「渋めのダージリンはいかが」へようこそ

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「渋めのダージリンはいかが」へようこそ

・・・ここがメインルームです・・・

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メインルームの話題

サイエンス・都響(クラシック音楽)・JPOP・猫 etc.

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=アネックスのご案内=

生物学茶話(Science):こちら1

フィクション(Fiction):こちら2

生物学茶話PDF版 こちら4  こちら5
(PDF版には、はしがき、ページ付きもくじ、巻末索引がついています)

すべてフリーですので、ごゆっくりどうぞ 

「生物学茶話:@渋めのダージリンはいかが」の紙本は九州大学理系図書館、京都大学理学部図書館、島根大学附属図書館、東京大学理学図書館、東京工業大学大岡山図書館、北海道大学理学部図書室、杏林大学医学部図書館、電子書籍としては国立国会図書館に収蔵されています。

#続・生物学茶話 タイトル一覧とリンク#  こちら

Hair follicle の本は Springer から出版したのでここには中身を掲載できませんが、アマゾンインターナショナルなどで販売しています。

入手が難しいかたは
http://morph.way-nifty.com/grey/2023/08/post-f37c78.html
の最下行に表示している連絡先にメールをしていただければご返事を差し上げます。

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2024年9月18日 (水)

本を読まない人

もうニュースでも報道されている話題ですが、このことを知って日本の未来に不安を感じるのは私だけではないでしょう。文化庁の調査によると、1ヶ月に1冊も本を読まない人の割合がここ数年で激増し60%を超えたそうです。

平成 25 年度「国語に関する世論調査」の結果の概要
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/h25_chosa_kekka.pdf

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電子書籍について (文化庁の発表)↓

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私は本を読まない人というのは文章を書けないと思います。おそらく大学生でもつじつまの合ったまともなレポートは書けないのではないかと思います。青木理が劣等民族という言葉を使って批判されていますが、知らず知らずのうちにそれが本当になってしまうという不安を感じます。

YouTube で知識を得るのは悪くありませんが、所詮動画は通り過ぎるものであり、ノートを取りながら動画を見るなんてことはめったにないでしょう。動画はその正確性や妥当性で評価されるものではなく見た人の数でだけ評価されるので、不正・大げさ・偏向・虚偽・宣伝などが跳梁跋扈する伏魔殿です。タイトルと中味が合っていないことなど日常茶飯事です。日本の安全保障を論じているのに、その一丁目Ⅰ番地であるサンフランシスコ平和条約の話が全く出てこないというのも普通です。

本が高価で買えないと言う人はSNSや動画ではない「静止画+文章 が主体のウェブサイト」を見るというのも良いと思います。例えば最新の科学の進歩は「Nature ダイジェスト」というサイトを見るとわかります。文章を読む練習にもなります。

https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/


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サラ・ミーナ「私たちには関係ない話ね」

私「まあそうだけど、それは君たちが飼い猫だからであって、野良猫だったら必死で情報収集しないと生きていけないところだよ。本は読めないにしてもね」

余談:小泉進次郎はその全く本を読まない60%に含まれるのだろうか?

 

 

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2024年9月15日 (日)

続・生物学茶話246: シナプス前細胞のアクティヴゾーン

電子顕微鏡でシナプスを見るとシナプス後細胞の細胞膜の電子密度が高いということは、20世紀の半ば頃から知られていました(1)。これは後に postsynaptic density と呼ばれるようになりますが、この日本語訳「シナプス後肥厚」というのは、どうして density を肥厚と訳したのかがわかりません。英語とは関係なく命名したのかもしれません。

確かに図246-1を見ても、シナプス後細胞の高密度領域は明らかにわかります。一方でそれに対面するシナプス前細胞の部分にも、後細胞ほど分厚くはありませんが確かに高密度領域は存在します。シナプス後細胞の場合神経伝達物質の受容体とそれを固定するタンパク質集合体が細胞骨格(スキャフォールド)で固定されているような構造が推測されますが、シナプス前細胞の場合、細胞膜は頻繁にエキソサイトーシスを行っているので流動的で、それでも高密度であるということは多くのタンパク質がここに集中して作業しているに違いありません。

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図246-1 シナプスの電子顕微鏡写真 (wikipedia: postsynaptic density より)

前回(245)の内容から考えて、カルシウムチャネル、SNARE複合体、MUNK、RIMなどがシナプス前細胞のアクティヴゾーンに集積すると思われますが、もう少し詳しく見ていきましょう。シナプス前細胞は電位変化の情報がくるとミリ秒単位の短時間で神経伝達物質を放出しなければなりません。そのためにはあらかじめ準備を万端整えておく必要があります。エンペラドール=メレロとケーザーはカルシウムチャネル、SNARE複合体以外の、あらかじめ準備されているタンパク質のセットを図246-2のようにまとめています(2)。

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図246-2 カルシウムチャネルとSNARE複合体以外のシナプス前細胞のアクティヴゾーンを構成するタンパク質複合体

ここには今まで言及していないタンパク質がいくつか登場しています。まず楽器の名前がつけられた Piccolo/Bassoon は類似した部分を持ち関連性がある非常に巨大なタンパク質で、Piccolo の分子量は約55万ダルトン、Bassoon は約42万ダルトンです。両者はアクティヴゾーンでスキャフォールドを形成する構造タンパク質ですが、それぞれ別の機能も持っており、特に Piccolo がアクチンと結合していることは重要だと思われます(3、4)。

ELKS はPiccolo/Bassoon、Liprinα、Rim1αなどと結合するドメインを持っており(図246-2)、少なくともこれらのタンパク質の立体配置に重要な役割を果たしていると思われます。Liprinαは mDia の活性を抑制することを通じて、アクチン線維の形成に関与しているようです(5)。また RIM と RIM-BP は電位依存性カルシウムチャネルと共に疎水性で相分離を起こすような集合体を形成し、小胞体を細胞膜近辺にとどめる役割を果たしているようです(6、7、図246-3のBの部分)。この1つの相をコンデンセートと呼び、Bはすぐにエキソサイトーシスで神経伝達物質を放出できる状態にあるシナプス小胞が集合している状態とされています。ただ図246-3のようにはっきりしたA相、B相、それ以外の部分というような境界があるかというと、私にはまだ信じられません。

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図246-3 コンデンセート説

図246-4はウィキペディアの active zone という項目(8)に掲載されてあった図で、とりあえず報告されているタンパク質とそれらの関係をまとめたものです。このようなイメージで最終的に良いのか(正しいのか)どうかはわかりませんし、すべてが網羅されているわけでもありませんが、関係タンパク質を一覧するには便利かもしれないので貼っておきます。スペクトリンがVDCCと結合するという論文は、アンキリンを介してというもの以外はみつかりませんでした。

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図246-4 アクディヴゾーンのタンパク質複合体(ウィキペディアの模式図)

図246-5は参照文献2などを参考に調べた結果ですが、やはり哺乳類が保有するアクティヴゾーンのタンパク質とホモローガスなタンパク質を線虫(C.elegance)もショウジョウバエ(D.melanogaster)も保有しています。前回(245)のシンタキシンでもわかるように、アクティヴゾーンにおけるシナプス小胞の集積と高速で行われるエキソサイトーシスをサポートするメカニズムは、これらの生物が分岐する以前のエディアカラ紀あるいはそれ以前に確立されていて、今生きている生物はそれをわずかな適応と改良を重ねてはいるものの、数億年の間基本的に引き継いでいることは明らかです。

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図246-5 マウス、線虫、ショウジョウバエにおけるシナプス前細胞アクティヴゾーンタンパク質 名前は別々に命名されていますがホモロジーがあり、各グループ(RIM, Liprin, ELKS/CAST, Munk13)は同根のタンパク質とされています

 

参照

1)Sanford L. Palay, SYNAPSES IN THE CENTRAL NERVOUS SYSTEM, J Biophys Biochem Cytol. vol.2(4): pp.193-202. (1956)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2229686/

2)Javier Emperador-Melero and Pascal S Kaeser, Assembly of the presynaptic active zone., Current Opinion in Neurobiology vol.63: pp.95–103 (2020)
DOI: 10.1016/j.conb.2020.03.008
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32403081/

3)Fenster, Steven D.; Kessels, Michael M.; Qualmann, Britta; Chung, Wook J.; Nash, Joanne; Gundelfinger, Eckart D.; Garner, Craig C., Interactions between Piccolo and the actin/dynamin-binding protein Abp1 link vesicle endocytosis to presynaptic active zones. The Journal of Biological Chemistry. vol.278 (22): pp.20268-20277 (2003) doi:10.1074/jbc.M210792200
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12654920/

4)Eckart D. Gundelfinger, Carsten Reissner and Craig C. Garner,
Role of Bassoon and Piccolo in Assembly and Molecular Organization of the Active Zone., Frontiers in Synaptic Neuroscience., vol.7, article 19, (2016)
doi: 10.3389/fnsyn.2015.00019
https://www.frontiersin.org/journals/synaptic-neuroscience/articles/10.3389/fnsyn.2015.00019/full

5)Satoko Sakamoto, Shuh Narumiya & Toshimasa Ishizaki, A new role of multi scaffold protein Liprin-α. Liprin-α suppresses Rho-mDia mediated stress fiber formation., BioArchitecture vol.2, Issue 2 (2012)
https://doi.org/10.4161/bioa.20442
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.4161/bioa.20442

6)細川智永 シナプス伝達と可塑性を担うタンパク質の集合と区画化 
Journal of Japanese Biochemical Society vol.94(4): pp.523-528 (2022)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940523
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2022.940523/data/index.html

7)Xiandeng Wu, Qixu Cai, Zeyu Shen, Xudong Chen, Menglong Zeng, Shengwang Du, Mingjie Zhang, RIM and RIM-BP Form Presynaptic Active-Zone-like Condensates via Phase Separation., Mol Cell vol.73(5): pp.971-984.e5. (2019)
doi: 10.1016/j.molcel.2018.12.007
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30661983/

8)Wikipedia: active zone
https://en.wikipedia.org/wiki/Active_zone

 

 

 

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2024年9月14日 (土)

ブログを書こう

A-4

ここを探索しようと思ったら、ミーナに先を越されたんだよね。でもそこで強引に割り込んだりしないのがサラの良いところ。

ところで今日はブログのおすすめをしたいと思います。私の持論はSNSは社交、ブログは文化です。ChatGPTなどが出現して、人は文章を書くという能力を失ってしまうかもしれません。是非自分で文章を作ってブログを書きましょう。

私は@ニフティというプロバイダーのサ-ビスでブログ(ココログ)をやっています。こことは古くてニフティサーブという名前で電話回線を使って営業していた頃からの付き合いです。ニフティーサーブの頃はブログという概念は無く、全く趣味的な「言葉の社交サークル」という感じでした。

X・FB・インスタグラムや動画サイトなどが次々と出現する中で、@ニフティはブログ中心のサイトとして営業していますが、それだけではありません。サービスの中に「注目のニュース(速報)」というのがあって、たとえば「3連休 雷雨と猛烈残暑に警戒」とか「斎藤知事への贈答品を公開」などがタイトルに並んでいます。

岸田政権になる前は信じがたいことに、3日とおかず頻繁に同じ人が「注目のニュース(速報)」のタイトルリストにあがっていました。その人の名は「玉川徹」で、玉川徹が羽鳥慎一モーニングショーでこう言ったとかああ言ったというのが注目のタイトルにあがっているのです。もちろんたいていの場合ディスるためです。玉川徹の発言が日常的に注目のニュースとは驚きですが、それほど安倍・菅政権にはにらまれていたのでしょう。

そういう意味では岸田政権はそれまでの政権と基本政策は変わりませんが、マスコミを隅々まで支配しようという中国やロシアそして安倍・菅政権のような検閲とコントロールはなくなったようです。少なくとも@ニフティニュースなどというマイナーな報道にまで圧力を加えることはなくなったのではないでしょうか。@ニフティニュースの全体的な内容も、フジサンケイグループなのに、最近は決して右翼的とはいえないくらいニュートラルでフェアーなものになっています。

@ニフティー加入
https://setsuzoku.nifty.com/niftyhikari/

 

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2024年9月11日 (水)

頭角を現してきた エヴァ・オリカイネン 

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(アイスランド交響楽団のHPより)

SWR交響楽団(南西ドイツ放送交響楽団)は来シーズンからフランソワ=グザヴィエ・ロトが首席指揮者・芸術監督に就任することになっていましたが、セクハラ疑惑問題が未解決のため、ロトが振ることになっていた今シーズンの最後の定期演奏会をキャンセルし、代役を立てることになりました。

その代役がなんと私がずっと「いちおし」していたエヴァ・オリカイネンに決まったそうです。演目はソフィア・グバイドゥーリナの楽曲及びR.シュトラウスのヴァイオリン協奏曲とシベリウスの5番だそうです。彼女は2013年に来日して都響を指揮しており、そのときに「ひと聴き」惚れしてしまいました。その特徴は指揮者の存在を感じさせないくらい、作曲家とその音楽に没入させてくれることです。

しかし不可解なことに、それ1回だけで以降呼んでいません。そのうちにアイスランド交響楽団の音楽監督に就任し、BBCプロムスに出演するとか、ウィーンの音楽祭をプロデュース・指揮をするとか、着々とキャリアを重ねて、頭角を現してきました。

参照:クラシック音楽とアート
謹慎中のフランソワ=グザヴィエ・ロトの代役にエヴァ・オリカイネン|SWR交響楽団定期
https://a-delp.blog.jp/2024-06-19_SWR

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#ウィーンで行われた Fest der Freude をプロデュースし、ウィーン交響楽団を指揮するエヴァ・オリカイネン
https://www.youtube.com/watch?v=FVu82lAyFQc&t=896s

曲目は モーリス・ラヴェル「ラ・ヴァルス」、ショスタコーヴィチ交響曲第10番第2楽章、アルヴォ・ペルト「Fratres fur violine」、コルンゴルト「Marienttas Lied aus die tote stadt」、マーラー交響曲第5番第5楽章

#ベートーヴェン交響曲第5番「運命」 エヴァ・オリカイネン指揮 アイスランド交響楽団
https://www.youtube.com/watch?v=O8QlEH0QgOI

ベートーヴェンがウィーンの楽壇にさっそうと登場したときの雰囲気を感じさせる溌剌とした演奏 一方で独墺音楽のどっしりとした伝統も感じさせる

#ベートーヴェン交響曲第9番合唱付き
エヴァ・オリカイネン指揮 ヘルシンキフィルハーモニー管弦楽団
https://www.youtube.com/watch?v=KIDZj0vJffU&t=310s

フィンランドはきら星のごとく多くの指揮者を輩出していますが、そのなかでヘルシンキフィルで第9を演奏するというのはすごいことだと思います

#グスタフ・マーラー さすらう若人の歌
歌:ヨハン・クリスティンソン  これは名演だと思います
エヴァ・オリカイネン指揮 アイスランド交響楽団
https://www.youtube.com/watch?v=xGC324k7sf8

 

日本の事務所 Musica Chiara
https://www.musicachiara.com/eva-ollikainen

 

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2024年9月 8日 (日)

続・生物学茶話245:シナプスとSNARE複合体

神経伝達はシナプスを経由して行われますが、そのシナプスが機能を発揮するためのメカニズムについては、これまで学習してきたように「1.シナプス前細胞のシナプス小胞が細胞質から神経伝達物質をとりこみ、2.それをシナプスのアクティブゾーンからエキソサイトーシスでシナプス間隙に放出し、3.放出された神経伝達物質をシナプス後細胞が受け取る」という順序で行われることがわかっています。

そのためにはまずシナプス前細胞のバリコシティー(ふくらみ)が電位変化を察知し、それを生化学的プロセスに変換しなければなりません。これをおそらくすべての神経を持つ生物はカルシウムチャネル(1、2)を使ってやっていると思われますが、おそらくというのは有櫛動物だけはほかの門の生物とは非常に異なる神経システムを持っていてはっきりとしない点があるからです。そのため生物進化において神経のルーツがひとつであるのかふたつなのかという論争が続いているほどです(3、4)。ただ有櫛動物も筋収縮についてはカルシウムシグナリングに依存しているようですし(5)、神経細胞においても電位変動を最初に感知し、カルシウムの流入によって生化学的変化を起動しているのはおそらく有櫛動物の場合もカルシウムチャネルだと考えられています(6)。カルシウムチャネル自体の歴史は非常に古く、ルーツは細菌までたどることができます(2、7)。ですから神経伝達のためのツールとして使うのは多細胞生物による流用です(8)。

電位依存性カルシウムチャネル(voltage-dependent calcium channel: VDCC)についてはすでに参照文献2で詳しく述べましたが、この分野の研究は進んでおり、ここでは京都大学森研究室がHPに掲載している図を多少改変して貼っておきます(9、図245-1)。

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図245-1 電位依存性カルシウムチャネルの立体構造


森研究室の研究では、RIMファミリーのタンパク質が電位依存性カルシウムチャネルとシナプス小胞を繋ぐ役割を担っており、シナプス小胞のエキソサイトーシスにかかわっているとしています(9)。今回はそのシナプス小胞のエキソサイトーシスについて触れたいと思います。

シンタキシンは一般に細胞内小胞輸送において膜融合に関わるタンパク質のグループですが、シナプス小胞が細胞膜と融合し、エキソサイトーシスによってシナプスに神経伝達物質を放出するという神経細胞特有のプロセスにおいても主役の1つを担っています。シンタキシンについては脳科学辞典に詳しい解説があります(10)。そこにある図のひとつを図245-2とします。

細胞膜のタンパク質であるシンタキシンのH3ドメインとシナプス小胞膜のタンパク質であるシナプトプレビンがSNAP-25を介してつながる構造をSNARE複合体と呼び、この構造形成によって小胞と細胞膜が結合しエキソサイトーシスの契機となります(図245-2)。

小胞と細胞膜がのべつ幕なしに結合すると困るので、通常はHabcドメインがH3ドメインと結合していてSNARE複合体ができないOFFの状態になっています。カルシウムチャネルから情報がくると立体構造が変化して、SNARE複合体が形成されることになります(図245-2)。

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図245-2 シナプス小胞が開口放出を行う前に形成されるSNARE複合体の立体構造模式図

脳科学辞典によると「シンタキシンファミリーは少なくとも16種類のアイソフォームが存在し、そのうち多くが線虫から哺乳類に至るまで進化的に保存されている」と記載されています(10)。図245-3で各動物におけるそれらのアイソフォームの存否をまとめてみました。1A、4、5、6、7、16、17、18の8つのアイソフォームは各動物が保有しています。このことはカンブリア紀以前の段階でこれらのアイソフォームは確立され、各門の動物がその後引き継いだことを意味します。

頭索動物(ナメクジウオ)、尾索動物(ホヤ)、円口類(ヤツメウナギ)、棘皮動物(ウニ)、半索動物(ギボシムシ)などについても情報が得られると、より詳しく生物進化とシンタキシンの関係がわかると思いますが、この図でもヒトにしかないアイソフォーム(シンタキシン10)、後口動物だけ(あるいは哺乳類だけ)にみられるもの(シンタキシン1B、11、19)があることは注目されます。

小胞と細胞膜が結合するようなシステムは多くの細胞で必要なので、シンタキシンはほとんどの細胞に存在しますが、神経細胞と分泌細胞に特異的に存在するのはシンタキシン1A、1Bとされています。ただまだ局在がわからないもの、cDNAしか知られていないものなどがあり、シナプスで使われるシンタキシンのアイソフォームは完全には解明されていないようです(10)。

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図245-3 シンタキシンのアイソフォーム

すでに「小胞と細胞膜がのべつ幕なしに結合すると困るので、通常はHabcドメインがH3ドメインと結合していてSNARE複合体ができないOFFの状態になっています」と述べましたが、MUNK18はシンタキシン1の不活性なクローズドフォームを維持するために機能しています。これに対してカルシウム存在下でシナプトタグミンはシンタキシン1を活性化し、SNARE複合体を形成するためのコンフォメーション変化に寄与することにより膜融合を促進します。MUNK13もシンタキシン1の活性化に寄与します(11、12、図245-4)。

図254-4のQaは、シンタキシンのH3ドメインにあるSNAREモチーフです。SNARE複合体はこのQaのほか、SNAP-25AのQb・Qcモチーフおよびシナプトプレビン2のRモチーフによって構成されています(図245-4)。

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図245-4 シンタキシン1のコンフォメーション変化とSNARE複合体の形成  カルシウムイオンの流入によって、シンタキシン1はクローズドフォームからオープンフォームに変化しSNARE複合体を形成する

SNARE複合体による膜融合についてはさまざまなモデルがありますが、Shen Wang らが提出しているモデルは図245-5のようなものです。これによるといったんシナプトブレビン2-Munc18-Munc13-シンタキシンが複合体を形成することによって(b)シンタキシンが活性化し(c)、Muncが解離すると共にSNAP-25が結合してSNARE複合体が形成され、シナプス小胞と細胞膜が結合するとしています。

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図245-5 Shen Wang らの膜融合モデル

一方京都大学の森研究室HPのモデルでは、カルシウムチャネルがα-RIMを介してシナプス小胞を細胞膜につなぎ止めるということになっていて(9)、議論はつきないようです。ポイントはカルシウムチャネルが直接的に膜融合にかかわっているのか、それともカルシウムの流入を介してのみかかわっているのかということです。

 

参照

1)脳科学辞典 電位依存性カルシウムチャネル
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E9%9B%BB%E4%BD%8D%E4%BE%9D%E5%AD%98%E6%80%A7%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB

2)続・生物学茶話191: 電位依存性カルシウムチャネル
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/10/post-d9a164.html

3)Nature digest, Vol. 11 No. 8 News 深まるクシクラゲの謎
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v11/n8/%E6%B7%B1%E3%81%BE%E3%82%8B%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B2%E3%81%AE%E8%AC%8E/54610

4)Eisuke Hayakawa et al., Mass spectrometry of short peptides reveals common features of metazoan peptidergic neurons., Nature Ecology & Evolution, vol.6, pp 1438-1448 (2022)
https://www.nature.com/articles/s41559-022-01835-7

5)Robert W Meech, Andre Bilbaut Deceased, Mari-Luz Hernandez-Nicaise, Electrophysiology of Ctenophore Smooth Muscle. Methods Mol Biol., vol.2757, pp.315-359. (2024)
doi: 10.1007/978-1-0716-3642-8_15.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38668975/

6)Adriano Senatore, Hamad Raiss and Phuong Le, Physiology and Evolution of Voltage-Gated Calcium Channels in Early Diverging Animal Phyla: Cnidaria, Placozoa, Porifera and Ctenophora., Front. Physiol. vol.7: article 481.(2016)
doi: 10.3389/fphys.2016.00481
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27867359/

7)入江克雅 下村拓史 国立生理学研究所プレスリリース 細菌のセンサーから紐解く 神経刺激を伝えるタンパク質の太古の姿
https://www.nips.ac.jp/release/2020/02/post_409.html

8)ウィキペディア 流用(生物学)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%81%E7%94%A8_(%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6)

9)京都大学大学院工学研究科 森研究室HP
http://www.sbchem.kyoto-u.ac.jp/mori-lab/research-a.html

10)脳科学辞典 シンタキシン
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%B3

11)脳科学辞典 SNARE複合体
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/SNARE%E8%A4%87%E5%90%88%E4%BD%93

12)Shen Wang, Yun Li, Jihong Gong, Sheng Ye, Xiaofei Yang, Rongguang Zhang & Cong Ma, Munc18 and Munc13 serve as a functional template
to orchestrate neuronal SNARE complex assembly., Nature Commun., 10:69 (2019)
https://doi.org/10.1038/s41467-018-08028-6
https://www.nature.com/articles/s41467-018-08028-6

 

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2024年9月 7日 (土)

立憲民主党代表選挙

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枝野幸男

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泉健太

(写真はウィキメディアコモンズより)

おーい ミーナとサラ 目を覚ませ

ミーナとサラ「私たちには関係ないから寝てる」

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ミーナとサラと同様、私も自民党の総裁選挙には全く関心はありませんが、立憲民主党の代表選挙には少し関心があります。

野田氏と吉田氏は科学技術や大学についてあまり述べていませんが、枝野氏と泉氏は明確に政策を述べています。

枝野幸男:

国公立大学の授業料を半額にまで引き下げる 奨学金の拡充
一人暮らしの学生への家賃補助制度の創設
科研費の充実 ポスドク(博士研究員)や大学院生の処遇改善

泉健太:

科学技術予算の大幅増による基礎研究の重視と研究開発支援
省エネ、蓄電、再エネ技術の推進により原発・火力依存度を低減

結構なことです 是非実現のために努力して欲しい。

参考にしたサイト

野田佳彦 https://www.nodayoshi.gr.jp/

枝野幸男 https://edano.gr.jp/

泉健太 https://izumi-kenta.net/policy2022/

吉田はるみ https://yoshidaharumi.com/greeting

悪事を働いた自民党がまた何事も無かったかのように次回も政権を担当するのでしょうが、そうするとますます図に乗って世の中が悪い方向に回っていくことになりそうです。

 

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2024年9月 4日 (水)

Walk down the memory lane 10: ミヒャエル・ザンデルリンク ドレスデンフィル

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新宿文化センタ-はパイプオルガンも備えた第1級のコンサートホールですが、その割にはアマオケである新宿交響楽団が拠点としているだけで、プロオケの演奏会はたまにしかないという不思議なホールです。現在は改修のため長期閉館中です。

そのたまにしかない演奏会をドレスデンフィルがやり、かつその料金が格安のめったにないチャンスということで(新宿区からかなり補助金が出ていたのでしょう)、大変久しぶりに新宿文化センターを訪れた記憶があります。いつもの習慣で軽食を取るために近所の喫茶店に入ったのですが、私の席のとなりに座った2人がすごかったので、これは忘れられない思い出となりました。

その二人をAとBとすると、BがAから2000万円ほど借りて返済が滞っており、AがBを叱責するというシーンが延々と繰り広げられ、それが全部聞こえてくる、そして喫茶店は満席で移動不可というシチュエーションです。Aは借金返さないのにBが女と遊んでいるところを目撃したということで激怒しており、お前を絶対に潰してやるという話を死ぬほどリピートするのです。Bもなかなかしぶとくて、のらりくらり交わしながらどうも返す気がないようです。重苦しい殺気があたりにただよっていました。同行者と完全沈黙のまま、なんとか食べ終わったので私たちは席を立ち、事件にならなければ良いがと思いながら、かなりデプレスした状態でホールに向かいました。

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ミヒャエル・ザンデルリンクの実力は都響への客演で知っていたのですが、ドレスデンフィルとの演奏は、手勢ということもあり素晴らしいものでした。デプレスしていた精神状態も一気に回復しました。強奏時でもオケの音に深みと柔らかさがあり、それをミヒャエルが最大の緊張感を持って指揮するのですから、私にとっては初めて経験するドイツ音楽の神髄感がありました。

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2019 ドレスデンフィル来日公演の記録

富士通コンサートシリーズ
ミヒャエル・ザンデルリンク指揮 ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
広告宣伝 - 富士通
https://www.fujitsu.com/jp/about/resources/advertising/event/dresdenphil/

6月30日(日曜日) 13時30分   大阪 ザ・シンフォニーホール
7月1日(月曜日) 19時 福岡 アクロス福岡シンフォニホール
7月3日(水曜日) 19時 東京 サントリーホール

新宿文化センター主催公演
2019年6月28日(金)19:00開演
出演:指揮 /ミヒャエル・ザンデルリンク、管弦楽/ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
全席指定 S席10,000円 A席7,000円

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ミヒャエル・ザンデルリンクとドレスデンフィルのPR動画
https://www.youtube.com/watch?v=TKsc5fG_3qY

ショスタコーヴィチ交響曲第7番
https://www.youtube.com/watch?v=r-1x8SoDopw

ミヒャエルとドレスデンフィルは1枚のCDにベートーヴェンとショスタコーヴィチの交響曲を同居させるという珍奇なアイデアをほんとに実行するという企画を進めています。

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でもオーケストラは生で聴かないと、その本当の良さはわかりません。

 

 

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2024年9月 1日 (日)

World music collection 18: Nakajima Miyuki (covers)

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Nakajima Miyuki, a legend of japanese music scene in 20th and 21th centuries, is a medicine for your heart, but at the same time is a poison to your mental sensors. Sometines, my mental sensors are able to endure only for several munites for her songs. I think, it is not due to her melody or lyrics, but is rather due to her way of performance.

So the covers of her songs have special significance for me. I carefully chose the covers diluting the poison of the originals, while they still preserve it to some extent.

中島みゆきの音楽はリスナーに慰めを与え、また毒を注入します。その毒は強烈で、私のメンタルセンサーは1曲に耐えるのがやっとです。それは音楽そのものではなく、彼女のパフォーマンスによるものです。つまりカバーはいくらでもOKです。ここでは毒が薄まってはいるが、きちんと保持しているカバーを慎重に選びました。

lyrics:

中文
https://note.com/kanshikanbun/n/n00725f05ae3d

English and other european langages
https://lyricstranslate.com/ja/miyuki-nakajima-lyrics.html

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ホームにて ぷりん
https://www.youtube.com/watch?v=gSo4CfOItA4

かなり若い頃のぷりんさん。もっと前にはハードロックをやっていたらしい。
年末になると聴きたくなる曲ですが、いまや夜行列車なんてほぼないので、そのうち誰もこの情緒を感じられなくなってしまうでしょうか。

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夢だもの まきちゃんぐ
https://www.youtube.com/watch?v=hgpeMBRxbdU

ちゃんぐさんは中島みゆきと同じ事務所にいて、後継者と見なされていたこともありましたが、彼女は彼女の音楽をやっています。

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ミルク32 満島ひかり
https://www.youtube.com/watch?v=95thSZDHAvo

ミルクは札幌北18条にある喫茶店で、中島みゆきが無名時代によく通っていたそうです。
https://mainichi.jp/articles/20220129/k00/00m/040/239000c

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愛から遠く離れて 伽藍琳(りん・がらん)
https://www.youtube.com/watch?v=OwmEBrrF-6U

伽藍琳さんは本職は舞台のプロデューサーだそうですが、自然にはいってくる歌もなかなかのもの。

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エレーン 
Naru & ぷりん
https://www.youtube.com/watch?v=ODnvm4znMNk

病気や怪我を乗り越えて。 最近の Naru & ぷりん

まろりさんの解説によれば、エレーンのモデル「ヘレン」は、中島みゆきと同じマンションに住んでいた外国人を相手にする娼婦で、いつも安物のドレスを身に着けていました。そのヘレンが客とのトラブルと見られる事件で殺され、マンションのゴミ捨て場に死体が遺棄されるという事件が発生しました。外国人娼婦の殺人事件に警察も捜査に本腰を入れようとしなかったのか、そのまま事件は迷宮入り。というようなことがあったようです。
こちら

The model of this song "Helen" was a street girl lived in the same apartment with Miyuki. One day she was killed by a "customer" and found in the garbage box. She left only some worn-out dresses, no one want to ware.

歌詞:こちら

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歌姫 シンガー不明
https://www.youtube.com/watch?v=gEke-OfsjJE

集団就職のことなのかと、この映像を見てはじめて気がつきました。シンガーの顔も名前もわかりませんがリアルな歌。

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ひとり上手 YO-EN
https://www.youtube.com/watch?v=MDiKhvilnt0

体調不良から回復して活動を再開したそうです。ご健康を祈ります。

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地上の星 魚高ミチル
https://www.youtube.com/watch?v=NyrBtEcY5UE

最近BeBeから改名したそうです。

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世情 Ai Ninomiya
https://www.youtube.com/watch?v=b7d6QtCTZZ4

真摯な歌唱。彼女は英語のキャプションもつけています。

What’s right and what’s wrong.
I guess we’re programmed to be in a confrontation no matter what year it is.

A huge confrontation in between those who want changes to this world, and the ones who want to stop the time to live a life in a way they used to.
It’s everywhere.

Thank you so much for checking my channel!
I hope you enjoyed my videos!!!

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誕生 ドリアン・ロロブリジーダ
https://www.youtube.com/watch?v=EmzmNjUQGBI

ドリアンさん、素顔は二枚目。

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糸 冨田麗香
https://www.youtube.com/watch?v=FN_jXIXOlVw

地べたに座って歌うというのが、なんともいえない雰囲気を醸成します。

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ヘッドライト・テールライト 宮苑晶子
https://www.youtube.com/watch?v=oqVQYxAhE5c

シンガーになる前はシステムエンジニアだったそうです。

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有名人によるカバー

雪 坂本冬美
https://www.youtube.com/watch?v=Bs6Hb-G8QpA

銀の龍の背に乗って 槇原敬之
https://www.youtube.com/watch?v=d5eiDfHjfCc

空と君のあいだに 森恵
https://www.youtube.com/watch?v=eVAZuqMyyGo

時代 夏川りみ
https://www.youtube.com/watch?v=Z6gOpDP7KYA

ファイト! 竹原ピストル
https://www.youtube.com/watch?v=2lzP8f3kDns

しかし竹原ピストルがNHKの紅白歌合戦に出場するとは、誰が想像しただろうか!

悪女 中森明菜
https://www.youtube.com/watch?v=J0NgOMSvf9s
https://www.youtube.com/watch?v=xsqQWTqGwaM

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最後にすごいのを。中島みゆき公認のオープン映像のようです。
毒殺されないように!

This is the performance of Nakajima Miyuki by herself.
I felt Edith Piaf.

愛だけを残せ 中島みゆき
https://www.youtube.com/watch?v=gUDikbjabaw

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ではおやすみなさい  Good night everyone🌙

夜曲(Nocturne) Soko
https://www.youtube.com/watch?v=X9_OikoLMSU

 

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2024年8月29日 (木)

続・生物学茶話244:記憶の科学のはじまり

243では記憶の源流は馴化にあり、それはニューロンにおける代謝の変化やそれに関連しておこるシナプスの電子顕微鏡的な微妙な変化がおこることを述べましたが(1)、馴化は練習することでだんだん上手にできるようになり、数分~数時間の短期的なものでなく、数日~数週間も持続する長期の記憶を獲得することもできるようになります(2)。

生化学的な反応は流動的であり、基質・酵素の量や制御因子などの反応条件が変化すれば直ちに変化するので、安定した記憶を維持するためには何か別のシステムによらなければなりません。数日~数週間も持続する変化を維持できるシステムとは何か? それに最初に答えを出したのはベイリーとチェンです。

彼らの業績を紹介する前に、「バリコシティー」という言葉の説明が必要です。専門家以外にはあまり使われませんが日本語訳は「神経膨隆部」で、神経細胞のシナプス前細胞で形成されるシナプス小胞が集積したこぶ状のふくらみのことです。一般的にはシナプスをつくらなくてもそう呼びますが(3)、ベイリーとチェンの論文にあるのは presynaptic varicosity で、シナプス前細胞の終末にあるふくらみです。

彼らは馴化の長期記憶の実験では、30秒ごとに10秒アメフラシの水管に触れるという操作を10回行い、これを1セッションとして1日10回のセッションを10日間おこないました。これによって馴化について長期間の記憶を獲得させることができます。また鋭敏化の実験では別のグループに100mA-2秒の電気ショックを1.5時間ごとに4回与えるというセッションを4日間続けました。これによって鋭敏化の長期記憶を獲得させました。そうしてコントロール群と長期記憶獲得群それぞれの感覚ニューロンのバリコシティーを数えると、図244-1の様な結果となりました(4)。

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図244-1 馴化時・鋭敏化時における感覚神経のバリコシティーの数

馴化群と対照群の差が小さいと思われるかもしれませんが、図244-2のように馴化群の場合、それぞれのバリコシティーにおけるシナプス近傍小胞体の数が馴化群では減少している(アクティブゾーンに接する小胞体が少ない)ことを考慮に入れる必要があります。それぞれのシナプスが質的に変化しています。

ベイリーとチェンの研究によって、それまで謎に包まれていた記憶のメカニズムが、圧倒的にシンプルな形で生物学というまな板の上にのせられました。そういう意味では、彼らはカンデルと共にノーベル賞を受賞すべきだったかもしれません。小胞体がどのようなメカニズムで細胞膜とつながるかについては近々にここでも取り上げる予定です。

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図244-2 バリコシティーの量的・質的変化

ペルオキシダーゼ(HRP)と適切な基質を用いると感覚神経を標識し、光学顕微鏡や電子顕微鏡写真で感覚神経末端を検出することができます。図244-3によると電子顕微鏡でみた感覚神経の軸索末端(バリコシティー)で、介在神経の樹状突起とシナプスを形成し、電子密度の高いアクティブゾーンがみられます。この介在神経には、非常に狭い領域に4つのシナプスが集中しています。

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図244-3 標識した感覚神経と介在神経のシナプスの電子顕微鏡写真

彼らはさらに鋭敏化の長期記憶においては、シナプスのアクティブゾーンの増大などの質的変化よりも、シナプスの数が増えたことが決定的に重要であることを示しました(5)。図244-4は長期鋭敏化を獲得した際の感覚ニューロンの変化を示しています。

感覚ニューロンの軸索は非常に多くの枝分かれ構造を新たに形成し、シナプスの数が増加していることがわかりました(図244-4)。このような変化はタンパク質の新たな合成による細胞構造の変化を前提としているので、数時間程度では不可能で、長期の学習による継続的な構造形成が必要になります。その代わり簡単には失なわれない長期の記憶を獲得することができます。

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図244-4 長期鋭敏化という学習を行った感覚ニューロンの変化

キムらはシナプスは形成されていたけれども有効に使われていなかったものが、長期記憶の際に有効なものに変化していく、すなわち小胞体が形成されアクティブゾーンから神経伝達物質を放出するようになることを報告しました(6)。このプロセスはmRNAがあれば数時間で行われますが、なければ十数時間かかります(6)。いったん構造が形成されていれば長期のトレーニングは不必要で、それより短い時間で動作を思い出すことができるということでしょう。

その後の研究によって、ベイリーとチェンがアメフラシで発見した記憶のメカニズムは、私たち哺乳類の海馬の記憶メカニズムと原理的に同じであることが明らかになってきました(7)。

参照

1)続・生物学茶話243:記憶の源流をたどる
http://morph.way-nifty.com/grey/2024/08/post-49f9de.html

2)「記憶のしくみ 上」 ラリー・R・スクワイア エリック・R・カンデル 講談社ブルーバックス (2009) p.122

3)東京医科歯科大学 教育用資料 シナプス伝達の修飾
https://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/pdf2/neuromod.pdf

4)Craig H. Bailey and Mary Chen, Long-term memory in Aplysia modulates the total number of varicosities of single identified sensory neurons., Proc. Nati. Acad. Sci. USA, Vol. 85, pp. 2373-2377, (1988)
DOI: 10.1073/pnas.85.7.2373
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3353385/

5)Craig H. Bailey and Mary Chen, Time course of structural changes at identified sensory neuron synapses during long-term sensitization in Aplysia. The Journal of Neuroscience, vol.9, no.5, pp.1774-1780 (1989)
DOI: 10.1523/JNEUROSCI.09-05-01774.1989
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2723749/

6)Joung-Hun Kim, Hiroshi Udo, Hsiu-Ling Li, Trisha Y Youn, Mary Chen, Eric R Kandel, Craig H Bailey, Presynaptic Activation of Silent Synapses and Growth of New Synapses Contribute to Intermediate and Long-Term Facilitation in Aplysia., Neuron, vol.40, pp.151-165 (2003)
https://doi.org/10.1016/S0896-6273(03)00595-6
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0896627303005956

7)Craig H. Bailey, Eric R. Kandel, and Kristen M. Harris, Structural components of synaptic plasticity and memory consolidation.,
Cold Spring Harb Perspect Biol., vol.7(7):a021758. (2015)
doi: 10.1101/cshperspect.a021758.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26134321/

 

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2024年8月27日 (火)

川内原発1号機本日起動 ふぇ~~~

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NHK: 川内原発1号機 原子炉起動 原則の40年超えた運転 全国4基目
7月、運転開始から40年を超えた鹿児島県の川内原子力発電所1号機は、定期検査に伴い運転を停止していましたが、27日午後、原子炉を起動し運転を再開しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240827/k10014561381000.html

台風10号が明日にも九州南部を直撃しようとしている今日、なんと本来なら40年が期限であるはずの原発が特例延長で起動しました。それは鹿児島県のまさしく暴風圏に入りそうな川内原発です。

写真で見るとおり海沿いにあるこの原発で事故が起こると、どうなるのでしょう? なにしろ雨量がトータル1000mmを超えるところもあるという気象庁の予想も出ているわけですから、良識のある人なら台風が過ぎ去るまで数日起動を遅らせることになるとおもいますが、電力会社にはそういう発想は全くないようです。自分たちは無謬の神だとでも思っているのでしょうか? 道路が冠水したら誰も助けに来れませんよ・・・。(追記 29日現在 川内市で大規模停電が起きているようです)

https://www.youtube.com/watch?v=MbpNTO3hEGE

鹿児島県 台風時の原発事故は「想定外」 大規模停電で無責任体制露呈

http://hunter-investigate.jp/news/2015/08/post-749.html

ミーナどうしよう?
ミーナ「思案投げ首...」

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2024年8月24日 (土)

World music collection 17: Mad About Lemon

Heidi

https://www.youtube.com/watch?v=x6BtZOodyVE

これは Hot Club Du Nax (Vocal: Isobel Cope) のミュージックビデオですが、ここでのターゲットは後ろのコーラスです。コーラスの向かって一番左の人が Heidi Erler さんですが、この人は唇でトランペットとサックスとトロンボーンの間くらいの音が出せるのです。2分くらいからです。

A woman of back chorus made a sound like that between trumpet, sax and trombone by her lips only. It is amazing. (from about 2 min)

打楽器とかトランペットの音を出すパフォーマンスはよくありますが、こんな音を出せる人を見るのは(聴くのは)はじめてです。驚異的な美しい音です。

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3人はユニットです。

中世の教会音楽をポップスにしようとしているのでしょうか?

Light love lemon
https://www.youtube.com/watch?v=h8HBYa7UCN0

グループ名は 「Mad About Lemon 」
日本のアーティストでは青葉市子の音楽に近いかな 文明批判もあります

Modern People
https://www.youtube.com/watch?v=FKvtBSLP2P8

Thought You Think I Knew
https://www.youtube.com/watch?v=zW_R8uJmEFs

Paintings on the Wall
https://www.youtube.com/watch?v=88ybgTt5CbM

 



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2024年8月21日 (水)

わが家を終焉の地に選ぶ者 セスジスズメ

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毎年この季節になると、わが家を終焉の地とする者が数多く訪れます。

これはスズメ蛾の一種セスジスズメ(Theretra oldenlandiae)ですが、もう2日間じっと動かずに壁にとまっているので、やはりその種の訪問者なのでしょう。足が一本とれています。苦難の人生だったのでしょうか?

彼にとってはここが静かで心安まる場所だったのかもしれません。スマートなデザインの美しい蛾です。写真くらい残してあげましょう。

彼らは静かな場所をさがしてじっとそこにとどまり、力尽きると落ちて死ぬわけですが、人間が死ぬのは大変です。

火葬は法律で決まっていますし、その順番待ちが大変ですし、葬式の準備も大変です。だれでも死ぬわけでもありますから、私は火葬は公費で行うべきだと思いますし、法律で決められていることが2週間も遅滞するというのは行政の怠慢だと思います。

Marianne Faithfull  "This little bird"

https://www.youtube.com/watch?v=INAaRVVfkts

https://www.youtube.com/watch?v=sInFKoezcyw

Lyrics

https://genius.com/Marianne-faithfull-this-little-bird-lyrics

 

 

 

 

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2024年8月19日 (月)

続・生物学茶話243:記憶の源流をたどる

生物の歴史をどこまで遡れば記憶の起源にたどり着くのでしょうか? ルネ・デカルトは「我思う故に我あり (Cogito ergo sum)」という名言を残しましたが、スクワイアとカンデルはこれは誤りであり「我々は、たんに考えるから、我々なのではなく、考えてきたことを思い出すことができるからこそ、我々なのである」と主張します(1、図243-1)。

私も記憶しそれを思い出すことはコギト(自意識)そのものであると思います。最も始原的な記憶とは何かというと、それは馴化(じゅんか)です。感覚器→感覚神経→運動神経→筋肉という4つのパーツを獲得し、方向性を持った情報伝達が可能になったとき、生物はおそらくほぼ同時に馴化という始原的な記憶を獲得しました。

カンデル、ベイリー、チェンらは貝殻をもたない軟体動物であるアメフラシを実験動物に使って、馴化やその逆の鋭敏化という問題に取り組みました。哺乳類の脳には1000億~1兆個レベルのニューロンがありますが、アメフラシは約2万個のニューロンしかなく、しかもそのニューロンの細胞体のサイズは直径200-1000μmという哺乳類に比べると一桁巨大なので、実験をおこなうには圧倒的に有利です。たとえば電極を刺したり、マイクロシリンジで薬物を細胞に投与したりする操作が容易にできます。

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図243-1 スクワイアとカンデルの著書 講談社ブルーバックス(2013)

馴化や鋭敏化を含めて、記憶は神経伝達がシナプスというニューロンとニューロンを連結するメカニズムを介して行われるということが現在では明らかになっています。シナプスを介した情報伝達には方向性があり、1)シナプス前細胞に存在するシナプス小胞がシナプスを形成する細胞膜と融合合体し、2)シナプス小胞に含まれる神経伝達物質をシナプス間隙に放出し、3)その神経伝達物質をシナプス後細胞表層の受容体が受け取って細胞内に情報を伝えるという方式によって行われます。このメカニズムはアメフラシでも哺乳類でも同じです。フランスの解剖学者ルネ・クートー (René Couteaux) はこのようなメカニズムを発見しましたが(2、3、図243-2)、例えば脳科学辞典のシナプス小胞の項目に名前がでていないように、彼の業績は軽視されがちのようです。

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図243-2 ルネ・クートーの肖像と電子顕微鏡写真  (A)(B)Arrow: シナプス特有の電子密度の高い構造 Arrow head: 中味をシナプスに放出しているシナプス小胞 (D) シナプス小胞は小胞体から補給される

同じ刺激が連続的に発生したとき、もし情報伝達の径路に生化学的なプロセスが噛んでいるとすれば、時間が経てば反応物質が枯渇してプロセスの続行に支障をきたすことは明らかです。ですからシナプスが実現したと思われるエディアカラ紀からこの意味での馴化という現象は存在したと思われます。しかしたとえば波が打ち寄せるというような現象に対して常にこのようなことが起こっているとすると、反応物質は常に枯渇しているということになります。そうなると突発的な刺激に対して反応できないどころか、神経系を持つ意味が失われます。ですからそこには進化の圧力が働いて、反応物質が枯渇する前に積極的に反応を停止するメカニズムが生まれたことは想像できます。

おそらく積極的と思われる馴化機構について最初に示唆を与えたのはクレイグ・ベイリーとマリー・チェンです(4、5)。彼らはアメフラシを用いて、短期馴化のプロセスにおいてシナプスそのものに大きな形態的変化はあらわれないが、シナプス前細胞の小胞放出部位に結合しているシナプス小胞の数が減少することをみつけました(図243-3、まるでシナプス小胞がシナプスを避けているように見えます)。このようなメカニズムなら神経伝達物質の枯渇は防げます。

またこのニューロンの中のカリウムチャネルが活性化し→ニューロンの脱分極持続時間の短縮→カルシウムチャネルを通って流入するカルシウム量の減少→神経伝達物質放出量の減少、という現象が起こるということがわかっています(6)。これは「波が打ち寄せるというような無害な繰り返しに対しては反応しなくて良い」という始原的な記憶機構と言えると思います。この記憶は強い刺激が来れば初期化されてしまいます。

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図243-3 馴化とシナプス ベイリーとチェンの電子顕微鏡写真

波など弱く無害な刺激の場合は馴化するのが妥当ですが、嵐がきたりして激しい刺激があるとそういうわけにもいかないでしょうし、特にカンブリア紀にはいると他の生物に食いつかれたりする危険が発生して、これに対応するためには神経系をアラート状態にする、すなわち鋭敏化が必要になります。

鋭敏化を実現するためには、鰓を閉じる筋肉が敵の攻撃を察知する全身の感覚神経と接続している必要があります。そのためには感覚神経と運動神経の直接接続だけでは感覚神経のシナプスが多すぎてバランス的に無理で、別個に介在神経(介在ニューロン)が必要となります。ここで様々な場所での負傷状況を認識して筋肉に伝えるという新機軸ができました(図243-4、Bは尾が強い刺激を受けた場合 この図は参照文献(8)にあるものの再掲です)。これによって負傷すると致命的な鰓を閉じ、さらに強力な刺激に対しては、煙幕を張って逃走するという行動を行います。

図243-4には描いてありませんが、介在ニューロンは主としてセロトニンという神経伝達物質をシナプスに放出し、感覚神経はこれを受けてcAMPを産生し、cAMPで活性化されるタンパク質リン酸化酵素(Aキナーゼ)の作用でカリウムチャネルをリン酸化し、これを不活化することによって脱分極時間を延長します。脱分極時間が延長されるとカルシウムチャネルが開いたままとなりカルシウムが大量に流入してシナプスの活動が活性化されます。一種の正のフィードバックです。もう忘れているかもしれませんが、これは高校生物で学習します(7)。

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図243-4 アメフラシの馴化(A)と鋭敏化(B)に関係した神経ネットワーク 詳細は参照(8)をご覧下さい

私見では鋭敏化のメカニズムは、おそらくカンブリア紀になってからできたものだと思います。エディアカラ紀にもそれがあった方が良いという刺激は存在したのでしょうが、それは日常的におこることではなく、進化圧力となるほどではなかったと思います。カンブリア紀になると敵に襲われることが日常的におこるようになったので、戦うとか防備するとか逃走するとかの前段階として神経系が鋭敏化を準備することには強い進化圧力があったに違いありません。

馴化はコギト(自意識)と直結するものではないと思いますが、鋭敏化はコギトに直接進化していったと思います。敵を認識すると言うことは、自分を認識するということと同じではないでしょうか。そう考えるとアメフラシがコギトを持っていても不思議ではありません。

シナプス周辺の変化はある程度安定しており、これが記憶の源泉となります。その安定性によって短期記憶から長期記憶までのバラエティをつくることもできます。コギトの問題は別としても、馴化と鋭敏化が記憶の源流であることには間違いなさそうです。そして馴化も鋭敏化も、これまで述べてきたようにシナプスの活動を変化させることによって実現します(9)。

ここで述べてきた非陳述型短期記憶についてまとめると

1.記憶はシナプス強度の変化とその持続によって行われる
2.シナプス強度の変化はシナプス前細胞から放出される神経伝達物質の量に依存する
3.シナプス強度の変化は感覚神経と運動神経だけでなく、介在神経細胞でもおこる
4.非陳述記憶は記憶を専業とするニューロンによって行われるのではなく、関連する神経経路全体に内蔵される

陳述記憶とはその内容を絵・言葉・文字などで想起することができる事実に関する記憶であり、そうではないアメフラシのエラ閉じなどは非陳述記憶ということになります。短期とは通常数分~数十分のことです。

 

参照

1)「記憶のしくみ」 ラリー・R・スクワイア エリック・R・カンデル 講談社ブルーバックス (2009) まえがき

2)Constantino Sotelo, The History of the Synapse., Anat. Rec., vol.303 pp.1252–1279 (2020) doi: 10.1002/ar.24392
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32323495/

3)Shigeru Tsuji, René Couteaux (1909–1999) and the morphological identification of synapses., Biology of the Cell vol.98, Issue 8, pp.503-509 (2012)
https://doi.org/10.1042/BC20050036
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1042/BC20050036

4)Craig H. Bailey, Mary Chen, Structural plasticity at identified synapses during long-term memory in Aplysia., Journal of Neurobiology vol.20, pp.356-372 (1989)
https://doi.org/10.1002/neu.480200508
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/neu.480200508

5)Craig H. Bailey, Mary Chen, Morphological basis of short-term habituation in Aplysia., The Journal of Neuroscience: vol.8, issue 7, pp.2452-2459 (1988)
https://www.jneurosci.org/content/8/7/2452.short

6)伊藤悦朗 学習:とくにアメフラシの場合
https://cns.neuroinf.jp/jscpb/wiki/%E5%AD%A6%E7%BF%92%EF%BC%9A%E3%81%A8%E3%81%8F%E3%81%AB%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%81%AE%E5%A0%B4%E5%90%88

7)動物の生きる仕組み事典 学習:とくにアメフラシの場合
https://cns.neuroinf.jp/jscpb/wiki/%E5%AD%A6%E7%BF%92%EF%BC%9A%E3%81%A8%E3%81%8F%E3%81%AB%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%81%AE%E5%A0%B4%E5%90%88

8)続・生物学茶話142: アメフラシとセロトニン
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/05/post-625abf.html

9)JT生命誌研究館 進化研究を覗く 神経記憶III
https://www.brh.co.jp/salon/shinka/2016/post_000024.php

 

 

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2024年8月17日 (土)

残暑お見舞い申し上げます

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読者の皆様 残暑お見舞い申し上げます

残暑という言葉が似つかわしくない昨今で、ちょっと買い物に行くのも生命の危険を感じるくらい暑い毎日です。却って台風が一休みで良かった感じです。団地の植物もたっぷり水にありつきました。

ベランダのハイビスカスが美しい花を咲かせました。セミもカナブンもスズメも元気です。
そうそう、今日はみーちゃんのお誕生日でした。おめでとうございます。

皆様も健康第一でお過ごし下さいませ。

222

行けなかったラドンナ原宿

 

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バテ

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2024年8月16日 (金)

米価格上昇 copy and paste 💢💢💢

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2024年8月14日 (水)

福島第一原発2号機 放射性物質含む水 約25トンが流出

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海から見た福島第一原子力発電所(ウィキメディアコモンズ)

福島第一原子力発電所からの汚染水放出がそれほど大きな環境負荷を与えないだろうということは納得しますが、それは万事予定通りで何事もなかった場合の話で、何か重大な手違いがあった場合には、今まで永年の例から見ておそらく東電は隠蔽するあるいは嘘をつくだろうと予想します。

今回の事故は致命的ではないと考えて公表したのだと思いますが(それでも発見が8月9日で発表は8月13日)、どうもある程度の報道管制はかかっているようです。発表を信用するとして、核燃料に直接接触していた水が無処理で25トンも流れ出したのですから驚きです。だいたい25トンも流出するまで気がつかなかったというのもあきれます。それがどこに行ったかも推測しているだけです。

3.11は2011年です。ずいぶん時間が経ちましたが、あれから壊れた原子炉にあった核燃料デブリは全く取り出されておらず、そのままです。

NHK:福島第一原発2号機 放射性物質含む水 約25トン 建屋に漏れ出る

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240813/k10014548391000.html

 

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2024年8月12日 (月)

蝉(セミ)

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私は昆虫のことはよくわからないので、半翅目がカメムシ目になったことも知りませんでしたが、そうするとセミもカメムシ目になるわけです、これはセミがかわいそうかも? 最近団地の壁に抜け殻がくっついているのを発見しました。ここで脱皮したに違いありません。

今年はまあセミはそこそこ多い年のようですが、アブラゼミについて言えば、ちょっと暑すぎて昼間は休む時間が多いようであまり鳴いていません。たくさん居ることは目視で確認できます。ときどきジッジという地味な鳴き声で鳴きながら数メートル移動します。鳥のように地鳴きとさえずりがあるみたいです。夜は鳴く日と鳴かない日があって、鳴く日はずっと何時間も鳴いています。鳴くか鳴かないかが何によって決まっているのかよくわかりません。

セミはどうも恐竜の全盛期だったジュラ紀にはすでに地球上に存在していたようで、素晴らしい化石がウェブサイトに出ています。
https://www.kaseki7.com/items_fossil/ot/1190.html

私の趣味で選んだ セミに因んだ音楽

夏蝉 / 熊木杏里
https://www.youtube.com/watch?v=INu-PqINm6U
https://www.youtube.com/watch?v=x3FV-qimxdM
https://www.youtube.com/watch?v=vnbnTV6wO54

まきちゃんぐ / 八日目の蝉
https://www.youtube.com/watch?v=xxypJr2b5gk
https://www.youtube.com/watch?v=ypwkh7kWJrI

covered by かめいゆみ
https://www.youtube.com/watch?v=cOss9-D9W-I

 

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2024年8月10日 (土)

ハーディング-都響 マーラー交響曲第1番@サントリーホール 2024/08/10

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多分今シーズンベストの都響演奏を聴けるのではないかという期待に胸を膨らませて、猛暑の中サントリーホールにでかけました。今日のメインはマエストロ・ダニエル・ハーディングが指揮するマーラーの交響曲第1番です。コンマスは水谷さん、サイドは山本さんです。

最初の曲目はベルクの「7つの初期の歌」で、歌詞は予習していったのですが、あまりにもロマンティックあるいはエロティックな歌詞でびっくりしました。ニカ・ゴリッチさん(S)はどちらかといえば清潔感が感じられるシンガーでちょっと違うかなと思いました。この人、モーツァルトやプッチーニのオペラはどうなんだろうと想像をかきたてられます。

後半のマーラー交響曲第1番は、まさにマーラーはこうじゃなくっちゃというはまりにはまった演奏で予想に違わぬ名演でした。緊張感溢れるオーケストラ、崩壊しそうな美しさと変態的躍動感のあるアーティキュレーション、退廃的な匂いがする繊細な弦のアンサンブル、それを主導する管楽器群、ホルンもいつになく素晴らしい。是非都響とマーラーチクルスをやって欲しいと思いました。

SNSをみると昨日は演奏の途中で地震が来て大変だったようですが、今日はそのようなこともなく無事終了しました。彼は3.11の日に日本でマーラーを演奏しており、聴衆と共にホールで宿泊を余儀なくされたという地震に縁のある人です。

拙稿:3月11日のマーラー
http://morph.way-nifty.com/grey/2012/03/post-55fe.html

終演後のショットを1枚(ヴィオラ以外! 全員こっち向いてるという不思議)

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2024年8月 9日 (金)

私の好きな写真 ラモン・イ・カハール

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この写真は Santiago Ramon y Cajal がノーベル賞を受賞した翌年1907年に撮影されたそうですが、public domain となっています。一寸疲れたけれど、真実に突き進もうとする不屈の意志が感じられます。

1906年のノーベル賞は、神経は網状に全体がつながっているというゴルジ(網状説)と、いや神経はニューロンという多数の細胞が短い間隙=シナプスで分断されているというカハール(ニューロン説)の両者が受賞するという、長いノーベル賞の歴史の中でもまれなケースでした。

その後の電子顕微鏡による研究で、カハールが正しかったことが証明されました。カハールはそれだけではなく、ニューロンには運動ニューロン、感覚ニューロン、介在ニューロンの3種類があることまで提唱しました。このことは信号の伝達に細胞内で方向性があることも意味します。これらの予言はすべて後に正しいことが証明されました。

また彼が描いた顕微鏡写真のスケッチは現代の教科書にも掲載されるほど正確で美しいものです。

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これは彼が描いた小脳のプルキンエ細胞のスケッチです(パブリックドメイン)。なぜひとつの細胞が、こんなに複雑な樹状突起を形成すべきなのか、それは現在でも謎です。

 

 

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2024年8月 8日 (木)

梅田 テアトロジーリオ・ショウワ・オーケストラ @フェスタサマーミューザ2024

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ミューザ川崎シンフォニーホールは素晴らしいホールで、こんなホールができることを知っていたら、川崎に住んでいたと思います。しかし現実は厳しい。もう川崎まで行くのはとてもつらいという年になってしまいました。小池都知事が始球式で骨折したというニュースがはいってきましたが、齢を重ねると言うことは、自分で考えるより重くのしかかってくるのです。

ですから今年はもうサマーミューザを卒業しようと思っていたのですが、どうしても行きたい演奏会がひとつだけあって、卒業を延長することにしました。それはテアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラとマエストロ梅田のコンビで演奏するブルックナー交響曲第7番ホ長調です。

マエストロ梅田のブルックナーを一度聴いてみたかったのと、Z世代のブルックナー演奏を一度聴いてみたかったというダブルの誘惑は断ち切れません。最近生演奏やCDで聴いたブルックナーがどうもしっくりこないというのもありました。

卒延は大正解。聴衆は1/3くらいしかホールを埋められませんでしたが、その真摯でとてもアマオケとは思えないようなレベルの高い演奏に圧倒されました。特に第2楽章はワグネルチューバの深い音色と寸分違わぬアンサンブル、ホルンとのコラール、弦の緻密で繊細な調べ、トランペットソロの輝き、豪快なトロンボーン、特筆すべき終盤のやわらかなフルート、そしてマエストロ梅田の指揮と相まってみんな絶好調でした。おそらく丁寧で気合いのこもったリハーサルの賜でしょう。私をまたブルックナーの音楽に引き戻してくれたことに感謝したいと思います。

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外に出ると稲妻が走る空でしたが、ミューザは温かいまなざしで私を見送ってくれました。

 

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2024年8月 6日 (火)

原爆の日 2024

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私の父はまだ士官学校を出たばかりの将校で、呉から中国に向かうために広島から移動していました。しかし突然連絡が入り、小隊を率いて広島に戻れという指示があり、急遽広島に戻ることになりました。仕事は広島に落とされた原爆の後始末、具体的には死体の処理でした。もちろん被爆し、小隊のメンバーは若い人ばかりでしたが、戦後全員早死にして父だけ生き残りました。おそらく指揮官だったので、自分で作業しなかったためと思われます。

父は被爆したにもかかわらず、被爆者手帳は持っていませんでした。軍人だったからだと思います。それで終戦後結婚して私が生まれました。

父が所属していた部隊は船で中国に向かいましたが、米国の潜水艦により撃沈され全滅しました。ですからもし原爆が投下されなかったら父も亡くなっていたはずで、私が生まれることはなかったのです。その父も40台で病死しました。私は部下の早死になどを考えると、父の死にも被爆の影響があったと思っています。

私は仏教徒ではありませんが、原爆の日には父も含めて原爆犠牲者のために般若心経を朗読することにしています。

(画像はウィキメディアコモンズ 手前は瀬戸内海)

 

 

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2024年8月 4日 (日)

パリオリンピック:なでしこジャパン4

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541のフォーメーションは、サッカーというゲームのなかでは最も守備的な作戦で、なでしこジャパンは勝つためにこのフォーメーションを選択しました。このため70%以上のボール支配を許したり、ラインの外にただ蹴り出すクリアを行ったりと、とても情けない試合運びを甘受することになりましたが、そこそここの作戦はうまくいっていたと思います。

守備的な作戦としてはバルサシステムというのもありますが、これは国内リーグの有力チームがファームから採用して選手を育てないとできないので、現状では不可能でしょう。ただ541というのは、主催者としてはこのようなチームに勝って欲しくはないという願いはあるでしょう。バルサシステムは一見守備的には見えないので許容されます。

これで思い出すのは究極のバルサシステムを完成させたペップバルサが、チャンピオンズリーグでインテルと当たったときに、ほとんどの時間ボールを保持してインテルに何もさせなかったという試合があって、これはさすがに明石家さんまなどは激怒していました。相手の攻撃時間を極限まで減らせるのがバルサシステムなので、将来円高になって選手の海外流出がとまれば、なでしこでも考えて欲しいと思います。

541で勝つには、やはりCFに特に有能な決定力のある選手が必要です。田中美南はワントップを張るにはちょっとタイプが違うような気がしましたし、好調とも言えなかったと思います。延長でのロドマンのシュートは、そこしかないというところにコントロールした絶妙なものでした。

いろいろ課題があったとは言え、観客としては谷川萌々子のロングループと北川ひかるのバナナゴラッソを見せていただいたことで大満足でした。 Visca la Nadesiko, visca Japan

谷川萌々子

https://www.youtube.com/watch?v=oVl76KawW0Y

北川ひかる

https://www.youtube.com/watch?v=o-WAj3EpYjQ

(画像は一昔前のものです ウィキペディアより)

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2024年8月 3日 (土)

World music collection 16: Southern raised

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A modern blue grass band of USA. Their songs go straight to my heart. I found the comments for them in german wikipedia, not USA. Probably because their one more background is the european classical music. They have announced that "We have morphed a progressive sound that spans Christian Country/Bluegrass, Celtic and Classical."

Southern raised というニューブルーグラスを標榜するバンド、なんと米国の wikipedia にはみつからず、ドイツ版にありました。

https://de.wikipedia.org/wiki/Southern_Raised

メンバーは Emily, Lindsay, Matt, and Alex.

Emily Reith: Vocal, Violin(Fiddle), Mandolin and Uklele
Lindsay Reith: Bass, Vocal
Matt Reith: Guitar, Vocal(low tone)
Alex Clayton, Banjo, Dobro

クレイトン以外は兄弟のようです

Facebook: https://www.facebook.com/SouthernRaisedBand/?locale=ja_JP

We’d like to introduce you to the newest addition to the band, Ms. Maggie Farnum. As many of you knew, Lindsay, our sister and bass player recently made a move and decided to step down from the band. ベースプレイヤーのリンゼイが抜けて、マギーが加わるというニュースがでていました。ただアマゾンを見ると、アレックスも別の人物に代わっているようです。

Amazon: こちら

Official site: https://www.southernraisedband.com/

オリジナル曲もありますが、巧みな編曲と演奏そしてハートフェルトな歌で心うたれる新時代のブルーグラスを聴かせてくれます。

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Ghost Riders in the Sky  song by Johnny Cash
https://www.youtube.com/watch?v=oG85zhpgmJY

ディープな内容の歌詞です 空を走り去る牧童たちの幽霊の歌
https://www.mitomori.co.jp/hana4/dairy155.html

子供の頃に聴いた不思議な歌詞
ユピアイ オー  ユピアイ エー
がまだ心に残っています

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Jolene song by Dolly Parton
https://www.youtube.com/watch?v=IcvGWKBns8I

歌詞と和訳: https://ameblo.jp/passionemimi/entry-12666794128.html

エミリー・リースのリードヴォーカルで 嫉妬の歌です

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Gentle On My Mind  song by Glen Campbell (original: John Hartford)
https://www.youtube.com/watch?v=oIyVu0Ucz8U

歌詞と和訳: https://einzelzelle.jugem.jp/?eid=1806

こういうのがブルーグラスのテイストなのか

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Fly Me To The Moon  作詞・作曲 Bart Howard
https://www.youtube.com/watch?v=CNLJLNtSn4U

歌詞と和訳:
https://jazzvocal.hatenablog.com/entry/fly-me-_to-_the-_moon  

ゆるい感じの編曲と歌が心地よい

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Cotton Eye Joe アメリカ民謡
https://www.youtube.com/watch?v=FkWxskeTl3U

歌詞と和訳: https://aanii.net/cotton-eye-joe/

めずらしくフリつき 素晴らしい演奏

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Orange Blossom Special 作曲 Ervin T. Rouse
https://www.youtube.com/watch?v=NhM4sIeeHYQ

解説: https://note.com/schumio/n/n0af9f830805a

クラシックの名曲をちりばめたスペシャルアレンジ

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You raise me up  Song by Secret Garden
https://www.youtube.com/watch?v=ROKjY9-nb1I

21世紀の曲ですが、まるで民謡のようにみんなが歌っている曲
英語圏のバラードシンガーにとってマストソングみたいですが
ブルーグラスの歌手までレパートリーにしています

しおたん
https://www.youtube.com/watch?v=spjSCZgQaR0

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You've Got a Friend Song by Carol King
https://www.youtube.com/watch?v=3rLj9HkCngE

和訳:https://ameblo.jp/junkoym81/entry-12730405742.html

かわいい犬出演で個人的に映像のポイント高し
彼らにしては珍しく原曲に比較的忠実に歌っている

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16 tons
https://www.youtube.com/watch?v=QfgGsIFHZ7w

Love Carries On
https://www.youtube.com/watch?v=6xRww6pqhg4

Have You Ever Seen The Rain?
https://www.youtube.com/watch?v=l7uqnTShGSg

Take Me Home, Country Roads
https://www.youtube.com/watch?v=GGzj37OgQNI

Ravens Still Fly
https://www.youtube.com/watch?v=TG7BraOa-ns

Rise again
https://www.youtube.com/watch?v=rLseO7pw4KE&list=PLHb_Bb9pUV9mwbqdEX5k3I8EjvHgJR7Mf

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ヴィヴァルディの四季「夏」
https://www.youtube.com/watch?v=uACAZq9HD-g

Beethoven's 5th Symphony
https://www.youtube.com/watch?v=PmqHYGukU2E

Beethoven's 9th Symphony
https://www.youtube.com/watch?v=8e1K6YVGZTY

終楽章ではなく第2楽章で、しかも歌付き

The Prairie Spring Waltz
https://www.youtube.com/watch?v=lVzJFQKRZww

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2024年8月 1日 (木)

パリオリンピック:なでしこジャパン3

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(北川ひかる選手 画像はJFAのサイトより)

スペインにもブラジルにも大苦戦したなでしこジャパンですが、ブラジルには谷川萌々子選手の奇跡のロングループで勝利し、ナイジェリア戦をむかえました。

ナイジェリアはスペインやブラジルと違ってなでしこが球を保持できるので、余裕を持ってプレーできる感じです。こういう試合展開だと長谷川選手も存分に力を発揮できます。22分にオフサイドぎりぎりのスルーパスを抜け出す植木選手に供給。植木選手は自分でシュートすることもできましたが、中央に走り込む浜野選手を確認して奥ゆかしいプレゼントパスを供給し、確実に先取点をゲット。

さらに32分こぼれ球を、ここまでかみ合ってなかったCF田中選手がひろってゴール。これで余裕を持ってプレーしてほしいものです。42分にナイジェリアにきれいなゴールを決められますが、その後がすごかった。アディショナルタイムに得たFKを、初めて出場した北川ひかる選手が、左足でまるでロナウジーニョのようなバナナゴラッソをゴール右上隅に決めてナイジェリアは唖然。マッスルを見よ❗

後半は長谷川選手や北川選手を休ませる余裕で勝利。グループ2位で決勝リーグ進出を決めました。北川選手は相手に球を持たれる試合でも、サイドを突破してクロスを供給できる力がありそうなので、なでしこにとっては貴重なピースです。決勝リーグ(ノックアウトステージ)ではまずアメリカとあたり、勝てばカナダとドイツの勝者とあたります。これに勝つと決勝戦です。

フォルサ 

 

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2024年7月30日 (火)

続・生物学茶話242:脚橋被蓋核

前回は基底核がエディアカラ紀から存在したということを述べました(1)。プランクトンであっても触手を動かして水流を起こしたり、エサを捕獲したり、消化器官を動かしたりする生物は存在します。しかしそのような生物は基底核とか脳幹とか脊髄は持っていません。私たちとヤツメウナギの共通祖先はなぜ基底核-脳幹-脊髄というシステムを必要としたのでしょう?

それはおそらく姿勢制御・左右のバランスがとれた運動のためだったのではないでしょうか。左右相称のネクトンやベントスの場合、空間の座標軸を決めてその中で活動するために基底核-脳幹-脊髄というシステムが必要だったのではないかと推測されます。今生きている私たちの基底核は非常に多くの役割をになっていますが、現在でも歩くことや姿勢を正しく保つことは無意識のうちにこの基底核-脳幹-脊髄が行っています(2)。これはエディアカラ紀から現代まで受け継がれているシステムです。

しかし左右相称動物が最初からこのシステムをもっていたわけではなく、当初はナメクジウオのように基底核を持たない生物であったことは確かでしょう。ただナメクジウオも姿勢は制御しているし、多少は泳ぐので、その程度の運動制御なら脊髄だけで制御できると思われます(3)。ただナメクジウオもそのエディアカラ紀の祖先から数億年の進化を経て現代に至っているので、彼らなりに姿勢制御や運動制御をスムースに行うための進化を遂げてきたとも考えられます。

基底核が私たちの脳の端緒であったということ、それはエディアカラ紀に準備されたということは信じるべきことだと思います(4、5)。ここで以前に示した基底核システムの概要図とほぼ同じ図を再掲します(1、図242-1)。

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図242-1 私たちの脳のシステム

しかし図242-1を眺めていると、ひとつ大きな疑問がわいてきます。それは基底核から下方(posterior)に出ているシグナルがGABA系の [not go] シグナルだけだということです。このことは基底核はすでに完成されていた [go] シグナルに基づいた体を動かす神経-筋メカニズムを制御するためのシステムなのではないかということを思わせます。そしてその [go] システムは脳幹-脊髄に追加して基底核が誕生する前からあったとしても不思議ではありません。

1936年に出版された著書の中で、クロスビーらは橋に存在する脚橋被蓋核が多くの生物で共通の構造と連結パターンを持つことを報告しました(図242-2、6)。私はこの本を読んだわけではなくて、Gut と Winn の総説(7)に書いてあったことを受け売りしているだけですが、この本はなんとアマゾンで販売していて、325ドル99セントで買えます(8)。ご興味のある方はどうぞと言いたいところですが、なんと1845ページもあるので抱えるだけでも大変そうです。

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図242-2 脚橋被蓋核のユニバーサリティ

脚橋被蓋核は英語では Pedunculopontine Tegmental Nucleus で (Tegmental が省略されることもあります)、ヒトではこのブログですでに取り上げた青斑核より少し上部 (anterior) の橋 (pons)領域 に存在します(図242-3、9)。この部域はアセチルコリン作動性ニューロンが豊富に存在することが知られており、その他にグルタミン酸作動性、GABA作動性ニューロンも存在します(9、10)。同じニューロンにアセチルコリンとグルタミン酸が混在する場合があることも知られています(10)。このことは脚橋被蓋核が基本的に [go] のシグナルを出すことを意味します。またこのようなニューロンの混在、神経伝達物質の混在は始原的な神経系の状況を想像させてくれます。

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図242-3 脚橋被蓋核の位置

脳が基本的に前方に新組織を形成して進化してしてきたこと(11)、基底核のなかでも脳幹に近い淡蒼球や黒質網様部は [not go] のシグナルを常時出していること(1)を考えると、基底核ができる前の生物は脳幹の最前部にあった脚橋被蓋核が行動や姿勢制御(さわる・食べる・動く)のコントロールセンターであり、その活動は内部のGABA作動性ニューロンや青斑核ニューロンの活動レベルによって制御されていたのではないかという推測が成り立ちます(図242-4)。

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図242-4 エディアカラ紀における原始脳の進化仮説

すなわちエディアカラ紀において、まだ基底核が形成されていない生物では脳幹特に現在橋の一部とされている脚橋被蓋核の原型が当時の脳そのものであり、全神経・筋肉の統御を行っていたのではないかと思われます。中には当時からメモリーを担当する細胞をその近辺に持っている生物がいて、その部域が小脳に進化したのかもしれません(5)。そのような状況が図424-4の左図であり、カンブリア紀を迎える前におそらく脚橋被蓋核の上部構造である基底核が形成され、さらにメモリーシステムをになうニューロンの数が増えたのではないかと思われます(図242-4 右図)。エディアカラ紀において、どんな理由で図242-4左図のシステムから右図のシステムに進化したのかは謎です。

もちろん最初に基底核ができたときには、図242-1のような複雑な構造であるはずはなく、直接路だけだったと思われますが、線条体→ not go → 淡蒼球・黒質網様部 → not go → 脚橋被蓋核 → go というシステムがカンブリア紀には機敏な行動を行うために急速に発展したのだろうということは理解できます。

参照

1)続・生物学茶話241:基底核1 ヤツメウナギの場合
http://morph.way-nifty.com/grey/2024/07/post-35ba6c.html

2)高草木薫 大脳基底核による運動の制御 臨床神経学 49巻 6号 325-244頁 (2009)
https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/049060325.pdf

3)山田格 脊椎動物四肢の変遷一四肢の確立一 Journal of Fossil Research, Vol.23, pp.10-18 (1990)
https://www.kasekiken.jp/kaishi/kaishi_23(1)/kasekiken_23(1)_10-18.pdf

4)Marcus Stephenson-Jones, Ebba Samuelsson, Jesper Ericsson, Brita Robertson, and Sten Grillner, Evolutionary Conservation of the Basal Ganglia as a Common Vertebrate Mechanism for Action Selection., Current Biology vol.21, pp.1081–1091, (2011)
DOI 10.1016/j.cub.2011.05.001
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21700460/

5)Fumiaki Sugahara, Juan Pascual-Anaya, Yasuhiro Oisi, Shigehiro Kuraku, Shin-ichi Aota, Noritaka Adachi, Wataru Takagi, Tamami Hirai, Noboru Sato, Yasunori Murakami, Shigeru Kuratani, Evidence from cyclostomes for complex regionalization of the ancestral vertebrate brain., Nature, vol.531, pp.97-100 (2016) DOI: 10.7875/first.author.2016.015
https://first.lifesciencedb.jp/archives/12168

6)C. U. Ariens Kappers, G. Carl Huber, and Elizabeth Caroline Crosby, The Comparative Anatomy of the Nervous System of Vertebrates, Including Man., Macmillan (1936)

7)Nadine K. Gut and Philip Winn, The Pedunculopontine Tegmental Nucleus—A Functional
Hypothesis From the Comparative Literature., Movement Disorders, Vol. 31, No. 5, pp.615-624, (2016) DOI: 10.1002/mds.26556
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26880095/

8)https://www.amazon.com/Comparative-Anatomy-Nervous-Vertebrates-Including/dp/B000MIAMJ4

9)Wikipedia: peduncuropontine nucleus
https://en.wikipedia.org/wiki/Pedunculopontine_nucleus

10)脳科学辞典:脚橋被蓋核
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%84%9A%E6%A9%8B%E8%A2%AB%E8%93%8B%E6%A0%B8

 

 

 

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2024年7月29日 (月)

パリオリンピック:なでしこジャパン2

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なでしこジャパン 谷川萌々子の機転の一発でブラジルに勝利

ピッチに出てきた選手の髪は、ブラジルがほぼ全員ロングヘヤーなのに対して、日本はほぼ全員が体育会系のショートカットでどうかと思いましたが、まあ自分が選手だったとしてもショートカットにするだろうなとも思いました。

ブラジルはスペインのチーム一体のティキタカフットボルとは違って、個人技の集積です。その個人技が半端じゃなくて、スペインとは違った理由でなでしこは球を保持できません。PK機会を得ましたが、田中美南の不可解なキックで得点ならず。前半はそれでも耐えきりましたが、後半ついに失点。

しかしアディショナルタイムに再度得たPKで、今度はキャプテンの熊谷紗希が蹴って冷静なゴール。引き分けで終了かとほっとしていたら、なんとオリンピック初出場の谷川萌々子が、GKが前に出てきているのを冷静に見逃さず、ロングループを決めてくれました。スウェーデンのチームでプレーする19才の選手だそうです。

(画像はJFAのサイトより)

谷川萌々子さんのインスタグラム
https://www.instagram.com/momoko.tanikawa/?locale=de&hl=am-et

インスタグラムを見ると、FCバイエルンが保有権をもったままスウェーデンのチームに期限付き移籍しているようです。

サラも目を丸くしてびっくり

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2024年7月27日 (土)

パリオリンピック:なでしこジャパン1

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バルサファンにとってオリンピックでスペインと対戦したなでしこジャパンの試合は、とても複雑な気持ちになるものでした。なでしこは完全にバルサスタイルのサッカーにはめられて、身動きがとれないまま敗れてしまいました。

もともとバルサスタイルとは、体格やフィジカルに劣るスペイン人がその欠点を補うために、ポゼッションによって相手の攻撃時間を減らすために考案された作戦ですが、現在のスペイン女子は体格・フィジカルも一流で、そんな人たちが完成されたバルサスタイルでやっているわけですからたまりません。現在のバルサトップチーム(FCバルセロナ)はボランチもトップも外国で育った選手の場合が多いので、必ずしもバルサスタイルのサッカーをやっているわけではなく、むしろこの女子チームの方に伝統のスタイルを感じます。

なでしこはよくスペインの田舎のチームがやるようにファイブバックで守備を固めてカウンターを狙うという作戦でしたが、これは中盤で自由に回せるのでバルサスタイルにとって思う壺で、手慣れた感じであしらわれてしまいました。

バルサスタイルを破壊するには、相手のサイドバック(SB)より走力が勝るSBを配置して、必ず前に出てくるSBの裏を狙うというのが定石です。そのための選手を選出して長谷川からのパスで走らせるという作戦をとるべきでした。

そもそも高倉監督時代から長谷川は軽視されていて、その天才を利用しようとせず、ベンチを温めるケースすら多かったように思います。池田監督になってから出られるようにはなりましたが、チーム全体として彼女を司令塔としてプレーしようという雰囲気は全く感じられず、それはなでしこの伝統ともいえます。

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長谷川唯 (画像はウィキペディアより)

 

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2024年7月25日 (木)

都響 これはヤバい

2024

サマーミューザ2024ですが、東響・読響・新日本フィルが完売なのに、都響は売れ残っています。

プログラムに問題はないと思いますが、オーケストラも間断なく新機軸を打ち出していかないと、演奏自体の完成度が高くても飽きられるということを考えないとね。

https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/calendar/

 

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2024年7月24日 (水)

炎暑に涼を求めて

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霧が深くなって、道を見失った
しだいに寒さがおそいかかってくる
夕暮れは近く、今日は野宿するしかない

野宿する場所をさがして彷徨っていると
突然霧の中から子犬を連れた少女が現れた

震えている私を見て、少女は
「寒いの? うちに来ればサモワールがあるわよ」
と言った

私「熱い紅茶を飲ませてくれるのかい」
少女「ついていらっしゃい」

霧の中を少女と子犬についていくと、森の入口に
小さなログハウスがあった

少女がドアを開けると、なかから父親らしき
長いあごひげの男があらわれた

少女「寒いみたい 震えているの」
私「道に迷った旅人です」
男「はいれ」

少女:オーボエ
子犬:フルート
男:ホルン
私:チェロ

==========

チャイコフスキー 交響曲第1番「冬の日の幻想」
第2楽章「陰気な土地、霧の土地」
Adagio cantabile ma non tanto - Pochissimo piu mosso

https://www.youtube.com/watch?v=THT5PjadpIc

https://www.youtube.com/watch?v=9w4cNAXUii8

 

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2024年7月22日 (月)

エアコンつけざるを得ず

Img_1041a

ミーナ「こんなに暑い日は、エアコン効かせて昼寝が一番」

サラ「そんなに押すなよ 座布団からずり落ちてしまう」

私「外で用があるから留守番頼むよ」

サラ ミーナ「これから熟睡だから知らないよ 💤」

 

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2024年7月20日 (土)

高関-東京シティ・フィル カルミナ・ブラーナ 2024/07/20 @ティアラ江東

炎暑の中、住吉駅からティアラ江東へ。この異常な暑さの中で咲き乱れる薔薇(品種はフランクリー・スカーレット)を発見。変わり者はどの世界にもいます。

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今日のチケットは何ヶ月か前に完売しています。それもそのはず、高関-シティフィルの「カルミナ・ブラーナ」です。

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前半のニールセン:アラジン組曲というのは初めて聴く曲でしたが、これがなかなか楽しい曲で、ニールセンってこんな親しみ深い曲も書いているんだと驚きました。しかもコーラス付きの原典版というのはほんとに珍しいそうです。コーラスの効果は大いにありました。

後半のオルフ作曲世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」は東京シティ・フィルグループが総力を挙げて取り組んだ今シーズンの目玉です。カルミナ・ブラーナは中世の修道院に保管されていた作者不明の古い歌を、シュメラーという人が編集して1847年に出版した歌集だそうです。カール・オルフはこの詩に自作の曲をつけて壮大なカンタータを制作して1936年に完成し、1937年にフランクフルト歌劇場で初演が行われました。

ウィキペディアをみると現代においてもドラマ・映画・バラエティ・ゲームなどで使われており、なかでも驚いたのは「ももいろクローバーZ」がカバーしていることです。これが結構すごい。

Momoiro Clover Z - Neo Stargate ZZ
https://www.youtube.com/watch?v=7SK0C874CcM

この曲は冒頭 O Fortuna という女神への呼びかけから始まります。フォーチュンの語源になっている女神だそうで、バランスボールに乗って現れるというのがなんとも・・・
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%8A

途中で藤木(カウンターテナー)が寝てるので何やってるんだろうと?だったのですが、考えてみると第12曲に備えて焼き魚の体勢になっていたんですね(爆)。バリトンの萩原氏は大熱演、森麻季さんは後半からの登場でしたが相変わらずの美声とテクニックで魅せてくれました。コンマスは戸澤さん。

このクラッシック音楽のなかでもヘビメタといわれるカルミナ・ブラーナ、きっちり制御されているのに激しく突き刺さってくるというこの感覚はたまりません。シティフィル・コーアも大熱演でした。ティアラ江東の広すぎないサイズ&響きすぎない音響もよくて、音の洪水と興奮に包まれて圧倒されたコンサートでした✨

 

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2024年7月14日 (日)

成田空港にて

Narita

ここのところ成田空港に行く機会が多くなりました。でもそれは海外旅行のためではなく、電車の乗り換えのためですが💦。

最近はキャリーを楽々と動かせる、キックボード付きや電動アシストのものが発売されているようです。

【革命】まさかのキックボード付きキャリーケースが誕生!
https://kakakumag.com/houseware/?id=8620

スマートだけどちょっと恥ずかしい? 荷物と一緒に乗って移動できる“スマートキャリー”がいよいよ発売
https://time-space.kddi.com/digicul-column/world/20170314.html

でも私が見たその人(30才台くらいの外国人の女性)は、そんなたった1台のキャリーを楽に動かそうと言うようなケチなアイテムなんて吹っ飛ばすような迫力でした。

彼女は大型キャリー2個と中型キャリーを1個もっていて、その中型キャリ-の上に座って両手に大型キャリーをもち、地面を足でキックしながら移動していたのです。手慣れた感じで、大型キャリーの中身は商品かもしれません。その迫力には圧倒されました。

多忙にて1週間ほど更新をお休みします。7月22日からの週には復活する予定です。

では皆様 ごきげんよう

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2024年7月12日 (金)

全盛期のバルサと日産スタジアム

WOWOWを解約したのでユーロ2024は見ていませんが、バルサのヤマルが最年少ゴール(16才)を決めたとかで盛り上がっているようです。これ報道ステーションでもゴールシーンを放映していました。スペインはオランダを破り、7月15日(月)4:00からイングランドとの決勝戦に臨みます。

ヤマル
https://sports.yahoo.co.jp/video/player/15414566

でもいいことばかりじゃなくて、ペドリがクロースに潰されて負傷というバルサにとっては痛い悪夢もあったようです。

https://web.gekisaka.jp/news/euro/detail/?410830-410830-fl

バルサは若い力が台頭し、2~3年後には下のような黄金時代の到来を期待したい。この写真は日産スタジアムで撮影しました。

A_20240712092901

ところで写真の頃は、日産スタジアムで試合をするバルサを見に行くのに、品川駅から新幹線に乗って新横浜からバスという径路でしたが、最近たまたま久しぶりに南北線に乗る機会があって、なんと南北線でスタジアムに直行できることに気がつきました(遅い)。南北線は相鉄線にまで乗り入れてるんですね。びっくりしました。

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2024年7月 9日 (火)

もはや盛夏

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やたらと私事関係の所用が多い忙しい夏です。そんなときに限って盛夏が早くやってきます。

今日も吹雪のようにケサランパサランが舞うなか出かけました。まだ7月初旬だというのに盛大に蝉の鳴き声が聞こえます。

蝉を注視するサラとミーナ。

 

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2024年7月 8日 (月)

Walk down the memory lane 9: Ishikawa Yuko (石川優子)

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One of the gifted singer song writers in 20th century. Sometimes I hear (auditory hallucination?) her footsteps dancing on the street.

石川優子さんは1979年デビューのシンガーソングライターで、同じ姓の石川ひとみさんがその1年前にデビューし、さらにその前に石川さゆりさんがデビューしていたので混乱を招きました。皆さんほぼ同じ年齢のようです。優子さんはヤマハポプコンがデビューのきっかけだったようで、これは当時のエリートコースでした。

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Fly away  作詞・作曲 石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=VEMl-rf03m4
https://www.youtube.com/watch?v=diBpxEOJHfo

初期の傑作。自身で作詞・作曲を行っていて、アイドルじゃありませんよと宣言しました。
クリスタルボイスでスローバラードを歌う。歌詞の内容は「復讐」なので驚いた覚えがあります。

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雨の降る日曜日 作詞・作曲 石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=_0a9D6lv2HE
https://www.youtube.com/watch?v=TVAgEFpg2dI

若い頃はこんな暗いメランコリックな曲が歌いたかったのだと思う。そういうタイプのシンガーソングライターは結構多いと思います。

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シンデレラサマー 作詞・作曲:石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=4pF57iIvdWI
https://www.youtube.com/watch?v=LxW0_XwKnKo

アップテンポの曲ももちろんやりますよ ってこと。

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涙のソリティア 作詞・作曲:石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=dhPpiIV35gs
https://www.youtube.com/watch?v=nmzc9_B_GT0

美しいメロディは昭和歌謡を超越した感じがします。

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春でも夏でもない季節 作詞:秋元康作 作曲:石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=NagL2ZwotfA
https://www.youtube.com/watch?v=LvPuWC3kOFA

5分でsunset 作詞:秋元康作 作曲:石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=nSPXwfoAV-E
https://www.youtube.com/watch?v=HF02ci7icXc

この頃ダンスミュージックに凝っていました。

米国西海岸でレーザーディスク(LPサイズのDVDのようなもの)を作ったのですが、そのとき当地で雇用したダンサー4人がなんと全員お釜でびっくりしたという発言をきいたことがあります。多分そのレーザーディスクを私は持っていて見た記憶があります。アマゾンなどでDVD版を売ってないので、多分DVD化されなかったのだと思います。LPレコードと違ってハードウェアが絶滅したため、素晴らしい映像作品が多数消えてしまいました。

https://www.youtube.com/watch?v=5Bw3luWZ154

高級オーディオで鳴らして空気録音。

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よそゆきのSmilin' Face  作詞:小林和子 作曲:伊丹哲也

個人的に一番好きな曲です

https://www.youtube.com/watch?v=wLUlXDacXk4

https://www.youtube.com/watch?v=IYWEISnko_E

コーラス、ドラムス、ベース、エコー、ペーソスのある歌詞、みんな素晴らしい。

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雑踏 作詞・作曲 石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=jNih9xaAtn4

ビジュアルはレアですが音割れがあります 音質は下の方がベター

https://www.youtube.com/watch?v=wYyg-33hmRI
https://www.youtube.com/watch?v=6O4qBPpmCoo

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ふたりの愛ランド 作詞:チャゲ・松井五郎 作曲:チャゲ

多分最大のヒット曲

https://www.youtube.com/watch?v=7dC0idgd6bQ
https://www.youtube.com/watch?v=mKanR_QJTKM

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HP: https://www.sonymusic.co.jp/artist/YukoIshikawa/

ヤマハのサイト: https://www.yamahamusic.co.jp/s/ymc/artist/114?ima=0000&link=ROBO004

 

 

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2024年7月 5日 (金)

フルシャ-都響@サントリーホール 2024/07/05

Imghrusa

本日のコンマスはボス矢部(サイドは水谷氏)にもかかわらず、そして梅雨中にもかかわらず、お天気はなんと快晴。しかも異常な暑さです。かなり久しぶりのサントリーホールですが無事帰れるか!?

数ヶ月ぶりで森ビル2Fの水内庵(みのちあん)に行ったら数人表に並んでいました。私も後ろについていたら入店する前に注文をとりにきましたので玉丼を注文。ここの味はとても家庭でだせるものではありません。夜の営業は予約で満席だそうです。

カラヤン広場に降りていくと、さすがに滝が稼働していました。

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この滝 昔はこうでした

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水は流しているので、ここをケチったわけではありませんが、滝の裏側にあった数台以上のテーブルと椅子は撤去されました。多分管理の問題なのでしょうが、最近はなんでもプロバイダー・カンパニ-の都合で事が運ばれ、カスタマー・市民の便益は無視される傾向にあります(駅から時計を撤去する、健康保険証を廃止するなどその典型)。政権交代したら是非ここは改善して欲しいと思います。

前半のプログラムのソリストは五明佳廉さんです。前に聴いたときは若手のバリバリでしたが、とんがることなくロマンチックな演奏を聴かせてくれました(1)。今回はさらにそれが進化して自信を持って大胆に演奏しているようで、大家っぽくなってきました。興に乗るとものすごく背中をそらせて演奏するのが気になりましたが・・・。ソリストアンコールのピアソラもすごい技巧で聴かせてくれました。

フルシャは電話帳みたいな分厚いスコアを譜面台において、5秒おきくらいにページをめくりますが、それが全く気にならないくらい音楽に没入させてくれます。じっくりとかみしめるような演奏で、それはそれで素晴らしいのですが、カラヤンの演奏ではじめてブルックナーに目覚めた私としてはかなり違和感はありましたね。

指揮者のソロアンコールでボス矢部をつれて現れたフルシャ。

Img1a_20240705201701

 

1)http://morph.way-nifty.com/grey/2022/10/post-0ce609.html

 

 

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2024年7月 2日 (火)

続・生物学茶話241:基底核の起源 ヤツメウナギの場合

大脳基底核は大脳の最深部にありますが英語では basal ganglia であり、大脳の一部というわけではありません。ウィキペディアでは「大脳基質と視床、脳幹を結びつけている神経核の集まり」と定義されています(1)。したがって大脳をはずして「基底核」または「脳基底核」と呼ぶのがベターだと思います。主な構成要素は「線条体 corpus striatum または単に striatum、被殻と尾状核で構成される」「淡蒼球 globus pallidus、内節と外節で構成される」「視床下核 subthalamic nucleus」「黒質 substantia nigra、緻密部と網様部で構成される」の4つのパーツですが、左右にあるので脳全体では8つです。このほか図241-1のように側座核・嗅結節・腹側淡蒼球、図には示されていませんがマイネルト基底核などを含めることもあるようです。英語版のウィキペディアではこれらを大脳基底核に含めてあります(2)。日本語版のウィキペディア大脳基底核では全く触れられていませんが(1)、アミグダラ(扁桃体)を基底核に含めることもあるようです(3)。

このようにどこを基底核に含めるかについては研究者によってさまざま異なる見解があるようで、注意を要します。国立生理学研究所によれば最初に示した4つのパーツということになっているので、とりあえずこの定義でここでは話を進めることとします(4)。

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図241-1 ヒト大脳基底核の構成要素および関連構造の位置

エサがある方向に向かって移動するというのは従属栄養生物にとって圧倒的に生存に有利な機能であり、細菌ですら繊毛という精密機械のような移動用パーツを保有しています。真核生物に進化した単細胞生物は主に鞭毛を使って移動します。しかし多細胞生物が生まれたばかりの時代には、個々の細胞が保有している移動用の細胞器官をどのように統合制御してめざした方向に移動するのかという問題が発生し、これが解決するまで彼らは海底にへばりついてあるいは固着して生活するか、海流に依存して漂流するかしかなく、運動機能の観点からはある意味退化した時代があったと思われます。そのような問題を解決するために中枢神経系が生まれたに違いありません。

海底を這うベントスや遊泳するネクトンに進化する生物にとっては、神経系の重要性はプランクトンよりもずっと大きいことは間違いないでしょう。目のない時代でも自らの意志で移動することが可能な従属栄養生物は、ケミカルセンサーによってエサがある方向を特定し、神経によって筋肉などの動きを統御してある方向に進むというシステムを進化させて生活してきたのでしょう。そしてこのようなシステムを効率的に稼働させるには、次のステップとしてある部位のニューロンが「進むか進まないか」「どの方向に進むか(左右のバランスなど)」という指令を体全体に出すという方向で進化が進行しました。その指令を出す「ニューロン」はおそらく基底核のプロトタイプだと考えられます。

時代は進みカンブリアになると、そこは弱肉強食の世界だったので、食べられても平気なくらい旺盛な繁殖力を持つ生物や、食べられないように体を守る強固な装甲を持つ生物以外は、捕食者を認識して逃げなければいけません。私たちの祖先である魚類も逃げなければいけない生物で、当然逃げることを決断し、逃げる方向を決定し、逃げ切ったことを判断して行動を停止する・・・という活動を日常的に行わなければいけない生活をしていたに違いないので、脳の中に行動を決断して体全体に指令を出すシステムはその頃から存在したに違いなく、実際現存の魚類にも基底核が存在することは報告されています(5、6)。

では脊椎動物のルーツに近いところで分岐した円口類(ヤツメウナギ・ヌタウナギ)はどうなのでしょうか。彼らの祖先が魚類の祖先と分岐したのは約5億6千万年前のエディアカラ紀とされています(7、8、図241-2)。

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図241-2 脊椎動物の進化系統図

哺乳類の基底核システムはかなり研究されていて、図241-3のような径路が明らかになっています(1、4)。中脳・脳幹・脊髄などに運動の go, not go のシグナルを直接投射しているのは淡蒼球内接・黒質網様部・腹側淡蒼球で、これらのニューロンは主にGABAを投射に使う抑制性なので、デフォルトは not go なのですが、線条体によってこれらのニューロンを抑制するシグナルが出されると、抑制が解除されて結果的に go のシグナルに変わることになります。線条体と情報出口(淡蒼球内接・黒質網様部・腹側淡蒼球)が直接つながっている径路を直接路、淡蒼球外節を経由する径路を関接路、大脳皮質から視床下核を通じて情報出口につながっている径路をハイパー直接路と呼びます(4、図241-3)。

黒質緻密部と腹側被蓋野にはドーパミンを放出するニューロンが多く、線条体をコントロールする機能を持ち、脳から発出される情報の源流のような機能を持っていると思われます。情報出口(淡蒼球内接・黒質網様部・腹側淡蒼球)の活動は視床にも投射され、その結果を大脳皮質の運動野に報告したり、線条体とのコラボによって情報出口の活動を制御することができます(図241-3)。

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図241-3 哺乳類の基底核の構成要素と相関概略図

Marcus Stephenson-Jones らは哺乳類の祖先と5億6千万年前に分岐し、現代に至るまで命を繋いでいるヤツメウナギの基底核について研究しました(9)。まず一般的な脊椎動物において淡蒼球などGABAを伝達物質として使用しているニューロンに特異的なパルブアルブミン、線条体のマーカーとなるエンケファリンやサブスタンスPなどをマーカーとして形態学的な検討を行った結果が図241-4です。これらのマーカーによって識別できる部位は確かに存在します。ここでパルブアルブミン+の領域の細胞を調べると19個の細胞のうち13個が自発的に発火しており(シナプスインプットを阻害しても影響を受けない)、ここが情報出口(淡蒼球内接・黒質網様部・腹側淡蒼球)に相当する部位であることが示唆されました(9、図231-4F、G)。この部位の下側に線条体に相当するとみられるエンケファリンやサブスタンスP陽性の領域がみられます(図231-4H、I)。

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図241-4 ヤツメウナギ基底核の免疫組織化学

Marcus Stephenson-Jones らは電気生理学的なデータも採取して、線条体による情報出口の制御なども確認し、線条体および淡蒼球に相当する領域を推定して図241-5を発表しました(9)。さらに調べれば調べるほど、5億6千万年前に分岐したヤツメウナギ(円口類)の基底核システムと私たちのシステムが類似していることが明らかになってきました。黒質や視床下核に相当する部位も論文に記載されていますので、興味のある方は原著をご覧下さい(9)。グリルナー研究室のより新しい成果をまとめた総説も出版されています(10)。

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図241-5 ヤツメウナギで推定される線条体と淡蒼球の位置

 

参照文献

1)ウィキペディア:大脳基底核
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E6%A0%B8

2)Wikipedia: basal ganglia
https://en.wikipedia.org/wiki/Basal_ganglia

3)ウィキペディア:扁桃体
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%81%E6%A1%83%E4%BD%93

4)国立生理学研究所 生体システム研究部門 大脳基底核とは
https://www.nips.ac.jp/sysnp/ganglia.html

5)理化学研究所 プレスリリース ヒトと魚の賢さの共通基盤の発見-魚の進化的に保存された大脳皮質-基底核回路の全貌を解明-
https://www.riken.jp/press/2024/20240314_1/index.html

6)Yuki Tanimoto, Hisaya Kakinuma, Ryo Aoki, Toshiyuki Shiraki, Shin-ichi Higashijima, Hitoshi Okamoto, "Transgenic tools targeting the basal ganglia reveal both evolutionary conservation and specialization of neural circuits in zebrafish", Cell Reports 43, 113916 (2024) https://doi.org/10.1016/j.celrep.2024.113916
https://www.cell.com/action/showPdf?pii=S2211-1247%2824%2900244-4

7)続・生物学茶話195:円口類の源流
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/11/post-1f4cf6.html

8)Kumar,S., and Hedges,S.B., A molecular time scale for vertebrate evolution. Nature vol.392, pp.917–920 (1998)
https://bip.weizmann.ac.il/education/course/evogen/Clocks/Kumar_Nature_1998.pdf

9)Marcus Stephenson-Jones, Ebba Samuelsson, Jesper Ericsson, Brita Robertson, and Sten Grillner, Evolutionary Conservation of the Basal Ganglia as a Common Vertebrate Mechanism for Action Selection., Current Biology vol.21, pp.1081–1091, (2011)
DOI 10.1016/j.cub.2011.05.001
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21700460/

10)Sten Grillner and Brita Robertson, The Basal Ganglia Over 500 Million Years., Current Biology 26, R1088–R1100, (2016) doi: 10.1016/j.cub.2016.06.041.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27780050/

 

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2024年6月30日 (日)

猫の美術館 サラとミーナ 脳の劣化

大脳基底核についてなにか書こうとしているわけですが、さすがにもう脳科学の核心部に突入してきたので、記事執筆が困難を極めエンスト中です。それに「今日のアルツ」というシリーズを始めようかと思うくらい、自分の脳が劣化してきたので悪い方に拍車がかかっています。たとえばある場所を通ると必ずプルルルルという電話の音が聞こえるのですが、そんな音きこえるはずがないのです。必ずと言いましたが正確には意識しているときは聞こえないのです。なにげなく通過したときだけ聞こえてくるのです。今日に至っては、はさみがないと探していたら、あきらめて立ち上がったときに座布団の上にありました。お尻がはさみを認識できないのは、やはり感覚が劣化しているからでしょう。困ったものです。

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ご多分に漏れず。古いことはよく思い出します。

これは横浜の外人墓地の近くにあった猫の美術館。いまでもあるのだろうか?

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ここで買った象嵌のアクセサリーはいまでも大事にしています。

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ちょっと調べてみたら、どうやら経営の形態はかわったみたいですがまだ営業しているようでした。

http://www.galerieparis.net/cat.html

 

 

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2024年6月27日 (木)

隠岐彩夏 愛しの夜

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クラシックの女性歌手にとって、意外に普通の女性として歌えるオペラの役というのはないのです。コケティッシュな若い女性とか、ドラマティックな強い女性、運命に翻弄される悲劇のヒロインなどが当然と言えば当然ですが、普通主役となります。日本で一番需要がある第九も非常にドラマティックな歌唱が要求されます。

隠岐彩夏氏は中庸で穏やかな歌唱が持ち味の方なので、第85回日本音楽コンクール声楽部門第1位という実力と栄誉にもかかわらず、いまいち注目されなかったのではないでしょうか。宗教音楽はぴったりはまるので、その方面でご活躍なさっていたようです。

しかし都響コンマスの矢部達哉氏が「声のストラディバリウス」と絶賛してから、すっかり有名人となりました。そしてピアニストの横山幸雄氏のアシストも得てアルバムも発売しました。帯には矢部達哉氏の言葉が書いてあります。

メインはシューマンの「女の愛と生涯」。これは普通の女性が自分の人生を語った内容なので、ぴったりはまった選曲でした。「静かな夜に」という曲では、横山氏とともにシンガーソングライターとしてもデビューしています。しかし「愛しの夜」とはなんともレトロなタイトルです。

HP: https://ayakaoki.com/

浜離宮アフタヌーンコンサート: 隠岐彩夏 × 横山幸雄 × 矢部達哉
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2024/10/event2756.html

F.ヘンゼル=メンデルスゾーン  五月の夜
https://www.youtube.com/watch?v=TtwPufxtkSg

アイアランド 春の悲しみ
https://www.youtube.com/watch?v=EpROCZome8w

ヘンデルのオラトリオより
https://www.youtube.com/watch?v=UK0kcmJK394

 

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2024年6月25日 (火)

お互いのキャラを尊重して生きる

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また暑苦しい夏がやってきました。
子供の頃虫を追いかけていた夏は、こんなに湿度が高い感じはなかったのですが 気のせいかな?

サラとミーナは、それぞれお互いのキャラを尊重しながら生きていたように思います。
人間とのつきあいだけでは得られない心の充足があったように感じました。
いっしょに暮らして本当に良かったなと思います。

ところで最近はあらゆる公共場所から時計が撤去されたように思います。
そんなにコストがかかるとは思えないのに、どうしてこんなことになったのか?
なかには鉄道の「駅」なのにないところもあります。

困ります💦💦💦

私は体質的に腕時計ができない上に、携帯電話も苦手なので・・・。
仕方がないので、懐中時計を常に持ち歩くことになりました。

五輪真弓 時計
https://www.youtube.com/watch?v=BjM_7IxGDIw
https://www.youtube.com/watch?v=vz4EGdxryRM

五輪真弓 海と風と砂と
https://www.youtube.com/watch?v=BS8eHH2QZmE
https://www.youtube.com/watch?v=LjHRw7bWM4M

 

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2024年6月22日 (土)

またもや大規模漏洩

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IT media news:
第三者が個人情報15万人分ダウンロード 労務管理クラウド「WelcomeHR」で漏えい マイナカードや免許証の画像も
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2404/01/news081.html

Rocket Boys
WelcomeHRを運営するワークスタイルテックが約15万人の個人情報漏洩を発表
https://rocket-boys.co.jp/welcome-hr-information-leak/

YAHOO! ニュース
マイナカードに免許、パスポート…16万人以上の個人データ「外部から閲覧可能」でダウンロード被害も
https://news.yahoo.co.jp/articles/0f9c61a6422d386f00219d562ab79c95e1e6d25c

日経XTECH
カオナビの子会社が設定ミスで15万人超の個人情報流出、マイナンバーも対象
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00598/040500259/

カオナビ子会社であるワークスタイルテックは漏洩した情報の中に、マイナンバー関連の個人情報やクレジットカード、デビットカードなどが含まれていると発表しました。なぜかあまりマスコミでは派手に報道されていません。

情報漏えいが発生したのは労務管理クラウドサービス「WelcomeHR」で、サーバー設定の誤設定によってユーザーの氏名や住所、電話番号、身分証明書(マイナンバーカードや運転免許証など)、履歴書などの個人情報16万2830人分が2022年1月5日から2024年3月22日にかけて外部から閲覧することが出来る状態になっていたとのことです。
その内の15万445人の情報が第三者からダウンロードされたとして、ワークスタイルテックは今回の事態を受けて6社からサービス解約の申し出があったと発表。クレジットカードやデビットカードは8073人分、その他にも2707人分の健康診断や障害の情報が漏えいしたと報告されています。

マイナンバー画像など15万人分漏えいの労務クラウド、クレカ情報も流出していた
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2406/01/news047.html

カオナビ子会社で、3月に約15万人分のユーザー情報漏えいを発表したワークスタイルテック(東京都港区)は5月31日、漏えいした情報の中にクレジットカードやデビットカードの情報が含まれることを発表した。調査の結果詳細が分かったとして、当初発表した漏えい件数も変更した。

個人データの漏えいに関するお詫びと再発防止に関するご報告
https://workstyletech.com/incident_report05312024/

本事案により漏えいが確認された個人データは、本対象期間中にお客様が弊社サービスを通じてクラウドストレージにアップロードしていた各種身分証明書等のPDFファイル及び画像ファイル(当該ファイル内に含まれる氏名、住所、生年月日、性別、電話番号等)です。当該データに係るエンドユーザーのお客様の数は、以下のとおりです。調査の結果、前回公表時の数値から変更がございます。
なお、漏えいがあったご契約先の企業様及びエンドユーザーのお客様には順次個別にご連絡を差し上げております。

個人データが漏えいした人数(総数):158,929人

(1)上記総数のうち 第三者による個人データのダウンロードが確認された人数:150,445人
(2)上記総数のうち 個人番号情報を含む人数:46,329人
(3)上記総数のうち クレジットカード又はデビットカード情報を含む人数:8,073人
(4)上記総数のうち 要配慮個人情報を含む人数:2,707人
(i) 上記(4)のうち 健康診断情報を含む人数:1,937人
(ii) 上記(4)のうち 障がい情報を含む人数:798人

管理人:結構大事件だと思いますが・・・   政府はセキュリティーゆるゆるのままマイナンバーカードを強行しようとしていますが、とんでもない話だと思います。実は私もクレジットカードの情報が漏れて、勝手に買い物をされた経験があります。

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2024年6月21日 (金)

バラの香りは催淫剤なのだろうか?

Kanabunn

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わが家のベランダを人生終焉の地として選ぶ者はいろいろ居ますが、ベストツ-はセミとカナブンです。これはやめて欲しいですがどうしようもありません。

そのどこにでもいるカナブンですが、ごく最近まで幼虫が何を食べて生きているのかわからなかったようです(1)。鈴木知之と言う人がクズの腐葉土を食べるということを発見したそうですが、クズはどこにでもある植物じゃないので、まだまだ不明な点があるようです。

写真はバラの花弁上で交尾するカナブンです。ひょっとするとカナブンにとってバラの香りが生殖のシグナルになっているのかもしれません。20年くらい前に南軽井沢のバラ園で撮影した写真ですが、映っているペアだけでなく多数のカナブンがバラの花弁に集まっていました。バラの品種は選ばないようですが、詳しくはわかりません。いつも同じ季節に花を開く植物の香りをシグナルに全員集合して繁殖するというのは面白いアイデアではあります。

バラの香りがフェロモンであるという論文はみつかりませんでしたが、ヒトの脳波に影響を与えるという論文はあります(2)。香りの成分の分析や遺伝子の研究は進んでいるようです(3)。

科学的根拠は希薄でも、バラの香りをフェロモンとして宣伝しているサイトは多いようです(4)。

1)ウィキペディア:カナブン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%83%96%E3%83%B3

2)河野貴美子 脳波からみた香りの効果に関する検討  瞑想時の脳波と比較して
人体科学 vol.10(2):pp.11-18,2001
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmbs/10/2/10_KJ00005469522/_pdf/-char/ja

3)Shaochuan Shi and Zhao Zhang, Genetic and Biochemical Aspects of Floral Scents in Roses., Int J Mol Sci., vol.20;23(14):8014 (2022).doi: 10.3390/ijms23148014
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35887360/

4)
クイーンローズ[フェロモン香水レディース]
こちら1

ラブアトラクション・ローズ(男性用)
こちら2

ディープスイートラブ パルファン フェロモン香水 女性用
こちら3

 

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2024年6月18日 (火)

続・生物学茶話240:青斑核 3 日本の先覚的研究者達

青斑核の研究は戦前から日本の先覚的研究者達の貢献が顕著でした。このあたりの事情は前田・清水の総説を読めばわかります(1)。あとでその一部を紹介しますが、ここではまず戦後の文献(1)に記載されていたラット橋の上部(アンテリア領域)における神経核の美しいスケッチから紹介します(図240-1)。

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図240-1 ラット橋前半部の神経核

図240-1のキャプションには佐藤啓二によるという記載があるのですが、佐藤啓二の引用文献は3つあって(そのうち in press が2報)、どれがオリジナルかわかりませんでした。青斑核が特別なまとまりを持った細胞の集合体であることがよくわかります。また三叉神経中脳路核と非常に近接していることが示されています。

図240-2はネコの標本なので少し青斑核の位置が違います。アドレナリン系のニューロンを免疫組織化学で検出したきれいな切片標本です。この頃は青斑核と青斑下核が全く別の機能を持つと考える傾向が強かったようです。

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図240-2 ネコの橋におけるアドレナリン系ニューロンの免疫組織化学

もう一遍紹介したいのは、清水・今本の形態学の論文です(2)。図240-3にはゴルジ染色によるlocus coeruleus 細胞の形態です。細胞体にも樹状突起にも Cytoplasmic Protrusions (spines) がくっきりと見えます。この突起がどのような機能を持つかは今でも謎のままです。

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図240-3 ラット青斑核ニューロンの形態

清水・今本はこの突起の電子顕微鏡写真も論文に掲載していて(2)、一部の突起はシナプスを形成していることを証明しました(図240-4)。

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図240-4 ラット青斑核ニューロン突起(スパイン)部位の電子顕微鏡写真

最後になりましたが、太平洋戦争開戦前夜の1941年に発表された佐野文男の論文を紹介したいと思います(3、図240-5)。図240-5のようにアブストラクトはドイツ語で書かれており、日本語は漢字とカタカナで書かれています(ひらがなは一字もなし)。当時の医学論文はこのようなスタイルで書かれていたのです。同じ日本語なのに恐ろしく読みにくい。

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図240-5 太平洋戦争開戦前夜の1941年に出版された佐藤文男の論文

佐野文男は青斑核の形態について、当時東京大学医学部解剖学教室と脳研究所に保管されていた多くの哺乳類の標本を用いて、比較解剖学的な立場からの研究を世界で初めて行いました。これを許可した東大医学部の関係者の慧眼も素晴らしいと思います。もちろんカルミン染色とニッスル染色を用いた純形態学的な研究であり、限界があることは著者も認めていますが、当時としては非常に多くの動物種にまたがって脳の研究をおこなうということ自体破格の試みで、高く評価されるべきパイオニア的な研究だと思います。

論文を読み始めて最初の困難は情けない話ですが「動物の名前がわからない」ということで、調べるのに時間がかかりました。まとめると図240-6のようになります。このリストにははいっていませんが、ゲヲミスという動物についても調べていて、これは調べると「ホリネズミ」という日本にはいない動物だそうで(4)、当時の東大医学部がこのような動物の標本を保管していて、しかも研究で潰すことを了解したことには驚きます。

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図240-6 実験に使われていた動物名の漢字表記

よくあることですが、この論文は欧米の研究者達にとっては敵性国家のもので、しかもその国のローカルな言語で書かれている論文なので、欧米では戦後しばらくの間無視されていたようです。現在ではきちんと評価されているようです。なにしろこの種の研究が欧米で行われたのは20年以上も遅れてのことですから。

以下は論文の内容をほぼ書き写しただけですが、結果のサマリーを書いておきます。

類人猿(チンパンジー、オランウータン):
青斑核は中心灰白質の腹外側隅と網様質の背側隅とにまたがって存在する。メラニン顆粒を有する細胞が多い。

猿(ニホンザル、オナガザル、ヒヒ):
青斑核は著しく発達し、そのほとんどが中心灰白質にある。一部の細胞はメラニン顆粒を保有するが、その顆粒数は類人猿に比べると非常に少ない。

半猿(キツネザル):
青斑核はあまり発達せず、中心灰白質と網様質にまたがって存在する。メラニン顆粒は存在しない。

食肉類(犬・タヌキ)
青斑核はよく発達し、その細胞のほとんどは網様質にある。メラニン顆粒は存在しない。

食肉類(猫・アザラシ)
青斑核はよく発達し、中心灰白質と網様質にまたがって存在する。メラニン顆粒は存在しない。
猫の場合脳室底面の近くまで分散する傾向が著しい。

(食肉目は文部科学省の定義ではネコ目とされていますが、犬好きにとっては犬がネコ目に属するのは耐えがたいと思われ、研究者もあまり使っていません)

齧歯類(リス・ムササビ・ホリネズミ):
青斑核はよく発達し、中心灰白質の外側部に存在する。

齧歯類(ウサギ・モルモット・ラット・マウス):
青斑核の発達はあまり良好とは言えないが、中心灰白質の外側部に存在する。齧歯類の場合食肉類とは対照的に、発達が良くても悪くても青斑核は中心灰白質に存在する。

偶蹄類(ブタ・キョン・ヤギ)
発達が悪く、三叉神経中脳根に内接しない。

鯨類(イワシクジラ・カマイルカ)
イワシクジラよりカマイルカの方がはるかに発達が良い。イワシクジラでは青斑核の細胞は散在性であるが、カマイルカでは密集している部分がある。

貧歯類(アリクイ)
青斑核の半分以上は網様質にある。

翼手類(オガサワラオオコウモリ)
青斑核はよく発達し、大部分は中心灰白質にある。ニホンザルやリスと似ている。

真無盲腸類(モグラ・ハリネズミ、この論文には貧蟲類としてあるが現在はこの名前になった)
青斑核はモグラの方がハリネズミより発達が良い。いずれの場合も中心灰白質と網様質にまたがって存在する。

有袋類(カンガルー・アカクビワラビー)
青斑核はカンガルーではよく発達しているが、アカクビワラビーでは非常に発達が悪い。

管理人=私の感想:カンガルーとアカクビワラビ-の相違は青斑核の機能を考える上で非常に興味深いと思います。アカクビワラビーが夜行性であることに関係があるかもしれません(5)。つまり青斑核は光が当たることによって活性化されますが、暗闇によって活性化されることはないということでは?

青斑核の研究は現在も過去も遺伝子関係の知見が豊富なラットやマウスを使って行われることが多いですが、佐野の指摘によればこれらの動物では青斑核の発達が悪く、むしろ生理学的研究はリスやホリネズミで行うべきなのかもしれません。

 

参照

1)前田敏博、清水信夫 青斑核 脳神経 30巻3号 pp.235-257 (1978)
https://cir.nii.ac.jp/crid/1524232505136674304

国立国会図書館のデジタルコレクションに収蔵されています


2)清水信夫, 今本喜久子 ラット青斑核の微細構造
Archivum histologicum japonicum 31 巻 (1969-1970) 3-4 号 pp. 229-246
https://doi.org/10.1679/aohc1950.31.229
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aohc1950/31/3-4/31_3-4_229/_article/-char/ja/

3)佐野文男 哺乳類ノ靑斑核ニ關スル比較解剖學的硏究 解剖学雑誌18巻3号 pp.1-27 (1941)

国立国会図書館に収蔵されていて、PDF書類として閲覧することはできませんが、紙コピーを郵送で取り寄せることができます

4)朝日新聞 GLOBE+ 「ホリネズミは農民だ」 彼らが地下トンネルの中でやっていること、研究者が深掘り
https://globe.asahi.com/article/14701044

5)Wikipedia: Red-necked wallaby
https://en.wikipedia.org/wiki/Red-necked_wallaby

 

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2024年6月16日 (日)

おやすみ

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眠っても 脳が正常であれば記憶は消えない

それでも逃避はできる

君たちの何千万年の祖先も、そうして天敵の恐怖から逃れ

束の間のやすらぎに身を委ねてきた

おやすみ

Good night

晚安

ブエナス ノーチェス

あ 猫語ではどう言うんだい?

 

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2024年6月14日 (金)

World music collection 15: Aoba Ichiko a magical music tour

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オリジナリティーが高い音楽だと思います。私が彼女の音楽に関心を持ったのは「海辺の葬列」という曲を聴いてからで、この曲はなかなかとっつきにくい曲が多い中で、比較的従来のポップスに近いとっつきやすさがあったからだと思います。その歌詞の中に「風を歌った人は とりの羽毛にくるまり とおくへ運ばれた」という一節があり、これはバイブルを思い浮かべさせるのでキリスト教徒なのかなとも思いました。
https://japanese-odb.org/2017/08/15/%E7%A5%9E%E3%81%AE%E7%BE%BD%E3%81%AE%E4%B8%8B%E3%81%A7/

現在テレビで放映しているようなJPOPに全く関心がわかないという向きは、一度ためしに聴いてみることをおすすめします。ジャンルで言えばアンビエント系に分類されそうな音楽です。古代の宗教音楽のようでもあります。

The music of Aoba Ichiko is, I think, higly original never heard elsewhere, and may make our autonomic nerve be healthy. I feel she surrounds the audience by an atmosphere of eternity during her music is playing. Her album "Windswept Adan" released on 2020 was ranked at no.2 in the world by "Rate Your Music". Yes, she is an international singer/song writer born in Urayasu, Chiba-prefecture, Japan.

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海辺の葬列(青葉市子 Aoba Ichiko)
https://www.youtube.com/watch?v=AKflm82wVLk

NUUAMM (青葉市子/マヒトゥ・ザ・ピーポー) - 海辺の葬列 @ ウタサ祭り2020
https://www.youtube.com/watch?v=rh_IsgFI_mc

海辺の葬列 (Funeral Procession Of The Seashore) - 青葉市子 (Aoba Ichiko) - Piano Cover
https://www.youtube.com/watch?v=m6XmJXAiwjs

Translation to English
こちら

Translation to Chinese
https://rapzh.com/songs/6296374

カバー by ぽんにゃん
https://www.youtube.com/watch?v=HnK1P5lJK8Y

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Ichiko Aoba - Seabed Eden (海底のエデン) (Official Audio)
https://www.youtube.com/watch?v=Q2n-hnGJ9bA

Ichiko Aoba with 12 Ensemble - Seabed Eden, Asleep Among Endives (Live at Milton Court)
https://www.youtube.com/watch?v=Km89hS6gWoQ

ミルトン・コートはロンドン中心部にある608シートのコンサート・ホール
https://www.arup.com/projects/milton-court

Ichiko Aoba - 海底のエデン (live at Ginza Sony Park)
https://www.youtube.com/watch?v=k6-Rvfm5KLQ

青葉市子 - 海底のエデン(FUJI ROCK 21)
https://www.youtube.com/watch?v=V-tIlLF9sNQ

コード譜
https://gakufu.gakki.me/m/data/RQ15629.html

Translation to English
https://www.musixmatch.com/ja/lyrics/Ichiko-Aoba/Seabed-Eden/translation/english

Translation to Chinese
https://home.gamer.com.tw/creationDetail.php?sn=5760252

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Dawn in the Adan
https://www.youtube.com/watch?v=2L3OCqW76hE

Ichiko Aoba with 12 Ensemble - Dawn in the Adan (Live at Milton Court)
https://www.youtube.com/watch?v=-TnWt8OKFqw

Ichiko Aoba - Dawn in the Adan - Live at the Great Hall, Toronto
https://www.youtube.com/watch?v=1Rd_nbNyACw

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Ichiko Aoba - テリフリアメ (The Rain from Light and Shadow) - 02212024
https://www.youtube.com/watch?v=QDrSP2SzJ5c

青葉市子 - テリフリアメ @ ONE PARK FESTIVAL 2019
https://www.youtube.com/watch?v=ET-WWcXVPSo

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青葉市子 ICHIKO AOBA [LIKE SOUND] at Restaurant LIKE
https://www.youtube.com/watch?v=16pf-eUnm2A

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Ichiko Aoba - Sagu Palm's Song w/ Lyrics and English Translation (Special at Motel Mozaique Fes) with English caption
https://www.youtube.com/watch?v=QMGe62n8A3A

Ichiko Aoba with 12 Ensemble - Sagu Palm's Song (Live at Milton Court)
https://www.youtube.com/watch?v=KC7u_LWfqgM

青葉:この曲は奄美大島で書きました。

あー、そうなんですか。

青葉:最初は「奄美蛙唄」という曲名でしたが、どこか特定の地名や場所がわからないほうが、『アダンの風』においてはいいだろうと、太古から茂っているソテツの群れが、生命の循環していく世界を眺めて歌ってるイメージで“Sagu Palm's Song”にしました。

カエルの歌が入ってくるのは当初の名残なんですね。

青葉:奄美で泊まっていた宿に住んでるカエルがいて、ずっと鳴いてたので。

(from: 青葉市子『アダンの風』全曲解説。作曲家・梅林太郎と共に語る)

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青葉市子「ひかりのふるさと」Ichiko Aoba - Hikari no Furusato
https://www.youtube.com/watch?v=qoa1G6uBz-0

ひかりのふるさと Ichiko Aoba - Live at Ginza Yamaha Hall
Birthplace of Light
https://www.youtube.com/watch?v=AtfmEcHwFWg

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ギターがそばにある生活ー 青葉市子の歌とクラシックギター
(YAMAHA presents)

https://www.youtube.com/watch?v=vwaSwiIoZNA

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Live at Shibuya Sakura Hall

https://www.youtube.com/watch?v=uwTFf5t1BtU

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2024年6月12日 (水)

国立大学の崩壊を阻止せよ

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国立大学の財政状況が危機的に悪化しているようです。国立大学協会が声明(というより悲鳴のSOS)を出しています(1、2)。東大のような最も恵まれているはずの大学も金欠のため学費値上げを検討しているようです(3)。

安倍政権は国立大学の財政悪化を放置し、むしろ促進してきました。そして現政権も立て直そうとはしていません。おそらく研究費の重点配布で切り抜けようとしているのでしょうが、ある程度のベース的な配分がなければ学術の崩壊は免れないでしょう。上のグラフを見るとGDPの上昇にもかかわらず、大学いじめは続いているようです。

例を挙げましょう。近年の脳科学・神経生物学に革命をもたらしたチャネルロドプシンの発見は、何の実用的価値もないと思われていた緑藻の研究によるものです(4)。どうですか? 政治家や官僚は緑藻の研究がイノベーションをもたらすと予見できますか? 競争的研究費を配分できたと思いますか?

新しい医療への道を開きつつある遺伝子編集の技術は、元はと言えば細菌の免疫機構の借用であり、彼らがウィルスから身を守るために発明したメカニズムです(5)。どうですか? 政治家や官僚は細菌の免疫機構の研究がイノベーションをもたらすと予見できますか? 競争的研究費を配分できたと思いますか? 

イノベーションは政治家・官僚・学会のボス達によっては予見できません。非競争的研究費のベースがあってこそ天才と幸運の女神が微笑みかけてくれるのです。このことは与野党を問わずわずかな政治家しかわかっていないし、多くの官僚もわかっていません。学者達のなかにはそれを百も承知で、政治家や官僚の受けを狙う輩がいるのは困りものです。

そういうことがわかっていなくても、大学における教育・研究を充実させなければ日本は終わるという認識をもっている政治家は野党の方に多いように思います。そういう意味では政権交代は大学の状況を改善するために役に立つかもしれません。これはあくまでも心細い期待ですが。

1)国立大学協会声明 ------我が国の輝ける未来のために------
https://www.janu.jp/wp/wp-content/uploads/2024/06/202406_PresidentsComment.pdf

2)「もう限界です」──国立大学協会が声明、財務悪化の現状を訴える 「教育・研究の質の低下が危惧される」
こちら

3)東大授業料2割値上げ検討、学生らが反対集会…教員3人も登壇し懸念を表明 (読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/daigakunyushi/20240606-OYT1T50156/

4)続・生物学茶話227:  チャネルロドプシン
http://morph.way-nifty.com/grey/2024/01/post-871db8.html

5)クリスパー/キャス9 遺伝子編集への道
http://morph.way-nifty.com/grey/2019/04/post-095975.html

 

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2024年6月11日 (火)

懐かしの東京ドーム

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数年前までは毎年必ず東京ドームに行っていました。もちろん3塁側です。これは古い写真ですが、なんと東京ドームで シアトルマリナーズvs阪神タイガース の試合が行われたときのスコアボードです。

コロナ騒ぎの中で、野球場というのは密着するわ大声出すわで最も危険な場所のひとつとなって、行かないことになりました。そうなると情熱は失われ、現在はときどきテレビで見るくらいになってしまいました。なので「懐かしの東京ドーム」というタイトルになってしまいました。

この試合は当時糖尿病の投手として有名だった岩田の好投、4番打者(この試合ではDH)金本などの活躍で、イチローひきいるマリナーズに勝利しました。クローザーの藤川だけ失点して完封勝利を逸しています。イチローもヒットを1本打っています。

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当時の阪神タイガースを率いていた4番金本の雄姿。

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当時の売店兼ドリンクコーナー。意外に空いていることが多くてよく利用しました。今でもあるのかなあ?


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当時の弁当は一品一品がとても丁寧に味付けされていて、1000円で料亭の味でした。これもいつしかなくなってしまいました。日本の没落の象徴かもしれません。

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当時同行していたY夫人。新井は現在、なんとカープの監督。

 

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2024年6月 9日 (日)

めざめ レム睡眠からとノンレム睡眠から

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図1 レム睡眠からの目覚め(1)

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図2 ノンレム睡眠からの目覚め(2)

 

睡眠にレム睡眠とノンレム睡眠があることは皆さんご存じだと思いますが、では目覚める直前はどちらのタイプの睡眠なのでしょうか? それはどちらの場合もあるのです。図1はレム睡眠からの目覚め(1)、図2はノンレム睡眠第2ステージからの目覚めの例です(2)。

私はどちらの睡眠から目覚めたのかわかるような気がします。レム睡眠から目覚めたときは何のストレスもなく自然に目覚めた感じがして、ついさっきまで見ていた夢を思い出すことも多いです。一方ノンレム睡眠から目覚めたときは、突然別世界に放り出されたような気分で、肺が普段と違って勝手に深呼吸していてコントローできない感じがします。夢も思い出せません。

ウィキペディアには「レム睡眠は、鳥類と哺乳類にしかみられない」と書いてありますが、これは多分間違いです。アルベックらはトカゲがレム睡眠をしていることを証明しました(3)。私の推測は、すでにペルム紀初期に鳥類・哺乳類の共通祖先がレム睡眠とノンレム睡眠のベースをつくっていましたが、PT境界の大絶滅時代に睡眠の様式はリセットされ、長く眠って繁殖の時だけ覚醒するという、わずかな食料だけで生き延びられる生物だけが生き残ったのではないかということです。鳥類の祖先である爬虫類、哺乳類の祖先である哺乳類型爬虫類ともにいったん冬眠または夏眠が睡眠のデフォルトとなって、そこから生物が次第に増えてむしろ睡眠時間が短い方が生存に有利な状況になるにつれて、残されていた遺伝子を使って恐竜と哺乳類が(そして現存の一部爬虫類も)独立にレム睡眠とノンレム睡眠を再構築したのではないかと思います。

(画像はウィキペディアより)

1)Wikipedia:Hypnogram
すhttps://en.wikipedia.org/wiki/Hypnogramす

2)ウィキペディア:レム睡眠
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%A0%E7%9D%A1%E7%9C%A0

3)Nitzan Albeck, Daniel I. Udi, Regev Eyal, Arik Shvartsman & Mark Shein-Idelson, Temperature-robust rapid eye movement and slow wave sleep in the lizard Laudakia vulgaris., Commun Biol 5, 1310 (2022).
https://doi.org/10.1038/s42003-022-04261-4

4)続・生物学茶話232: 2相性睡眠の起源
http://morph.way-nifty.com/grey/2024/03/post-976e25.html

 

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2024年6月 7日 (金)

ヤマボウシとハナミズキ

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団地の隣に空き家があり、誰も建物や植栽など管理していません。大勢人が住んでいる団地の管理も断られるようなご時世なので、空き家なんて放置されるだけの場合も多いのでしょう。そこに普通は落葉する種のはずが、これは常緑性のヤマボウシという珍しい植物が暮らしています(写真)。まだ2メートルくらいの樹高の若い木です。誰も管理していない庭なので、自由にすくすくと生長してほしいと思います。

ハナミズキ(挿入写真)とは花弁の尖端がとがっているかへこんでいる(赤矢印)かの違いがあるので識別は簡単です。それにハナミズキは葉がでていないうちから咲くのに対して、ヤマボウシはきちんと葉が出てから咲くのではっきりとした違いがあります。それにもかかわらず両者の区別に関するサイトがたくさんあるので、むしろびっくり。確かに両者ともミズキ科 Cornaceaeミズキ属 Cornusなので近縁の植物ではあります。

ハナミズキは団地の植栽としてや街路樹としてよく使われ、うちの近所にもたくさんありますがヤマボウシはそれほどでもありません。しかし日本産はヤマボウシの方で、ハナミズキは北アメリカ産の輸入植物です。武蔵大学のサイトの記事に興味深い記述がありました。

引用すると「ハナミズキとヤマボウシは、花がお互いに良く似ています。植物の分類で言えば属が同じなのです。ハナミズキはアメリカ原産、ヤマボウシは日本列島に固有の植物です。なぜ、太平洋を挟んだアメリカと日本とに同じ植物の仲間があるのでしょうか? 実はこの謎の解明に寄与したのがペリーの黒船だったのです。ペリーのアメリカ艦隊には植物学者が乗船していて、黒船が寄航地で植物を採取して標本として持ち帰っていたのです。2次にわたるアメリカの植物調査隊が、黒船に乗船していたことはあまり知られていません。それらの標本を研究したのがエイサ・グレイ博士でした。彼は、標本の同定を通じて、極東アジアの植物とアメリカ合衆国との植物との類似に確信をもったのです。それまで、シーボルトらが著した書物から、その類似性に気が付いてたのです。1846年、1859年に論文を執筆し、アメリカとアジアとの隔離分布に ついて論じたのでした」。つまりこの2種の植物は地球が暖かかった頃(数千万年前)にベーリング海の周辺にあったものが、地球寒冷化と共にアジアとアメリカに南下し、別々の種類になったそうです。

参照

1)住友化学園芸 
ハナミズキとは?由来や興味深い逸話とヤマボウシとの見分け方をご紹介
https://www.sc-engei.co.jp/gardeningbeginner/column/029

2)広島大学デジタルミュージアム
アメリカヤマボウシとヤマボウシの見分け方
こちら

3)武蔵大学 ヤマボウシとハナミズキは兄弟
https://www.musashi.ac.jp/kisokyoiku_blog/20130630_04.html



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2024年6月 3日 (月)

続・生物学茶話239:青斑核 2

カンブリア紀には弱肉強食の世界がはじまり、私たちの祖先である原始魚類達は大型の節足動物の捕食を逃れるため、青斑核ののようなアラートシステムを必要としました。もしそれが捕食を免れるためだけのものなら、そのようなシステムは捕食者がいないエディアカラ紀以前には不要だったはずです。しかし青斑核がもとはと言えば覚醒を維持するためのシステムとして作られたとすれば、それはエディアカラ紀に起源をたどれるかもしれません。

私たちが眠っているときにも胃腸、肝臓、腎臓、膀胱、心臓などは機能しています。では何が休んでいるかというと「運動神経と随意筋」、「感覚神経と感覚器」の2つのセットです。自律神経や不随意筋は睡眠時も普通に機能しています。エディアカラ紀にもその2つの休みが必要なセットは存在したに違いありません。嗅覚やケミカルセンサーでエサをみつけて、そこに移動接近する必要がある生物はその2つのセットをもっているはずだからです。

運動神経や感覚神経は不定期に活動することが必要で、一度活動するとニューロン内部のイオン組成を元に戻し、シナプス周辺に放出した神経伝達物質を除去する必要があるのでしょう。また神経伝達物質を使い切ったら新たに取り込むとか生合成するとかして補填しなければなりません。睡眠はおそらくこれらの作業を行うために必要なのです。運動神経や感覚神経がこれらの作業を行うために休んでいる間は、随意筋や感覚器は活動することができません。自律神経がどうして休みなく働けるのかはわかりません。これは脳神経科学の重要なテーマの1つでしょう。

青斑核(Locus Coeruleus)は運動神経・感覚神経のサポートシステムとして、睡眠と覚醒を制御するためツールとして生まれたと考えられます。このシステムがカンブリア紀以前からあるとすれば、脊椎動物以外の生物群にもある程度共通するシステムがあるに違いありませんが、それは近年次々と明らかになってきました。昆虫が眠ることはよく知られていますし、彼らも大脳基底核や脳幹に覚醒システムをもっているようです(1)。線虫(線形動物)もタコ(軟体動物)も眠ります(2、3)。このことは睡眠のシステムは前口動物・後口動物が分かれる以前の段階、ウルバイラテリアの段階から存在したことを示唆します。

突然眠ってしまうナルコレプシーという病気にはオレキシンや青斑核が関与しているらしいですが、これは珍しい病気です(4)。一方パーキンソン病やアルツハイマー病は随意筋の動きに変調をきたす代表的な脳神経系の病気で、患者の数は厖大です。昔からこのような病気で死亡した患者の脳を調査して(本人や家族の了解を得るのは大変だったと思いますが)、どの部分に異常が見られるかを調べるという研究は熱心に行われてきました。図239-1はこれらの病気に関係が深いと考えられているマイネルト基底核(視床とアミグダラの間にある)・橋青斑核・中脳黒質緻密部におけるニューロンの減少を、死後解剖によって調査した結果をまとめたものです(5)。これによると特に青斑核における細胞の減少が著しいことがわかります。

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図239-1 アルツハイマー病かつパーキンソン病で死亡した患者の、マイネルト基底核・青斑核・中脳黒質緻密部におけるニューロンの減少(パーセントロス) 各研究結果のまとめ

アルツハイマー病は皆さんご存じだと思いますが、パーキンソン病とはレビー小体というαシヌクレインというタンパク質からなる塊が脊髄・脳幹・中脳などの細胞の中に蓄積して、それらの細胞の機能が低下するまたは細胞が死滅する病気です。おそらくそのためにドーパミンの分泌が悪くなるなどの影響でふるえ・こわばりなどが発生し、正常な行動ができなくなります(6)。

図239-2はパーキンソン病とアルツハイマー病をわけて調査した結果です。これによると特にパーキンソン病(PD)と青斑核におけるニューロンの減少について、様々な調査結果が一致して相関性があることを示唆しています(5)。黒質緻密部におけるニューロンの減少は従来から言われているように、やはりパーキンソン病と深い関係があるようです。黒質緻密部はドーパミン作動性のニューロンが集結している部域であり、実際L-ドーパ投与によってドーパミンを補充することによりパーキンソン病の治療が可能であることがわかっているので(7)、この場所がパーキンソン病とかかわりが強いことは予想通りです。一方アルツハイマー病は黒質緻密部とは関わりが薄く、マイネルト基底核や青斑核とは関わりが深いことが示唆されています。

青斑核がパーキンソン病にどのようにかかわっているかはよくわかっていませんが、ロンメルファンガーとヴァインシェンカーは「パーキンソン病は中脳の黒質緻密部の変質が原因とされているが、青斑核ニューロンの減少も深く関係している。ノルアドレナリンはニューロンを保護するだけでなく、正常な行動を維持するためにも必要である」と言っています(8)。。またMPTP(1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン)はドーパミン作動性ニューロンを変性脱落させる毒薬として知られていますが、重篤なパーキンソン病を発症するにはさらにLCにダメージを与えることが必要であるというデータもあり、マリエンらはLCの不調がパーキンソン病やアルツハイマー病の進行に決定的な役割を果たすと述べています(9)。さらに詳しく調べたい方は、パーキンソン病における青斑核のかかわりについてまとめた最近の総説をご覧下さい(10、11)。

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図239-2 アルツハイマー病、パーキンソン病、それぞれで死亡した患者の、マイネルト基底核・青斑核・中脳黒質緻密部におけるニューロンの減少(パーセントロス) 各研究結果のまとめ

ロバート・ウィルソンらは165人の高齢市民の協力を得て、記憶と老化研究のプロジェクトを実行しました(12)。参加者は約6年にわたって頻繁に認知テストを受け、亡くなると脳を解剖して検査することに同意しています。その結果、青斑核の中脳よりに隣接する背側縫線核あるいは中脳黒質緻密部などにはみられず、青斑核にはみられる現象がみつかりました。それは図239-3に示してありますが、青斑核のニューロンの減少が顕著なほど認知能力が低下するという結果です。これは背側縫線核あるいは中脳黒質緻密部にはみられない現象でした。このことは青斑核の縮退がアルツハイマー病にかかわっていることを示唆しています。

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図239-3 青斑核ニューロンの密度と認知能力の経年低下

青斑核についてまだ解明されていない重要なことは入力についてです。脳科学辞典には入力は極めて少なく2ヶ所からだけだと書いてありますが、中脳や骨髄の三叉神経核から入力があるとする論文がありますし(13)、実は大脳皮質や視床などからも入力があるのではないかと思われます。これからの研究結果を待たなければなりません。

参照

1)動物の生きるしくみ事典 昆虫の睡眠の分子神経メカニズム
https://cns.neuroinf.jp/jscpb/wiki/%E6%98%86%E8%99%AB%E3%81%AE%E7%9D%A1%E7%9C%A0%E3%81%AE%E5%88%86%E5%AD%90%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%83%A1%E3%82%AB%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0

2)河野泰三, 林悠、睡眠の進化—線虫に注目して 生体の科学 vol.71, no.1, pp.476-477 (2020)
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201112
https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.2425201112

3)Science Portal news タコも「浅い睡眠」と「深い睡眠」ですやすや 沖縄科技大など発見
(2023)
https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20230911_n01/

4)長谷川恵美 オレキシン産生神経細胞は二つの異なる神経経路でナルコレプシーを抑制する
Hasegawa E., et al.( Mieda M.) : Orexin neurons suppress narcolepsy via 2 distinct efferent pathways : J Clin Invest., vol.124(2): pp.604–616 (2014)
http://physiology.jp/science-topic/10496/

5)Chris Zarow, Scott A. Lyness, James A. Mortimer, and Helena C. Chui, Neuronal loss is greater in the Locus Coeruleus than Nucleus Basalis and Substantia Nigra in Alzheimer and Parkinson Diseases., Arch. Neurol., vol.60, pp. 337-341 (2003)
doi:10.1001/archneur.60.3.337
https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/article-abstract/783853

6)福岡みらい病院 パーキンソン病とはどんな病気?
https://www.fukuoka-mirai.jp/neurosurgical-functional/975/

7)難病情報センター パーキンソン病
https://www.nanbyou.or.jp/entry/169

8)K.S.Rommelfanger and D.Weinshenker, Norepinephrine: The redheaded stepchild of Parkinson's disease., Biochemical Pharmacology, vol.74, Issue 2, pp.177-190 (2007)
https://doi.org/10.1016/j.bcp.2007.01.036
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S000629520700086X

9)Marc R Marien, Francis C Colpaert, Alan C Rosenquist, Noradrenergic mechanisms in neurodegenerative diseases: a theory., Brain Research Reviews, vol.45, pp.38-78 (2004)
https://doi.org/10.1016/j.brainresrev.2004.02.002
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0165017304000165

10)Bilal Abdul Bari, Varun Chokshi, Katharina Schmidt, Locus coeruleus-norepinephrine: basic functions and insights into Parkinson’s disease., Neural Regen Res vol.15(6): pp.1006-1013 (2019) doi:10.4103/1673-5374.270297
https://journals.lww.com/nrronline/fulltext/2020/15060/Locus_coeruleus_norepinephrine__basic_functions.5.aspx

11)Elena Paredes-Rodriguez, Sergio Vegas-Suarez, Teresa Morera-Herreras,
Philippe De Deurwaerdere and Cristina Miguelez, The Noradrenergic System in Parkinson’s Disease., Frontiers in Pharmacology vol.11, article 435 (2020)
https://doi.org/10.3389/fphar.2020.00435
https://www.frontiersin.org/journals/pharmacology/articles/10.3389/fphar.2020.00435/full

12)Robert S. Wilson et al., Neural reserve, neuronal density in the locus ceruleus, and cognitive decline., Neurology vol.80, pp.1202-1208 (2013)
https://doi.org/10.1212/WNL.0b013e3182897103
https://www.neurology.org/doi/abs/10.1212/WNL.0b013e3182897103

13)Flavio Pisani, Valerio Pisani, Francesca Arcangeli, Alice Harding and Sim K. Singhrao, Locus Coeruleus dysfunction and trigeminal mesencephalic nucleus degeneration: A cue for periodontal infection mediated damage in Alzheimer’s Disease? Int. J. Environ. Res. Public Health vol.20, no.2, pp.1007-1029 (2023)
https://doi.org/10.3390/ijerph20021007
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36673763/

 

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