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「生物学茶話:@渋めのダージリンはいかが」の紙本は九州大学理系図書館、京都大学理学部図書館、島根大学附属図書館、東京大学理学図書館、東京工業大学大岡山図書館、北海道大学理学部図書室、杏林大学医学部図書館、電子書籍としては国立国会図書館に収蔵されています。

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2023年3月27日 (月)

続・生物学茶話206 HOX遺伝子一覧

このあたりでHox遺伝子について復習しておこうと思います。前口動物、特にショウジョウバエの初期発生の基本については20世紀にクリスティアーネ・ニュスライン=フォルハルトとエリック・ヴィーシャウスが解明してノーベル賞を受賞し、現在では高校の教科書にも記載されています。後口動物である私たち脊椎動物の体は一見すると体節などわかりませんが、レントゲンで背骨の写真を撮影するときちんと体節が存在することがわかります。神経の構成もその体節構造に従っています。

とはいえ脊椎動物における体節のでき方はショウジョウバエとはかなり異なっています。ショウジョウバエの場合、母親が未受精卵にmRNAの濃度勾配を残しており、bicoid mRNAが卵の前端に、nanos mRNAが後側に局在します。しかもこれらのmRNAはその場所に係留されていて、拡散しないようになっています(1)。これらが発現する情報をもとに、特定の位置にギャップ遺伝子→ペアルール遺伝子→セグメントポラリティー遺伝子が発現して体節の構造が形成されます。このあと各体節の特色を決めるホメオティック遺伝子(Hox遺伝子)群が各体節に発現し、それぞれのホメオティック遺伝子によって規定された実際の組織はリアライゼータ遺伝子などによって作られます(2-4)。

マウスの場合前後軸は始めから決まっているわけではなく、受精後4日目にDVE(distal visceral endoderm)細胞が決められ、この細胞が5~6日目に頭側に動くことによって前後軸が決定されるというメカニズムなので、ショウジョウバエとは異なります(5)。ただHox遺伝子によって各体節の特徴が決定されるという点は同じで、この遺伝子は前口動物(C.エレガンス、ショウジョウバエ)、後口動物(ナメクジウオ、マウス、ヒト)で保存されており、それぞれパラログの関係にあります(図206-1)。

図206-1をみるときに留意すべきは、ナメクジウオと脊椎動物の共通祖先が進化する過程で、脊椎動物のブランチにだけ2回全ゲノムの倍化が起こったので脊椎動物の遺伝子が4倍となり、増えたHox遺伝子はその多くがそれぞれの役割を持って生き残ったので、ヒトやマウスでは遺伝子数が多くなっています。ナメクジウオの場合、進化の過程でショウジョウバエの Abd-B 遺伝子のパラログがタンデムリピートを起こしたため、遺伝子の倍化が起こらなかったのにもかかわらず、比較的多数のHox遺伝子が生まれたと思われます(図206-1)。

体節のない線虫でもHox遺伝子は保存されていることから、Hox遺伝子は特に体節のような明確な区分がなくても生物の発生分化に関与することができるようです。

厳密には図206-1に示したクラスターに存在するホメオボックス遺伝子をHox遺伝子と呼び、その他の部位にあるホメオボックス遺伝子を非Hoxホメオボックス遺伝子とするわけですが、ホメオボックス遺伝子とHox遺伝子が同義語として使われる場合もあります(6)。ここではとりあえず狭義のホメオボックスについて述べていますが、特に区別しないことにします。

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図206-1 さまざまな動物のHox遺伝子

これらのHox遺伝子の産物は転写因子としての機能を持つタンパク質(ホメオティックタンパク質またはHoxタンパク質)であり、2つのαヘリックスが折れ曲がった状態でつながっている構造(ホメオドメイン)を持っています(図206-2)。ホメオドメインがDNAダブルヘリックスのメジャーグルーヴに、N末がマイナーグルーヴにフィットするようです(7)。Hoxタンパク質はリアライゼータ遺伝子などさまざまな遺伝子のエンハンサーに結合し、転写を制御します。例えば足の形成に関与する遺伝子を活性化し、眼の形成に関与する遺伝子を抑制するというような形で特定の体の部分の形成をサポートするわけです。

Hoxタンパク質の保存性は高く、前口動物であるショウジョウバエと後口動物であるマウスの対応する遺伝子を入れ替えても機能するそうです(6)。両者の祖先が分岐したのは6.7億年前と考えられているので、恐ろしいほどコンサーバティヴと言えます。Hoxタンパク質はTAATの配列に結合して機能するので、擬人的表現であることを恐れずに言えば、遺伝子がHoxタンパク質が存在するステージで発現したいと思えばエンハンサーにTAATという配列をつくるかあるいは持ってくれば良いわけで、それは進化のタイムスケールでは容易な変異です。

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図206-2 ホメオボックスタンパク質のDNAへの結合

図206-3は左右相称動物のさまざまなグループがどのようなHox遺伝子を持っているかを、レスリー・ピックが整理して示したものです(8)。似ても似つかないくらい遠い親戚の生物であっても、左右相称動物の共通祖先を持っている限り、それぞれ同じ色のパラローガスな関連遺伝子を保存的に持っていることが示されています。

脊椎動物はナメクジウオやウニの祖先と分岐した後、2回の全ゲノム重複というイベントを経験し、Hox遺伝子もいったん4倍になりましたが、同じ機能が重複していた遺伝子が淘汰されて図206-3のようになりました。その後私たちの祖先である肉鰭類(にくきるい)と条鰭類(じょうきるい)に分岐し、さらに条鰭類から真骨魚類が分岐してから3回目の全ゲノム重複が約3億年前に起こったので、現在の多くの魚類は哺乳類より多数のHox遺伝子を持つことになりました(9、10)。サメなどの軟骨魚類はこの3回目の全ゲノム重複は経験していません。真骨魚類においてもHoxD群の遺伝子は全ゲノム重複したにもかかわらず、ワンセットは完全に脱落しています(図206-3)。それでもこの図を見ると、ある意味真骨魚類の方が私たちより進化しているとも言えます。

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図206-3 左右相称動物のHox遺伝子

図206-1あるいは3に掲載されているHox遺伝子はホメオボックス関連遺伝子群の一部であり、その他のグループに属するTAAT配列をターゲットする遺伝子も多数あります。図206-4はもっともよく研究されているショウジョウバエのホメオボックス遺伝子を分類し、網羅したものです(11)。ここで ftz (フシタラズ)という遺伝子にあとで注目します。これはペアルール遺伝子として知られていますが、他の昆虫ではホメオボックス遺伝子としての働きがみられる場合もあります(8)。

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図206-4 FlyBase を元に網羅したショウジョウバエのホメオボックス遺伝子

レスリー・ピックらは図206-4に記載してある ftz について詳細に調査して、これがすべての節足動物に存在することを確認し、ftz はもともとはホメオボックス遺伝子であって、ある進化のステージでリジン-アルギニンーアラニン-リジン-リジンというプロダクトのアミノ酸配列を獲得し、これによってペアルール遺伝子としての機能を獲得したとしています。そのタイミングは完全変態する昆虫が現れたとき(Endopterygota 以降)のようです(図206-5)。ただし蜂(Hymenoptera) ではまだ完全に機能せず、甲虫(Coleoptera)・蝶(Lepidoptera)・ハエ(Diptera)などでは完全に機能しているとしています(図206-5)。

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図206-5 前口動物における ftz の進化

ショウジョウバエに比べると哺乳類での研究は遅れていますが、各Hox遺伝子を欠損するノックアウトマウスは製造されており、それぞれ表現型が報告されているので文献12に従って簡単にまとめておきました(12、図206-6)。脊椎の異常はとりあえず解剖すればすぐわかるので記載されていますが、神経の異常などの詳細はこれからの研究が必要でしょう。具体的にどのような形質異常なのかは、文献12のテーブル2にそれぞれのノックアウトマウスについての原著論文が引用されています。

しかしこれだけでもHox遺伝子が哺乳類の形態にも大きな影響を与えることは明らかです。文献12にはHox遺伝子の変異が原因となるヒトの疾病についても、患部の写真なども含めて詳しい記述があるので、関心がある方は参照されることをおすすめします。

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図206-6 各Hox遺伝子をホモで欠損するノックアウトマウスの表現型

 

参照

1)東京医科歯科大学 個体の発生と分化Ⅱ - 発生と分化のしくみ
https://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/textlife/develop2.htm

2)脳科学辞典:ホメオボックス
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%9B%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9

3)Wikipedia: Hox gene
https://en.wikipedia.org/wiki/Hox_gene

4)ウィキペディア:形態形成
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BD%A2%E6%85%8B%E5%BD%A2%E6%88%90

5)大阪大学 浜田ラボ 高田勝吉
https://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/hamada/%E5%89%8D%E5%BE%8C.html

6)ウィキペディア ホメオティック遺伝子
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90

7)Wikipedia: Homeobox
https://en.wikipedia.org/wiki/Homeobox

8)Leslie Pick Hox genes, evo-devo, and the case of the ftz gene., Chromosoma., vol.125(3): pp.535–551.(2016) doi:10.1007/s00412-015-0553-6
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4877300/pdf/nihms-740608.pdf

9)沖縄科学技術大学院大学 プレスリリース
https://www.oist.jp/ja/news-center/press-releases/22387

10)Jun Inoue, Yukuto Sato, Robert Sinclair, and Mutsumi Nishida, Rapid genome reshaping by multiple-gene loss after whole-genome duplication in teleost fish suggested by mathematical modeling., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol.112 (48) pp.14918-14923 (2015)
https://doi.org/10.1073/pnas.1507669112
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.1507669112

11)FlyBase: https://flybase.org/reports/FBgg0000744.html

12)Shane C. Quinonez, and Jeffrey W. Innis, Human HOX gene disorders., Molecular Genetics and Metabolism vol.111 pp.4-15 (2014)
http://dx.doi.org/10.1016/j.ymgme.2013.10.012
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24239177/

 

 

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2023年3月26日 (日)

My favorites 14: Albinoni オーボエ協奏曲 Op.9-2

Albinoni

トマゾ・アルビノーニは17~18世紀に活躍したヴェネチアの作曲家です。ヴェネチアは英語名はベニスで、シェークスピアの「ベニスの商人」やヴィスコンティの「ベニスに死す」で有名な街です。アルビノーニの作品で一番有名なのはアルビノーニのアダージョですが、これは第二次世界大戦後に作曲されたジャゾットの偽作で、アルビノーニとは関係がありません。アルビノーニは50曲くらいのオペラを作曲して結構売れっ子の作曲家だったようですが、その楽譜がひとつも残っていないというのは残念です。ただ数曲のアリアの楽譜は残っていてYoutubeでも聴けます。

彼が生まれた頃のヴェネチアはひとつの都市ではなく、アドリア海周辺に広い領土を持つヴェネチア共和国として大いに繁栄していました。アルビノーニ家も実業家でお金持ちだったようです。当時のヴェネチアではそんなお金持ちが妾を持って子供を産ませることも珍しくなく、そうしてうまれた非嫡子はしばしば修道院に放置されたりすることがあったようです。アルビノーニはそうした修道院の仕事がない女子にヴァイオリンなどの楽器を演奏させ、生活の資とさせるために多くの器楽曲を作曲して提供しました。こうしてチャリティーで作った器楽曲は修道院に保存されて、ほとんどが現在まで残っています。バッハはアルビノーニの作品が好きだったようです。

そんな中でも最高傑作とされるのが作品9-2のオーボエ協奏曲で、実にチャーミングな作品です。このYoutubeの演奏(アダージョ)は、いかにも近隣の音楽好きが集まって教会で楽しんでいる感じです。オーボエは若手の名演奏家(Amy Roberts)を呼んでいます。結構オーボエ奏者が勝手に作曲して演奏していますが、まあそんなものなのでしょう。そんなに違和感はないです。

https://www.youtube.com/watch?v=Z9xfJDftEUA

私が聴いているCDはブダペスト・ストリングスの演奏で、この動画よりも洗練された感じです(Capriccio 67 126/29)。

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アルビノーニの楽譜が残っていた数少ないオペラアリアの中の1曲です。

Albinoni - Opera «L'incostanza schernita» Aria 'Quel sembiante e quel bel volto' | Ana Quintans

https://www.youtube.com/watch?v=VJRdT1spgvM

 

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2023年3月25日 (土)

異常気象と曇天の桜 2023

今年の北総の桜開花は1週間以上早いと思います。こんなことは私が住み着いてから20年間はなかったことで、異常気象に不安が募ります。お天気はよくありませんが、明日にも満開になりそうです。やはり青空がバックでないと桜も映えませんが、毎年この季節にはアップしているので。

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Sakura2

Sakura3

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2023年3月23日 (木)

理研 リストラを強行

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(from wikipedia)

大学の同窓会をやると、一番貧乏なのは理系で博士号を取得した者です。まあ出席する場会はいい方で、金銭感覚にずれがあるので出てこない人も多いと思います。

理研(理化学研究所)は10年を超える有期雇用の研究者に無期雇用転換の権利を得させないために、大規模なリストラを行うことを決め、この結果自主退職して逃げ出した研究者も数多くいるそうです。中には外国に就職した人もいて、理研でプロジェクトを組むということは重要で将来性があると認められた研究ですから、そういうプロジェクトを担っていた人たちが海外に流出するということが日本の科学技術の破滅であることは明らかです。

研究所に残ればいろいろといじめられて、結局生首を切れられるという結果が待っています。欧米と違って日本ではやめた後なかなか行き先がみつかりません。小泉政権が大学への文科省の介入を強めてから、大学は役人の天下りを受け入れるようになって(そりゃ監督官庁に媚びを売りたいでしょう)、解雇された研究者と文科省の役人が大学のポストをめぐって競合するというような事態にもなっています。

政府は雇用を非正規化すればお金を使わずに成果を得られると考えるわけですが、ノーベル賞量産の世代はそんな非正規とは縁遠い終身雇用の世界で研究していた人々です。役人は机上のプランで仕事を進めますが、実態を知らないので結果は思い通り行きません。現状の日本では非正規が増えれば増えるほど研究所の雰囲気は悪くなり、成果はしぼんでいきます。もう中国はおろか韓国の後塵を拝することになっています。ロケット技術は北朝鮮にも劣ります。

政府は開発途上国はじめいろんなところに大盤振る舞いしている上に、ワクチンに至っては数億本を廃棄することになりそうです。にもかかわらずたった600人ほどの理研研究者を維持できないというのが日本の実態なのです。科学=文明であるということを国会議員が認識していないということがこの問題の遠因なのですが、さらに言えば人類に降りかかる様々な困った問題を解決する最終手段はサイエンスであるということを、市民が理解することも大切です。

 

参照

Mass layoff looms for Japanese researchers
Thousands could see their jobs axed in the wake of labor law adopted a decade ago
Science 8 JULY 2022 • VOL 377 ISSUE 6602
https://www.science.org/doi/pdf/10.1126/science.add803

東京新聞 ワクチン使いきれずに大量廃棄 国の調達や配分に疑問の声も 参院選で論戦みられず
こちら1

理化学研究所労働組合
こちら2

理研非正規雇用問題解決 ネットワーク
こちら3

東洋経済 理研、雇い止め批判の回避狙うカラクリの実態
こちら4

中日新聞 研究者6000人雇い止めの危機 「無期雇用へ転換」5割未満
こちら5

赤旗 理研雇い止め プロジェクト途中でも
こちら6

赤旗 研究者の使い捨てを許すな
こちら7

管理人追加コメント:私は共産党はサイエンスに関してはプラグマティズム=実用主義だと理解していたので、赤旗が基礎研究者の立場を支持していることには驚きを隠せません。これが単に労組の関係からでないことを願いたいと思います。

 

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2023年3月21日 (火)

都響-大野 ドビュッシー「海」@サントリーホール2023/3/21

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例年より1週間も早い桜の開花で、この異常気象には恐怖感がありますが、ともあれ今日はサントリーホールにでかけました。桜坂の桜は満開にはまだ1~2日というところでした。

今日はいかにもマエストロ大野のお気に入りプログラムという感じです。コンマスはボス矢部、サイドはマキロンです。糸永さんも腕の負傷が癒えたようで元気そうです。最近の都響は27・28日のリゲティのチケットを売るために涙ぐましいほど必死のプロモーションをやっていて、今日の演奏会はそのあおりを食ったせいか空席が結構ありました。

バルトークのピアノ協奏曲第1番は異様な楽器の並びに驚きました。ピアノ奏者の対面にティンパニ、後ろが小太鼓など各種打楽器。つまりステージの最前部にピアノと打楽器がずらりとならぶ感じです。ティンパニの後ろが2Vn。1Vnの後ろにコントラバスです。曲を聴けばその意味がわかりました。これはピアノとティンパニの2重協奏曲のような曲でした。

バルトークの音楽はあまりピンとこない曲が多いのですが、この曲はとてもわかりやすく結構インパクトありました。ソリストのバヴゼさん、ティンアパニの久一さんの丁々発止のプレイはすごいのもがありました。それとヤマハのピアノがこの曲には非常にマッチしています。満場の拍手のあと、アンコールはなんとバヴゼ&大野の連弾とは恐れ入りました。マエストロ超ごきげんの巻です。

終わった後の席替えが大変で、スタッフ総出でも時間をはみ出しそうになるくらいの大作業のようでした。後半のラヴェルとドビュッシーもとても繊細できれいな素晴らしい演奏でした。特にエキストラのオーボエの方の演奏が印象に残りました(後日調べたら神農広樹氏-新日フィルだということがわかりました) 。

今日のプログラムや演奏に文句はないのですが、私的にはやはりマーラーやブラームスを聴いた後のような充足感はなく、ラヴェル、ドビュッシー、プロコフィエフなどのプログラムの時はいつも考えさせられます。

 

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2023年3月20日 (月)

フェンス(WOWOWオリジナルドラマ)

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私は猫を飼っているので旅行はほとんどせず、沖縄に行ったことはありません。まあそういうリッチな身分でもないのですが・・・とはいっても青い海に珊瑚礁、美ら海水族館にはあこがれます。

日本のテレビ局はいろんなドラマをつくりますが、現在の沖縄の空気を感じさせてくれるようなものはとても少ないと思います。WOWOWのオリジナルドラマ(連ドラ)「フェンス」は沖縄を肌で感じさせてくれるような希少な作品だと思います。昨日(日曜日)第1話を放映しました。WOWOWは結構リピートしてくれますしアーカイヴ配信もやっているので、まだまだ大丈夫でしょう。

https://www.wowow.co.jp/drama/original/fence/

WOWOWは会員制ですし、報道やワイドショーはやっていないので、放送局や番組への政治的・経済的な圧力が少なく、キャストの俳優さんたちものびのびと実力を発揮していると思います。松本佳奈という監督さんが指揮しているようですが、レイプ犯罪ものを女性監督がやるとくさくなりがちなので、そこは気をつけてやってほしいと思います。映画やライブをそのまま流すだけでなく、オリジナルドラマを作成するというのは放送局の心意気が感じられて素晴らしいですね。

沖縄は日本が戦後70年以上経過してもまだ米軍の占領下にあるということが露骨にわかる場所でもあり、このような状況をいつまで経っても改善できない政府しか持てなかったことは日本人として情けないと思います。安全保障がどうのこうのというのは独立したあとの話でしょう。オカシオ=コルテスが米国大統領になったときには絶好のチャンスなので、必ず独立できるように今から準備しておくよう政府にお願いしたい。

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この地図はウィキメディアコモンズと同様な扱いだそうですが、著作権は内閣府にあります。

この着色した広大な土地に日本政府の支配が及んでいません。本土にもこのような場所は多くありますが、特に空は広大な範囲が米国の支配下にあります。

Repeat:

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2023年3月18日 (土)

ミーナ 一周忌

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縞三毛ミーナを喪失してから1年になります。

サラと共に冥福を祈ります。

 

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2023年3月16日 (木)

続・生物学茶話205 脳神経の基本構成

ひとつ疑問に思っていることがあります。それは中枢神経系についてですが、果たして最初に脊髄があってその前端が膨らんで脳になったのでしょうか? ウルバイラテリア(始原的左右相称動物)は移動手段を獲得する前か同時期に、口から肛門へと通じる消化管・酸素を取り込むための鰓と付随する筋肉・口器とそれを動かすための筋肉を持ったに違いありません。そのようなツールを得て、はじめて藻類を探して食べるという生活が成立します。

ならば口器や鰓を動かすための統合的な神経システムが体の前部にできなければいけません。後方の神経系(始原脊髄)は主に移動手段を活用するためにやや遅れて整備された可能性があります。その後ランダムに動いていたのでは間に合わず、エサを探してみつけなければいけないような状況に変わる中で、視覚とか嗅覚とかにかかわる臓器が発達し、始原脳の前側に新しい脳(中脳・間脳・後脳)が形成されたと思われます。餌を見つけることと、その方向に動くということは連動してなければいけないので、進化した新しい脳と移動手段を制御する脳は協調して活動する必要があります。

このような考え方に立てば、円口類と魚類、そして私たち哺乳類の末梢神経系のなかで採餌や呼吸にかかわる枢要な末梢神経の脳への出入り口がほぼ同じであっても不思議ではありません。円口類と魚類が分岐したのはエディアカラ紀末とされているので(1、2)、菱脳(橋+延髄)に出入りする末梢神経系のシステムはその頃までに確立し、その後円口類と魚類に引き継がれ、さらに私たちまでマイナーチェンジしながら引き継がれてきたわけです。

システムの基本構成は図205-1のようなものです。基本構成はできてからほぼ2億年の間おそらく安定した形で保持されてきましたが、両生類が肺呼吸を開始し、舌を使った食事をはじめたことで少し複雑になりました。さらに私たちも含めて音声でコミュニケーションをとるようになったのでそれをコントロールする神経が必要になりました。これらがマイナーチェンジの要因です(図205-1)。いずれにしても、V、VⅡ、IX、Xの脳神経は始原的であり、保存的であるといえるでしょう。

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図205-1 脊椎動物が採餌と呼吸に使う枢要な脳神経

菱脳から伸びる神経に直結する始原的な組織は鰓弓と呼ばれるもので、脊索動物に特徴的な呼吸・採餌のシステムと深い関係があります。クラゲは体全体を動かして水管の海水を動かすことによって呼吸します。しかしもともとはそのような活発な全身運動をしないで、ポリプ的な海底での生活を選んだ私たち脊索動物系グループの祖先は、消化管に穴を開けて出口に筋肉を配置し、ポンプ的な動きで水流を作り出すという方式を開発しました。穴から水を強制排出すると消化管は陰圧になり、口から水を取り込むことができます。同時にエサを取り込むこともできて、呼吸と採餌が容易になります。

ヒトの解剖学では、ヒトは鰓を持たないため鰓弓は咽頭弓と呼ばれるのが普通です。鰓弓はもともとは6つあったのですが5番目が退化しているので、1~4と6の5つになります(3、4、図205-2 脊椎動物胎児の菱脳)。

菱脳(rhombencephalon)はHox遺伝子の発現などによって r1-r8 に領域がわけられていますが、各末梢神経(脳神経)はコントロールする組織ごとに同じ領域に入出力が行われます。図205-2では左が入力、右が出力としていますが、これは便宜的な表記で実際には複雑です。菱脳最前部の r1 は特別な領域で、ここにはHox遺伝子が発現していません。この領域が始原脳(橋+延髄)と進化脳(中脳・間脳・終脳)の境界となります。円口類より前から存在するナメクジウオ(頭索動物)の中枢神経系においてもある部分より前ではHoxの発現が見られないので(5、6)、視覚や嗅覚の情報を処理するためのHoxフリーな新しいタイプの脳(進化脳)のプロトタイプは、頭索動物が出現した時点ですでにできていると推察されます。

図205-2の脊椎動物における末梢神経系の標準的な出入りの状況が、ヤツメウナギの末梢神経系の出入り(7)と比較しても非常に類似しているのには驚きます。この始原脳の構造がエディアカラ紀から保存されてきたことがよくわかります。舌下神経はここでは省略されています。

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図205-2 脊椎動物の菱脳(橋+延髄)に接続する神経

哺乳類の脳神経は12対あり、I~IVは中脳より前の進化脳に接続し、V~XとXⅡは始原脳(菱脳あるいは橋・延髄)に接続しています。副神経XIは脊髄に接続している部分も多いことから脳神経と言えるかどうか微妙です(8、図205-3)。

図205-3に示したように、中脳より前に出入り口を持つ脳神経はすべて視覚または嗅覚に関連したものです。しかし始原脳から出入りする神経にも視覚に関係する外転神経があり、これは眼球の向きを制御しています。これは始原的生物が触覚の次に視覚を獲得したことを示唆しています。三叉神経はメジャーな太い脳神経ですが、これは主に触覚を担当する神経で、進化上最も古いグループの脳神経だと考えられます。この他平衡感覚を担当する内耳神経や呼吸器・消化器を担当する迷走神経なども始原的な脳神経でしょう。

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図205-3 哺乳類の脳神経

ヒトの脳でもこのような脳神経の基本配置は保存されており、図205-4のようになっています(9)。この図では嗅神経は書いてありませんが、図には描かれていない前部に接続点があります。ただヒトの場合嗅覚が退化しているので、嗅神経も退化して細くなっています。滑車神経以外はすべての脳神経は腹側で脳に接続しています。

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図205-4 ヒトの脳と脳神経

図205-5(10)は軟骨魚類であるイエロースティングレイ(エイの仲間)の脳ですが、このようにヒトとは似ても似つかない生物においても、脳神経の接続点はほぼ一致しています。終脳は嗅覚中心の情報処理を担っていると思われますが、ヒトと同様非常に巨大になっています。脳神経の中でも嗅神経が最大の太さになっています。一般にサメやエイの仲間は嗅覚が発達しています。延髄と同じくらいの太さの嗅神経を持つものもいるようです(11)。このサメの終脳(大脳)も巨大です。

もうひとつ驚いたのはイエロースティグレイの小脳の巨大さです。しかも明らかに分節していて3つのパーツ(ARc:anterior rostal cerebellum, ACc:anterior caudal cerebellum, Pc:posterior cerebellum)に分かれています(図205-5)。そして奇妙なことに ACc は左右相称ではありません。これは哺乳類の小脳より発達している可能性があり、興味深い研究対象かもしれません(10)。

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図205-5 イエロースティングレイ(エイの一種)の脳と脳神経系

Cranial Nerves: I-Olfactory, II-Optic, III-Oculomotor, IV-Trochlear, V-Trigeminal, VI-Abducens, VII-Facial, VIII-Auditory, IX-Glossopharyngeal, X-Vagus. Major Topography: ACc-Anterior caudal cerebellum, ARc-Anterior rostral cerebellum, CE-Cerebrum, H-Hypophysis, I-Inferior lobes of infundibulum, MO-Medulla oblongata, OL-Olfactory lobe, OpL-Optic Lobe, Pc-Posterior cerebellum.


参照

1)続・生物学茶話195:円口類の源流 図1
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/11/post-1f4cf6.html

2)Tetsuto Miyashita, Michael I. Coates, Robert Farrar, Peter Larson, Phillip L. Manning, Roy A. Wogelius, Nicholas P. Edwards, Jennifer Anne, Uwe Bergmann, Richard Palmer, and Philip J. Currie, Hagfish from the Cretaceous Tethys Sea and areconciliation of the morphological?molecularconflict in early vertebrate phylogeny., Proc Natl Acad Sci USA vol.116, no.6, pp.2146-2151 (2019).
https://www.pnas.org/doi/suppl/10.1073/pnas.1814794116

3)ウィキペディア:咽頭弓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%BD%E9%A0%AD%E5%BC%93

4)Shun Li and Fan Wang, Vertebrate Evolution Conserves Hindbrain Circuits despite Diverse Feeding and Breathing Modes., eNeuro vol.8(2), pp.1-15 (2021)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33707205/

5)ピーター・ホランド 形の進化とゲノムの変化―ナメクジウオが教えてくれること
季刊「生命誌」23号
https://www.brh.co.jp/publication/journal/023/iv_1

6)続・生物学茶話202:脳の起源をめぐって
http://morph.way-nifty.com/grey/2023/02/post-c61096.html

7)続・生物学茶話204 脳の部域化
http://morph.way-nifty.com/grey/2023/03/post-abc72d.html

8)脳科学辞典:脳神経
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%84%B3%E7%A5%9E%E7%B5%8C

9)Nurselabs: Nervous system anatomy and physiology
https://nurseslabs.com/nervous-system/

10)Spieler, Richard & Fahy, Daniel & Sherman, Robin & Sulikowski, James & Quinn, T., The Yellow Stingray, Urobatis jamaicensis (Chondrichthyes: Urotrygonidae): a synoptic review. Caribbean Journal of Science. vol.47, pp.67-97 (2013)
https://www.researchgate.net/publication/290976197_The_Yellow_Stingray_Urobatis_jamaicensis_Chondrichthyes_Urotrygonidae_a_synoptic_review

11)Go! Joppari, サメの脳
https://jopparika.exblog.jp/10910039/

 

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2023年3月13日 (月)

玄侑宗久著 般若心経

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この本の著者 玄侑宗久(げんゆうそうきゅう)氏は臨済宗妙心寺派の指導的地位にある高僧であると同時に、新潟薬科大学の客員教授であり、小説家でもあるという変わり種です。

そういうスタンスの人なので、たとえば同じ花でも人が見る場合と鳥が見る場合とでは全く異なるので、絶対的認識というものは存在しないという科学的な説明をします(般若心経では色即是空・空即是色)」。そして量子論の粒子と波動の二重性をしばしば引用し、人間の認識の無意味を指摘して般若心経の正しさを強調しています。

また事物は刻々と変化しているのである時点における認識には意味がないとし、私たちが宇宙の一部であり、一体であることを実感することによって解脱できるというのが臨済宗の考え方のようです。不思議なのは著者が科学的認識の意義を否定しているにもかかわらず、教義の正しさを証明するために科学の成果を引用したり、自ら理系大学の教師をしていることです。

般若心経の最大の問題点は不生不滅と書いてある点で、天文学者のコンセンサスとして138億年前に宇宙はビッグバンによって誕生したことになっているので、これは決定的な矛盾点です。著者はこの点には言及していません。ローマ教皇はビッグバンを認めているそうです。

とはいえ釈迦は紀元前の哲学者としては、古代ギリシャの哲学者たちを凌駕するような偉大な人物だったと思います。不増不減というのは質量保存の法則を示唆しているように思いますし、認識の相対性というのは視覚についていえば、前述のように鳥、昆虫、人間、マウスみんな目の構造は違っていて色彩を認識できるスペクトラムも違うので、当然正しいわけです。聴覚や嗅覚も同じく相対的なものです。釈迦はソクラテスと同じく著書を残さなかったのが残念です。

 

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2023年3月11日 (土)

3.11

また3.11がやってきました。2011年3月11日にはもちろんこのブログは存在していました。当時の記事を読み返すと恐怖が蘇ってきます。あらためて災害で亡くなった方々のご冥福をお祈りします。

当時私はイオンモール3Fの本屋さんにいて、買った本を持って一万円札をレジ係に渡したところでした。そこでものすごい揺れが来たので、レジ係が必死で「どうしますか」と言うので、お札を引き取って本をカウンターに置き、その場にしゃがみ込みました。

その後私は不可解な行動をとります。どうしてそのような行動をとったのか全く説明できません。ショックを受けると理性的な行動ができないということだけはわかりました。私は猛烈な揺れの中を這いつくばりながら、なんと非常に危険な3Fブリッジを渡って隣の映画館のビルに移動したのです。映画館はなんと水浸しで(消火用の貯水プールが破損して天井から水が流れたようです)、滝のようになっている止まったエスカレーターを歩いて降りていきました。なんとか外に出ると、ヘヤーカット途中で逃げ出した人が何人か居たのを覚えています。

家に帰るとメチャクチャで、特に食器棚が悲惨な状態でした。翌日イオンに行くと棚は空っぽで、これからどうやって生活していこうかと呆然としました。ペットショップに行くと閉まっていていつ再開するのかわかりません。ガスと電話は止まりました。ガソリンスタンドを見に行くと、車で周辺まであふれていてとても入れられる状況ではありませんでした。しかもなんと原発がメルトダウンし始めているというではありませんか。

私は車のガソリンが静岡くらいまではありそうだったので、とりあえず猫たちを車に積んで神戸に疎開することにしました。幸い静岡でガソリンを継ぎ足すことができたので、無事疎開させ、私だけ仕事を済ませるために、新幹線でとんぼ返りしました。当時の写真を再掲します。そのうち本当に原発がメルトダウンしたので、私も疎開しました。

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3.11の翌日 イオンの食料品売り場 棚には何もない

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車で移動中のサラとミーナ

後日原発に関する本を数冊みっちり読んで、私は菅直人はやるべきことはほとんどやったという確信を得ました。東電は御用学者を使ってマスコミ操作をしたり、海江田大臣をとりこむなど、あらゆる手段を使って原発の全廃を阻止しようとしました。このブログにも東電の関係者とおぼしき人からコメントがついたりとかもありました。彼らは現場と直結する通信手段(テレビ電話)を持ちながら、政権にはブラインドにしていたのは許しがたいことです。このことは菅直人が直接本社に乗り込むまで露見しませんでした。私は現在でも東電という会社が言うことは信用していません。

 

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2023年3月10日 (金)

和田-都響 「皇帝」と「運命」@池袋芸劇2023/03/09

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和田一樹というマエストロの名前はごく最近まで知らなくて、都響-ラジオ体操第一のMVが初めての出会いでした(1)。今夜は都響の演奏が格安で聴ける特別な演奏会で、これを聴かない手はありません。コンマスは山本さん、サイドはゆづき。偉そうなエキストラの方がフルートの席に(誰だか知らない)。あの有名なリュックのおじいさんが開演直前になんと2列目に着席(いつもは1列目)。

ソリストの小山さんはさすがに貫禄の「皇帝」。私は田部ちゃんの「皇帝」が好きなのですが(特に弱音部)、何も申し上げることはございません。生まれて初めてプロ演奏家の「エリーゼのために」(アンコール)を聴いてさらに感動しました。

マエストロ和田の指揮は強靱な弾力で貫かれていて、「運命」はすばらしくグルーヴする演奏でした。都響がここまで乗りに乗って演奏するのを久しぶりで聴いた気がします。山本-和田の相性は抜群です。

都響のホームでもほとんどプロモーションしてないし、フライヤーも和田さんのサイトで初めて見たくらいでした(これ自作で、実はフライヤー自体がなかったのかもしれません)。いつもはスタッフが公式録画しているのですがそれもなし。でも広い芸劇はお客さんで一杯(WBCなんてどうでもいい)。すばらしい演奏会でストレス解消の一夜でした。いやー、またマエストロ和田-山本しげさんの組み合わせで演奏を聴きたい。シューベルトのグレート交響曲を希望します。

余談ですが、蔭井さん(1Vn)の眼の良さには驚きます。3.0くらいあるのではないでしょうか、それとも遠視? 普通の人の倍くらいの距離にスコアを置きます。隣の奏者とも位置がはっきりずれています。これでは最後列でしか弾けないのでは。

1)https://www.youtube.com/watch?v=az_109-rMAo

 

 

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2023年3月 7日 (火)

モーニングムーン(浜本沙良)

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ウォークマンで浜本沙良の「モーニングムーン」を聴きながら、毎朝駅までの道を歩いていたことがありました。この曲を作った有賀啓雄(ありがのぶお)氏が2月27日に亡くなったそうです。ご冥福をお祈りします。

「モーニングムーン」はパフというアルバムに収録されています(名曲満載)。

Sara Hamamoto (浜本沙良) - Puff (1994)
https://www.youtube.com/watch?v=Lw8jIUVbLOI

このCD、今でも販売されているのだろうかとアマゾンを見たら、あるにはありましたが9000円台の価格でした🎵

Puff

ちなみに、うちのサラは浜本沙良さんのお名前を拝借させていただいたものです。

 

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2023年3月 5日 (日)

グラスバーグ-都響 ペトルーシュカ@池袋芸劇2023/3/6

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意外に寒い日。キルティングしまってなくて正解でした。今日は池袋芸劇で都響C定期です。コンマスの山本さんは赤に金ラメのネクタイで気合いが入っていると解釈しました。サイドはマキロン。指揮者はベン・グラスバーグで弱冠29才の若手。一昨年のプログラム紹介パンフレットで、唯一音楽監督からの紹介記事がなかった指揮者で、情報もなかったのでしょう。今日は難曲が多くて心なしかオケメンも緊張気味な感じがしました。

グラスバーグの指揮は立派なもので、すべての曲できちんと楽しませてくれました。ただステージの上で行き来するごとに小走りになるのはせっかちな小者の感じがして改めた方がいいと思いますね。私は特に初めて聴くリャードフの曲が気に入りました。多分メロディを書く能力が低いのだと思いますが、それでもこういう作風なら作曲家としていい線いけるんだということなのでしょう。吸い込まれる曲です。リャードフの他の曲も聴いてみたくなりました。

ペトルーシュカはもちろんピアノの長尾さんも含めて都響の天才奏者たちが大活躍で、すばらしい演奏でした(オーボエトップはエキストラの方でしたが)。ただロトの時のような手に汗握るほどの興奮は感じませんでしたね。ソリスト(チェロ)のドルプレールはやわらかくて暖かいチェロなんですが、少し音量が足りないかな? 8日に朝日ホールでリサイタルをやるそうなので、いける人はそちらの方がベストかもしれません。

帰りに日暮里の駅でパンを買ったのですが、1個300円くらいでびっくりしました。

 

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2023年3月 4日 (土)

続・生物学茶話204 脳の部域化

ウィルヘルム・ヒス(1831~1904 図204-1)は19世紀に活躍した偉大な神経発生学者ですが、リンパシステムが閉鎖系であることを示したり、科学的な復顔術をはじめたりしたことでも有名です。彼は1865年に中胚葉由来の内皮細胞を発見し endothelia と命名して表皮 (epithelia) と区別しました。彼はまた同じ頃末梢神経が外胚葉からできることや、神経堤という組織が存在することを発見しました。これは彼が神経発生学の父とよばれても不思議でない偉大な業績です。

ヒスはそれまでの組織切片を作る技術に限界を感じ、組織をアルコールで脱水し、ラベンダーオイルで透徹して、パラフィンワックスに埋めるという新しい技術を開発し、さらにそうして作成したブロックを薄切するミクロトームを1870年までに設計しました(1、2、図204-1)。このような技術は基本的に現代でも継承されており、組織学の基本であり続けています。つまりヒスは組織学の父でもあるわけです。

ヒスは地表が力を受けて褶曲し山ができることのアナロジーで、胚において細胞分裂の頻度が場所によって異なることによって力が発生し、表層が褶曲するというメカニカルセオリーを考え、ハーゲンバッハ(物理学者)の助力も得て、円形の胚が楕円形になるという計算も行いました(2)。彼は種による形の違いは位置による増殖速度の違いによると考えていたので、ダーウィニズムには関心が無かったようです。脳の部域化というのは、まさしく彼の理論が実現された結果のようにもみえます。

彼は1875年に「Our Bodily Form」という本を出版しましたが、これは発生現象を物理学(力学)や化学の論理で解釈しようという観点で書かれているそうです(私は未読)。この本のフルタイトルは「Our Bodily Form and the Physiological Problem of its Origin: Letters to a Natural Scientist Friend」というもので a Natural Scientist Friend というのは、あのDNAの発見者であるフリードリッヒ・ミーシャーで、彼はヒスの甥です。ただダーウィンの信奉者には不評で、エルンスト・ヘッケルはせっかく進呈された本を返送したそうで、二人は険悪な関係になったそうです(2)。ラヴィッツは「none of the other outstanding anatomists of the nineteenth century was treated with such hostility – almost hatred – as Wilhelm His」という記述を残しているそうです(2)。今から考えてみるとヒスの理論とダーウィニズムには何ら矛盾はないので、この争いにはいまいちピンときませんが、当時は結構シビアだったのでしょう。ともあれ、脳・神経系の細かい構造の比較ができるようになったのはヒスの功績が大です。

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図204-1 ウィルヘルム・ヒス

図204-2は以前にも示したことがありますが(3)、これで明らかなのはヤツメウナギやヌタウナギ(円口類)は私たちと同じく終脳・間脳・中脳・延髄(橋)という脳のセクションを持っていますが、小脳はありません。このような脳の部域化は脊椎動物出現以前の生物の特徴を反映していると思われるナメクジウオでは、形態的には明瞭ではありませんが、機能的にはある程度の分業が行われているようです(4)。ナメクジウオは形を認識する眼は持ちませんが、多くの光受容細胞を持っていて、そこから得た情報を総合処理する上で、萌芽的ではあってもある程度脳の部域化が必要だったと思われます(5)。

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図204-2 円口類と魚類の脳の比較

ここまで述べてきたことから考えると、脳の部域化は脊椎動物出現以前すなわちエディアカラ紀から始まっていたと思われますが、脊椎動物の中でも最も発達した脳を持つヒトにおいても、脳に接続する末梢神経はほとんどが橋・延髄につながるものであり、終脳・間脳・中脳につながっているのは視覚と嗅覚に関連するもののみです(6、7、図204-3)。

脊椎動物の基底生物群に近いと考えられているヤツメウナギでも同様で、嗅覚・視覚に関連した神経束が終脳・中脳からそれぞれ出ているほかは、主要な末梢神経はほとんど延髄(橋)から出ています(8、図204-4)。このことは脊索動物は触覚に頼って生きていた頃は、現在の延髄(橋)に相当する脊髄最前部の部域を使って感覚と運動の統合を行っており、その後視覚や嗅覚が発達するにつれて前方の脳部域(終脳・間脳・中脳)が発達したと考えられます。

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図204-3 脳に接続する主要な12の末梢神経(爬虫類・鳥類・哺乳類の場合)

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図204-4 ヤツメウナギの脳と接続する末梢神経

脳の部域のうちで最も後発なのが小脳で、これは円口類にはみられず、魚類に初めて登場します。小脳は条鰭類・肉鰭類・軟骨魚類すべてにみられるので、顎が形成されると同時にできたと思われます(9、図204-5)。

図204-5を見てまず驚くのはウバザメの小脳が巨大であることです。ウバザメはプランクトン食でゆっくり移動しているだけの巨大サメで平和的な動物なのですが、こんな立派な小脳を持っているとは・・・。軟骨魚類は哺乳類などよりずっと昔から生きていて、現在でも繁栄しているわけですから、もちろん昔のまま=生きた化石ではなくそれなりに進化してきたわけです。ウバザメもシャチなどに襲われることもあるので、それに対抗するために小脳を進化させたのかもしれません。

サメの脳みそでググると森喜朗がゾロゾロ出てきますが、サメの脳を馬鹿にしてはいけません。その嗅覚関係の立派さはヒトと比較すべくもありません(10)。またサメの脳はロレンチーニ器官によって感知した電気信号の処理も行っています(11)。

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図204-5 様々な魚類の脳を比較する

ナメクジウオの脳の部域化はある程度脊椎動物との比較はできるものの、まだまだ萌芽的なので、専門家でもそのつながりを研究するのは苦労しているようです(12)。ナメクジウオはカンブリア紀の弱肉強食の世界をうまくエスケープして生き残った生物の末裔なので、まだ脳の部域化が萌芽的であったエディアカラ紀の面影を残しているのでしょう。脳の部域化はカンブリア紀にイメージを形成できる眼を持つ生物が生まれたことと密接に関係しているはずです。このような眼で獲得した情報を処理するために、生物は菱脳の前方に大量の神経細胞を用意することになりました。画像情報を処理するために、いかに大量のメモリーが必要かは、デジカメやPCを扱う人なら誰でもわかります。

軟骨魚類や条鰭類とくらべて、私たちのご先祖様に近い肉鰭類は概して小脳はあまり発達させませんでした(図204-5)。これは彼らが辺境の生物(淡水・深海・夏には干上がる沼地など)であるため、動作の機敏さより環境への適応が重要な課題であったことを思わせます。彼らから生まれた両生類も小脳はあまり発達していません。

参照

1)His, W., Beschreibung eines Mikrotoms. Archiv fur Mikroskopische Anatomie vol.6, pp.229-232. (1870)

2)Michael K. Richardson and Gerhard Keuck, The revolutionary developmental biology of Wilhelm His, Sr., Biol. Rev., vol.97, pp.1131-1160. (2022)
doi: 10.1111/brv.12834
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9304566/pdf/BRV-97-1131.pdf

3)続・生物学茶話194: 円口類
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/11/post-99b318.html

4)続・生物学茶話187: ナメクジウオ脳の部域化
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/08/post-277eea.html

5)続・生物学茶話186: ナメクジウオの4種の眼
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/08/post-e84af9.html

6)Wikipedia: List of nerves of the human body
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_nerves_of_the_human_body

7)ウィキペディア:脳神経
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%B3%E7%A5%9E%E7%B5%8C

8)Manuel A. Pombal and Manuel Megias
Development and functional organization of the cranial nerves in Lamperys.,
THE Anatomical Record vol.302: pp.512–539 (2019)
https://doi.org/10.1002/ar.23821

9)K.Kotrschal, M.J.Vanstaaden and R.Huber, Fish brains: evolution and environmental relationships., Reviews in Fish Biology and Fisheries vol.8, pp.373-408 (1998)
https://link.springer.com/article/10.1023/A:1008839605380

10)Go! Joppari サメの脳
https://jopparika.exblog.jp/10910039/

11)ウィキペディア:ロレンチーニ器官
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%8B%E5%99%A8%E5%AE%98

12)José Luis Ferran and Luis Puelles, Lessons from Amphioxus Bauplan about Origin of Cranial Nerves of Vertebrates that Innervates Extrinsic Eye Muscles., The Anatomical Record vol.302, pp.452-462 (2019) https://doi.org/10.1002/ar.23824
https://anatomypubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ar.23824

 

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2023年3月 3日 (金)

ミーナ:思い出のナイスショット3

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ミーナが言いたいことは90%くらいは理解できていたと思います。サラが言いたいことはいまだに70%くらいしかわからないのが残念。

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ミーナ:思い出のナイスショット2

しばらくミーナの思い出に浸ることにしようかな・・・

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2023年3月 2日 (木)

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ミーナが死んだのは昨年の3月19日。それからずっと私も、サラも、そしてこのブログも、ペットロス状態が続いています。サラは単独生活者としての猫族を代表するようなキャラですが、ミーナは異常にフレンドリーなタイプで、多分ミュータントだと思います。私が一番好きなショットを貼ります。あの世からもこのブログを応援してほしい。

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2023年2月28日 (火)

村上安則著 「脳進化絵巻」

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村上安則著 「脳進化絵巻」 共立出版 2021年刊

「脳進化絵巻」とはなんともレトロなタイトルです。しかも倉谷滋という知的モンスターが背後霊のようにくっついています。しかし私の最近の知的関心から言うと、読む以外に選択肢はありません。

著者の村上安則氏は理研の倉谷研究室出身で愛媛大学の教授になった方です。至って真面目に脳の進化について書いてある本ですが、ところどころ「ソウルライクな死にゲー」とか「厨二病的要素」とか「ザクとは違うのだよ、ザクとわあ」とか意味不明な言葉が出てきて本の品位を下げていますが、まあ生物学者とは世の中とピントがずれててダサいという精神構造が似合う人種なので、はまり感はあります。

私は気になると調べずにはいられない性格なので・・・

「ソウルライクな死にゲー」:ダークソウルというアクションゲームのことらしい。死にゲーというのは死を目的にするのではなく、途中で死にやすいゲームのことらしいです。

「厨二病的要素」:中学2年生頃の思春期特有の自意識過剰な状況を揶揄する言葉だそうです。当て字をつかうのは品がないと思います(と思われます)。

「ザクとは違うのだよ、ザクとわあ」:なんていわれても・・・。この本の読者がどれだけガンダムを知っているのかどうか大いに疑問です。

進化の本なのに、進化のタイムスケール、たとえばカンブリア紀が何年から何年までというような年代記の図表がなかなか現れてこない(109ページの肺魚のところでようやくデボン紀~三畳紀のスケールが登場する)のは、進化と銘打ってはいますが、実は著者はタイムスケールにあまり関心がないことを露骨にあわらしているような気がします。これはこの本の欠点です。

著者は 悪い記憶がよみがえる → 死にたくなる or 奇声をあげる という性癖の持ち主のようですが、「飼っているヤツメウナギがそのような言動をとるのは見たことがない」と述べています。ところでヤツメウナギは右に行くとエサがあり、左に行くと電気ショックという迷路で記憶力を試した実験はあるのでしょうか? 意外にそんな実験をやらせた研究者に恨みをいだくかもしれませんが。

竜弓類の脳について記載があるのは珍しいと思います。想像の部分が多いでしょうがじっくりと読ませていただくつもりです。菱脳から話が始まっているのも、生物学らしくて大変好感が持てます。ともあれ私の座右の書のひとつになるのは間違いありません。

 

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2023年2月25日 (土)

四方恭子氏の名演奏

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🎵

都響のソロ・コンサートマスター四方恭子さんが今年定年退職なさるそうで、誠に残念です。演奏だけでなくその飾らないざっくばらんなお人柄がアットホームな雰囲気を醸成し、都響をユニークな楽団に成長させる原動力になったと思います。都響での演奏はこれからもウェブサイトにアップされると思いますので、彼女がケルン放送交響楽団を率いていた時代の演奏をリンクしておきたいと思います。

30年以上前のケルン放送交響楽団(現 ケルンWDR交響楽団 ) や周辺では、東洋人がコンミスをやるについては愉快ではない思いを抱いていた人も居たと思いますが、彼女はおそらくそのフランクなキャラと実力で乗り切ってこられたことと思います。

ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調
https://www.youtube.com/watch?v=g3_Mvh0Fpcg&t=1304s

ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調
https://www.youtube.com/watch?v=mpvpu-sN4gY

ブラームス:交響曲第4番 ホ短調
https://www.youtube.com/watch?v=Uqv04x2_4d0

ショスタコーヴィチ:交響曲第6番 ロ短調
https://www.youtube.com/watch?v=HqSlmROCTCE

グスタフ・マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調
https://www.youtube.com/watch?v=JGAnvTlyGIQ

 

 

 

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天空の大縦列

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2月23日の日没直後、月・木星・金星の大縦列が見られました。長く寒々しい冬がようやく終わり、来週からは春が足早にやってくるようです。

 

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2023年2月23日 (木)

続・生物学茶話203 刺胞動物のヒストリー

私は刺胞動物つまりサンゴ、イソギンチャク、ヒドラ、クラゲなどにはさしたる関心がなかったのですが、後に述べる理由で少しかかわってみようかなと思い立って調べてみることにしました。刺胞動物門は私たちが学生時代には腔腸動物門と呼ばれていました。この中には現在有櫛(ゆうしつ)動物門の生物とされている動物も含まれていました。

ところが2016年にプレスネルらがクシクラゲは肛門をもっているという報告をして腔腸動物=刺胞動物であるという概念が崩壊し、クシクラゲの仲間は有櫛動物門として独立することになりました(1、2)。この他分子系統学の進歩もあって、刺胞動物に関連する系統樹は系統分類学の黒歴史と言ってもいいくらいに近年大幅に書き換えられ、図203-1のような形になりました(3、4)。

なぜか刺胞動物を分類した各綱には~虫という名前がつけられており、たとえば箱虫でググると段ボールでみつかる昆虫の記載が続々とヒットするという非常に迷惑な命名で困ります。現在の系統樹では最初に花虫類とそれ以外の各綱生物群が分岐したことになっています。花虫類とはイソギンチャクやサンゴのような生物で、基本的にポリプ型(付着型)の形態をとります。

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図203-1 刺胞動物の系統樹 

花虫類以外の刺胞動物はさまざまな生活環を持っていますが、よく教科書にも書かれている典型的な生活環を持つのが鉢虫類のミズクラゲです(5)。有性生殖によってできた子供はプラヌラとよばれる体長0.2mmくらいのプランクトンで(図203-2、番号1~3)、この状態で数日間遊泳した後何かに付着してポリプ型となり、イソギンチャクのような触手を形成します(図203-2、番号4~8)。ポリプは分裂したり、出芽したりして無性生殖を行います。さらに成長したポリプは分節してストロビラを形成します(図203-2、番号9~10)。ストロビラの各節は分離しエフィラとなって海中に放流されます(図203-2、番号11~12)。エフィラは直径3mmくらいですが、やがて直径30cmにもなる成体に成長します(図203-2、番号13~14)。

このような傘型のクラゲは中枢神経系を持っていないとされていますが、傘の開閉をはじめとして統合的な運動はできる能力があり、眼点や平衡器から情報を得て適切な行動をとることができます。現存のクラゲの神経系は、ピザを切り分けたときのような傘のパーツごとのモジュラー構造になっていて、それらが統合されて動いているそうです(6)。クラゲには脳がないなどと言っていますが、彼らも6億年の歴史を持っているわけで、傘全体の神経網が実は脳に近いものに進化しているのかもしれません。

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図203-2 ミズクラゲの生活環

刺胞動物の論文を調べていてちょっと驚いたことがあります。私はまぬけなことに刺胞動物は放射相称の動物だと思っていたのですが、なんと刺胞動物のポリプはHox遺伝子を発現していて、前後軸が存在することを知りました(7、8、図203-3)。このことはウルバイラテリアが必ずしも海底を這う生物ではなく、固着性の生物だったかもしれないことを示唆しています。とは言うものの、刺胞動物のポリプは固着性だとしても少しは動ける場合が多いようです。たとえばイソギンチャクは気に入った場所がみつかるまで結構動きます。ベントスの方向に進化した者がバイラテリア(左右相称動物)に、プランクトンの方向に進化した者が放射相称系のナイダリア(刺胞動物)になったのかもしれません。

もうひとつ重要なことは、肛門のあるなしだけでなく、Hox遺伝子のあるなしという差があることから、同じクラゲという名が付いていても刺胞動物と有櫛動物はヒトとハエ以上に系統上の差がある生物だということです。

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図203-3 刺胞動物はHoxを発現している

私が刺胞動物に興味を抱いたのは、イングランドのチャーンウッドの森からエディアカラ紀のものとして格別の化石が発見されたからです(9、図203-4)。これは明らかに刺胞動物のポリプだとわかります。テンタクル(触手)もはっきりわかります。チャーンウッドの森は5億6千2百万年前から5億5千7百万年前の時代の化石が発掘される場所です。エヴァンスらが南アフリカで発見した海底を這っている左右相称動物(Ikaria wariootia)の化石(10、11)もほぼ同時代のものなので、すでにこの時代にHox遺伝子を発現していたであろう多様な左右相称動物が世界に拡散していたことが示唆されました。

エディアカラ時代の生物は骨格や殻を持っていないので、そのものが化石となることはなく、土砂崩れなどで埋まった生物のスタンプが残るだけです。ですから柔らかいテンタクルの化石がみつかるというのは奇跡的です。

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図203-4 エディアカラ紀の刺胞動物 触手を含む美しい化石

原著およびウィキペディアではこの生物を再現した美しい絵を見ることができます(9、12、図203-5)。茎部が二股に分かれているので、この生物は有性生殖と無性生殖の両方が可能だったことが示唆されます。触手(テンタクル)が認められることは重要です。触手はバラバラに動いては消化管にエサを送り込む水流を起こせないので、これらを統合する神経系が存在したはずです。

系統図にはこの生物 Auroralumina が花虫綱とは別のジャンルでむしろクラゲ亜門に属しているとしてありますが、これは正しいのでしょうか? もし正しいのならウルバイラテリアが生きていたのはさらに深いエディアカラ時代初期に遠ざかることになります。なぜなら刺胞動物の基底は花虫綱と考えられるからです。

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図203-5 エディアカラ紀刺胞動物の化石復元図

刺胞動物はエディアカラ時代からずっと生き延びて、現代でも地球の隅々で大繁栄しています。生態学では触手が数十メートルもあるクラゲもプランクトンとしています。自由に泳ぐと言うよりも、海流に流されることによって移動するとみなすのでしょう。彼らはもともとは左右相称動物だったようですが、プランクトンとして生きるには放射相称の方が有利だったのでしょう。多くの刺胞動物がプランクトンとして生きる道を選択し、事実上左右相称性を捨てました。

参照

1)Jason S. Presnell, Lauren E. Vandepas, Kaitlyn J. Warren, Billie J. Swalla, Chris T. Amemiya, William E. Browne.,The Presence of a Functionally Tripartite Through-Gut in Ctenophora Has Implications for Metazoan Character Trait Evolution
Curr. Biol., Volume 26, Issue 20, p2814?2820, 24 October 2016
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0960982216309319

2)やぶにらみ生物論97: 体軸形成
http://morph.way-nifty.com/grey/2017/12/post-7bba.html

3)並河洋 刺胞動物のクラゲとは何か? 生物の化学 遺伝 vol.74, no.4, pp.386-393

4)ウィキペディア:刺胞動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%BA%E8%83%9E%E5%8B%95%E7%89%A9

5)ウィキペディア:ミズクラゲ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%BA%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B2

6)WIRED: 遺伝子操作したクラゲから、動物の「脳」の進化の謎が見えてくる
https://wired.jp/2021/12/23/gene-tweaked-jellyfish-neurology/

7)Ferrier, D.E., The origin of the Hox/ ParaHox genes, the Ghost Locus hypothesisand the complexity of the first animal. Brief.Funct. Genomics vol.15, pp.333–341. 2016
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26637506/

8)Ulrich Technau and Grigory Genikho, Evolution: Directives from Sea Anemone Hox GenesCurrent Biology 28, R1296–R1312, November 19, 2018
https://doi.org/10.1016/j.cub.2018.0

9)F. S. Dunn, C. G. Kenchington, L. A. Parry, J. W. Clark, R. S. Kendall and P. R. Wilb, A crown-group cnidarian from the Ediacaran of Charnwood Forest, UK, NATURE Ecology & Evolution, Vol 6, pp.1095–1104 (2022)
https://doi.org/10.1038/s41559-022-01807-x

10)Scott D. Evans, Ian V. Hughesb, James G. Gehling, and Mary L. Droser., Discovery of the oldest bilaterian from the Ediacaran of South Australia., Proc.N.A.S., vol.117, no.14, pp.7845–7850 (2020) doi/10.1073/pnas.2001045117
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32205432/

11)続・生物学茶話198:エディアカラ紀のトピック
http://morph.way-nifty.com/grey/2023/01/post-07bd12.html

12)Wikipedia: Auroralumina
https://en.wikipedia.org/wiki/Auroralumina

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2023年2月21日 (火)

食糧問題に元農水省官僚が言及

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グリホサート(ラウンドアップ)

 

以下は 元農水省の官僚(現東京大学教授)が言っていることなので正しい情報なのでしょう。

https://twitter.com/i/status/1627261927188738054

https://twitter.com/kinoshitayakuhi/status/1626940822095794176

https://twitter.com/hashtag/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%9C%89%E4%BA%8B?src=hashtag_click

 

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ウクライナの言語

数年前の阪神タイガースは多くの米国人選手をかかえていましたが、多くの選手は英語がしゃべれず、ヒーローインタビューにもスペイン語の通訳がついていました。英語がしゃべれないと社会の上層部にはいけないので、いろいろ不自由もあったでしょう。いずれこれは重大な社会問題になるに違いありません。中国もウィグル問題をかかえています。ウクライナ戦争の根底にも言語問題があります。

図1と図2はウクライナでロシア語を話す人々の割合を示した図です。

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ウクライナ東南部地域にロシア語話者が多いことがわかります。図2は細かく分析していますが、都市部にロシア語話者が多いことが示されています。また特にクリミア半島の人々はほとんどロシア語話者です。また戦争勃発前の反乱軍支配地域もロシア語話者が多数を占める東部地域です。

このような中でゼレンスキー政権は義務教育でのロシア語使用を2020年に完全廃止し(1)、また同じ2020年にロシア語広告禁止(2)というアンチロシア政策を推進してきました。このようなロシア系住民を迫害する政策がロシアの介入を招いた一因となったのは容易に想像できます。

ロシアもスターリン時代にはウクライナ語を排除しようとする政策を進めたことがありました。お互いに相互の言語を尊重することが停戦の前提になるのではないでしょうか。本稿を書くにあったって、ウィキペディア ウクライナにおけるロシア語(3)を参考にしました。


1)ウクライナ政府 義務教育でのロシア語使用を2020年に完全廃止
https://sputniknews.jp/20191005/6728518.html

2)ウクライナ、ロシア語広告禁止 影響力排除狙いか
https://www.tokyo-np.co.jp/article/26601

3)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E8%AA%9E



 

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2023年2月19日 (日)

トルトゥリエ-都響 幻想交響曲@池袋芸劇2023/02/19

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曇天ですが温度は高そうで、今日はキルティングを卒業して池袋芸劇にお出かけ。都響の演奏会は年末の第九以来です。本日の指揮者はトルトゥリエ、コンマスはボス矢部、サイドはゆづき、ソリストはベイルマン。

ソリストが若い! マネの笛を吹く少年みたいな人。大道芸人みたいに動きながら演奏するのですが、それがまた変幻自在で唖然とするような超絶技巧で度肝を抜かれました。さすがカーティス音楽院教授に最年少で就任するだけのことはあります。でもむしろアンダンテのおとなしめの演奏が印象に残りました。この曲ラロの「スペイン交響曲」はサラサーテが初演したらしいですが、こんな風に演奏したのかなあと・・・。アンコールのバッハもまるで羽毛が舞うような軽さであっと驚きました。

後半のベルリオーズ幻想交響曲はさすが都響で、すごいアンサンブルでした。大植・南方のステージ表裏でのデュエットは実に息が合っている感じで最高でしたね。マエストロ・トルトゥリエの仕上げも文句なし、オケメンバーも頑張ってものすごくうまくいった演奏会だと思いました。最後はスタンディングオベーションで、マエストロは照明がついてからも呼び出されていました。

 

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2023年2月17日 (金)

サラ 18才

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サラは今年18才になります。ミーナは17才であの世に行きましたが、それはうちに来てから17年という意味です。シェルターでは放し飼いにされていたので、実際にはもっと高齢だったのではないかと思います。サラはケージに入れられていました。訊いたわけじゃないんですが、ケージに入っているのはもらい手がつきそうな猫で、放し飼いはもうあきらめた組だと思うので、サラの場合は正しく18才だと思っています。

サラはもともとは非常にシャイなタイプですが、もちろん18年もうちに居るのでなんら遠慮無く自由に生きています。ただアレルギー体質なのでエサには配慮が必要です。最近は背肉が落ちて、すっかり高齢猫らしくなりました。とはいえまだ50cmくらいはジャンプできます。ミーナは死ぬまで子猫の気持ちを持っていたので、サラにしてみればいじれる良い遊び相手でした。ですからこの1年は寂しさを感じていたと思います。それは私も同じです。

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2023年2月14日 (火)

続・生物学茶話202:脳の起源をめぐって

PCの能力はCPUの優秀さに基づきますが、実は保管できるあるいは取り扱える情報量(メモリーとSSDの容量)も大きな影響を与えます。したがってその容量によって価格に大きな差がつきます(1、図202-1 富士通の通販サイトより)。脳もこれと同様に、神経細胞ネットワーク設計の優秀さと共にその容量が重要で、実際動物の脳は保管できる情報量を増大させる方向で進化してきました。また情報の種類によって別の部屋で分業によって処理するということも平行して進化しました。PCも進化するにつれて処理すべき情報量が増加し、画像情報はグラフィックボードという画像処理用の別室が用意されて、より効率的な情報処理が行われるようになりました。

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図202-1 PC通販

分業すると言うことは、そのための専業化した細胞をある場所に局在させ、増殖によって組織を形成しなければなりません。脊椎動物の脳は分節化し、終脳(大脳)、間脳、中脳、小脳などというまとまりをもった組織を形成して分業しています(図202-3)。では脊椎動物に進化する以前の祖先に最も近いと言われていて、かつ現存する動物である頭索動物(ナメクジウオ)の脳はどうなのでしょうか?

この分野の研究者であるピーター・ホランドが描いたナメクジウオの画はちょっと誇張して脳を膨らませてあるようです(2、図202-2A)。実際にはこの膨らみはわかりにくいくらい微妙です(3、図202-2B)。しかし図202-2Aにはもうひとつ重要な情報があります。マウスと同様にナメクジウオでも、見た目ではわからない中枢神経のある位置から前には Hox-1 や Hox-2 の発現がみられないのです。Hox はホメオティック遺伝子産物の転写因子で、組織の性格を決めるという重要な役割を担っています。ですからこれらの発現がなくなったあたりから前方の中枢神経は脳であることが示唆されます。

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図202-2 ナメクジウオの脳とホメオティック遺伝子の発現

脊椎動物の脳が発生する過程を図202-3に示しました(4)。脳の中で最も脊髄に近い分節は菱脳(ロンボメア)と呼ばれています。英語で菱形はロンバス(rhombus)で、形態からロンボメアと命名されました。ギゼンは脳の基本構造は始原的左右相称動物(ウルバイラテリア)とマウス(後口動物)とハエ(前口動物)の三者で共有されていると主張しています(5、図202-4)。つまり脊椎動物の前脳・中脳が節足動物の脳神経節(cerebral ganglion)、脊椎動物の後脳が節足動物の食道下神経節(subesophageal ganglion)に相当し、始原的左右相称動物(ウルバイラテリア)では前脳・中脳がプロトブレインとして分節化し、後脳はプロトコードの前端にあったという考え方です(図202-4)。

ナメクジウオの神経管の前端で脳胞より胴体よりの部分(図202-2のアステリスク*の部分)はまさしく脊椎動物の後脳に該当し、ナメクジウオがウルバイラテリアの面影を濃く残した生物であることが示唆されます。ただしナメクジウオの祖先はカンブリア紀あるいはそれ以降の時代を生き残るために行動を単純化し、脳が退化した結果である可能性も排除はできません。

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図202-3 哺乳類脳の発生過程での分節化

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図202-4 脊椎動物(後口動物)と節足動物(前口動物)の中枢神経の基本構造と、そこから予想される始原的左右相称動物の中枢神経系

発生過程において脳の形成や領域化を規定する因子の調査は、仮説を検証する上で非常に重要です。ナメクジウオについては以前にこのブログに記事を書いています(6)。それをみると図202-2のアステリスクの部分にも Lhx2/9 やEmxA など脳に関連したホメオボックスタンパク質、あるいは Pax4/6(ペアードボックス遺伝子)の発現が見られます(7)。このことはナメクジウオの場合脳の分業化はまだまだ進んでいないことを示唆します。

図202-5は有顎脊椎動物と円口類の脳発生過程での諸因子発現の一覧です。文献8~10を参照して作成しました。Hox遺伝子は通常体の前から後ろに番号順に発現しますが、頭部には発現しません。このルールはナメクジウオでもみられます(11)。図202-5のように中枢神経系の中脳より後部に位置して一番中脳寄りの体節にはHox遺伝子群は発現されず、また頭部を形成する上で重要な Emx, Pax, Otx 遺伝子群も発現されません。中脳との境界領域(図202-4の boundary 中脳/後脳境界)には Fgf8 と Wnt1 が発現します。円口類では r1 と記載してある領域です(図202-5)。この領域に後脳が発生します。哺乳類ではこの部域は菱脳と言われ、後に前部は橋と小脳、後部は延髄に分化します。

図202-5をみるとこの部域には Gbx2 と En1/2 が発現しています。これは想像ですが始原的左右相称動物(ウルバイラテリア)の主要な脳のコンパートメントは後脳であり、ここで運動の統合や触感の記憶とその参照を行っていたのではないでしょうか? 記憶を参照したとしても、Aの場合はaという行動、Bの場合はbという行動と決まっているなら、意識がなくてもかまわないと思います。ウルバイラテリアがおそらく保持していなかった視覚・嗅覚・聴覚などは、それぞれの子孫生物の生活様式と共に進化し、それに伴って中脳より前の脳が発達していったのでしょう。

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図202-5 有顎動物と円口類の脳の領域化に関わる因子

 

参照

1)富士通PCウェブマート
https://fmv.fccl.fujitsu.com/shop?src=0&K=webads&utm_source=google_brand&utm_medium=listing&argument=ewrtkV29&dmai=a55dc61bc7c2d7&gclid=EAIaIQobChMIvsPQwICF_QIVykNgCh2JzAeyEAAYASAAEgI_l_D_BwE

2)Peter Holland 季刊「生命誌」23号
https://www.brh.co.jp/publication/journal/023/iv_1

3)ウィキペディア:頭索動物
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%AD%E7%B4%A2%E5%8B%95%E7%89%A9

4)脳科学辞典:間脳の発生
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E9%96%93%E8%84%B3%E3%81%AE%E7%99%BA%E7%94%9F

5)Alain Ghysen, The origin and evolution of the nervous system., Int. J. Dev. Biol. vol.47: pp.555-562 (2003)
http://www.ijdb.ehu.es/web/paper.php?doi=14756331

6)続・生物学茶話187: ナメクジウオ脳の部域化
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/08/post-277eea.html

7)Elia Benito-Gutierrez, Giacomo Gattoni, Manuel Stemmer, Silvia D. Rohr, Laura N. Schuhmacher, Jocelyn Tang, Aleksandra Marconi, Gaspar Jekely and Detlev Arendt, The dorsoanterior brain of adult amphioxus shares similarities in expression profile and neuronal composition with the vertebrate telencephalon., BMC Biology vol.19: article no:110 (2021)
https://doi.org/10.1186/s12915-021-01045-w
https://bmcbiol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12915-021-01045-w

8)脳科学辞典:脳の領域化
https://bsd.neuroinf.jp/w/index.php?title=%E8%84%B3%E3%81%AE%E9%A0%98%E5%9F%9F%E5%8C%96&mobileaction=toggle_view_desktop

9)Christof Nolte and Robb Krumlauf. Madame Curie Bioscience Database
Expression of Hox Genes in the Nervous System of Vertebrates
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK6519/

10)菅原文昭 円口類から探る、脊椎動物小脳の発生プランの進化 
ブレインサイエンス・レビュー2019 pp.145-165 (2019)

11)Hiroshi Wada, Jordi Garcia-Fernandez, and Peter W. H. Holla, Colinear and Segmental Expression of Amphioxus Hox Gene., Developmental Biology 213, 131–141 (1999)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012160699993697

 

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2023年2月11日 (土)

サラの考察27:愛国心

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私「猫には愛国心はない?」

サラ「馬鹿な質問ね。愛国心を持つ猫なんていないに決まってるじゃない」

私「人間も誰も愛国心を持っていなければ戦争もないんだけどね」

サラ「何なの 愛国心って」

私「江戸時代は愛国心などと言う概念も無かったんだよ。主君への忠誠というのはあったんだけどね。これは中世のヨーロッパも同じだ。帝国主義時代になって、国家間の争いが激しくなってから生まれてきたんだね。結局愛国心というのはカルト教祖を絶対的に信頼して忠誠を誓うのとたいして差はない、つまりある種のマインドコントロールだと私は解釈しているんだよ」

サラ「でも個人に対する帰依じゃなくて、土地とか権力への帰依ね」

私「報ステの大越キャスターが<こういう政治制度の下で生きていきたい>という希望が愛国心だと言って、ウクライナがロシアの支配を受けたくないことを説明していたけど、まあそうだとすると、たとえば日本共産党を支持している人々は永久に愛国心は持てないことになってしまう可能性が高いのだが、そういうものなのかもしれない」

サラ「メッセージという映画で宇宙人と全人類が対峙したときに、交渉役に選ばれたのが言語学者のルイーズと、物理学者のイアンだったんだけど、そのイアンがルイーズに「君以外のすべての人間は嫌な奴らだ」と言ったのは覚えてる」

私「そうそう。人は愛国心という教義に心を支配されるとみんな嫌な奴らになるんだ。支配者とその恩恵を受けている集団が、他の人々をうむを言わせず従わせるための手段が、愛国心というマインドコントロールなんだ」

サラ「猫はそんなのとは無縁でよかったというわけね」

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2023年2月10日 (金)

神尾真由子・萩原麻未 都民芸術フェスティバル デュオの世界

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東京文化会館小ホール、前回ここに来たのは萩原麻未ピアノ・リサイタルで、ちょうど新型コロナの蔓延が始まった頃で、2020/02/22でした。どんな感染症なのか正体不明ということもあって、当時会場が異様な緊張感で包まれていた記憶があります。あれから3年、ようやく沈静化してきました。奇しくも今回も神尾さんとの共演で出演となりました。チケットはソールドアウトで熱気ムンムンの会場です。神尾さんはワインレッドのボディコン、麻未さんは黒系のシックな衣装で登場、

神尾さんは公演直前に洗濯物をかかえて自宅の階段を降りていたときに転落して負傷されたとのことで心配でしたが、そんなことは微塵も感じさせない快演でした。彼女は作曲家とのコミュニケーションだけでなく、聴衆との交信もできる希有の演奏家で、きっとパガニーニやサラサーテもそういうタイプでその系譜の方なんだろうと思います。私は特に柔らかいタッチが好きですね。麻未も忖度なく対等にガンガン弾いていて、しかも丁々発止じゃなく完全に一体化していました。これは私生活でも親密なお友達じゃなきゃできないレベルだと感じました。譜めくりさんも目立つことなくベストパフォーマンス。

グリーグのソナタは、こんなに素晴らしい曲だったのかと再認識させられましたし、特にクライスラーの中国の太鼓は乗せられました。この後は自家薬籠中のピースで、楽譜なしで快刀乱麻の快演。 Splendid ✨✨✨ ストラディバリのVnもこんな奏者に出会えて本当に幸福だと思います。

 

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2023年2月 6日 (月)

サラの考察26:政権担当能力

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私「手を突っ張ってるけど」

サラ「夢を見ていたのかも」

私「きっと嫌な夢だね」

サラ「ケージに入れられそうになった夢かも」

私「サラは閉所恐怖症だからね。ところで岸田総理の人気がないね」

サラ「なんでもアメリカの言うとおり」

私「そうそう。アメリカに言われると慌てふためいて、党内議論もないまま閣議決定だからね」

サラ「それなら猫でもできるよ。バランスをとることができないなら単なる使用人」

私「それにしても与党のエージェントはアピールポイントがないので、ウェブでは必死に野党には政権担当能力が無いという印象操作をやってるね」

サラ「そのくらいしかやることないんでしょう」

私「東京は小池、大阪は吉村、沖縄に至ってはデニーだからね。みんな自民党じゃないよ。自民党じゃなきゃ政治はできないというのは間違ってるね」

サラ「千葉も熊谷さんよね」

私「彼は過激なムードもあるけど、実は民主党出身なんだよね。ともかく野党に政権担当能力がないなどという印象操作にはまどわされないことだよ」

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2023年2月 4日 (土)

続・生物学茶話201:意識があるということを示す基本的な要素

エディアカラ紀(6億3千500万年前~5億3千800万年前)の海は、弱肉強食という生物界の原理がまだ発生していない、平和で静かな海だったと考えられています(1、図201-1)。

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しかしエディアカラ紀には争いが全くなかったかというと、そうではなかったかもしれません。捕食者(肉食動物)がまだいなかったエディアカラ紀でも場合Aや場合Bは日常的に起こっていたかもしれません。濾過食の生物は消化できない物もできる物もまとめて飲み込むので記憶を参照しなくても問題はないのですが、藻類などを食べる生物はエサかそうでないかを記憶を参照して判定できる者の方が、さらにはエサとして好ましいかどうかを選ぶことができた者の方が、生存に有利であると思われます(図201-2 場合A)。バイオフィルムか藻類かは触感の記憶を参照することによって判断できたのではないでしょうか? また同じエサを食べるなら他者との競合に勝利する必要があります。そのような場合は、競合する者にどう対処するかを記憶を使って判断できる者は生存に有利だと思われます(図201-2 場合B)。

A、Bの場合は、カンブリア紀にはじまったCの場合のようにもたもたしているとすぐに捕食されるというわけではないので、記憶の参照に時間がかかっても大丈夫だったはずです(図201-2)。それは神経系の進化にとっては有利な条件だったと思われます。記憶を有用化するには、時間がかかってももとがとれるような条件が必要で、エディアカラ紀にはカンブリア紀よりむしろそのような条件が満たされていたと思われます。エディアカラ紀に確立した「記憶の参照」というメカニズムが、カンブリア紀になってから、高速に機能するような進化が進行したのでしょう。繰り返しますが、カンブリア紀という時代、特に初期の被捕食者が無防備だった時代は、「意識」の原点である記憶の参照というメカニズムが進化するには不適切で、少なくとも基本的なシステムはエディアカラ紀に進化しておかなければならないということです。

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A、B、Cいずれの場合も、記憶を参照して行動を決定するという高度な神経系の作用を伴っています。「意識」があるかないかは、記憶を参照できるかどうかがその根幹にあると思われます。記憶の内容は形態識別でも臭いの識別でも触感の相違でも何でも良いわけで、ともかくそれらを参照して次にとる行動を決めるというプロセスが「意識」のはじまりだと考えて良いと思います。海底歩行型の藻類食左右相称動物は口が下になければならないので、上下を判定するための平衡石をもっていたはずです。平衡石を利用するには触感が必要で、彼らは最低でも触感はもっていたと思われ、その記憶から意識の萌芽が生まれた可能性は高いと思われます。

人間の意識の中身は前の記事にでてきたようなクオリア、心的因果や、その他感性・感情のような要素が満載ですが、まあ哺乳類はそれに似たような要素をみんなもっているような感じはします。ひとつ留意したいのは鳥類、昆虫類、頭足類などにも「意識」がありそうとはいえ、私たちと同じ土俵で論じられるかどうかはわかりません。私たち自身も、たとえばムカデを見たときの嫌悪感とか、お皿をフォークでこすったときの気持ち悪さなどは普通の感情とは異なります。鳥類、昆虫類、頭足類なども同様に、ヒトには理解できない別種の感性や感情があるかもしれません。それこそハード・プロブレムでしょう。


Let's imagine an our ancestor "Tom" living in ediacaran era. Tom found an algae-like one. He may browse his memories and decide to eat or not. Sometime another creature may find the same food. Then Tom must decide compete, move, or continue to eat. To browse the memories may be useful for his decision. At that time browsing may require pretty long time. But no need to hurry, because no predators were present at that time. It is not the cambrian era. The ediacaran era is a good time to make evolution for the nerve system to browse memories. In cambrian era, the system evolved to operate faster, because the delay may be fatal.

参照

1)Wikipedia: Ediacaran biota
https://en.wikipedia.org/wiki/Ediacaran_biota

 

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2023年2月 1日 (水)

mRNAワクチン なぜレトロポジションの生物学は無視されるのか?

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mRNA Vaccines: Why Is the Biology of Retroposition Ignored?
Tomislav Domazet-Loso

Genes vol.13, no.5, p.719. (2022)

https://doi.org/10.3390/genes13050719

以下の要約は管理人の意訳ですので、正確な情報を得たい方は上記の原著を参照されることをおすすめします。

要約:従来型ワクチンに比べて、mRNAワクチンのおもな利点は、パンデミックの状況下で急速かつ大規模に展開できるという潜在能力です。今日の新型コロナ蔓延の危機に際して2種のmRNAワクチンが条件付きで認可され広く使われましたが、他のワクチンはまだ治験の段階にあります。しかしmRNAワクチンの一般住民への大規模な使用は、過去には行われた経験がありません。このことはすべての私たちのmRNAに関する分子生物学や進化についての知識を動員して、mRNAワクチンの安全性についての注意深い評価を行うべきであることを意味します。

ここで私はmRNAを基盤としたワクチンが遺伝子を変化させることがあり得るかどうかについて議論します。これは驚くべきことだと思いますが、mRNAワクチンに関する多くの文献で、そのようなことはあり得ないと述べられているのですが、この疑問にきちんと取り組んだ科学論文によってそのような意見が支持されているわけではありません。それどころか、マウスやヒトにおいて分子的あるいは進化的に、臨床状況においても、mRNA分子はしばしばゲノムに組み込まれていると述べられていることは私たちをさらに混乱させます。

基本的な比較を行うことによって、私はmRNAワクチンの塩基配列はL1エレメントを用いた逆転写の条件を満たしていることを示します。L1エレメントというのはヒトのゲノムにおいて自動的に活性化する非常にありふれたトランスポゾンです。実際mRNAワクチンが持つ多くの特性はL1を介したトランスポジションの可能性を増加させます。

私はmRNAワクチンを用いた治療がゲノムに影響を与えないという思い込みには根拠がないと結論します。ワクチンのmRNAは体内にあるL1レトロエレメントを介して容易にゲノムに組み込まれるというルートが存在します。このことは私たちがワクチンmRNAのゲノムへの組み込みの可能性について厳密な試験を緊急に行わなければならないことを意味します、現時点ではmRNAを用いたワクチンが挿入変異を起こすことについての安全性の問題は解決していないと思われます。

管理人付記:私たちのゲノム(DNA)の半分くらいは遺伝子ではないトランスポゾンによって構成されています。なかでもL1トランスポゾンは逆転写酵素をつくりだす能力があるので、この酵素によってmRNAに転写された自分の配列をDNAに逆転写し、再びゲノムに組み込むことが可能です。この論文の著者はこの経路を使ってワクチンのmRNAがゲノムに組み込まれる可能性について述べています。

トランスポゾンについて基本的なことを知りたい方は拙文をご覧ください

トランスポゾン1
http://morph.way-nifty.com/grey/2017/09/post-c22b.html

トランスポゾン2
http://morph.way-nifty.com/grey/2017/09/post-e6f5.html

 

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2023年1月29日 (日)

地球は寒冷化に向かうのか?

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2015年に管理人は、ヴァレンティナ・ザルコヴァ教授の研究室が報告した論文が「地球は寒冷化の方向にある」ということを示唆しているという記事を書きました。
http://morph.way-nifty.com/grey/2015/07/post-24ab.html

昨今の寒さから考えると、彼女らの意見が正しいのではないかと思えてきます。
当時の記事を一部再掲します。

「Maunder minimum (マウンダ-極小期) という言葉を最近知りました。これは1645年から1715年にかけて起こった、太陽の黒点がほとんどみられなかった期間だそうです。この時期にはテムズ川の凍結が起こるなど、地球はミニ氷河期だったそうですが、最近ニューカッスルの Northumbria 大学教授 Valentina Zharkova が英国天文学会で報告したところによると、あと15年前後で地球は再びそのミニ氷河期に突入するとのことです。

報告の内容は私には理解できませんが、権威のある専門誌に論文も発表されているので、信頼できる報告だと思います。私たちも準備する必要があります。私が政府高官なら、嘉手納基地を返還してもらって、首都を沖縄に移転する準備をしますが、どうでしょう。これはまじめな話です。東京は雪が降るとジ・エンドです。いやいやその前に多摩川が凍結したら、どこから水道水を供給するのでしょうか?

ザルコヴァ教授は “The Sun buys us time to stop these carbon emissions” (太陽は二酸化炭素放出を削減するための時間を私たちに買ってくれたのです)と発言しています。そうですね、寒いからと言ってバンバン石油や石炭を燃やしていると、氷河期が終わったときに想像を絶する危機がせまってきます。この太陽がくれた絶好のチャンスに、私たちは地球温暖化を防ぐための施策を完了しなくてはなりません。」

サイモン・シェファードらの論文(フリーで読めます)
PREDICTION OF SOLAR ACTIVITY FROM SOLAR BACKGROUND MAGNETIC FIELD VARIATIONS IN CYCLES 21-23
Simon J. Shepherd, Sergei I. Zharkov, and Valentina V. Zharkova
Published 2014 October 13
The Astrophysical Journal, Volume 795, Number 1
DOI 10.1088/0004-637X/795/1/46
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/0004-637X/795/1/46

鎌田浩毅(京都大学) トンガの海底火山噴火から想定される気候寒冷化
現在、世界中で問題となっている地球温暖化は、1回の大噴火による急激な寒冷化で状況が一気に変わるかもしれない。
https://ieei.or.jp/2022/03/expl220301/

丸山茂徳(東京工業大学) CO2温暖化説はねつ造
IPCCは、自分たちが導き出した、過去の気温は一定であるという話に一致するように、各種の変数を調整した。例えば、過去1300年間のCO2、CH3、N2、H2Oなどの温暖化ガス、あるいは雲量など寒冷化の要素を気温が一定になるように操作した。その上で、過去約130年間の要素のうち変化しているのはCO2濃度だけだから、気温が0.8℃上昇したのはCO2濃度が原因であると説明した。見かけは、たくさんの要素を入れた複雑な気候モデルに見えるが、中身はでたらめだ。これがGCM(全球気候モデル)の実体だ。 
https://www.fn-group.jp/2855/




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2023年1月28日 (土)

高関-東京シティフィル「英雄の生涯」@オペラシティ2023/01/28

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今朝テレビをつけると上野耕平がサックスで「石焼きいも」を演奏していました。それがあまりに素晴らしくて唖然としました。今日も寒くて一晩中チロチロ水を出しておいたのに、氷の音がします。ちゃんと水が出るのを確認してから、完全装備(ヒートテック+キルティングコート+ドンキのマスク)で初台へ出発。

このブログで確認すると、私がオペラシティに前に来たのは2019年の5月「第18回東京国際音楽コンクール<指揮者>入賞デビューコンサート」で、ほぼ4年ぶりです。久しぶりのサンクンガーデンは拍子抜けするほど地味で、シンキングマンがさみしそうに口だけ動かしていました。

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演奏会はなかなか盛況で、日本最高のカペルマイスターの呼び声も高いマエストロ高関とご懐妊の小林さんの組み合わせで盛り上がっていました。演奏も文句のつけようがない堂々としたものでした。「英雄の生涯」も迫力も叙情性も文句なしで、圧倒的な演奏でした。シティフィルをここまでのオケに育てたマエストロの力には頭が下がります。

帰ってくると、千葉NT駅前にはちーば君と印西君のイルミネーションが迎えてくれます(ふなっしー以外、東京の人は千葉ローカルのマスコットはほぼ知らないと思いますが)。印西君は目が寄っているのがかわいい。

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2023年1月26日 (木)

続・生物学茶話200:意識の起源

生物学茶話1~100は管理人と仕事上ある程度かかわりがある話題でしたが、101以降の続・生物学茶話については私はアウトサイダーであり、意識の問題などについて書いているこの記事も含めて単なるスタディノートにすぎません。とりわけ難解な「意識」についての考察などというラビリンスにどうして迷い込んだかと言えば、円口類について調べているうちにファインバーグとマラットの論文に行き当たり、彼らが単に円口類の生物学者ではなく壮大な脳科学の難問にチャレンジしていることがわかったからです。これも何かの縁ということで彼らの著書(1)を購入して読んでみることにしました。翻訳したのはやはり円口類の研究者である鈴木大地氏です。よくまあこんな本を翻訳しようと思いついたと思います。さぞかし大変なご苦労だったと思います。

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意識とは何かを考える上での1丁目1番地は「意識についての神経存在論的な主観的特性」の定義だそうですが(1)、この言葉自体の難解さで最初のドアから開けられなくなります。とりあえず「意識を科学的にみるとどんな特徴があるか」とでも考えた方がよさそうです。脳科学者は哲学的問題まで取り扱うので、やたらと言葉が難解になりがちというのが大きな障害です。

ファインバーグとマラットによれば、意識とは1.参照性、2.心的統一性、3.クオリア、4.心的因果だそうで(1)、言葉を羅列しただけではなんのことかさっぱりわかりません。最初の参照性からして難解ですが、どうも生物が感覚器から得た情報は、それが脳によって記憶されるということ自体は全く知覚されることはなく、外界または体全体に投影されたものとして感じられるということらしいです。例えば押上のスカイツリーを見るという経験をすると、別の日に空を見上げるとそこにスカイツリーを投影するという形で情報を引き出すことができます。脳のどの部位にこの映像が収蔵してあるかを知覚することはできません。指を骨折して痛かったという記憶は、指を意識することによってその記憶を引き出すことができるわけですが、脳を探ることによって引き出すことはできません。それは参照性という言葉が適切かどうかは別として、確かに脳神経系の特徴のひとつであるということは納得できます。脳科学には参照点依存性(2)という言葉があるので混同しそうですが、これは別の意味のようです。

心的統一性というのは割とわかりやすい概念です。人間は2つの眼で別々の画像を見ているのに、その映像は一つとして認識されます。それぞれ別の神経系で処理された情報が脳で統合されて、その統合された後の結果だけが認識されるというわけです。処理されるプロセスを私たちは認識することができません。文献(1)の表現では、脳は客観的には砂粒の集まりのように見えるのに、主観的には砂浜全体として意識が経験されるということです。私の理解ではプロセスは認識されず、結果だけが認識されて「意識」を構成するということなのでしょう。

3つめのクオリアというのは難解です。感覚質と訳されているようですがあまり使われてはいません。脳科学辞典のクオリアという項目にある「点と十字を組み合わせた動く画像」がヒントになりそうです(3)。この動画の中央の緑の点滅をずっと見つめていると、まわりの黄色い3つの点が消えたり現れたりします。個人的には左上の点がよく消えます。これは脳の作用によって、実際に見えているはずのものとは違うものが認識され意識を構成することがあるということを意味します。人間はある画像を見ても記憶できるのは中央部だけであり、周辺部は全体的な雰囲気としてその「感じ」は認識しているものの、詳細を記憶として引き出すことはできないのです。その「感じ」がクオリアだというわけです。という風に聞かされてもやはりよくわかりません。結局自然科学寄りの人はとりあえずスキップしても良いのではないかと思いました。

最後の心的因果というのは脳科学辞典やウィキペディアにも項目がなく、「心の哲学まとめWiki」などというサイトに説明がありますが(4)、これは哲学の問題であり、実験科学の立場に立つ者としてはとりあえず避けて通るべきではないかと思われます。ただ神経伝達という単純なプロセスと意識の形成という高次な過程の間には大きなギャップ(ハードプロブレム)があるというのは事実で、それは新しい手法で解明しなければならないということは明らかです。

ファインバーグとマラットはハードプロブレムを解決するために、神経進化的アプローチを試みようとしています(1)。それは単純な生物であるほどハードプロブレムにおけるギャップは小さいと考えられるからでしょう。神経細胞がない生物に意識があるはずはなく、ハードプロブレムも存在しません。しかし脳がある<下等?>な生物には意識があるかもしれません。

彼らの考え方の基本は、進化の初期段階で獲得された意識は後々の高次に進化した意識でも反映されるということです。それは進化は古いものをとっぱらって新しいものを作るという形ではなく、古いものを抱え込んだまま徐々に変化するという形でしか実現できないからです。彼らは「反射」を「意識」の対置概念ではなく、先駆けとしてとらえています。

脳科学辞典によると、反射とは「特定の感覚入力が、定型的な身体反応を誘発する現象」と定義しています(5)。「反射」のアントニムが「意識」ではありません。私たちは右足と左足を同時に出すと歩けません。「無意識」のうちに左右交互に足を出すことによって歩けるわけです。始原的左右相称動物も筋肉を使った移動、すなわち定型的な身体反応は「無意識」のうちに行っていたのでしょう。ではエサの位置をなんらかの感覚で知覚し、そこに向かって歩くという行為はどうでしょう? ファインバーグとマラットはそれは「意識」とは言えないとしています。そればかりかフェロモンに導かれて行う生殖行為も「意識」には至らない行為としています(1の71ページ)。彼らはアン・バトラー説にしたがって視覚を重視していて、イメージを形成できるレンズを持った眼によって得られた情報を解析するためにニューロンの複雑な階層構造が形成され、そのニューロンの連鎖が「意識」を形成したと考えているようです(7)。ただヌタウナギはレンズ眼を持っていないので、彼らには意識がないかというと、そうは言えないと思います。嗅覚が特別に発達した動物はそれなりの意識を持っているに違いありません。

今のところイメージを形成できると推定される眼をもつ最古の生物は5億2000万年前のハイコウイクチス(=ミロクンミンギア 7)です。この少し後の時代のメタスプリッギナも同様な眼を持っています。これらの生物はおそらく脊椎動物だと推定されています(7)。そしてファインバーグとマラットは、これらの生物が「意識」を持っていたと考えています。彼らはさらに、このような眼が形成されたのは5億6000万年前から5億2000万年前の間、つまりエディアカラ紀終盤からカンブリア紀序盤にかけてと考えています(1)。


参照

1)トッド.E.ファインバーグ、ジョン.M.マラット著「意識の進化的起源」 日本語訳:鈴木大地 勁草書房(2017)

2)道産子北国の経済教室 【参照点依存性とは?】他人と比較してしまう理由
https://kitaguni-economics.com/referencepoint/

3)脳科学辞典 クオリア
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%AF%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%A2

4)心の哲学まとめwiki
https://w.atwiki.jp/p_mind/

5)脳科学辞典 脊髄反射
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%84%8A%E9%AB%84%E5%8F%8D%E5%B0%84

6)Ann B. Butler, Hallmarks of consciousness., Adv Exp Med Biol., vol.739: pp.291-309. (2012) doi: 10.1007/978-1-4614-1704-0_19.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22399410/

7)ウィキペディア:ミロクンミンギア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%83%B3%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%AE%E3%82%A2

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2023年1月23日 (月)

まきちゃんぐ 15周年おめでとう

Ccc

前に王子に来たのはもう20年くらい前のような気がします。王子ミュージックラウンジは飛鳥山公園に沿って坂を上がっていったところにあります。この坂の名前は飛鳥坂で、ちなんだ歌もあります(歌:水森かおり、作詞:みろく師匠 作曲:西島三重子)。
https://www.youtube.com/watch?v=3tjiAiRPSmU

着くともう20人くらい並んでいました。入場してカウンターにならび、関東ではとてもめずらしい岡山名物「ままかり」酢漬けのおにぎりを注文。こんなに美味な魚をどうして関東では捨ててしまうのか不思議です。ちゃんぐさんが岡山出身ということで、お店が気を利かせたようです。

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まきちゃんぐは絶好調で名曲を次々と熱唱

ハニー
雨と傘と繋いだ手
ちぐさ
鋼の心
愛の雫
海月
赤い糸
不器用
ジンジャエールで乾杯
花の種まき
愛が消えないように

などなど

彼女はアンコールはやらない主義なのですが、なんと「愛と星」をスキップしていたことが判明し、あらためて歌いました。

愛と星
https://www.youtube.com/watch?v=XI468c7Hlxk

1番をアカペラで歌ったのですが、なぜかオフマイクだったので生声が聴けました。これが天国的に美しくて、やっぱりマイクは声をスポイルするんだとあらためて思いました。

終了後撮影タイムがあって、この写真お客さんのスマホが体にかかっているのがちょっと残念ですが、私のベストショットはこれかな。

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アルバムの制作も進めているようで、本年もご活躍をお祈りします。

official HP: https://twitter.com/makichang_info

 

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2023年1月22日 (日)

お詫び

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このブログのサイドバーのトップが上のようになっていない方がおられるかもしれません。アクセスカウンターが消えている場合があります。これは多分ウィンドウズ10で Firefox を使っているときだけだと思いますが、その他の場合にも発生しているのかもしれません。まあこんなところを見ている人はほとんどおられないと思いますが、その不具合はこちらの問題です。

@ニフティと何度かやりとりしたのですが、結局現時点ではこれを修正するスキルがないという情けないアンサーなので致し方ありません。Firefox でもウィンドウズ11では正しく表示されています。またエッジでは10でも11でも正しく表示されています。これだけの問題ならまあ仕方ないのですが、崩壊の序曲でないことを祈りたいです。ご心配をおかけして申し訳ありません。

後記:1月29日にFirefoxのウィンドウが現れ、最新版のFirefoxにリフレッシュすることによって問題が解決しました。

 

 

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2023年1月19日 (木)

続・生物学茶話199:神経堤と頭部プラコード

節足動物の中には早くもカンブリア紀に肉食を行っていた生物がいましたが、多くの脊索動物はまだ濾過摂食(1)といって、体長が1mm 以下のプランクトンなど海水に浮遊する生物あるいは有機物を何らかの方法でトラップして食べていたようです。ただコノドント動物は歯を持っていて、肉食していた可能性があります(2)。現在の円口類の歯は私たちのとは違ってケラチンを主成分とするので、当時の大部分の円口類の祖先たちもおそらく歯はケラチンだったのでしょう。コノドントの歯は石灰質ですが、ケラチンはタンパク質なのでそれ自体は化石として残りません。オルドビス紀の魚類はまだ濾過摂食で、顎のある肉食の魚類が生まれたのはシルル紀と考えられています(3)。肉食を行うためにはエサを見つけて・捕獲し・殺さなければなりません。このためにはさまざまな進化が必要です。

脊椎動物におけるこのような進化は、主に発生過程で神経板と表皮の中間領域に存在する神経堤と頭部プラコードに由来する細胞によって実現しました(4、5、図199-1)。脊椎動物に進化する少し前の動物の姿に似ていると考えられている頭索動物のナメクジウオには、神経堤やプラコードに相当する組織が見当たりません。ただ Six1/2とEyaを産生する細胞は神経板以外の外胚葉に点在し、神経細胞に分化するようです。また神経板と外胚葉の境界には脊椎動物と同様、中枢神経系の形成に関与するPax3/7、Zic、神経堤の外胚葉→中胚葉転換に関与する Msx1/2 などの発現があり境界領域の萌芽はみられます(6)。

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図199-1 外胚葉由来の4つの部域 表皮・神経板・神経堤・プラコード

プラコードや神経堤からは脊椎動物にあるべき視覚・聴覚・内分泌・感覚神経・自律神経・骨・歯などに関連した組織が発生するので(7、図199-2)、発生過程でこの2つの部域を獲得したことは脊椎動物らしさを獲得するために重要です。脊椎動物と思われるコノドント、ハイコウイクチス、ミロクンミンギアなどはカンブリア紀に生きていましたし、ホヤらしき生物もいたようです(8)。つまり神経堤・プラコードは脊椎動物がまだ濾過摂食を行っていたカンブリア紀に、すでに存在していたということです。

図199-2に血管条という言葉がありますが、これは私も初めて聞く言葉だったので調べてみました。日比野浩氏のサイトが参考になりました(9)。音を感知する細胞は内リンパ液と接しており、その内リンパ液は高濃度のカリウムを含んでいて、細胞内のカリウムとの濃度差を利用して振動が電気パルスに変化することによって音は感知されます。血管条というのは耳の内耳蝸牛にある組織で、リンパ液のカリウム濃度を高く保つために必要であるとされています。通常の神経細胞はナトリウムの濃度差を利用して興奮するので、耳の神経細胞に相当する有毛細胞は特殊な機能を持つ細胞と言えます。このような新組織をつくるためにもプラコードという新機軸が進化の過程で必要であったと思われます。

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図199-2 プラコード、神経堤から分化する細胞

神経堤・プラコードという第4の胚葉を獲得するという進化を実現したヤツメウナギは、エディアカラ紀の生物の特徴を色濃く残していると思われるナメクジウオに比べて、脳や周辺の感覚器官が格段に複雑になっています。濾過摂食からいわゆる肉食の生物に進化するためには、視覚・嗅覚とそれらの情報を処理するための脳の構造が格段に複雑化することが必須だったと思われます(10、11、図199-3)。ヤツメウナギは私たちと同様な脳のコンパートメントを持っていますが、ナメクジウオの脳には形態学的な分化はみられません。

こうしてみるとナメクジウオが現代に生きていることは奇跡のように思われます。彼らと近縁な、しかしよりすぐれた感覚器官・運動器官・脳を持つほとんどの生物が種としての生命を終えた中で、海底の砂に潜るという一芸で絶滅をまぬがれ、また脊椎動物と非常に近い生物であるにもかかわらず、私たちがまだ知らないその能力によって5回の大絶滅時代をしぶとく生き延びたナメクジウオは、まさに「生きた化石」と言えます。

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図199-3 ナメクジウオとヤツメウナギの頭部 Vedantu free education for kids (modified by the auther) および Wikipedia: Lamprey の図を利用しました 引用文献10、11。

神経堤やプラコードができてくる過程で、そこにどんな因子(モルフォゲン)が発現してくるかというのは昔から発生生物学の基本的テーマです。とはいっても、なにしろ細胞数個分の領域に一時的に発生する多くの物質の濃度勾配や相互作用が複雑に関係して細胞の運命が決まるわけですから、最終的にはAIに答えを求めるしかないと思いますが、大雑把に理解することもまた重要であり、サワニとグローヴスが提供してくれている最新情報を図199-4に示しておきます(12)。

おおまかにはBMPやWntが濃い状態では表皮に分化し、それらのアンタゴニストが濃い状態では神経に分化するわけですが、神経堤やプラコードはその中間の微妙な状況のなかで出現する部域です。中間的であるということは分化の方向性決定を保留できるということでもあります。具体的には多能性幹細胞として残って表皮や神経に早期に分化するのを回避し、後の適切な時期や移動した場所で分化するということです。オリジナルの図(閲覧フリー)に付属している説明文をそのまま掲載しておきました。

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図199-4 脊椎動物発生過程におけるモルフォゲンの分布 Early ectodermal patterning at the anterior epiblast. Although the ectodermal patterning varies significantly across chordates, and even within amniotes, we illustrate, here, the key stages of ectodermal patterning most faithful to amniote development. The medial epiblast begins to exhibit molecular differences compared to the surrounding tissue, with the medial region expressing pre-neural/neural (salmon) markers and lateral (blue) region with predominantly non-neural/epidermal gene expression. At the initial stages of gastrulation, the transitional zone between the neural and non-neural ectoderm, called the neural plate border (yellow), becomes more defined. By the early stages of neurulation, two distinct spatially segregated populations of cells can be detected at the border region – pre-placodal ectoderm laterally (purple) and neural crest cell progenitors medially (green). Although much remains uncertain about the roles and timing of WNT, BMP, and FGF signaling pathways and associated gene-regulatory networks during the early ectodermal patterning, a general consensus of the signaling levels and classic spatially distinct markers are indicated below the epiblast cartoons. Additionally, the asymmetric WNT signaling along the anterior-posterior axis and, subsequently, key molecular expression differences are also presented on the right-most panel.

頭索動物は組織としての神経堤やプラコードがみられませんが、それに相当する Six/Eya を発現する細胞は予定表皮のなかに存在し、実際化学物質や機械刺激などに反応する感覚器や関連する神経細胞、あるいはハチェックスピットと呼ばれる分泌器官などに分化します(7、12、図199-5)。これらは表皮に分化するのをある確率で免れた細胞なのかもしれません。肉食に必要な諸器官をつくるためにはナメクジウオのような機構ではまかないきれなくて、多数の未分化細胞が予定表皮と予定神経の中間に大きな集団となって確定して出現するように進化した生物、すなわち脊椎動物の祖先にあたる生物がカンブリア紀に適応放散したのでしょう。

尾索動物は一見両者の中間のようにも見えますが(図199-5)、彼らの祖先はいったん脊椎動物と同様な進化を遂げながら方向転換して全く別の生き方を選んだので、これはそのような方向転換の結果と考えるべきでしょう。

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図199-5 脊索動物における神経・表皮境界領域の進化 Evolution of the neural plate border in chordates. The diagrams compare the neural plate border (neural – salmon; non-neural – blue) derivatives between different taxa within the phylum Chordata. The vertebrate neural plate border gives rise to two distinct cell populations – the placodes (purple) that thicken and invaginate in the anterior embryo and the neural crest cells (green) that migrate along the entire length of the embryo except for the anterior neural fold (black arrows show migratory properties). However, this feature is an evolutionary novelty in vertebrates. The embryos from the sister clade, urochordates, have a molecularly distinct border region with several gene markers common with the vertebrates (magenta and light green); however, the crest-like migratory cell populations (light green) are relatively limited, such as the bipolar tail neurons. Cephalochordates, the phylogenetic neighbors considered less evolved to tunicate-vertebrate group, have some migratory epidermal sensory cells (pink) with similar molecular signatures to the vertebrate placodes; however, these are largely scattered individual cells that delaminate from the ectoderm much lateral to the neural/non-neural boundary.

参照

1)ウィキペディア:濾過摂食
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BF%BE%E9%81%8E%E6%91%82%E9%A3%9F

2)ウィキペディア:コノドント
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%8E%E3%83%89%E3%83%B3%E3%83%88

3)ウィキペディア:棘魚類
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A3%98%E9%AD%9A%E9%A1%9E

4)R. Glenn Northcutt and Carl Gans, The Genesis of Neural Crest and Epidermal Placodes: A Reinterpretation of Vertebrate Origins., The Quarterly Review of Biology, vol.58, no.1, pp.1-28 (1983)
https://www.journals.uchicago.edu/doi/10.1086/413055

5)G.Schlosser Evolution of neural crest and cranial placode in "Invertebrate origins of vertebrate nervous system" Elsevier (2017)
https://books.google.co.jp/books?hl=ja&lr=lang_ja%7Clang_en&id=XTUYCwAAQBAJ&oi=fnd&pg=PA25&dq=protoplacodal+ectoderm&ots=Io8phXiMHX&sig=yUOWMHO4GlFA6TlysMPUzFJrfbk&redir_esc=y#v=onepage&q=protoplacodal%20ectoderm&f=true

6)G.Schlosser, From so simple a beginning – what amphioxus can teach us about placode evolution., Int. J. Dev. Biol. vol.61: pp.633-648 (2017) doi: 10.1387/ijdb.170127gs
https://www.academia.edu/70157393/From_so_simple_a_beginning_what_amphioxus_can_teach_us_about_placode_evolution

7)G. Schlosser Evolution of neural crest and cranial placode., Elsevier (2017)
https://books.google.co.jp/books?hl=ja&lr=lang_ja%7Clang_en&id=XTUYCwAAQBAJ&oi=fnd&pg=PA25&dq=protoplacodal+ectoderm&ots=Io8phXiMHX&sig=yUOWMHO4GlFA6TlysMPUzFJrfbk&redir_esc=y#v=onepage&q=protoplacodal%20ectoderm&f=true

8)Jun-Yuan Chen, Di-Ying Huang, Qing-Qing Peng, Hui-Mei Chi, Xiu-Qiang Wang, and Man Feng, The first tunicate from the Early Cambrian of South China., Proc Natl Acad Sci U S A., vol.100(14): pp.8314–8318. (2003) doi: 10.1073/pnas.1431177100
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC166226/

9)日比野浩、内耳聴覚研究班
https://www.med.niigata-u.ac.jp/ph2/past/ri_bi_ye_yan_jiu_ban.html

10)Vedantu free education for kids  (modified by the auther)
https://www.vedantu.com/question-answer/wheel-organ-is-found-in-a-herdmania-b-amphioxus-class-11-biology-cbse-5f2235d705c8ea56440f6f8d

11)Wikipedia: Lamprey
https://en.wikipedia.org/wiki/Lamprey

12)Ankita Thawani and Andrew K. Groves, Building the Border: Development of the Chordate Neural Plate Border Region and Its Derivatives., Front. Physiol., Sec. Developmental Physiology vol.11: no.608880. (2020)
https://doi.org/10.3389/fphys.2020.608880
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7750469/

 

 

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2023年1月16日 (月)

冬だけの家族2023

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カーテン越しで不鮮明ですが、今年もジョージⅢ世(ひよどり)が12月からうちの家族となっています。ちょうどパンくずを食べているところ。危険を感じさせてはいけないので、カーテンは引いたままで撮影しました。Ⅲ世というのは寿命から推測しただけで、個体識別はしておりません。ひょっとすると文化の伝承なのかもしれません。最近の生物学ではあり得ない話じゃないそうなので。お正月くらいまでは2羽で来ていたので、どこかで抱卵しているのかも。

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おまけ写真。これはたまたま撮影できたのですが、団地から見えた月とヴィーナスベルトです。

 

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2023年1月13日 (金)

私のインスタントランチ:ドライカレー

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ドライカレーにミニトマトとイタリアンパセリ。ドライカレーは冷凍物をフライパンで加熱するだけなので5分でできます。

昨今地上波テレビのつまらなさにはあきれ果てますが、たまにすごい番組にあたることがあります。クレイジージャーニーというTBSの番組はときどきすごい。最近は南アフリカでのサバンナ徒歩ツァーをやっていました。現地ツァーコンである日本人女性太田ゆかさんの案内で、猛獣が徘徊するサバンナを乗り物なしで歩いて、野営するというものです。

水辺に近づくとカバが猛スピードで追いかけてくるとか、野営していると深夜に象の一家がやってくるとか、すごい話です。ライオンはちょっかいださない限り割と安全だというのにはびっくりしました。ハイエナや豹が来たらどうするんだろうと思います。でも一番怖いのは人間の密猟者だそうで、一つ間違うとライフルやマシンガンで撃たれるそうです。密猟を防ぐためにサイの角を切断しているという話にも愕然です。そういえば南米で猿に育てられた女性の本を読んだときに、猿たちが一番恐れていたのはジャガーではなく人間だと書いてあったことを思い出しました。

2番目に怖いのは年老いて群れから追い出された水牛だというのもなんとも言えないもの悲しさがあります。彼らは眼も耳も衰えてしまって、判断できない恐怖のために、近づく生物に襲いかかってくるそうです。

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2023年1月11日 (水)

この死者の増加をどう説明するのか?

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?の部分が増加した死者です。マスコミはまだあまり取り上げていないようですが、超過死亡が発生しているようです。どう説明すれば良いのでしょうか? 単調増加しているので、医療逼迫で救急車が間に合わないからというわけではないようです。

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2023年1月 8日 (日)

サラの考察25:少子化問題

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私「日本は少子化で滅亡しそうなんだよ。何かいいアイデアはないかな」

サラ「母猫は1ヶ月しか子猫の面倒は見ないのよ。寿命の差を考えて人になおせばせいぜい数ヶ月程度。20年も面倒見なきゃいけないなんて人は異常としか思えない」

私「それは種によって成長が違うんでまあ仕方ないんだよ。戦前は子供が数人いるのは普通で、私の大伯父などは16人もいたんだけどね(母親は2人)。別に大学なんか行ってなくても普通に成長してそれぞれ生きていけた時代だったようだ」

サラ「ふむふむ」

私「子供が16人いても誰も保育園なんて通ってないし、乳離れしたら放置が基本で、どうしても必要な世話は年長の兄姉がやるということで、先に生まれた者は大変だったと聞いている」

サラ「要するに放置を基本とすれば少子化は解消するってこと?」

私「放置というとすぐに炎天下の車の中に子供を放置というのを思い出すけれど、これは放置じゃなくて監禁だろう。どこにでもいけるようにしておいたら死なないんだよ。」

サラ「猫はマイクロチップを埋め込まれるけど、あれを人の子供にも埋め込めば場所はわかるわね。自由猫が熱射病で死んだっていうのもないわね。猫の頭脳でも暑けりゃ涼しい場所に移動するからね」

私「そうそう。だから科学が発達した現代では、戦前よりも少ない労力で子育てはできるはず。近藤とも氏によると肉食の習慣はここ50年ほどのことで、戦前は牛や豚を食べるなんてほとんどやっていなかったので(1)、本当は食費だってもっと節約できるはずだよ」

サラ「いろんな子育ての仕方を認めるということね」

私「ごはんだけ食べさせてあげれば、あとは放置してもバッシングを受けないという社会的コンセンサスが必要だと思うね。子育てに税金をどんどんつぎ込むと、税金がどんどんふくらんでマッチポンプになってしまう。戦前は子供が多すぎて困っていたんだから、そこにヒントがあるのは当然だと思うよ。戦後でも私が子供の頃は保育園はなく4歳くらいから幼稚園に通っていた子が多かったけど、スクールバスなんてなくて私も含めて一人で1キロくらい歩いて通うのは当たり前。車は結構走ってたけど、はねられたという話は聞いたことがないね。そういう育てられ方をしてたんだね」

サラ「少子化解消のためには、たくさん産んで放置で育てるってことが出発点ってことね」

私「そうそう。それを社会が認めることが大事」

1)近藤とも 私たちはいつから肉を食べるようになったのか?日本人と肉の歴史を徹底解説!
https://intojapanwaraku.com/culture/48024/

 

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2023年1月 5日 (木)

続・生物学茶話198:エディアカラ紀のトピック

1945年9月2日 戦艦ミズーリにおいて、日本政府は無条件降伏とポツダム宣言受諾の署名を行い第2次世界大戦は終了しました。レジナルド・スプリグは1942年に修士号を取得していましたが、大戦中は従軍し原爆に必要なウラニウム資源の調査に従事していました。終戦後化石の調査を始め、1946年にはアデレード郊外で採掘された鉱物の残渣を調査していました。そこでカンブリア紀以前と思われる地層からクラゲ様の化石を発見し、Nature 誌に投稿しましたが掲載を拒否されました。その後英国の学会でも発表しましたが話題にもなりませんでした(1)。

それでもスプリグは地元の雑誌に論文を発表しましたが、なんとそのタイトルは early cambria にクエスチョンマークをつけたものでした(2)。しかしその後他の研究者も興味を持って研究を始めた結果、しだいに彼の成果も認められるようになりました。スプリグは古生物の研究に興味を失ったわけではありませんでしたが、むしろ天然ガス・ウラニウム・ニッケルなどに関連した資源調査の会社を作って社長としての仕事に取り組むことになりました(1)。彼の業績が本当に認められるようになったのは、おそらくグレスナーが1959年にNature誌に論文を書いてからだと思います(3)。エディアカラ紀という名称を国際地質科学連合(IUGS)が正式に承認したのは2004年のことでした。スプリグはエディアカラ紀という名称が認められる10年前の1994年に亡くなりましたが、彼の声と映像は YouTube で知ることができます。クラゲの化石を手にして説明しています(4)。彼の写真とその名前に因んだ生物を図198-1に示しました。

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図198-1 スプリグと彼に因んで命名された古生物

地質時代の名称として、カンブリア紀以降は顕生代(Phanerozoic eon)、エディアカラ紀以前は原生代(Proterozoic eon)ということになっています。このような分け方は生物学の観点からは好ましいものではありません。なぜならエディアカラ紀は現代の生物が誕生する上で非常に根源的で重要な時期だったからです。エディアカラ紀とカンブリア紀が分断されるのは、エディアカラ紀においては化石になりやすい骨格や殻などが未発達であったからに過ぎません。従って生物学の観点からはエディアカラ紀以降とクライオジェニアン紀以前に分けて命名するのが適切だと思います。クライオジェニアン紀はその名前からも想像できるように、赤道付近まで凍り付くいわゆるスノーボールアースとなった極寒の時代でした。まあ区分を決めるのは地質学者なのでそれなりの理由があるのでしょう(図198-2)。

エディアカラ紀には前口動物と後口動物共通の祖先となる左右相称動物=ウルバイラテリアが存在したはずという仮説がデ・ロバーティスと笹井によって1996年に提出されましたが(5、6)、その実態は謎に包まれていました。以前からエディアカラ紀の地層に残された移動の痕跡に注目していた研究者はいましたが、それを残した生物についての情報はありませんでした(7、図198-2)。

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図198-2 エディアカラ紀以前の年代区分とエディアカラ紀の生物痕跡

しかしエバンスらはついにその生物の実体を捉えたようで2020年にプロナスに論文を発表しました(8)。この論文には美しい再構成図も添えられているので是非ご覧ください。フリーで閲覧できます。感動します。ウィキペディアにも別の図(漫画的)がでているので、こちらはコピペしておきます(9、図198-3)。

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図198-3 エディアカラ紀のウルバイラテリアに近いとおぼしき生物

エディアカラ紀は海底に細菌が繁殖し、その上に何層もの藻類がびっしりと生えそろった、ある意味楽園のような世界が広がっていましたが(10)、海水に浮遊する細菌や浮遊物を食べている動物しかいなかった時代はこの楽園が維持されていました。しかし藻類を食べる動物が生まれたことによって状況は徐々に変化しました。藻類を食べるには口が下になければいけません。このためには平衡感覚が必要となります。藻類を食べる動物はまわりの藻類を食べ尽くしたら、他の場所に移動しないと食事ができません。そしてランダムに移動すれば良い時代から、探さないといけない時代に移行するのは時間の問題でした。上下を判断する必要性とエサの方向に進む必要性は、左右相称動物誕生の進化的圧力になったと思われます。

エサを探すには移動するための筋肉、それを制御するための神経、エサをみつけて移動方向を決めるための感覚器などが必要です。藻類が食べ尽くされるにつれて、移動するための器官・組織の必要性は大きくなります(10)。エバンスらがみつけたこの体長数ミリの生物(Ikaria wariootia)は直線的に進むだけでなく曲がることができたようです(8)。このことは左右の運動器官を整合性をもって制御しながら進むことができるということで、この生物がかなり高度な神経系をもつことを意味します。

藻類を探して食べているうちにその藻類も食べ尽くされ、ついに肉食生物が登場したのがカンブリア紀でした。肉食生物を代表するのは節足動物のアノマロカリスの仲間たちで、イメージを構成できる眼とエサをつかむ触手を活用し、彼らは海の帝王の地位を獲得しました(図198-4)。他の生物はこの節足動物に食べられないように遺伝子を改変した者が生存に有利となりました。私たちの祖先に近縁な脊索動物、ハイコウイクチス、ミロクンミンギア、メタスプリッギナ、ピカイアなどは泳いで逃亡するという手段を選択しました(図198-4)。これは結構成功したようで、現在でも彼らにかなり近いタイプの子孫=魚類が繁栄しています。

この他にも防御の装備をかためる(ハルキゲニア、ウィワキシア、貝類)、海底の砂に潜る(オットイアなど)、海綿の中に潜る(アイシュアイア)など様々な作戦で捕食を免れる生物が現れました(図198-4)。これによってバラエティーに富んだ生物が生まれたのがカンブリア紀です。貝類は現在でも繁栄していますし、海底の砂に潜る生物も数多く見かけられます。

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図198-4 カンブリア紀に多様化した生物

 

参照

1)Wikipedia: Reg Sprigg
https://en.wikipedia.org/wiki/Reg_Sprigg

2)Sprigg R.C., Early Cambrian(?) jellyfishes from the Flinders Ranges.
Transactions Royal Society South Australia vol.71, pp.212-214 (1947)
https://web.archive.org/web/20070929092905/http://www.samuseum.sa.gov.au/Journals/TRSSA/TRSSA_v071/trssa_v071_p212p224.pdf

3)M. F. Glaessner, Precambrian Coelenterata from Australia, Africa and England. Nature vol.183, pp.1472-1473 (1959).
https://doi.org/10.1038/1831472b0

4)Reg Sprigg's Discovery in South Australia
https://www.youtube.com/watch?v=cpTTdcH0Tvc

5)E. M. De Robertis & Yoshiki Sasai, A common plan for dorsoventral patterning in Bilateria., Nature vol.380, pp.37–40 (1996). https://doi.org/10.1038/380037a0 
https://www.nature.com/articles/380037a0

6)続・生物学茶話 124: ウルバイラテリアをめぐって
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/01/post-4f9530.html

7)Soren Jensen, The Proterozoic and earliest Cambrian trace fossil record; patterns, problems and perspectives. Integr. Comp. Biol. vol.43, pp.219–228 (2003)
https://doi.org/10.1093/icb/43.1.219

8)Scott D. Evans, Ian V. Hughesb, James G. Gehling, and Mary L. Droser., Discovery of the oldest bilaterian from the Ediacaran of South Australia., Proc.N.A.S., vol.117, no.14, pp.7845–7850 (2020) doi/10.1073/pnas.2001045117
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32205432/

9)Wikipedia: Ikaria wariootia
https://en.wikipedia.org/wiki/Ikaria_wariootia

10)トッド・E・ファインバーグ、ジョン・M・マラット 翻訳:鈴木大地 「意識の進化的起源」 勁草書房 2017年刊

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2023年1月 3日 (火)

2023初詣

毎年近くの阿夫利神社に初詣に行くのですが、数年前までは大変でした。特に元日に行くと狭い田舎道が渋滞し、渋滞するとすれ違えないので車の中から人が出てきて口論になったりして、新年早々険悪な雰囲気になるのが常でした。その後徐々に駐車場が整備されたりして混雑は緩和しました。そこでコロナですから昨年などは閑散としていましたが、さて今年はどうなるかと思っていたら、人は相当増えましたが車の整理をする人などもいて、神社もかなりきちんと管理体制をととのえたようで、スムースな初詣になりました。

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神社に行くにはこの長い階段を上がります。

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鳥居の前には花手水が用意してあります。これは今年の新機軸。

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参拝します。元日は階段の下まで行列ができますが、2日は鳥居の前くらいからです。

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参拝が終わったら、破魔矢を購入し、おみくじを引いて豚汁をごちそうになります。たき火は豪快。

 

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2023年1月 1日 (日)

謹賀新年

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明けましておめでとうございます。

今年も読者の皆様にたくさんいいことが
ありますように。

A HAPPY NEW YEAR ユーミン (miko sings)

https://www.youtube.com/watch?v=b05fL1Z2Uq4

 

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2022年12月29日 (木)

私の紅白歌合戦2022

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今年もまた暮れようとしています。皆様良い1年でしたでしょうか? どんな1年だったにしても、大晦日にはすべて忘れてリフレッシュするのが1番。もちろん音楽ファンは音楽に浸って過ごすのが至福でしょう。

「私の紅白歌合戦」の内容はミイディアム-スローな歌謡曲寄りのJPOPがメインで、クラシック系も多少という構成です。YouTube にアップしてくださった方々、アーティストの方々に感謝します。

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1a.タンホイザー ピルグリムコーラス(ワーグナー)
デンマーク放送交響楽団と合唱団 Lawrence Foster
https://www.youtube.com/watch?v=fjD126tBlnQ

アップしたとおぼしき人が 「信じてくれ、これがベストのピルグリムコーラスだ」 と書いていますが、納得です。それにしてもすごい女声コーラスに震撼。

1b.いちご白書をもう一度(ユーミン) 小野友葵子 東京大学コールアカデミー
https://www.youtube.com/watch?v=DWon3NOxq2U

小野さんは往年の名力士水戸泉の奥様で、本業は相撲部屋のおかみ。メガネが多いがコールアカデミーも素晴らしいサポート。

2a.粉雪 レミオロメン
https://www.youtube.com/watch?v=1wxTksLZ1Mw

クリスマスより大晦日に雪が降ってほしいと思う。

2b.ホームにて(中島みゆき) ぷりん
https://www.youtube.com/watch?v=gSo4CfOItA4

ギターの弾き語りでしみじみ聴かせてくれます。

3a.Day in vacation 渚のオールスターズ
https://www.youtube.com/watch?v=PnDYIXMqz1E

スペインで首絞められる前の織田哲郎 最後は足でキーボードを弾く(必見)。

3b.マリーゴールド あいみょん
https://www.youtube.com/watch?v=0xSiBpUdW4E

中国の抗日映画撮影の聖地である上海影視楽園でロケ。そのような場所に堂々と乗り込んでしれっと撮影したことに拍手を送りたいです。このPVの視聴回数はまもなく3億回になりそう。
https://www.recordchina.co.jp/b747771-s182-c30-d1182.htm

4a.輝きながら 德永英明
https://www.youtube.com/watch?v=iLAe1qSw-oU

富士フイルムのCMソングですが、フィルムなんて知らない人も多くなりました。FUJIBRO WP FMシリーズには業務上大変お世話になりました。

4b.もっと Je-vous-aime  石川秀美
https://www.youtube.com/watch?v=4RDVgV7hVlA

薬丸裕英氏の奥様 いまでもインスタは人気だそうです。それにしてもハンドマイクなのに一歩も動かず、お地蔵様のように歌う石川秀美とは・・・・・。

5a.Imitation rain Sixtones
https://www.youtube.com/watch?v=pTh-ncw31ZA

Yoshiki の音楽を懐かしく感じるのが不思議。でもこれは2020年の音楽。

5b.Ailleurs  Keren Ann
https://www.youtube.com/watch?v=CkwgugYJFpM

テンポはゆったりなのに、なんとなくウキウキした感じ。Ailleurs(アイヤ)はどこか他の場所でという意味らしい。

6a.DISH// (北村匠海)  猫
https://www.youtube.com/watch?v=gsT6eKsnT0M

2億回再生間近 あいみょんのすごさ でもこのボーカルもほんとにいいね。

6b.愛が消えないように  まきちゃんぐ
https://www.youtube.com/watch?v=-PJlrmWwOiw

コロナ禍で苦しんだすべての人のために、アップライトピアノの弾き語りで歌う。まきちゃんぐの素晴らしい歌を、多くの人に聴いてほしいと思います。

7a.いざ進めよ、いばらの道を  山田晃士&流浪の朝謡
https://www.youtube.com/watch?v=X2rl1P7xqmE

これはフラメンコなのか?

7b.Iza Susumeyo OTTA-orchestra
https://www.youtube.com/watch?v=uMj2kKLZISw

7a のロックバージョン みなさん楽器が達者なロシアのガールズバンド。本来インストゥルメンタルのグループなので歌っているのは珍しい。

8a.誰も寝てはならぬ(プッチーニ) ヨナス・カウフマン
https://www.youtube.com/watch?v=xN-JCdM4or0

荒川静香選手がオリンピックで金メダルを獲得したときの曲です。

8b.Dich, teure Halle 貴き殿堂よ(ワーグナー) リセ・ダヴィドセン
https://www.youtube.com/watch?v=U9TofuLQOuk

ホールが小さく見えるような豪快な歌唱。マイクが1.5mくらい離れている。

9a.猫になりたい スピッツ
https://www.youtube.com/watch?v=O-Ehx19Bz-U

野外ライブも雨降ると大変。

9b.愛から遠く離れて(中島みゆき)  伽藍琳
https://www.youtube.com/watch?v=OwmEBrrF-6U

中島みゆきも、時にはこんな<無毒で清澄>な曲もつくるのか?

10a.レンガ通り  村下孝蔵
https://www.youtube.com/watch?v=ak9QPtAqHgU

あまりに気の毒な人生だった故村下孝蔵が世に残した名曲。

10b.海辺の葬列 青葉市子/マヒトゥ・ザ・ピーポー
https://www.youtube.com/watch?v=rh_IsgFI_mc

今の時代の空気を恐ろしいほどの音楽で投射する青葉市子。

11a.いつの日か(矢沢永吉) 矢沢singバラード企画
https://www.youtube.com/watch?v=j8XfhkDzn8E

なりきっている 偉大。

11b.口うつしロマンス 中村佳穂
https://www.youtube.com/watch?v=y3Br32he0C4

こういうのがむしろ音楽の原点かもしれない。

12a.SMILE〜晴れ渡る空のように〜  桑田佳祐
https://www.youtube.com/watch?v=HcaMkpdkN_4

地球の歴史・・・・・参りました。

12b.こと 熊木杏里
https://v.youku.com/v_show/id_XNzQ1MjkxNzky.html?s=362628

浮浪者に扮するという驚愕のMV ピアノは清塚信也。YOUKUなのでCMは中国語です。音声が出ないときはXをクリック。CMの間に進むことがあるので、戻す操作が必要になる場合もある。

13a.ビッグスカイ 中川五郎&真黒毛ぼっくす
https://www.youtube.com/watch?v=Qnu9Ms6FiZg

辞世の歌を楽しくみんなで演奏。

13b.雨が降る パリスブルー
https://www.youtube.com/watch?v=PU9ce2PE8Ho

今まで生きてきていろんなボーカルを聴きましたが、谷口實希さんの声はJPOPの歴史で一番美しいと思います。女子が左前のシャツを着るのが流行していた頃。

14a.雨上がりの夜空に 忌野清志郎
https://www.youtube.com/watch?v=cHehR50TaOo

喉頭癌で2009年に死去 声をあきらめて手術で除去しておけば助かったかもしれなかった。 歌と心中した男。

14b.私は風(カルメン・マキ&OZ)  中森明菜
https://www.youtube.com/watch?v=fi25Q-PtVdk

中森明菜がどんなに偉大なシンガーであるかは、これだけで十分。

~~~ 最後のペアになります ~~~

15a.小さな風景(小田和正) 鎮目政宏
https://www.youtube.com/watch?v=61NyvN2uHCU

TVドラマ 遺留捜査の最後に流れる曲

15b.千登勢橋 西島三重子
https://www.youtube.com/watch?v=0TYECCELT6c

もう40年以上前の曲ですが、今でも千登勢橋の下は電車と車が並んで走っています。

🌼🌼🌼🌼🌼

では皆様良いお年をお迎えくださいませ。(^_^)ノ""""

 

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2022年12月27日 (火)

インバル都響 年末第九@サントリーホール2022/12/26

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今日は都響最後のおつとめで恒例の第九演奏会最終日です。指揮はマエストロ・インバル、コンマスはボス矢部、サイドはゆづき。インバルさんは86歳だそうですが、大変お元気でシャープな動きに驚きます。彼のベートーヴェンは運命交響曲のCDを聴けばわかるように、軍隊的規律とも言えるような統制されたアンサンブルで押し切る感じの潔さが特徴です。

この第九も最初からオーケストラと聴衆を戦場にたたき込み、全力疾走させます。第3楽章もアンサンブルの美しさが印象的で素晴らしい。ところが第4楽章はソリストも合唱もはいるので、インバル流で押し切ろうとすると破綻します。合唱の美しさは損なわれ、ソリストは自分の歌が歌えなくてアップアップしている感じ。ベートーヴェンは結構ロマンチストだったと思いますが、それは感じられませんでした。なんだかもやもやしたまま終了で残念。私的にはさっぱり納得がいかない第九でしたが、隠岐彩夏さんという素晴らしいソプラノに遭遇できたことは幸運でした。佐藤しのぶさん以来の実力派スターになりそう。終演後はY夫妻とスタバでささやかな忘年会。しばしマスクを外しておしゃべりする幸福な時間でした。

そろそろ都響も若い指揮者をスタッフに入れて、ガラガラポンで再起動する時期に来ているのではないかと思いますが、アドバイザリーボードを入れ替える方が先かな。

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2022年12月24日 (土)

My favorites 13: 松田マヨのアルバム「夏」

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忘れられた天才と思っていましたが、ワーナーにはまだ記事が残っていました。

ワーナー・ミュージック・ジャパンによる松田マヨの紹介
<<1999年5人組ロックバンド"デイジー"のソングライター、アレンジャー、ボーカリストとしてデビュー。そのプログレ歌謡ロックとも言うべき才気溢れる作風と松田の謎のキャラが話題を呼びサブカル界のカルトアイドルとなる。2001年にデイジーは松田マヨのソロプロジェクトとして再始動。>>

https://wmg.jp/daisy/discography/

そしてディスコグラフィーには「はじまり」というシングルが1枚紹介されています(この似顔絵はよくできていると思う)。まだ販売しているのでしょう。私が紹介したいのは2000年に出版された「夏」というアルバムです。聞き始めて数秒でもう幽体離脱してしまうような不思議な音楽。もちろんデイジーでやっていたロックではなく、プロデューサーの曽我部氏によればアシッド・フォークというジャンルだそうです。

はっきりした記憶として呼び出せない、脳の深部に潜む秘密の領域に音楽でアクセスする術を持つ不思議な能力があるアーティストだと思います。ただここ20年くらい活動の形跡がありません。ところがアマゾンで検索してみると、発売から20年以上経過していますがまだこのアルバムは新品が販売されていました。自分の脳の深部を探索してみたいと思う方は是非。

記憶(memory), 波打ち際(the seashore), 短い日(darken earlier), 夏(summer), 愛(love), 水(water)  どれもとてつもない名曲。

YouTube に一曲だけ映像と共にアップされていました。ワーナーに言いたいのは、まだCD売ってるんだったら、きれいな映像を一つくらいアップしとけよってことです。

今彼女がどうしているかわかりませんが、まだ引退するような年齢じゃないと思うので再起を期待したいです。

松田マヨ「夏」
https://www.youtube.com/watch?v=jynsl5H6r6c

💧 ググったら松田マヨネーズばかりで閉口

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2022年12月23日 (金)

私のインスタントランチ: ラーメン

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インスタントラーメンをどうやって美味しくいただくかというのは大きなテーマです。基本はしょうゆラーメンですが、このマルちゃん-飯田商店のラーメンスープの味は私的には完璧に思えます。カップは捨てて鍋でつくります。

さてスープはそのまま使うとして、ついているチャーシューはちょっとアレだし、かといってチャーシューを買うというのもこれにしか使わないので逡巡します。当たり外れもあります。なるとも麺類にしか使いません。一番経済的なのはフリーズドライのパックを買っておくのがいいのですが、それだけでは物足りない。というわけでハムを1枚入れると、これは当たり外れがなくていいかも。あとのりと乾燥わかめを入れて完成。

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2022年12月21日 (水)

インバル都響 フランク交響曲ニ短調@東京芸術劇場2022/12/20

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平日のマチネなのにインバル都響の公演は大盛況でした。クラシック音楽の演奏会でクラスターが発生したという話はききませんし、会社を休んで来ている人も多いようです。

いつも思うのですが、スタインウェイのピアノでベートーヴェンを演奏すると何か違和感があります。私はヤマハの方が圧倒的に適合していると思います。ヘルムヒェン氏は独自の世界をスタインウェイと共に完全に構築していて完結しています。ベートーヴェンの音楽がこんな高雅な響きでいいんだろうかと思いますが、まあ四の五の言わずに「私の世界に酔ってくれ」と言うことなんでしょう。ソリストアンコールのシューマンも完全にヘルムヒェンの世界。

メインはフランクの交響曲。これはとてもフランクらしい響きでしっくりきました。イングリッシュホルンのソロはいつもの南方さんではなく大植さんでした。私はこの第2楽章がお気に入りです。やたらと豪華なハープも好アシスト。弦も管も絶好調で素晴らしい演奏を有難う。第2楽章の主題を口笛で吹きながら帰路につきました。

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2022年12月19日 (月)

サラの考察24:ワールドカップ終了 アルゼンチンおめでとう

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サラ「ワールドカップはアルゼンチンが優勝して、Monが一押しのフランスは負けちゃったけど、なにかいいたいことはある?」

私「アルゼンチンはフォワードの3人を抑えるのではなく、その背後の3人(グリーズマン、ラビオ、チュアメニ)を押さえにかかったね。これは良いアイデアだったと思うよ。前半フォワードはほとんど仕事ができなかったからね」

グレチコ「ちょっと修正が遅すぎたけど、さすがに後半になるとデシャン監督はなるべく長いパスで中盤を省略する作戦に出て、アルゼンチンの思惑をようやく外すことができて延長に持ち込んだ」

サラ「延長はきついわね。でも今日はメッシも結構走っていたみたい」

私「もう延長は個の技術と精神力の戦いだね。デンベレはPKの原因まで作って前半でベンチに下がったけど、クンデはヴァランとウパメカノという怪物たちと共によくまあ120分頑張ったね。絶大なる拍手を送りたい」

グレチコ「この試合、メッシとエムバペもPKを1回もはずさないで決めたのは立派」

サラ「これで終わったけど、印象に残った選手は?」

私「メッシとエムバペはまあ別格として、GKのボノ(モロッコ)は強く印象に残ったね。スペインは彼に息の根を止められたという意味でもね。日本人では三苫のタイミングをはずすドリブルが印象的だった」

グレチコ「アルゼンチンのアルバレスもいい選手だったね。印象に残ったよ。彼のふわふわしたドリブルはアンスーを思わせるところもある」

私「マンCで使わないんだったら、レンタルでもバルサでプレーして欲しいよ。ずっとトップをレバンドフスキでやるわけにはいかないんだから」

サラ「じゃ 皆さんお疲れ様でした。ともかくアルゼンチン優勝おめでとう」

私「リーガ・エスパニョーラは大晦日から再開されるそうで、また忙しくなるけど頑張るべし」

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