2017年4月28日 (金)

やぶにらみ生物論71: 解糖

17世紀の英国の化学者ジョン(ヨハネス)・メイヨー(1640~1679、図1)は、密閉容器にねずみとろうそくを入れ、ろうそくを燃やすと、まずろうそくが消えて、そのあとねずみが死ぬことを発見しました。ろうそくを燃やさないと、ねずみは燃やしたときと比べてもっと永く生きられました。

ボイルがすでに燃焼には空気が必要であることを主張していましたが、メイヨーは燃焼および生命現象には、空気の成分の1部だけが必要であるとし、その要素を酸素と命名しました。彼は肺が空気から酸素をより分けて血液に供給していると考え、さらに筋肉の活動も体温維持も酸素の燃焼によって行われていると考えていました(1)。メイヨーの慧眼には恐るべきものがあります。

メイヨーの学説はほぼ100年後に、ジョゼフ・プリーストリーとアントワーヌ・ラボアジェ(1743~1794、図1)によって再発見され、特にラボアジェは当時流布していたフロギストン説(「燃焼」はフロギストンという物質の放出の過程である)を否定し、物質と酸素が結合することが燃焼の本質であることを証明しました。彼はこのことを契機に質量保存の法則をみつけました。

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ラボアジェはメイヨーの考えを正しく引き継ぎ、生命の本質とは、呼吸によって体内に取り込まれた酸素によって、体内の物質を燃焼させることであると考えました。彼の著書 "Elements of Chemistry" は英文版もあり、無料でダウンロードして読むことができます(2)。業績をわかりやすくまとめたサイトもあります(3)。

彼は炭の燃焼を研究し、その本質が炭素と酸素の結合によって二酸化炭素が発生することであることを発見しました。さらに人間の呼吸もこれと類似した現象で、体内にとりこまれた酸素が、体内の炭素と結合して炭酸になることであるとしました。図2はラボアジェと共同研究者達が人の吐く息を集めて、成分を分析する実験を行っているところです。一番右でノートをとっているのが彼の妻マリー・アンヌで、彼女は実験ノートをとるだけでなく、実験器具や実験を実施している状況を正確に絵に描いたり、実験の手伝いや英語の論文の翻訳など八面六臂の大活躍で、世界最初の女性科学者とされています(4)。

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ラボアジェは徴税請負人の仕事で研究費を稼いでいました。この仕事は当然恨みを買う仕事であり、フランス革命において断罪され処刑される結果となりました。彼の名はもちろんエッフェル塔に刻まれています。

さて、ではラボアジェの酸素と結合して燃焼する生体物質とは何なのでしょうか? この答えを得るために大きな貢献をしたのがクロード・ベルナール(1813~1878、図3)でした。彼はエネルギー源となる物質はブドウ糖であること、ブドウ糖はグリコゲンという形で肝臓に貯蔵され、グリコゲンは必要時にブドウ糖に分解されることなどを証明しました。このほかにも膵液がタンパク質や多糖類を消化する、胆汁は脂質の消化を助ける、など栄養学の基盤となるような現象を次々と解明しました(5)。ただベルナールの時代には実験動物の取り扱いが悲惨なものだったので、彼の家族は動物実験に反対してみんな出て行ってしまいました(3)。国葬までされた偉大な科学者でしたが、プライベートは寂しい人生だったようです。

クロード・ベルナールは科学哲学者でもあり、松岡正剛がまとめた彼の言葉(6)から少し引用してみました。

● 実験は客観と主観のあいだの唯一の仲介者である。
● 実験的方法とは、精神と思想の自由を宣言する科学的方法である。
● われわれは疑念をおこすべきなのであって、懐疑的であってはならない。
● 実験的見解は完成した科学の最終仕上げである。

ベルナールの「実験医学序説」は私も学生時代に読んだ記憶があります。現在も岩波文庫で出版されているようです(7、図3)。

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エネルギー源がブドウ糖であることがわかったので、次はブドウ糖がどのように代謝されてエネルギーが生み出されるのかという問題でした。この問題を解明したのはグスタフ・エムデン(1874~1933、図4)とオットー・マイヤーホフ(1884~1951、図4)でした。

エムデンとマイヤーホフは共にユダヤ人だったので、ヒトラーが台頭してからは悲惨な人生でした。エムデンはヒトラー・ユーゲントの乱入で講義を妨害され、自宅に引きこもって失意のうちに病死、マイヤーホフはフランスからピレネー山脈を越えてスペインに逃れ、さらにアメリカに亡命しました。このあたりの事情は木村光が詳細を記述しています(8)。彼の文章を読むと、マイヤーホフがアメリカに亡命できたのはまさに奇跡であったことがわかります。

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エムデンとマイヤーホフと彼らの協力者達が解明したブドウ糖からピルビン酸への代謝経路を図5に示します。現代的知見では、この経路で1分子のブドウ糖の代謝によって4分子のATPが生成され、2分子のATPが消費されます。またNADHが2分子生成されます。図5で計算が合わないと思われる方もおられるかもしれませんが、グルコース1分子からグリセルアルデヒド-3-リン酸2分子が生成されるので計算は合っています。この代謝経路は解糖におけるエムデン-マイヤーホフ経路と呼ばれています。エムデンとマイヤーホフはまさしくライバルであり、非常に仲が悪かったようです。

エムデン-マイヤーホフ経路は、多少のバリエーションはありますが、細菌・古細菌・真核生物のドメインを問わない共通の代謝経路です。酸素がなくてもATPを産生できるので、地球の大気に酸素がなかった時代から完成していたと思われます。地球の生物がひとつのファミリーであることの証左でもあります。ちょっと文字が小さいですが、ご不便の際はウィキペディアの「解糖」の項目をご覧下さい。

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エムデン-マイヤーホフ経路の解明だけでは、もちろんラボアジェの「酸素と結合して燃焼する生体物質」は明らかになっていません。ラボアジェに答えるためには、ATP(アデノシン3リン酸)の発見と機能の解明、およびミトコンドリアにおけるクエン酸回路と電子伝達系の解明が必要でした。しかしそれもこれもエムデンとマイヤーホフが解明した解糖系でピルビン酸が生成されるということが出発点になっています。

ATPを誰が発見したのかということについては杉晴夫が詳しい調査を行っています(4)。彼の結論によると、ATPの発見者はカール・ローマンということになっており、論文出版も1ヶ月早かったのですが、これはフィスケの研究室をマイヤーホフが訪問したときに聞いた話をローマンに漏らしたせいであり、本当の発見者はサイラス・フィスケ(1890-1978)とイェラプラガダ・サバロウ(1896-1948)だそうです(4,9)。理系の方の多くは学生時代にフィスケ・サバロウ法でリンを定量したと思います。丸山工作はフィスケとサバロウの実験ノートを調べて、彼らが1927年から1928年にかけて、ATPを発見していたことを確認したそうです(4)。

そして松田誠によると、アデノシン3リン酸の分子構造を解明したのもローマンではなく、牧野堅(1907~1990、図6)だそうです(10,11)。これには私も全く知らなかった話で、仰天しました。牧野がどのような方法で解明したのかも文献(11)に詳しく記載してあります。松田誠は実験を行った場所こそ大連という辺境の病院でしたが、論文はドイツ語で書いてドイツの雑誌に受理されているわけですから(10)、もっと正当に評価されるべきだったと思います。

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すでに核酸のところでも出ましたが、ATPの構造を再揭します(図7)。ATPは図のように高エネルギー結合を2ヶ所に持っており、加水分解されてADPあるいはAMPに代謝されると、エネルギーを放出します。狭い場所に酸素原子が5個も存在して、電気的反発で非常に居心地が悪いのに、酸素を挟んで並ぶPとPが中間にある酸素のローンペアを綱引きしているので、いわゆる共鳴による安定化ができないため、非常に不安定な状態にあります。両側からバネで無理矢理圧縮されているような状態なので、加水分解で解放されると激しく振動し、温度を上昇させます(4)。

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またATPは図8に示したように、共役反応によって、基質Aをより自由エネルギーの高い活性化状態に担ぎ上げることができます。この状態でBと反応が進行し、リン酸を放出して化合物A-Bが生成します。この場合AとBと酵素を単にまぜあわせても、ATPがなければA-Bという化合物はできません。ATPを使う共役反応で、生物は必要な物質を、高分子物質すら合成することができます。ATPはこのように生合成や発熱に使われるだけでなく、筋収縮や能動輸送など生物に特異な現象に幅広く関わっています。

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1937年ハンス・クレブス(1900~1981、図9)はハト胸筋のスライスにピルビン酸とオキザロ酢酸を加えるとクエン酸が生成されることを発見しました。その頃までにコハク酸からオキザロ酢酸への経路はセント・ジェルジによって、クエン酸からα-ケトグルタル酸への経路はカール・マルチウスとフランツ・クヌープによって明らかにされていたので、この両者をつなぐことができたことで、一気にクエン酸回路の完成に近づきました(4)。彼は天才的科学者でかつ医師でしたが、ユダヤ人であったためにドイツで働くことができず、英国に移住して研究を行いました。

クレブスの実験はあくまでも細胞にピルビン酸とオキザロ酢酸を加えると、途中の経路はブラックボックスで、結果的に細胞がクエン酸を生成するというもので、反応の実体は不明でした。このブラックボックスを解明したのがフリッツ・リップマン(1899~1986、図9)でした。リップマンもユダヤ人であり、ナチスの迫害を逃れて米国で研究を行いました。彼らに限らず、20世紀における科学の重要な進展の大部分は、ナチスに追われたユダヤ人によって成し遂げられたように思います。

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解糖によって生成されたピルビン酸が、どのようにしてクエン酸回路に投入されるかという問題はリップマンによって解明されました。キーとなる因子はリップマンが発見したコエンザイムA(CoA あるいは HSCoA などとも表記します)でした(図10)。まずピルビン酸はコエンザイムAと反応してコエンザイムをアセチル化し、アセチルCoAを生成します(図10、図11)。この反応で二酸化炭素とプロトンが発生し、二酸化炭素は肺から外界に排出されます。プロトンはミトコンドリアに蓄積されます。

次にアセチルCoAはオキザロ酢酸とアセチル基を連結させてクエン酸とHSCoAを生成します。クエン酸はクエン酸回路に投入され、HSCoAは再利用されるということになります。クレブスとリップマンはクエン酸回路の解明によって、1953年にノーベル医学・生理学賞を受賞しています(12-14)。

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なぜコエンザイムAのような非常に複雑な分子が、酸素存在下で生物が大発展するためのキーファクターになったのか、それは謎です。

参照

1)J.J.Beringer,  John Mayow: Chemist and Physician.,  Journal of the Royal Institution of Cornwall. Royal Institution of Cornwall. vol.IX, pp.319-324
https://books.google.co.jp/books?id=10MBAAAAYAAJ&pg=PA319&redir_esc=y&hl=ja#v=onepage&q&f=false

2)https://archive.org/details/elementschemist00kerrgoog

3)近代化学の父:ラボアジェ
https://istudy.konan.ed.jp/renandi/materialcontents/107932/101920/2016PreLabo09.pdf

4)杉晴夫著 「栄養学を拓いた巨人たち」 講談社ブルーバックスB-1811 (2013)

5)F. G. Young, Claude Bernard And The Discovery Of Glycogen: A Century Of Retrospect., The British Medical Journal, Vol. 1, pp. 1431-1437  (1957)
https://www.jstor.org/stable/25382898?seq=1#page_scan_tab_contents

6)松岡正剛の千夜千冊
https://1000ya.isis.ne.jp/0175.html

7)クロード・ベルナール著、三浦岱栄訳 「実験医学序説」 岩波文庫 青916-1 (1970)

8)木村光、オットー・マイヤーホッフのヒトラーとナチスからの逃脱-ピレネー越えの真相 化学と生物 vol. 53 (11), pp.792-796 (2015)
https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=478

9)Fiske CH, Subbarow Y.,  Phosphorus compounds of muscle and liver. Science 1929, vo. 70, pp. 381-382 (1929)

10)Makino K., Ueber die Konstitution der Adenosin-Triphosphorsaeure. Biochem Z. vol. 278, pp. 161-163 (1935)

11)松田誠 牧野堅によるATP構造解明 慈恵医大誌 vol. 125, pp. 239-248 (2010)
http://ir.jikei.ac.jp/bitstream/10328/6505/1/125-6-239.pdf

12)Award Ceremony Speech.
https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/1953/press.html

13)Hans Krebs: Nobel lecture, The citric acid cycle.
https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/1953/krebs-lecture.pdf

14)Marc A. Shampo and Robert A. Kyle., Fritz Lipmann—Nobel Prize in Discovery of Coenzyme A. Mayo Clinic Proceedings, Volume 75, Issue         1,  Page 30
http://www.mayoclinicproceedings.org/article/S0025-6196(11)64252-3/pdf

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2017年4月27日 (木)

JPOP名曲徒然草179: 「六甲おろし」 by 矢井田瞳

Summer Koshien 2009 Final.jpg

いろんなバージョンの六甲おろし(正式には阪神タイガースの歌)を聴いてきましたが、

矢井田瞳の歌が一番だと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=NxxygB9WqC0

https://www.youtube.com/watch?v=iFeBjUQ0Jjs

https://www.youtube.com/watch?v=JNY-Guacfs8

https://www.youtube.com/watch?v=7RD9hbFKV48

今まで聴いた中でもっともひどい六甲おろし(by トーマス・オマリー 昔阪神タイガースの4番バッターだった人です)

https://www.youtube.com/watch?v=6uio6ayqpOk

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2017年4月26日 (水)

リーガ・エスパニョーラ第33節: バルサ首の皮一枚で踏みとどまる

Braugranaサンチャゴ・ベルナベウでのクラシコは、新生バルサの幕開けを予感させるものでした。

アディショナルタイムでの怒濤のカウンターは、自陣深くからのセルジのドリブルではじまりました。最も長い距離をすでに走っていた彼は、マドリーの選手を次々交わして突進。これに触発されたバルサメンバーの7人が全力疾走でマドリーゴールに殺到します。最後のメッシの決勝ゴールも、数的優位の結果です。

カゼミーロの意図したラフプレーは許せませんが、まあ新たにマドリーの中心選手に抜擢されたという気負いがなせるものとしましょう。マルセロのひじ打ちは彼の本質があらわれたものです。バルサにとってせめて幸いだったのは、悪童コンビの片割れぺぺが出場していなかったことです。

ベイルが故障明けで絶不調だったのも幸いしました。とはいえバルサも、ネイマールが誰もケガさせてないのに3試合出場停止という、あまりにも理不尽なペナルティーで出られず。スアレスは1年の疲労がどっと出た感じで絶不調。メッシはマルセロにやられて、出血をタオルで止めながらのプレイということで(4針縫うことになったそうです)、バルサのチーム力は昨年秋頃に比べるとがっくり落ちています。

その中でGKテア=シュテーゲンが頑張りました。長身とジャンプ力を生かしてシュートを止めまくり、特にクロースのミドルを止めたプレイは鳥肌ものでした。

決勝ゴールの後、メッシがカード覚悟でユニホームを脱いでアピールしたのは、やはり数々のマドリーのラフプレーに対する抗議だと思います。

これで首の皮一枚で優勝争いに生き残りましたが、休養十分のネイマールのこれからの大活躍を期待したいと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=FTPxORAlT0Y
https://www.youtube.com/watch?v=kcQU8PGlHu8
https://www.youtube.com/watch?v=eBiFZWXUWjw

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2017年4月23日 (日)

やぶにらみ生物論70: ステロイド

ステロイドというと一般的には炎症を抑えるために処方されるコルチゾール系の薬品を意味しますが、学術的にはもっと幅広く、性ホルモン・胆汁酸・コレステロールなども含みます。

ステロイドという生体物質は、脂肪酸や油脂とは全く異なり、図1に示されるような風変わりな基本構造(ステロイド骨格)を持っています。この基本構造はA,B,Cという3つの6員環とDというひとつの5員環からなり、通常3の位置がヒドロキシル化(-OH)またはカルボニル化(=O)されています。また10と13の位置はメチル化、17の位置はアルキル化されています。アルキル化というのはCH3、CH2CH3、CH2CH2CH3、・・・ などCnH2n+1が結合するという意味です。

ステロイド骨格そのものは脂溶性で水に不溶ですが、ヒドロキシル化されていると多少水に溶ける場合があります。17位に結合しているアルキル基がヒドロキシル化されることもあります。

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ステロイドはほとんどの真核生物の体内で生合成され、細胞膜の重要な構成成分となっているほか、胆汁に含まれる胆汁酸やホルモン類(性ホルモン・副腎皮質ホルモンや昆虫の変態ホルモンなど)として、幅広く利用されています。ただしステロイドは真核生物だけに合成能力があり、細菌や古細菌にはみられません。したがって例えば化石にステロイドが含まれていれば真核生物と示唆されます(もちろん現生生物による汚染の問題は常に考慮されなければなりません(1))。

話は変わりますが、多くの硬骨魚類は鰾(うきぶくろ)を持っていますが、サメなどの軟骨魚類はもっていません。従って泳がないと海底に沈んでしまいます。このような事態をさけるために、一部のサメは肝臓に多量のスクワレンという脂質を蓄えて浮力の足しにしています(2、3)。サプリメントの肝油というのはこの種のサメの肝臓の抽出物でです(4)。辻本満丸は1906年にサメの肝油からスクワレンを発見して記載しています(5、図2左)。後日書籍にもなっているようです(図2右)。

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スクワレンの構造は、1929年になってイアン(イシドール)・ヒールブロンによって明らかにされました(6)。よく化粧品に使われるスクワランは、スクワレンの-C(?)=C(?)-をすべて-CH(?)-CH(?)-に変換したものです(?はCH3またはH)。スクワレンはクエン酸回路やβ酸化にもかかわっている、いわば代謝の交差点のようなアセチルCoAから生合成されます(図3)。そしてスクワレンがステロイド合成の起点となります。

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スクワレンはスクワレンエポキシデース(7)とラノステロールシンテース(8)という2種の酵素のはたらきで、ラノステロールというステロイド骨格をもつ化合物に変化します。

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ラノステロールはあらゆるステロイド化合物の前駆体ですが、自身もラノリンの成分として動物の皮脂腺から分泌されており、毛皮に水分が浸透しないように保護する役割があるとされています(10)。

実は毛根は表皮を経由せず直接外界と接しているので、もし皮脂がなければ容易にウィルスや細菌が侵入してきます。したがって毛穴を皮脂で埋めておくことは大事なことです。ですから、毛根鞘の死細胞を取り除くというメリットがあるとしても、毎日髪をシャンプーで洗うことは健康には良くないと言えます。どうしてヒトは髪を洗うと気分が良くなるのか、生物学的には不思議な現象です。もちろん毎日シャンプーで毛を洗う生物なんて、ヒト以外にあり得ません。

ラノステロールからコレステロールが合成される経路をウィキペディアからコピペしました(図5)。

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これらの複雑なステロイド生合成経路を解明した業績で、コンラート・ブロッホ(1912-2000)とフェオドル・リュネン(1911-1979)(図6)が1964年のノーベル生理学・医学賞を受賞しています。ブロッホはユダヤ人で、ナチスから逃れて米国にたどりついた人です。リュネンはミュンヘンで生まれ育ち、ミュンヘン大学教授からミュンヘンのマックス・プランク細胞化学研究所の研究所長になりました。伝説の 故沼正作先生(http://scienceandtechnology.jp/archives/9655)はこの方のお弟子さんだそうです。

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代表的なステロイド系化合物の構造を図7に示しました。コレステロールは細胞膜の構成要素、コール酸は胆汁の成分、テストステロンは男性ホルモン、エストラディオールは女性ホルモン、コルチゾールは副腎皮質ホルモンです。

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図8にみられるように、コレステロールは細胞膜の構成要素です。細胞膜の基本構造はリン脂質が「親水部位」を細胞外および細胞内の外側向け、「疎水部位」を膜内部にむけて整列した2重膜構造になっていますが、コレステロールも親水側を細胞外または細胞内に向け、疎水部をリン脂質の疎水部位に埋め込んだ形で存在します。

コレステロールが膜構造に加わることによって、膜の流動性(しなやかさ)が高くなり、温度が下がることによって発生する相転移(硬くなる)が阻止されます。細胞膜は単なる壁ではなくて、その中で化学反応や分子構造の変化、物質の出し入れなどが行われているので、それなりの可塑性の高さが必要だと思われます。

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コレステロールが特に集積している組織として、ミエリン鞘が知られています。ミエリン鞘は神経細胞の軸索を被うカバーのような組織です。その実体は図9に示すように、シュワン細胞はが「ふとん」で軸索が「人」だとすると、「ふとん」でぐるぐる巻きにしたような構造になっています。すなわち細胞膜が何重にもなっているような構造なので、細胞膜の脂質は当然大量に含まれることになります。脳の白質はミエリン鞘が集積している組織なので、特に脂質が豊富です。

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コレステロールというと、すぐに健康診断でのHDL・LDLの値が頭に浮かぶわけで、ここを避けては通れません。コレステロールは水への溶解度が低く(95マイクログラム/リットル)、体の中を移動するにはタンパク質と結合して、リポタンパク質の形をとらなければなりません。

コレステロールは主としてLDL(low density lipoprotein)またはHDL(high density lipoprotein)というリポタンパク質として移動します。LDLはコレステロールを肝臓から末梢組織へ供給し、HDLは過剰なコレステロールを末梢組織から肝臓に戻す役割があると言われています。HDLでもLDLでもコレステロール自体の分子構造に変わりはなくて、結合するタンパク質の方が異なっています。

LDLは悪玉コレステロール、HDLは善玉コレステロールと呼ばれていますが、これは害虫と益虫のような自然科学とは乖離した命名で、私たちは使いたくないのですが、LDLが動脈硬化の一因であることは確かなようです(12)。LDLが細胞内で発生する活性酸素によって酸化されると、マクロファージに貪食され、大量にLDLを取り込んだそのマクロファージが死ぬと、死んだ場所にコレステロールの塊(胆石はコレステロールの塊です)が残されます。これによって動脈硬化が促進され、最悪心筋梗塞や脳梗塞に至ります。

HDLが少なすぎると、余分なコレステロールを肝臓にもどせなくなるわけですが、かといってどんどんもどすと脂肪細胞が巨大になって、脂肪細胞が分泌するホルモンなどが過剰になり、生理活性物質のバランスがくずれると思うのですが、そのあたりのことはよくわかりません。

肥満になると脂肪細胞から分泌される物質(アディポサイトカイン)が異常となり、生活習慣病を誘発すると指摘している書物はあります(13)。ただHDLの wikipedhia をのぞいてみると、HDLのないマウスも生きているみたいなので、コレステロールを運搬する別経路もあるようです(14)。ならば健康診断の結果を見て、指導員がHDLが少ないからどうしろこうしろというのも、本当に妥当な指示かどうかは疑わしいと思います。すくなくともまだ医学的な根拠には乏しいようです。

コール酸は肝臓でコレステロールから合成されてたあと、グリシンやタウリンと結合してグリココール酸やタウロコール酸となります(図10)。これらは抱合胆汁酸と呼ばれますが、胆嚢に蓄積された後、胆汁の成分として腸内に放出され、脂肪をミセル化して腸に吸収されやすくします。脂肪をミセル化した代表的食品として図10のマヨネーズがあります。

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性ホルモンについてはあらためて述べる機会もあると思います。最後に糖質コルチコイド(=グルココルチコイド)についてすこし述べておきます。コルチコステロン・コルチゾール・コルチゾンなどがこれに相当します。デキサメタゾンなどは自然に存在するものではなく、人工的に合成された薬剤であり、主として炎症をおさえるため、または免疫反応を抑制するために使用されます。

生体に存在する糖質コルチコイドは副腎皮質で作られ、抗炎症作用や免疫抑制作用のほか、図11のようにインスリンと逆の役割で、血糖値を上昇させる作用があります。主に生体がストレスを感じたときに分泌されます。糖質コルチコイドなどのステロイドホルモンは一般的に細胞膜を通過することができ、細胞質にある転写調節因子と結合して核内に侵入し、転写を調節することによって機能が発揮されます(15)。

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参照

1)http://blog.livedoor.jp/science_q/archives/1861037.html

2)http://markpine.blog95.fc2.com/blog-entry-69.html

3)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%B3

4)http://www.241241.jp/products/supplement/same/

5)辻本満丸  “黒子鮫油に就て”. 工業化学雑誌 vol. 9 (10): pp. 953-958. doi:10.1246/nikkashi1898.9.953 (1906)

6)Heilbron, I. M.; Thompson, A. ,  "CXV.—The unsaponifiable matter from the oils of elasmobranch fish. Part VI. The constitution of squalene as deduced from

a study of the decahydrosqualenes."  J. Chem. Soc. pp. 883–892. (1929)  doi:10.1039/JR9290000883.

7)榊原順、小野輝夫、スクアレンエポキシダーゼ -もうひとつのコレステロール合成律速酵素 蛋白質 核酸 酵素 vol. 39 (9), pp. 1508-1517 (1994)
http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=1994&number=3909&file=j9768PH3xxMJB18tkcGRUQ==

8)阿部郁朗、スクワレン閉環酵素の生物有機化学 蛋白質 核酸 酵素 vol. 39 (10),  pp. 1613-1624 (1994)
http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=1994&number=3910&file=c/RbruPLUSYUeEJB18tkcGRUQ==

10)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%8E%E3%83%AA%E3%83%B3

11)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB

12)http://fmd-kensa.jp/pg2.html

13)近藤和雄 「人のアブラはなぜ嫌われるのか」 ~脂質「コレステロール・中性脂肪など」の正しい科学 技術評論社 (2015)

14)https://en.wikipedia.org/wiki/High-density_lipoprotein

15)http://kanri.nkdesk.com/hifuka/ste2.php

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2017年4月22日 (土)

アラン・ギルバート&都響 エロイカ by ベートーヴェン など@東京芸術劇場2017年4月22日

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今日は池袋芸劇で都響のC定期です。雨の予報でしたがコンマス矢部ちゃんの行いがやや良かったのでしょうか、終演時にも降っていませんでした。サイドは四方さん。指揮アラン・ギルバート。

出かける前にミューザ川崎のサイトにアクセスして、フルシャの「わが祖国」のチケットを予約。開始時間まで待機してアクセスしたのですが、ブロックごと全部売り切れの場所もあって、かなり慌てました。

エキチカを歩いて行くと、芸劇入り口のパティオ・ドゥ・メトロが改装中でお休みとはがっかりです。ここの焼きカレーが好きなもので。

前回は男性奏者が全員白の蝶ネクタイだったのですが、今回は通常モードにもどりました。美里もロングドレスからいつものボディコンパンツに復帰。

アラン・ギルバートはしなやかで強靱な音楽をやりたいようです。風貌に反して彼なりのエレガンスがゆきとどき、特に弦の音がやせたり、硬くなるのを避ける音作りをしています。都響のためには非常に良いことではないでしょうか。ただどんな曲でも同じコンセプトで金太郎飴という感じがしないでもありません。とはいえ、最初の「エグモント序曲」からヴィヴィッドな演奏でテンション上げてくれます。

2曲目のラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」で、ソリストのイノン・バルナタンが登場。この人は非常に繊細なピアノ演奏をしますが、かなり小柄で、腕力と体重が足りないような感じがします。ロシア風でも米国風でもない、彼独特の繊細なラフマニノフですが、私はこの人はコンチェルトよりも独奏や室内楽の方が向いているように思いました。その証拠に、ソリストアンコールの J.S.バッハ:『わが楽しみは、元気な狩のみ』BWV208より「羊は安らかに草を食み」の素晴らしかったこと。いや参りました。

彼の部屋に私たちオーディエンスが招き入れられて、聴かせていただいた感じです。「私の音楽を聴きたければ、私の中にはいっておいで。外にこれ見よがしに発散するのはあまり好きじゃないんだよ」というイメージでしょうか。

休憩後の「エロイカ」はじっくりと聞かせてもらいました。特に弦の音とまとまりと躍動感が気持ち良い演奏でした。広田氏のオーボエをはじめとして、いつものことながら管楽器(ホルンを除く)・打楽器も素晴らしいと思いました。

アラン・都響の演奏が公開されています。↓のサイトにアクセスし、少し下にスクロールしてクリック。

ベートーヴェン交響曲第7番第4楽章
http://www.tmso.or.jp/j/concert_ticket/detail/detail.php?id=3029&year=2017&month=4

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2017年4月20日 (木)

猫アレルギーの話

A1130_000532_2猫アレルギーの原因のほとんどは Fel d1 というタンパク質であることが明らかになっています。このタンパク質は猫の唾液、汗腺、皮膚から分泌されます(1)。分子構造も明らかになっています(2)。

2006年にアレルカ社(現ライフスタイル・ペッツ社)は低アレルギー猫を発売しました(3)。しかしこれがどのような方法で製造されたのかが企業秘密でわからないのです。Fel d1 の遺伝子をノックアウトして製造したと考えたくなりますが、会社はそうは言っていません。遺伝子組み換え生物に関する法律の網の目をくぐるために、グレーゾーンでビジネスを展開しようと考えているのかもしれません(4)。Allerca GD という名で約70万円だそうです。ちょっと高価で飼育するのも大変ですが、Ashera GD というのもいます(5)。これも低アレルギー猫です。

私はこの種の遺伝子組み換え生物については、モンサント社の農薬+遺伝子組み換え植物のセットなどとは全然次元の違う問題で、遺伝子組み換え生物であることが明らかになったとしても、政府は輸入許可を出すべきだと思います。高濃度の農薬の影響などは考えなくてもいいですし、口に入るわけでもありません。猫アレルギーの人も猫を飼育できるという大きなメリットがあり、近隣に猫アレルギーの人がいる場合でも大丈夫というメリットもあります。

アレルギー軽減猫は将来の話として、いまとれる有効な対策としてはプラズマクラスターがあります。学術論文もあるので、プラズマクラスター付きの空気清浄機が有効なことは確かでしょう(6,7)。もちろん医師にアレルギー反応をおさえる薬を処方してもらうのは有効でしょうし、医師の指導のもとに免疫寛容を狙うことも可能かもしれません。

猫アレルギーなのに、自宅で17匹の猫を飼っている方がいらっしゃるようです(8)。また私の知人で、ネズミアレルギーなのに、ネズミを飼育して研究している方もいます。

(写真はフリー写真サイト「足なり」より)

1)A. J. Dabrowski et al., Cat skin as an important source of Fel d I allergen. The journal of allelgy and clinical immunology. vol.86(4), pp. 462-465 (1990)
http://www.jacionline.org/article/S0091-6749(05)80200-3/pdf

2)L. Kaiser et al., "The crystal structure of the major cat allergen Fel d 1, a member of the secretoglobin family". J. Biol. Chem. vol.278(39) pp. 37730-37735 (2003)
http://www.jbc.org/content/278/39/37730.full.pdf

3)"Hypoallergenic" Cats
http://news.nationalgeographic.com/news/2006/06/060609-allergies-cats.html

http://abcnews.go.com/Business/worlds-hypoallergenic-cat-scientific-breakthrough-hype/story?id=19692501

4)NHKクローズアップ現代紹介の「遺伝子組み換え猫」について
http://hideyukihirakawa.com/blog/archives/201011/252325.php

5)http://www.ne.jp/asahi/box/kuro/report/geneticpet.htm

6)プラズマクラスターは猫アレルギーを軽減するか?
http://www.konekono-heya.com/news/2016/september/29.html

7)Kazuo Nishikawa, Exposure to positively- and negatively-charged plasma cluster ions impairs IgE-binding capacity of indoor cat and fungal allergens. World Allergy Organ J. vol.9(1): pp.27-33 (2016)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5011831/pdf/40413_2016_Article_118.pdf

8)http://news.mynavi.jp/articles/2014/06/25/catallergy/





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2017年4月18日 (火)

アラン・ギルバート&都響:「シェヘラザード.2」 by ジョン・アダムズ @東京文化会館2017年4月17日

Imgaまた雨ですか~。矢部~。といっても今日は矢部ちゃんはサイドで、コンマスは四方さん。指揮はマエストロ=アラン・ギルバートです。ついに新年度の都響定期演奏会開幕です。男性奏者は全員白の蝶ネクタイで、これは楽団が配布したんでしょう。ただエキストラさんが目立ちます。これはどうしたわけですかねえ。私にはわかりません。

月刊都響にはひとつ大きな変更がありました。楽曲解説に英文版がついたのです。最近は外国人のお客さんも多いので、このようなサービスはあった方がいいですね。ただ集客を狙うなら、中国語版・韓国語版で中国・台湾・韓国のお客さんをターゲットにした方が有効だと思います。

開幕演奏会の集客はいつものウィークデイ夜の定期レベルで70%くらいの入り。空席が目立ちました。まあ現代音楽の本邦初演では致し方ないかも。確かに本邦初演ということになれば、楽団の業績として認められるわけですが、それで集客がうまくいかないのでは本末転倒です。

前半はラヴェルの「マ・メール・ロワ」。バレエ用の拡大版で、非常に楽しめました。やはりラヴェルは音響の天才です。アラン・ギルバートは無骨な感じですけど、この曲は都響には向いている音楽で、演奏は夢のように美しい。前半だけでも来た甲斐はありました。

休憩後の後半はソリスト、リーラ・ジョセフォヴィッツの登場。細いパンツなのですが、なんと膝くらいまでスリットが入っているという風変わりなコスチュームです。演奏は若い頃のようなエグさが軽減して、彼女も円熟してきたのかなと思いました。舞台を見渡すと、3分の1くらいの幅を占めるゴングが壮観でした。普段はティンパニ担当の久一さんが演奏。

ジョン・アダムズの曲「シェヘラザード.2」は、ラヴェルの「マ・メール・ロア」とかなり似ているところがあります。ただツィンバロン・タムタム・ゴング・大太鼓などを多用して、より派手な効果をねらっています。残念ながらラヴェルには遠く及びません。学者が頭で作った音楽という感じが払拭できないのです。聴き所は結構あったように思うのですが、個人的にこの音楽には全くのめりこめませんでした。もちろんリムスキー・コルサコフのシェへラザードとは比べる意味もないくらいの作品でしょう。シェヘラザード.2というネーミングも納得できかねますね。

というわけでそこそこ楽しめましたが、CDを買って帰ろうという気にはなれませんでした。それにしても四方さんのヴァイオリンは、いつもながら心がリフレッシュされるような素晴らしい音です。退任される前に、何でもいいから都響とコンチェルトを演奏して欲しいと思います。

リーラの演奏

ブルッフ バイオリン協奏曲 第1楽章
https://www.youtube.com/watch?v=e6S-XWlGmjw

カフェ・コンサート
https://www.youtube.com/watch?v=-s4K_nVhYYk

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2017年4月17日 (月)

ジェットストリーム

A1820_000007FM東京の番組ジェットストリーム(1)は、今年で50周年だそうです。良く続いたものだと思います。最近また聴く機会が多くなって、というのは夜のネコ会議の時間なので、やることがなく、小さな音でFM東京を聴くことになりました。

猫たちは音楽を聴いているわけではありませんが、トランペットが高周波を発したりすると、「あれ、何だろう」という感じで耳をそばだてます。サラはリズミカルに指圧をすると気持ちが良いようで、そういう意味ではリズムは理解できるようです。

会議は毎日の習慣なので土日も深夜FM東京を聴いているのですが、土曜日はゆきりん(2)、日曜日はナベサダ(3)が別番組をやっています。ゆきりんは非常に頭が良いという印象です。何事も的確にてきぱきこなしていくような人物で、フェミニンな雰囲気はほとんどありません。女子力もゼロに近いと想像します。むしろ会社の上司や部下がこんな人だったらいいのにという感じです。

ナベサダは自身の40年以上前のライブ録音をかけたりしています。ものすごいのですが、深夜の放送にふさわしいかどうかは疑問です。最近引っ越しで疲労困憊しているようです。どの本、どのレコード・CD、どの石(石収集が趣味)、どのゴルフクラブを棄てるかで悩ましいと語っていました。

ナベサダの後、横山幸雄(4)が登場してクラシック番組になります。横山幸雄は超人ピアニストで、ショパンのピアノ曲は166曲あるそうですが、それを暗譜で18時間かけて全部演奏したそうです。昨年「上野学園大学の経営に不正の疑いがある」として経営陣を刑事告発し、それに対し「業務妨害」として2017年3月13日付で大学を解雇されたとのことです(5,6)。

ジェットストリームはいつも、DJ大沢たかおの語りはなるべく少なくして、音楽を垂れ流すという印象なのですが、直近の金曜日に2回続けてユーミンが登場してびっくりしました。そこでユーミンのデビュー曲「出さない手紙」(7)がかかったのですが、私には全く記憶がなくてもう一度驚きました。非常に地味な曲で、ご本人の話だと300枚しか売れなかったそうです。

ユーミンの twitter (8)をみていると、頻繁に更新しつつ、ファンの質問にもきちんとウィットをもって答えているようで、結構マメな人だと思いました。

1) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E5%B1%B1%E5%B9%B8%E9%9B%84
2) http://yukiring.jp/
3) http://www.sadao.com/
4) http://yokoyamayukio.net/
5) https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/201944
6) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E5%B1%B1%E5%B9%B8%E9%9B%84
7) https://www.youtube.com/watch?v=zx-0FP_ZN6k
8) https://twitter.com/yuming_official

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2017年4月14日 (金)

やぶにらみ生物論69: 糖脂質

前回68で、スフィンゴシンやセラミドの発見者としてヨハン・トゥーディヒョウムの名前を出しましたが、彼は臨床医で科学実験は自宅でやっていたこともあって、当時の学会からは嘲笑・圧殺されるような存在だったそうです。しかし彼はスフィンゴシンやセラミドのみならず、糖脂質の研究も創始しました。トゥーディヒョウムは1901年に死亡しましたが、死後1910年代になって再評価が進み1913年以降、1870年代に彼が脳から抽出精製した糖脂質(セレブロシド)の構造が解明されて、埋もれていた研究が日の目を見ることになりました(1)。

セレブロシドの構造を解明したのはオットー・ローゼンハイムやハンス・ティーレフェルダーらで、トゥーディヒョウムが脳から抽出して精製した物質はガラクトース-スフィンゴシン-リグノセリン酸およびガラクトース-スフィンゴシン-セレブロン酸の2種であることがわかりました(図1)。いずれもスフィンゴシンに糖と脂肪酸が結合した化合物であり、これが糖脂質(スフィンゴ糖脂質)の基本構造になります。

光合成細菌や植物はスフィンゴ糖脂質とは異なるグリセロ糖脂質(図1右下)を持っており、これはグリセリンの3つのOHのうち、2つに脂肪酸、1つにガラクトースが結合している構造になります(2)。機能も研究されています(3)。私たち動物の体にも多少見つかるようですがその機能はよくわかっていないようです。

A

その後エルンスト・クレンクやアルバート・キンバルらによって、セレブロシドの脂肪酸の部分が、リグノセリン酸とセレブロン酸以外にネルボン酸やα-オキシネルボン酸の場合もあることが示されました(4、5、図2)。

A_2

セレブロシドに含まれる糖はガラクトースだけでなく、グルコースの場合もあります(図3)。ガラクトセレブロシドが脳に多いのに対して、グルコセレブロシドは全身に存在します。グルコセレブロシドをグルコースとセラミドに分解する酵素(グルコセレブロシダーゼ)に遺伝的欠陥または欠損があった場合ゴーシェ病となり、肝臓・脾臓・骨髄・脳などにグルコセレブロシドが蓄積して様々な症状を発症します。

グルコースを含むセレブロシドの存在は、ゴーシェ病の患者に蓄積されたセレブロシドの解析から明らかになりました(1)。このように、病気の解析が基礎科学の進歩に寄与することはよくあることです。

A_3

実はクレンクらが提出していたセレブロシドの構造式には間違ってい点があって、ハーバート・E・カーターらはそれまでの間違いを正し最終的にスフィンゴシンの構造を確定ました(6)。もしろん図1に示した構造は確定されたものです。第二次世界大戦後の糖脂質の研究は、ハーバート・E・カーター(図4)を中心に進められました。彼の人となりなどは「参照」に示したメモアールに記載されていますが、学会の前日でも雨のゴルフコースに出て行くほどゴルフ好きだったようです(7)。

A_4

さてスフィンゴ糖脂質にはセレブロシド以外にもうひとつ大きなグループがあり、それはウィキペディアの定義によれば、糖がセレブロシドでは単糖であるのに対してオリゴ糖のものということで、ガングリオシドと呼ばれています。

ガングリオシドの名の由来はガングリオン(神経節)で、脳の灰白質に多いことからクレンクが命名しました(8)。図5に代表的なガングリオシドであるGM1の構造式を示しましたが、セレブロシドとの違いは糖が単糖ではなく、オリゴ糖であることです。

ノイラミン酸という新顔も登場します。これらで構成されるオリゴ糖には多様性があり、図6に示されるように、外からひとつづつ糖を削っていくとGM2、GM3となりますし、追加や枝分かれもあるので、非常に多様な構造になり得ます。

A_5

図6にはGM1、GM2、GM3の関係を示します。

A_6

ノイラミン酸は糖脂質だけでなく、糖タンパク質においても頻出しますが、ノイラミン酸そのものは生体には存在せず、アミノ基や水酸基の水素が置換されてできた化合物が重要な役割を果たしているようです。N-アセチルノイラミン酸やN-グリコリルノイラミン酸はその例で、これらをまとめてシアル酸とよびます(図7)。

A_8

細胞膜は脂質でできているので、ガングリオシドはそのスフィンゴシンやステアリン酸の疎水性の部分を細胞膜に埋め込み、オリゴ糖部分を細胞外に突き出すことができます。まさしく樹木の地下部分と地上部分のようなイメージです。そうすると地上部分のオリゴ糖の構造によって、細胞を識別することが可能です。つまり接着しやすい構造の細胞が集まって組織をつくることができるわけです。また細胞外からの情報を、あるグループの細胞だけが受けとることもできます。

第二次世界大戦前後の頃は、そんな糖脂質の機能など想像もされていなかったのですが、突破口を開いたのは戦後間もない日本の山川民夫(図8)でした。彼が目を付けたのは、ウマの赤血球をウサギに注射すると、ウマの赤血球を凝集する抗体がウサギの血清中に産生されますが、その血清は、ウシやヒツジなどの赤血球を凝集することはできないという、いわゆる種特異性凝集反応でした。彼は赤血球膜には種特異性を示す何かがあるかもしれないと考えました。

A_9

まずウシの赤血球を水に投入して溶血させ、細胞膜を遠心分離によって沈殿させます。その沈殿(ゴーストという)を多量に集めて脂質を抽出すると、セレブロシドではなくガングリオシドに似た物質が抽出されました。これを山川はヘマトシドと名付け、ブタの脳のガングリオシドと比較研究をはじめました。ヘマトシドにはブタのサンプルと異なりノイラミン酸が含まれていることがわかりました。

その後ヒトの赤血球の糖脂質とも比較しましたが、それはウマの糖脂質とはかなり成分が異なっており、グロボシドと名付けられました。グロボシドには脂肪酸・スフィンゴシン・グルコース・ガラクトース・アセチルガラクトサミンが含まれていました。

いろいろな動物で調べてみると、ノイラミン酸がなくてガラクトサミンがあるタイプ(グロボシド型、ヒト・ブタ・モルモット・ヒツジ・ヤギ)と、ノイラミン酸があってガラクトサミンがないタイプ(ヘマトシド型、ウマ・イヌ・ネコ)に分かれていることがわかりました(1)。

カール・ラントシュタイナー(1868-1943、図7)がABO血液型を発見したのは1901年のことでした。1960年になって、山川らはグロボシドと抗A抗体の沈殿から糖脂質を抽出し、血液型物質が糖脂質であることを示唆しました。このことは多くの研究者によって追試され、赤血球表層にある血液型物質が糖脂質であることは確定しました(1)。

図9をみるとわかるように、ガングリオシド(グロボシド)のオリゴ糖部分はO型が基本となっており根元がフコースで、ガラクトース・Nアセチルグルコサミン・ガラクトースとつながっています、A型ではフコースの次に位置するガラクトースにN-アセチルガラクトサミンの側鎖があり、B型では同じガラクトースにガラクトースの側鎖がついています。AB型ではA型の側鎖があるガングリオシドとB型の側鎖があるガングリオシドの両者があります。

A_10

血液型についての説明は下にウィキペディアをコピペしておきます。内容はちょっと難しいかもしれません。H抗原というのは図9ですべての型の人が持っているフコース+ガラクトース+Nアセチルグルコサミン+ガラクトースのチェインのことだと思います。このチェインにNアセチルガラクトサミンまたはガラクトースを結合させる際に、それぞれ別の酵素が必要で、それがA型、B型の人は1種づつ、AB型の人は2種もっていて、O型の人は両方とも持っていないということでしょう。

ただそのH抗原の糖鎖をつくるのにも酵素が必要なので、この土台をつくる酵素が欠損している場合、Nアセチルガラクトサミンまたはガラクトースを結合させる酵素が存在しても、実際にはA抗原もB抗原も形成されず、見かけ上O型と同じになってしまうので注意が必要です。

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A型はA抗原を発現する遺伝子(A型転移酵素をコードする遺伝子)を持っており、B型はB抗原を発現する遺伝子(B型転移酵素をコードする遺伝子)を、AB型は両方の抗原を発現する遺伝子を持っている。A抗原、B抗原はH抗原からそれぞれA型転移酵素、B型転移酵素によって化学的に変換される。

3種の遺伝子の組み合わせによる表現型、ABO式血液型を決定する遺伝子は第9染色体に存在する。H物質発現をコードする遺伝子は第19染色体に位置し、H前駆物質をH物質へ変換させる。この遺伝子が発現しない場合はボンベイ型となる(後述)。

  • A型 - A遺伝子をすくなくとも一つ持ち、B遺伝子は持たない(AA型、AO型)→A抗原を持つ。B抗原に対する抗体βが形成
  • B型 - B遺伝子をすくなくとも一つ持ち、A遺伝子は持たない(BB型、BO型)→B抗原を持つ。A抗原に対する抗体αが形成
  • O型 - A遺伝子・B遺伝子ともに無い(OO型)→H抗原のみ持つ。A,B抗原それぞれに対する抗体α、抗体βが形成
  • AB型 - A遺伝子・B遺伝子を一つずつ持つ(AB型)→A抗原、B抗原両方を持つ。抗体形成なし

A抗原とB抗原は、持っていないとそれに対する自然抗体が形成されることが多く、この場合、型違い輸血により即時拒絶が起こる。自然抗体がなくとも型違い輸血により1週間程度で新しいIgM抗体が生産されこれが拒絶反応をおこす。そのため、基本的には型違い輸血は行われない。輸血される血液は受血者の血液より少量のため、血漿によって希釈されて抗原抗体反応が起こらなくなる。そのため、かつてはO型は全能供血者、AB型は全能受血者と呼ばれていたが、ABO以外の型物質(Rh因子やMN式血液型など)が存在することもあり現在では緊急時を除いては通常行われない。2010年4月には大阪大学医学部附属病院で治療を受けた60代の患者が同型の赤血球製剤とO型の新鮮凍結血漿の輸血後に死亡する事故が発生している(但し、この患者は搬送当時すでに意識がなかったことから輸血が原因でない可能性もある)。

なお、自然抗体を持っている理由は、細菌やウイルスが唾液や性的接触などにより人間間で感染するように、人間の細胞や細胞の断片も人間間を移動するからであり、移動した断片はマクロファージによりファゴサイトーシスされ、これがT細胞に提示され抗体が作られる。主にIgMが作られるが、IgG抗体も作られることもある。

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糖脂質についてもっと詳しく知りたい方には総説(9、10)などがあります。

参照

1)山川民夫著 「糖脂質物語」講談社学術文庫 (1981)

2)日本光合成学会:http://photosyn.jp/pwiki/index.php?%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB

3)下嶋美恵・小林康一・太田啓之 葉緑体チラコイド膜を構成するグリセロ糖脂質の生合成と機能 化学と生物 vol.46, pp.330-337 (2008)

4)H.Thierfelder and E.Klenk., Die Chemie der Cerebroside und Phosphatide. (1930)

5)A.C.Chimball, S.H.Piper, and E.F.Williams.,  XVIII.THE FATTY ACIDS OF PHRENOSIN AND KERASIN. Biochem.XXX pp.100-114 (1936)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1263366/pdf/biochemj01065-0112.pdf#search=%27Thierfelder+and+Klenk+1930%27

6)Herbert E. Carter et al., Biochemistry of the sphingolipides. III. Structure of sphingosine.  J. Biol. Chem. vol.170, pp.285-294 (1947)
http://www.jbc.org/content/170/1/285.full.pdf

7)N a t i o n a l  Ac a d e m y  o f  S c i e n c e s,  H e r b e r t  E d m u n d  C a r t e r 1 9 1 0 — 2 0 0 7
A Biographical Memoir by Robert K. Yu and John H. Law (2009)
http://www.nasonline.org/publications/biographical-memoirs/memoir-pdfs/carter-herbert-e.pdf

8)William W. Christie., GANGLIOSIDES STRUCTURE, OCCURRENCE, BIOLOGY AND ANALYSIS (2012)
https://web.archive.org/web/20120328213709/http://lipidlibrary.aocs.org/lipids/gang/file.pdf
https://web.archive.org/web/20091217095434/http://lipidlibrary.aocs.org:80/Lipids/gang/index.htm

9)Sen-itiroh Hakomori., Structure and function of glycosphingolipids and sphingolipids: Recollections and future trends. Biochim Biophys Acta. vol. 1780(3) pp. 325–346. (2008)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2312460/

10)Zhou and Blom. Trafficking and Functions of Bioactive Sphingolipids: Lessons from Cells and Model Membranes. Lipid Insights vol. 8 (S1) pp. 11–20 (2015) doi:10.4137/LPI .S31615.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4685176/pdf/lpi-suppl.1-2015-011.pdf

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2017年4月13日 (木)

勝利を呼ぶ猫

Photo

勝利を呼ぶ猫

そう 猫は虎の仲間でした!

https://www.youtube.com/watch?v=fIi35-F9H-M

https://www.youtube.com/watch?v=0C8-A5Vefiw

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2017年4月11日 (火)

PCディスプレイ with 北総の桜満開

Imga雨天の隙間をぬって、今年も北総の桜並木を撮影しました。

パソコンのディスプレイがリタイヤしてしまってたのですが、北総ではもはやPCディスプレイなど売っているお店が稀少で困りました。ようやく牧ノ原の量販店に置いてあったので、購入することができました。メーカーはI・ODATA・フィリップス・BenQ・Acerくらいしかなく、こんなところにも日本の製造業の敗北を感じさせられました。

ソニー、富士通、パナソニック、NECなどのPCメーカーはもはや単品ディスプレイなど製造していないようです。自由貿易を貫徹すると、ほとんどの製品がこういうことになるんですよ、池上さん。ただI・Oデータだけは頑張っていて、昔PCメモリー専業の会社だったころ、金沢の本社前を通りかかったことがあるのですが、秋葉原裏路地のパーツ屋さんみたいな感じでした。今でも本社は金沢にあるみたいで、多くのメーカーが倒産したり手を引いたりするなかで、よく生き残ったと思います。

というわけで、ウェブ上ではあまり評判が良くなくても、私はI・ODATAの23インチの製品を選択しました。なんだかんだ言って、メモリー、ハードディスク、ディスプレイなどいろいろな製品で長い間お世話になっています。今度もセットアップしてみると、非常に見やすい感じでOKでした。ただデフォルトの色調はやや黄色っぽくて納得できませんでした。リセットしても大して変わらなかったので調整用のソフトをダウンロードして、あれこれやってみましたが、まだ満足できる色調ではなく、さらに調整が必要です。

本日東芝の決算が発表されましたが、なんと監査法人は会社の事業継続に疑義を呈しているとのことでお墨付き無しとは驚きました。東芝というのは日本でも最も優秀な学生が集まる会社のひとつで、それでこのていたらくですから、いかに日本のトップビジネスが脆弱かということでしょう。日産・三洋・三菱自動車・シャープときて東芝です。マリアナ沖海戦あたりまで来たかな。なにしろ日本のトップが晋三ですから(おそらく大本営以下)、またろくでもない延命政策をやって税金をドブに棄てることになるのでしょう。エルピーダの2の舞ですね。しかも規模は数十倍(@_@)。

I・ODATAはまだメモリーを製造して販売しているのに、東芝は売却やむなしまで追いやられているというのは、いくら有能な技術者がいても、マネージメントがダメだったり、政府がどうしても原発をやれ(爆発した後になっても)などと茶々を入れたりすると、どうしようもなくなるという好例です。

もうひとつ心配なのは、東大法学部などの有能な学生の就職先である官僚が、晋三政権によって書類自動消去など漫画チックな集団になっていることです。やれやれ。

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2017年4月10日 (月)

2016~2017リーガ・エスパニョーラ第31節: バルサ リーガ制覇は風前の灯火

Braugranaマラガに2:0で敗戦です。これで今シーズンのリーガ制覇はほぼ絶望となりました。4月のマドリーとバルサのスケジュールは超多忙です。そんな中でレアル・マドリーは、レガネス戦でBBCとモドリッチ・イスコ、すなわち主力ほとんどを休ませるという布陣で勝利したのに対し、中2日のバルサは絶不調のマラガに、ネイマール・スアレス・メッシを使って敗戦。しかも彼らを休ませたときに出場させるべきサンドロにやられるという皮肉。この差は何なのでしょうか?

確かに、マスチェラーノをSBで使うのは無理筋ですし(多分セルジを温存したかったのだと思いますが)、デニス・ゴメス・メッシの中盤は慣れない連携に難がありました。しかし決定的なのは、体が重くてプレイの精度が低下、特に守備の時に俊敏に動けない選手が多いのではどうしようもありません。サンドロへのロングパスの時のマチューの反応などは、頭脳の反応がおかしくなっているとしか思えませんでした。敵陣深くからのロングパスに、サンドロのケアとは逆方向に走っていくのには呆然です。

それにしても、どうしてビダルが負傷したときにすぐにSBを補強しなかったのでしょうか? 週に2回づつセルジを右SBで使うとつぶれることは明らかで、じゃあ経験が乏しいマスチェラーノの右SB起用もやむなきに至ることは明らかだったはずです。

セヴィージャの5バックにはがっかりしましたが、マラガの5バックは納得できます。瞬殺カウンターにかける作戦がうまくいきました。しかも今回のバルサは、最終ラインが2人になる場合が多く、ブスケツのポジションが前すぎたことも彼らに味方しました。

そうこうしているうちに、ネイマールが昔のネイマールとなって2枚もらってしまい退場とはあきれました。あえてカードをもらいに行ったような行為の意味がわかりません。なきっつらにハチで、私のモニターがかげろうのように揺れ始めて、これはオカルト? なんとかしなくっちゃ・・・。

これからは、ともかく次のユヴェントス戦に全力を尽くして、何とかUEFAチャンピオンズリーグの勝ち残りにかけるほかありません。

https://www.youtube.com/watch?v=nWFLLk8HE20

https://www.youtube.com/watch?v=aW-uju24JDY

https://www.youtube.com/watch?v=wSgRxNeQFEY


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2017年4月 8日 (土)

JPOP名曲徒然草178: 「いくたびの櫻」 by ふくい舞

Imga_2今年は3月が寒かったですが、桜は昨今の暖かさでいつも通りの北総スケジュールで、4月第2週に満開になりそうです。現在8分咲きくらいか。ただ現在の天気は悪くて雨模様。良い写真がとれるかどうか心配です。

ふくい舞さんはシンガーソングライターですが、この「いくたびの櫻」は作詞:山上路夫、作曲・編曲 佐藤博の作品です。この曲は佐藤博さんの飼い犬への追悼曲だそうです。

めったにシングルは買わない私ですが、曲の良さに惹かれてつい買ってしまいました。

ふくい舞さんはネバリッ気の多い重厚な歌唱ですが、この曲にはマッチしていると思います。いろいろ他の曲も聴いていくと、この人は洋楽の造詣が深い方だということがわかります。ちょっと宇多田ヒカル的な曲もあるかな?

https://www.youtube.com/watch?v=9vwVMyKuZxw
https://www.youtube.com/watch?v=abi05nEjbD0
https://www.youtube.com/watch?v=IHJMmaz8gxc

アコースティックバージョン
https://www.youtube.com/watch?v=iiHTS4JCo9c

「アイのうた」
https://www.youtube.com/watch?v=gsmDdmrkxD0
https://www.youtube.com/watch?v=6TT4qu9irTw 
(in English)
https://www.youtube.com/watch?v=5FBKV5lB0lU
https://www.youtube.com/watch?v=nXZmhG9pnj0

「Rain-bow」
https://www.youtube.com/watch?v=6VP1gnd36og

「Believe」
https://www.youtube.com/watch?v=aBHxqGa8m4g

「Beautiful Days」
https://www.youtube.com/watch?v=c4NmoTD9qdc

「約束の場所」
https://www.youtube.com/watch?v=RFY5oq-gVuk
https://www.youtube.com/watch?v=72ZpPROoUic

「悲しみよこんにちわ」
https://www.youtube.com/watch?v=5BYiJDo_PK0

「Cancan」
https://www.youtube.com/watch?v=c0YPEti5pvc

神戸ハーバーランドにてストリートライヴ
(思い切りエモーショナルに、でもナチュラルにやっています)
https://www.youtube.com/watch?v=Wc3PTMG5jP0

オフィシャルサイト:http://fukuimai.net/
Twitter: https://twitter.com/fukuimai



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2017年4月 7日 (金)

2016~2017リーガ・エスパニョーラ第30節: セビージャ消極作戦が裏目

BraugranaUEFAチャンピオンズリーグの関係でミッドウィークにもリーガの試合があります。レアル・マドリーはなんとBBCばかりか、モドリッチとイスコもベンチに置くという思い切った作戦で勝ってしまうという、恐ろしいばかりの選手層の厚さを誇示しました。

さてバルサはどうか? ラフィーニャは重傷で今季絶望です。セビージャとの対戦ですし、FWはネイマール・スアレス・セルジ、MF:イニエスタ・メッシ・ラキティッチ・ブスケツ、DF:ウムティティ・ピケ・マスチェラーノ、GK:テア=シュテーゲン。私はどうして3バックをやるのかよくわかりません。中盤の人数が足りないときはSBを上げれば済むことですし、守備の人数が足りなければブスケツを後退させればいいわけですから。

セビージャはホアキン・コレアというイケメンの若い選手をワントップで使ってきました。2列目にナスリ・エンゾンジ・イボーラ・ビト-ロ、DFはエスクデロ・ラングレ・パレハ・メルカド・マリアーノ、GK:セルヒオ・リコ。セビージャというリーガを代表するチームのひとつが5バックというのは感心しませんねえ。451の方が戦えると思うのですが、現場責任者の考えるシビアな采配には、何か重苦しいものを感じます。

バルサとしては5バック大歓迎です。前線・中盤のチャージが甘くなるので、とりあえず自由に球が回せます。ただセビージャの2列目はクセ者揃いなので、16分にはエンゾンジに右に割り込まれて1:1で打たれますが、テア=シュテーゲンが足ではじいて事なきを得ました(失敗した後のエンゾンジの顔がお茶目)。18分にはイニエスタからの球をラキがヘディングで狙いましたが、少し外れました。

25分にはラキが奪った球をメッシが受けて、右サイドを疾走。メッシからのパスを受けたスアレスの豪快なバイシクルでバルサ先制。これは5バックもなすすべがありません。28分にはカウンターからネイマール→スアレス→メッシとつないでゴール。スアレスのマイナスパスはプロの技で、うならせてくれました。2:0です。

さらにバルサはたたみかけ、33分にFKのこぼれ球をメッシが密集の隙間を突き抜けるシュートでダメ押し。勝負を決しました。後半は特に何事も無く時間をつぶして終了。レアル・マドリーがこけるのを待つだけのバルサですが、ここにきて元気な選手が増えてきたのは心強い。

https://www.youtube.com/watch?v=SV6HVlmgmKY

https://www.youtube.com/watch?v=rJ-mIAczJjU

https://www.youtube.com/watch?v=LgyYQJcymso


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2017年4月 6日 (木)

憲法第八九条

A1130_000078憲法を読んでいて一番露骨に守られていないのは第89条だと思います。

憲法第89条は特定の宗教団体、慈善団体、私立学校などに補助金を与えることで、特定の宗教や思想を意図して蔓延させることによって、国民を洗脳支配しようとする政党がでてこないようにすることを意図しています。

もともとのターゲットは「神道」と「臣民の道」だったのでしょう。

こちら

非常に納得できる条文だと思います。それだけに守られていないのは残念です。

-------------------------------------------------------------
第八十九条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
-------------------------------------------------------------

重要文化財などの維持管理のために神社仏閣に補助金を出すのは、この条文の趣旨に反するわけではないので容認できますが、私立の幼稚園から高校までの学校に補助金を出すのは明らかに条文の趣旨に反しています。

日本を独裁的に支配しようとする勢力が必ず考えるのは教育の支配です。自分たちの思想を徹底させた私立の教育機関どんどん作って、それらを補助金によって支配し、学徒を洗脳すれば、何度選挙をやっても自分たちが勝つような社会に変質させることができます。森友はその1例ですし、今の政府はその他にも政府関係者の息のかかった学校を増加させようとしているではありませんか。

http://saigaijyouhou.com/blog-entry-15874.html
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-16208.html

そうでなくても高圧的な政府から経営に必須な補助金をもらえば、忖度した教育を行わざるを得なくなります。例えば教育勅語の採用はその一例でしょう。国民は臣民であることが刷り込まれるのです。現在のような官僚と政党が一体化している政治システムだと、ますます私学助成は危険です。学校を特定の政治勢力の支配下に置かないように、この89条が厳密に守られるようにすべきでしょう。

http://www.asahi.com/articles/ASK434JXWK43UTFK006.html

ただし中高の部活(スポーツ・音楽・文芸・学術)や先生の研究を助成することは可能でしょうし、私立大学における学術研究の助成はもちろん89条とは関係ありません。

-------------------------------------------------------------

教育勅語
朕󠄁惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇󠄁ムルコト宏遠󠄁ニ德ヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我カ國體ノ精華ニシテ敎育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦󠄁相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博󠄁愛衆ニ及󠄁ホシ學ヲ修メ業ヲ習󠄁ヒ以テ智能ヲ啓󠄁發シ德器ヲ成就シ進󠄁テ公󠄁益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵󠄁ヒ一旦緩󠄁急󠄁アレハ義勇󠄁公󠄁ニ奉シ以テ天壤無窮󠄁ノ皇運󠄁ヲ扶翼󠄂スヘシ是ノ如キハ獨リ朕󠄁カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺󠄁風ヲ顯彰スルニ足ラン斯ノ道󠄁ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺󠄁訓ニシテ子孫臣民ノ俱ニ遵󠄁守スヘキ所󠄁之ヲ古今ニ通󠄁シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス朕󠄁爾臣民ト俱ニ拳󠄁々服󠄁膺シテ咸其德ヲ一ニセンコトヲ庶󠄂幾󠄁フ


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2017年4月 4日 (火)

2016~2017リーガ・エスパニョーラ第29節: スアレス ループで決める

Braugrana降格圏内のグラナダとのアウェイ戦です。グラナダはスペイン人選手がほとんどいないという、驚くべき選手構成。EUがあればこそのチームです。2トップでペレイラとクラヴェツ、MF:アングバン・ワカソ・アグボ、DF:エクトル・ガストン=シルバ・ロンバン・ソニエ・フルキエ、GK:オチョア。

バルサはメッシがカード累積で出場停止。スアレスの1トップで、2列目がネイマール・Aゴメス・ラキティッチ・ラフィーニャ、ボランチがブスケツ、DF:アルバ・マチュー・マスチェラーノ・セルジ、GK:テア=シュテーゲン。4バックに戻しました。これは歓迎します。

チケットが1万円からということで、早々と勝負が決しないようにレフェリーの忖度が著しく、グラナダはファウルのやり放題です。エリア内でスアレスが後ろから羽交い締めされてもおかまいなしなのにはあきれました。カードも出しません。後半はガチンコになったので、何か話が付いていたのではないかという疑いをもちました。

バルサは16分にラフィーニャが故障でパコと交代。ラフィーニャもよくよくツキのない男です。パコはまだバルサになじんでいなくて、遠慮がちのプレイ。27分にはフリーのシュートチャンスをスアレスにパスで譲り、スアレスがシュートしましたが、GKオチョアが今日は冴え渡っていてスーパーセーヴ。

このままハーフタイムかと思っていた前半終了直前、アルバが自陣深くからロングフィードをスアレスに一発通して、スアレスがループで決めました。見事な瞬殺カウンターでした。

ところが後半5分、後半から出ていたボガにスルーパスでDF裏に抜け出されて失点。オフサイドトラップの失敗でした。バルサも今年はDFラインがめまぐるしく変わるので、弱点を突かれた感じでした。しかしバルサも19分、スアレスのループパスでパコが抜け出してゴール。返礼に成功。パコもこの調子で、早くバルサになじんで欲しい。

後半はレフェリーの変身で、じゃんじゃんカードが出て、37分にはアグボ退場。中盤がスカスカとなり、38分にラキティッチがゴール。アルニャー初出場の余裕です。終了直前には、パコが右から豪快なクロスをネイマールにあわせてゴール。バルサ4:1の勝利でした。

メッシとイニエスタがいないと、バルサのサッカーは変わります。全員が起点となり、一発の瞬殺パスで決めるサッカーです。意思統一ができていれば、緊張感のある面白いサッカーになりそうです。

https://www.youtube.com/watch?v=v5d0NmOp3Uc
https://www.youtube.com/watch?v=I5VTNvClOwM
https://www.youtube.com/watch?v=VxgXY5hMFm8


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2017年4月 3日 (月)

やぶにらみ生物論68: 脂肪酸と油脂

脂肪というとすぐ中性脂肪とかセルライトが気になるわけですが、エネルギーを蓄えておくためのツールとして脂肪は重要です。動物にとって飢餓は日常的であり、いざというときに生き残れるかどうかは、どれだけ脂肪とグリコーゲンを体内に蓄えておけるかにかかっています。人間については、現在世界で9億2500万人が飢餓状態にあり(1)、日本でも2011年の厚生労働省の調査では年間1746人が餓死しています(2)。食べ物がないときに生き残るには冬眠・夏眠が有効ですが、残念ながらヒトにはその能力はありません。

しかし生物にとってエネルギー蓄積が課題になるより進化上はるかに前の段階で、脂肪は細胞膜の最も主要な成分として、すなわち生命と外界を分かつパーティションとしての役割がはじまったはずです。これは生命誕生のひとつの条件であり、たとえ熱水噴出口近傍の金属片の上で核酸や酵素が生成されたとしても、それらが細胞膜で包み込まれるまでは生命体とは言えないでしょう。そして現在では、脂肪はホルモンや情報伝達物質としても重要な役割を果たしていることがわかっています。

脂肪の基本は脂肪酸です。最初に脂肪酸を発見したのは誰だか私にはわかりませんが、ステアリン酸やオレイン酸を発見して精製したのはミシェル=ウジェーヌ・シュヴルール(1786~1889)です(図1、参照3、4)。彼はフランス革命とエッフェル塔建設を目撃した数少ないフランス人だそうです。エッフェル塔の展望室の少し下の壁に、フランスの偉人の名前が刻まれていますが、シュヴルールの名も図2の赤の矢印の下にみつけることができます。図2をクリックして拡大すると、名前が読めます。

A

A_17

脂質は脂肪酸関連物質、芳香族化合物の環構造を持つ物質、複合脂質の3つのグループにわけられると思いますが(図3)、量的に言えば脂肪酸関連物質が生体内には圧倒的に多量に存在します。カルボン酸をR-COOHと書くとすると、Rが水に溶けないCとHからなる場合脂肪酸といいます。ただしRがH、CH3、CH3CH2あたりまではカルボキシル基の影響が強く、脂肪らしくない性質なので、通常脂肪酸とは呼びません。CH3CH2CH2(酪酸)あたりからは脂肪酸と呼びます(図4)。これらの脂肪の性質を与える炭素+水素の鎖を、鎖の長さを問わずアシル基と呼ぶことがあります。

A_3

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常温で液体の脂肪酸は世の中で最も臭い物質の1グループだと思います。吉草酸やカプロン酸の臭さは半端じゃありません。私が学生実習などでかいだ臭いの中では、ピリジンとトップを争う悪臭と思います。屍体の臭いは多数の物質の混合臭なので比較することはできません。

これらの低分子量の脂肪酸は確かに飲むと健康を害しますが、特別にそのような脂肪酸を忌避する能力(臭いと感じる能力)が私たちに備わっていることには何らかの理由があるまたはあったのでしょう。炭素原子数が10くらいになると常温で固体なので、臭いは気にならなくなります(図5)。図5にはR-COOHのR部分にC=Cの二重結合がない、いわゆる飽和脂肪酸のリストを示しました。カプリル酸より分子量が大きい脂肪酸は食用に使えます。

A_5

カプリル酸はウィキペディアによると母乳に含まれているそうですが、カプリル酸には殺菌作用があるので、免疫機構が未発達の新生児には有益なのかもしれません。

脂肪酸は生合成されるときに炭素が2個単位で重合していくため(5、6)、生体内に存在する主要な脂肪酸の炭素の数は偶数になります(図5、参照5)。ただしメインであるアセチルCoAとマロニルCoAとの縮合ではなく、プロピオニルCoAとマロニルCoAの縮合を出発点とする経路もあるので、炭素が奇数の脂肪酸が全く存在しないわけではありません。

脂肪酸は数値表現されることがあり、図5の左端列に示してあります。コロンの左側が炭素分子の数。コロンの右側が二重結合(C=C)の数になります。飽和脂肪酸の場合二重結合がないのでコロンの右は0になります。数値表現はわかりやすくて便利です。

二重結合(C=C)が分子内に存在する脂肪酸を不飽和脂肪酸と呼びます。炭素数が18の例を図6に示しますが、例えば18:2(9、12)というのは炭素数=18、二重結合=2ヶ所、二重結合がカルボキシル基から数えて9番目と10番目および12番目と13番目の炭素によって形成されているという意味です。オレイン酸はステアリン酸から生合成されますが、ヒトの場合、生きていく上で必要なのにリノール酸、リノレン酸、EPA、DHAなどは生合成できないので、これらは必須脂肪酸とされています。

A_6

図6では炭素の鎖が途中で180度折れているように描いてありますが、慣用表記のひとつであり、実際にこのように折れているわけではありません。分子の屈曲は二重結合の性質(シスかトランスか)、数、位置によって異なります。図7に例を示します。αリノレン酸は大きく屈曲しています。

A_7

混乱して困る話しなのですが、脂肪酸の命名法のなかに、カルボキシル基と反対側のCH3から数える方法もあって、ω:オメガ法ではα-リノレン酸は3つめに最初の二重結合があるのでω3脂肪酸、γ-リノレン酸は6つめに最初の二重結合があるのでω6脂肪酸などと呼ばれます(図8)。n-数値という表現も逆から数えた表現法です。α と γ は習慣的に使用している表現法に過ぎません。

A_8

C=Cの二重結合にはシス型とトランス型があって、一般にシス型すなわち二重結合の片方にふたつのHが来る場合、図9のように分枝は屈曲します。自然界に存在するオレイン酸はほとんどシス型なので、通常オレイン酸と言った場合シス型を意味します。

シス型がの二重結合が二つあった場合、リノール酸のように屈曲が修正されることがあります。人工的に製造されたトランス脂肪酸は食べると健康に悪影響があることがわかっています(7)。アメリカの食品医薬品局(FDA)は、マーガリンなどに含まれる「トランス脂肪酸」の発生源となる油の食品への使用を、2018年以降原則禁止すると発表しました(8)。日本政府はこの規制には消極的なようです。

A_9

グリセリン+脂肪酸=油脂+水という公式は、中学の化学の時間に皆さん習ったはずですが、再掲しておきます(図10)。油脂は生体内では最もメジャーな脂質です。

油脂は図10のように、グリセリン(グリセロール)1分子に脂肪酸3分子がエステル結合(-OC[=O]-)したものです。これによってグリセリンのOH、脂肪酸のCOOHという親水性の部分が消滅するので、典型的な疎水性の物質ができます。

3分子の脂肪酸はそれぞれ種類が指定されないので、例えば10種類の脂肪酸が用いられるとすると、10x10x10で1000種類の油脂ができ得ることになります。実際には脂肪酸の種類はもっと多いので、油脂の種類は無数にあることになります。

A_10

グリセロリン脂質はグリセリンのOHのうち、R1・R2は油脂と同じ脂肪酸と結合し、R3のOHがリン酸エステル(-OP[=O、-O]-)結合したものです。グリセリン以外のリン酸に結合する物質によって、フォスファチジルコリン・フォスファチジルセリン・フォスファチジルエタノールアミンなどが知られています(図11)。これらは脂質であるにもかかわらず、親水的な部分が存在するという特異な性質を持っています。この性質は両側で水と接触する細胞膜にとって、あるいは脂肪を血液中で運搬する作業にとって重要です。これらについては別のセクションで述べます。

A_11

動植物の細胞膜中に最も多量にあるのはグリセロリン脂質ですが、次に多いのはスフィンゴ脂質です。哺乳類では特に中枢神経に多いとされています(9)。スフィンゴ脂質の基本骨格はスフィンゴシンです。アミノ基1個とOHを2つ持つ直鎖状の分子です(図12)。このアミノ基に1分子の脂肪酸がアミド結合したものがセラミドです。

セラミドの末端のOHにフォスフォコリンやフォスフォエタノールアミンが結合したものを、スフィンゴミエリンといいます。スフィンゴミエリンは神経のサヤである神経鞘の主成分です。セラミドは最近では保湿剤としてよく化粧品に配合されています(10)。「うるむセラミド」などというキャッチフレーズもありました。

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スフィンゴシンやセラミドを発見したのはトゥーディヒョウム(図13 日本ではツディクムと発音される Johann Ludwig Wilhelm Thudichum 1829~1901)です。1884年に刊行された ”Chemische Konstitution des Gehirns des Menschen und die Tiere (Chemical constitution of the brain)” という本に記載されているようですが私は読んでおりません。

竹富保の「"神経化学の父"ツディクム」という文献が廃刊となった「自然」誌にあります(11)。 ドイツ生まれで、主にイングランドで仕事をしたトゥーディヒョウムは多才な人だったようで、ウィキペディアにはお料理の本を出版しているという記載があります。山川民夫によると、トゥーディヒョウムがスフィンゴシンという名前をつけたのは、旅人になぞかけをしたスフィンクスにちなんで、「謎物質」という意味だったそうです(12)。

A_16


アラキドン酸(5,8,11,14-Eicosatetraenoic acid)は図14のとおり何の変哲もない不飽和脂肪酸の1種なのですが、そこからプロスタグランディン、トロンボキサン、ロイコトリエン(すべて総称で特定の化学物質を指しているわけではありません)を生合成する経路が派生しています(アラキドン酸カスケード)。これらの物質は免疫反応と深い関わりがあり、薬学の分野では数十年間、間断なく注目を集めています。

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参照

1)JIFH集計: https://www.jifh.org/joinus/know/population.html

2)厚労省: http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11541237843.html

3)http://www.cyberlipid.org/chevreul/work0003.htm

4)Michel Eugène Chevreul, Recherches chimiques sur les corps gras d'origine animale. (1823)
https://books.google.co.jp/books?id=94_H7hfQfS0C&hl=fr&redir_esc=y

5)福岡大学 脂肪酸の生合成:
http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/fa-syn.htm

6)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8

7)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E8%84%82%E8%82%AA%E9%85%B8

8)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150619-00000009-wordleaf-soci

9)ホートン 生化学第3版 東京化学同人(2003)

10)https://www.youtube.com/watch?v=8RtDw0FKzPk

11)自然 / 中央公論社 vol. 29, 12号、pp.44-52

12)山川民夫 「糖脂質物語」 講談社(1881)

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2017年3月30日 (木)

JPOP名曲徒然草177: 「未来へ」 by 熊田このは

A0790_000529_2ご存じの方も多いと思いますが、からおけバトルですごい中学生をみました。

その名は!熊田このは!

薬師丸ひろ子・白鳥英美子以来の声の美しさで、その歌のエクスタシーは聴衆を圧倒する素晴らしさ。バラードシンガーになりたいそうで、期待したいです。

未来へ(作詞・作曲 玉城千春)
オリジナル・キロロ

https://www.youtube.com/watch?v=Civrh2ZI4rQ

https://www.youtube.com/watch?v=qHmzzqLhDj4

https://www.youtube.com/watch?v=xtCJz503jjc

original
https://www.youtube.com/watch?v=yeemyGtk9wY

 

YELL

https://www.youtube.com/watch?v=3JfJ2SShURg

https://www.youtube.com/watch?v=Bgw-Ok_e-U8

https://www.youtube.com/watch?v=J-KS0JhkTGE

https://www.youtube.com/watch?v=aiC1IGqKOt8

春よ、来い

https://www.youtube.com/watch?v=C-FS-6r1sUQ

https://www.youtube.com/watch?v=u9xojLnE9Nk

十五の君へ

https://www.youtube.com/watch?v=CaeN2rwtddw

みんな空の下

https://www.youtube.com/watch?v=fvWtv2R5RC8

365日の紙飛行機

https://www.youtube.com/watch?v=LE2HwxlYJhM

==========

ありがとう (路上ライヴ これが一番いいかも)

https://www.youtube.com/watch?v=UHcMOXIFVqk

明日への手紙 (路上ライヴ これが一番良いかも)

https://www.youtube.com/watch?v=QKC_kb1kd5s

ライヴ in 目黒 (13才)

https://www.youtube.com/watch?v=IJApgOJnGUA

You Raise Me Up

https://www.youtube.com/watch?v=OYUlFe0--_c

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twitter: https://twitter.com/konohakumada

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2017年3月29日 (水)

ある蜘蛛の死

Imga夏が終わる頃には、ベランダにセミが飛んできて、中にはそこで死んでしまう者もいます。しかしそれ以外で、しかも今時の季節に、わが家を死に場所に選ぶ生き物はめずらしい。

トイレに入ると壁に大きなクモがいてびっくりしました。そのままにしておくと3日くらい糸を張るでもなく、ただじっとしていて、ポトンと下に落ちて死んでしまいました。

確かに静かで暗くて、死に場所としては悪くないかも知れませんが・・・。あまり俊敏ではないようなこんなクモが、いつどこから入ってきたのでしょう。部屋をつっきり、廊下を這って、扉の下の隙間から進入して、しかも7本足で壁にはいあがって死ぬとは。

合掌。

アシナガグモだと思いますが、種を同定するのはあきらめました。あまりクモに興味を感じたことはなかったのですが、実は脳が巨大な生物で、体重の80%以上が脳だという種もあると聞いてびっくりしました。ミツバチなどは社会性の昆虫で体の割に巨大な脳を持っていますが、クモはそんな脳で何を考えているのでしょうか?

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/5378/?ST=m_news

家族で暮らすクモとか、仲間が集まって暮らす社会性のクモもいて、性格によって向いている仕事があるそうです。

http://gigazine.net/news/20140622-social-spider-personality/

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2017年3月28日 (火)

やぶにらみ生物論67: 糖タンパク質

糖が生体構成成分となる場合、しばしばタンパク質や脂質と共有結合した複合分子として利用される場合があります。今回は糖とタンパク質の複合体に着目します。谷口直之先生によると「タンパク質のおよそ50%以上には糖鎖が付加されている」そうです(1)。これが多少盛った話だとしても、糖タンパク質が生体内でありふれた存在であることに間違いはありません。

糖がタンパク質と共有結合する場合に通常2つの方法があって、ひとつはN-結合型、いまひとつはO-結合型です(2)。N-結合型の場合、タンパク質のアスパラギンの側鎖アミノ酸の窒素原子(N)にグリコシド結合します(図1)。アスパラギンならどれでも良いわけではなく、アスパラギン-(任意アミノ酸)-セリン/スレオニンという配列に限られます。最初の糖鎖は多くの場合N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)です。

O-結合型の場合は、タンパク質のセリンまたはスレオニンの水酸基とO-グリコシド結合します。タンパク質と結合する最初の糖鎖は多くの場合N-アセチルガラクトサミンです(図1)。ひとつのタンパク質分子が複数の糖鎖をもつこともありますし、N-結合型とO-結合型の両者の糖鎖をもつこともあります。同じ種類のタンパク質でも糖鎖の付いている分子と付いていない分子がありますし、糖鎖が付いていてもその構造が異なる場合もあります。

A

糖には無数のバラエティーがありますが、タンパク質に結合する糖鎖を構成する単糖は、ほぼ図2に示した8種に限られています。これは合成する酵素の自由度やバラエティーに限界があるからでしょう。8種類とは少ないようですが、DNAが4種の塩基で構成されていることを考えると、8種類でも順列組み合わせを考えると膨大な種類の糖鎖ができ得ることは明らかです。この中にアミノ糖が3種はいっていることは特徴的です。N-アセチルグルコサミンはグルクナック、Nーアセチルガラクトサミンはギャルナックとよばれることもあります。1種の愛称のようなものです。

A_2

N-グリコシド結合を行ってできる糖鎖は3つのグループ、すなわち複合型(コンプレックス型)・高マンノース型(ハイマンノース型)・混成型(ハイブリッド型)に分類できます(3)。いずれもアスパラギンにN-アセチルグルコサミンが結合し、その先図3の破線に囲まれた部分は共通の構造(コア)ですが、さらにその先複合型ではN-アセチルグルコサミン→ガラクトースという順に並び、高マンノース型ではマンノース→マンノース、混成型ではマンノース・N-アセチルグルコサミン・N-アセチルグルコサミン→ガラクトースという3種類構成になっています。

A_3

O-グリコシド結合を行ってできる糖鎖は、N-グリコシド結合の場合よりもバラエティーに富んでいますが、コアは8種類に分類できます(3、4)。いずれもタンパク質のセリンまたはスレオニン残基と最初に結合する糖はN-アセチルガラクトサミンで、α型結合でアミノ酸と結合します。2番目の糖がガラクトース・N-アセチルガラクトサミン・N-アセチルグルコサミンなどとなり、分岐もあるので、8種類のバラエティーが発生します(図4、参照 3、4)。図4下方のエピトープは抗体によって認識される部位(抗原)のことで、血液型については糖脂質のところで述べます。3番目以降は千差万別で、分類する意味も多分ありません。

A_4

これらの糖鎖の構造決定には多くの人々が関わって解明されてきましたが、N-結合型糖鎖の根元、すなわちタンパク質と結合している糖がN-アセチルグルコサミンであることを解明したのはサウル・ローズマン (1921-2011、図4)です(5、6)。彼は「セレンディピティー(思いがけない発見)のプリンス」と呼ばれていたそうです(7)。

A_5

では個別の例についてみていきましょう。まずエリスロポエチンをみてみますと、3ヶ所にN-結合型糖鎖が、1ヶ所にO結合型糖鎖が認められます(図6)。

エリスロポエチンは主に腎臓で合成されるタンパク質ホルモンで、赤血球の増殖や分化を促進します。腎不全が貧血を伴うのは、このホルモンの合成が低下するからです。糖鎖がついていないホルモンも生理活性がないわけではないのですが、糖鎖が付くことによって生理活性が高まり、安定性も増加します。

図6に示された所定の場所に糖鎖が結合することによって最大の活性が得られることが、村上真淑らによって最近証明されました(8)。糖鎖の位置にそこまで遺伝的セレクションがかかっているとは、私にとってはちょっとした驚きでした。腎不全による貧血をエリスロポエチン投与によって治療するというやり方は、かなり以前から行なわれています。

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ムチンは納豆や山芋などネバネバした食品にはたいてい含まれている糖タンパク質ですが、ヒトの粘液などにも含まれており、なんとヒトは20種類以上のムチン遺伝子を保有しているそうです(9)。セリンとスレオニンを多数含んでいるアミノ酸配列なので、O結合型糖鎖が非常にできやすい状態にあり、タンパク質の周りに密林のように糖鎖が生えています(図7)。そのため抜群の水分保持力があり、乾燥を防ぐほか、体表にゲル状に広がっていると感染を防ぐこともできます。粘膜を保護する役割も重要です。これだけ多数の糖鎖に被われていると、タンパク質分解酵素がアクセスしにくくなるので、壊されにくい分子になっています。胃が消化液で消化されないのも、胃粘膜のムチンのおかげなのでしょう。

A_7

最後に細菌の細胞壁に使われているペプチドグリカンをみてみましょう。図8は典型例(黄色ブドウ球菌)ですが、N-アセチルグルコサミンとN-アセチルムラミン酸がひとつのユニットになっており、糖鎖はN-アセチルムラミン酸の乳酸残基にテトラペプチドが結合しています(図8左図)。このユニットがタンデム、およびペプチドを介してラテラルに結合して細胞壁を形成しています(図8右図)。

細菌によって使われている糖の種類も変わり、ペプチドの種類や長さも変わりますが、グラム陽性菌は分厚いペプチドグリカン層で細胞全体が被われており、細胞膜が脆弱であっても生きていけるわけです(4、10)。分厚いペプチドグリカン層がクリスタルバイオレットという色素で染まるので、グラム陽性菌という名前になりました。

A_8

参照

1)理化学研究所 研究紹介: 
http://www.riken.jp/research/labs/grc/sys_glycobiol/

2)IonSource (Mass Spectrometry Educational Resource)
http://www.ionsource.com/Card/carbo/nolink.htm

3)大阪大学 Kajihara Laboratory:
http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/kajihara/background.html

4)Lianchun Wang, O-GalNAc Glycans:
https://www.ccrc.uga.edu/~lwang/bcmb8020/O-glycans-B.pdf

5)Fabrizio Monaco and Jacob Robbins,  Incorporation of N-Acetylmannosamine and N-Acetylglucosamine into Thyroglobulin in Rat

Thyroid in Vitro.,  J. Biol. Chem., Vol. 248, No. 6,  pp. 2072-2077 (1973)
http://www.jbc.org/content/248/6/2072.full.pdf?sid=b4c0f52f-ec70-497d-b615-fe3651ae6f9b

6)Saul Roseman, The synthesis of complex carbohydrates by multigulycosyltransferase systems and their potential function in

intercellular adheshion. Chem. Phys. Lipids vol. 5, pp. 270-297 (1970)

7)Biologist Saul Roseman, 90, champion of serendipitous discovery
http://archive.gazette.jhu.edu/2011/07/18/biologist-saul-roseman-90-champion-of-serendipitous-discovery/

8)ResOU: 精密化学合成により調整した糖タンパク質:エリスロポエチンの糖鎖機能を解明
http://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2016/20160116_1

9)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%83%81%E3%83%B3

10)こちら

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2017年3月26日 (日)

さっちん 活動再開

A0001_0127322010年06月20日、この日から鈴木早智子は姿を消しました。そしてその日のメッセージを残したブログは、7年経過してもそのまま残されています。なぜだろう?

http://blog.livedoor.jp/sachikosuzuki/

などと思っていたら、昨年から(こっそり)活動再開していましたね。

おめでとうございます。そしてご活躍をお祈りしております。

公式HP
https://sachiko-suzuki.amebaownd.com/

Wink:

愛が止まらない
https://www.youtube.com/watch?v=9OuplY3_X8s
https://www.youtube.com/watch?v=U449EUWNdew

淋しい熱帯魚
https://www.youtube.com/watch?v=F88DEpvS_Dc
https://www.youtube.com/watch?v=X4jlKvEbVrs

いつまでも好きでいたくて
https://www.youtube.com/watch?v=iUlyoVg6XvU
https://www.youtube.com/watch?v=QUTXzOckQOE

私たちらしいルール
https://www.youtube.com/watch?v=R-QtIl14EmU
https://www.youtube.com/watch?v=OB3tiyTi_WI

Solo:

止まった時計
https://www.youtube.com/watch?v=eomucGyZs98

ノスタルジア
https://www.youtube.com/watch?v=Mi4_5yIKKxI

雨音はショパンの調べ
https://www.youtube.com/watch?v=TlfzrDCEVA8

永遠に・・・
https://www.youtube.com/watch?v=zKPp2KaA3EM

シェスタ
https://www.youtube.com/watch?v=S-kkd0xY_HM

days
https://www.youtube.com/watch?v=Jg2dQa5UwGI

only one
https://www.youtube.com/watch?v=yPCGyr-mh4k

一年前の恋人
https://www.youtube.com/watch?v=4J2x5fRDqOs

帰りつく場所に
https://www.youtube.com/watch?v=lVYlBOckDVE

朝焼けのバルコニー
https://www.youtube.com/watch?v=Iw2yS9BV0Pw
https://www.youtube.com/watch?v=rOSD4TdZsU0

Joanna
https://www.youtube.com/watch?v=ND_chAI5cSc

ラスト・ダンスは頬よせて
https://www.youtube.com/watch?v=7Ixz8f-7Id4

心に響く歌唱というのは、どこか”ダメ”な人間の特権なのかな・・・。
さっちんの歌を聴いていてそんな気がしました。

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2017年3月24日 (金)

学術研究のレベル低下

A0002_001177
情報速報ドットコムに下のような記事が出ました
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-16044.html

引用開始:日本の科学力の低下が顕著化しています。報道記事によると、イギリスの科学雑誌「ネイチャー」が日本の研究論文の割合がこの五年間で低下しており、世界における日本の伸び率がダウンしていると指摘したとの事です。

ネイチャーは全世界にある68の科学雑誌に掲載された論文の数を計算し、その中で日本の研究論文が激減していることを発見しました。

2012年の時点で掲載された日本の研究論文が5212本だったのに対して、2016年には4779本に激減。5年間で1割近い433本もの論文が減っている状態で、これは世界的に見ても異常な減少幅となっていました。世界に占める日本の研究論文の割合も、2012年の9.2%から2016年には8.6%に低下しています。

このような日本の低下にネイチャーは、「日本の科学研究がこの10年で失速し、科学界のエリートとしての地位が脅かされている」と警鐘を鳴らしていました。
原因として安倍政権になってから大幅に減らされた大学交付金の影響があると見られ、5年間で大学の研究員も派遣社員のような短期労働者ばかりとなっています。改善するためには交付金の増額や支援が必要不可欠だと言えるでしょう。:引用終了。

このような事態は小泉政権のときから予測されていました。小泉政権は大学などの研究機関のスタッフを期限付きにすることにしたのです。しかも文部省の役人を大学の職員や教員に天下りさせて、支配を強める方向に動きました。安倍政権もこのやり方を踏襲しています。その結果が上のような事態を招いたわけです。

大学が官僚的な運営になり、総定員法によりパーキンソンの法則は成立しないので、どうなるかと言うと、個人の事務仕事が毎年増えるということになります。くだらない形式的な仕事ばかりが増えるのです。小泉以前には大学での研究は大学院生と、パーマネントスタッフである助手・補佐職員達でささえられていました。彼らをパートタイム化あるいは削減することによって成果が細切れになり、次の職を確保するために短期にまとまる仕事をせざるを得なくなって、研究のレベルが低下しました。

私が大学にいたときの経験から言えば、当時(小泉政権以前)は大学のすべての建物に守衛さんがいて、3交代制で常駐していたので、仮眠用宿泊所も整備されていました。また複数の管理人がいて、建物の営繕・電気設備・清掃などを担当してくれるので、古くても清潔な場所で仕事ができました。教授には秘書がいて、各教室の事務室には複数の事務職員、図書室には司書がいました。研究室には技官や教務職員がいましたし、実験所には動物採集人やまかない婦、事務職員など多数が常駐していました。だからこそきちんとした教育研究ができたと思います。

大学は最大限自由で、教育と研究にすべてのエネルギーを注入できるような場所でなければ、優れた研究は生まれません。私は大学・研究の制度に関わる官僚が1年でいいから大学で研究をやってみろと言いたいですね。そうすればあふれる事務仕事がいかに研究意欲を低下させるか、細かく決まった成果が求められる研究がいかに研究の独創性を消滅させるか、などが体験できると思います。

どんな会社でも最初は現場からです。公務員だって警察は交番勤務からです。官僚はあまりに現場を知らなさすぎます。現場感覚を体にしみこませないと、こういう制度を作ったら、こういう結果になるということが予想できません。一方で研究者も1年くらい事務職をやってみることも良い経験になると思います。事務職員に要求すべきことと、すべきでないことがはっきりわかるでしょう。また組織全体の仕事の流れがわかるのも悪くありません。

小泉政権は米国流の研究制度に習おうとしたわけですが、米国の研究の裾野は圧倒的に広大で、ポストドク制度も充実していますし、何かまともな論文をひとつでもまとめれば次の就職口はみつかる可能性が高いのです。国研の期限付き職しかない、しかもそれも簡単ではないような日本とは全然違います。

ただ米国の研究業界でも問題はあって、今中国の留学生が30万人以上流入していて(日本の留学生は台湾より少なく2万人以下)、多くの米国の研究は中国人に依存しています。いまや米国でも、優秀な白人学生が飛び込むには、研究業界での収入がプアすぎるのです。この傾向はトランプ政権でさらに激しくなると思われ、万一人種差別で中国人を追い出すなどという事態になれば、米国での科学研究はぐちゃぐちゃにしぼんでしまうでしょう。もしこれから中国が科学に力を入れなければ、世界の学術研究が崩壊してしまうことになりそうです。

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2017年3月22日 (水)

大野-都響:ブラームス交響曲第4番@東京文化会館2017年3月21日

Imga_2雨の東京文化会館へ。ここは傘をさして歩く距離が非常に短いので助かります。それにしてもほとんど好天だった3月のこの悪天候の日にコンサートとは、大野か矢部の行いがよほど悪かったに違いない。

本日のコンマスは矢部ちゃん、サイドは山本さん。指揮は音楽監督の大野さんです。ソリストはルガンスキーさんの予定だったのが病欠で、ヴラダーさんに交代。平日夜の演奏会にしては異常にお客が詰めかけ、ほぼ満席の大盛況です。

ブラームスのピアノ協奏曲第1番はかなりおどろおどろしくはじまるというイメージがあったのですが↓↓↓
ミュンヘン・フィル(指揮 チェリビダッケ)
https://www.youtube.com/watch?v=KE93NdTBBvc

大野・都響は清々しく小綺麗なスタート。これはちょっとした驚きでした。ヴラダーさんの演奏もスーッと一体感を持った感じではじまりました。ヴラダーさんの演奏を聴いていて、これは大野・都響が彼の趣味・演奏スタイルに合わせたに違いないと思いました。

満場の拍手に答えて、ヴラダーさんはソリストアンコールでリスト:コンソレーション第3番 変ニ長調を演奏してくれました。これがまた絶品。

Imgb休憩後はブラームス交響曲第4番。第1楽章ではフレージングがいちいち作為的に感じられて、これは相性悪いなと思ったのですが、第2楽章からはそれがなくなって指揮者のタクトに乗っていけました。

昔はこの曲は寂寥枯淡のシンフォニーというイメージだったのですが、ここ10年くらいそんな演奏を聴いたことがありません。今日の都響も休憩前の協奏曲の高雅な雰囲気から一転して、肉食系の強烈な演奏で聴衆を圧倒してくれました。

終演後には、本日の演奏会をもって都響を卒業するヴァイオリン奏者の小池賢治さんとヴィオラ奏者の渡辺眞さんへ花束贈呈がありましたが、小池さんの花束がまず矢部ちゃんに渡されたので、「矢部退団か!」と勘違いして腰が抜けそうになりました。矢部経由で小池さんに手渡されてやれやれ。退団する彼らにとっても、今日の素晴らしい演奏会はよい思い出になったのではないでしょうか。

マキロンのハイヒールは似合ってないと思います。スカート着用ならまだしもね。今日は1人だけ逆ストロークなどもあって目立ってました。

ヴラダーさんの若かりし頃の演奏
https://www.youtube.com/watch?v=D8AaEE7hkLQ







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2017年3月21日 (火)

やぶにらみ生物論66: 多糖類

多糖類はタンパク質と異なり、その構造が遺伝子によって指定されていないので、例えばグリコーゲンといっても、同じグリコーゲン分子はないというくらい多様性があります。これはたとえばケヤキの幹や枝が同じ形の樹木がないのと似ています。それでもケヤキをクスノキや桜と識別できるように、多糖類も構成ユニットである単糖の種類、結合の様式などで分類することはもちろん可能です。1種類の単糖で構成されている多糖類をホモグリカン、複数の単糖で構成されているものをヘテログリカンといいます(1)。

まずホモグリカンの代表として、グルコースだけで構成される多糖類をみていきましょう。私たちが主食としている米や芋の主成分はでんぷんです。デンプンは主に植物によってつくられる多糖類で、α-1,4-結合でグルコースが直鎖状に重合したアミロースと、α-1,4結合だけでなく、ところどころでα-1,6-結合で分岐しているアミロペクチンがあります(図1)。

お米の場合、うるち米はアミロースとアミロペクチンがおよそ2:8なのに対して、「もち米」はアミロペクチンのみでアミロースを含んでいないので、枝分かれ構造のあるアミロペクチンがお餅の粘りのもとなのでしょう(3)。アミロースもアミロペクチンもα-D-グルコースだけが重合したもので、β-D-グルコースは含まれていません(図1)。

A

デンプンは唾液や膵液に含まれるアミラーゼによって分解されますが、アミラーゼは1種類ではなく、図2のようなα型、β型、γ型、イソ型という4種類があります。α型はいわゆるエンドタイプの分解酵素で鎖の任意の位置で切断します。ただし切断できるのは 1,4 結合のみで、1,6結合(分枝する位置)は切断できません。グルコースダイマーのマルトースは切断できません。

β型は植物などに存在するエクソタイプで、鎖の末端から2つのグルコースをマルトースの形で切り離します。γ型は同じくエクソタイプで、鎖の末端からひとつづつグルコースを切り離します。ヒトの場合マルトースを2つのグルコースに分解する活性も高いとされていて、マルターゼあるいはグルコアミラーゼとも呼ばれています。1,4 結合のみならず1,6結合も分解できるので(4)、αタイプとγタイプのアミラーゼがあればデンプンをグルコースにほぼ分解できます。イソアミラーゼは植物などに存在する酵素で1,6結合を特異的に切断します。

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セルロースはβ-D-グルコースだけが重合した多糖類で、α-D-グルコースは含まれていません(図3)。セルロースは主に植物によって作られますが、草食動物はセルロースを主な栄養分としています。草食動物やシロアリは腸内細菌によってセルロースを分解しており、これらの細菌を体内に共生させることによって生体の素材やエネルギーを得ているわけです。

セルロースはβ-D-グルコースがβ-1,4-結合によって重合した直鎖状のポリマーですが、直鎖同士が非常に水素結合をつくりやすい構造になっているので、シート状の形態になります(図3)。構造は非常に安定で、熱水や酸・アルカリに溶けません。ヒトはこのことを利用して衣服(コットン)や紙を製造しました。

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細菌などが持つセルロース分解システムは複雑ですが、大まかには図4のような3種類の酵素の作用で行われます。このような分解系を利用してさまざまな有用物質を生産しようとする試みは盛んに行われています(5)。特にセルロースからエタノールを得てエネルギー源にしようとする試みは注目されています。セルロースというタイトルの専門誌も存在します(6)。

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植物がデンプンを貯蔵するのに対して、動物はグリコーゲンを貯蔵します。グリコーゲンはα-D-グルコースが α1,4 および α1,6結合で重合しているという意味ではデンプンと同じです。ただ分岐は非常に多く編目のような構造になっています(図5)。分岐が多いということの利点は、少ない容積に多数のグルコースを詰め込むことができるということです。

もうひとつグリコーゲンに特徴的なのは、最初にグリコジェニンという特異な酵素が働くことです。この酵素は自らが基質となり、自分のチロシンのOHにグルコースを結合させ、そこからグルコース鎖を延長させることができます(7、8)。

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グリコーゲンをつくるための最初の反応は
UDP-alpha-D-glucose + glycogenin ⇌ UDP + alpha-D-glucosylglycogenin

次の反応は
alpha-D-glucosylglycogenin + UDP-alpha-D-glucose ⇌ UDP + alpha-D-glucosylglycosylglycogenin

となります。グルコースにUDP(ウリジン2リン酸)がくっついているのは、反応を進行させるためにグルコースを活性化するというしかけです。

ある程度鎖が延長されるとグリコジェニンはお役御免となり、グリコーゲンシンテースや分岐酵素にバトンタッチして鎖延長や分岐が続行されます。グリコジェニンという奇妙な酵素はクララ・クリスマン、ウィリアム・ウェランらによって発見されました(9-12、図6)。

クララ・クリスマンらはUDP-グルコ-スを14Cでラベルして肝臓抽出液に投入してインキュベートすると、トリクロル酢酸で沈殿する分画にラベルが移行し、これによってグルコースオリゴマーがタンパク質に結合していることを示唆しました。ウェランらはこの結合が共有結合であることを証明しました。グリコーゲンがタンパク質と共有結合しているかどうかは、昔激しい論争があったようで、ウェランも刺激的なタイトルの総説を書いています(11)。

自分が基質になる酵素というのは他にないわけではなく、たとえばタンパク質分解酵素のなかには自己消化を行うものもありますが、それはある酵素分子が自分自身を消化するという意味ではありません。

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グルコースの誘導体のひとつとしてN-アセチルグルコサミンについては前回述べましたが、N-アセチルグルコサミンがβ-1,4-結合を繰り返してポリマーになったものがキチンです(図7)。節足動物の体表を被う外骨格の素材として用いられています。セルロースと同様に分子間の水素結合が強力で、丈夫な線維・シートを形成することができます。創傷治癒のための医療用品・化粧品・衣料・農薬などの素材に用いられています(13)。

A_7

さて私たちオピストコンタと植物(プランタ=アーケプラスチダ)というかけ離れた分類学上の位置にある生物が似たような多糖類、すなわちデンプンとグリコーゲンをエネルギー源として貯蔵しているのはちょっとした驚きですが、両者と分類学上離れた位置にあり、ストラメノパイルというスーパーグループに属する昆布などはどのような多糖類を合成しているのでしょうか? 

ウィキペディアによると昆布は夏から秋にかけて重量の40~50%を占めるくらい大量のラミナランという多糖類を合成して貯蔵しておくそうです。それはやはりグルコースのポリマーなのですが、結合様式が β1,3結合 と β1,6結合 からなっていて、オピストコンタやプランタとは大きく異なっています(図8)。

A_8

ヘテログリカンの代表としてヒアルロン酸を紹介しておきます。ヒアルロン酸はN-アセチルグルコサミンとグルクロン酸がβ-1,4-結合した2糖を基本単位として、これらがβ-1,3-結合で重合したものです(図9)。ヒアルロン酸は主に細胞外に放出されて、細胞間のマトリクスとして存在します。ぬめぬめしたゲルのような性質で、関節がなめらかに動くように機能しています。また皮下の結合組織や眼球の硝子体に多量に存在しますが、これはヒアルロン酸が水を保持する能力に優れ、組織や細胞をひからびさせないようにする作用があるためと思われます。

膝の関節に注入することによって疼痛を軽減できますが、徐々に分解されるので、ある期間が過ぎると追加が必要になります。経口ではほぼ効かないようです(14)。毒性がほとんどないのでシワとりなど美容整形にもよく用いられますが、この場合も徐々に分解することは避けられません。また間違って動脈に針が入ると、血管が詰まって悲惨なことになってしまうので、個人的にはあまりおすすめできません。

A_9

参照

1)https://kotobank.jp/word/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%B3-764487

2)ホートン 生化学第3版 p.183 東京化学同人(2002)

3)JA全農やまぐち http://www.yc.zennoh.or.jp/rice/mamechishiki/mame01-4.html

4)酵素辞典 http://www.amano-enzyme.co.jp/jp/enzyme/4.html

5)三重大学 http://www.bio.mie-u.ac.jp/~karita/sub3.html

6)http://link.springer.com/journal/10570

7)畠山巧 ベーシック生化学 第11章 グリコーゲン代謝と糖新生

8)https://en.wikipedia.org/wiki/Glycogenin

9)Krisman CR, Barengo R., A precursor of glycogen biosynthesis: alpha-1,4-glucan-protein. Eur. J. Biochem. vol.52, pp. 117–23 (1975)  doi:10.1111/j.1432-1033. 1975. tb03979.x. PMID 809265

10)Whelan WJ., The initiation of glycogen synthesis. BioEssays vol.5, pp. 136-140 (1986)

11)Whelan WJ., Pride and prejudice: the discovery of the primer for glycogen synthesis., Protein Sci. vol.7, 2038–2041 (1998)  doi:10.1002/pro.5560070921. PMC 2144155Freely accessible. PMID 9761486

12)Whelan WJ., My Favorite Enzyme Glycogenin., IUBMB Life, Vol. 61, pp. 1099-1100 (2009)

13)キチン・キトサン利用技術: http://www.inpit.go.jp/blob/katsuyo/pdf/chart/fkagaku19.pdf

14)変形性膝関節症: http://www.jcoa.gr.jp/health/clinic/knee/koa.pdf

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2017年3月20日 (月)

2016~2017リーガ・エスパニョーラ第28節: バレンシア ファウルで自滅

Braugrana先週はデポルティボ・ラ・コルーニャに敗戦という大失態を演じたバルサ。懲りずに今日も3バックです。

FW:ネイマール・スアレス・ラフィーニャ、MF:イニエスタ・メッシ・ラキティッチ、守備的MF:ブスケツ、DF:ウムティティ・ピケ・マスチェラーノ、GK:テア=シュテーゲン。バレンシアはロドリゴ・ナニ・ミナが故障欠場という気の毒な状態。1トップにはザザではなく、バルサのFWだったムニルを起用。これはカンプノウの試合ということでの粋な計らいなのでしょうか。2列目はオレヤナ・ソレル・カンセロ、守備的MF:エンソ=ペレス・パレホ、DF:ガヤ・マンガラ・ガライ・モントヤ、GK:ジエゴ=アウヴェス。

今日のスアレスは元気です。3分にイニエスタのスルーパスを受けて早速左に抜け出しますが、中央に受け手がいなくて残念。守備はカンセロに抜け出されるなど、相変わらずザルです。攻撃は左サイドはネイマールにおまかせ。右サイドライン近辺にラフィーニャを張り付け、メッシはトップ下というスタイル。これは結構うまくいっています。2週くらい前に比べるとメッシもスアレスも元気を取り戻しました。しかしチャンスを作ってもなかなか得点はできません。

19分にはピケのクリアボールがソレルの前に転がって、あやうく失点するところをテア=シュテーゲンがシュートをとめてくれて助かりました。このあとバレンシアの守備の要エンソ・ペレスにカードが出て、これは大きい。しかしその後GKからのロング1発で1:1の危機を招くなど、守備はほころびが目立ちます。そしてついにCKからマンガラのヘッドで失点。これはきれいに決められました。どうしようもありません。

バルサの反撃は35分。ネイマールのまるでスルーパスのようなスローインをスアレスが拾って見事にゴール。1:1のタイとしました。このあとパレホもカードをもらって、さらに44分マンガラがエリア内でスアレスのシャツをつかんで一発レッド。メッシがPKを決めて2:1。

センターバックが退場、ダブルボランチが2人ともイエローではバレンシアもどうしようもありません。のはずが前半終了直前、左にスルーパスが通って、中央のムニルにラストパス。ムニルに恩返しされてしまいました。これで2:2のイーブンに戻されました。バルサの弱体な守備が際立った瞬間です。マスチェラーノ・ピケ・ウムティティがみんなそこそこ好調なのにこれですから、考えた方がいいですね。

後半はバレンシアはオレヤナをアブデヌールに代えてCBマンガラの穴を埋めました。バルサは8分、メッシが右から狭いニアサイドに右足で強烈なゴール。再びリード。29分にはラフィーニャをAゴメスに交代。44分にはネイマールの左突破からのクロスにAゴメスが合わせてゴール。4:2です。Aゴメスは移籍後初ゴールでおめでとう。

何とか勝てましたが、どちらかと言えばバレンシアの自滅試合でした。バレンシアの伝統が復活したのでしょうか?

https://www.youtube.com/watch?v=9LCLtrsTXTs

https://www.youtube.com/watch?v=mVn4lUKUbuw

https://www.youtube.com/watch?v=GVYO6ttxz90

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2017年3月17日 (金)

ヤバイ話

Mizuhonokinikinenshogakuin_20170310BSフジ・プライムニュースが森友学園問題で微妙な議論をやっています。丸山などというヤバイ人間を呼んだものだから、ときどき反町の顔が真っ赤になるというのが面白い。一つ間違うと番組をつぶされるかもしれないという危機感がただよっています。

腫れ物に触るように忖度しつつもヤバイ話をするのでスリリングです。田崎も晋三に助け船を出そうとするときには、世論の反発を恐れているので顔が赤くなります。それでも昔の偽メール問題を持ち出して、福山を恫喝することは忘れていませんでした。

でも聞いているうちに、官邸のスキームが見えてきたように思いました。最悪近畿財務局と大阪府の責任にして逃げ切ろうということですね。さあ逃げ切れるかな? 松井も必死ですし。

一番重要なのは、自民党と日本会議が教育を戦前のスタイルに戻そうとたくらんでいて、あれこれと話を進めているということです。このことが森友学園問題を契機に明るみに出てきたのです。戦前の教育の洗脳効果は世界でもまれなもので、戦時中に大部分の日本人が戦争を支持していたことが驚きの眼でみられています。大人気の小池都知事が日本会議の幹部だということも忘れてはいけません。日本会議は深く静かに潜行するのです。気がついたときにはもう手遅れになっているというのが彼らの狙いです。

田崎も丸山も迫田前理財局長がキーマンだというなら、証人喚問できるように動いて欲しいですね。佐川氏は前任者の尻ぬぐいをさせられて気の毒ではありますが、人に不快感を与える性格の分だけ損していますね。やっぱり官僚組織のトップには腰が低くて、それでも忖度はあまりしない人間を据えるべきだと思います。しかしそういう種類の人間を、晋三は使いたがらないみたいですね。

>森友学園のtwitter:  https://twitter.com/moritomogakuen1

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2017年3月15日 (水)

2017墓参り

神戸には18才までしか住んでいませんでしたが、折に触れて訪れています。今回は恒例の墓参りです。足腰が悪かったときは大変でしたが、最近は調子が良いので、苦難なく往復できるようになりました。

時間があったので、帰りにハーブガーデンに寄りました。岡山から卒業旅行の下見に来たという学生といっしょにリフトに乗って頂上に上がりました。ここからリフト中間駅までがハーブガーデンになっています。

頂上から神戸の街が見渡せます。街の向こうの海は大阪湾です。

Imgcc


私が神戸にいた頃の想い出をいくつか文章にしています。お暇な方は是非。

http://morph.way-nifty.com/novels/2016/07/post-eaca.html

頂上にはレストラン・売店・コンサートホールなどがあり、結構楽しめます。

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この建物の裏側に小さなゲートがあり、手で押し開けると摩耶山方面への山道に出ることができます。私は中学・高校時代に何度か摩耶山から歩いて布引の滝までおりてきたことがありますが、ハーブガーデンの造成などで当時の道はわかりません。しかし登山道への出入口を維持してくれていることは有難いことだと思います。

コンサートホールに寄ってみると、中ではリハーサルが行われていました。ショパンを弾いていました。女性の方はステージ衣装着用でピリピリした雰囲気でした。

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日曜日でしたが、新幹線は大変な混雑で、こんなにも大勢の人が移動しなければならないのかと驚きました。なにか社会の構造が間違っているのではないかと考えさせられます。

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2017年3月14日 (火)

2016~2017リーガ・エスパニョーラ第27節: 不可解な3バックでデポルに沈められる

Braugranaガリシアに遠征し、リアソールでデポルティーボ・ラ・コルーニャとのゲーム。ミッドウィークに0:4でアウェイ戦を落としていたバルサは、ホームで奇跡をおこしPSGを6:1で葬りました。全力投球の後の試合はさてどうなるのか?

デポルはホセルの1トップ、2列目ファジル・カルレス=ヒル・ブルーノ=ガマ、守備的MF:ヘルナンティニョス・ボルヘス、DF:ナバーロ・アリバス・アルベントサ・ファンフラン、GK:ルクス。バルサはトップがルイス=スアレス、左右のエストレーもがアルダとデニス=スアレス、MF:Aゴメス・メッシ・セルジ、守備的MF:ブスケツ、DF:アルバ・ピケ・マスチェラーノ、GK:テア=シュテーゲン。

バルサは3:1:3:3という奇妙で難しいフォーメーションです。3バックは442でくる相手に対処するためのものであり、1トップで2列目を分厚くしてくる相手には対応が難しくなります。バルサは永年右サイドにダニというスーパースターがいて、守備から攻撃まで右サイドライン近辺の仕事はすべておまかせだったので、彼がいなくなったあとの混乱がいまだに後を引いている感じがします。ビダルの負傷もチームにとって本当に痛いです。

前半はデニスが右サイドライン際の相手陣深くに張り付くという役割で、それなりに右サイドは攻撃のシステムとしてはうまくいっていたと思いますが、右SBのマスチェラーノの負担が非常に重くなって、守備は厳しい状況でした。結構シュートを打たれました。それに左のアルダが体が重い感じで機敏に動いていません。

デポルの守備はセルタよりかなり上で、メッシとスアレスはきっちり抑えていますし、ラインの統率もきちんとできています。それでも26分のメッシFKからスアレスのヘディングシュートがGK正面に行ったのは残念でした。このあたりから土砂降りになってピッチコンディションが悪くなりました。

36分にセルジが右サイドを完全に突破しましたが、ラストパスの受け手がいなくて残念無念。ここはスアレスかアルダが用意をしていなければいけません。このすぐ後、デポル左サイドからのクロスにホセルが名人芸のシュートを打ちますが、テア=シュテーゲンがぎりぎりではじきます。しかし41分CKをマスチェラーノがギリギリで触ったこぼれ球をテア=シュテーゲンがキャッチしそこない、転がったところをホセルに押し込まれて失点。このままハーフタイム。

後半1分、右サイドからのデニスのクロスを中央のAゴメスがうまくスアレスの前に転がして、スアレスが豪快に決めてくれました。デニスの右エストレーモ、Aゴメスのポスト、は非常に好ましいですね。今日は故障で欠場でしたが、ネイマールが出てくれば相当優秀な攻撃陣になります。

しかし相変わらず守備は穴だらけで、ファジルやガマらに簡単に崩されてしまいます。そしてホセルに打たれて、テア=シュテーゲンが必死にセーヴです。そしてついにCKからヘルナンティニョスに頭で合わされて決勝点をたたきこまれました。

今日の敗戦は私はルーチョに責任があると思いますね。アルダが不調だったので、すぐにイニエスタに代えるべきでした。あとデニスは試合が終わるまで右エストレーモで固定すべきでした。彼がフリーに動くようになってから、攻撃に全然まとまりがなくなりました。

そもそもこの相手に3バックはないと思います。普通にセルジを右SBで使っていれば、こんなにホセルに打たれることはあり得ません。攻撃はAゴメスが中央でポスト役、左右にエストレーモを配して、スアレスとメッシで得点というパターンで行けばと思います。いつまでも昔のバルサスタイルにこだわらず、今いる選手の特徴を生かしたスタイルに変更するべきだと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=5FQ6fxEF-1s

https://www.youtube.com/watch?v=NeFut6IxwqU

https://www.youtube.com/watch?v=ADU9_Kl0h50


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2017年3月13日 (月)

やぶにらみ生物論65: 糖質

生体は核酸とタンパク質だけでできているわけではなく、糖質や脂質ももちろんその構成要素です。糖質の構造の基本は19世紀末に、ここにも何度も登場しているエミール・フィッシャーによって明らかにされ、構造式の書き方も彼が考案したものが現在も使われています(1)。糖質でやっかいなのは異性体が非常に多いことで、きちんと整理しておかないと混乱します。

糖の話に入る前に、図1に異性体のおおまかな分類を示します。


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異性体:異性体(isomer)とは、同じ数、同じ種類の原子を持っているが、違う構造をしている物質のこと。

構造異性体:構造異性体(structural isomer)とは、組成式は等しいが原子の間の結合関係が異なる分子のこと。
ブタンと2-メチルプロパン:組成式はともに C4H10 であるが、ブタンの構造式は H3C-CH2-CH2-CH3 であるのに対し、2-メチルプロパンは H3C-CH(CH3)-CH3 です。

立体異性体:立体異性体(stereoisomer)は、同じ構造異性体同士で、3次元空間内ではどう移動しても重ね合わせる(スーパーインポーズする)ことができない分子。

鏡像異性体:鏡像異性体(enantiomer)とは立体異性体のうち、左手と右手のように鏡に映した形の分子を意味し、鏡像異性体をもつ分子をキラル分子といいます。炭素原子が持つ4価の共有結合の相手がすべて異なる場合、必ず鏡像異性体があり得るので、このような結合を行っている炭素を不斉炭素(キラル炭素)といいます。例えばアラニンは不斉炭素にNH2、CH3、H、COOHという4種のグループが結合しているので、LアラニンとDアラニンという互いに鏡に映した形の鏡像異性体が存在します。

ジアステレオマー(Diastereomer):立体異性体のうち鏡像異性体でない分子。シス-トランス異性体などはジアステレオマーです。

糖類を代表する分子としてまずグルコース(ブドウ糖)をとりあげましょう。グルコースは水溶液中では図2のように、α型とβ型の環状体と中央の鎖状体の3つの形が平衡状態にあります。鎖状体はα型またはβ型に対して構造異性体、α型とβ型は立体異性体ということになります(1、2)。

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鎖状構造のグルコースの異性体に着目してみます(図3)。上から炭素に番号を付けると、2番目から5番目の炭素が不斉炭素です。ここで5番目の炭素の左右と下の構造を固定し(赤で示したOHが右にある)、上だけ可変とすると、図3のように8種類の異性体が考えられます。それぞれの異性体に鏡像異性体が存在するので16の異性体が存在します。5番目の炭素のOHを左側にもってくると異性体の数は32となります。それぞれの異性体には名前があります(3)。フィッシャーは当時の研究法で III がグルコースであることを示しました。

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グルコースには図2で示した3つの形があるので、32x3=96の異性体があることになります。さらにいす型やふね型の立体配座の異性体があるので(4)、それらをカウントすると、とんでもない数になります。糖質のおそるべき複雑さを垣間見ましたが、自然界に存在するグルコースはほとんどが図3-IIIの5番目のCの右側にOHがあるD体です(5)。アミノ酸の場合H2N-C-COOHと書いて、Cの下にHを書きます。これがL体。糖の場合H-C-OHと書いて、Cの下にCH2OHと書きます。これがD体です。

歴史的には結晶に光を照射したときに、右にまがる(dextro-rotatory)か左にまがる(levo-rotatory)かで判定されました。もっと理論的な命名法がRS法ですが、ここでは説明しないので知りたい方は文献(6)を見て下さい。アミノ酸と糖に関してはDL法が一般的です。

グルコースのようにひとつの環でできている糖を単糖とよびます。単糖にはグルコースのように5つのCとひとつのOで構成される環が基本となっているヘキソースと、リボースやキシロースのように4つのCとひとつのOで構成される環が基本となっているペントースが存在します(図4)。この6員環(5C+1O)をピラン、5員環(4C+1O)をフランとよびます。ピラン環でもフラン環でもOと結合している炭素はO以外にC・H・OHと結合している場合不斉炭素であり、HとOHが上下逆のα型とβ型を生じます。リボースはRNAの構成成分ですが、2の位置のOHがHに変わったデオキシリボースはDNAの構成成分です。デオキシリボースのような糖を一般にデオキシ糖とよびます。

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グルコースの2の位置のOHはアミノ基と置換されることもあり、この場合はグルコサミンとよばれます。またアミノ基がアセチル化された場合、N-アセチルグルコサミンとよばれます。グルコサミンやN-アセチルグルコサミンは後に述べる複合糖質・ヒアルロン酸・糖脂質の材料として重要な物質です。サプリメントとしても有名ですが、関節症などに効くかどうかは疑わしいと考えられています(7)。

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鎖状の糖の上端に書かれたアルデヒドのOと下端のCH2OHのH2のうちひとつのHが失われて環状化するとラクトンが形成されます。グルコースの場合グルコノラクトンとなります。このグループの化合物にはビタミンC(アスコルビン酸)という人類には必須の物質があります(図6)。ビタミンCはグルコースからやや複雑な経路で合成されます(8)。ビタミンCは私たちの体の中でコラーゲン合成、スーパーオキサイドの除去などの重要な役割を果たしています。

ヒトはビタミンCを体内で合成することはできません。私たちの祖先のサルが果実を主食としてビタミンCを日常的に外界から得ていたため、合成経路をになう酵素が突然変異してしまったままになったため活性が失われたと考えられています。霊長類の中でも、キツネザル・アイアイ・ロリスという原始的なグループはビタミンCを合成することができますが、ヒトを含めたそれ以外のグループは合成できません。

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さて単糖だけでも膨大な異性体が存在するわけですが、これが2糖となるとそのかけ算となる上多彩な結合が存在しますから手に負えません。とはいえスキップするのもどうかと思うので、少しだけ紹介しておきます(図7)。グルコース+グルコースでできている麦芽糖(マルトース)は、デンプンがαまたはβアミラーゼによって分解されたときに生成する2糖類です。甘味料の他点滴にも使用されています。急激な血糖値の上昇を防ぐには2糖が有効です。麦芽糖はαグルコシダーゼの作用によって徐々に分解され、2分子のグルコースになります。

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ショ糖(シュークロース)はグルコース+フルクトース(フラクトース)で構成される、自然界に最も多量に存在する2糖です。自然界では植物だけが合成できる化合物です。動物はインベルターゼという酵素でグルコースとフルクトースに分解して利用することができます。どうしてサトウキビやテンサイがショ糖を大量に蓄積するのか、調べましたがわかりませんでした。想像するに、ショ糖はデンプンなどと違って、草食動物に対して歯を溶かすなどなんらかの毒性があり、サトウキビやテンサイを好んで食べる動物に危害を与えるために合成するのかもしれません。

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糖の正式な命名法は(9)を参照していただくことをおすすめします。

参照

1)http://受験理系特化プログラム.xyz/organic/fischer-3

2)グルコースの構造式:
http://sci-pursuit.com/chem/organic/glucose_structure.html

3)32コの異性体:
http://ameblo.jp/apium/entry-10212514628.html

4)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B5%E3%81%AD%E5%9E%8B

5)http://kusuri-jouhou.com/creature1/suger.html

6)立体配置の記述法:
http://www.chiral.jp/main/R%26S.html

7)Wandel, Simon; Jüni, Peter; Tendal, Britta; Nüesch, Eveline; Villiger, Peter M; Welton, Nicky J; Reichenbach, Stephan; Trelle, Sven (2010). “Effects of glucosamine, chondroitin, or placebo in patients with osteoarthritis of hip or knee: network meta-analysis”. BMJ 341. doi:10.1136/bmj.c4675. ISSN 0959-8138.
http://www.bmj.com/content/341/bmj.c4675

8)ビタミンCの真実:
http://www.vit-c.jp/vitaminc/vc-02.html

9)http://nomenclator.la.coocan.jp/chem/text/carbohy.htm




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2017年3月11日 (土)

孫崎の言っていることは正解だと思う

http://www.asyura2.com/17/senkyo222/msg/198.html

籠池がトカゲのしっぽ切りは許さないと言ったのはポロリと出た本音。

Mizuhonokinikinenshogakuin_20170310


(写真はウィキペディアより)

あきれるしかない

http://saigaijyouhou.com/blog-entry-15847.html

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2017年3月10日 (金)

サラとミーナ184: 妥協

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寒の戻りがきつい昨今ですが、皆様如何お過ごしでしょうか? 猫たちは相変わらず元気で過ごしております。三角屋根の猫ベッドはサラとミーナがうちに来た当初(約10年前)からあるのですが、長い間めったに寝床に使うこともなく放置されていました。それがなぜか最近人気で、きっかけはサラがその入り口を寝床に使い始めたことです。サラは閉所恐怖症なので、奥までははいりません。それがある日ミーナが奥まで侵入して寝始めたので、そこまで行けないくせにサラがカチンときたようです。かなり緊張した面持ち。

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結局このような形で妥協が成立しました。しかしここでミーナがサラの顔を後ろ足で蹴るようなことがあると、サラは激怒します。

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窓際のベッドでは、ほぼ闘争はなくなり、このような平和共存となりました。どうもひとつの案件ごとに、闘争→妥協→平和というステップをふまないとおさまらないようです。人間でもおなじでしょうかね?

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2017年3月 8日 (水)

2016~2017 リーガ・エスパニョーラ第26節: 不思議な好調でセルタを壊滅

Braugrana_2ルイス・エンリケがやめる本当の理由はよくわかりませんが、来シーズン以降メッシ・スアレス・イニエスタ・ブスケツらの年長組を徐々にひっこめて、新戦力に置き換えていかなければならないという途方もなく困難な仕事は、自分ではなく新監督がやった方がいいだろうと思ったのだろうと、私は考えます。

セルタ・デ・ビーゴをカンプノウに迎えます。スアレスの1トップで、左右のエストレーモがネイマールとラフィーニャ。トップ下がメッシで、守備的MFがラキティッチとブスケツ。DF:アルバ・ウムティティ・ピケ・セルジ。セルジは攻撃時にはラフィーニャの内側に上がっていく感じです。GKはテア=シュテーゲン。

セルタは451か541かよくわかりませんが、トップはスウェーデン人のグイデッティ。攻撃に参加するのは主にイアゴ・アスパスとヴァスあたり。ボンゴンダ・ラドヤ・ウーゴ=マージョ、ジョニー・セルジ=ゴメス・カブラル・ロンカリアで守備。GKはセルヒオ=アルバレス。

バルサはなぜか最近ではまれにみるくらい動きがいいです。ネイマール・スアレス・メッシも元気いっぱいで、19分にはスアレスがポストにあてて、跳ね返りをメッシがポストにあてるというお馬鹿なプレーもありましたが、負ける気はしません。ネイマールは相変わらずファウルを誘発します。フェイントで抜かれるというのはDFにとっては屈辱で、そのくらいならファウルで止めた方がいいと思うのでしょう。ウーゴ・マージョのタックルはかなり危険でした。

21分には思わぬピンチでこぼれ球をロンカリアにフリーで打たれますが、当たり損なってラッキーでした。すぐ後の24分にメッシが中央を疾走してそのままゴール。これはセルタの守備がダメですね。先制点はバルサ。さらに40分には、ラキティッチ→メッシ→ネイマールときれいなパスがつながって、最後はネイマールがループで決めるという美しいゴール。ここでハーフタイム。

後半12分、ラフィーニャからゴール前でラキティッチにパスが出て、ラキが股抜きゴール。バルサは16分にはブスケツを休ませ、マスチェラーノに交代させる余裕です。
16分にはメッシが左に侵入し、ゴール前にラインとパラレルなクロスを供給。これに足を出したのが何とウムティティ。バルサでの初ゴールです。これで4:0。余裕のある試合の証明です。さらに19分にはメッシが右から自分で持ち込んでゴール。マニータとなりました。

バルサは新しいシステムに少し慣れてきました。後半はウムティティを右SBにコンバートするという新機軸もありました。まあ彼は守備ならどこでもできますが、私的には右SBはちょっとうなずけません。ブスケツが引っ込んだときにボランチをやるというならまだ理解できますが。重傷者が出たときの特別ルールがあるわけですから、右SBをさっさと補強すべきでしょう。どうしてこんなにのんびりしているのか理解できません。

セルタの守備はお粗末です。ちょっと疲労している感じもありました。バルサの動きが良かったとか書きましたが、この点を考えるとまだ錯覚かもしれません。

https://www.youtube.com/watch?v=lwNUwhjpXj4

https://www.youtube.com/watch?v=nIcm73RGRdY

https://www.youtube.com/watch?v=12AxZmHypBk



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2017年3月 7日 (火)

やぶにならみ生物論64: 制御タンパク質他

数回にわたってタンパク質とは何かをざっくり述べてきましたが、最後に「制御因子他」のジャンルに属するものについてふれておきましょう。

酵素などは基本的には作られる量と壊される量によって制御されています。その他に他の酵素によって修飾されたり、ビタミンや生成物などの低分子物質によっても制御されます。しかし中にはわざわざ自分の活性を制御する専門のタンパク質が遺伝子として存在するようなラグジュアリーな酵素も存在します。ODC(オルニチン脱炭酸酵素)はそのひとつです。

オルニチンはすでに述べたように(1)、尿素サイクルに含まれる物質で、アンモニアを解毒し排出するうえで重要な位置にありますが、それ以外にODCによってオルニチンはプトレシンに代謝されます。

H2N-(CH2)3-CH(NH2)-COOH(オルニチン) → H2N–(CH 2)4–NH2 (プトレシン)+ CO2

プトレシンを起点として、いわゆるポリアミン類-スペルミジン・スペルミンが合成されます。ポリアミンは精液に多量に含まれますが、その機能は細胞増殖、イオンチャンネルの制御、DNAの安定化など多岐にわたっており、まだ完全には解明されていません(2)。ポリアミンは多すぎても少なすぎても生物が生きていく上で障害になるので、ODCの活性は厳密に制御されなければなりません。余談ですが、そういう意味ではオルニチンをサプリメントとして摂取するのは、体に負担をかけることになるのではないかと危惧されます。

そこで登場するのがODCアンチザイムという制御因子で、このタンパク質がODCに結合することによって、ODCは迅速に分解されます(図1、参照3)。結合状態での分子形態なども報告されています(4)。ODCアンチザイム自身がODCを分解するわけではなく、あくまでもODCの形態(コンフォメーション)を変化させて、タンパク質分解酵素が見つけやすいターゲットにするということです。

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アンチザイムとは違うアロステリックモデュレーターとして機能する因子にもふれておきましょう。図2のように細胞膜を何度も貫通するタンパク質は数多く存在しますが、それらは外界からのシグナル(例えばホルモン)を受けて、分子形態が変化し、細胞内に出ている部分を使って外界からきたシグナルを細胞内に反映させるべく仕事をします。このような機能を正方向(+)あるいは負方向(-)に導くためのタンパク質性制御因子が存在します(図2、参照5、6)。このような制御因子(アロステリックモデュレーター)は膜貫通タンパク質等に結合することによって、その構造を変化させ、機能に影響を与えています。

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制御因子のなかにはDNAと結合して転写を制御しているものもあります。これらは通常転写因子(transcription factor)とよばれています。例えばbZipというタンパク質は、C末側でαヘリックスがロイシンなどを介して結合してダイマーを形成し、N末側ではトングのようにDNAをはさんで転写を制御します(図3)。2本のαヘリックスがジッパーのように重なりあって結合している部位をロイシンジッパーといいます。

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またZif268(またはEGR1)という転写因子は、分子内にジンクフィンガーという部位(図4A)を3ヶ所持っており、その特異な構造を使ってDNAに結合します(図4B)。ジンクフィンガーというのは名前の通り亜鉛原子を抱え込んだ構造で、図4Aでは2つのシステインと2つのヒスチジンが亜鉛原子と結合しています。2つのβシートと1つのαヘリックスを含んだ構造が亜鉛原子によって安定化されているようです(図4B 参照7)

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ロイシンジッパータンパク質やジンクフィンガータンパク質は数多く存在し、またそれぞれがさまざまな遺伝子を発現させるために必要なので、機能によって分類や命名ができないため、酵素などと違って暗号のような名前になっています。タンパク質分子をいくつかの領域に分けて、それぞれをドメインとよぶことがあります。その場合ロイシンジッパードメインとかジンクフィンガードメインなどとよばれます。

もうひとつ、bHLH(basic helix-loop-helix)というドメイン(図5A)をもつ転写因子について述べておきます。このドメインは図5Aのように、2つの短いαヘリックスがループ状の構造でつながっています。このグループを代表する転写因子はMyoDです。MyoDはE12という別の転写因子とヘテロダイマーを形成して2本足のような構造をつくり、塩基性アミノ酸を使ってDNAと結合します(図5B)。

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MyoDは R.L. Davis らが発見した元締め的転写因子で、筋肉形成という極めて複雑なプロセスにゴーサインを出すマスター制御因子とされています(8、9)。発生の途中で未分化細胞を筋細胞に分化させるだけでなく、例えば筋トレをしたときもこれが発現して筋肉が増強されると考えられています。将来工場で細胞を分化させて食糧を製造するというようなことがあるとすれば、MyoDはキーファクターとして使われるかもしれません。

転写因子にはこれらの他にも非常に多くの種類があり、きりがありませんが、細胞がそれぞれ特徴を出すためにどの道を行くか決めるハンドルのようなものです。ノーベル賞の山中4因子(Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc)もすべて転写因子です(10)。これらはいったん来た道を逆行して元に戻るプログラムを進行させる因子とも言えます。

最初に「制御因子他 」と書きましたが、「他 」というのは例えばヘモグロビンです(図6)。ヘモグロビンは(グロビン+ヘム)x4で構成されるタンパク質で、グロビンも含めると真核生物のみならず、酸素を利用する生物には細菌も含めて広範囲に分布しています(11)。このタンパク質は酵素でも、構造タンパク質でも、制御因子でもなく、酸素や二酸化炭素を運搬する担体として使われています。

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そのほかにもリボソームというタンパク質製造マシーンではRNAと共に100種類近いタンパク質がそのパーツとして働いています。メッセンジャ-RNAを製造する工場であるスプライソソームなどでも多くのタンパク質がそれぞれ役割を果たしています。すなわち酵素・構造タンパク質・制御因子以外にも重要な役割を担っているタンパク質は数多く存在します。

参照

1)http://morph.way-nifty.com/grey/2016/05/post-8705.html

2)栗原新、ポリアミンのとても多彩な機能、生物工学会誌 vol.89,p.555 (2011)
https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/8909/8909_biomedia_3.pdf

3)村上安子, 松藤千弥、迅速なポリアミン制御を可能にするオルニチン脱炭酸酵素の分解系、化学と生物 Vol. 39, No. 3, pp.171-176 (2001)・・・アンチザイム
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/39/3/39_3_171/_pdf

4)Hsiang-Yi Wu et al., Structural basis of antizyme-mediated regulation of polyamine homeostasis. Proc Natl Acad Sci USA, vol. 112 no. 36, pp. 11229–11234 (2015)
http://www.pnas.org/content/112/36/11229.full.pdf

5)Lauren T. May, Katie Leach, Patrick M. Sexton, and Arthur Christopoulos, Allosteric Modulation of G Protein-Coupled Receptors
Annual Review of Pharmacology and Toxicology  Vol. 47, pp. 1-51 (Volume publication date 10 February 2007)
http://www.annualreviews.org/doi/10.1146/annurev.pharmtox.47.120505.105159

6)J.N. Kew, Positive and negative allosteric modulation of metabotropic glutamate receptors: emerging therapeutic potential., Pharmacol Ther. vol.104(3), pp. 233-244 (2004)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15556676

7)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%A%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC

8)Robert L. Davis, Harold Weintraub, Andrew B. Lassa, Expression of a single transfected cDNA converts fibroblasts to myoblasts.
Cell, Vol.51, Issue 6, pp. 987–1000 (1987)

9)Ma, P.C.,Rould, M.A.,Weintraub, H.,Pabo, C.O.Crystal structure of MyoD bHLH domain-DNA complex: perspectives on DNA recognition and implications for transcriptional activation. Cell vol.77, pp. 451-459 (1994)

10)iPSビズ ヤマナカファクターとは http://ips 細胞.biz/dic/30.html

11)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%A2%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%93%E3%83%B3

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2017年3月 5日 (日)

井上-都響 ドヴォルザーク交響曲第8番他@八王子オリンパスホール2017年3月5日

Imga八王子へは2時間30分はかかるので、ロングトリップです。それでも行ってみようと思わせるメンツと曲目でした。駅前のオリンパスホールは素晴らしいホールでした。特に2Fのデザインが落ち着いて聴ける感じで気に入りました。ステージも広い印象があり、フルオーケストラも余裕を持って展開できます。立ち席があるというのもめずらしい。

ただ信じられない問題がひとつありました。2F・3Fへの階段があり得ないくらい狭く、ひょっとすると、もともとエスカにするはずのところが、何らかの事情で階段にかわったのではないかと思いました。

それが1ヵ所だけですから、終演後もいったん全員止めて、少しずつ誘導するというとんでもない状況になります。火でも出てパニックになったらどうなってしまうのでしょうか? 誰が設計したのか知りませんが、これは欠陥建築物です。

ホールに入る前にそば屋で昼食をとりました。案内された席について、ふとふりかえるとそこに本日のマエストロ井上さんが座っておられました。例によってオーラを噴出しつつ、フラフラと出て行かれました。コンマスは山本さん。サイドはマキロン。客席は80%くらいの入りでしょうか。

演奏はやはり、はるばるやってきた甲斐がありましたね。最初の「中央アジアの草原にて」から、壮大なスケールのスペクタクルで圧倒されました。南方さんのイングリッシュホルンの茫漠たる響きが良い雰囲気を醸し出します。柳原やサトー氏も良い味出してました。

2曲目はラフマニノフのコンチェルト。超人横山のピアノは京懐石の味わいで、都響もすごいコンセントレーションでサポートしていました。やまない拍手とマエストロの指示に従って、ソリストアンコールもやってくれました。曲目は横山幸雄:オマージュ・ア・ラフマニノフ ~ヴォカリーズ~ でした。これ名曲だと思います。

休憩後のドヴォルザーク交響曲第8番は井上・都響の本領発揮で、ボヘミアの美しい台地と民俗を沸々と想像させてくれました。管も弦も実にニュアンス豊かな演奏で堪能させてくれました。日本人には茶目っ気出すとかえってしらける感じの人が多いのですが、井上さんは板についていて、これは指揮者として圧倒的に有利です。独特の指揮スタイルがはまっていますね。

横山幸雄

https://www.youtube.com/watch?v=lI0grn8uaE0

https://www.youtube.com/watch?v=W9gu5YuQqbw

井上道義

https://www.youtube.com/watch?v=yEnak1NCsbg

https://www.youtube.com/watch?v=D4lEJQGQ8oI

マエストロ井上のお言葉

人は良く言う「なんだか時の過ぎるのが早くって・・・あらまあ、さっきお正月だと思ったらもう桃の節句・・・嫌だわ、年取るのも無理がないわね」
みたいな会話にはいつも賛同しないで嫌われる。
 
「そりゃ、楽しい事をやってないからなんじゃないの?生き甲斐のある時間を過ごしていないんじゃないの?」
とか言う俺だ。ひひひ。
 
特に俺は夜には必ず夢を見るんで、1日が何だか2倍ぐらい長く感じるイカレポンチだ。
 

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2017年3月 3日 (金)

2016~2017リーガ・エスパニョーラ第25節: ヒホンに順当に勝利も、監督が突然辞任を発表!!

Braugranaカンプノウでスポルティング・ヒホンとミッドウィークの対戦です。

今シーズン、ルーチョはもともとアレイシ・ビダルを使う気が無くて、セルジを右SBで使っていましたが、ビダルの移籍がダメになってから気を取り直して使い始めたのですが、これが結構よくて、安定した守備と鋭いクロスなど活躍していたのですが、そのビダルが負傷長期欠場となっておかしくなりました。単にセルジを右SBで使うシステムに戻せば良いはずが、なぜかシーズン終盤になって新基軸の3バックをはじめて、アトレチコ戦ではかなり苦戦しました。いずれにしても、セルジひとりで右SBをやるのは不可能なので、特例の補強は必要ではあります。

残りのシーズン3バックでいくのでしょうか? 不安ですねえ。マチューも故障しましたし、ディフェンダーの問題は山積みです。バルサはスアレスの1トップ、2列目がネイマール・デニス=スアレス・メッシ・ラフィーニャ、ラキティッチとブスケツが守備的MFなのですが、並んでいるわけではなく、ブスケツはCB兼任、ラキは攻撃的MF兼任という感じです。DF:アルバ・ウムティティ・マスチェラーノ、GK:テア=シュテーゲン。

ずっとミッドウィークに試合があると、前の3人がでずっぱりのバルサは体調維持が難しくなり、どうしてもスタミナを温存するために休む時間が増えます。これはまずいですね。ビダルが元気だと、パコとの相性は非常にいいと思うのですが、メッシ・ネイマール・セルジあたりとはあまり相性が良いとは言えない感じがします。

ローテーションを使ってきたのはなんとヒホン。1トップ:カルロス=カストロ、2列目:ブルギ・アルバレス・カセス・ドゥグラス、ボランチ:シャビ=トーレス、DF:エチエジレ・ババン・ファン=ロドリゲス・リージョ、GK:クエジャル。降格圏内のチームなので、降格争いに備えてのローテーションとは有難いお話です。しっかり勝たせてもらわないとね。

9分マスチェラーノのロングフィードにメッシがするするDF裏に抜け出して、GKが出てきたところを頭に合わせてゴール。こんなに簡単に点が取れていいのでしょうか? DFラインが1人ずれていてオフサイドをとれませんでした。

11分ネイマールのロングパスをスアレスが受けてGKを抜き、深い位置から逆サイドのポストを狙ったシュート。これをファン=ロドリゲスがクリアし損なってオウンゴール。なんとも・・・。

楽勝かと思ったのですが、22分カウンターからアルバレス→カストロとパスが通ってゴール。ブスケツが間に合わず、3バックの弱点が露見しました。ちょっと強いチームが相手だと、この不安定なシステムのためにボロボロになってしまうかもしれません。

しかし今日は相手が相手なので。27分ババンのクリアボールがおあつらえ向きにスアレスの前にきてボレーでゴール。

後半も開始早々メッシからスアレスに替わって出ていたパコにラストパスが通って4点目。この後メッシもAゴメスと交代。それで21分ネイマールに出番が来てラキがもらったFKを強烈なバナナでたたき込んで5点目。今日のネイマールはシュートミスが多くて残念な日でしたが、これで一応仕事ができました。そのラキティッチが強烈なシュートで仕上げの6点目をとって試合終了。

https://www.youtube.com/watch?v=nqnZRKXLZVA

https://www.youtube.com/watch?v=Zv_czVTKoQQ

https://www.youtube.com/watch?v=IKN-U4GTNEY

https://www.youtube.com/watch?v=6grlQTv4MGI

このあと、なんとルイス・エンリケ監督が今季限りでの退任を発表しました。現在のバルサは非常に難しい転換期にあり、誰が監督をやってもバルサがカンテラから選手にたたき込んできたサッカーと、外部から来た選手との折り合いをつけるのが難しかったと思います。メッシ-チャビ-イニエスタ-ダニ-ブスケツの細かいパス回しから、密集の隙間を割って点を取るというサッカーはもうできません。今その臭いがするのはメッシ-ネイマール-セルジ-ブスケツあたりでしょうか。

最近採用した選手達はスアレス・ラフィーニャ・ラキティッチ・アルダ・デニス・Aゴメス・ビダル、みんなある程度フィジカルも強くて、そこそこスピードもテクニックもあり、バルサはチームとして奇術的なサッカーからスマートなサッカーに変身するべく作戦をたててきたような気がします。そんな中でアレイシ・ビダルを意固地に使わなかったりしたルーチョの真意がよくわかりません。古いバルサスタイルに固執したとも思えないのですが・・・。

次期監督のバルサファン投票をもうやっていて、圧倒的にホルヘ・サンパオリが人気だそうですが、私はどんな人かよく知りません。セビージャの監督になったばかりなので、1年で引き抜くのはちょっとアコギかと思います。いずれにしても、妙に意固地な監督が就任しないようにお願いします。

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2017年3月 1日 (水)

BSフジのプライムニュース 遠のく財政健全化目標

A0006_002418BSフジのプライムニュース 「遠のく財政健全化目標」をみましたが、ここでわかったことは、もう日本の経済は経済学者がどうこうできる段階を越えたということです。

一番キャラ的に面白かったのは佐藤主光で、内容はともかく話をあきさせないところは、ある種の天才。一番まともだと思ったのは小幡績で、「ちゃんと学会でも認められている人を政府のご意見番として使え」と言うのはごもっともです。

晋三は自分の素人としての好みで、学会から無視されて、もう転業しているような人の理論を採用し、その下僕の学者を使っているわけですから、当然ながら強烈な批判です。一番つまらないのはF(内閣官房参与)で、○○の一つ覚えしか言わない上に、根拠を掘り下げたり、詳しく展開したりすることもありません。反町もかなりこの人にはご機嫌斜めでした。

日本がやらなければいけないことははっきりしていて、10年くらいのスパンで言えば、「人口増加」と「イノベーション」ですから、政府が出来ることは、1.外国人の移住促進 と 2.研究投資の拡大 しかないです。

私的にさらに付け加えるなら、「自由貿易から管理貿易への転換」です。そうしなければ安定的なウィンウィンの関係などあり得ないので、どちらかの国がトランプのようにブチ切れることになります。この点は池上晋も含めて、多くの識者がまだまだ自由貿易に未練たっぷりなのは残念。

通販のカタログをみてください。製造国がちゃんと書いてあります。日本の製品は非常に少ないですよ。大部分の日用品・衣料品・靴・家具・電化製品などは中国と東南アジアの製品です。安くて良い製品なんだから当たり前です。これでいいわけないですね。原発も新幹線も売れませんし、三菱が航空機を製造して売ろうとしたのですが、なんといつまでたっても製品ができません。つい最近まで日本の一流企業だったところが、中国や台湾に買収されるような昨今です。

このような状況は管理貿易をやらなければ変わりません。これからますますひどくなるばかりでしょう。中国や東南アジアに拠点を移した会社が日本にもどってくるようにならなけらば、グローバル企業だけが微笑むブラックな国になり果てるでしょう。

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2017年2月28日 (火)

やぶにらみ生物論63: 構造タンパク質

タンパク質をその役割で分類すると、最もおおざっぱには酵素、制御因子、構造タンパク質、その他ということになります。構造タンパク質を代表するものとして、アクチンとミオシンがあります(ミオシンは酵素でもありますが)。これらは筋肉の主成分であり、肉食動物はこの2種類のタンパク質を主な栄養源として生きています。人間は雑食ですが、多くの人々は穀物(炭水化物)の他に、特に南米などではアクチンとミオシンを主要な栄養源としています。日本人も次第にそのようなライフスタイルに近づきつつあります。動物を殺さなくても美味な食事ができるようになれば、人間はもう少し高尚な生物になれると思いますが、エミール・フィッシャーの夢はなかなか実現しそうにありません。

生物が生物であるためには、生物と外界との間に仕切りが必要ですが、それは脂質が中心となった細胞膜です。細菌や植物はその外にさらに多糖類でできた細胞壁という構造を持っています。細胞壁はいわゆる動物にはありません。脂質の膜は細胞の内部にもあり、コンパートメントや物質輸送の役を果たしています。

ではタンパク質は細胞の構造形成にどのような役割を果たしているのでしょうか。ひとつは家で言えば柱とか梁のような、細胞に一定の形をとらせることです。とは言っても静的な恒久構造ではなく、ダイナミックに変化します。例えば筋肉は休んでいるときと、力を出しているときでは形態が異なります。もうひとつは細胞分裂を実行する構造ツールとしてタンパク質が機能するということです。

これらに関与しているタンパク質はほぼ3つのグループ、すなわちチュブリン、アクチン、中間系線維(繊維でもよい)に分類できます。この3つのグループは、細菌・古細菌・真核生物のすべてに存在するユニバーサルなタンパク質です。

細菌では図1のように、チュブリン系のFtsZは細胞分裂の際にZリングという構造を作って細胞と細胞の仕切りを形成する役割を果たしています。

アクチン系のMreBは細胞膜の直下に、細胞の全長に及ぶ繊維構造からなる螺旋状のネットワークを形成しており、細菌がロッド状の形態をとるために必要な役割を果たしています。またある種の細菌では真核生物の場合と同様、収縮リングをつくって細胞分裂を実行する役割を担っているようです(図1)。

中間系繊維グループのクレセンチンは、細胞が三日月のある種の細菌に存在し、細胞を屈曲させる役割を果たしています(図1)。人間の胃に住んでいるヘリコバクター・ピロリ、いわゆるピロリ菌もこの仲間のようです。栄養リッチな環境に住んでいる細菌は、その場所から流されたくないので、ひっかかりやすい構造をめざしたのでしょうか? 細菌の細胞骨格については、ウィキペディアにもう少し詳しい解説があります(1)。

A_4

真核生物におけるチュブリンは毛利秀雄(1930-、図2)によって発見・命名された分子量約5万の球状タンパク質で(2)、通常重合して微小管などの構造を形成しています。αチュブリンとβチュブリンは図3のようにヘテロダイマーαβを形成し、さらにそのヘテロダイマーが連結して線維状のプロトフィラメントを形成し、13本のプロトフィラメントが集合して管になったような形の微小管が形成されます(3)。微小管の直径は約25nmです。

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精子の鞭毛を輪切りにすると、中心にある1対=2本の微小管を、9ペア=18本の微小管が取り囲むという美しい規則的な構造になっています。微小管の周囲に存在するダイニンはATPが持つ化学エネルギーを運動エネルギーに変換することができるタンパク質(モータータンパク質)であり、これらの作用によって精子は鞭毛を動かし、泳いで卵に到達することができます(図4)

A_6

アクチンはF.B.シュトラウプ(1914-1996、図2)によって発見された、分子量約4万2千の球状タンパク質です(4)。微妙に異なる6種類があり、冒頭で述べた筋肉を作るタイプのものとは異なるβ型アクチンは、重合してマイクロフィラメントという直径6nm前後の線維を形成し、微小管と同様細胞骨格の役割を果たしています(図5)。アクチン自体はモータータンパク質ではありませんが、ATPやADPと結合することによって線維形成が制御されています(5、6)。

A_7

細胞形態がいかにチュブリンやアクチンに依存しているかということは、図6をみれば一目瞭然です。細胞質の中は微小管やマイクロフィラメントのジャングルジムのようです。これらの細胞骨格はジャングルジムと違ってフレキシブルで、次の瞬間には別の形になることもあります。微小管やマイクロフィラメントは常に多くの分子が参加したり離脱したりしているので、細胞の柱や梁といっても、非常に流動的なパーツではあります。

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細胞骨格にはもうひとつの要素、すなわち中間径線維があります。中間径というのは線維の直径が微小管とマイクロフィラメントの中間という意味で、約10nmのサイズになります。中間径フィラメントを構成するタンパク質には、ケラチン、ニューロフィラメントタンパク質、デスミン、ビメンチン、ラミンなどがあり、細胞の種類によって特異性があります。ミオシンもこのグループに近いタンパク質です。

中間径線維の代表としてケラチンに注目してみましょう。ケラチンは毛髪・爪・表皮・角・くちばし・ウロコなどの主成分となるタンパク質です。ケラチンはヒトのものだけでも54種類あり、まだ増えるかもしれません(7、8)。ケラチン分子は細長い線維性(フィブラス)の分子で、図7のように4量体(テトラマー)をつくり、それを基本単位としてタンデムに結合してマイクロフィラメントが形成されます。8本のマイクロフィラメントが集合してマイクロフィブリルを形成し、マイクロフィブリルがさらに集合して毛や皮膚などの細胞に充満しています(図7)。

A_9

図8は私が撮影した毛の断面の電子顕微鏡写真で、まだ完全にケラチン線維で埋め尽くされていない未分化な下部の構造です。ケラチン線維の束(マイクロフィブリルまたはミクロフィブリル)の間に隙間がまだみられます。

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筋肉は中間径線維グループに近縁のミオシンと、全く別オリジンのアクチンなどのタンパク質が共同して作った驚異的な芸術的作品です。筋肉によって動物は歩行し、呼吸し、消化し、出産し、飛翔し、遊泳し、目のピントを合わせ、キーボードをたたくことができます。いずれまた話題になると思いますので、ここでは1枚の私が撮影した電子顕微鏡写真だけ貼っておきます(図9)。私の過去記事が(9,10)にありますので、お時間のある方はどうぞ。

A_11

参照

1)こちら

2)Mohri H., “Amino-acid composition of Tubulin constituting microtubules of sperm flagella.”. Nature vol. 217, pp. 1053-1054 (1968)  PMID 4296139

3)Nogales, E., Wolf, S.G., Downing, K.H. , Structure of the alpha beta tubulin dimer by electron crystallography. Nature vol. 391, pp. 199-203 (1998)

4)Straub FB., Actin,  Studies Inst Med Chem Univ Szeged. vol.2, pp. 3–16 (1942)
http://actin.aok.pte.hu/archives/pdf/StudiesII_1.pdf

5)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3

6)Geoffrey M Cooper, Structure and Organization of Actin Filaments. The Cell: A Molecular Approach. 2nd edition. Sunderland (MA) (2000).
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK9908/

7)http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/~pathology/templates/keratin.html

8)片方陽太郎 ケラチン蛋白質の生化学 -構造、機能、そして遺伝子まで-、蛋白質 核酸 酵素 vol. 38, pp. 2711-2722 (1993)
http://lifesciencedb.jp/dbsearch/Literature/get_pne_cgpdf.php?year=1993&number=3816&file=sU0K8gPLUSkWylrPLUS03QAhjDig==

9)ミオシン  http://morph.way-nifty.com/grey/2011/01/post-0d3e.html

10)アクチンの系譜  http://morph.way-nifty.com/grey/2013/09/post-9bba.html

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2017年2月27日 (月)

2016~2017リーガ・エスパニョーラ第24節: GKの奮闘でアトレチコに勝利

Braugranaもうこれからは1敗もできないバルサとなりました。ただレアル・マドリーがバレンシアに1敗したので、まだ多少の可能性は残されています。

残された試合の中でも、アトレチコ@ビセンテ・カルデロンは最強の難敵です。トップはフランス人のガメイロとグリースマン、カラスコとサウールが左右でサポート。コケとガビが守備的MF、DFはフィリペ=ルイス・ゴディン・サヴィッチ・ヴルサリコ、GK:オブラク。ガビ・コケ・サウール以外は全員外国籍で、トランプがきいたら卒倒しそうなメンバー。

バルサはネイマールの1トップ、2列目がネイマール・イニエスタ・メッシ・セルジ・ラフィーニャという特殊なフォーメーションをやってきました。ブスケツの1ボランチで、3バックのマチュー・ウムティティ・ピケ、GK:テア=シュテーゲン。メッシをはっきりトップ下にして、攻撃にメリハリつけようという意図でしょう。しかし3バックはカウンター攻撃が得意なチームには危険です。

この特殊なフォーメーションは前半機能しませんでした。ピケが中央の守りに行ってしまうので、右サイドがノーディフェンスになってしまって、どんどん使われ、セルジとラフィーニャがあわてて戻ってくるために、攻撃に移っても選手が足りなくて攻められません。テア=シュテーゲンが大活躍で、なんとか0:0で前半終了。

後半はさすがにピケが右に張り付いて、中央はブスケツとウムティティで守るということになり落ち着きました。4分スアレスがフリーでパスを選択しますが、見当外れの位置にパスしてしまいます。スアレスは最近少し変調です。7分グリーズマンがGKと1:1でのシュートを失敗、さらにゴディンが絶好のヘディングをはずしてラッキーです。

19分にスアレスが放ったシュートの跳ね返りをラフィーニャが押し込んで先制点はバルサ。しかしアトレチコも26分、FKをゴディンのバックヘッドで1:1。

この後マチューがファウルで負傷。いやあ勘弁してほしいよ! プレイを続けられず、球を蹴り出してディニュと交代。もう終了近い時間でしたが、41分にメッシが打ったシュートをサヴィッチが止めたのですが、はねかえりがおあつらえ向きのところに来て、メッシが打ち直してゴール。何とか1:2で逃げ切りました。

https://www.youtube.com/watch?v=4pFBKZX97zY

https://www.youtube.com/watch?v=OOMOqqg_YNE

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2017年2月26日 (日)

ルスティオーニ-都響 ベルリオーズ「幻想交響曲」など@東京芸術劇場2017年2月26日

Imga都響のC定期で、池袋の東京芸術劇場に行ってきました。チケットはまたもや完売。ときにチケット完売でも空席が目立つこともあるのですが、今日は正真正銘ぎっしりの盛況です。ステージに久しぶりに銀色のパイプオルガンが露出していてゴージャスです。

お目当ては指揮者のダニエレ・ルスティオーニでしょうか? 今シーズンからリヨン歌劇場首席指揮者に就任するそうです。コンマスは矢部ちゃん、サイドはゆづき。多数のビデオカメラが配置されていて、DVDを出版する予定があるのでしょうか?

曲目も多分都響向きで、まれにみる快演でした。全曲ぞくぞくする驚異的なアンサンブルで、ソロも素晴らしい! ルスティオーニは非常に派手なアクションなのですが、決して音楽が下品にならないところがさすがです。さらに繊細で丁寧な感じがしました。

私的にはイングリッシュホルンの音色が好きなので、「幻想交響曲」の第3楽章がききものでした。南方さんの演奏は、いつもながら情感豊かで感動しました。鷹栖さんやサトーさんのソロもニュアンスたっぷり。ティンパニ2台を4人で演奏するというのも迫力ありました。チューバが2本も珍しい景色です。

演奏終了後、ルスティオーニがオルガン奏者を忘れていたようで、いったん引っ込んだ後出てきてスタンディングさせてました(笑)。西川さんが引っ込んだまま出てこなかったのはなぜでしょう? あと舞台裏のオーボエ奏者は大植さんだったのでしょうか?

魔法使いの弟子
https://www.youtube.com/watch?v=vagV1iDpfSQ

ローマの噴水
https://www.youtube.com/watch?v=vkp_GpVUvvY

幻想交響曲 Op. 14 第3楽章 野の風景
https://www.youtube.com/watch?v=Qm1t5Q3RdIo

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2017年2月24日 (金)

サラとミーナ184: ミーナ マクロ撮影に挑戦

Imga猫にあって人間にはないもの。そのひとつは感覚毛としてのヒゲです。人間にもヒゲはありますが、それは髪の毛と同じ構造で、動物のヒゲとは比べるべくもないローグレードなものです。

猫のヒゲは1本1本の根元が血洞という巨大な血管につつまれていて、しかもその血洞の外側に専用の筋肉がくっついていて、意図して動かすことができます。

しかもなんと感覚神経が、その血洞を貫通してヒゲの毛根にタッチしており、どのように毛が動いたかを脳に伝えています。つまり毛で触ると、触った物の形を脳が認識できます。

血管壁を神経が貫通するというのは非常にシュールで、どういうメカニズムで行われているのか、多分全然わかっていないと思います。先に神経があって、あとで血管がつつみこむのでないことは私自身もラットで確認しました。

というわけで、猫のヒゲが生えている部分(ミスタシアル・パッド)はハイグレードな感覚神経が密集しており、敏感なエリアになっています。

Imgb猫はここを触られると嫌なのか、気持ちが良いのかわかりませんが、少なくともうちで飼っている猫たちは気分が良いようです。もっとさわれとせがんできます。

ミスタシアル・パッドを触られているミーナを撮影しようというわけで、滅多に使わないマクロ機能を使ってみましたが、写真のようなショットになりました。

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2017年2月23日 (木)

井上道義-大阪フィル@東京芸術劇場2017年2月22日

Imgosaka生まれて初めての大阪フィル。曲目はショスタコーヴィチの交響曲11番と12番を一夜でという超ヘビイなものでした。指揮は井上道義さん。コンマスは崔文洙さん。

パンフレットに出演者の名前がエキストラも含めて、すべて記載してあるのは感心しました。楽団の運営がきちんとされていることを想像します。

チケット完売で東京芸術劇場大ホールは異様な熱気です。交響曲第11番は非常にわかりやすい音楽で、第5番や第8番と共にショスタコーヴィチの傑作交響曲だと思います。

もう大阪で同じプログラムを2回やってきたそうなので、演奏は特に弦がアンサンブルもきちんとしていて、Vnなどほとんど女性ばかりなのに心地よい重量感がありました。打楽器の方々の奮闘も素晴らしいと思いました。

☆ 引用されている音楽

夜は暗い
https://www.youtube.com/watch?v=E5tdvbRtSgY

同士は斃れぬ
https://www.youtube.com/watch?v=fa6BswG-dU8

(41分30秒あたりから)
https://www.youtube.com/watch?v=g9lo9ZDYuDU

おお皇帝 吾等が父よ
https://www.youtube.com/watch?v=JR-nG_ecsZo

ワルシャワ労働者の歌
https://www.youtube.com/watch?v=qtslGbYKMoQ

☆ 第2楽章

https://www.youtube.com/watch?v=JycVywv5myU

https://www.youtube.com/watch?v=4Pudaf862qM

https://www.youtube.com/watch?v=S-dpVISqPy4

11番を聴き終わった段階でもう完全に満腹となり、すき焼きの後にとんかつは勘弁してほしいという気分でした。というわけで交響曲12番は、演奏は11番より更に素晴らしかったのですが、私自身のメンタルがついていけず残念。1905年の後が1917年という歴史的経緯はわかるのですが、11番の続きが12番というわけじゃなく、全然別物ですから。

やっぱり11番・12番は後半にとっておいて、前半はもうすこし軽いプログラムにして欲しいと思いました。うがった見方をすると、不透明な理由で大フィル解任が決まった井上さんが、自分は健康上の問題などなく非常に元気なので「誰か音楽監督に雇って頂戴」というアピールのために、このようなヘビイなプログラムになったのかなとも思いました。

http://www.shikoku-np.co.jp/national/culture_entertainment/20161128000407

マエストロ井上は、ショスタコーヴィチ交響曲全集を出版なさっています。

こちら

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2017年2月21日 (火)

やぶにらみ生物論62: 酵素2

第二次世界大戦前までに、酵素はタンパク質であり、生命現象に必要なほとんどの化学変化は、酵素によって触媒される反応であることが明らかになりました。大戦後は酵素の作用機構や制御が主要な課題となりました。

エミール・フィッシャーの古典的な「鍵と鍵穴」説の検証と、新しい概念構築の中心になったのはジャン=ピエール・シャンジュー(1936-)でした。シャンジュー(図1)は学生の頃パスツール研究所のジャコブ&モノー研究室で過ごました。彼はそこでタンパク質は固定した形を持つものではなく、基質や様々な制御因子の影響、オリゴマーの形成などによって形を変えるフレキシブルな物質であることに注目し、アロステリック変化という概念を提出しました(1)。この理論はダニエル・コシュランド(1920-2007、図1)らによってさらに発展し、「誘導適合説」などが提唱されました。このあたりの事情を知るには、コシュランドが書いたレビューが出版されています(2)。コシュランドは第二次世界大戦中はマンハッタン計画に参加して、原爆製造の仕事にかかわっていました(3)。

A_14

簡単に説明すると、図2のように「鍵と鍵穴」説ではもともと鍵にぴったり合った鍵穴があることになっていますが、「誘導適合」説では、基質の接近によって酵素が形態(コンフォメーション)を変えて、基質を取り込むということになります。

またこのコンフォーメーションの変化に伴って、ケミカルアタックを行うサイト(catalytic site、図2の赤のサイト) が基質と接近して活動を行うことができるようになります。このサイトは2ヶ所に分かれていて、サイト-基質-サイトという形で電子や原子の受け渡しを行ないます。

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では具体的にトリオースリン酸イソメラーゼを例にとって。酵素反応の機構をみていきましょう(4)。この酵素はジヒドロキシアセトンリン酸(DHAP)をD-グリセルアルデヒド3リン酸(GAP)に代謝するときに利用されます。これはグルコースをピルビン酸に代謝する解糖経路の要所にある重要な反応です。ケトンをアルデヒドに変換する反応のひとつという見方もできます(図3)。

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酵素のポケット(鍵穴)に取り込まれたDHAPは、まずグルタミン酸側鎖COO-の電子をうけとってC1とC2の結合を二重結合化します。このときC1とC2はそのままでは共に5価になってしまうので、C1はHをひとつ手放し、C2は酸素との二重結合を一重結合化します(図4、図5)。

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C2と二重結合していたOの解放された電子はヒスチジン側鎖のNHに攻撃を仕掛け、Hを奪い取ります(図5)。

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Hを奪い取られたヒスチジン側鎖のNはC1からHを奪い返します(図6)。

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C1は酸素との結合が二重結合になってしまうので5価となり、C2との二重結合を一重結合にします。この結果C2は3価となるので、グルタミン酸側鎖のカルボキシル基からHを奪って4価にもどします(図7)。

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因果は巡って、結局GAPが生成され、95番のヒスチジン側鎖と165番のグルタミン酸側鎖も元通りに戻ります。すなわち酵素トリオースリン酸イソメラーゼはもとのままで、DHAP→GAPの化学反応が遂行されました(図8)。

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これはわかりやすいですが単純化された仮説で、実際にはもっとさまざまな活性部位周辺のアミノ酸が反応に関与していると思われます。

さてすべての酵素は基質濃度だけに反応して、役目を果たすのでしょうか? 生命体に必要な生体分子の濃度は制御されているはずなので、基質をほとんど使い切るまですべての反応が進行するということは考えられません。実際酵素には阻害物質を利用して、反応生成物を適度な濃度で管理するという機構がしばしば存在します。

最も単純なのは図9のように、基質と同じ鍵穴にアクセスできる別の鍵があり、その鍵が先にはまってしまうと基質は鍵穴にアクセスできなくなるというメカニズムです。すなわち基質と阻害剤が同じサイトに競合してアクセスしようとするわけですから、どちらがアクセスできるかはそれぞれの濃度に依存します。したがってもし大過剰の基質を投入すれば、阻害剤の影響は無視できる程度に低下するはずです。このような単純競合の場合、アロステリック制御とは言えません。

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しかし図10の場合のように、阻害剤がアクセスする別のサイト(鍵穴)があって、そこに阻害剤がアクセスすると基質の鍵穴が変形して使用不能になるとすると、これはアロステリック制御のひとつであり、この場合基質を大過剰にしても反応は抑制されることになります。この非拮抗阻害と呼ばれる方式ですと、阻害剤が高濃度に存在すると反応が完全に停止するので、反応を再開するには阻害剤が代謝されてしまうことが必要になります。


A_24
阻害の様式にはもうひとつ、不拮抗阻害というのがあり(図11)、この場合フリーの酵素に阻害剤はアクセスすることができず、基質が結合した酵素にしかアクセスできません。阻害剤がアクセスに成功すると、基質結合部位がアロステリック効果により変形して基質が結合できなくなります。阻害剤がアクセスするまでの時間的余裕があるので、基質があればある程度反応は進行し、その後阻害されるということになります。


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阻害剤という反応進行に負の影響を及ぼす因子について述べてきましたが、このような阻害剤による負のアロステリック効果だけでなく、正のアロステリック効果も存在します(図12)。この場合、正のAE(アロステリックエフェクター)が酵素にアクセスすることが引き金になって、基質結合部位が形成され反応が開始します。酵素反応は一般に無制限に進行することは許されず、特定のタイミングで適切な量の反応生成物を得ることを目的としています。細胞外に放出されるペプシンですら、胃に食べ物がないときには放出されないように制御されています。酵素反応をいかに制御するかということは、生命現象の本質と言えるでしょう。

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一連の酵素反応の結果生成された最終反応生成物が阻害因子となって、自らを生成した酵素反応を停止させるという場合があり、これをフィードバック制御といいます(図13)。例えばアスパラギン酸トランスカルバモイラーゼは最終反応生成物であるCTPによって阻害されます(5)。このような負のフィードバック制御が一般的ですが、なかには最終反応生成物が一連の反応を加速させる場合もあり、これは正のフィードバック制御です。途中で神経伝達が関与していますが、オキシトシンが分泌されて子宮収縮=分娩が促進されるような場合がその1例と考えられます。

A_27

参照:

1)Monod, J.; Wyman, J.; Changeux, J. P. On the Nature of Allosteric Transitions: A Plausible Model. Journal of Molecular Biology. vol.12, pp.88-118 (1965). doi:10.1016/S0022-2836(65)80285-6. PMID 14343300.

2)Daniel E. Koshland Jr., The Key-Lock Theory and the Induced Fit Theory. Angewandte Chemie col.33, pp.2375-2378 (1995)

3)https://en.wikipedia.org/wiki/Daniel_E._Koshland_Jr.

4)http://www.proteopedia.org/wiki/index.php/Triose_Phosphate_Isomerase_Structure_%26_Mechanism

5)Berg JM, Tymoczko JL, Stryer L., Biochemistry 5th edn. Section 10.1, W. H. Freeman (2002)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK22460/

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2017年2月20日 (月)

リーガ・エスパニョーラ2016~2017第23節: 傷心のパルサ やっとこさっとこ

BraugranaUEFAチャンピオンズリーグでPSGに4:0の悲惨な敗戦となったバルサ。今年の低調なバルサを象徴する出来事でした。

今のバルサは丁度端境期にあります。ライカー時代のようなバルサスタイルのサッカーは今や不可能です。スアレス・ネイマール・ラキティッチ・Aゴメス・デニス=スアレス・アルダ・ビダル・ディニュ・アルバ・マチュー・ウムティティ・マスチェラーノなどの主力選手が、それぞれ別々のルーツで育ってきているので、バルサスタイルという極端な哲学に変わる新しいというか、より普通のスタイルのサッカーに転換しなければやっていけない時代になりました。まあそれでも「ポゼッションを最も重視すると」いう旗は降ろして欲しくはありませんが。

ルーチョには、バルサスタイルをみんなに受け入れてもらうか、それとも多くの選手のバックグラウンドをそれぞれ生かした別のスタイルに変えるか迷いがあって、そのままズルズルきてしまったような気がします。それでも夏から秋のようにネイマール・スアレス・メッシが好調で、まかせておけば点が取れればいいのですが、調子が落ちてくるとどうにもなりません。

今日は下位グループのレガネスとの対戦でしたが、カンプノウの2F席などはもうガラガラで、心配になるくらいの集客でした。FW:ネイマール・スアレス・メッシ、MF:ラフィーニャ(顔面骨折でフェイス・ガードで参戦)・ラキティッチ・Aゴメス、DF:ディニュ・マチュー・ウムティティ・セルジ、GK:テア・シュテーゲン。

2部落ちの恐れがあるレガネスはかなりの選手を補強してきました。トップはゲレーロで、エルザールがシャドウ。シマノフスキが左サイド、マルティン・モラン・ピリスが中盤、DF:リコ・シオヴァス・マントバニ・ティト、GK:エレリン。

4分にオフサイドラインぎりぎりでうまく左に飛び出してパスを受けたスアレスからの低いクロスにメッシがうまく合わせて美しいゴール。しかしエルザールに2発かなりやばいシュートを打たれて、いずれもテア=シュテーゲンの必死のセーヴに救われるなど、余り芳しい進行ではありません。それに今日のカンプノウは異常にすべるピッチで、いつもの感じではありませんでした。

後半26分Aゴメスが引きずり倒されて球を奪われ、シマノフスキと交代して出ていたマチスからウナイ・ロペスに回されて失点。このままエンパテかという大ピンチになりました。結局終了間際にネイマールがエリア内で足を掛けられてPK獲得。最近はPK・FKのスペシャリストとなっているメッシが決めてようやく2:1のリードとなりました。いくら不調と言っても、PK・FKで貢献できるのはさすがメッシです。なんとかこれで試合終了。

アナウンサーの大澤が、Aゴメスに非常にしつこくからんでいましたが、今日の試合の後半について言えば、確かに疲労が出ていた感じがしました。しかしせっかく解説者がいるわけですから、アナウンサーが選手の悪口を蕩々と述べるというのはあまり感じの良いものではありません。

大澤はラキティッチ押しのようですが、彼は体格・スタミナ・フィジカルに若干問題があるので、ボランチは適所じゃないと思いますよ。Aゴメスもボランチのスペシャリストじゃないので、できれば10m程前でプレーさせてあげたいのですが、ブスケツが出ないんじゃしょうがありません。来シーズンはCBを補強して、ウムティティとブスケツでこの重要なポジションをシェアして欲しいと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=DVS-eHgD91U

https://www.youtube.com/watch?v=YLQ2BodACSI

https://www.youtube.com/watch?v=9XfM63RCrfQ

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2017年2月18日 (土)

ジョルジュ・プレートル 逝去

Candle_3愛すべき爺さん、マエストロ:ジョルジュ・プレートルが1月4日に逝去されました。

私は新聞では見つけられず、アリアCDのお知らせで初めて知ったのは不覚でした。

指揮する姿を見ているだけで感動する指揮者というのは希有です。晩年にはただじっと演奏するオケメンをみつめて、眼で指揮するというような場面も多かったようです。

ご冥福をお祈りします。

cf.

ラデツキー行進曲(ヨハン・シュトラウス) ウィーン・フィル
https://www.youtube.com/watch?v=6o7dmM3YNN8

ボレロ(モーリス・ラヴェル) RAI国立交響楽団
https://www.youtube.com/watch?v=V9SFKV_hzZk

タンホイザー序曲(リヒャルト・ワーグナー) フェニーチェ歌劇場管弦楽団
https://www.youtube.com/watch?v=VeMedSZLFEk

ウィリアム・テル序曲(ジョアキーノ・ロッシーニ) フェニーチェ歌劇場管弦楽団
https://www.youtube.com/watch?v=8QEE_nbii3c

ローマの松(オットリーノ・レスピーギ) シュツットガルト放送交響楽団
https://www.youtube.com/watch?v=3ViYlBjamE0

交響曲第7番(ルートウィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン)ウィーン交響楽団
https://www.youtube.com/watch?v=fonK1UEdC1s

ルポルタージュ
https://www.youtube.com/watch?v=aPHPmX0UxUs

ドキュメンタリー
https://www.youtube.com/watch?v=kUAtZjYn5Eg








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2017年2月17日 (金)

晋三の周辺にあらたな疑惑

総理大臣の奥方が名誉校長の小学校が購入した土地が、不当な廉価で国から払い下げられたのではないかという疑惑が話題となっています。大阪府豊中市の市議会議員木村真氏や朝日新聞などが追求しているようです。

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800px

財務省近畿財務局が学校法人に払い下げた大阪府豊中市内の国有地をめぐり、財務局が売却額などを非公表にしていることが分かった。 朝日新聞が調査したところ、売却額は同じ規模の近隣国有地の10分の1だった。 国有地の売却は透明性の観点から「原則公表」とされており、地元市議は8日、非公表とした財務局の決定の取り消しを求めて大阪地裁に提訴した。

売却されたのは、豊中市野田町の約8770平方メートルの国有地。 近畿財務局が2013年6~9月に売却先を公募し、昨年6月に大阪市内で幼稚園を営む学校法人「森友学園」に売った。 契約方法は、公益目的で購入を希望する自治体や学校法人、社会福祉法人などを優先する「公共随意契約」がとられた。

財務局が森友学園に売った土地の東側にも、国有地(9492平方メートル)があった。財務局が10年に公共随契で豊中市に売ったが、価格は約14億2300万円。森友学園への売却額の約10倍とみられる。ここは公園として整備された。

森友学園が買った土地には、今春に同学園が運営する小学校が開校する予定。 籠池理事長は憲法改正を求めている日本会議大阪の役員で、ホームページによると、 同校は「日本初で唯一の神道の小学校」とし、教育理念に「日本人としての礼節を尊び、愛国心と誇りを育てる」と掲げている。 同校の名誉校長は安倍晋三首相の妻・昭恵氏。 籠池氏は取材に「(非公表を)強く求めていない。はっきりではないが、具体的な売却額は財務局が出したと記憶している」と説明している。

昭恵氏には安倍事務所を通じて文書で質問状を送ったが、回答は届いていない。

(朝日新聞社: 吉村治彦、飯島健太)

朝日新聞の調べでは、近畿財務局は14~16年度、森友学園と同じ公共随意契約で計36件の国有地を売却。 このうち35件は売却額を開示している一方、森友学園への売却分だけを非公表とした。

8日に提訴した豊中市の木村真市議(52)は記者会見で 「異常な扱いだ。訴訟では金額を公開するか否かを争うが、背景に何があるのか見極めないといけない」と述べた。

財務局が森友学園に売った国有地は、国土交通省大阪航空局管理の未利用地だった。 路線価に基づく国有財産台帳の台帳価格は12年時点で8億7472万円、13年時点で7億6302万円。 一方、国有財産特別措置法には、売却額を減らすことができる対象に学校施設が含まれている。

財務局の統括国有財産管理官は、今回の国有地売買は減額対象とせず、不動産鑑定士が算定した時価に沿って売却したと説明。森友学園への売却額と近隣の国有地、あるいは台帳価格との間に大きな差が生じたことについては、 「土地の個別事情を踏まえた。その事情が何かは答えられない」と話している。

森友学園が買った国有地に関しては、別の学校法人が森友学園より前に校舎用地として取得を希望し、 路線価などを参考に「7億円前後」での売却を財務局に求めていた。 これに対し、財務局から「価格が低い」との指摘を受け、12年7月に購入を断念したという。

それから約4年後、近畿財務局は同学園に1億3400万円でこの国有地を売却したとみられている。 こうした経緯について、一時は取得を望んだ学校法人の担当者は取材に「違和感がある」と話している。

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近畿財務局が森友学園に売却した大阪府豊中市の国有地(8770平方メートル)をめぐる経緯

・2010年3月 豊中市が東隣の国有地9492平方メートルを約14億2300万円で購入

・11年7月ごろ 8770平方メートルの国有地について、
別の学校法人が7億円前後の価格を財務局に提示。
価格交渉が折り合わず、同法人は約1年後に取得を断念

・13年6~9月 財務局が8770平方メートルの国有地の取得希望者を公募。
森友学園が小学校用地として取得を要望

・16年6月 財務局と森友学園との間で売買契約が成立 (1億3400万円?)

・16年9月 豊中市議の情報公開請求に対し、財務局が売却額の非公表決定

・17年1月 朝日新聞の情報公開請求に対しても非公表決定

・17年4月 私立小学校が開校予定

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森友学園が買った国有地に関しては、別の学校法人が森友学園より前に校舎用地として取得を希望し、 路線価などを参考に「7億円前後」での売却を財務局に求めていた。 これに対し、財務局から「価格が低い」との指摘を受け、12年7月に購入を断念したという。

(爆)それから約4年後、近畿財務局は同学園に1億3400万円でこの国有地を売却したとみられている。

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「ほぼ週刊 まこと通信」大阪府豊中市の市議会議員、木村真氏のサイト
 より

豊中市内に建設中の私立小学校をめぐって疑惑が浮上
国有地を売却して金額は非公開!?
売却先の名誉校長は安倍首相の妻・昭恵氏!
法人理事長は日本会議・大阪の代表!

豊中市野田町で、いま、「瑞穂の国記念小学院」という私立小学校の建設工事が進められています。空港移転跡地だった国有地を、淀川区で幼稚園を経営する学校法人に売却したのですが、なんと、金額が非公開とされています。国有地は市民みんなの財産ですから、売却にあたって、金額を公表するのは当然です。現に、ほとんどの売却案件で金額が公表されています。なのに、なぜこの野田町の土地では非公開なのでしょうか? 近畿財務局は「公表すると契約相手に不利益が及ぶ恐れがあるため」と説明しますが、とうてい納得できません。

黒塗りの契約書
http://blogs.yahoo.co.jp/toyonaka_kimura/36086403.html

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塚本幼稚園(同じ経営者)園児による教育勅語暗唱
https://www.youtube.com/watch?v=Wo_fxeRIER4

園児に教育勅語教える“愛国”幼稚園  (産経)
http://www.sankei.com/west/news/150108/wst1501080001-n2.html

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瑞穂の國記念小學院
https://pbs.twimg.com/media/CpMCfUvUkAA2TBK.jpg
https://pbs.twimg.com/media/CpMCUUpUkAApH3O.jpg

名誉校長安倍昭恵先生、総裁・校長籠池泰典のごあいさつ、衆議院議員平沼赳夫先生から頂いたメッセージ
http://www.mizuhonokuni.ed.jp/about/

この学校の母体となってる塚本幼稚園の教育講演会に招かれた講師
http://www.tukamotoyouchien.ed.jp/lecture/

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朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASK264H4YK26PPTB00J.html

豊中の土地代
http://www.tochidai.info/osaka/toyonaka/

瑞穂の國記念小學院 HP:
http://www.mizuhonokuni.ed.jp/

瑞穂の國記念小學院 公式ブログ:
http://blog.mizuhonokuni.ed.jp/

日刊ゲンダイ
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/199294

産経新聞
http://www.sankei.com/west/news/150108/wst1501080001-n1.html

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2017年2月15日 (水)

やぶにらみ生物論61: 酵素1

A酵素を誰が発見したのかというのは、やや難しい問題です。歴史をたどっていくしかないようです。

1752年、フランスの科学者ルネ・レオミュール(René-Antoine Ferchault de Réaumur、1683-1757、図1)は、消化されなかった食べ物を吐き出す習性があるトンビに目を付け、金網で囲った肉を食べさせて、はき出した金網の中の肉が溶けていたことを確認ました。さらにスポンジ(当時のことですから海綿)を食べさせて、はき出したスポンジから胃液を集め、その胃液に肉片を浸すことで肉片が溶けることも観察しました(1、2)。

この結果からレオミュールは、胃液には肉を分解する物質が含まれると考えました。

レオミュールという人は偉大な昆虫学者で、全六巻からなる大著「昆虫誌」(3)を出版しました。もちろんフランス語ですが、オープンライブラリーで閲覧可能なようです。

レオミュールの観察を受け継いだのは、イタリア人のラッザロ・スパランツァーニ(Lazzaro Spallanzani, 1729- 1799、図2)という人でした。

彼はレオミュールの実験をさまざまな動物で追試し、吐き出した海綿中に消化を行う物質があることは間違いないという確信を持ちました。それからが彼の異常なところで、1776年に同じ実験を自分自身の体を使って追試してみようと考えたのです。といっても思いつきでやってみたのではなく、イヌやヘビに布袋を飲ませようとしてかみつかれるなどの困難に直面した後の苦渋の決断だったようです。

A_14スパランツァーニはまず布袋にパンを入れて飲み込み、排泄された布袋の中からパンが無くなっていることを観察しました。

次に竹を削って木筒をつくり、そのなかにパンや肉片を入れ、小さな穴を開けた木筒を布袋に入れて飲み込みました。出てきた木筒の中の食物はなくなっていました。

これによって胃ですりつぶされて食物が粉々になったためになくなったわけではないことが証明されました。木筒に骨を入れた場合は、消化されずにそのまま出てきました。

このような実験を多数繰り返して、スパランツァーニは胃には鳥類の砂嚢のように食べ物を粉々にする作用はなく、胃液に含まれる因子によって食べ物が消化されるのだという確信を持ちました。

しかしもう一押し、胃液を取り出して、その中で食べ物が消化されるのを見たいと思うのは、科学者として必然のなりゆきでしょう。そこからがまた彼の凄いところで、指をノドに突っ込んで自分の胃液をはき出すトレーニングをして実行したのです。そして実際に自分の胃液の中で肉が消化されるのを観察しました。それは腐敗とは違うことも確認しました。さらに前記の肉片の入った木筒を飲み込み、しばらくして吐き出すという名人芸も会得し、中を調べてみると肉片が消化されかかっていました。

A_15スパランツァーニが一連の自分の体を使った人体実験から得た結論は、「消化は機械的粉砕や微生物による腐敗や発酵ではなく、胃液が促進する通常の化学反応だ」 というものでした。

彼の功績は「自分の体で実験したい」という本に詳しく記してあります(4)。この本の表紙を図3に示しました。布袋を飲み込みつつあるスパランツァーニの姿が表紙になっています。

この本にはスパランツァーニ以外にも、自分をモルモットにして命がけで実験をした大勢の科学者の業績が記されています。命を落とした人もいるということで合掌・・・・・。

18世紀におけるレオミュールやスパランツァーニの偉大な実験にもかかわらず、多くの科学者が酵素の存在を確信するまでには、さらに1世紀もの長い時間が必要でした。

19世紀に入ると、まずパヤン Anselme Payen (1795‐1871) とペルソ Jean Francois Persoz (1805‐68)(図4) が、麦芽抽出液からデンプンをグルコースに分解する酵素を分離しジアスターゼと名付けました(1833年、5)。これは現在ではアミラーゼと呼ばれています。

A_18

スパランツァーニの研究もいくつかの研究室で引き続き発展しました。1834年ヨハン・エベールは乾燥させた胃の粘膜から消化能力のある溶液を調製することに成功しました。その溶液で処理すると、卵白アルブミンは溶けてしまうだけではなく、検出できなくなりました。

細胞説で有名なテオドール・シュワンはエベールの実験結果に注目し、1836年に胃液に含まれる成分がアルブミン以外のタンパク質も分解することを確認して、ペプシンと命名しました。しかしそのペプシンを精製することはできませんでした。

19世紀の生化学で優勢だったのは、パスツールが証明した「生物は生物からしか生まれない、そして発酵や腐敗は微生物によって行われる」という考え方で、消化もやはり微生物の作用あるいは何らかの生命力によると思われていましたが、一方でパヤン&ペルソらの酵素の作用による有機物の化学変化もまた無視できないという隔靴掻痒の状況にありました。

A_16そうした中で、1897年エドゥアルト・ブフナー(Eduard Buchner, 1860- 1917、図5)がすりつぶした酵母をろ過した抽出液(無細胞抽出液)の中で、糖が発酵してアルコールと二酸化炭素になることを発見したことは大きな衝撃でした(6)。すなわち生きた細胞がいなくてもアルコール発酵が行われることが証明されたことになります。

これで生気説は否定され、有機物の生成や分解も普通の化学変化にすぎないという考え方が勝利しました。ブフナーは1907年にノーベル化学賞を受賞しました。しかしその10年後に第一次世界大戦で従軍し、戦死しました。

最終的に酵素がタンパク質であるということが証明されたのは20世紀も深まってからでした。

1919年に米国の化学者ジョン・ノースロップ(John Howard Northrop, 1891- 1987、図6)はペプシンを単離して結晶化し、それがタンパク質であることを証明しました(7)。ノースロップはウレアーゼを結晶化したサムナーと共に、1946年にノーベル化学賞を受賞しています。

A_17結論的に言えば、酵素の発見は誰がというより、ここで述べた科学者達を中心とした多くの科学者達が、200年近くの歳月をかけてなしとげた業績です。

酵素の作用機構についてはすでに1894年からエミール・フィッシャーが「鍵と鍵穴」説を発表しており(8)、基本的には現在でも正しいと考えられています。

すなわち酵素には基質(=鍵)を凸とすると凹の形態を持った鍵穴があり、そこに基質を収納すると基質がケミカルアタックを受けて生成物に変化するという考え方です(図7)。

A_7

この過程を、レオノア・ミカエリス(1875-1949)とモード・メンテン( 1879-1960)(図8)は次のような化学式で表現しました。

酵素 (E) + 基質 (S) ⇄   酵素基質複合体 (ES) → 酵素 (E) + 生成物 (P)
E: enzyme, S: substrate, ES: enzyme-substrate complex, P: product

A_10

ここで重要なのはE+S⇄ SEの1段階目の反応は可逆的なのに、2段階目のES→E+Pという反応は不可逆的だということです。もしそうでなければ、デンプンを分解してブドウ糖を生成しエネルギー源として利用しようとしても、ブドウ糖がある程度たまるとデンプンに逆戻りしてしまうという不都合が発生します。ただし生成物が少量で良い時などには、フィードバック制御という別プロセスで酵素に阻害がかかり、反応が停止するということはあります。

酵素は触媒の1種ですが、金属触媒などを用いた無機化学反応と違って、基質濃度を上昇させてもあるところで頭打ちになってしまいます。基質濃度を横軸、反応速度を縦軸としてグラフを描くと図9のようになります。

A_11

1913年にミカエリスとメンテンは、このグラフを数式で表現する、ミカエリス・メンテンの式を発表しました(図10、参照9)。

A_12

図9において、最大反応速度はVmax、その2分の1の反応速度で反応が進行しているときの基質濃度をKmとしています。ミカエリス・メンテン式において、[S] = Km とすると、v = 0.5 x Vmax となります。

ミカエリス・メンテン式の導出のしかたについて興味がある方はサイト(10)を参照して下さい。

本稿でもうひとつ触れておきたいのは、酵素が化学変化の過程において、活性化エネルギーを低下させるということです。

物質Aは自然により自由エネルギーが低い物質Bに変化していくことは、熱力学の第2法則が示していますが、それでも物質Aが存在しているのは、物質Bに変化するために要する時間が無限大に近いことによります。

酵素は物質A(基質=S)が物質B(生成物=P)に変化するために必要な、自由エネルギーが両者より高い中間段階に持ち上げるための活性化エネルギーのレベルを下げる作用を持っています(図11)。このことによって変化に必要な時間を著しく短縮することができるので、生命現象に必要な化学変化を現実的な時間で実行することが可能になるわけです。

A_13

参照:

1)こちら1

2)http://contest.japias.jp/tqj2005/80064/kousohakkenn.html

3)René-Antoine Ferchault de Réaumur, Memoires pour servir a l'histoire des insectes. A Paris : De l'imprimerie royale (1734) 
https://archive.org/details/memoirespourserv01ra

4)「自分の体で実験したい 原題:Guinea Pig Scientists」 Leslie Dendy and Mel Boring 著 梶山あゆみ訳、紀伊國屋書店 (2007)

5)A. Payen and J.-F. Persoz, "Mémoire sur la diastase, les principaux produits de ses réactions et leurs applications aux arts industriels" (Memoir on diastase, the principal products of its reactions, and their applications to the industrial arts), Annales de chimie et de physique, 2nd series, vol. 53, pages 73–92 (1833)

6)Eduard Buchner, “Alkoholische Gärung ohne Hefezellen (Vorläufige Mitteilung)”. Berichte der Deutschen Chemischen Gesellschaft vol. 30,  pp. 117–124 (1897)

7)Northrop J.H., Crystallin pepsin., Science vol. 69, p. 580 (1929)

8)Emil Fischer, Einfluss der Configuration auf die Wirkung der Enzyme. Berichte der deutschen chemischen Gesellschaft, Volume 27, pp. 2985–2993 (1894)

9)Michaelis, L.,and Menten, M., Die kinetik der invertinwirkung, Biochemistry Zeitung vol. 49, pp. 333-369 (1913)

10)こちら2

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2017年2月13日 (月)

2016~2017リーガ・エスパニョーラ第22節: 圧勝するもアレイシ・ビダルの重傷で沈痛なバルサ

Braugranaバスクの都ガステイスのスタジアム、エスタディオ・デ・メンディソローサでデポルティーボ・アラベスと対戦。今季カンプノウでは負かされたチームです。しかもコパ・デル・レイでは勝ち上がって、バルサとファイナルを戦うことになりました。

アラベスはベネズエラ代表Cサントスの1トップ。2列目はソブリノ・クルスティチッチ・カタイで、ボランチはDトーレスとMジョレンテ。DF:テオ・アレクシス・ラグアルディア・ビガライ、GK:パチェコ。

バルサはFW:ネイマール・スアレス・メッシ、MF:Aゴメス・ラキティッチ・負傷から復帰したブスケツ、DF:ディニュ・マチュー・ウムティティ・ビダル、GK:テア=シュテーゲン。

バルサのユニフォームはライトグリーンですが、3種類あって半袖・長袖・長袖のアンダーシャツに半袖。いろんなユニフォームの選手がいて、これは珍しいと思います。シーズンも深まり、ここまでくるとバルサは故障者が多く、アルダ・ラフィーニャ・マスチェラーノ・ピケ・マシップが故障欠場です。

アラベスは強引にチャージしてくる守備ではなく、接近してパスカットを狙う作戦。なので一応バルサのポゼッションは難しくはありません。16分絶好のチャンスにネイマールが切り返しをしくじりがっかり。25分にはなぜかアラベス左SBのテオ・エルナンデスに右サイドを独走されて1:1。これをテア=シュテーゲンがはじいて失点しなかったのは非常に功績大です。

37分ラキティッチが狙っていた右サイドのビダルに出して、ビダルが絶妙のクロス。これにスアレスがきれいにあててゴール。先制点はバルサに。さらに40分、GKの手→スアレスの頭→ネイマールとつながってたたみかけ2点目。

後半開始早々、Cサントスが絶好位置からのシュートをミスってくれて大助かり。アラベスは後半から作戦を変えて、攻撃的なフォーメーションになりました。中盤が押し上げてくるので、後ろがスカスカでカウンターが効きます。

14分メッシがドリブルで持ち込み3点目のゴール。18分カウンター攻撃からアレクシスのオウンゴール。20分にはやはりカウンターからスアレスがラキティッチに打ってくれとパス。これをラキがきれいに決めてマニータ。23分にはネイマールが打った球をGKがはじいたところにスアレスで6点目。

これで終わってくれればめでたしめでたしだったのですが、やけっぱちのアラベスが不穏な雰囲気で、40分ビダルがテオ・エルナンデスのスライディングタックルを食らって今季絶望の重傷となりました。これは痛すぎます。全くやってくれるよね。ビダルも折角バルサの右サイドで有効に機能しはじめたのに、ついてません。これはコパ・デル・レイのファイナルでチンチンにしてあげなければいけませんね。

https://www.youtube.com/watch?v=vXEdHt_luvs

https://www.youtube.com/watch?v=UHrBYMMcq5Y

https://www.youtube.com/watch?v=d3W97IsnVDw



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2017年2月12日 (日)

怪死 事件なのか?

A1180_008583最近知ったのですが、昨年米国ではヒラリー・クリントンにとって都合の悪い人物が次々と怪死していたようです。

元国連総会議長のジョン・アッシュは2016年6月22日に、ニューヨークの自宅で死去したと報じられています。最初は国連は、「心臓麻痺」だと発表していました。しかし、地元警察はのちに、エクササイズ中に、バーベルを喉の上に落としたことが死亡原因だとしています。この2日後、法廷でヒラリーに不利な証言をすると見られていました。バーベルというのは落としても大丈夫な受け具を使ってエクササイズするのではないでしょうか? ノドに当たったそうなので、ベンチプレスでしょう。限界まで上げれば必ず落とすものでしょう。
http://cumbersome.ldblog.jp/archives/4584763.html
http://www.snopes.com/un-official-john-ashe-killed-the-day-before-he-was-to-testify-against-hillary-clinton/

民主党全国委員会職員のセス・リッチは7月10日、自宅近くで銃で撃たれて死亡。ヒラリーのメール情報を漏らしていたと囁かれる人物でした。警察は強盗の仕業としていますが、貴重品(財布、クレジットカード、時計)は何も奪われていませんでした。この件は最も政治テロを思わせます。
http://cumbersome.ldblog.jp/archives/9559866.html
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201608110001/

弁護士のショーン・ルーカスは民主党の候補者氏名争いでヒラリーに敗れたバーニー・サンダース支持者の代理人として、民主党に対して集団訴訟を起こしていました。8月2日、彼は風呂場の床で死んでいるところを恋人に発見されました。恋人によると、健康状態は良かったそうです。
http://sharetube.jp/article/3908/
http://heavy.com/news/2016/08/shawn-lucas-dnc-death-democratic-national-committee-lawsuit-fraud-bernie-hillary-clinton-process-server-seth-rich-murder-sanders/

クリントン周辺での怪死
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12205-26153/
http://tocana.jp/2016/06/post_9975_entry.html
http://blog.goo.ne.jp/tumuzikaze2/e/42836efc69450b8fffa0d31931d6e826
http://cumbersome.ldblog.jp/archives/6049256.html

これらはグローバリストのエージェントの仕業ではないかとささやかれています。グローバリストは民主党の候補者争いで、ともかくクリントンを勝たせることに死にものぐるいになっていて、トランプは軽視していたようです。これが彼らにとって正解だったかどうか、注視していきましょう。

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2017年2月10日 (金)

やぶにらみ生物論60: タンパク質の基本2

アミノ酸はアミノ基とカルボキシル基を持っているので、酸性溶液中ではアミノ基がNH3+となって塩基、アルカリ性溶液中ではカルボキシル基がCOO- となって酸となります。

A

図1は酸性の溶液にアラニンを溶解し、アルカリ(OHー)を加えて滴定したときのpH変化を示したものです。まずpH2あたりで勾配がゆるやかになりますが、このあたりではアラニンは

+HN-CHCH-COOH → +HN-CHCH-COO- + H+

のようになるので、加えたOH-はH+に吸収され、pHの上昇がゆるやかになります。もう1ヶ所、pH10あたりで勾配がゆるやかになりますが、これはこのあたりで

+HN-CHCH-COO- → HN-CHCH-COO- + H+

となってもう1個プロトンが放出されるので、pH上昇がもう一度ゆるやかになります。このような緩衝作用を2ヶ所で発揮するのが、両性電解質の特徴です。アミノ酸によって緩衝作用を発揮するpH領域は異なるので、アミノ酸の混合液は広い範囲にわたって、環境の変化に対してpHを一定に保つ働きがあり、生物に福音をもたらします。

+HNとCOO-が拮抗して存在するpHを等電点といいます。アラニンの場合6.00です。

タンパク質は1分子中に通常多数のアミノ基とカルボキシル基を持っているので、当然アミノ酸と同じく両性電解質です。ペプチド鎖のN末とC末以外のアミノ酸の種類によって、タンパク質の緩衝領域や等電点は著しく変化します。この変化に寄与するのは主として酸性アミノ酸(グルタミン酸とアスパラギン酸)と塩基性アミノ酸(アルギニンとリジン)です(図2)。

A_2

この4種のアミノ酸が持つ側鎖の数によって、タンパク質の性質は大きく変わります。タンパク質の種類によって、例えば等電点には大きなバリエーションがあります(図3)。

A_3


例えばリゾチーム(ニワトリ卵白)という酵素のアミノ酸配列をみますと、塩基性アミノ酸の数が酸性アミノ酸の数を上回っており、このような場合タンパク質は塩基性となります(図4)。図3に示されるように、リゾチームの等電点は11を少し上回っています。

A_4


一方イヌのペプシンBのアミノ酸配列をみますと、酸性アミノ酸の数が塩基性アミノ酸の数を大きく上回っています。このような場合タンパク質は酸性となります(図5)。ペプシンの場合偏りが極端で、等電点が1となります。胃という特殊な環境で作用する酵素なので、特殊な構造をもっていると思われます。

A_5

生化学実験では等電点の違いを利用してタンパク質を分離精製するという作業がよく行われます。タンパク質の混合液に電流を流して、酸性タンパク質は+側に、塩基性タンパク質は-側に移動するのを利用するわけですが、実際には自然拡散や振動の影響を回避するため、タンパク質が移動できる程度のゆるいゲルを用います(図6)。

A_6

図6には両性電解質をゲルに溶かしておく場合を示していますが、ゲルを作成するときに予めpHの勾配を作ってあるのを購入して使うというのが簡便で、よく利用されます(1)。タンパク質は通常プラスかマイナスにチャージしているので、精製された分子同士は電荷の反発でくっつきにくいのですが、等電点周辺では分子としてはチャージがなくなるので接近しやすく、場合によっては沈殿が発生します。これは等電沈殿という現象で、等電点電気泳動を行う場合には注意しなければいけません。

等電点電気泳動法で分離した後、分子量の差を利用してさらに分離すると、少量とは言え、かなり純度の高いタンパク質が得られる場合が多いです(2、3)。もっと大量のタンパク質を精製する技術は、今でも生化学者の腕のみせどころで、非常に多くの方法が考案されています(4、5)。

タンパク質にはもうひとつ特徴的な性質があります。それはある条件で相転移を行うことで、典型的な例は熱変性です。図7のように生卵に熱を加えると、ある時点で不可逆的にゆで卵になります。これはαヘリックスやβシートというタンパク質の基本構造が、熱によって破壊されることが主な原因です。αヘリックスやβシートは弱い水素結合によって形成されているので、温度が上昇すると不安定になり、構造が破壊されてランダムに近い状態になってしまいます。これによって多数の分子がからまりあって集合し、不溶性のかたまりを形成します。ただしペプチド結合は破壊されないので、バラバラになることはありません(図7)。みずからバラバラにはなりませんが、タンパク質分解酵素で切断されやすい部分が露出して、分解されやすい状態にはなりやすいと思われます。

A_7

タンパク質には完成後に化学的修飾を受けて機能を発揮する分子も少なくありません。非常に色々な修飾が報告されていますが、ここでもいくつか紹介します。まずリン酸化について見てみますと、セリン・スレオニン・チロシンのOHがリン酸化されてOPO3-となります(図8)。リン酸化されているかいないかということが、あるシリーズの生体化学反応の起動スイッチになっている場合が多く、タンパク質のリン酸化は情報伝達のキーとなるイベントになっています。この分野のパイオニアはジョージ・バーネットとユージン・ケネディでしょう(6)。最近話題の抗がん剤オプジーボのターゲットであるPD-1もリン酸化されることによってスイッチを起動するタンパク質のひとつです(7、8)。

A_8

タンパク質のアセチル化も重要な化学修飾です。ヒストンの低アセチル化は転写が抑制されたヘテロクロマチン状態のマーカーとされています(9)。また癌抑制因子として最も有名なp53はアセチル化によって活性化あるいは安定化することも知られています(10-12)。すでに述べたシステインのSS結合や、糖の付加なども非常に重要な化学修飾であり(図9)、その他にも多数の化学修飾が知られています(13)。

A_9


参照:

1)http://www.gelifesciences.co.jp/technologies/2d-electro/guide-3.html

2)http://www.gelifesciences.co.jp/technologies/2d-electro/guide.html

3)https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9003/9003_yomoyama_2.pdf

4)http://www.jaist.ac.jp/~yokoyama/pdf/02_1analysis1.pdf

5)http://www.gelifesciences.co.jp/newsletter/biodirect_mail/technical_tips/

6)G. Burnett and E.P. Kennedy, The enzymatic phosphorylation of proteins, J. Biol. Chem. vol. 211, pp. 969–980 (1954) こちら

7)http://www.ft-patho.net/index.php?Programmed%20cell%20death%201

8)Joseph Schlessinger, Receptor Tyrosine Kinases: Legacy of the First Two Decades.  Cold Spring Harb Perspect Biol. vol. 6,  pp.1-13 (2014) doi: 10.1101/cshperspect.a008912.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3949355/pdf/cshperspect-RTK-a008912.pdf

9)https://www.cstj.co.jp/reference/pathway/Protein_Acetylation.php

10)http://www.cyclex.co.jp/resource/keyword/jkeyword_2.html

11)田中知明、転写因子p53の翻訳後修飾と転写活性化機構. 生化学第82巻第3号,pp. 200-209 (2010)

12) Nature ダイジェスト : http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/79254

13)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BF%BB%E8%A8%B3%E5%BE%8C%E4%BF%AE%E9%A3%BE

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2017年2月 9日 (木)

貿易をどうする

PhotoNHKの報道によると(1)、アメリカで貿易問題を調査する国際貿易委員会は7日、中国から輸入された道路の舗装などに使う製品が中国政府による補助金によって不当に安く売られ、アメリカの企業が損害を受けていると認定しました。

これによって、中国の製品に対して372.81%の反ダンピング税と、補助金の効果を相殺する最大で152.5%の相殺関税が課せられることになりました。対中国貿易赤字が30兆円以上となる米国としては理解できる処置です。

米国の総貿易赤字(2016年貿易統計) 5023億ドル(56兆円)
対中国 3479億ドル
対日本 689億ドル
対ドイツ 649億ドル
対メキシコ 632億ドル

しかし中国より低いとはいえ、対日貿易赤字も相当なものなので、しかも輸出企業には消費税を実質免除しているというイカサマもやっているので、日本の製品に対しても懲罰的関税がかけられるのは時間の問題だと思われます。晋三がお金を使ってこれを阻止したとすれば(勘弁してもらったとすれば)、それは例によって一般国民からグローバル企業への冨の移転です。注視しましょう。

一見国と国の貿易対決のようにみえますが、先進国から途上国への生産拠点や輸出拠点の移転はグローバル資本主義の定石であり、それによって非正規職員に転落するなどの被害を受ける先進国の労働者がこれを回避しようとすれば、関税を高くするしかありません。それを行うなら国民ファースト、行わないならグローバル企業ファーストの政府ということです。つまり一般国民vsグローバル企業の対決が本質です。

グローバル企業の問題と、異民族や異文化に対する忌避感とは次元の違う問題で、トランプはこの感情を利用して大統領になったので、リベラル派には全く受け入れられなくなってしまいました。グローバル企業の問題では北半分(緑)の民主党支持者はサンダースを支持していましたから、むしろトランプに近かったのです(下図)。

Photo_2


日本は1970年代には食糧自給はできていました。昔にもどせばいいのです。人が足りなければ外国人の力を借りればいいのです。米を作る人は中国にもタイにもミャンマーにも大勢います。一部肉類はオセアニアから輸入やむなし。ただしなるべく肉食はつつしむべきだとは思います。餃子と肉じゃがくらいでいいのではないでしょうか。鶏肉は日本で生産しても高価にはならないので輸入する必要はないでしょう。

衣料品はほぼ中国製で良いのではないかと思います。その分中国に買ってもらう製品は考えないといけません。自動車・医薬品・化粧品が最大の候補でしょうか。日本の安全保障のキーは中国ですから、いくらアンチグローバルと言っても、中国との経済関係が消滅するのは避けるべきです。

日用品・電化製品・自動車・鉄鋼・船舶・PC・携帯電話は極力輸入を避け国内生産にもどします。航空機もあと10年もすればさすがに製造可能でしょう。米国はアンチグローバルでいくわけですから、大いに結構で順次関係を薄くしていけばいいと思います。トヨタは米国企業として生きていけばいいでしょう。そうすれば日米貿易摩擦もたいした問題ではなくなります。

一番難しいのはエネルギーです。ここだけ解決すれば、グローバル資本主義をやめても日本は独立国としてやっていけます。中国は輸出でかせぐために大量の石油を消費しているのですから、米国への輸出が難しくなれば石油消費は少なくなり、原油の値段はさがると思われます。ですからエネルギー問題は解決しやすい方向に向かうと期待したいですね。日本がグローバル資本主義を止める方向に向かうためには、トランプの政策は大きなアシストとなります。このチャンスをのがしてはなりません。

1)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20170208/k10010868491000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001

以下引用 from 天木直人ブログ

きょう発売の週刊文春(2月16日号)にとっておきの記事を見つけた。

それは、訪米の最大のお土産である米国雇用創設に国民の年金を差し出すという報道に、菅官房長官が激怒したという記事だ。その記事を書いたのは、いまや安倍首相に最も近いジャーナリストである山口敬之氏だから、その内容は間違いないだろう。

すなわち、2月2日の日経が「公的年金、米インフラ投資」と報じた。3日には朝日も「投資年金資産も活用」と書き、各紙も一斉に書いた。その報道を見た野党は国会で一斉に追及した。

菅官房長官は、「あそこまで怒ったのは最近では記憶がない」(官邸関係者)というほど怒り、安倍首相も「今回の騒動の主犯には落とし前をつけてもらうしかないね」と漏らしたという。

なぜここまで怒るのか。

それは図星であり、今度の訪米成功の最大のお土産であるからだ。そしてそれは決して国民に知らせてはならない国民を裏切るお土産であるからだ。

しかし、私がこの山口記者の記事で驚いたのは、リークに怒った安倍、菅コンビの事ではない。この情報リークに、トランプ政権側から外交ルートを通じてはっきりと不快感が示されたと書かれていたことだ。つまりこの土産は、日本の官僚たちがトランプ側と周到に示し合わせて作った、米国をよろこばせるための土産であったということだ。

それがばれてうまく行かなくなったら一番困るのはトランプ側なのである。

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