企業とコラボしていて財力があり、9kgという大量の副腎を集めることができたので、上中としては非常に良い条件で仕事を始めることができました(5)。高峰はもともと研究者というよりビジネスマンであり、大学をでたあとしばらく役人をやって、その後現日産化学を設立したりしていました。

アドレナリンの構造決定は世界的な大競争となり、上中-高峰もそこに参入したわけです。米国生化学会の重鎮エイベルもそのひとりで、1899年にはその副腎由来活性因子の名をエピネフリンと命名し、精製と構造決定を試みていましたが、その方法がまずかったので、結局成果は得られませんでした。上中はエイベルのサンプルがヴルパイン反応を示さないことから、それはアドレナリンではないことを確認しました。

上中は渡米翌年の1900年に、はやくも長井研で鍛えた腕で見事にアドレナリンの結晶化に成功し、高峰は世界中の学会で発表を行ないました。そして高峰のスポンサーだったパーク・デービス社は1903年にはアドレナリンを全世界に販売開始しました(5)。

ところが高峰が1922年に亡くなった後、エイベルは高峰らの業績は自分たちの成果を盗んだものだと言い放ち(5、6)、その後100年以上米国と米国の影響が強かった日本ではアドレナリンという名は使われず、エピネフリンが正式名となっていました。日本薬局方でアドレナリンと改正されたのは2006年で、なんと100年以上も間違った名前が使われていました(7)。

上中・高峰の名誉回復のきっかけとなったのは、上中の実験ノートが公開されたことだそうです(8、9)。元岡山大学教授で上中氏と同郷(兵庫県西宮市名塩)の僧侶中山沃氏が、自坊の境内に石碑を建立されています(8、図4)。

上中氏は1916年に帰国しましたが、決してエイベルの中傷でひどい目にあったわけではなく、高峰氏が社長だった第一三共製薬(当時は三共製薬)に入社し、監査役にまで上り詰めるというよい人生だったようです(10)。とはいっても、自動車も走っていない馬車時代に、ホルモンであり神経伝達物質でもあるアドレナリンの精製純化と構造決定をなしとげた上中・高峰が、ノーベル賞の栄誉に浴さなかったというのは残念であり、ノーベル財団の大失敗だったのでしょう。

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アドレナリン(高峰は adrenalin というスペルを用いましたが、現在では adrenaline というスペルが一般的です)はアミノ酸のひとつであるチロシンから合成されます(図5)。ドーパミンやノルアドレナリンは中間生成物ですが、単なる中間生成物ではなく、それぞれ別個の神経細胞で神経伝達物質としての機能を発揮します。

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アドレナリンとノルアドレナリンは細胞ごとに棲み分けている場合も多いですが、機能的には類似しており受容体は共通です。その受容体とはもうこのブログでも何度も登場してお馴染みの、7回膜貫通型3量体Gタンパク質共役型受容体(GPCR=GTP-binding protein-coupled receptor )です(1、11、図6)。アドレナリン・ノルアドレナリンをトラップするGPCRには、α型とβ型の2つのタイプがあり、それぞれがさらにいくつかのサブタイプに分かれています。

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GPCRは生物が発明したタンパク質の中でも最大級に重要なタンパク質であり、「薬のすべてがわかる!薬学まとめ」によると、「医療に用いられている薬の約半数は、直接的もしくは間接的にGPCRを標的としている。世の中にある薬の半分はGPCRが関わっているということである。」・・・だそうです(11)。細胞を家に例えればGPCRはポストに例えられるでしょう。注意すべきは、同じ手紙が投函されても家に住んでいる人(Gタンパク質)によってとる行動は異なるということです。

α型には3量体Gタンパク質のαサブユニットがGqのもの(α1型)とGiのもの(α2型)があり、α1型はアセチルコリン受容体のM1、M3、M5型の場合と同様に、GqがPLC(フォスフォリパーゼC)を活性化し、PLCがイノシトール4,5-ビスリン酸をイノシトール3リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DAG)に分解し、IP3はERからのカルシウム放出、DAGはプロテインキナーゼCを活性化します。これらの反応が筋収縮などの引き金となり、下記のリストのような反応を引き起こします(12)。これらは生物が活発に活動するあるいは戦闘態勢にはいるための準備といえます。

眼: 瞳孔散大筋 収縮
血管平滑筋: 収縮
肝臓: グリコーゲン分解 血糖上昇
膵臓: β細胞 分泌抑制
膀胱: 括約筋 収縮
唾液腺: 粘稠性増加、少量分泌
脂肪細胞:脂肪分解促進

α2型はシナプス前細胞にも存在し、放出されたアドレナリン・ノルアドレナリンをトラップして、これらの情報伝達因子が後細胞や作動細胞にいかないように抑制する役割があります。α2型はアセチルコリン受容体のM2、M4型と同じく、共役するGタンパク質のαサブユニットはGiであり、これはアデニルシクラーゼの活性を阻害してcAMPのレベルを低下させ、cAMP依存性プロテインキナーゼの活性を抑制するほか、グリコーゲンや脂肪の分解を抑制する、心筋を弛緩させる、血小板を活性化するなど、生物が休養・食事・睡眠などを行なうのに適した状態を維持するはたらきがあります(6、12)。

β型は共役するGタンパク質のαサブユニットがGsであり、GsはGiと正反対にアデニルシクラーゼを活性化する作用を持ち、cAMPの濃度を上昇させます。したがってβ型はα2型とは正反対の生理作用をもたらします。心筋を収縮させ、異化代謝を活性化しますが、平滑筋は弛緩させます。腸を動かすのは平滑筋ですが、食事している場合じゃないということでしょうか。β型にもサブタイプがありますが、ここでは述べないことにします。

アドレナリンの特徴は神経伝達物質であると同時に、副腎髄質から分泌されるホルモンでもあるということです。これはあまり好ましいこととは思えませんが、何が起こるかは受容する細胞のGタンパク質によるというメカニズムが優れていて、特に問題は発生しません。

参照

1)やぶにらみ生物論122: アセチルコリンによる神経伝達
http://morph.way-nifty.com/grey/2019/02/post-5a95.html

2)上中啓三:wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E4%B8%AD%E5%95%93%E4%B8%89

3)Vulpian, E.F.A., Note sur quelques reactions propres a la substance des capsules surrenales. Comptes rendus hebsomadarires des seances de

l'academie des sciences, vol.43., pp. 663-665 (1856)

4)Napoleon Cybulski: wikipedia
https://en.wikipedia.org/wiki/Napoleon_Cybulski

5)山嶋哲盛 アドレナリンの発見と高峰譲吉
https://www.slideshare.net/waii/ss-4357821

6)アドレナリン(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%8A%E3%83%AA%E3%83%B3

7)山野ゆきよし メルマガ 「アドレナリン」もう一つの名誉回復
https://blog.goo.ne.jp/yamano4455/e/385f8411bf242d68e525efcb2ef29a4a

8)中山 沃(なかやま そそぐ) 上中啓三のアドレナリン実験ノート
教行寺所蔵となった経緯
http://www.chemistry.or.jp/know/doc/isan002_article.pdf

9)山下愛子 上中啓三 : アドレナリン実験ノート Adrenaline Research Note of Uyenaka Keizo (1900)
https://ci.nii.ac.jp/naid/110007577369

10)三共(株)『三共六十年史』(1960.12) 渋沢社史データベース
https://shashi.shibusawa.or.jp/details_nenpyo.php?sid=3750&query=&class=&d=all&page=14

11)薬のすべてがわかる!薬学まとめ  Gタンパク質共役型受容体(GPCR)
http://kusuri-yakugaku.com/pharmaceutical-field/pharmacolory/receptor/membrane-receptor/gpcr/

12)管理薬剤師.COM
https://kanri.nkdesk.com/hifuka/sinkei25.php

 

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2019年3月 3日 (日)

新大阪駅から見たジェット機とプロペラ機

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岡野宏典×熊木杏里 『春よ、来い』   

https://www.youtube.com/watch?v=ySVmjDLebgM

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2019年2月28日 (木)

@niftyは大丈夫なのか!?

A0790_001128ハフポストによると、産経新聞社の新卒採用がたった2人だったそうです。@nifty は系列会社なので非常に心配です。

私はニフティーサーヴの頃から利用させてもらっているので、万一サービス停止なんてことになったら大変だし、困ります。

万が一にも会社をたたき売るなんてことは勘弁して欲しい。

https://www.huffingtonpost.jp/entry/sankei_jp_5c73ac13e4b00eed08367f26

プロバイダーはそんじょそこらのビジネスとことなり、今や文化の重要な担い手です。産経新聞は右翼系読者に頼っている感がありますが、@nifty は必ずしもそうではありません。

日本には蜻蛉日記・更級日記以来、平安時代から日記文化というものがあります。ブログをはじめとするウェブサイトは書いている人の人生そのものです。私は日記は書いていませんが、それでも多大な労力を割いてブログを続けています。

プロバイダーは誇りを持って営業を継続して欲しいと思います。

(写真は産経新聞社とは関係ありません)

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2019年2月25日 (月)

セビージャ戦に快勝も、なにかが狂っているバルサ

Braugrana多忙であるはずのない私が、信じられないほど多忙な昨今。これが逃れられない現実なんだから仕方がありません。

とはいえ、バルサの試合だけは録画しても見逃すわけにはいきません。サンチェス・ピスファンでのセビージャ戦は2:4で快勝のように見えますが、どちらかといえば押され気味でセビージャペースの試合でした。メッシの個人技で勝ったようなものです。

今シーズンのバルサは、白やアトレチコのもたつきで首位を保っていますが、バルサスタイルのサッカーを見失った、奇妙なチームになっています。その最大の原因は、あまりにもメッシ中心のスタイルになってしまったことだと思います。

みんながいつもメッシを見ていて、すべてがそれに合わせて動いているため、自由闊達なバルサスタイルのサッカーができないのです。ロナウジーニョの場合は、彼がほかの攻撃参加プレーヤー全員を見ているという、全くの逆でした。チームの中心となる選手はこうでなければいけません。

メッシはアシストも多いとは言え、基本みんなを見る選手ではなく、ゴールを見る選手なので、彼がチームの中心になると、攻撃参加プレーヤー全員の脳が拘束されてしまうのです。コウチーニョがおかしいのもそのせいです。

では誰がチームの中心になるべきかというと、それはアレニャー以外には見当たりません。彼がみんなを見るプレーヤーに成長するよう祈るのみです。

https://www.youtube.com/watch?v=aG2uddkKWYE

https://www.youtube.com/watch?v=R7QNRHAJ5-k

https://www.youtube.com/watch?v=j_hCrVqr4Dc

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2019年2月21日 (木)

パルシステムの放射能レポート 2019年3月

パルシステム(生協)は放射能による食品汚染にきちんと取り組んでいます。3月のレポートではトリチウム汚染水の危険性について、河田先生のインタビューを行っています。

https://information.pal-system.co.jp/wp/wp-content/uploads/2019/02/2019031_radiationreport.pdf

1

水素とトリチウムの構造は下記のようになっています。水素の原子核は陽子だけですが、トリチウムは陽子+2中性子で構成されています。

2

トリチウムは自然に崩壊してヘリウムを生成します。ヘリウムは原子核が2陽子+中性子でなりたっています。つまりトリチウムの中性子1個が、γ線とニュートリノを放出し陽子1個に変化してヘリウムができます。γ線は遠くまではとどきませんが、近隣の分子を破壊することはできます。またDNAにトリチウムが取り込まれた場合、ヘリウムに変化することによってDNAすなわち遺伝子が破壊される場合があります。

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したがって、トリチウムの大量海洋放出は危険であり、許してはいけません。福島の汚染水タンクに蓄積されている汚染水は、フィルターに問題があって、トリチウム以外のさまざまな放射性物質も含まれています。

下記リンクの文章を一読されることをお勧めします。

https://information.pal-system.co.jp/wp/wp-content/uploads/2019/02/2019031_radiationreport.pdf

http://app.cocolog-nifty.com/t/app/weblog/post?__mode=edit_entry&id=90041178&blog_id=203765

http://app.cocolog-nifty.com/t/app/weblog/post?__mode=edit_entry&id=83728848&blog_id=203765

http://app.cocolog-nifty.com/t/app/weblog/post?__mode=edit_entry&id=81679257&blog_id=203765

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2019年2月19日 (火)

やぶにらみ生物論122: アセチルコリンによる神経伝達

前稿(1)でレーヴィとデイルが、迷走神経を刺激して放出された液体によって、カエルの心収縮が抑制されることを見いだし、その活性を持つ物質がアセチルコリンであることを証明したことを記しました。これがはじめての神経伝達物質の発見だったわけです。

現在では数多くの神経伝達物質が報告されていますが、まずアセチルコリンから見ていきましょう。アセチルコリンはコリンとアセチルCoAを材料として、コリンアセチルトランスフェラーゼという酵素によって合成されます(図1)。アセチルCoAは生物が呼吸を行なっている限りミトコンドリアが産生する物質で、通常細胞質に存在します。

コリンはアセチルコリン合成の材料だけではなく、細胞膜の成分でもあり生合成も可能ですが、それでは足りないので栄養として摂取することが必要です。レバー・卵黄・大豆・赤飯用のササゲなどに豊富に含まれています。

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神経細胞も必要な量のコリンを産生できないので、細胞膜に高親和性トランスポーターという装置を設置して、コリンを外界から取り込んでいます。コリンの取り込みに成功すれば、コリンアセチルトランスフェラーゼは常に十分な活性が存在するので、直ちにアセチルコリンを供給することが可能です(2、図2)。

アセチルコリンは小胞アセチルコリントランスポーターによって、シナプス小胞に取り込まれます(図2)。驚くべき事に小胞アセチルコリントランスポーターの遺伝子は、コリンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子のイントロンの中に存在しており、エンハンサーやプロモーターを共有していることが報告されています(3)。

興奮が軸索末端に伝わるとカルシウムが取り込まれ、前稿(1)のようなプロセスを経て、シナプス小胞が細胞膜と融合して中身がシナプス間隙に放出されます。シナプス小胞ひとつにつき1000~50000分子のアセチルコリンが放出されるようです(2)。

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神経伝達に必要なコリンの大部分は細胞外からとりこまれるわけですが、それを実行する細胞膜のコリントランスポーターは長い間謎に包まれた存在であり、全貌が明らかになったのは最近のことです(4)。1990年頃に後述する様々な神経伝達物物質のトランスポーター遺伝子が次々とクローニングされる中で、コリントランスポーターの研究は屍累々の有様でした(5)。

その突破口は思わぬところにありました。1998年にC.エレガンス(線虫)の全ゲノムが解明され、C.エレガンスもコリントランスポーターを持つことから、奥田等は線虫のゲノム塩基配列情報を利用してcDNAの発現クローニングを行なうことにしました。彼らは候補のcDNAをひとつづつアフリカツメガエルの卵母細胞にいれて発現させ、ついにコリントランスポーターの遺伝子をつきとめました(6)。

奥田等は当初高親和性コリントランスポーターは膜12回貫通蛋白質だと考えていたようですが(5)、最近の文献をみると、13回膜貫通蛋白質とされているようです(7、図3)。この場合N末は細胞外、C末は細胞内に突き出していることになります。

コリントランスポーターの構造解明が遅れたのは、これが他の神経伝達物質のトランスポーターとの類似性がなく、意外なことにグルコーストランスポーターと類似していたことに、構造が解明されるまで誰も気が付かなかったことが大きな要因でした(5)。コリンはもともと栄養物質であり、進化の過程で神経伝達物質として流用されたからこのようなことになったのでしょう。

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ここまで述べてきた神経伝達に関与するコリントランスポーターは高親和性トランスポーター(CHT1)のことですが、コリンはフォスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、S-アデノシルメチオニンの合成などにも寄与しており、中親和性トランスポーター(CTL1~CTL5)、低親和性トランスポーター(OCT1~OCT2)が知られています(8)。これらのトランスポーターは血液脳関門においても重要な役割を果たしていると思われますが(8)、神経伝達に直接関与してはいないようなので、ここでは文章の脈絡上触れないでおきます。

さてシナプス間隙に放出されたアセチルコリンを、シナプス後細胞や組織の細胞が受け取らなければなりません。シナプス間隙はわずか20~40nmというリボソーム一つ分くらいの距離なので、瞬時に受け取ることができると考えられます。アセチルコリンを受け取るための受容体には大別してムスカリン性受容体とニコチン性受容体の2種類があります。前者はムスカリン、後者はニコチンがアセチルコリンのアゴニストとして機能します(9、図4)。化学式をみるとニコチンはアセチルコリンとは似ても似つかない化合物ですが、立体構造が似ているのかアゴニストとして作用します。

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ムスカリン性アセチルコチン受容体には5つのサブタイプがあり、それぞれM1~M5と命名されています。組織によって主に存在するサブタイプに違いがあります(10)。また組織によって作用が異なります。図5に一覧を示しました。

ムスカリン性アセチルコチン受容体は、7回膜貫通型のGタンパク質共役受容体(GPCR=G protein-coupled receptor)であり(11)、主に副交感神経の活動に関与しています。リガンドを受け取ると、細胞内ドメインに結合している3量体Gタンパク質(αβγ)を解離することによってその役割を果たします。結合している3量体Gタンパク質のαサブユニットには2つのタイプがあり、その違いによってM1、M3、M5が持つG蛋白質はGq型、M2、M4が持つG蛋白質はGi型とよばれます(9、図5)。

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アセチルコリンまたはムスカリンが受容体に結合すると、Gq型の場合受容体に結合していた3量体G蛋白質がα と β+γ に解離し、GDPと結合していた α はGDPと解離してGTPと結合します。GTPと結合したα (Gq型α-GTP)はフォスフォリパーゼCを活性化します。この酵素の作用によって、フォスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸がジアシルグリセロール(DAG)とイノシトール3リン酸(IP3)に分解され、DAGはプロテインキナーゼCを活性化し、各種のタンパク質のリン酸化が促進されます。またIP3は小胞体のIP3受容体に結合して、細胞質にカルシウムを放出させます(12、図6)。

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Gi型の場合、αサブユニットがGTPと結合するところまでは同じですが、Gi型α-GTPはアデニルシクラーゼ活性を阻害し、ATPからサイクリックAMP(cAMP)が合成される反応を抑制します。この結果cAMPプロテインキナーゼの活性が抑制され、様々なタンパク質のリン酸化が抑制されます(13、14、図7)。ですから図5のM2、M4の場合など、筋収縮やさまざまな異化的代謝を抑制するなど、生物が休養・食事・睡眠などをとるのに適した働きをします。

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ニコチン性アセチルコリン受容体はムスカリン性のものと全く違って、Gタンパク質共役受容体(GPCR)ではなく、受容体そのものがイオンチャネルです。ニコチン性アセチルコリン受容体にも3つの型がありますが・・・(筋肉型(NM) : 神経筋接合部に分布、末梢神経型(NN):自律神経節、副腎髄質に分布、中枢神経型(CNS):シナプスに分布、9)・・・それらの3つの型は、Gq型とGi型のようにメカニズムが異なるわけではなく、リガンドの結合によってチャネルが開くというメカニズムに変わりはありません。

ニコチン性アセチルコリン受容体の構造は、宮澤らによる極低温高分解能電子顕微鏡を用いた研究によって解明されました(15、16、図8)。この分子は(α、α、β、γ or ε、δ)の5つのサブユニットからなり、それらが環状に配置されてイオンチャネルを形成しています。それぞれのサブユニットは細胞膜を1回貫通しています。

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アセチルコリンまたはニコチンが受容体に結合すると、受容体のサブユニットがアロステリックな構造変化を起こしてイオンチャネルが開放されます(15、16)。このチャネルは、カチオンでありサイズが大きすぎなければ非選択的にイオンを通過させます。したがってリガンドが結合するとチャネルが開放され、ナトリウムやカリウムが細胞内に流入し、ただちに活動電位が発生します。

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参照

1)http://morph.way-nifty.com/grey/2019/02/post-e2ed.html

2)脳科学辞典 アセチルコリン
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%83%81%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%B3

3)Lee E. Eiden.,The Cholinergic Gene Locus., Journal of Neurochemistry., vo.70, no.6, pp. 2227-2240 (1998)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9603187

4)Takashi Okuda et al., Transmembrane Topology and Oligomeric Structure of the High-affinity Choline Transporter., J. Biol. Chem., vol.287, no.51., pp. 42826-42834 (2012)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3522279/

5)奥田隆志、芳賀達也: 高親和性コリントランスポーター -ゲノム情報を利用したクローニング-
蛋白質 核酸 酵素 45巻 10号 pp 1722-1727 (2000)

6)Takashi Okuda et al.,  Identification and characterization of the high-affinity choline transporter., Nature Neuroscience, vol. 3, pp. 120-125 (2000)

7)Haga, T., Molecular properties of the high-affinity choline transporter CHT1.,  J. Biochem. vol. 156(4): pp. 181–194  (2014) doi:10.1093/jb/mvu047
https://www.researchgate.net/publication/264390083_Molecular_properties_of_the_high-affinity_choline_transporter_CHT1

8)岩尾 紅子、稲津 正人: 血液脳関門におけるコリントランスポーターの機能発現 Functional expression of choline transporters in blood-brain barrier., 東大医誌 vo.75 (1), pp. 74-77 (2017)

9)アセチルコチン受容体
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%83%81%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93

10)Brian Piper: Muscarinic agonists and antagonists (2012)
https://www.slideshare.net/bpiper74/muscarinic-agonists-andantagonists

11)Kubo T. et al., Cloning, sequencing and expression of complementary DNA encoding the muscarinic acetylcholine receptor. Nature vol. 323: pp. 411-416.   (1986)
https://www.nature.com/articles/323411a0

12)https://ja.wikipedia.org/wiki/G%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA

13)https://ja.wikipedia.org/wiki/G%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E8%B3%AA

14)https://www.jst.go.jp/pr/announce/20060623/zu1.html

15)Miyazawa A, Fujiyoshi Y, Unwin N., Structure and gating mechanism of the acetylcholine receptor pore. Nature. 2003 Jun 26;423(6943):949-55.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12827192

16)宮澤淳夫、藤吉好則: ニコチン性アセチルコリン受容体の構造と機能 蛋白質 核酸 酵素 col.49 no.1 pp. 1-10 (2004)
http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.phpyear=2004&number=4901&file=mndiLGM3FM1ZjMmfEFUUKA==


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2019年2月16日 (土)

サラとミーナ213: ミーナ:「なんだい」

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リラックスしているミーナに声を掛けると、振り向いてくれました。用もないのに声を掛けるのはなるべく自粛していますが、ついつい。

ネコにとってヒトは永遠の謎です。起きたとき、出かけるとき、帰ったとき、入浴するとき、眠るとき、いちいち着替えるヒトという動物は、なんて奇妙なのでしょう。現実世界ではないテレビやパソコン画面なんて、どうして熱心に見ているのかわかりません。 どうして自分をそっちのけで、本を読んでいるのかわかりません。どうして靴をはいて出かけるのかわかりません。どうして自分だけ出かけて、ネコは留守番なのかわかりません。

私もネコ同士の関係・気分・評価はわかりませんが、ネコと人間の関係はなるべく濃密にするように配慮しています。たとえば部屋にやってきたり、廊下で出会ったりするとあいさつするようにはしています。これはネコにとっても不可解なことではありません。

かまってほしそうにしているときにはかまいます。あといろいろイベントは作っています。朝は必ずベランダに出すとか、私が風呂から出るとおやつタイムとか、寝る前に集合して猫会議をするとか、時間を決めてブラッシングをするとか。いろいろです。ネコは行動の順序や時間を覚えるのは割と得意です。

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2019年2月13日 (水)

JPOP名曲徒然草193: 「マリーゴールド」 by あいみょん

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私は体育会系の音楽とは親和性が無いと思っていましたし、体育会系の女性と付き合ったことはありません。しかしあいみょんの「マリーゴールド」には参りましたね。アルバム「瞬間的シックスセンス」も買いましたし、マリーゴールドは30回くらい聴きました。すばらしいアレンジで盛り上がる「遙か遠い場所にいても 繋がっていたいな」というフレーズがゾクゾクします。しびれますねえ。

ウィキペディアによると陸上競技の選手だったそうで、リアルに体育会系なんだと納得しました。がたいがいいです。デビュー曲が「貴方解剖純愛歌 〜死ね〜」というタイトルだったことからみて、アングラ系を目指していたのかもしれませんが、それにしてはマリーゴールドは王道のポップス。なにしろオフィシャルビデオのYouTube 再生回数が現時点で>3550万回という恐ろしい数になっています。

平成という静かに沈没していく日本の時代に引導を渡す曲になるのでしょうか。これからの日本は外国人をどんどん入れないとやっていけない国家となります。そのなかでJポップの文化を継承・発展させていくのは、洋楽の影響が希薄で、昭和の歌手ハマショーや河島英五の影響を受けたという貴重な天才シンガーソングライター「あいみょん」が適役でしょう。

彼女はバラードシンガーではないので、私がライヴに行くことはないでしょうが、新時代の旗手としてのご活躍をお祈りしております。

あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
作詞・作曲 あいみょん
https://www.youtube.com/watch?v=0xSiBpUdW4E

あいみょん - GOOD NIGHT BABY【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
https://www.youtube.com/watch?v=E6iZ-xZ8x50

あいみょん - 夢追いベンガル【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
https://www.youtube.com/watch?v=ViG28OU9crI

あいみょん - 今夜このまま【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
https://www.youtube.com/watch?v=mH6LoI63buY

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2019年2月12日 (火)

冬の団地 八重梅とヒヨドリ

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冬枯れで寂しい風景の団地の中で、唯一咲き誇る八重梅。雪にも負けずに春を予告します。

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ジョージI世は随分馴れましたが、II世は警戒心が強くてカーテンを開けると逃げてしまいます。なのでパンくずを食べているところが撮影できません。縄張りを主張するためヒヨドリは枯れ枝に止まってよく鳴きます。

ただ雀にはこの主張はまったく効かないようで、エサを巡る争いも珍しくありません。ヒヨドリは1~2羽、雀は群れなのでヒヨドリが負けることもあります。

II世はいつもメスを連れていて団地の中を飛び回っています(写真)。I世はわりと1羽でいることが多かったと思います。鳥は卵を温めなければいけないので、夫婦が共同で作業することが種の存続に必須です。ただ最近の研究で、卵の4割は他のオスのタネで、オスの4割は大沢樹生のように他人の子を育てていることが分かりました。

https://www.sankei.com/premium/news/150411/prm1504110009-n1.html

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2019年2月 9日 (土)

小泉-都響: チャイコフスキー交響曲第1番@サントリーホール2019・02・09

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北総は積雪の冬景色でした。タイツとヒートテックシャツを着込んで、完全装備でサントリーホールへ。

土日は森ビルの店舗が休みなので、予想通りドトールはほぼ満席。席を確保するのに一苦労しました。ウロウロしているうちに都響メンバーを3人も発見。のんびりしていたので降り番で見学かと思ったら、全員演奏していました。余裕ですね。

おそらく雪が原因でしょう。ホールは約70%の入り。定期会員がかなりサボったようです。せっかくの小泉さんのタクトなのに残念です。都響はインフルエンザもようやく下火になったのか、強力なメンバーが揃いました。コンミスは四方さん、サイドは山本さんです。

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前半は川久保さんのソロでシベリウスのコンチェルト。川久保さんは写真のような赤い衣装で登場。この写真全然良くないと思います。性格が悪いように誤解されるような表情で、どうしてこんなのを使っているのか疑問です。あとシューズが黒だったのも違和感がありました。

ヴァイオリンは良く響きますね。そういえば都響の弦セクションの音も素晴らしい。乾燥した気候が続いて、適度なお湿りがあるという理想的なコンディションだったのでしょう。

後半はチャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」。これは作曲者自身がイメージしたタイトルとは異なり、非常に力強い演奏でした。チャイコフスキーは第1楽章を「冬の旅の夢想」、第2楽章を「陰鬱な土地、霧深き土地」と命名していますが、そういう陰性のイメージとは異なる陽性で筋肉質の演奏でした。それが小泉流なのでしょう。広田氏のオーボエも陰鬱とか悲哀とかとは無縁な音ですから、ピッタリと小泉流にはまっています。

なにしろ弦の音が素晴らしいので、気分良く盛り上がった第4楽章でした。大歓声に答えて、マエストロも上機嫌で手を振っていました。一時期非常にお疲れのような印象を受けましたが、今日は歩行も軽やかで、お元気そうなのが何よりでした。

帰宅してから、フェドセーエフ-モスクワ放送交響楽団の演奏をCDで聴いてみましたが、やはり寒々とした憂愁の1~2楽章で、小泉-都響とは随分違った印象でした。

若き日のマエストロ小泉が九響を振る「冬の日の幻想」
https://www.youtube.com/watch?v=dDZDhFPeqcc

川久保賜紀 美しきロスマリン
https://www.youtube.com/watch?v=ywerw6_8K04

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2019年2月 5日 (火)

やぶにらみ生物論121: 化学シナプスの発見とカルシウムチャネル

シナプスといえば、通常は図1のような化学シナプスを意味しますが、広義では前稿(1)のようなギャップ結合も含まれます。この様な場合、ギャップ結合は電気シナプス、軸索先端と樹状突起・筋肉などが接する通常のシナプスは化学シナプスと呼ばれることになります。ギャップ結合ではイオンや電子は細胞間のトンネルを拡散によってダイレクトに往来しますが、化学シナプスでは細胞と細胞で神経伝達物質を受け渡しするという複雑なプロセスを経て情報が伝わります。

心臓の拍動のように生まれてから死ぬまで同じことをやっているのなら、ギャップ結合での伝達で大丈夫かもしれませんが、その心臓にしても運動すれば拍動を増やさなければなりません。そしてやめれば元に戻す必要があります。睡眠時・冬眠時には拍動は低下します。新たな記憶を蓄積し、日々中身が変化していく脳では、とてもギャップ結合だけではやっていけません。

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化学シナプスの存在を予言したのはカハール(図1)で、その後デ・ロバーティスやパラーデの電子顕微鏡を用いた研究によってその実在が形態学的に証明されました(2)。さらにシナプスにおける情報伝達が、なんらかの水溶性化学物質で行なわれていることを証明したのはオットー・レーヴィです(図2)。

レーヴィはストラスブルク大学の医学部を卒業後いったん臨床医になりましたが、あまりに多くの患者の死を見て自分が無力であることを思い知らされ、臨床医をやめて基礎医学を志しました(3)。

彼はユダヤ系のドイツ人ですが、1902年にオーストリアのグラーツ大学に職を得て、そこで図2の重要な実験を行ない、1921年に発表しました。彼は2匹のカエルから心臓を取り出し、片方には迷走神経をつけたまま、片方は迷走神経を取り除いた状態にしました。両者ともリンゲル液(ナトリウム、カリウム、カルシウムを含む生理食塩水)に浸し、迷走神経に電気刺激を与えると心臓の拍動が低下しました。そしてそのときに心臓をひたしていた液を吸い取り、別のリンゲル液に浸しておいた迷走神経を除去した心臓に滴下するとやはり心臓の拍動が低下することを発見しました。

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レーヴィの実験結果は、迷走神経の刺激によってリンゲル液に溶け出した水溶性の化学物質に、心臓の拍動を低下させる活性があることを意味します。後にこの物質はデイルによってアセチルコリンであることが証明されました。神経伝達物質の発見です。これらの業績によってレーヴィとデイル(図2)は1936年のノーベル生理学医学賞を受賞しました(4)。

レーヴィは運の良い人で、彼の実験は迷走神経の働きが活発な冬のカエルを用いた場合だけ再現できることがあとで分かりました(5)。夏に実験していたらこの発見はなかったことでしょう。

その運の良いはずのレーヴィはその後とんでもない不運に遭遇します。ノーベル賞受賞の2年後にドイツ軍がオーストリアに侵攻し、レーヴィは逮捕されてポストや財産をすべて剥奪されることになりました。しかしなんとか収容所送りは免れ、米国に亡命して1961年に亡くなるまでニューヨークで暮らしました。

バーナード・カッツ(図3)もオットー・レーヴィと同じくユダヤ系のドイツ人でしたが、彼はライプチッヒ大学の医学部を1934年に卒業すると、いちはやく英国に実質亡命し、ロンドン大学で研究を行ないました(6)。その後オーストラリアに移住し、シドニーでエクレスとカフラーという共同研究を得ました。カッツは彼らと共に、アセチルコリンエステラーゼの阻害剤であるエゼリンを用いた実験で、筋収縮が神経筋接合部からの電気刺激によって直接おこるのではなく、神経筋接合部(シナプス)での神経伝達物質の作用によって間接的に活動電位が発生することを示し、レーヴィとデイルの理論を実証しました(7、8)。

カッツはその後オーストラリア国籍を獲得し、第二次世界大戦中はオーストラリア空軍に入隊しました。ニューギニアで航空管制部隊の将校として、日本航空部隊によるポートモレスビーやダーウィン攻撃をレーダーで監視していたようです。戦後ロンドンに戻って研究に復帰しました(8)。

カッツの最大の業績はシナプス前細胞において、神経伝達物質が袋に包まれて保管されており、それが袋単位で膜から放出されてシナプス後細胞を興奮させる役割を持っていることを示したことです(9、10)。文献10にはシナプス前細胞に多数のシナプス小胞が存在することを示す電子顕微鏡写真が掲載されています。カッツのアイデアはその後多くの研究者によって実証され、図3のようなシナプスの模式図が描かれるようになりました。カッツは1970年にノーベル生理学医学賞を受賞しています。

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ニューロン軸索での電気的情報移動は主としてナトリウムチャネルの働きによるものですが、ニューロン末端での化学的情報移動においては主役がカルシウムチャネルに変わります。このメカニズムはウィキペディアで簡潔にまとめてあるので、コピペしておきます(11)。

1.前シナプス細胞の軸索を活動電位が伝わり、末端にある膨らみであるシナプス小頭に到達する。
2.活動電位によりシナプス小頭の膜上に位置する電位依存性カルシウムイオンチャネルが開く。
3.するとカルシウムイオンがシナプス内に流入し、シナプス小胞が細胞膜に接して神経伝達物質が細胞外に開口放出される。
4.神経伝達物質はシナプス間隙を拡散し、後シナプス細胞の細胞膜上に分布する神経伝達物質受容体に結合する。
5.後シナプス細胞のイオンチャネルが開き、細胞膜内外の電位差が変化する。

図3で興味深いのは、シナプス間隙に放出された神経伝達物質のうち、シナプス後細胞にトラップされなかった余剰分子は、シナプス前細胞の自己受容体や能動的再吸収で回収されるという機構の存在です。これは単にもったいないから再利用しようというだけでなく、拡散によって周囲のニューロンに影響を与えるとノイズになってしまうからだと思われます。

カルシウムは昔から筋収縮に必要であることは知られていました。このあたりの話は江橋節郎の自伝にいろんなエピソードが書かれてあり、楽しく読ませていただきました(12)。そのなかでリンゲル液で有名なリンゲルが、早くも1883年に筋収縮にカルシウムが必要であることを示す実験をやっていたことが書いてあります。またポツラーがカルシウムキレート剤によって筋肉が弛緩することを発見したとも記されてあります。

細胞内のカルシウムイオン濃度は通常10の-8乗から-7乗モルという非常に低い濃度ですが、血清中の濃度は10の-3乗モルという高濃度であり、この著しい濃度差をカルシウムチャネルが維持しているわけです(13)。活動電位が神経末端に到達すると、カルシウムチャネルが開いて一気にカルシウムが細胞内に流入するわけです。この電位依存性カルシウムチャネルの構造は、ウィリアム・キャテラルらが中心となって解明しました(14、図4、図5)。

骨格筋のカルシウムチャネルはα1、α2、β、γ、δ の5つのサブユニットからなり、α2とδはSS結合で共有結合しています。カルシウムの通り道となるチャネル自体は膜貫通α1サブユニットにより形成され、δ は細胞外、β は細胞内にあります。このほか膜を貫通するα2とγ がα1に隣接しています(図4)。

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α1サブユニットは6回づつ膜を貫通するドメインを4つ持つ、アミノ酸の数約2000で分子量190キロダルトンの巨大タンパク質です(図5)。β サブユニットとγ サブユニットはどちらも4つのαヘリックス部位を持っていますが、γ が膜を4回貫通しているのに対して、β は一度も貫通せず、細胞内に存在します(図5)。脳神経系におけるカルシウムチャネルの構造もこれに類似していますが、γ  サブユニットについてはチャネルに含まれるかどうかまだ議論があるようです(14)。

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β サブユニットやα1サブユニットの細胞内領域は神経伝達物質の放出制御、シナプス小胞の移動、遺伝子発現の調節などに関与しているとされています。例えばβサブユニットはRIM1という足場タンパク質と結合し、RIM1がシナプス小胞のタンパク質Rab3に結合することが報告されています(15)。このことはカルシウムチャネル複合体が、シナプス小胞を膜近傍に引き寄せる働きを持っていることを示唆しています。シナプス小胞が膜に接近すれば、エキソサイトーシス機構によって神経伝達物質がシナプス間隙に放出されます(図6)

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図7はシナプス前後細胞の電子顕微鏡写真です(16)。シナプス前細胞に多数のシナプス小胞が蓄積されていることがわかります。シナプス後細胞のシナプス側には非常に電子密度の高い部分がありますが、これは神経伝達物質を受け取り、細胞内に取り込む機構が集積しているためと思われます(図7)

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図7は神経と神経の接合部ですが、図8は神経と筋肉の接合部です。同じシナプスですが、その構造には違いがあります。左の電子顕微鏡写真をみると筋細胞のシナプス領域には、効率よく神経伝達物質をトラップするためと思われる多数のひだがみられます(図8)。神経伝達物質が取り込まれることによって、ナトリウムチャネルが開いて活動電位が発生し、筋収縮の引き金が引かれます(17)。

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参照

1)http://morph.way-nifty.com/grey/2019/01/post-b533.html

2)http://morph.way-nifty.com/grey/2018/04/post-a2b0.html

3)ウィキペディア:オットー・レーヴィ
https://en.wikipedia.org/wiki/Otto_Loewi

4)Otto Loewi, Novel lecture: The Chemical Transmission of Nerve Action.
https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/1936/loewi/lecture/

5)Elliot S. Valenstein, The Discovery of Chemical Neurotransmitters., Brain and Cognition vol. 49, pp. 73–95 (2002)
doi:10.1006/brcg.2001.1487
https://pdfs.semanticscholar.org/f7ba/4a5c744019d8e93347a9a04991d8d729a2f7.pdf#search=%27Walter+Dixon

+neurotransmitter%27

6)Sir Bernard Katz, Biographical
https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/1970/katz/biographical/

7)JC Eccles, B Katz, and SW Kuffler., Effect of eserine on neuromuscular transmission. J. Neurophys., vol.5, no.3, pp. 211-230

(1942)
https://www.physiology.org/doi/abs/10.1152/jn.1942.5.3.211?journalCode=jn

8)Bert Sakmann, Sir Bernard Katz: 26 March 1911 - 20 April 2003., Biogr Mem Fellows R Soc. vol. 53., pp. 185-202. (2007)
https://royalsocietypublishing.org/doi/pdf/10.1098/rsbm.2007.0013

9)J del Castillo and B Katz., La base ‘quantale’ de la transmission neuromusculaire. Colloques Int. C.N.R.S. vol. 67, pp. 245–

256. (1957)

10)R. Birks, H. E. Huxley, and B. Katz., The fine structure of the neuromuscular junction of the frog., J Physiol., vol. 150(1):

pp. 134–144. (1960)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1363152/pdf/jphysiol01288-0154.pdf

11)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%8A%E3%83%97%E3%82%B9

12)江橋 節郎: カルシウムと私
http://brh.co.jp/s_library/interview/12/

13)千勝典子、松本俊夫: カルシウム代謝とその調節
http://www.nara-gyunyuya.com/contents/ca/15.htm

14)William A. Catterall、Voltage-Gated Calcium Channels., Cold Spring Harb Perspect Biol 2011;3:a003947 (2011)
doi: 10.1101/cshperspect.a003947
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3140680/pdf/cshperspect-CAL-a003947.pdf

15)清中茂樹,瓜生幸嗣,三木崇史,森泰生、神経伝達物質放出におけるCa2+チャネル複合体形成の生理的意義
生化学 第80巻 7号 pp.658-661 (2008) 
http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/11/80-07-08.pdf

16)Zacharie Taoufiq, OIST2013
https://www.oist.jp/ja/news-center/photos/11850

17)Neuromuscular junction (wikipedia)
https://en.wikipedia.org/wiki/Neuromuscular_junction

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2019年2月 2日 (土)

コロン-都響 ストラヴィンスキー「火の鳥」@東京芸術劇場2019・02・02

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まだまだ寒い日々ですが、久しぶりの東京です。都響C定期で池袋芸劇へ。本日のコンマスは山本さん、サイドは塩田さん(プルチネルラはサイドなし)。私は彼がサイドをやるのははじめて見ました。トレモロなんかコンマスと著しい誤差があって、ちょっと引きましたけどね。

今日は値段の安い席ほど空席が多という不思議な演奏会でした。まあイケメン見たさに前の席に殺到するというのは当然か? 人気沸騰中の指揮者に売り出し中の若手ピアニストの演奏会にしては、やや物足りません。曲目が地味だったのかもしれません。私的にはなかなか好ましいラインアップだと思います。

指揮者はニコラス・コロン。スマートな肢体でイケメンです。細身のボディコンスーツにすごいカフスで登場。1983年生まれで、なんと2004年にはオーロラ管弦楽団を設立し、芸術監督に就任しました。ケンブリッジ大学出身と言うこともあり、おそらく英国の貴族階級の人ではないでしょうか? 

プルチネルラがはじまると、やはりノーブルで繊細な指揮ぶりでした。この曲はバロック音楽の編曲なのですが、なぜかクラリネットのパートがなく、オーボエ広田氏の独壇場。たっぷり聴かせてもらいました。

2曲目はハイドンのピアノ協奏曲ニ長調。ソリストはキット・アームストロングです。彼は1992年生まれで、まだ20才台の若手ですがブレンデルの1番弟子ということで非常に注目されています。コロンに合わせたわけじゃないのでしょうが、切れ味は十分でも大変上品な演奏でした。都響の弦パートも彼らの趣味に合わせたように繊細で上品な演奏。こういうのもできるのねと感心しました。アームストロングは歓声に応えて、ソリストアンコールもやってくれました(ハイドンのファンタジア)。

休憩後の後半はお馴染みの「火の鳥」。ですが、こんな火の鳥を聴いたことはありません。まるで王宮のステージに貴族達が集まって演奏会をやっているような感じです。気品に満ちあふれ、隅々まで配慮が行き届いた美しさ。ファゴット(岡本さん)の子守歌も素晴らしくハートフェルトでした。ただ序奏だけはちょっと上品すぎて、不気味さが足りないという不満が残りました。

コロンが常任になったら、都響も全く違ったオケになるかも知れないと思いました。彼は指揮者のタイプとしてはセミヨン・ビシュコフとやや似てるかな。コロンもビシュコフと同様、世界のトップオケを振ってまわることになるのでしょう。

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2019年1月29日 (火)

森保ジャパン イランを完璧に粉砕

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(写真はウィキペディアより)

ひとりの選手によって、こんなにチームが変わるものなのか! 大迫勇也の実力をみせつけたゲームでした。本来なら柴崎がチームをまとめなければいけないのですが、彼はリーガで試合に出ていないせいか、サウジ戦までは動きが悪く、自分のことで精一杯でした。それでもベトナム戦あたりから復調してきて、イラン戦では遠藤と共に攻守に獅子奮迅の活躍でした。決勝では絶好調でチームを動かせるかな。

イランのエース、アズムンをほぼ完璧にかつフェアーに止めた冨安のプレーは絶賛ものです。スピードやポジショニングも素晴らしく、彼は欧州でも名のあるチームでCBを勤められるのではないでしょうか。大迫はバルサではスアレスにプレースタイルが似ています。ポイントゲッターとしての比較はともかく、ポストプレーのうまさではひけをとらないと思います。

南野は左右の違いはあれメッシタイプの選手で、彼が点を取るにはリフレクターが必要です。今回のアジアカップで彼が点を取れないのは、リフレクターをやってあげようという選手がいなかったことにつきます。バルサでは全ての選手がメッシのリフレクターになります。決勝では大迫がリフレクターになって点を取れるかもしれません。

その南野が、イラン戦ではイランの選手がレフェリーに抗議している間に、機敏にボールを追って必殺クロスを上げました。大迫はいちはやく感じて、長い距離を走ってすばやく良いポジションについていました。

森保監督がベトナム戦に大迫をスタメン起用しなかったのはファインプレーだったと思いますね。森保監督は周囲の圧力や自分の感情や感覚にとらわれず、冷静沈着に指揮するところが魅力です。このチームなら、韓国も消えたことですし、優勝できそうですね。

https://www.youtube.com/watch?v=MD5NudzWy2M
https://www.youtube.com/watch?v=Be4cE3Iue3A
https://www.youtube.com/watch?v=uNk_tnwt-OA&t=457s

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2019年1月26日 (土)

JPOP名曲徒然草192: 「ヘビースモーク」 by にしな

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路上からギター1本かかえてたたき上げたシンガーソングライター「にしな」。あいみょんを陽とすればにしなは陰かな?

中森明菜や松田聖子のきらびやかな時代を知っている者にとって、音楽も「崩壊する時代」と共にデコレーションがはぎ取られてしまったという寂しさはありますが、素に立ち戻った音楽もまたよしとしましょう。

そんな中でも、「にしな」は毎月CDを自主制作して販売しているようです。

ヘビースモーク
https://www.youtube.com/watch?v=0Z2GaGTHt4A

ワンルーム
https://www.youtube.com/watch?v=R5DM2dl7cFE

秘密基地
https://www.youtube.com/watch?v=4heBNGqp7z4

君が誰かの彼女になりくさっても / 天才バンド
(カバー by にしな)
https://www.youtube.com/watch?v=GaVM1hLwRG8

君が誰かの彼女になりくさっても / 天才バンド
(カバー by あいみょん)
https://www.youtube.com/watch?v=Iw5qIEXSJ5A

--------------------

Twitter
https://twitter.com/nishina1998

オフィシャルにしな
https://www.youtube.com/channel/UCeJ-aTFXnVBofqL9JXqNSNA

月刊にしな1月号トレーラー
https://www.youtube.com/watch?v=aUfjNBgaOIY

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2019年1月23日 (水)

あなたは74才のパイロットが操縦する飛行機に乗りますか?

A0960_008016小泉進次郎:「今の日本で『現役』と言えば生産年齢人口である15~64歳を指します。でも15歳で働く人は非常に少ない一方、64歳を超えて働いている人はかなりいます。例えば『現役』の定義を18~74歳に変えます。今のままだと現役世代の割合は大きく減っていきますが、定義を変えれば30年先でも現役世代の割合はあまり変わりません。『景色が変われば意識が変わる』という言葉を僕はよく使いますが、ぜひ『現役』の定義を見直して人々の意識を変えたいですね」
https://johosokuhou.com/2019/01/20/12004/

↑↑↑これは詐欺的レトリックで論外ですが、それはさておき本当に65才を越えても現役で仕事が出来るかというと、一見できる人もいそうな感じですが、「忘れる」ということと「反射神経が鈍る」ということは思った以上にリスクが大きい老化現象です。

たとえば1回のスイッチ切り忘れで火事になったり、鍵のかけ忘れで盗難にあったり、ひとつの作業を忘れたために全プロジェクトがおしゃかになったりするのです。私はよく駐車券を車の中に忘れて、はるばる駐車場にとって返します。

バスの運転手や旅客機のパイロットなら、一度のミスで多くの人命が失われるかもしれません。私は何も段差のない平地で、突然転倒して血だらけになったことがあります。年を取るほど信じられないような物忘れと凡ミスは増加します。若い人にはそれがわからないのです。

そういうことを考えると、~74才現役というのはとても危険なかけです。

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2019年1月20日 (日)

サラとミーナ212: ぱっちり&うとうと

Img_2819bサラはコードには異様に関心を持っています。

ピンコードでも、USBコードでも、ヘッドホンでも、ともかくかじって確かめないと気が済まないのです。

多分食べられない物と確認するためにかじるのだと思います。

サラは毎日のようにそれを確認します。しないと気が済まないようです。今までそれで破損して使えなくなったことは一度もないのですが、注意しておかないと漏電の恐れがあります。

ミーナも好奇心が全然無いわけではないのですが、人で言えばミーナの好奇心はやじうまどまりですが、サラの好奇心は科学者とか職人を思わせるものがあります。

ミーナの寝ぼけ顔は結構愛嬌があって、私のお気に入りです。

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2019年1月16日 (水)

シンシアとクリスタル・ケイ

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2006年に、このブログに「もうひとりのシンシア」というタイトルで記事を書いたことがあります。
http://morph.way-nifty.com/grey/2006/09/post_3732.html

シンシアの「Every woman」というアルバムが大好きでした(写真)。2枚購入したくらいです。このアルバムは1995年発売で、結局それほど売れないで、シンシアもミュージックシーンから消えてしまい残念でした。ただ現在アマゾンをのぞくと、なんと新品が6000円で販売されていました。中古品は結構リーズナブルな価格で購入できるようです。
こちら

ところが最近「YOUTUBE」情報で、シンシアは実はクリスタル・ケイの母親で今も歌っているそうで、腰を抜かしました。
https://www.youtube.com/watch?v=ZupTsdR0tvM

さらに調べると橫浜パラダイスカフェのインタビューでたっぷりお話しされていて、彼女がライオネル・リッチーの家に行ったときに、彼にクリスタル・ケイは俺の子じゃないかと疑われたという話にはまたもや「えーっ・・・・?」
https://www.youtube.com/watch?v=BYwhRiZMip8

そういえば、このライオネル・リッチーのビヘイビアーはかなり変。ひょっとすると俺の娘じゃないかという疑いを持って歌っているような雰囲気があります。
ライオネル・リッチー - 「エンドレス・ラヴ」 with クリスタル・ケイ
https://www.youtube.com/watch?v=R4rFHvVSMUs

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2019年1月12日 (土)

やぶにらみ生物論120: ギャップ結合チャネル

多細胞生物が出現したのはいつなのかはわかりませんが、単細胞生物が多細胞になるためには、ともかく細胞分裂がおこったときに2つの娘細胞が離れないでくっついているためのメカニズムを構築することが重要でした。その上で生殖細胞を分化させ、生殖細胞は本体から分離しなければなりません。

細胞を接着させる機構は、図1に示すようにいくつかあってそれぞれ特徴がありますが(1)、ここでは興奮の伝達というブログの流れから、ギャップ結合とその構成要素であるコネクシンに着目します。図1・図2にみられるようにギャップ結合部位にはトンネルがあって、分子量約1000以下の水溶性低分子はここから隣接した細胞に移動することが可能です。

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ギャップ結合の構造は1967年にレベルとカルノウスキーによって発見されました(2)。 この構造にギャップ結合(Gap junction)という名前を与えたのは、ブライトマンとリーゼとされています(3)。これが細胞と細胞を結ぶトンネル様の構造であることは、X線解析や電子顕微鏡観察によって1970年代に明らかにされました(4)。また構成タンパク質であるコネクシンも報告されました(5)

細胞興奮(アクションポテンシャル)の本質はイオンの移動ですから、このトンネルを通してイオンが移動すれば興奮も隣の細胞に移動します。神経伝達の基本はシナプスですが、これはいったん細胞から出たシグナル分子が隣接細胞のレセプターを介して情報の受け渡しをおこなうプロセスであり、制御可能で正確な伝達ではあっても時間を要します。

これに対して、たとえば心臓のように多くの細胞が常時連動して興奮すべき器官では、関連する細胞がギャップ結合で連結していて、イオンや電子が直接移動することによって興奮の伝達を行なうことができれば、非常に効率的です。ギャップ結合はこのような目的にふさわしい構造です。

図2にギャップ結合の大まかな構造を示します。トンネル部分を分子が通過することからギャップ結合チャネルとも言われます。チャネルとは水路という意味です。6分子のコネクシンというタンパク質が集合してパイプのような構造を形成し細胞膜を貫通します(6)。この6量体をコネクソンといいます。

A_2


コネクソンは隣接細胞のコネクソンと結合してギャップ結合チャネルを形成します(図2)。ギャップ結合チャネルは細胞と細胞を接着させる機能と、細胞から細胞への分子量約1000以下の分子の移動をサポートするというふたつの機能を持っています。他の細胞接着構造は細胞間の分子移動をサポートしていません(図1)。

ヒトやマウスにはそれぞれ20のコネクシン遺伝子があり、それに対応して20種のタンパク質がコネクシンとして機能しています。同じタンパク質6個が集合してコネクソンを形成することもあれば(ホモマー)、別種のタンパク質が集合してコネクソンを形成することもあります(ヘテロマー)(図3)。ホモマーのコネクソン同士が結合してギャップ結合チャネルを形成することもあれば、ヘテロマーとホモマー、ヘテロマーとヘテロマーという組み合わせの場合もあります(7、図3)。

A_3

図4にギャップ結合の電子顕微鏡写真を示します(8、東京医科歯科大学講義資料より)。細胞と細胞の間には通常10~20nmくらいの隙間があるのですが、ギャップ結合部位では2~4nmに狭まっており、多数のギャップ結合チャネルが存在して留め金のように細胞と細胞を接着させています(9)。

A_4

前田らはギャップ結合を構成しているコネクシンが電位の変化によって分子構造を変化させ、チャネルを閉鎖できることを示しました(10、11、図5)。このことによってギャップ結合を介した興奮伝達も、アクションポテンシャルのように一過性であることが可能になります。

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随意筋である骨格筋は数千個の筋細胞が融合してできたシンシチウム(多核細胞体)であり、ひとつのニューロンのアクションポテンシャルがシナプスを介してシンシチウムに伝えられると、このひとつのシグナルによって数千個の細胞に相当するシンシチウムが統合された筋収縮を行なうことができます(12)。

一方不随意筋からなる心臓は個々の細胞が個別に連携して筋収縮を行なう必要があります。19世紀には心臓の収縮は神経によって支配されるという神経原説と、心臓自体に自動収縮能があるという筋原説が対立していましたが、エンゲルマン(図6)はカエルの心筋を分断しても、ごく一部の筋束で繋がっていれば分断された双方が同調して収縮することから、筋原説を提唱しました(13)。

A_6


田原(図6)は心臓の刺激伝達系を詳しく解析し、刺激は房室結節に発し、房室束からプルキンエ線維に伝えられて心臓全体が動くことを示しました(14、図7)。田原の発表の翌年には、房室結節の上流に洞房結節という組織があり、ここがシグナルの源泉すなわちペースメーカーであることがキースとフラックによって発見されました(15、図6、図7)。田原としては大魚を逸したということで、大変残念だったことと思います。

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前記したようにコネクシン(コネキシン)には多くの種類があり、それぞれトンネルのサイズや特異性、どのくらいの電位差で開閉するかなどに違いがあります。図7のようにそれぞれが組織特異的に分布しています(16)。心臓の中でも部位によって各分子の局在が異なります。いずれにしても神経によって直接活動が制御されていない心臓の活動は、ギャップ結合チャネルによって統合されることによって秩序のある収縮が行なわれていると考えられています。

無脊椎動物にもコネクシンに相当するタンパク質は存在し、イネクシンと呼ばれています。しかしイネクシンが分子進化によってコネクシンができたわけではなく、脊索動物が持つコネクシンは別系統の4回膜貫通タンパク質から進化したと考えられています(17、図8)。

脊索動物にはコネクシン以外に、イネクシンに近縁のパネクシンというタンパク質が存在し、これはカエルなどではギャップ結合チャネルをつくりますが、哺乳類ではつくりません。では何をやっているかというと、細胞と外界とを結ぶ膜チャネルとして機能しています。コネクシンも連結するコネクソンがない場合、膜チャンネルをつくることもあります(17)

A_8


ギャップ結合チャネルには興奮の伝達以外にも重要な働きがあることが知られています。ある細胞にある化学物質が情報を伝えたとします。その情報を核に伝えるシグナル因子がつくられた際に、その細胞とギャップ結合をしている細胞にはそのシグナル因子が伝わり、同じ遺伝情報が発現されることになります。

このことは生物がその発生過程のなかである臓器を作る場合、ギャップ結合でつながっている細胞群がその臓器に分化し、つながっていない細胞群は別の臓器に分化することを意味します(17)。ですからギャップ結合チャネルは多細胞生物が形態形成をおこなう上で有意義なツールだと言えるでしょう。


参照

1)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E8%83%9E%E6%8E%A5%E7%9D%80

2)J. P. Revel, M. J. Karnovsky., Hexagonal array of subunits in intercellular junctions of the mouse heart and liver. J. Cell Biol., vol.33 C7-C12 (1967)

3)M.W. Brightman and T.S. Reese., Junctions between intimately apposed cell membranes in the vertebrate brain. J. Cell Biol., vol.40,  pp.648- 677 (1969)

4)J.C. Saez et al., Plasma membrane channels formed by connexins: Their regularion and functions. Physiol. Rev., vol. 83., pp. 1359-1400 (2003)
https://www.physiology.org/doi/pdf/10.1152/physrev.00007.2003

5)Daniel A. Goodenough., Bulk isolation of mouse hepatocyte gap junctions. Characterization of the principal protein, connexin., J Cell Biol. vol.61(2): pp. 557–563. (1974)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2109294/
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2109294/pdf/557.pdf

6)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%8D%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%B3

7)Gulistan Mese, Gabriele Richard and Thomas W. White., Gap Junctions: Basic Structure and Function., J. Invest. Dermatol., vol. 127, pp. 2516–2524 (2007); doi:10.1038/sj.jid.5700770

8)東京医科歯科大学講義資料 細胞膜
http://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/pdf/cellmemb.pdf

9)https://en.wikipedia.org/wiki/Gap_junction

10)Shoji Maeda, So Nakagawa, Michihiro Suga, Eiki Yamashita, Atsunori Oshima, Yoshinori Fujiyoshi & Tomitake Tsukihara., Structure of the connexin 26 gap junction channel at 3.5 A resolution
Nature 458, 597-602 (2009)
http://www.protein.osaka-u.ac.jp/achievement/papers/connexin-26-gap-junction-channel-structure
http://ipr.pdbj.org/eprots/index_ja.cgi?PDB%3A2zw3

11)前田将司 ギャップ結合チャネルの構造基盤 日本結晶学会雑誌 52巻 第1号 pp.25~30、(2010)

12)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%88%E8%83%9E%E4%BD%93

13)https://en.wikipedia.org/wiki/Theodor_Wilhelm_Engelmann

14)Tawara S : Das Reizleitungssystem des Saeugertierherzens. Eine Anatomisch-Histologische Studie ueber das
Atrioventrikularbuendel und die Purkinjeschen Faeden. Gustav Fischer Jena, (1906).

15). Keith A, Flack M., The form and nature of the muscular connections between the pri-mary divisions of the vertebrate heart. J Anat Physiol, vol. 41, pp. 172–189. (1907)

16)九州大学学術情報リポジトリ 柴田洋三郎 「ギャップ結合:コネキシン分子の多様な発現 : 『田
原結節』の分子解剖学」 (2010)
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/16985/fam101-1_p001.pdf

17)Eric C. Beyer and Viviana M. Berthoud., Gap junction gene and protein families: Connexins, innexins, and pannexins., Biochim Biophys Acta., vol. 1860(1), pp. 5–8. (2018)  doi:10.1016/j.bbamem.2017.05.016.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28559187
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5704981/pdf/nihms885096.pdf

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2019年1月11日 (金)

大野-都響: コパチンスカヤとブルックナー交響曲第6番

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北風が吹いていないので、それほど厳しい寒さを感じないサントリーホール・カラヤン広場でした。本日の指揮者は大野さん、コンマスは山本さん、サイドはゆづきです。チケットは完売。乾燥した日が続いたので、楽器は絶好調のようです。ソリストはヴァイオリニストのコパチンスカヤ。

シェーンベルクの音楽はいままで楽しめた記憶がないので、どうかなと思っていたのですが、コパチンスカヤはすごい。白のロングドレスに裸足で登場して、踊るようにヴァイオリンをあやつります。結構面白かったのでびっくりしました。シェーンベルクをどう聴けばいいのか、多少なりともわかったような気がしました。

後半のブルックナー交響曲第6番はアダージョがとても味わい深い曲です。都響の演奏もこの楽章は素晴らしかったと思います。ただこの曲には次の日まで記憶していられるメロディーは皆無で、このあたりが演奏機会の少なさの原因でしょう。

永年コンサートに通っていると、いつも最前列に座っている人の顔は結構覚えます。クラヲタなら誰でも知っているサスペンダーにリュックの爺さんも来ていました。この人はテレビでN響の放映をするときにも、よく最前列にいます。

いつも開演間際にやってきて最前列に座るのですが、今回面白い発見をしました。休憩後に彼がもとの席に座ろうとすると、他の人が座っていたので、たまたま隣の空いている席に座りました。彼はやっぱり最前列席のチケットを持っていなかったのです。だからぎりぎりでやってくるのでしょう。多分いつも最前列のチケットは持っていないに違いありません。

チケット完売の演奏会での行為としては芳しくありません。彼は同じ最前列フェチでもちゃんとチケットを持っている会員には嫌われていて、隣になると別の席に移動する人もいるくらいです。

最前列席は管楽器や打楽器は全く見えないし、音響バランスはよくないので私は避けていますが、指揮者やコンマスに顔を覚えてもらうには最適です。知り合いになって個人的に挨拶している人もみかけます。

コパンチンスカヤ: 
https://www.youtube.com/watch?v=OF9fneQ50Us

ブルックナー交響曲第6番: 
https://www.youtube.com/watch?v=KGRiyyqwYuA&t=2045s

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2019年1月 8日 (火)

サラとミーナ211: ミーナとコーヒーの木

Img_2813ミーナが窓テーブルに上っているのは猫草を食べるためです。冬は育ちが悪く、あっという間に食べられてしまいます。

なぜか分かりませんが、少し後ろめたいことをしているような気分になるようです。ベランダの植物を食べたときに、おこられたことがあるからかな?

左の鉢はコーヒーの木。2回つづけて寒さで枯らせてしまって、これは3鉢目です。

コーヒーは非常に寒さに弱いです。11月になると同時に部屋にとりこむくらいで、ちょうど良い感じです。室内でも日光は必須なので、特等席に置いています。

おかげで猫のスペースが少なくなってしまって、不満タラタラです。

昔飼っていた猫の中に、コーヒーが大好きなのがいましたが、サラとミーナは全く関心を示しません。

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2019年1月 7日 (月)

美貌のホルン奏者=鈴木優氏 都響に入団

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ホルン奏者鈴木優氏が1月1日付けで、東京交響楽団から都響に移籍してきました。最近頻繁にエキストラ参加してましたし、西條・五十畑団員の弟子ということでうわさにはなっていました。今後のご活躍を祈りたいと思います。

インタビュー(東響に入団時):
http://www.tuhw-h.ed.jp/wp-content/uploads/2016/10/f6042418fd2730cf880c1c1a07082aeb.pdf

芸大出身だそうですが、N響的キャラじゃないところがいいですね。
ツイッターによると
https://twitter.com/uuu___u?lang=ja
https://twitter.com/uuu___u/status/1069942571860819968

「先日酔っ払って帰った時にストッキングを被って踊り出すという自分でも理解に苦しむ行動を繰り広げ、トイレのドアに激しくぶつかりドアを壊しました。トイレのドアが閉まらなくなりました。」

都響をますます楽しい楽団にしてほしいと思います。大丈夫です、コンマスの矢部氏も値札の桁をうっかり間違えて、モンクレールの弩級キルティングコートをご購入なさるという「うつけ者」なので、心配はいりません。

Facebook: https://www.facebook.com/yu.suzuki.5249

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2019年1月 6日 (日)

フランス人の怒り爆発

フランスのデモ隊、ついに庁舎に侵入(日本経済新聞)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39686320W9A100C1I00000/

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なぜフランスの市民は怒っているのか?
https://ceron.jp/url/www.youtube.com/watch?v=KYloGJEX3To

https://www.youtube.com/watch?v=WZDHmbwXQpk

https://johosokuhou.com/2019/01/06/11634/

https://www.youtube.com/watch?v=NVStFkKnq7g

https://www.youtube.com/watch?v=AKRXM_XbfH4

https://www.youtube.com/watch?v=MZUVolCMuoU

https://www.youtube.com/watch?v=el__sDV8C3I

https://www.youtube.com/watch?v=hI3CRpiVjXo

当たり前のことですが、発展途上国と貿易戦争をやれば、食糧・衣料・日用品はほとんど安価に生産できる発展途上国が勝利し、先進国の基底産業は空洞化します。それでもいくつかの産業部門ではその代償を独占し利益を得ることが出来ます。

トランプはやっとそのことに気がつき改善策を講じているわけです。マクロンはまだその特定の産業に資金をつぎ込んで国家を維持しようとしているのでしょう。日本も基本的に同じで、米国に車を買ってもらうために戦闘機を買っているのが現実です。日本の食糧自給率はフランスよりずっと低いでしょう。

日本は危機を先送りしているので、おそらくどうしようもなくなってから自民党は政権を手放すのでしょう。

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2019年1月 4日 (金)

死の街を照らしたショスタコーヴィチ交響曲第7番

1月2日にNHKはBSで「玉木宏 音楽サスペンス紀行▽ショスタコーヴィチ 死の街を照らした交響曲第7番」という番組を放映しました。
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92779/2779263/index.html

私が知らなかったさまざまな情報、ショスタコーヴィチの肉声、当時のレニングラード放送交響楽団の演奏録音など盛りだくさんで非常に興味を引かれる番組でした。ショスタコーヴィチの交響曲第7番が戦火のレニングラード(現サンクトペテルブルク)で演奏され、市民の士気を高めたことはよく知られていますが、この番組はその詳細を伝えています。

レニングラードは1941年の独ソ開戦当時人口300万人以上の大都会であり、西はフィンランド湾、東はラドガ湖にはさまれた場所に位置し、ドイツ軍は北と南から攻め込んできました。しかしドイツ軍といえども一気に街をふみつぶす程の戦力はなかったので、食糧倉庫を爆撃して市民を飢餓に陥れる作戦に出ました。

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このためレニングラード市民は極端な食糧不足に陥りました。レニングラード放送交響楽団も多くの団員が徴兵で抜け、残された団員も労役と空腹で演奏もままならず、ついにメトロノームだけの放送をせざるを得なくなるほど追い詰められていました。

当時のレニングラード共産党のトップはジダーノフで、いつ放送を聴いてもメトロノームであることにいらだち、レニングラード放送交響楽団に音楽を演奏するよう命じたのですが、当時の指揮者エリアスベルクが栄養失調で生きているのがやっとであるうえに、団員も同様であることを訴えたところ、結局徴兵されていた団員を呼び戻すという驚くべき決断をジダーノフは行ないました。

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ジダーノフは後にジダーノフ批判という悪名高い前衛音楽排除を行ないましたが、本当は音楽好きだったのだと意外な感じがしました。戦後レニングラード事件というのがあって、党幹部や市長をはじめ多くのレニングラード上層部が粛正されましたが、それに関連してジダーノフも暗殺されたのではないかという説があるそうです。

前衛音楽排除は社会主義リアリズムという共産党の方針に基づくものですが、実はスターリンはショスタコーヴィチの音楽は良く理解していて、だからこそこの戦時中彼が作曲した交響曲第7番を利用しようとしたに違いありません。

スターリンはおそらくショスタコーヴィチが自分に怨念を持っていることを承知していて、その上で彼を利用しようと考えていたと思います。それほどまでに彼の音楽を評価していたとも言えます。だからこそレニングラードにとどまっていたショスタコーヴィチを強制的に疎開させ、交響曲第7番の作曲に専念させたのでしょう。

曲は1941年12月17日に完成し、1942年3月に首都の疎開先であるクイビシェフ(現サマーラ)で初演が行なわれました。楽譜は国家機密扱いとなり、マイクロフィルムに収められ、テヘラン、カイロを経由して米国に送られました。米国ではイタリアから亡命してきたトスカニーニ指揮でNBC交響楽団が演奏し、その後大評判のうちに2年間で62回も演奏されて米国民の戦争への支持を高めたものと思われます。それこそがスターリンの狙いだったわけです。
こちら

レニングラードではドイツ軍の包囲が続く中で、空輸されてきたマイクロフィルムの楽譜を使って、1942年カール・エリアスベルク指揮:レニングラード放送交響楽団によって演奏されました。この日ドイツ軍は総攻撃をかける予定でしたが、この曲の演奏を成功させるために、レニングラード軍は総力で戦線を押し戻し、演奏会を成功させました。このときレニングラードフィルはどうしていたかというと、ノヴォシビルスクに楽団ごと疎開していました。

このブログでも、昨年インバル-都響が演奏したときの感想文をアップしています。
http://morph.way-nifty.com/grey/2018/03/post-ac67.html

パーヴォ・ヤルヴィが言っているように、この曲は聴けば聴くほどのめりこむ不思議な吸引力を持っています。

専門的な解説はプロの方がやってくれています↓。
http://www.dasubi.org/dsch/kaisetu/10_4.html

こんな曲です
https://www.youtube.com/watch?v=_z8TZjcqYhY&t=2922s

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2019年1月 1日 (火)

PCで音楽を聴く

1PCで音楽を聴くには、普通緑のジャックにヘッドホンを挿すことになりますが、お手軽にもう少しだけ良い音を低雑音で聴く方法があります。

それは左の写真にある、フォステクスのボリュームコントローラーを使う方法です。このPC100USBはボリュームコントローラーという名前で売られていますが(こちら1)、実はデジアナコンバータでもあり、USBからのデジタル信号をアナログの音に変換してヘッドホンに出力できます。

電源はUSBジャックからとるので、別に用意する必要はありません。アマゾンなどから5000円前後で入手できます。数年使っていますが耐久性は十分あります。

詳細なスペックなどは→こちら2

PC100USB-HR2というハイレゾ対応の製品もあります→こちら3

PC用ポータブルアンプ(通称ポタアン)を購入すればもっとグレードの高い音を聴けますが、私的にはこのフォステクスの製品で十分です。

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謹賀新年2019

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Greeting Life Inc. のカレンダー「NOROJOURNEY」の表紙に、うちの猫たちの写真を貼らせていただきました。このカレンダーは私の書斎というか猫部屋に貼ってあります。

Avatud はエストニア語でオープンという意味らしいです。

サラとミーナは13才となりました。サラはうちに来て随分と変わりました。しかも13年かけて徐々に変化もしています。とはいえ、お顔やキャラからすると、ドクター・サラとでも呼びたくなるようなえらそうな感じです。一方ミーナは全くといっていいほど1才当時と変わりません。どうしようもない甘えん坊です。

本年もこのささやかなブログをよろしくお願い申し上げます。

(monchan)

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2018年12月30日 (日)

事件の涙-自殺した研究者

Photo_2年末に見たテレビ番組で最も印象に残ったのはNHKの「事件の涙」です。番組第2回でとりあげたのは、九州大学箱崎キャンパスおこった、九大法学部出身の男が研究室で焼身自殺したという事件です。

自殺した男は貧困のため高校に進学できず、自衛隊に入隊し資格を取って22才でようやく九大法学部に入学。大学院に進学して修士号を取得し38才まで在学しましたが、ついに博士論文を書けずに退学。以後大学の非常勤講師やその他のアルバイトで生計を立て、夜研究室に来て研究を続けていましたが、非常勤講師を雇い止めになり、生活の目処がたたなくなって研究室に目張りをして放火し、焼け死んだという事件です。

博士論文というのはともかくまとまりそうなテーマを選んで、そこそこ要領よく書けばできるものなのですが、彼は超生真面目な人間だったらしく、難しいテーマにとりくんで結局結論を出せなかったという、ありがちな要領の悪い人間だったようです。

非常勤講師の雇い止めは事務員から通告されてそれであっさり終わりで、それまで講義のために準備した資料がゴミになってしまうので誠に残念なことなのですが、問題の本質はそれでも何とか生活を維持して、研究を続けることができなかったということです。これは日本の奨学金制度に原因があります。

下の図をみていただくと、世界には

1.授業料が高く、奨学金も充実していない
2.授業料が高いが、奨学金が充実している
3.授業料が安く、奨学金が充実していない
4.授業料が安く、奨学金も充実している

の4つのグループがありますが、OECD加盟国の中で1.のグループは日本だけです()。しかも日本の奨学金は原則全額返済です。

この自殺した男も700万円の奨学金を返済しなければならず、このことが生活困窮の最大の要因だったと思われます。

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こんなに教育・学問が軽視されるというのは、日本という国家と日本人のメンタリティーに根本的に関わる問題です。反知性主義の安倍政権が独裁支配するのを国民が許容するのも、そのようなメンタリティーが根本にあります。その本質は「今だけ、金だけ、自分だけ」というポリシーです。

今回自殺した男の専門である法学の観点から言えば、政権の都合によって公文書も自在に書き換え、お仲間であれば犯罪を犯しても(どんなに動かぬ証拠があっても)、やはりお仲間の検察を動かして無罪・・・というご都合主義ですから、法律なんて都合によってどうにでもなるという彼らにとって、学問=法学というのは邪魔なだけです。

より詳しい情報は下記参照

http://blue-black-osaka.hatenablog.com/entry/20180916/1537106400

https://togetter.com/li/1302992

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2018年12月26日 (水)

年末都響第九演奏会

Img風邪が治りきらないなかで(RSかもしれない)、今年最後のおでかけで上野の東京文化会館の第9です。

数年前に年末の第9を解禁していらい毎年都響の第9演奏会に来ています。今回は咳止めを服用して席に着きました。

今年はメンバーの気合いの入り方が異常に高かったように感じました。マエストロ小泉の功徳のなせる技なのか? 

小泉流の男性的で正統派の大変素晴らしい演奏を聴かせていただきました。小泉さんは巨匠と呼ばれるに相応しい貫禄でした。ただ第3楽章のホルンにはガックリきましたが。

合唱団・ソリストも素晴らしい押し出しでしたが、女声コーラスがあまりにも力業に終始したかなあという感じはしましたね。もう少し柔らかさがあって欲しい。

コンマス矢部ちゃんの健康は心配ですねえ。演奏中に2回も薬を飲むというのはかなり重篤なのでしょうか? びっしょり汗をかいていましたし、お疲れの様子でした。一方隣のマキロンは余裕綽々で、マエストロの仕草に微笑んだりしつつお役目完遂。

来年はスワロフスキー指揮で、またひと味違った第9を聴けるようです。
http://www.leossvarovsky.com/en/biography

終了後Y夫妻と竈屋で忘年会。パチンコ屋の上で非常に目立たない料亭ですが、お料理は結構いけます。来年の阪神タイガースの躍進を願って乾杯しました。今年もおつきあいいただきまして有難うございました。

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2018年12月25日 (火)

私の紅白歌合戦2018

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1.やまねかずきバンド「雪の降る町」
https://www.youtube.com/watch?v=f6wRWtFTAn8
年末になるとこの歌を聴きたくなります。

2.南野陽子「メリークリスマス」
https://www.youtube.com/watch?v=RtdYwB7EAR0
素晴らしい豪華な歌謡番組でした。

3.DA PUMP 「U.S.A.」
https://www.youtube.com/watch?v=LPr_UZkmVn8
今年の代表曲・・・かな? 40才 がんばる。

4.あいみょん「good night baby」
https://www.youtube.com/watch?v=E6iZ-xZ8x50
今年最大の収穫。

5.レミオロメン「粉雪」
https://www.youtube.com/watch?v=MbnxVxfjaOQ
雪が降ると聴きたくなる曲。綺麗な画像をアップしていただいて有難う。

6.倉木麻衣「白い雪」
https://www.youtube.com/watch?v=jGhP2nGLPQo
倉木麻衣がアイドルで終わらずトップアーティストまで登りつめることができたのは、大野愛果という天才作曲家を手放さなかったからでしょう。

===== tea break =========
https://www.youtube.com/watch?v=3GKp7qjshMo
https://www.youtube.com/watch?v=-A1OVLQOt64

バブル華やかなりし頃、若者達は夜な夜な踊り狂っていたそうです。私もそれに無縁ではなく、機器の一つや二つはおこぼれで調達できた記憶があります。
=======================

7.尾崎紀世彦「innocent world」
https://www.youtube.com/watch?v=VItekZlhlYM
参りました。

8.中島みゆき「愛だけを残せ」
https://www.youtube.com/watch?v=gUDikbjabaw
ストレス解消。

9.徳永英明「最後の言い訳」
https://www.youtube.com/watch?v=TyapKDAhr4E
やっている場所がすごい。

10.熊木杏里「飾のない明日」
https://www.youtube.com/watch?v=TH4j2WtK7sU
じっくり聴かせてくれる、希有な文学少女かつメロディメーカ-のハイブリッド。

11.ジョー山中「人間の証明のテーマ」
https://www.youtube.com/watch?v=1vkWFMRF3nA
「人間の証明」は森村誠一の最高傑作。

12.里花「花」
https://www.youtube.com/watch?v=EE3KMYWEiKM
自然派の音楽。

======== tea break ========
Gustav Mahler adagietto and Venice
https://www.youtube.com/watch?v=BUV3Ueobr88
=========================

13.山下達郎 「Christmas Eve 2018」
https://www.youtube.com/watch?v=cB1nVHmVtoc
表参道は、きっといい街なんでしょう。
日本一素晴らしい街かも。

14.石川優子 「5分でSunset」
https://www.youtube.com/watch?v=LgXcmv9-G8A
登場するダンサーは全員ゲイだそうです(偶然そうなった)。

15.Tom Waits 「Waltzing Matilda」
https://www.youtube.com/watch?v=vGpwgHqlfWo
歌詞および翻訳は下のサイトでどうぞ。
http://morph.way-nifty.com/grey/2015/03/post-04b1.html

16.相川七瀬「Two of us」
https://www.youtube.com/watch?v=aZGJnPMwBOI
愛聴歌 私的な理由。

17.中川五郎&真黒毛ぼっくす「ビッグスカイ」
https://www.youtube.com/watch?v=Qnu9Ms6FiZg
豪華なバンドをバックに歌う中川五郎。場所は下北沢440。

18.まきちゃんぐ「誰が為に鐘は鳴る」
https://www.youtube.com/watch?v=BtuSpn1h9z4
ライヴ 聴きに行きました 感想文あり↓。
http://morph.way-nifty.com/grey/2018/12/post-69fb.html
来年もよろしくね。

====== tea break ======
ZARD
off shots:
https://www.youtube.com/watch?v=eiV61iJ8yyU
sellection: ふたりの夏 遠い日のNostalgia この愛に泳ぎ疲れても
https://www.youtube.com/watch?v=dZjlbMyUPMQ
https://www.youtube.com/watch?v=DFIdEJGONEE
https://www.youtube.com/watch?v=fGC5k-TB88s
=================

19.Beach Boys 「Surfer Girl」
https://www.youtube.com/watch?v=hu-bXvuPm7c
この年齢で美しいコーラス

20.Say a little prayer 「beat」
https://www.youtube.com/watch?v=ZgZ3M9-Wa8w
すばらしいビデオ よく撮影できたものですね

21.矢沢永吉「時間よとまれ」
https://www.youtube.com/watch?v=etv1AZkPDyg
アコースティックバージョン

22.富田麗香「瑠璃色の地球」
https://www.youtube.com/watch?v=q-cmFwyvS0g
ステージ歌手に進化した路上の歌姫 マイクの位置がすごい。

23.村田和人・竹内まりや 「Summer Vacation - OriginalVer.」
https://www.youtube.com/watch?v=LuVkXO73QpA
竹内まりやとのデュエットを残せたので、心安らかに冥土に旅立てたことと思います。合掌。

24.Feam 「アキラメナイキモチ」
https://www.youtube.com/watch?v=NMIUKtw1AQQ
今年期間限定再結成で復活ライヴをやったとか。

===== = tea break ======

商品化できない替え歌
https://www.youtube.com/watch?v=Ew7odufLcrI

=================

25.斉藤和義「ずっと好きだった」
https://www.youtube.com/watch?v=InfQUMh935c
https://www.youtube.com/watch?v=XAg_qPPLMQM
東電が揚水コストをけちる目的で、土地を削って低地に原発を設置したことが爆発をまねいたことを忘れてはいけません。一企業の企業論理が国家を滅ぼす可能性があります。信じられないような幸運によって、使用済み核燃料の露天再燃焼やスカイシャインは免れましたが、あやうく関東全域に人が住めなくなるような日本になるところでした。

26.洸美「青空お洗濯」
https://www.youtube.com/watch?v=QdWW2aiGw4A
洸美ちゃん がんばって。

27.村下孝蔵「春雨」
https://www.youtube.com/watch?v=NeGOtlPJp_E
https://www.youtube.com/watch?v=jacgTBiJowI
ウィキペディアに結婚や家族のことが全く書かれていない異常さが、村下家と嫁・娘とのバトルの激しさを暗示しています。
参照:
https://ameblo.jp/404510yukorona24/entry-12173784954.html#cbox
http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-6b15.html

28.ZONE 「secret base~君がくれたもの~ 」
https://www.youtube.com/watch?v=gDT2hlhgt_Y
不可解な解雇以来 miyu はどうしているのか気になる。

29.Class 「夏の日の1993 」
https://www.youtube.com/watch?v=W9LbTS-gjg4
すごいね、この場所はどこ?

30.西島三重子「千登勢橋」
https://www.youtube.com/watch?v=0TYECCELT6c
信じられないほどの美貌と美声。ご主人が販売していた金のわらじを買って、ショルダーバッグのチャームにしている私です。

物故者:尾崎紀世彦、津久井克行、村田和人、ジョー中山、村下孝蔵、、坂井泉水。彼らはわたしたちに忘れ得ぬ想い出を残してくれました。感謝して、ご冥福をお祈りします。

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2018年12月20日 (木)

Merry Christmas

A0790_001284ようやく風邪から回復してきたら、もうすぐクリスマスです。

「Merry Chrismas Darling」

カレン・カーペンターの歌はあまりに真に迫りすぎていて、聴いていてつらくなってきます。

https://www.youtube.com/watch?v=YR1ujXx2p-I

クリスチーナ・ペリーはちょっぴり甘ったるく歌っているのがいい感じです()。

https://www.youtube.com/watch?v=gSbf4VFl0X0

「Something About December 」
https://www.youtube.com/watch?v=OR2LXXIX8ro

「Happy Xmas (War Is Over) 」
https://www.youtube.com/watch?v=_GTb0un87Pw

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2018年12月19日 (水)

病に伏す

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写真は足なりのモデルさんで私ではありません。2日間医者に行く気力も無いくらいグダグダになってしまって、動物のようにひたすら暗い場所でおとなしくうずくまるという生活でした。

非常用ストックの缶詰のおかゆを食べてしまいました。今日は少し元気が出たので医者に行ってみようと思います。

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2018年12月17日 (月)

まきちゃんぐライヴ@スターパインズカフェ

Img_2779日曜日は朝から会議が2つあってそのあと忘年会だったのですが、忘年会をパスしてはるばる吉祥寺までまきちゃんぐのライヴにでかけました。

スターパインズカフェは私は多分2回目です。前回きたのは沢田聖子の村下孝蔵を偲ぶライヴだったと思います。その沢田聖子が昼の部をやって、夜の部がまきちゃんぐというのはなにかの縁でしょうか。

20分前に着くと以前と違って整列できない状況になっていて(多分1Fの駐車場の構造変更のためだと思う)、しかも店の前にベンツが止まっていて警官に切符を切られているところでした。自転車とぶつかったのでしょうか?

OPEN TIMEになると係が番号を逐次読み上げて入場。スターパインズカフェは2F客席もあるというなかなか珍しいライヴハウスで、とてもいい雰囲気のところです。東京シネマ倶楽部でのあのひどい音響(会場のせいだけではないと思いますが)と比べると、天と地の聴きやすさもいいですね。

モヒートにしようかと思ったのですが、アルコールが若干心配だったので紅茶に。しかし席に座ったら前の人がアルコール抜きのモヒートを飲んでいて、ああその手があったか・・・残念。

ピアノ・ヴァイオリン・ベース・ドラムスというバンド構成は当たりだと思います。しかもピアノのクラ-キーが素晴らしい。最初の曲は「海月」(私達の業界では水母)でしたが、早速いい雰囲気でしびれました。他のバンドメンバーも素晴らしい演奏を聴かせてくれました。こんなメンバーとライヴができるというのは、まきちゃんぐも幸せだと思います。

鋼のこころ、愛の雫、NORA・・・名曲です。このあと新曲の披露などもあり大いに盛り上がりました。松山千春の「恋」をカバーしていました。赤い糸は直近のアルバム「ハナ」のなかではスケールの大きなバラード・・・だけど私のベストは「木漏れ日の中で,夏・・・」なんだなあ。いまは冬ですが。ハニーはシネマ倶楽部とは歌い方を変えていて、しっとりバージョン。これも素晴らしい。

楽しいひとときをどうも有難うございました。

海月
https://www.youtube.com/watch?v=gD2ofjN0SEo

鋼のこころ
https://www.youtube.com/watch?v=Rt7qFfmBmq8

愛の雫
https://www.youtube.com/watch?v=J4ZqROjZeRc

赤い糸
https://www.youtube.com/watch?v=X9F7Qgr9QE4

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2018年12月15日 (土)

やぶにらみ生物論119: 跳躍伝導

生物にとって神経の伝達速度を上げると、他の生命体より早く知覚し早く行動することができるので、生存にとって明らかに有利です。また周囲からの干渉を遮断・絶縁することや漏電を防ぐことも、正確な伝達には必要なことでしょう。脊椎動物はそのためにミエリン鞘(髄鞘)という神経を被覆する組織を獲得しました(1、図1)。ただし脊椎動物の専売特許ではなく、脳科学辞典によるとエビやミミズも類似した組織を持っているようです(1)。

ミエリン鞘は軸索を完全に被っているわけではなく切れ目があって、その部分をランヴィエ絞輪とよびます(図1)。ミエリン鞘とランヴィエ絞輪はそれぞれルドルフ・フィルヒョウ(2、図1)とルイ・ランヴィエ(3、図1)によって19世紀に発見されました。

すべての神経にミエリン鞘やランヴィエ絞輪があるのではなく、有髄神経に限って存在します(1)。無髄神経では、たとえば皮膚の痛覚神経では伝達速度は1m/秒くらいですが、同じ皮膚でも有髄神経の触覚神経では50m/秒と著しくアドバンテージがあります。伝達速度は有髄・無髄の差以外に、神経線維の太さが関係します(4)。イカの巨大軸索は直径が1mmくらいあり、伝達速度は30m/秒と、無髄神経であるにもかかわらず脊椎動物の有髄神経にも匹敵する高速伝達を行ないます。

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ミエリン鞘の実体は末梢神経系ではシュワン細胞、中枢神経系ではオリゴデンドロサイトです。シュワン細胞は毛布のような細胞で、軸索に巻き付いています(図2)。オリゴデンドロサイトについては後述します。これらの細胞が何重にも巻き付くことによってミエリン鞘が形成され、有髄神経ができあがります(図2)。ミエリン鞘の一番外側の部分を神経鞘ともいいます。断面をみればミエリン鞘の多層構造がよくわかりますが、これらの層はすべて同じ細胞で連続しています(図2)。

毛布がきちんとたたまれてはがれないようにするためには、高度に硫酸化された糖鎖を持つP0(ピーゼロ)というタンパク質が必要だとされています(5)。ミエリン鞘は単に電源コードのシールドのようなものではなく、神経細胞とさまざまな相互作用を行なって、神経細胞を健全に保つためにも有用であるようです(6)。

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さて今回のテーマは跳躍伝導ですが、これを理解するためにはコンデンサというものを理解する必要があるようです。ウィキペディアにはいろいろなコンデンサを並べた写真がでていました(7、図3)。世界で年間に2兆個も制作されているとのことです。

村田製作所のサイトによると、コンデンサは 1)電圧を安定させる、2)ノイズを取り除く、3)信号を取り出すなどの用途に用いられます(8)。要するに充電式電池のようなものですが、電池が化学式で書けるような化学変化すなわち分子の変化を基盤としているのに対して、コンデンサは分子の整列や分子内での構造変化を基盤とするものです。生物はみずから体内にコンデンサの役割を果たす組織を制作・設置し、神経伝達に使っています。

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コンデンサは絶縁体の両側を2枚の金属板ではさんだような構造になっています(8-10、図4A)。ここに電池を使って電圧をかけると、2枚の金属板にはそれぞれ+および-の荷電が蓄積します(図4充電)。このとき絶縁体内部でも非通電時にはランダムだった分子の並びが整列した状態になり、各分子の内部でも電子密度が偏った状態になります(9)。この状態は電池をはずしても変わりません(図4B、蓄電)。ところが導線を電池の代わりに電球につなぐと、ここに電流が発生し、電球は点灯します(図4C、放電)。

電球が点灯してエネルギーが消費されると、コンデンサにおける金属板の帯電と絶縁体での分子の状態がもとのランダムな状態にもどります(図4A)。ここでまた電池をつなぐと再び充電されます。

図4をよく見ていただくと、絶縁体があるにもかかわらず、あたかも充電時には電池プラス極→導線→金属板→絶縁体→金属板→導線→電池マイナス極、放電時には電球→導線→金属板→絶縁体→金属板→導線→電球と逆回りに電流が流れているような状況が生まれます。

A_4


神経細胞の軸索は図5のようにミエリン鞘で被われており、その切れ目にランヴィエ絞輪があります。このどの部分がコンデンサかというと、それはミエリン鞘と軸索の細胞膜がそれに当たります(図5)。

ランヴィエ絞輪には多数のナトリウムチャネルが集中していて、これがいわば図4の電池のような役割を果たしているわけです。ここに刺激がきて一時的にチャネルがフリーパス状態になると、ナトリウムイオンが軸索に流れ込み、これらはミエリン鞘に被われた部分のマイナスチャージにひかれて移動し、電流が流れます。一方外側はナトリウムイオンが減少するので、ミエリン鞘の外側からランヴィエ絞輪の方向に電流が流れます。神経標本の周囲の電解液が導線の役割を果たします。

電流が隣のランヴィエ絞輪に届くと、隣のランヴィエ絞輪のナトリウムチャネルが開放されます。このようにランヴィエ絞輪から隣のランヴィエ絞輪へと刺激は伝達されます。ランヴィエ絞輪につつまれた部分の軸索には、ほとんどナトリウムチャネルはありません。つまりチャネルの開放部位が順次軸索内でドミノ倒しのように移動しなくても、ランヴィエ絞輪単位でステップワイズに(飛び飛びに)神経伝達が行なわれます。これが跳躍伝導です。このシステムによって、有髄神経は前述のような桁違いの高速伝達を可能にしました。

A_5


慶應義塾大学の田崎一二らは第二次世界大戦前に、図6に記したような方法などで、実際にミエリン鞘というコンデンサから発生する電流を測定し、跳躍伝導を証明しました(図6)。

杉晴夫によると(9)、第二次世界大戦中に彼らが論文をドイツの雑誌に投稿したところ、ベルリンが廃墟になっているにもかかわらず、ちゃんと雑誌に印刷発表されたそうです(10、11)。日本ではほとんどの学術雑誌は戦争で休刊せざるを得なくなりました。図6は簡略化したものなので、詳細を知りたい方は文献10、11をあたってください。

田崎一二の業績も含めて、跳躍伝導などについてはすでにやぶにらみ生物論102でも述べていますが(12)、記述が足りなかったのであらためて仕切り直しました。重複する部分が発生しましたがご容赦下さい。田崎一二は戦後まもなく渡米し、米国に帰化して97才までNIHで働いていました。これはNIHのレコードだそうです(13)。

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イカなどは巨大神経線維をつくって神経伝導の速度をはやめましたが、脊椎動物は有髄神経による跳躍伝導のシステムをつくることによって、細い神経線維でも高速な伝達速度を確保することに成功しました。このことは脳を発達させる上で非常に重要なエポックだったと思われます(9)。なぜなら脳にそんな太い神経が鎮座すると、脳に多くの情報を詰め込むための容量が損なわれてしまいます。

脳ではシュワン細胞に代わって、オリゴデンドロサイトというグループのグリア細胞がミエリン鞘を形成します(14、15、図7)。ひとつのオリゴデンドロサイトがいくつもの軸索のミエリン鞘をかけもちするところが、末梢でのシュワン細胞とは違うところです(図7)。

A_7


参照

1)http://humancell.blog.jp/archives/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AF%E3%83%B3%E7%B4%B0%E8%83%9E.html

2)https://en.wikipedia.org/wiki/Rudolf_Virchow

3)https://en.wikipedia.org/wiki/Louis-Antoine_Ranvier

4)神経線維の信号伝達のスピード
http://web2.chubu-gu.ac.jp/web_labo/mikami/brain/12/index-12.html

5)T. Yoshimura et al., GlcNAc6ST-1 regulates sulfation of N-glycans and myelination in the peripheral nervous system., Scientific Reports vol. 7, Article number: 42257 (2017)
https://www.nature.com/articles/srep42257

6)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB

%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E7%97%85

7)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%B3%E3%82%B5

8)村田製作所 コンデンサとは?
https://www.murata.com/ja-jp/campaign/ads/japan/elekids/compo/capacitor

9)杉晴夫 「生体電気信号とはなにか」 講談社ブルーバックス (2006)

10)Ichiji Tasaki und Taiji Takeuchi, Der am Ranvierschen Knoten entstehende hktionsstrom und seine Bedeutung fiir die Erregungsleitung., Pflügers Archive vol.244, pp. 696- (1941)
https://link.springer.com/article/10.1007%2FBF01755414

11)Ichiji Tasaki und Taiji Takeuchi, Weitere Studien über den Aktionsstrom der markhaltigen Nervenfaser und über die elektrosaltatorisehe Übertragung des Nervenimpulses.,  Pflügers

Archive., vol. 245, pp. 764-782 (1942)
https://science.nichd.nih.gov/.../Myelinated_nerve_fiber.pdf

12)http://morph.way-nifty.com/grey/2018/04/post-a2b0.html

13)NIH record - mile stones - Biophysicist Tasaki Leaves Extraordinary Scientific Legacy
https://nihrecord.nih.gov/newsletters/2009/02_20_2009/milestones.htm

14)https://en.wikipedia.org/wiki/Oligodendrocyte

15)https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E9%AB%84%E9%9E%98

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2018年12月12日 (水)

アラン・ギルバート-都響 シューマン交響曲第1番「春」@サントリーホール2018・12・11

Imgalan突然冬がやってきた東京。アラン・ギルバートの指揮で都響の演奏会です。場所はサントリーホール。ヒートテックのシャツが威力を発揮する季節になりました。

サントリーホール周辺は昨年までのブルーライトをやめて、電球色のデコレーションで、クリスマスツリーも地味な印象でした。

やや早く着いたのでスタバのカウンターでコーヒーを飲んでいると、隣にエキストラ参加のヴァイオリニストA氏が着席! 今日は前半最後列、後半後ろから2列目で演奏しておられました。

どうも皆さん多忙な年末の演奏会と言うことで、客席はガラガラだったらしく、都立杉並高校などの生徒を動員して埋めていました。高校生で都響-アラン・ギルバートの演奏を生で聴けるなんて、とてつもない贅沢ですね。うらやましい。

なにしろ私が高校時代に連れて行ってもらったところは、京都の寺で、1時間座って庭を見るという・・・・・まあそれも考えようによっては贅沢なのかもしれませんが?

コンマスは矢部ちゃん、サイドは四方さん。やっぱり雨でした。本日一番衝撃だったのはシューマンの交響曲第1番「春」。アランはオーケストラに強靱な”弾力”を与えるという希有な才能を持っています。いつもの都響より生き生きとした演奏が聴けました。

彼の指揮はまるで軟体動物のようにしなやかで、体の柔らかさを生かした剛柔自在な演奏には参りました。かなりテンポを伸びちじみさせますが、わざとらしさを感じさせないのは一流の証明でしょう。都響大変身です。演奏している皆さんも楽しかったのではないでしょうか。

フィンガルの洞窟のスケールが大きくかつ繊細な雰囲気、ハルサイの非常に整理されつつも、強烈に盛り上げる演奏も素晴らしかったと思います。本日の演奏会(特にシューマン)で、アランは大野の指揮ではどうしても打ち破れなかった壁をついに破壊しました。

アラン・ギルバート
https://www.youtube.com/watch?v=Cd1VzsyVccg
https://www.youtube.com/watch?v=3f4dZMJFl-w
https://www.youtube.com/watch?v=HClX2s8A9IE

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2018年12月 8日 (土)

やぶにらみ生物論118: 活動電位

17世紀の生物学者スワメルダムが神経伝達の速度は音や光のように速いと考えたことはすでに述べましたが(1)、その速度の測定は19世紀までまたなければなりませんでした。

エミール・デュボア=レーモンはマテウッチの損傷電流(1)に関心を持っていましたが、マテウッチの実験は筋肉で測定したものだったので、どうしても神経でその損傷電流を測定したいと考えました。

ところがなかなか神経ではうまく損傷電流を測定できませんでした。彼が使っていた既存のガルバノメーター(検流計)はコイルが6,000回巻いてあるものでしたが、レーモンは一念発起し、この感度を高めるために数週間かけてコイルを24,000回巻いた高性能ガルバノメーターを作成しました(2)。

自作の高性能ガルバノメーターを使うと、図1Aのように神経における損傷電流を測定することに成功しました。しかも奇妙なことに図1Bのように神経に刺激を与えると、一過性で損傷電流が消滅することがわかりました(1、2、図1)。デュボア=レーモンはこれを電気陰性波と呼びました。興奮の伝導とはこの電気陰性波が刺激部位から神経の両側に沿って移動することを意味します(図1)。

A_6

デュボア=レーモンは1852年に研究をまとめて "On animal electricity" という本を出版しました。この本の翻訳はいくつかあるようですが、例えば2014年に英訳版が出版されていて現在も販売されています(3)。私は未読です。彼の言う電気陰性波の実体は何なのでしょうか? その答えは生物学とはかけ離れた分野からもたらされました。

1869年にドイツの物理学者ヴィルヘルム・ヒットルフは、真空容器の中に電極を封入し電圧をかけると、陽極側の容器内壁が発光することを発見しました(4)。フィリップ・レーナルトとジョセフ・トムソンは、これが陰極から撃ち出される粒子(電子)が容器壁に衝突することによって発生する現象であることとし、原子は物質の最小単位ではなく、その中に電子を含むものであることを証明しました(5、6)。彼らはこの業績により1905年と1906年に相次いでノーベル物理学賞を受賞しました。

電子の存在が明らかになりつつある頃、ユリウス・ベルンシュタインは差動型レオトーム(7)という測定器(検流計)を開発し、レーモンの言う電気陰性波を正確に測定することに成功しました。

電気陰性波はミリセカンド単位の時間しか発生しないので、正確に測定するには機器を開発する必要がありました。電子の存在とベルンシュタインの研究を合わせて考えと、

『神経は通常の状態ではその細胞膜の内側に沿って電子が並んでおり、細胞膜の外側には陽イオンが並んでいて電気的二重層を形成している(図2A)。神経が損傷すると、損傷部位から電子が流出し細胞膜の外側を損傷していない部位へと移動する(図2B)。したがって電流は非損傷部位から損傷部位へと流れる。ここで神経を電流などで刺激すると、刺激を与えた部位から陽イオンが細胞内に一時的に流れ込み(脱分極)、そこに向かって電子が移動するので電流は刺激部位から両方向に流れ、両サイドを刺激する(図2C)。この刺激によって脱分極が誘発され、両サイドにパルスが伝播する』

・・・・・というような考え方で神経伝達が説明できそうです(8)。

図2Bの様な状態の時に神経に刺激を与えると損傷電流とは逆方向の電流が発生するので、デュボア=レーモンの実験で一時的に損傷電流が消滅することも理解できます。

A_2


刺激が与えられていない状態での細胞内外の電位差(静止電位)は、細胞膜内側に電子が並ぶのでマイナス(約-70mV)なのですが、刺激が与えられると陽イオンが細胞内に流入し、非常に短い時間脱分極が起こってプラスに転じます。これが活動電位(アクションポテンシャル)です(図3)。その後陽イオンの細胞外への排出が行なわれ、電位差は元にもどります(図3)。

実はカリウムイオンは細胞内濃度が高いので刺激がくると外に流出するのですが、ナトリウムイオンの流入効果の影響が大きく(赤点線の囲み)、活動電位はプラスとなります(図3)。

A_3

真空容器の中に電極を封入し電圧をかけると、陰極から電子が撃ち出されることは前述しましたが、その電子がぶつかる容器面に蛍光物質を塗っておくと、蛍光物質は電子が衝突することにより発光します。小さな発光する点の明るさを制御することによって画面に像を作ることができます。これがブラウン管の原理であり、テレビができた頃にはみんなブラウン管でテレビを見ていたわけです。これを発明したのはカール・フェルディナント・ブラウンです(9、10、図4)。1909年にノーベル物理学賞を受賞しています。

ブラウン管によって時間による輝度の変化を投射したのがオシロスコープであり、オシロスコープによって活動電位の変化の様子や神経伝達の速度などを観察できるようになり、神経生理学は飛躍的に進歩しました。

A_4


ところで、1920年代には神経伝達が減衰するかしないかで論争があり、特に日本では京都大学と慶應義塾大学でおぞましいほどの激しい論争がおこなわれていたそうです。神経の伝達速度はその種類や太さに依存するので、慶応の加藤元一はなんとか単一神経線維で実験できないものかと考えていたのですが、文献11から引用すると「そして1930~1931年、ついに清水、釜谷、大邸医専から研究に来ていた郭在禧博士らによって神経束から単一神経線維の分離に成功した」とあります。この技術は顕微解剖法によるもので、私は読んでおりませんが文献12に方法が詳しく述べられているようです。この方法を用いた実験で加藤らの非減衰説が勝利しました。

さらに重要なのは、加藤らは自らが考案した図5のような装置を用いて(13)、単独神経線維を刺激する実験から、筋収縮は刺激の強さに応じて収縮の強度が変化するのではなく、一定の閾値を超えた刺激に対して筋肉は常に同じ反応をする=全か無かの法則を証明したことです。このことは文献11によると「1935年,条件反射で有名なパヴロフによって国際生理学会がモスクワで開催された時、加藤先生は単一神経線維の実験のデモを行うため、170 匹のガマとともに一週間のシベリア鉄道の旅を行った。教授は毎朝太陽に向かい、ガマが死なないように祈ったという有名な話がある。パヴロフ会長は、ノーベル賞候補として加藤を推薦したことを告げた。単一神経線維興奮のデモは新入研究生の田崎一二(跳躍伝導の発見者)が行った」 だそうです。

A_5


慶應義塾大学信濃町キャンパスの新教育研究棟の一階の入り口に、武見太郎の筆で「加藤元一先生之像」と刻まれた胸像があるそうです。

文献14によるとそこには「不減衰之記 加藤元一先生、大正六年慶應義塾に医学部創設さるゝや、弱冠二十八歳にして生理学教授とならる。昭和二年「不減衰傳導学説」に対して帝国学士院賞を授与させらる。続いてノーベル賞候補に挙る事再度、その学勲内外に高し。昭和十九年三月義塾に医学専門部、開設されるやその長となり、昭和二十七年三月同部を閉ずるまでの間、四百六十六名の人材を育成し、慶應医学にあらたなる活力を加えたり。この間の教育者としての情熱、蓋し不減衰傳導学説樹立にも勝るものあり。茲に我等卒業生その徳を仰ぎ、その情を慕い且つその智を敬してこの像を建つ。

昭和四十一年文化の日 慶應義塾大学附属医学専門部 卒業生一同」

と記されているそうです。

参照

1)やぶにらみ生物論117: 動物電気への道
http://morph.way-nifty.com/grey/2018/11/post-bca3.html

2)Jef Akst,The Body Electric, 1840s. Emil du Bois-Reymond’s innovations for recording electrical signals from living tissue set the stage for today’s neural monitoring techniques. The Scientist., 2014
https://www.the-scientist.com/foundations/the-body-electric-1840s-36484

3)E H Du Bois-Reymond, On animal electricity., Book on Demand Ltd. (2014)
https://www.amazon.co.jp/Animal-Electricity-H-Du-Bois-Reymond/dp/5519073244

4)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B0%E6%A5%B5%E7%B7%9A

5)https://en.wikipedia.org/wiki/Philipp_Lenard

6)https://en.wikipedia.org/wiki/J._J._Thomson

7)https://en.wikipedia.org/wiki/Julius_Bernstein

8)Seyfarth E.A., Julius Bernstein (1839–1917): pioneer neurobiologist and biophysicist. Biological Cybernetics., Vol. 94, Issue 1,  pp. 2–8  (2006)
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00422-005-0031-y
https://dl.acm.org/citation.cfm?id=1108509.1108511

9)https://en.wikipedia.org/wiki/Karl_Ferdinand_Braun

10)https://en.wikipedia.org/wiki/Cathode-ray_tube

11)大村裕:我が国の神経生理学の黎明期 日本生理学雑誌 Vol. 71,No. 1, pp. 44-49 (2009)
http://physiology.jp/wp-content/uploads/2014/01/071010044.pdf

12)加藤元一 The microphysiology of nerve., Maruzen, Tokyo, (1934)

13)杉晴夫 「生体電気信号とはなにか」 講談社ブルーバックス (2006)

14)山内慶太 蝦蟇(がま)と三色旗 三田評論 2016年7月号
https://www.keio-up.co.jp/mita/r-shiseki/s1012_2.html

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2018年12月 7日 (金)

指揮者のスキャンダル

Concertgebouw_msterdam_pases_bajos_このブログでもマエストロ宇宿のパワハラ問題を取り上げたことがあります。
こちら1

彼は現在なら即マスコミ報道で社会から抹殺されたと思いますが、昔のことで何とか生き延び、素晴らしいCDを残しました。

しかし最近、クラシック音楽をかじった人なら誰でも知っているような超有名指揮者が、次々とセクハラで解任されるという事件がおこり、そのたびに腰をぬかします。

ダニエレ・ガティは、チャイコフスキーの交響曲をCDで聴いて以来、みずみずしく清冽でかつ感情移入も強烈な素晴らしい指揮者だと思っていましたが、なんとコンセルトヘボウ(写真 ウィキペディアより)の首席指揮者をセクハラで解任されてしまいました。それも誰それへのセクハラというのではなく、私もやられたという声が多くの女性団員からあがって大変だったようです。
こちら2
こちら3

色めき立ったのはCD業界で、もう2度とプレスは行なわれないだろうということで残されたCDの高騰が期待されたわけですが、なんと救う神がいてローマ歌劇場の監督に就任することになりました。
こちら4

ほかにもセクハラ解雇スキャンダルには事欠きません。

シャルル・デュトワ
元NHK交響楽団 音楽監督
元ロイヤルフィルハーモニー管弦楽団 首席指揮者
こちら5
こちら6

ジェームス・レヴァイン
元ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場 音楽監督
こちら7
こちら8

金聖響
元神奈川フィルハーモニー管弦楽団 常任指揮者
こちら9
こちら10

みずからの糧食の道を絶たれる危険をおかしてまでセクハラをおこなうというのは、もう病気としか思えませんが、そのくらいの異常性がないと聴衆の心をえぐるような演奏ができないのかもしれません。

私達の業界にも病的なセクハラ教授などは結構いて、学会に行くたびに世界中の女性研究者をディナーに誘ってはお持ちかえりで有名な人もいます。誘われた方は断わると論文の査読で掲載拒否されるのではないかと心配したり、誘いに乗れば弟子にしてもらえるかもしれないと期待したりで大変です。

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2018年12月 4日 (火)

高輪ゲートウェイ?

A0006_003022一昔前に東武野田線がアーバンパークラインに改名しましたが、このときアンケートでは、答えた人のわずか3%しか是としなかったそうです。

私もこのセンスの悪さにはあきれてしまいました。今でも私は東武野田線と言います。私は国粋主義者ではありませんが、どうして日本の鉄道路線にわざわざ英語を使う必要があるのでしょうか?
https://j-town.net/saitama/column/gotochicolumn/127509.html?p=all

今回JRはわざわざ公募までしているのに、非常にわずかな人(多分ほとんどサクラ)しか発案しなかった「高輪ゲートウェイ」を山手線新駅の駅名にしました。自分が決めた名前にしたければ、どうして公募なんてするのでしょうか?
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6305547

ゲートウェイ(ほんとはゲイトウェイ)は「(塀・生け垣の木戸のついた)出入り口」で、英検準1級、TOEIC730点以上の難しい単語です。

どうしてこんな名前になったのかを、へりくつをこねて説明し強行しましたが、そういうメンタルな人を高いポジションにつけるという企業の体質が問題です。どうして普通に公募最高位の「高輪」じゃいけないのか、素直になれないのか。

いっそのこと駅名に英語を使うのを禁止する法律を作ってはどうかと思います。そうすると「高輪木戸」とか「高輪入り口」などという名前がつくことになりますが、それって良い名前なのかな?? まあ千葉県には**木戸という名前の駅や地域がいくつかありますが、それは馬の出入り口のことです。

JRにせよ、NHKにせよ、疑似国営企業が一番ダメです。

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2018年12月 2日 (日)

パリが大変なことに!!!

800pxarc_triomphe

https://www.youtube.com/watch?v=m8B0chGfrts
https://www.youtube.com/watch?v=vee-28EPbJ8
https://www.youtube.com/watch?v=GMjY6Eb3wsY
https://www.youtube.com/watch?v=obMM00CCKSY
https://www.youtube.com/watch?v=2cStjvXlVUo
https://www.youtube.com/watch?v=U6L0FzB13SU
https://www.youtube.com/watch?v=MFxspXXEXmk

パリで暴動が起きているようです。

そういえば最近は勝手に銀行が個人の口座を封鎖するとか、そうとう危ない状況になってきているという兆候はうかがえました。

日本も政府が大借金で米国から武器を買うなど無茶をやっていると、近未来にこうなることは見えています。

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2018年12月 1日 (土)

サラとミーナ210: 大小逆じゃない?

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ミーナはいっぱいいっぱいで小ベッドに、サラは余裕を持って大ベッドに。

小春日和の土曜の午後。

ミーナはうちに来て以来12年間、ずっとロイヤルカナンの「肥満気味の成猫用」フードを食べてきた成果でしょうか、年寄りになったためでしょうか、5.4kgまで減量したのでもうそろそろ+12のフードに代えようかと思うのですが、好みというのもあって永年のフードを代えるのは容易ではありません。

サラは4.5kgで適正な体重でしょう。

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2018年11月28日 (水)

ランタナ

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目  :  シソ目 Lamiales 
科  :  クマツヅラ科 Verbenaceae 
属  :  シチヘンゲ属 Lantana 
種  :  ランタナ L. camara

ランタナをウィキペディアで調べると、「南アメリカ原産。 世界中に帰化植物として定着している。日本では小笠原諸島、沖縄諸島に移入分布している」・・・・・となっています。しかしなんと千葉ニュータウン中央のイオンの南側壁沿いには大量の野生のランタナが咲き誇っていました。11月まで満開でした。

気候変動と共に、様々な南方系の植物が日本に進出してきていて、ランタナも侵略的外来種の代表とされていますが、野生の植物なのにまるで栽培品種のような美しい花を咲かせる植物を、悪者にするのはどうかと思いますね。

気候が変われば住む動植物も変わっていくのは、やむを得ないことのように思います。

いろんな園芸品種があって、育てるのも簡単なようです。
https://lovegreen.net/flower/p104488/

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2018年11月25日 (日)

デンベレの値千金のゴールでアトレチコとドロー

Braugranaバルサの最近の低迷は、はっきり言ってバルベルデがデンベレを使う勇気を持たないためだと思いますが、やはりアトレチコ戦のようなここ一番で彼をスタメンで使うのにはためらいがある・・・というのはわかります。

引き分けなら追い越されないわけですから、安全策のセルジを使いたくなります。それで本当に引き分けに持ち込めたらいいのですが、今回はセットプレーからディエゴ・コスタに頭でたたきこまれてもくろみは失敗。しかも頼りのセルジはハムストリングを伸ばしてラフィーナに交代していました。さあどうするバルベルデ。

ということろで、ようやくバルベルデはふんぎりをつけて終了10分前にデンベレを起用。そうするとなぜか彼がゴール前でフリーになり、GKの股を慎重に狙ってゴール。これはとてつもなく大きなゴールです。ここでアトレチコに首位を奪われると、かなりバタバタすることになったことでしょう。アトレチコのホーム、ワンダ・メトロポリターノで負けそうになったところを追いついたのですから、バルサは万々歳です。

私ならデンベレに「出場時間は45分、この間守備もしっかりやれ。失ったボールは必ず取り返せ。」と言いますね。彼が出場するときははっきりダブルボランチにして、デンベレ-セメドの線をサポートしなければいけません。本当は彼はフリーポジションが一番良いと思いますが、いきなり「メッシ扱い」にするとメンバーから村八分になる可能性もあるので、とりあえず右FWで使うのは仕方がないかもしれません。

メッシも若い頃は無理にドリブルで突っ込んで、よくボールを失っていました。アトレチコ戦をきっかけに、バルベルデがデンベレをスタメンで使う勇気を持つことを期待します。

それにしてもビジャレアルじゃないんだから、このオールイェロウのユニフォームは勘弁して欲しい。

https://www.youtube.com/watch?v=Ys8ved4EUP8

https://www.youtube.com/watch?v=etzlrCdl88o

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2018年11月24日 (土)

JPOP名曲徒然草191: 雨と傘と繋いだ手 by まきちゃんぐ

Imgmaki「雨と傘と繋いだ手」 (作詞・作曲 まきちゃんぐ)は Single Collection 2008-2011 (VAP VPCC-84183) というアルバムに収録されています。裏ジャケの写真は素晴らしい美形です。ただちょっぴりダークな雰囲気もあるかな。

3ヶ月ほど前に、このブログの記事(http://morph.way-nifty.com/grey/2018/09/my-favorite-pho.html)を書くために調べたときには、この曲はほとんどみつからなかったのに、なぜか検索がヒットするようになったので、この機会に紹介します。

こういうストレートな愛の歌が意外とまきちゃんぐらしい感じがします。ただデビュー当時と比べると、人間に余裕が出てきたという雰囲気が感じられる曲です。歩くペースと同じ音楽の進行がいいのかな?

ともあれ、このような脳にこびりつくメロディーを書くというのは、天才にしかできない仕事です。

雨と傘と繋いだ手
https://www.youtube.com/watch?v=zpkwAIH0R3s
https://www.youtube.com/watch?v=rQQqs4lQF0c

まきちゃんねる version 『雨と傘と繋いだ手』
( トークオンリー)
https://www.youtube.com/watch?v=uTJxo5InSrM

cover by riri
https://www.youtube.com/watch?v=x7mCAUt3y68

cover by おかき
https://www.youtube.com/watch?v=-O_URAYHK5Q

cover by 光
https://www.youtube.com/watch?v=LY8k-_kRIyw

================
Live Schedule:
まきちゃんぐpresents 「Little day & Little days  2018」
詳細は→ http://makichang.info/

2018.12.08. Sat  @名古屋クラブアドリアーナ ワンマン

2018.12.09.Sun  @大阪ワンドロップ ワンマン

2018.12.16.Sun  @吉祥寺スターパインズカフェ ワンマン

2018.12.29.Sat  @岡山城下公会堂 ワンマン

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2018年11月23日 (金)

言論弾圧は忌まわしい時代への回帰を想起させる

Bundesarchiv_bild_14620050119_kurt_クルト・ワイル(写真)について前記事で少しふれましたが、ウィキペディアによると:
「1920年代後半より1930年代初頭には彼の劇場音楽や声楽作品が大衆の間で大流行し、アルバン・ベルク、アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー、ダリウス・ミヨー、イーゴリ・ストラヴィンスキーからも称賛を受け、一躍有名になる。しかし、高名なユダヤ人作曲家であったことから、ナチスの当局から危険視されるようになり、後期の作品の発表時には、コンサートの会場でナチ党員によって組織された暴動が何度も起きた。実際、交響曲第二番の演奏会や「マハゴニー市の興亡」組曲("Aufstieg und Fall der Stadt Mahagonny" 、1930年)の演奏会、、『人質』("Die Burgschaft" 、1932年)、『鏡の湖』("Der Silbersee" 、1933年)などの舞台作品の上演は、ナチス当局による暴力的な干渉のため中断せざるをえなかった。」だそうです。
こちら

実はこれと同じようなことが現代日本でも起こっています。それは香山リカ氏の京都府南丹市での講演会(明日24日開催予定だった)が右翼の脅迫によって中止に追い込まれたという事件です。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181122-00000095-asahi-soci

百田尚樹であっても、香山リカであっても講演会を中止に追い込むことは言論の弾圧であり、忌まわしい時代への逆行を想起させます。講演会の中で誹謗中傷・人種差別・虚偽などの不適切な発言があったときには、それについて批判し、また場合によっては法律で取り締まるべきです。日本はまだ言論の自由を守るための法律(不適切発言に対するペナルティーも含めて)が不備だと思います。政権交代したら枝野は必ずこの種の法律を整備しなければなりません。

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