「渋めのダージリンはいかが」へようこそ

Photo_20200222085301

「渋めのダージリンはいかが」へようこそ

・・・ここがメインルームです・・・

********************************

メインルームの話題

サイエンス・都響(クラシック音楽)・JPOP・猫 etc.

********************************

=アネックスのご案内=

生物学茶話(Science):こちら1

フィクション(Fiction):こちら2

生物学茶話PDF版 こちら4  こちら5
(PDF版には、はしがき、ページ付きもくじ、巻末索引がついています)

すべてフリーですので、ごゆっくりどうぞ 

「生物学茶話:@渋めのダージリンはいかが」の紙本は九州大学理系図書館、京都大学理学部図書館、島根大学附属図書館、東京大学理学図書館、東京工業大学大岡山図書館、北海道大学理学部図書室、杏林大学医学部図書館、電子書籍としては国立国会図書館に収蔵されています。

#続・生物学茶話 タイトル一覧とリンク#  こちら

Hair follicle の本は Springer から出版したのでここには中身を掲載できませんが、アマゾンインターナショナルなどで販売しています。

入手が難しいかたは
http://morph.way-nifty.com/grey/2023/08/post-f37c78.html
の最下行に表示している連絡先にメールをしていただければご返事を差し上げます。

Imgaaa_20230907115301

| | | コメント (0)

2024年10月 4日 (金)

高関健&東京シティフィル スメタナ「わが祖国」@東京オペラシティコンサートホール

Img_20241004121501

都響のC定期が芸劇の工事の関係で9月で終了ということで、以降のコンサートは東京シティフィルのチケットを入手して初台に通うことにしました。ここは遠いのですが駅から近いというのが取り柄。

例によってマエストロ高関がきさくにプレトークをしてから本番。コンマスは荒井さん。「ヴィシェフラド」はなにか手探り状態でおそるおそるの演奏でしたが、「ヴルタヴァ」までくるとようやくオケがまとまってきて熱い演奏になりました。あまりに素晴らしい演奏だったので、終了後かなりブラボーや拍手があったくらいです。指揮者もオケも盛り上がっていて、やっぱり来たかOKという感じでした。

「シャールカ」のクラリネット(山口さん)の鋭角的・戦闘的な演奏には度肝を抜かれました。クラリネットという楽器のイメージが変わるようなショックを受けました。ヴルタヴァに続いてすごい演奏が続きます。・・・ここで休憩。

「ボヘミアの森と草原から」は谷さんのホルンが冴え渡って素晴らしく、ポルカもノリが良くて名演でした。今日はホルン8本という豪華版。永年クラシックの演奏会に通っていますが、一番失敗が多いのがホルンで、多分この楽器がオケの中で一番演奏が難しい楽器なんじゃないでしょうか? シティフィルも昔ホルンが第1楽章から暴走してボロボロになったこともあります。「ターボル」と「ブラニーク」はスメタナの音楽そのものがうるさいだけであまり感動はなし。

終演後指揮者アンコールで高関さんはクラリネットの山口さんを帯同して現れました。指揮者もびっくりしたのかもしれません。

谷あかね
https://www.instagram.com/akanehorn/

高関健
https://x.com/KenTakaseki?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor



| | | コメント (0)

2024年10月 3日 (木)

都響 HP&SNS その1~重鎮編

Photo_20241003144301

都響のオフィシャルサイト以外で都響メンバーのHP・SNSを探索してみました。網羅しているわけではありませんので、みつからなかった場合はごめんなさい。今回の重鎮編は都響の中でもお偉方とおぼしき方々限定です。一般編もやる予定ですが、時間がかかりますのでしばらく後で。サイトからペットの写真をお借りすることがあります。ひらにお許しを _(._.)_。

======================

大野和士

オフィシャル
https://www.kazushiono.com/ja

AMATI
https://www.amati-tokyo.com/artist/conductor/post_1.php

----------------------

エリアフ・インバル

JAPAN ARTS
https://www.japanarts.co.jp/artist/eliahuinbal/

----------------------

アラン・ギルバート

オフィシャル
https://www.alangilbert.com/en-us/


https://x.com/gilbertconducts

ヒラサオフィス
https://www.hirasaoffice06.com/artists/view/38

----------------------

小泉和裕

AMATI
https://www.amati-tokyo.com/artist/conductor/post_3.php

======================

矢部達哉

X 
https://twitter.com/TatsuyaYabeVL?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

インスタグラム
こちら

JAPAN ARTS
https://www.japanarts.co.jp/artist/tatsuyayabe/

======================

水谷晃

オフィシャル
http://musiciansparty.jp/artist/mizutani/


https://twitter.com/mizutani_akira?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

インスタグラム
https://www.instagram.com/akira_mizutani_1986/

======================

山本友重

フェイスブック
こちら


https://x.com/tomoshigeyama

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/2125MRlaSWLKWjynQRkd

======================

吉岡麻貴子

フェイスブック
こちら

======================

渡邉ゆづき


https://x.com/yuzuki79403436

インスタグラム
https://www.instagram.com/yuzukiviolin/

フェイスブック
https://www.facebook.com/watanabe.yuzuki.1

======================

遠藤香奈子

フェイスブック
こちら

インスタグラム
https://www.instagram.com/ko_kana828/


https://x.com/kanak0_032?lang=gl

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/4540zoRzlhKLozoJXRmp/

======================

双紙正哉


https://x.com/masayasoshi

フェイスブック
https://www.facebook.com/masaya.soshi/?locale=ja_JP

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/1189FKkBWckEJdvXMZQy

Soushicat

======================

鈴木学


https://x.com/mana_bratsche

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/6905voEYbjDFTQyMHzwQ

======================

伊東裕


https://x.com/yuitobanbi

東音企画
https://concertmanagement.to-on.com/artists/1476

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/803qSjTPHXeQhjOzIPi

======================

古川展生

オフィシャル
https://www.nobuofurukawa.com/


https://x.com/nobuofurukawavc

AMATI
https://www.amati-tokyo.com/artist/cello/post_56.php

======================

池松宏

HP(芸大のサイト)
https://researchmap.jp/ikematsu.hiroshi

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/8005WvfSPPMLKamAwAFw

Dreamusic
https://dreamusic.co.jp/artist/hiroshi-ikematsu/profile/

======================

山本修

オフィシャル
http://yamamotoosamu.seesaa.net/

======================

松木さや

インスタグラム
https://www.instagram.com/saya2116/

======================

柳原佑介

HP(武蔵野音大のサイト)
https://www.musashino-music.ac.jp/graduate/teacher/guest/wind/yanagihara

======================

鷹栖美恵子

東音企画
https://concertmanagement.to-on.com/artists/995

鷹栖音楽教室
https://takasuonkyo.com/

======================

広田智之

オフィシャル
https://tomoyukihirota.com/profile/


https://x.com/TomoyukiHirota?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor

Hirotagog

======================

長哲也


https://x.com/tetsuyacho

フェイスブック
https://www.facebook.com/tetsuya.cho.35/?locale=ja_JP

コンサートスクウェア(非公式)
https://www.concertsquare.jp/musician/unofficial/detail/4720pcGscwbjaTfQSOzK

======================

岡崎耕二

HP(武蔵野音大のサイト)
https://www.musashino-music.ac.jp/graduate/teacher/guest/wind/kojiokazaki-trp

======================

高橋敦

HP(洗足学園音大のサイト)
https://www.senzoku.ac.jp/music/teacher/osamu-takahashi

======================

風早宏隆

HP(武蔵野音大のサイト)
https://www.musashino-music.ac.jp/graduate/teacher/guest/wind/kazehaya_hirotaka

======================

高瀬新太郎


https://x.com/tks_tb

フェイスブック
https://www.facebook.com/takase.shintaro.9

東音企画
https://concertmanagement.to-on.com/artists/1957

======================

安藤芳広

HP(武蔵野音大のサイト)
https://www.musashino-music.ac.jp/graduate/teacher/guest/percussion/ando

======================

久一 忠之

フェイスブック
こちら

HP(東邦音楽大学のサイト)
https://www.toho-music.ac.jp/college/teachers/teacher3777.html

 

======================

| | | コメント (0)

2024年10月 1日 (火)

雨の日

最近ずっとお天気がよくありません。台風も来るようです。
よくラジオやライブでリクエストを募集するときに、エピソードをそえてほしいというリクエストがありますが、共有できるのはある種の感覚です。雨なら、だんだん沈静化していく心のあり方とか、静かな暗い場所に落ちていく感覚とか、外に出たときの雨の日のにおいとか、GABAがシナプスに満ちていくやすらぎとか、そういう感覚を惹起してくれる音楽の力は素晴らしいと思います。

昔 新宿東口にルイードというライブハウスがあって、そこは私の密かな青春でもありました。今は歌舞伎町や原宿、その他全国展開するチェーン店になっているようです。新宿ルイードは当時多くのシンガーが出演する名店で、西島三重子もマンスリーなどやっていました。そのラストナンバーでよく歌っていたのが「Evergreen~永遠に緑~」という曲でした。雨の名曲。

西島三重子 「Evergreen~永遠に緑~」 作詞:門谷憲二 作曲:西島三重子

https://www.youtube.com/watch?v=RXyaVs0A9LY
44分55秒~

https://www.youtube.com/watch?v=qEm-YeOA6Us
37分50秒~

CDでは TWIN VERY BEST COLLECTION~Spell(呪文)~  というアルバムに収録されています。
アマゾンを覗くと、中古品で price 7980円でした。

Nishijimaimg2

邸園パーティーにて

左:西島三重子さん

中央のお二人:ファンの方々

右:故 竹之内信広氏


A_20241001111101

 

| | | コメント (0)

2024年9月30日 (月)

続・生物学茶話247: シナプス後厚肥

前回記事(1)の電子顕微鏡写真をみると、シナプスの両側に電子密度の濃い領域が見られますが、シナプス前領域ではその厚みが数nmなのに対して、シナプス後領域(postsynaptic density)では40nmくらいあります。分子量60kDのタンパク質の半径は 2.7nm くらいだそうで(2)、だとするとシナプス前領域では1~2分子ぶんの厚みなのに対して、シナプス後領域(シナプス後厚肥)では多数の分子の集合体とか、スキャフォールドタンパク質やアクチン線維などが絡み合った構造の存在が予測されます。

ただしシナプス前領域は盛んにエキソサイトーシスを行う場所ですから、タンパク質が盛んに入れ替わる場所であるにもかかわらず、電子密度が高いというのはある意味驚異的です。それに対してシナプス後領域は受容体を安定的に設置して伝達物質が伝える情報を正しく細胞内に伝達する役割があります。ここで1つの問題はその受容体が「頭でっかち」、すなわち細胞外の部分がアンバランスに巨大であるということです。たとえばAMPA型グルタミン酸受容体は図247-1のような構造になっています。

2471a

図247-1 AMPA((α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メソオキサゾール-4-プロピオン酸)型グルタミン酸受容体の構造

受容体の「根」になっているのは主にアクチン線維であることがわかってきましたが(3)、ここでアクチン線維について少し復習しておきましょう。アクチンは筋肉ではほとんどが重合してアクチン線維を作り、ミオシンとの共同作業によって筋肉を動かすという作業をしています。しかしその他の細胞では単体と線維に半々程度に分布しており、どちらになるかは様々な制御因子によって臨機応変に決められています(4、5、図247-2)。

アクチンは重合するとマイクロフィラメントと呼ばれる線維を形成し、この際ATPと結合したアクチンモノマー(Gアクチン)は線維の+末端(反矢尻端)から線維に結合します。矢尻端のアクチンはADPと結合した形になっており、線維から解離します。この合成と分解は線維端をアダプターが細胞質側に露出している部分、特にC末を利用するしかありません。とは言っても受容体を直接アクチン線維と接続するのは制御が難しくなるので得策ではありません。アクチンは非常に多くの種類の仕事をしているので、シナプス関連の仕事は、その仕事にプロパーで関わっているリンカーやアダプターを介して行うことになります。そうすればそのリンカーやアダプターを制御することによって、シナプス関連システムを制御できます。

2472a

図247-2 アクチンとマイクロフィラメント

プロテオーム解析を行うとシナプス後領域には1000種類もタンパク質があるとされているので、ここでは神経細胞に豊富に含まれているグルタミン酸受容体とそこに結合するタンパク質をリストアップしてみました(3、6、図247-3)。イオンチャネル型グルタミン酸受容体には4つのタイプ(AMPA、NMDA、カイニン酸、デルタ)があり、それぞれに多くのサブタイプがあります。結合するタンパク質はそれぞれのサブタイプによって異なります。ここにリストアップした結合タンパク質はすべて直接または間接にアクチンとの結合を仲介すると考えられているので、これらのタンパク質を介して受容体はアクチン線維に係留されることになります。

ただリストアップされたからといって、これらがどのような構造を形成しているのかはわかりません。このリストにあるSNX27やDLG4(PSD95)はよく知られたタンパク質で、たとえば貝塚と内匠は受容体-PSD95-GKAP-SHANK-CONTACTIN-ACTINというチェーンを中心とした図表を発表していますが(7)、最近はFAM81Aを中心とした液滴にとじこめられた分子集積を考えているようです(8)。

2473

図247-3 各種グルタミン酸受容体とそれらに結合するアクチン調節因子

つまりシナプス後厚肥の高電子密度領域は液相-液相の分離によってタンパク質が閉じ込められることによってできているというのが最近の考え方のようです。このようなシナプス直下の疎水性構造が受容体細胞質パートへの諸因子のアクセスを制限し、正しい情報伝達と受容体の安定に寄与しているのでしょう。このような考え方によれば、アクチン線維はむしろシナプスという構造を形成する段階で、神経細胞の一部を突出させるという形態変化に大きな役割を果たしていると思われます(9)。つまりシナプス後厚肥の構造というより、シナプス後細胞全体の形成と構造にかかわっていると考えた方がよさそうです。

たとえばJ-E Kim らの研究によるとPPLP/CIN(pyridoxal-5′-phosphate phosphatase/chronophin)というアクチン線維調節因子を過剰発現させると樹状突起の形成が阻害され、ノックアウトすると巨大で異常な樹状突起が形成されるそうです(10、図247-4)。液相-液相分離説と受容体-?-アクチン線維の結合の両者の折り合いをどうつけるかという問題はどうなるのでしょうか。やじうまとしてもはらはらします。

2474a

図247-4 マウス樹状突起の形態に及ぼすPLPP/CIN活性の影響

貝塚剛志氏がこの方面の研究を裏話も含めて、彼の研究ブログで解説してくれています(11)。近年のシナプス研究の1断面をビビッドに感じさせてもらいました。FAM81Aについては魚類のホモログは哺乳類と40%くらいしか配列が一致せず、魚類の場合シナプスにも局在しないそうで、シナプス後厚肥の一般的な構造という意味ではゴールはかなたのようです。

 

参照

1)続・生物学茶話246: シナプス前細胞のアクティヴゾーン
http://morph.way-nifty.com/grey/2023/05/post-2bdb34.html

2)大阪大学石島研究室HP
https://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/ishijima/Molecule-01.html

3)Priyanka Dutta, Pratibha Bharti, Janesh Kumar, and Sankar Maiti, Role of actin cytoskeleton in the organization and function of ionotropic
glutamate receptors., Curr Res Struct Biol., vol.3: pp.277–289 (2021)
doi: 10.1016/j.crstbi.2021.10.001
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8569634/

4)脳科学辞典:アクチン https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3

5)やぶにらみ生物論75: 細胞骨格2
http://morph.way-nifty.com/grey/2017/06/post-20be.html
http://morph.way-nifty.com/lecture/2020/01/post-c5c25b.html

6)続・生物学茶話152:グルタミン酸 その1 イオンチャネル型グルタミン酸受容体
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/07/post-148529.html

7)Takeshi Kaizuka and Toru Takumi, JB Special Review—Neuronal functions and disorders. Postsynaptic density proteins and their involvement in
neurodevelopmental disorder., J. Biochem., vol.163(6): pp.447–455 (2018) doi:10.1093/jb/mvy02
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29415158/

8) Takeshi Kaizuka, Taisei Hirouchi, Takeo Saneyoshi, Toshihiko Shirafuji, Mark O. Collins, Seth G. N. Grant, Yasunori Hayashi, Toru Takumi, FAM81A is a postsynaptic protein that regulates the condensation of postsynaptic proteins via liquid–liquid phase separation., PLOS Biology 22(3): e3002006 (2024)
https://doi.org/10.1371/journal.pbio.3002006
https://journals.plos.org/plosbiology/article%3Fid%3D10.1371/journal.pbio.3002006

9)Jessica C. Nelson, andrea K.H. Stavoe, and Daniel A. colón-Ramos, The actin cytoskeleton in presynaptic assembly., Cell adhesion & Migration vol.7:4, pp.379–387 (2013)
https://doi.org/10.4161/cam.24803
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.4161/cam.24803

10)Ji-Eun Kim, Yeon-Joo Kim, Duk-Shin Lee, Ji Yang Kim, Ah-Reum Ko, Hye-Won Hyun, Min Ju Kim & Tae-Cheon Kang, PLPP/CIN regulates bidirectional synaptic plasticity via GluN2A interaction with postsynaptic proteins. Sci. Rep. vol.6, article no.26576.,
DOI: 10.1038/srep26576
https://www.nature.com/articles/srep26576

11)貝塚剛志 研究ブログ
https://researchmap.jp/kaizuka/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0

| | | コメント (0)

2024年9月28日 (土)

Wkalk down the memory lane 11: 毛の始まり

Img_0593a_20240928230201

キーボードの下で眠るサラとミーナ

ヒト以外の多くの哺乳類は体中に毛が生えています。これで寒さに耐え抜き恐竜全盛時代を生き抜き、さらに恐竜絶滅時代を乗り越えて現在に至っています。毛を獲得した動物は哺乳類以外には恐竜とその子孫の鳥類ですが、哺乳類と恐竜・鳥類の毛は独立に獲得されたもので、哺乳類と恐竜(爬虫類)の共通祖先は毛を持っていなかったことはほぼ確実です。

P1010040

哺乳類の毛を作る細胞はまず表皮から下の方(真皮の方)に増殖します。鳥類の羽毛は最初から上の方に増殖します。写真はラットの最初期の毛の細胞で、紫色の細胞塊が2ヶ所で下に増殖していることがわかります。ここから毛根ができて、その後そこから毛が上に(表皮側)伸びていきます。赤い色の細胞は赤血球で、赤血球付近の空洞は血管です。結構太い血管が真皮の一定の深さのところにできていることがわかります。

| | | コメント (0)

2024年9月25日 (水)

World music collection 20: Takagi Sanae

高木早苗  HP:https://sanaetakagi.com/

You may not know her untill now, but you cannot forget her if you once listen her pianoplay.

日本の総理になるかもしれない人と一字違いですが、こちらは日本のピアノ界の至宝。コンサートピアニストとしてより、チャリティーとレッスンとかに力を傾注しているせいか「知る人ぞ知る」にとどまっていますが、YouTube で多くの動画をアップしているので知名度は高くなりつつあると思います。都立総合芸術高校音楽科講師だそうです。

Img_20240925130901

Gubaidulina: chaconne  グバイドゥーリナ:シャコンヌ
https://www.youtube.com/watch?v=MTIvuU_HQYU

古今のあまたあるピアノ曲のなかでも、人間には恐れ多いような高みに到達した音楽、あるいは人間が消滅した後の自然と野生動物の世界だと思います。もちろんバッハのシャコンヌは意識したと思いますが、もっと人跡未踏の極地に位置しています。高木さんの演奏もすごい

グバイドゥーリナ:トッカータ・トロンカータ
https://www.youtube.com/watch?v=RIdQhKq7hXQ

トロンカータとは途切れた音のことだそうです。私は誰かの追悼のためにつくられた音楽ではないかと思います。

Arvo Pärt: for Alina  ペルト:アリーナのために
https://www.youtube.com/watch?v=WiQOOLyRtyA

アマゾンのレビューに「クロード・ミレール監督のフランス映画『リリィ』の予告編および中盤で使われています」と書いてあります。私はこの映画は見ておりませんが、シンプルで理解しやすい音楽です

バッハ=リスト:前奏曲とフーガ イ短調 BWV543
https://www.youtube.com/watch?v=rrxSrBh88Cs

現代のグランドピアノで弾くバッハのパワーと繊細

------------------------

西田直嗣 (Nishida Naotsugu) :Jewelry Box
https://www.youtube.com/watch?v=OVVeGmSBN68

西田さんが高木さんのために作ったとてもロマンチックな曲

スウェーリンク:涙のパヴァーヌ
https://www.youtube.com/watch?v=UXgyddyBhN8

スウェーリンクは1562~1621に生きた昔の人ですが、まるで現代のムードミュージックのような趣もあります

バッハ=バウアー:甘き死よ、来たれ
https://www.youtube.com/watch?v=BSGmA34bZWA

怨念と諦念と祈りの音楽

メシアン:幼子イエスに注ぐ20の眼差しより 「II 星の 眼差し」
https://www.youtube.com/watch?v=cQK_hBIQ_SI

私も小学生の頃教会で聞かされた「東方の三賢人」の話を思い出しました

------------------------

Clair de lune Debussy  ドビュッシー:月の光
https://www.youtube.com/watch?v=MKOrtDRnGMY

多くのピアニストは暗と明のコントラスト 彼女のは何か違う気がする 音が暖かい

ショパン:ノクターン遺作 嬰ハ短調
https://www.youtube.com/watch?v=vJgxsgo_vKY

落ち葉舞う中でこの曲を聴く 一塊の音の暖気に包まれて

ショパン:ノクターン第13番 ハ短調 Op.48-1
https://www.youtube.com/watch?v=3KlWwfFiJAM

不思議な演奏 なにか特別な思いがあるのか...

Beethoven Piano Sonata no.31  ベートーヴェン:ソナタ第31番
https://www.youtube.com/watch?v=5LWTTmvXvjI

ドビュッシーやショパンの場合より、ベートーヴェンを演奏する時の方がこの演奏者が作曲家と近い位置にいるような気がします

 

 

| | | コメント (0)

2024年9月23日 (月)

やっとぐっすり眠れる だって?

A-3

そこで眠っちゃダメだって💢

zzz

池松が茶髪で貴公子然としていたし ✨

南方は相変わらず抜群だったよ 🎵

あ そういえば小池が出世してた 🍺

余計なことだが 愛陽はコレステロールとか糖Hbに注意した方がいいな 💧

zzz

聞いてないのミーナ? 

 

 

| | | コメント (0)

2024年9月21日 (土)

出口-東京シティ・フィル ショスタコーヴィチ交響曲第5番@ティアラ江東

最近の天候には季節感が混乱してしまいます。確かにセミはもう鳴いていないし、トンボも飛んでいますが、温度はまだ34℃もあります。街路樹の桜もためらいながら黄葉をはじめました。

Img_0913

東京シティフィルの裏定期が住吉のティアラ江東で行われるということででかけました。オペラシティーは作られた音という感じですが、ティアラは素の音。ただし東京文化会館のような広大な空間ではなく、比較的こじんまりとしているので音圧はすごいものがあります。

最近の東京シティフルの充実ぶりは顕著で、今日のコンサートも早々と完売です。

Img_0915

Imgprogram

本日のマエストロはただいま売り出し中の左ききの指揮者出口大地氏です。そしてソリストは2004年生まれの中野りなさん。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏しましたが、このうら若い女性奏者には驚かされました。特に第2楽章の内面的な表現には深い感銘を受けました。演奏効果など一切考えず、ひたすらにチャイコフスキーの心の襞をたどるような作品との向かい方は素晴らしいです。オーケストラもそのようなソリストを繊細にサポートしていました。ただフルートはちょっと音が大きすぎると感じられる部分もありましたが、それもささいな違和感です。中野さんは満場の大拍手に答えて、ソリストアンコールでパガニーニの24のカプリースから第5番を聴かせてくれました。

Img_0916

休憩後のショスタコーヴィチ交響曲第5番は、折り目正しくメリハリが明快な指揮者のタクトのもと、東京シティフィルが本領発揮です。私は特に第3楽章の後半の弱奏の美しさに感銘を受けました。ホルンが一ヶ所潰れましたが、その後ちょっと神経質になったのは残念。しかしそれも消し飛ぶくらいエネルギーが爆発する第4楽章で、会場は異様な興奮に包まれました。今夜からいよいよ季節も秋めいてくるそうで、最後の夏の日にふさわしいものすごい演奏会でした。

Img_0923

 

| | | コメント (0)

2024年9月19日 (木)

World music collection 19: Tuba skinny

Tuba_skinny_2009

(画像はウィキペディアより)

Tuba skinny はストリートバンドですが、ウィキペディアに詳しい解説が出ています。
https://en.wikipedia.org/wiki/Tuba_Skinny

Probably Tuba skinny is famous in USA but not in Japan. I think it is because there is no culture to dance by two persons in the outer field in Japan. And nowadays it is difficult to hold festival in an open field because it is risky by severe downpour and lightning.

ウィキペディアによると、このバンドは2009年にニューオーリンズで設立され、世界各地を巡って路上パフォーマンスやフェスティバルで演奏している-主として屋外で活躍しているバンドのようです。ただしアルバムも10枚ほど出版しているとのこと。1920~30年代のジャズ、ラグタイム、ブルースをルーツとした音楽だそうです。これぞ米国という音楽。

日本語で詳しく解説している方のサイト
https://ameblo.jp/mudo777/entry-12758671243.html

彼らはオフィシャルな YouTube のページは持っていなくて、動画はほとんどファンの投稿によるものだそうです。一部のメンバーが来日して演奏したことはあるみたいですが、バンドとして日本でパフォーマンスを行ったことは多分ないようです。

--------------------

アメリカンフォークフェスティバル のオープニングパレード
https://www.youtube.com/watch?v=49-vWFxEGTw

--------------------

Etè 2018
https://www.youtube.com/watch?v=qd3pDQycAQs

フランスのパリにて 踊れると楽しいと思いますが、日本で路上の踊りというとみんな集団舞踊で、二人で野外で踊るという文化はありません

--------------------

Rosa Lee
https://www.youtube.com/watch?v=H6JUS_dPxhI

イタリアのペルージャにて チューバの伴奏で歌う

--------------------

Some of these Days
https://www.youtube.com/watch?v=scniiE6CjGQ

Spotted Cat というのは多分ライブハウスの名前だと思いますが?
踊るためのスペースがあります 日本のライブハウスではあまり見かけない造り

--------------------

Going Back Home
https://www.youtube.com/watch?v=bBINhDYXoEg

日本人?のようなおじさんも参加 路上でCDを販売していて代金は段ボール箱に入れる お客が演奏に参加するのもOKらしい

--------------------

Jubilee Stomp
https://www.youtube.com/watch?v=jft3BVoxqjo

これ個人的に一番好きかも アメリカの街には野良犬が歩いていることがわかります

--------------------

Give Me Some
https://www.youtube.com/watch?v=cUoIQ1UGDxg

なぜかみんな裸足

--------------------

Papa Let Me Lay It On You
https://www.youtube.com/watch?v=zXFHM1y3rUA

順番にソロパフォーマンス 楽しい

--------------------

2024のパフォーマンス クラリーヴィルというのはニューヨーク州の田舎の町
https://www.youtube.com/watch?v=YNOqvGKN-fo

--------------------

他のミュージシャンとの屋内でのコラボ ちょっと違った雰囲気の音楽になっています  曲のタイトルはわかりません

https://www.youtube.com/watch?v=9tAW-RTwe3U

--------------------

FestJazz 2022 Tuba Skinny: an informal video
https://www.youtube.com/watch?v=etwCO7GpNig&list=PLGWRY4CXixYyuBH6yH6VTj0GcA3k1ZWuQ

ロングの動画 カリフォルニアのピズモビーチでのフェスティバルにて

--------------------

 

| | | コメント (0)

2024年9月18日 (水)

本を読まない人

もうニュースでも報道されている話題ですが、このことを知って日本の未来に不安を感じるのは私だけではないでしょう。文化庁の調査によると、1ヶ月に1冊も本を読まない人の割合がここ数年で激増し60%を超えたそうです。

平成 25 年度「国語に関する世論調査」の結果の概要
https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/h25_chosa_kekka.pdf

Photo_20240917230801

電子書籍について (文化庁の発表)↓

Photo_20240917230802

私は本を読まない人というのは文章を書けないと思います。おそらく大学生でもつじつまの合ったまともなレポートは書けないのではないかと思います。青木理が劣等民族という言葉を使って批判されていますが、知らず知らずのうちにそれが本当になってしまうという不安を感じます。

YouTube で知識を得るのは悪くありませんが、所詮動画は通り過ぎるものであり、ノートを取りながら動画を見るなんてことはめったにないでしょう。動画はその正確性や妥当性で評価されるものではなく見た人の数でだけ評価されるので、不正・大げさ・偏向・虚偽・宣伝などが跳梁跋扈する伏魔殿です。タイトルと中味が合っていないことなど日常茶飯事です。日本の安全保障を論じているのに、その一丁目Ⅰ番地であるサンフランシスコ平和条約の話が全く出てこないというのも普通です。

本が高価で買えないと言う人はSNSや動画ではない「静止画+文章 が主体のウェブサイト」を見るというのも良いと思います。例えば最新の科学の進歩は「Nature ダイジェスト」というサイトを見るとわかります。文章を読む練習にもなります。

https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/


Photo_20240917232301

サラ・ミーナ「私たちには関係ない話ね」

私「まあそうだけど、それは君たちが飼い猫だからであって、野良猫だったら必死で情報収集しないと生きていけないところだよ。本は読めないにしてもね」

余談:小泉進次郎はその全く本を読まない60%に含まれるのだろうか?

 

 

| | | コメント (0)

2024年9月15日 (日)

続・生物学茶話246: シナプス前細胞のアクティヴゾーン

電子顕微鏡でシナプスを見るとシナプス後細胞の細胞膜の電子密度が高いということは、20世紀の半ば頃から知られていました(1)。これは後に postsynaptic density と呼ばれるようになりますが、この日本語訳「シナプス後肥厚」というのは、どうして density を肥厚と訳したのかがわかりません。英語とは関係なく命名したのかもしれません。

確かに図246-1を見ても、シナプス後細胞の高密度領域は明らかにわかります。一方でそれに対面するシナプス前細胞の部分にも、後細胞ほど分厚くはありませんが確かに高密度領域は存在します。シナプス後細胞の場合神経伝達物質の受容体とそれを固定するタンパク質集合体が細胞骨格(スキャフォールド)で固定されているような構造が推測されますが、シナプス前細胞の場合、細胞膜は頻繁にエキソサイトーシスを行っているので流動的で、それでも高密度であるということは多くのタンパク質がここに集中して作業しているに違いありません。

2461a

図246-1 シナプスの電子顕微鏡写真 (wikipedia: postsynaptic density より)

前回(245)の内容から考えて、カルシウムチャネル、SNARE複合体、MUNK、RIMなどがシナプス前細胞のアクティヴゾーンに集積すると思われますが、もう少し詳しく見ていきましょう。シナプス前細胞は電位変化の情報がくるとミリ秒単位の短時間で神経伝達物質を放出しなければなりません。そのためにはあらかじめ準備を万端整えておく必要があります。エンペラドール=メレロとケーザーはカルシウムチャネル、SNARE複合体以外の、あらかじめ準備されているタンパク質のセットを図246-2のようにまとめています(2)。

2462a

図246-2 カルシウムチャネルとSNARE複合体以外のシナプス前細胞のアクティヴゾーンを構成するタンパク質複合体

ここには今まで言及していないタンパク質がいくつか登場しています。まず楽器の名前がつけられた Piccolo/Bassoon は類似した部分を持ち関連性がある非常に巨大なタンパク質で、Piccolo の分子量は約55万ダルトン、Bassoon は約42万ダルトンです。両者はアクティヴゾーンでスキャフォールドを形成する構造タンパク質ですが、それぞれ別の機能も持っており、特に Piccolo がアクチンと結合していることは重要だと思われます(3、4)。

ELKS はPiccolo/Bassoon、Liprinα、Rim1αなどと結合するドメインを持っており(図246-2)、少なくともこれらのタンパク質の立体配置に重要な役割を果たしていると思われます。Liprinαは mDia の活性を抑制することを通じて、アクチン線維の形成に関与しているようです(5)。また RIM と RIM-BP は電位依存性カルシウムチャネルと共に疎水性で相分離を起こすような集合体を形成し、小胞体を細胞膜近辺にとどめる役割を果たしているようです(6、7、図246-3のBの部分)。この1つの相をコンデンセートと呼び、Bはすぐにエキソサイトーシスで神経伝達物質を放出できる状態にあるシナプス小胞が集合している状態とされています。ただ図246-3のようにはっきりしたA相、B相、それ以外の部分というような境界があるかというと、私にはまだ信じられません。

2463a

図246-3 コンデンセート説

図246-4はウィキペディアの active zone という項目(8)に掲載されてあった図で、とりあえず報告されているタンパク質とそれらの関係をまとめたものです。このようなイメージで最終的に良いのか(正しいのか)どうかはわかりませんし、すべてが網羅されているわけでもありませんが、関係タンパク質を一覧するには便利かもしれないので貼っておきます。スペクトリンがVDCCと結合するという論文は、アンキリンを介してというもの以外はみつかりませんでした。

2464a

図246-4 アクディヴゾーンのタンパク質複合体(ウィキペディアの模式図)

図246-5は参照文献2などを参考に調べた結果ですが、やはり哺乳類が保有するアクティヴゾーンのタンパク質とホモローガスなタンパク質を線虫(C.elegance)もショウジョウバエ(D.melanogaster)も保有しています。前回(245)のシンタキシンでもわかるように、アクティヴゾーンにおけるシナプス小胞の集積と高速で行われるエキソサイトーシスをサポートするメカニズムは、これらの生物が分岐する以前のエディアカラ紀あるいはそれ以前に確立されていて、今生きている生物はそれをわずかな適応と改良を重ねてはいるものの、数億年の間基本的に引き継いでいることは明らかです。

2465a

図246-5 マウス、線虫、ショウジョウバエにおけるシナプス前細胞アクティヴゾーンタンパク質 名前は別々に命名されていますがホモロジーがあり、各グループ(RIM, Liprin, ELKS/CAST, Munk13)は同根のタンパク質とされています

 

参照

1)Sanford L. Palay, SYNAPSES IN THE CENTRAL NERVOUS SYSTEM, J Biophys Biochem Cytol. vol.2(4): pp.193-202. (1956)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2229686/

2)Javier Emperador-Melero and Pascal S Kaeser, Assembly of the presynaptic active zone., Current Opinion in Neurobiology vol.63: pp.95–103 (2020)
DOI: 10.1016/j.conb.2020.03.008
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32403081/

3)Fenster, Steven D.; Kessels, Michael M.; Qualmann, Britta; Chung, Wook J.; Nash, Joanne; Gundelfinger, Eckart D.; Garner, Craig C., Interactions between Piccolo and the actin/dynamin-binding protein Abp1 link vesicle endocytosis to presynaptic active zones. The Journal of Biological Chemistry. vol.278 (22): pp.20268-20277 (2003) doi:10.1074/jbc.M210792200
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12654920/

4)Eckart D. Gundelfinger, Carsten Reissner and Craig C. Garner,
Role of Bassoon and Piccolo in Assembly and Molecular Organization of the Active Zone., Frontiers in Synaptic Neuroscience., vol.7, article 19, (2016)
doi: 10.3389/fnsyn.2015.00019
https://www.frontiersin.org/journals/synaptic-neuroscience/articles/10.3389/fnsyn.2015.00019/full

5)Satoko Sakamoto, Shuh Narumiya & Toshimasa Ishizaki, A new role of multi scaffold protein Liprin-α. Liprin-α suppresses Rho-mDia mediated stress fiber formation., BioArchitecture vol.2, Issue 2 (2012)
https://doi.org/10.4161/bioa.20442
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.4161/bioa.20442

6)細川智永 シナプス伝達と可塑性を担うタンパク質の集合と区画化 
Journal of Japanese Biochemical Society vol.94(4): pp.523-528 (2022)
doi:10.14952/SEIKAGAKU.2022.940523
https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2022.940523/data/index.html

7)Xiandeng Wu, Qixu Cai, Zeyu Shen, Xudong Chen, Menglong Zeng, Shengwang Du, Mingjie Zhang, RIM and RIM-BP Form Presynaptic Active-Zone-like Condensates via Phase Separation., Mol Cell vol.73(5): pp.971-984.e5. (2019)
doi: 10.1016/j.molcel.2018.12.007
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30661983/

8)Wikipedia: active zone
https://en.wikipedia.org/wiki/Active_zone

 

 

 

| | | コメント (0)

2024年9月14日 (土)

ブログを書こう

A-4

ここを探索しようと思ったら、ミーナに先を越されたんだよね。でもそこで強引に割り込んだりしないのがサラの良いところ。

ところで今日はブログのおすすめをしたいと思います。私の持論はSNSは社交、ブログは文化です。ChatGPTなどが出現して、人は文章を書くという能力を失ってしまうかもしれません。是非自分で文章を作ってブログを書きましょう。

私は@ニフティというプロバイダーのサ-ビスでブログ(ココログ)をやっています。こことは古くてニフティサーブという名前で電話回線を使って営業していた頃からの付き合いです。ニフティーサーブの頃はブログという概念は無く、全く趣味的な「言葉の社交サークル」という感じでした。

X・FB・インスタグラムや動画サイトなどが次々と出現する中で、@ニフティはブログ中心のサイトとして営業していますが、それだけではありません。サービスの中に「注目のニュース(速報)」というのがあって、たとえば「3連休 雷雨と猛烈残暑に警戒」とか「斎藤知事への贈答品を公開」などがタイトルに並んでいます。

岸田政権になる前は信じがたいことに、3日とおかず頻繁に同じ人が「注目のニュース(速報)」のタイトルリストにあがっていました。その人の名は「玉川徹」で、玉川徹が羽鳥慎一モーニングショーでこう言ったとかああ言ったというのが注目のタイトルにあがっているのです。もちろんたいていの場合ディスるためです。玉川徹の発言が日常的に注目のニュースとは驚きですが、それほど安倍・菅政権にはにらまれていたのでしょう。

そういう意味では岸田政権はそれまでの政権と基本政策は変わりませんが、マスコミを隅々まで支配しようという中国やロシアそして安倍・菅政権のような検閲とコントロールはなくなったようです。少なくとも@ニフティニュースなどというマイナーな報道にまで圧力を加えることはなくなったのではないでしょうか。@ニフティニュースの全体的な内容も、フジサンケイグループなのに、最近は決して右翼的とはいえないくらいニュートラルでフェアーなものになっています。

@ニフティー加入
https://setsuzoku.nifty.com/niftyhikari/

 

| | | コメント (0)

2024年9月11日 (水)

頭角を現してきた エヴァ・オリカイネン 

Ollikainen_20240911134501

(アイスランド交響楽団のHPより)

SWR交響楽団(南西ドイツ放送交響楽団)は来シーズンからフランソワ=グザヴィエ・ロトが首席指揮者・芸術監督に就任することになっていましたが、セクハラ疑惑問題が未解決のため、ロトが振ることになっていた今シーズンの最後の定期演奏会をキャンセルし、代役を立てることになりました。

その代役がなんと私がずっと「いちおし」していたエヴァ・オリカイネンに決まったそうです。演目はソフィア・グバイドゥーリナの楽曲及びR.シュトラウスのヴァイオリン協奏曲とシベリウスの5番だそうです。彼女は2013年に来日して都響を指揮しており、そのときに「ひと聴き」惚れしてしまいました。その特徴は指揮者の存在を感じさせないくらい、作曲家とその音楽に没入させてくれることです。

しかし不可解なことに、それ1回だけで以降呼んでいません。そのうちにアイスランド交響楽団の音楽監督に就任し、BBCプロムスに出演するとか、ウィーンの音楽祭をプロデュース・指揮をするとか、着々とキャリアを重ねて、頭角を現してきました。

参照:クラシック音楽とアート
謹慎中のフランソワ=グザヴィエ・ロトの代役にエヴァ・オリカイネン|SWR交響楽団定期
https://a-delp.blog.jp/2024-06-19_SWR

---------------------------

#ウィーンで行われた Fest der Freude をプロデュースし、ウィーン交響楽団を指揮するエヴァ・オリカイネン
https://www.youtube.com/watch?v=FVu82lAyFQc&t=896s

曲目は モーリス・ラヴェル「ラ・ヴァルス」、ショスタコーヴィチ交響曲第10番第2楽章、アルヴォ・ペルト「Fratres fur violine」、コルンゴルト「Marienttas Lied aus die tote stadt」、マーラー交響曲第5番第5楽章

#ベートーヴェン交響曲第5番「運命」 エヴァ・オリカイネン指揮 アイスランド交響楽団
https://www.youtube.com/watch?v=O8QlEH0QgOI

ベートーヴェンがウィーンの楽壇にさっそうと登場したときの雰囲気を感じさせる溌剌とした演奏 一方で独墺音楽のどっしりとした伝統も感じさせる

#ベートーヴェン交響曲第9番合唱付き
エヴァ・オリカイネン指揮 ヘルシンキフィルハーモニー管弦楽団
https://www.youtube.com/watch?v=KIDZj0vJffU&t=310s

フィンランドはきら星のごとく多くの指揮者を輩出していますが、そのなかでヘルシンキフィルで第9を演奏するというのはすごいことだと思います

#グスタフ・マーラー さすらう若人の歌
歌:ヨハン・クリスティンソン  これは名演だと思います
エヴァ・オリカイネン指揮 アイスランド交響楽団
https://www.youtube.com/watch?v=xGC324k7sf8

 

日本の事務所 Musica Chiara
https://www.musicachiara.com/eva-ollikainen

 

| | | コメント (0)

2024年9月 8日 (日)

続・生物学茶話245:シナプスとSNARE複合体

神経伝達はシナプスを経由して行われますが、そのシナプスが機能を発揮するためのメカニズムについては、これまで学習してきたように「1.シナプス前細胞のシナプス小胞が細胞質から神経伝達物質をとりこみ、2.それをシナプスのアクティブゾーンからエキソサイトーシスでシナプス間隙に放出し、3.放出された神経伝達物質をシナプス後細胞が受け取る」という順序で行われることがわかっています。

そのためにはまずシナプス前細胞のバリコシティー(ふくらみ)が電位変化を察知し、それを生化学的プロセスに変換しなければなりません。これをおそらくすべての神経を持つ生物はカルシウムチャネル(1、2)を使ってやっていると思われますが、おそらくというのは有櫛動物だけはほかの門の生物とは非常に異なる神経システムを持っていてはっきりとしない点があるからです。そのため生物進化において神経のルーツがひとつであるのかふたつなのかという論争が続いているほどです(3、4)。ただ有櫛動物も筋収縮についてはカルシウムシグナリングに依存しているようですし(5)、神経細胞においても電位変動を最初に感知し、カルシウムの流入によって生化学的変化を起動しているのはおそらく有櫛動物の場合もカルシウムチャネルだと考えられています(6)。カルシウムチャネル自体の歴史は非常に古く、ルーツは細菌までたどることができます(2、7)。ですから神経伝達のためのツールとして使うのは多細胞生物による流用です(8)。

電位依存性カルシウムチャネル(voltage-dependent calcium channel: VDCC)についてはすでに参照文献2で詳しく述べましたが、この分野の研究は進んでおり、ここでは京都大学森研究室がHPに掲載している図を多少改変して貼っておきます(9、図245-1)。

2451

図245-1 電位依存性カルシウムチャネルの立体構造


森研究室の研究では、RIMファミリーのタンパク質が電位依存性カルシウムチャネルとシナプス小胞を繋ぐ役割を担っており、シナプス小胞のエキソサイトーシスにかかわっているとしています(9)。今回はそのシナプス小胞のエキソサイトーシスについて触れたいと思います。

シンタキシンは一般に細胞内小胞輸送において膜融合に関わるタンパク質のグループですが、シナプス小胞が細胞膜と融合し、エキソサイトーシスによってシナプスに神経伝達物質を放出するという神経細胞特有のプロセスにおいても主役の1つを担っています。シンタキシンについては脳科学辞典に詳しい解説があります(10)。そこにある図のひとつを図245-2とします。

細胞膜のタンパク質であるシンタキシンのH3ドメインとシナプス小胞膜のタンパク質であるシナプトプレビンがSNAP-25を介してつながる構造をSNARE複合体と呼び、この構造形成によって小胞と細胞膜が結合しエキソサイトーシスの契機となります(図245-2)。

小胞と細胞膜がのべつ幕なしに結合すると困るので、通常はHabcドメインがH3ドメインと結合していてSNARE複合体ができないOFFの状態になっています。カルシウムチャネルから情報がくると立体構造が変化して、SNARE複合体が形成されることになります(図245-2)。

2452

図245-2 シナプス小胞が開口放出を行う前に形成されるSNARE複合体の立体構造模式図

脳科学辞典によると「シンタキシンファミリーは少なくとも16種類のアイソフォームが存在し、そのうち多くが線虫から哺乳類に至るまで進化的に保存されている」と記載されています(10)。図245-3で各動物におけるそれらのアイソフォームの存否をまとめてみました。1A、4、5、6、7、16、17、18の8つのアイソフォームは各動物が保有しています。このことはカンブリア紀以前の段階でこれらのアイソフォームは確立され、各門の動物がその後引き継いだことを意味します。

頭索動物(ナメクジウオ)、尾索動物(ホヤ)、円口類(ヤツメウナギ)、棘皮動物(ウニ)、半索動物(ギボシムシ)などについても情報が得られると、より詳しく生物進化とシンタキシンの関係がわかると思いますが、この図でもヒトにしかないアイソフォーム(シンタキシン10)、後口動物だけ(あるいは哺乳類だけ)にみられるもの(シンタキシン1B、11、19)があることは注目されます。

小胞と細胞膜が結合するようなシステムは多くの細胞で必要なので、シンタキシンはほとんどの細胞に存在しますが、神経細胞と分泌細胞に特異的に存在するのはシンタキシン1A、1Bとされています。ただまだ局在がわからないもの、cDNAしか知られていないものなどがあり、シナプスで使われるシンタキシンのアイソフォームは完全には解明されていないようです(10)。

2453

図245-3 シンタキシンのアイソフォーム

すでに「小胞と細胞膜がのべつ幕なしに結合すると困るので、通常はHabcドメインがH3ドメインと結合していてSNARE複合体ができないOFFの状態になっています」と述べましたが、MUNK18はシンタキシン1の不活性なクローズドフォームを維持するために機能しています。これに対してカルシウム存在下でシナプトタグミンはシンタキシン1を活性化し、SNARE複合体を形成するためのコンフォメーション変化に寄与することにより膜融合を促進します。MUNK13もシンタキシン1の活性化に寄与します(11、12、図245-4)。

図254-4のQaは、シンタキシンのH3ドメインにあるSNAREモチーフです。SNARE複合体はこのQaのほか、SNAP-25AのQb・Qcモチーフおよびシナプトプレビン2のRモチーフによって構成されています(図245-4)。

2454a

図245-4 シンタキシン1のコンフォメーション変化とSNARE複合体の形成  カルシウムイオンの流入によって、シンタキシン1はクローズドフォームからオープンフォームに変化しSNARE複合体を形成する

SNARE複合体による膜融合についてはさまざまなモデルがありますが、Shen Wang らが提出しているモデルは図245-5のようなものです。これによるといったんシナプトブレビン2-Munc18-Munc13-シンタキシンが複合体を形成することによって(b)シンタキシンが活性化し(c)、Muncが解離すると共にSNAP-25が結合してSNARE複合体が形成され、シナプス小胞と細胞膜が結合するとしています。

2455

図245-5 Shen Wang らの膜融合モデル

一方京都大学の森研究室HPのモデルでは、カルシウムチャネルがα-RIMを介してシナプス小胞を細胞膜につなぎ止めるということになっていて(9)、議論はつきないようです。ポイントはカルシウムチャネルが直接的に膜融合にかかわっているのか、それともカルシウムの流入を介してのみかかわっているのかということです。

 

参照

1)脳科学辞典 電位依存性カルシウムチャネル
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E9%9B%BB%E4%BD%8D%E4%BE%9D%E5%AD%98%E6%80%A7%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8D%E3%83%AB

2)続・生物学茶話191: 電位依存性カルシウムチャネル
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/10/post-d9a164.html

3)Nature digest, Vol. 11 No. 8 News 深まるクシクラゲの謎
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v11/n8/%E6%B7%B1%E3%81%BE%E3%82%8B%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B2%E3%81%AE%E8%AC%8E/54610

4)Eisuke Hayakawa et al., Mass spectrometry of short peptides reveals common features of metazoan peptidergic neurons., Nature Ecology & Evolution, vol.6, pp 1438-1448 (2022)
https://www.nature.com/articles/s41559-022-01835-7

5)Robert W Meech, Andre Bilbaut Deceased, Mari-Luz Hernandez-Nicaise, Electrophysiology of Ctenophore Smooth Muscle. Methods Mol Biol., vol.2757, pp.315-359. (2024)
doi: 10.1007/978-1-0716-3642-8_15.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38668975/

6)Adriano Senatore, Hamad Raiss and Phuong Le, Physiology and Evolution of Voltage-Gated Calcium Channels in Early Diverging Animal Phyla: Cnidaria, Placozoa, Porifera and Ctenophora., Front. Physiol. vol.7: article 481.(2016)
doi: 10.3389/fphys.2016.00481
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27867359/

7)入江克雅 下村拓史 国立生理学研究所プレスリリース 細菌のセンサーから紐解く 神経刺激を伝えるタンパク質の太古の姿
https://www.nips.ac.jp/release/2020/02/post_409.html

8)ウィキペディア 流用(生物学)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%81%E7%94%A8_(%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6)

9)京都大学大学院工学研究科 森研究室HP
http://www.sbchem.kyoto-u.ac.jp/mori-lab/research-a.html

10)脳科学辞典 シンタキシン
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%83%B3

11)脳科学辞典 SNARE複合体
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/SNARE%E8%A4%87%E5%90%88%E4%BD%93

12)Shen Wang, Yun Li, Jihong Gong, Sheng Ye, Xiaofei Yang, Rongguang Zhang & Cong Ma, Munc18 and Munc13 serve as a functional template
to orchestrate neuronal SNARE complex assembly., Nature Commun., 10:69 (2019)
https://doi.org/10.1038/s41467-018-08028-6
https://www.nature.com/articles/s41467-018-08028-6

 

| | | コメント (0)

2024年9月 7日 (土)

立憲民主党代表選挙

Yukio_edano_in_front_of_tenjin_twin_buil

枝野幸男

Kenta_izumi_2022

泉健太

(写真はウィキメディアコモンズより)

おーい ミーナとサラ 目を覚ませ

ミーナとサラ「私たちには関係ないから寝てる」

Img_3588a

 

ミーナとサラと同様、私も自民党の総裁選挙には全く関心はありませんが、立憲民主党の代表選挙には少し関心があります。

野田氏と吉田氏は科学技術や大学についてあまり述べていませんが、枝野氏と泉氏は明確に政策を述べています。

枝野幸男:

国公立大学の授業料を半額にまで引き下げる 奨学金の拡充
一人暮らしの学生への家賃補助制度の創設
科研費の充実 ポスドク(博士研究員)や大学院生の処遇改善

泉健太:

科学技術予算の大幅増による基礎研究の重視と研究開発支援
省エネ、蓄電、再エネ技術の推進により原発・火力依存度を低減

結構なことです 是非実現のために努力して欲しい。

参考にしたサイト

野田佳彦 https://www.nodayoshi.gr.jp/

枝野幸男 https://edano.gr.jp/

泉健太 https://izumi-kenta.net/policy2022/

吉田はるみ https://yoshidaharumi.com/greeting

悪事を働いた自民党がまた何事も無かったかのように次回も政権を担当するのでしょうが、そうするとますます図に乗って世の中が悪い方向に回っていくことになりそうです。

 

| | | コメント (0)

2024年9月 4日 (水)

Walk down the memory lane 10: ミヒャエル・ザンデルリンク ドレスデンフィル

Img_20240904130601

新宿文化センタ-はパイプオルガンも備えた第1級のコンサートホールですが、その割にはアマオケである新宿交響楽団が拠点としているだけで、プロオケの演奏会はたまにしかないという不思議なホールです。現在は改修のため長期閉館中です。

そのたまにしかない演奏会をドレスデンフィルがやり、かつその料金が格安のめったにないチャンスということで(新宿区からかなり補助金が出ていたのでしょう)、大変久しぶりに新宿文化センターを訪れた記憶があります。いつもの習慣で軽食を取るために近所の喫茶店に入ったのですが、私の席のとなりに座った2人がすごかったので、これは忘れられない思い出となりました。

その二人をAとBとすると、BがAから2000万円ほど借りて返済が滞っており、AがBを叱責するというシーンが延々と繰り広げられ、それが全部聞こえてくる、そして喫茶店は満席で移動不可というシチュエーションです。Aは借金返さないのにBが女と遊んでいるところを目撃したということで激怒しており、お前を絶対に潰してやるという話を死ぬほどリピートするのです。Bもなかなかしぶとくて、のらりくらり交わしながらどうも返す気がないようです。重苦しい殺気があたりにただよっていました。同行者と完全沈黙のまま、なんとか食べ終わったので私たちは席を立ち、事件にならなければ良いがと思いながら、かなりデプレスした状態でホールに向かいました。

Img_20240904130602

ミヒャエル・ザンデルリンクの実力は都響への客演で知っていたのですが、ドレスデンフィルとの演奏は、手勢ということもあり素晴らしいものでした。デプレスしていた精神状態も一気に回復しました。強奏時でもオケの音に深みと柔らかさがあり、それをミヒャエルが最大の緊張感を持って指揮するのですから、私にとっては初めて経験するドイツ音楽の神髄感がありました。

--------------------------

2019 ドレスデンフィル来日公演の記録

富士通コンサートシリーズ
ミヒャエル・ザンデルリンク指揮 ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
広告宣伝 - 富士通
https://www.fujitsu.com/jp/about/resources/advertising/event/dresdenphil/

6月30日(日曜日) 13時30分   大阪 ザ・シンフォニーホール
7月1日(月曜日) 19時 福岡 アクロス福岡シンフォニホール
7月3日(水曜日) 19時 東京 サントリーホール

新宿文化センター主催公演
2019年6月28日(金)19:00開演
出演:指揮 /ミヒャエル・ザンデルリンク、管弦楽/ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
全席指定 S席10,000円 A席7,000円

--------------------------

ミヒャエル・ザンデルリンクとドレスデンフィルのPR動画
https://www.youtube.com/watch?v=TKsc5fG_3qY

ショスタコーヴィチ交響曲第7番
https://www.youtube.com/watch?v=r-1x8SoDopw

ミヒャエルとドレスデンフィルは1枚のCDにベートーヴェンとショスタコーヴィチの交響曲を同居させるという珍奇なアイデアをほんとに実行するという企画を進めています。

Img_20240904131001

でもオーケストラは生で聴かないと、その本当の良さはわかりません。

 

 

| | | コメント (0)

2024年9月 1日 (日)

World music collection 18: Nakajima Miyuki (covers)

Imgmiyuki

Nakajima Miyuki, a legend of japanese music scene in 20th and 21th centuries, is a medicine for your heart, but at the same time is a poison to your mental sensors. Sometines, my mental sensors are able to endure only for several munites for her songs. I think, it is not due to her melody or lyrics, but is rather due to her way of performance.

So the covers of her songs have special significance for me. I carefully chose the covers diluting the poison of the originals, while they still preserve it to some extent.

中島みゆきの音楽はリスナーに慰めを与え、また毒を注入します。その毒は強烈で、私のメンタルセンサーは1曲に耐えるのがやっとです。それは音楽そのものではなく、彼女のパフォーマンスによるものです。つまりカバーはいくらでもOKです。ここでは毒が薄まってはいるが、きちんと保持しているカバーを慎重に選びました。

lyrics:

中文
https://note.com/kanshikanbun/n/n00725f05ae3d

English and other european langages
https://lyricstranslate.com/ja/miyuki-nakajima-lyrics.html

---------------------

ホームにて ぷりん
https://www.youtube.com/watch?v=gSo4CfOItA4

かなり若い頃のぷりんさん。もっと前にはハードロックをやっていたらしい。
年末になると聴きたくなる曲ですが、いまや夜行列車なんてほぼないので、そのうち誰もこの情緒を感じられなくなってしまうでしょうか。

---------------------

夢だもの まきちゃんぐ
https://www.youtube.com/watch?v=hgpeMBRxbdU

ちゃんぐさんは中島みゆきと同じ事務所にいて、後継者と見なされていたこともありましたが、彼女は彼女の音楽をやっています。

---------------------

ミルク32 満島ひかり
https://www.youtube.com/watch?v=95thSZDHAvo

ミルクは札幌北18条にある喫茶店で、中島みゆきが無名時代によく通っていたそうです。
https://mainichi.jp/articles/20220129/k00/00m/040/239000c

---------------------

愛から遠く離れて 伽藍琳(りん・がらん)
https://www.youtube.com/watch?v=OwmEBrrF-6U

伽藍琳さんは本職は舞台のプロデューサーだそうですが、自然にはいってくる歌もなかなかのもの。

---------------------

エレーン 
Naru & ぷりん
https://www.youtube.com/watch?v=ODnvm4znMNk

病気や怪我を乗り越えて。 最近の Naru & ぷりん

まろりさんの解説によれば、エレーンのモデル「ヘレン」は、中島みゆきと同じマンションに住んでいた外国人を相手にする娼婦で、いつも安物のドレスを身に着けていました。そのヘレンが客とのトラブルと見られる事件で殺され、マンションのゴミ捨て場に死体が遺棄されるという事件が発生しました。外国人娼婦の殺人事件に警察も捜査に本腰を入れようとしなかったのか、そのまま事件は迷宮入り。というようなことがあったようです。
こちら

The model of this song "Helen" was a street girl lived in the same apartment with Miyuki. One day she was killed by a "customer" and found in the garbage box. She left only some worn-out dresses, no one want to ware.

歌詞:こちら

---------------------

歌姫 シンガー不明
https://www.youtube.com/watch?v=gEke-OfsjJE

集団就職のことなのかと、この映像を見てはじめて気がつきました。シンガーの顔も名前もわかりませんがリアルな歌。

---------------------

ひとり上手 YO-EN
https://www.youtube.com/watch?v=MDiKhvilnt0

体調不良から回復して活動を再開したそうです。ご健康を祈ります。

---------------------

地上の星 魚高ミチル
https://www.youtube.com/watch?v=NyrBtEcY5UE

最近BeBeから改名したそうです。

---------------------

世情 Ai Ninomiya
https://www.youtube.com/watch?v=b7d6QtCTZZ4

真摯な歌唱。彼女は英語のキャプションもつけています。

What’s right and what’s wrong.
I guess we’re programmed to be in a confrontation no matter what year it is.

A huge confrontation in between those who want changes to this world, and the ones who want to stop the time to live a life in a way they used to.
It’s everywhere.

Thank you so much for checking my channel!
I hope you enjoyed my videos!!!

---------------------

誕生 ドリアン・ロロブリジーダ
https://www.youtube.com/watch?v=EmzmNjUQGBI

ドリアンさん、素顔は二枚目。

---------------------

糸 冨田麗香
https://www.youtube.com/watch?v=FN_jXIXOlVw

地べたに座って歌うというのが、なんともいえない雰囲気を醸成します。

---------------------

ヘッドライト・テールライト 宮苑晶子
https://www.youtube.com/watch?v=oqVQYxAhE5c

シンガーになる前はシステムエンジニアだったそうです。

=================

有名人によるカバー

雪 坂本冬美
https://www.youtube.com/watch?v=Bs6Hb-G8QpA

銀の龍の背に乗って 槇原敬之
https://www.youtube.com/watch?v=d5eiDfHjfCc

空と君のあいだに 森恵
https://www.youtube.com/watch?v=eVAZuqMyyGo

時代 夏川りみ
https://www.youtube.com/watch?v=Z6gOpDP7KYA

ファイト! 竹原ピストル
https://www.youtube.com/watch?v=2lzP8f3kDns

しかし竹原ピストルがNHKの紅白歌合戦に出場するとは、誰が想像しただろうか!

悪女 中森明菜
https://www.youtube.com/watch?v=J0NgOMSvf9s
https://www.youtube.com/watch?v=xsqQWTqGwaM

=================

最後にすごいのを。中島みゆき公認のオープン映像のようです。
毒殺されないように!

This is the performance of Nakajima Miyuki by herself.
I felt Edith Piaf.

愛だけを残せ 中島みゆき
https://www.youtube.com/watch?v=gUDikbjabaw

---------------------

ではおやすみなさい  Good night everyone🌙

夜曲(Nocturne) Soko
https://www.youtube.com/watch?v=X9_OikoLMSU

 

| | | コメント (0)

2024年8月29日 (木)

続・生物学茶話244:記憶の科学のはじまり

243では記憶の源流は馴化にあり、それはニューロンにおける代謝の変化やそれに関連しておこるシナプスの電子顕微鏡的な微妙な変化がおこることを述べましたが(1)、馴化は練習することでだんだん上手にできるようになり、数分~数時間の短期的なものでなく、数日~数週間も持続する長期の記憶を獲得することもできるようになります(2)。

生化学的な反応は流動的であり、基質・酵素の量や制御因子などの反応条件が変化すれば直ちに変化するので、安定した記憶を維持するためには何か別のシステムによらなければなりません。数日~数週間も持続する変化を維持できるシステムとは何か? それに最初に答えを出したのはベイリーとチェンです。

彼らの業績を紹介する前に、「バリコシティー」という言葉の説明が必要です。専門家以外にはあまり使われませんが日本語訳は「神経膨隆部」で、神経細胞のシナプス前細胞で形成されるシナプス小胞が集積したこぶ状のふくらみのことです。一般的にはシナプスをつくらなくてもそう呼びますが(3)、ベイリーとチェンの論文にあるのは presynaptic varicosity で、シナプス前細胞の終末にあるふくらみです。

彼らは馴化の長期記憶の実験では、30秒ごとに10秒アメフラシの水管に触れるという操作を10回行い、これを1セッションとして1日10回のセッションを10日間おこないました。これによって馴化について長期間の記憶を獲得させることができます。また鋭敏化の実験では別のグループに100mA-2秒の電気ショックを1.5時間ごとに4回与えるというセッションを4日間続けました。これによって鋭敏化の長期記憶を獲得させました。そうしてコントロール群と長期記憶獲得群それぞれの感覚ニューロンのバリコシティーを数えると、図244-1の様な結果となりました(4)。

2441a_20240829111001

図244-1 馴化時・鋭敏化時における感覚神経のバリコシティーの数

馴化群と対照群の差が小さいと思われるかもしれませんが、図244-2のように馴化群の場合、それぞれのバリコシティーにおけるシナプス近傍小胞体の数が馴化群では減少している(アクティブゾーンに接する小胞体が少ない)ことを考慮に入れる必要があります。それぞれのシナプスが質的に変化しています。

ベイリーとチェンの研究によって、それまで謎に包まれていた記憶のメカニズムが、圧倒的にシンプルな形で生物学というまな板の上にのせられました。そういう意味では、彼らはカンデルと共にノーベル賞を受賞すべきだったかもしれません。小胞体がどのようなメカニズムで細胞膜とつながるかについては近々にここでも取り上げる予定です。

2442a

図244-2 バリコシティーの量的・質的変化

ペルオキシダーゼ(HRP)と適切な基質を用いると感覚神経を標識し、光学顕微鏡や電子顕微鏡写真で感覚神経末端を検出することができます。図244-3によると電子顕微鏡でみた感覚神経の軸索末端(バリコシティー)で、介在神経の樹状突起とシナプスを形成し、電子密度の高いアクティブゾーンがみられます。この介在神経には、非常に狭い領域に4つのシナプスが集中しています。

2443a

図244-3 標識した感覚神経と介在神経のシナプスの電子顕微鏡写真

彼らはさらに鋭敏化の長期記憶においては、シナプスのアクティブゾーンの増大などの質的変化よりも、シナプスの数が増えたことが決定的に重要であることを示しました(5)。図244-4は長期鋭敏化を獲得した際の感覚ニューロンの変化を示しています。

感覚ニューロンの軸索は非常に多くの枝分かれ構造を新たに形成し、シナプスの数が増加していることがわかりました(図244-4)。このような変化はタンパク質の新たな合成による細胞構造の変化を前提としているので、数時間程度では不可能で、長期の学習による継続的な構造形成が必要になります。その代わり簡単には失なわれない長期の記憶を獲得することができます。

2444a

図244-4 長期鋭敏化という学習を行った感覚ニューロンの変化

キムらはシナプスは形成されていたけれども有効に使われていなかったものが、長期記憶の際に有効なものに変化していく、すなわち小胞体が形成されアクティブゾーンから神経伝達物質を放出するようになることを報告しました(6)。このプロセスはmRNAがあれば数時間で行われますが、なければ十数時間かかります(6)。いったん構造が形成されていれば長期のトレーニングは不必要で、それより短い時間で動作を思い出すことができるということでしょう。

その後の研究によって、ベイリーとチェンがアメフラシで発見した記憶のメカニズムは、私たち哺乳類の海馬の記憶メカニズムと原理的に同じであることが明らかになってきました(7)。

参照

1)続・生物学茶話243:記憶の源流をたどる
http://morph.way-nifty.com/grey/2024/08/post-49f9de.html

2)「記憶のしくみ 上」 ラリー・R・スクワイア エリック・R・カンデル 講談社ブルーバックス (2009) p.122

3)東京医科歯科大学 教育用資料 シナプス伝達の修飾
https://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/pdf2/neuromod.pdf

4)Craig H. Bailey and Mary Chen, Long-term memory in Aplysia modulates the total number of varicosities of single identified sensory neurons., Proc. Nati. Acad. Sci. USA, Vol. 85, pp. 2373-2377, (1988)
DOI: 10.1073/pnas.85.7.2373
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3353385/

5)Craig H. Bailey and Mary Chen, Time course of structural changes at identified sensory neuron synapses during long-term sensitization in Aplysia. The Journal of Neuroscience, vol.9, no.5, pp.1774-1780 (1989)
DOI: 10.1523/JNEUROSCI.09-05-01774.1989
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2723749/

6)Joung-Hun Kim, Hiroshi Udo, Hsiu-Ling Li, Trisha Y Youn, Mary Chen, Eric R Kandel, Craig H Bailey, Presynaptic Activation of Silent Synapses and Growth of New Synapses Contribute to Intermediate and Long-Term Facilitation in Aplysia., Neuron, vol.40, pp.151-165 (2003)
https://doi.org/10.1016/S0896-6273(03)00595-6
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0896627303005956

7)Craig H. Bailey, Eric R. Kandel, and Kristen M. Harris, Structural components of synaptic plasticity and memory consolidation.,
Cold Spring Harb Perspect Biol., vol.7(7):a021758. (2015)
doi: 10.1101/cshperspect.a021758.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26134321/

 

| | | コメント (0)

2024年8月27日 (火)

川内原発1号機本日起動 ふぇ~~~

Sendai_04780025_8388173285_cropped

NHK: 川内原発1号機 原子炉起動 原則の40年超えた運転 全国4基目
7月、運転開始から40年を超えた鹿児島県の川内原子力発電所1号機は、定期検査に伴い運転を停止していましたが、27日午後、原子炉を起動し運転を再開しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240827/k10014561381000.html

台風10号が明日にも九州南部を直撃しようとしている今日、なんと本来なら40年が期限であるはずの原発が特例延長で起動しました。それは鹿児島県のまさしく暴風圏に入りそうな川内原発です。

写真で見るとおり海沿いにあるこの原発で事故が起こると、どうなるのでしょう? なにしろ雨量がトータル1000mmを超えるところもあるという気象庁の予想も出ているわけですから、良識のある人なら台風が過ぎ去るまで数日起動を遅らせることになるとおもいますが、電力会社にはそういう発想は全くないようです。自分たちは無謬の神だとでも思っているのでしょうか? 道路が冠水したら誰も助けに来れませんよ・・・。(追記 29日現在 川内市で大規模停電が起きているようです)

https://www.youtube.com/watch?v=MbpNTO3hEGE

鹿児島県 台風時の原発事故は「想定外」 大規模停電で無責任体制露呈

http://hunter-investigate.jp/news/2015/08/post-749.html

ミーナどうしよう?
ミーナ「思案投げ首...」

Img_3256a

 

| | | コメント (0)

2024年8月24日 (土)

World music collection 17: Mad About Lemon

Heidi

https://www.youtube.com/watch?v=x6BtZOodyVE

これは Hot Club Du Nax (Vocal: Isobel Cope) のミュージックビデオですが、ここでのターゲットは後ろのコーラスです。コーラスの向かって一番左の人が Heidi Erler さんですが、この人は唇でトランペットとサックスとトロンボーンの間くらいの音が出せるのです。2分くらいからです。

A woman of back chorus made a sound like that between trumpet, sax and trombone by her lips only. It is amazing. (from about 2 min)

打楽器とかトランペットの音を出すパフォーマンスはよくありますが、こんな音を出せる人を見るのは(聴くのは)はじめてです。驚異的な美しい音です。

------------------------

3人はユニットです。

中世の教会音楽をポップスにしようとしているのでしょうか?

Light love lemon
https://www.youtube.com/watch?v=h8HBYa7UCN0

グループ名は 「Mad About Lemon 」
日本のアーティストでは青葉市子の音楽に近いかな 文明批判もあります

Modern People
https://www.youtube.com/watch?v=FKvtBSLP2P8

Thought You Think I Knew
https://www.youtube.com/watch?v=zW_R8uJmEFs

Paintings on the Wall
https://www.youtube.com/watch?v=88ybgTt5CbM

 



| | | コメント (0)

2024年8月21日 (水)

わが家を終焉の地に選ぶ者 セスジスズメ

Img_0905

毎年この季節になると、わが家を終焉の地とする者が数多く訪れます。

これはスズメ蛾の一種セスジスズメ(Theretra oldenlandiae)ですが、もう2日間じっと動かずに壁にとまっているので、やはりその種の訪問者なのでしょう。足が一本とれています。苦難の人生だったのでしょうか?

彼にとってはここが静かで心安まる場所だったのかもしれません。スマートなデザインの美しい蛾です。写真くらい残してあげましょう。

彼らは静かな場所をさがしてじっとそこにとどまり、力尽きると落ちて死ぬわけですが、人間が死ぬのは大変です。

火葬は法律で決まっていますし、その順番待ちが大変ですし、葬式の準備も大変です。だれでも死ぬわけでもありますから、私は火葬は公費で行うべきだと思いますし、法律で決められていることが2週間も遅滞するというのは行政の怠慢だと思います。

Marianne Faithfull  "This little bird"

https://www.youtube.com/watch?v=INAaRVVfkts

https://www.youtube.com/watch?v=sInFKoezcyw

Lyrics

https://genius.com/Marianne-faithfull-this-little-bird-lyrics

 

 

 

 

| | | コメント (0)

2024年8月19日 (月)

続・生物学茶話243:記憶の源流をたどる

生物の歴史をどこまで遡れば記憶の起源にたどり着くのでしょうか? ルネ・デカルトは「我思う故に我あり (Cogito ergo sum)」という名言を残しましたが、スクワイアとカンデルはこれは誤りであり「我々は、たんに考えるから、我々なのではなく、考えてきたことを思い出すことができるからこそ、我々なのである」と主張します(1、図243-1)。

私も記憶しそれを思い出すことはコギト(自意識)そのものであると思います。最も始原的な記憶とは何かというと、それは馴化(じゅんか)です。感覚器→感覚神経→運動神経→筋肉という4つのパーツを獲得し、方向性を持った情報伝達が可能になったとき、生物はおそらくほぼ同時に馴化という始原的な記憶を獲得しました。

カンデル、ベイリー、チェンらは貝殻をもたない軟体動物であるアメフラシを実験動物に使って、馴化やその逆の鋭敏化という問題に取り組みました。哺乳類の脳には1000億~1兆個レベルのニューロンがありますが、アメフラシは約2万個のニューロンしかなく、しかもそのニューロンの細胞体のサイズは直径200-1000μmという哺乳類に比べると一桁巨大なので、実験をおこなうには圧倒的に有利です。たとえば電極を刺したり、マイクロシリンジで薬物を細胞に投与したりする操作が容易にできます。

2431a

図243-1 スクワイアとカンデルの著書 講談社ブルーバックス(2013)

馴化や鋭敏化を含めて、記憶は神経伝達がシナプスというニューロンとニューロンを連結するメカニズムを介して行われるということが現在では明らかになっています。シナプスを介した情報伝達には方向性があり、1)シナプス前細胞に存在するシナプス小胞がシナプスを形成する細胞膜と融合合体し、2)シナプス小胞に含まれる神経伝達物質をシナプス間隙に放出し、3)その神経伝達物質をシナプス後細胞表層の受容体が受け取って細胞内に情報を伝えるという方式によって行われます。このメカニズムはアメフラシでも哺乳類でも同じです。フランスの解剖学者ルネ・クートー (René Couteaux) はこのようなメカニズムを発見しましたが(2、3、図243-2)、例えば脳科学辞典のシナプス小胞の項目に名前がでていないように、彼の業績は軽視されがちのようです。

2432a

図243-2 ルネ・クートーの肖像と電子顕微鏡写真  (A)(B)Arrow: シナプス特有の電子密度の高い構造 Arrow head: 中味をシナプスに放出しているシナプス小胞 (D) シナプス小胞は小胞体から補給される

同じ刺激が連続的に発生したとき、もし情報伝達の径路に生化学的なプロセスが噛んでいるとすれば、時間が経てば反応物質が枯渇してプロセスの続行に支障をきたすことは明らかです。ですからシナプスが実現したと思われるエディアカラ紀からこの意味での馴化という現象は存在したと思われます。しかしたとえば波が打ち寄せるというような現象に対して常にこのようなことが起こっているとすると、反応物質は常に枯渇しているということになります。そうなると突発的な刺激に対して反応できないどころか、神経系を持つ意味が失われます。ですからそこには進化の圧力が働いて、反応物質が枯渇する前に積極的に反応を停止するメカニズムが生まれたことは想像できます。

おそらく積極的と思われる馴化機構について最初に示唆を与えたのはクレイグ・ベイリーとマリー・チェンです(4、5)。彼らはアメフラシを用いて、短期馴化のプロセスにおいてシナプスそのものに大きな形態的変化はあらわれないが、シナプス前細胞の小胞放出部位に結合しているシナプス小胞の数が減少することをみつけました(図243-3、まるでシナプス小胞がシナプスを避けているように見えます)。このようなメカニズムなら神経伝達物質の枯渇は防げます。

またこのニューロンの中のカリウムチャネルが活性化し→ニューロンの脱分極持続時間の短縮→カルシウムチャネルを通って流入するカルシウム量の減少→神経伝達物質放出量の減少、という現象が起こるということがわかっています(6)。これは「波が打ち寄せるというような無害な繰り返しに対しては反応しなくて良い」という始原的な記憶機構と言えると思います。この記憶は強い刺激が来れば初期化されてしまいます。

2433a

図243-3 馴化とシナプス ベイリーとチェンの電子顕微鏡写真

波など弱く無害な刺激の場合は馴化するのが妥当ですが、嵐がきたりして激しい刺激があるとそういうわけにもいかないでしょうし、特にカンブリア紀にはいると他の生物に食いつかれたりする危険が発生して、これに対応するためには神経系をアラート状態にする、すなわち鋭敏化が必要になります。

鋭敏化を実現するためには、鰓を閉じる筋肉が敵の攻撃を察知する全身の感覚神経と接続している必要があります。そのためには感覚神経と運動神経の直接接続だけでは感覚神経のシナプスが多すぎてバランス的に無理で、別個に介在神経(介在ニューロン)が必要となります。ここで様々な場所での負傷状況を認識して筋肉に伝えるという新機軸ができました(図243-4、Bは尾が強い刺激を受けた場合 この図は参照文献(8)にあるものの再掲です)。これによって負傷すると致命的な鰓を閉じ、さらに強力な刺激に対しては、煙幕を張って逃走するという行動を行います。

図243-4には描いてありませんが、介在ニューロンは主としてセロトニンという神経伝達物質をシナプスに放出し、感覚神経はこれを受けてcAMPを産生し、cAMPで活性化されるタンパク質リン酸化酵素(Aキナーゼ)の作用でカリウムチャネルをリン酸化し、これを不活化することによって脱分極時間を延長します。脱分極時間が延長されるとカルシウムチャネルが開いたままとなりカルシウムが大量に流入してシナプスの活動が活性化されます。一種の正のフィードバックです。もう忘れているかもしれませんが、これは高校生物で学習します(7)。

2434a

図243-4 アメフラシの馴化(A)と鋭敏化(B)に関係した神経ネットワーク 詳細は参照(8)をご覧下さい

私見では鋭敏化のメカニズムは、おそらくカンブリア紀になってからできたものだと思います。エディアカラ紀にもそれがあった方が良いという刺激は存在したのでしょうが、それは日常的におこることではなく、進化圧力となるほどではなかったと思います。カンブリア紀になると敵に襲われることが日常的におこるようになったので、戦うとか防備するとか逃走するとかの前段階として神経系が鋭敏化を準備することには強い進化圧力があったに違いありません。

馴化はコギト(自意識)と直結するものではないと思いますが、鋭敏化はコギトに直接進化していったと思います。敵を認識すると言うことは、自分を認識するということと同じではないでしょうか。そう考えるとアメフラシがコギトを持っていても不思議ではありません。

シナプス周辺の変化はある程度安定しており、これが記憶の源泉となります。その安定性によって短期記憶から長期記憶までのバラエティをつくることもできます。コギトの問題は別としても、馴化と鋭敏化が記憶の源流であることには間違いなさそうです。そして馴化も鋭敏化も、これまで述べてきたようにシナプスの活動を変化させることによって実現します(9)。

ここで述べてきた非陳述型短期記憶についてまとめると

1.記憶はシナプス強度の変化とその持続によって行われる
2.シナプス強度の変化はシナプス前細胞から放出される神経伝達物質の量に依存する
3.シナプス強度の変化は感覚神経と運動神経だけでなく、介在神経細胞でもおこる
4.非陳述記憶は記憶を専業とするニューロンによって行われるのではなく、関連する神経経路全体に内蔵される

陳述記憶とはその内容を絵・言葉・文字などで想起することができる事実に関する記憶であり、そうではないアメフラシのエラ閉じなどは非陳述記憶ということになります。短期とは通常数分~数十分のことです。

 

参照

1)「記憶のしくみ」 ラリー・R・スクワイア エリック・R・カンデル 講談社ブルーバックス (2009) まえがき

2)Constantino Sotelo, The History of the Synapse., Anat. Rec., vol.303 pp.1252–1279 (2020) doi: 10.1002/ar.24392
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32323495/

3)Shigeru Tsuji, René Couteaux (1909–1999) and the morphological identification of synapses., Biology of the Cell vol.98, Issue 8, pp.503-509 (2012)
https://doi.org/10.1042/BC20050036
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1042/BC20050036

4)Craig H. Bailey, Mary Chen, Structural plasticity at identified synapses during long-term memory in Aplysia., Journal of Neurobiology vol.20, pp.356-372 (1989)
https://doi.org/10.1002/neu.480200508
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/neu.480200508

5)Craig H. Bailey, Mary Chen, Morphological basis of short-term habituation in Aplysia., The Journal of Neuroscience: vol.8, issue 7, pp.2452-2459 (1988)
https://www.jneurosci.org/content/8/7/2452.short

6)伊藤悦朗 学習:とくにアメフラシの場合
https://cns.neuroinf.jp/jscpb/wiki/%E5%AD%A6%E7%BF%92%EF%BC%9A%E3%81%A8%E3%81%8F%E3%81%AB%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%81%AE%E5%A0%B4%E5%90%88

7)動物の生きる仕組み事典 学習:とくにアメフラシの場合
https://cns.neuroinf.jp/jscpb/wiki/%E5%AD%A6%E7%BF%92%EF%BC%9A%E3%81%A8%E3%81%8F%E3%81%AB%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%81%AE%E5%A0%B4%E5%90%88

8)続・生物学茶話142: アメフラシとセロトニン
http://morph.way-nifty.com/grey/2021/05/post-625abf.html

9)JT生命誌研究館 進化研究を覗く 神経記憶III
https://www.brh.co.jp/salon/shinka/2016/post_000024.php

 

 

| | | コメント (0)

2024年8月17日 (土)

残暑お見舞い申し上げます

Img_0885a

読者の皆様 残暑お見舞い申し上げます

残暑という言葉が似つかわしくない昨今で、ちょっと買い物に行くのも生命の危険を感じるくらい暑い毎日です。却って台風が一休みで良かった感じです。団地の植物もたっぷり水にありつきました。

ベランダのハイビスカスが美しい花を咲かせました。セミもカナブンもスズメも元気です。
そうそう、今日はみーちゃんのお誕生日でした。おめでとうございます。

皆様も健康第一でお過ごし下さいませ。

222

行けなかったラドンナ原宿

 

Img_0599a

バテ

| | | コメント (0)

2024年8月16日 (金)

米価格上昇 copy and paste 💢💢💢

Aaa_20240816220501



| | | コメント (0)

2024年8月14日 (水)

福島第一原発2号機 放射性物質含む水 約25トンが流出

Fukushima_1_01

海から見た福島第一原子力発電所(ウィキメディアコモンズ)

福島第一原子力発電所からの汚染水放出がそれほど大きな環境負荷を与えないだろうということは納得しますが、それは万事予定通りで何事もなかった場合の話で、何か重大な手違いがあった場合には、今まで永年の例から見ておそらく東電は隠蔽するあるいは嘘をつくだろうと予想します。

今回の事故は致命的ではないと考えて公表したのだと思いますが(それでも発見が8月9日で発表は8月13日)、どうもある程度の報道管制はかかっているようです。発表を信用するとして、核燃料に直接接触していた水が無処理で25トンも流れ出したのですから驚きです。だいたい25トンも流出するまで気がつかなかったというのもあきれます。それがどこに行ったかも推測しているだけです。

3.11は2011年です。ずいぶん時間が経ちましたが、あれから壊れた原子炉にあった核燃料デブリは全く取り出されておらず、そのままです。

NHK:福島第一原発2号機 放射性物質含む水 約25トン 建屋に漏れ出る

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240813/k10014548391000.html

 

| | | コメント (0)

2024年8月12日 (月)

蝉(セミ)

Photo_20240812122501

私は昆虫のことはよくわからないので、半翅目がカメムシ目になったことも知りませんでしたが、そうするとセミもカメムシ目になるわけです、これはセミがかわいそうかも? 最近団地の壁に抜け殻がくっついているのを発見しました。ここで脱皮したに違いありません。

今年はまあセミはそこそこ多い年のようですが、アブラゼミについて言えば、ちょっと暑すぎて昼間は休む時間が多いようであまり鳴いていません。たくさん居ることは目視で確認できます。ときどきジッジという地味な鳴き声で鳴きながら数メートル移動します。鳥のように地鳴きとさえずりがあるみたいです。夜は鳴く日と鳴かない日があって、鳴く日はずっと何時間も鳴いています。鳴くか鳴かないかが何によって決まっているのかよくわかりません。

セミはどうも恐竜の全盛期だったジュラ紀にはすでに地球上に存在していたようで、素晴らしい化石がウェブサイトに出ています。
https://www.kaseki7.com/items_fossil/ot/1190.html

私の趣味で選んだ セミに因んだ音楽

夏蝉 / 熊木杏里
https://www.youtube.com/watch?v=INu-PqINm6U
https://www.youtube.com/watch?v=x3FV-qimxdM
https://www.youtube.com/watch?v=vnbnTV6wO54

まきちゃんぐ / 八日目の蝉
https://www.youtube.com/watch?v=xxypJr2b5gk
https://www.youtube.com/watch?v=ypwkh7kWJrI

covered by かめいゆみ
https://www.youtube.com/watch?v=cOss9-D9W-I

 

| | | コメント (0)

2024年8月10日 (土)

ハーディング-都響 マーラー交響曲第1番@サントリーホール 2024/08/10

Imgharding

多分今シーズンベストの都響演奏を聴けるのではないかという期待に胸を膨らませて、猛暑の中サントリーホールにでかけました。今日のメインはマエストロ・ダニエル・ハーディングが指揮するマーラーの交響曲第1番です。コンマスは水谷さん、サイドは山本さんです。

最初の曲目はベルクの「7つの初期の歌」で、歌詞は予習していったのですが、あまりにもロマンティックあるいはエロティックな歌詞でびっくりしました。ニカ・ゴリッチさん(S)はどちらかといえば清潔感が感じられるシンガーでちょっと違うかなと思いました。この人、モーツァルトやプッチーニのオペラはどうなんだろうと想像をかきたてられます。

後半のマーラー交響曲第1番は、まさにマーラーはこうじゃなくっちゃというはまりにはまった演奏で予想に違わぬ名演でした。緊張感溢れるオーケストラ、崩壊しそうな美しさと変態的躍動感のあるアーティキュレーション、退廃的な匂いがする繊細な弦のアンサンブル、それを主導する管楽器群、ホルンもいつになく素晴らしい。是非都響とマーラーチクルスをやって欲しいと思いました。

SNSをみると昨日は演奏の途中で地震が来て大変だったようですが、今日はそのようなこともなく無事終了しました。彼は3.11の日に日本でマーラーを演奏しており、聴衆と共にホールで宿泊を余儀なくされたという地震に縁のある人です。

拙稿:3月11日のマーラー
http://morph.way-nifty.com/grey/2012/03/post-55fe.html

終演後のショットを1枚(ヴィオラ以外! 全員こっち向いてるという不思議)

Imgharding2

 

| | | コメント (0)

2024年8月 9日 (金)

私の好きな写真 ラモン・イ・カハール

800pxramn_y_cajal_ca_18841887_autorretra

この写真は Santiago Ramon y Cajal がノーベル賞を受賞した翌年1907年に撮影されたそうですが、public domain となっています。一寸疲れたけれど、真実に突き進もうとする不屈の意志が感じられます。

1906年のノーベル賞は、神経は網状に全体がつながっているというゴルジ(網状説)と、いや神経はニューロンという多数の細胞が短い間隙=シナプスで分断されているというカハール(ニューロン説)の両者が受賞するという、長いノーベル賞の歴史の中でもまれなケースでした。

その後の電子顕微鏡による研究で、カハールが正しかったことが証明されました。カハールはそれだけではなく、ニューロンには運動ニューロン、感覚ニューロン、介在ニューロンの3種類があることまで提唱しました。このことは信号の伝達に細胞内で方向性があることも意味します。これらの予言はすべて後に正しいことが証明されました。

また彼が描いた顕微鏡写真のスケッチは現代の教科書にも掲載されるほど正確で美しいものです。

Cajal__a_purkinje_neuron_from_the_human_

これは彼が描いた小脳のプルキンエ細胞のスケッチです(パブリックドメイン)。なぜひとつの細胞が、こんなに複雑な樹状突起を形成すべきなのか、それは現在でも謎です。

 

 

| | | コメント (0)

2024年8月 8日 (木)

梅田 テアトロジーリオ・ショウワ・オーケストラ @フェスタサマーミューザ2024

Umeda

ミューザ川崎シンフォニーホールは素晴らしいホールで、こんなホールができることを知っていたら、川崎に住んでいたと思います。しかし現実は厳しい。もう川崎まで行くのはとてもつらいという年になってしまいました。小池都知事が始球式で骨折したというニュースがはいってきましたが、齢を重ねると言うことは、自分で考えるより重くのしかかってくるのです。

ですから今年はもうサマーミューザを卒業しようと思っていたのですが、どうしても行きたい演奏会がひとつだけあって、卒業を延長することにしました。それはテアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラとマエストロ梅田のコンビで演奏するブルックナー交響曲第7番ホ長調です。

マエストロ梅田のブルックナーを一度聴いてみたかったのと、Z世代のブルックナー演奏を一度聴いてみたかったというダブルの誘惑は断ち切れません。最近生演奏やCDで聴いたブルックナーがどうもしっくりこないというのもありました。

卒延は大正解。聴衆は1/3くらいしかホールを埋められませんでしたが、その真摯でとてもアマオケとは思えないようなレベルの高い演奏に圧倒されました。特に第2楽章はワグネルチューバの深い音色と寸分違わぬアンサンブル、ホルンとのコラール、弦の緻密で繊細な調べ、トランペットソロの輝き、豪快なトロンボーン、特筆すべき終盤のやわらかなフルート、そしてマエストロ梅田の指揮と相まってみんな絶好調でした。おそらく丁寧で気合いのこもったリハーサルの賜でしょう。私をまたブルックナーの音楽に引き戻してくれたことに感謝したいと思います。

Muza

外に出ると稲妻が走る空でしたが、ミューザは温かいまなざしで私を見送ってくれました。

 

| | | コメント (0)

2024年8月 6日 (火)

原爆の日 2024

Atomic_cloud_over_hiroshima_from_matsuya

私の父はまだ士官学校を出たばかりの将校で、呉から中国に向かうために広島から移動していました。しかし突然連絡が入り、小隊を率いて広島に戻れという指示があり、急遽広島に戻ることになりました。仕事は広島に落とされた原爆の後始末、具体的には死体の処理でした。もちろん被爆し、小隊のメンバーは若い人ばかりでしたが、戦後全員早死にして父だけ生き残りました。おそらく指揮官だったので、自分で作業しなかったためと思われます。

父は被爆したにもかかわらず、被爆者手帳は持っていませんでした。軍人だったからだと思います。それで終戦後結婚して私が生まれました。

父が所属していた部隊は船で中国に向かいましたが、米国の潜水艦により撃沈され全滅しました。ですからもし原爆が投下されなかったら父も亡くなっていたはずで、私が生まれることはなかったのです。その父も40台で病死しました。私は部下の早死になどを考えると、父の死にも被爆の影響があったと思っています。

私は仏教徒ではありませんが、原爆の日には父も含めて原爆犠牲者のために般若心経を朗読することにしています。

(画像はウィキメディアコモンズ 手前は瀬戸内海)

 

 

| | | コメント (0)

2024年8月 4日 (日)

パリオリンピック:なでしこジャパン4

1024pxhere_they_come_19619476868

541のフォーメーションは、サッカーというゲームのなかでは最も守備的な作戦で、なでしこジャパンは勝つためにこのフォーメーションを選択しました。このため70%以上のボール支配を許したり、ラインの外にただ蹴り出すクリアを行ったりと、とても情けない試合運びを甘受することになりましたが、そこそここの作戦はうまくいっていたと思います。

守備的な作戦としてはバルサシステムというのもありますが、これは国内リーグの有力チームがファームから採用して選手を育てないとできないので、現状では不可能でしょう。ただ541というのは、主催者としてはこのようなチームに勝って欲しくはないという願いはあるでしょう。バルサシステムは一見守備的には見えないので許容されます。

これで思い出すのは究極のバルサシステムを完成させたペップバルサが、チャンピオンズリーグでインテルと当たったときに、ほとんどの時間ボールを保持してインテルに何もさせなかったという試合があって、これはさすがに明石家さんまなどは激怒していました。相手の攻撃時間を極限まで減らせるのがバルサシステムなので、将来円高になって選手の海外流出がとまれば、なでしこでも考えて欲しいと思います。

541で勝つには、やはりCFに特に有能な決定力のある選手が必要です。田中美南はワントップを張るにはちょっとタイプが違うような気がしましたし、好調とも言えなかったと思います。延長でのロドマンのシュートは、そこしかないというところにコントロールした絶妙なものでした。

いろいろ課題があったとは言え、観客としては谷川萌々子のロングループと北川ひかるのバナナゴラッソを見せていただいたことで大満足でした。 Visca la Nadesiko, visca Japan

谷川萌々子

https://www.youtube.com/watch?v=oVl76KawW0Y

北川ひかる

https://www.youtube.com/watch?v=o-WAj3EpYjQ

(画像は一昔前のものです ウィキペディアより)

| | | コメント (0)

2024年8月 3日 (土)

World music collection 16: Southern raised

Southern-raised

A modern blue grass band of USA. Their songs go straight to my heart. I found the comments for them in german wikipedia, not USA. Probably because their one more background is the european classical music. They have announced that "We have morphed a progressive sound that spans Christian Country/Bluegrass, Celtic and Classical."

Southern raised というニューブルーグラスを標榜するバンド、なんと米国の wikipedia にはみつからず、ドイツ版にありました。

https://de.wikipedia.org/wiki/Southern_Raised

メンバーは Emily, Lindsay, Matt, and Alex.

Emily Reith: Vocal, Violin(Fiddle), Mandolin and Uklele
Lindsay Reith: Bass, Vocal
Matt Reith: Guitar, Vocal(low tone)
Alex Clayton, Banjo, Dobro

クレイトン以外は兄弟のようです

Facebook: https://www.facebook.com/SouthernRaisedBand/?locale=ja_JP

We’d like to introduce you to the newest addition to the band, Ms. Maggie Farnum. As many of you knew, Lindsay, our sister and bass player recently made a move and decided to step down from the band. ベースプレイヤーのリンゼイが抜けて、マギーが加わるというニュースがでていました。ただアマゾンを見ると、アレックスも別の人物に代わっているようです。

Amazon: こちら

Official site: https://www.southernraisedband.com/

オリジナル曲もありますが、巧みな編曲と演奏そしてハートフェルトな歌で心うたれる新時代のブルーグラスを聴かせてくれます。

-------------------------

Ghost Riders in the Sky  song by Johnny Cash
https://www.youtube.com/watch?v=oG85zhpgmJY

ディープな内容の歌詞です 空を走り去る牧童たちの幽霊の歌
https://www.mitomori.co.jp/hana4/dairy155.html

子供の頃に聴いた不思議な歌詞
ユピアイ オー  ユピアイ エー
がまだ心に残っています

-------------------------

Jolene song by Dolly Parton
https://www.youtube.com/watch?v=IcvGWKBns8I

歌詞と和訳: https://ameblo.jp/passionemimi/entry-12666794128.html

エミリー・リースのリードヴォーカルで 嫉妬の歌です

-------------------------

Gentle On My Mind  song by Glen Campbell (original: John Hartford)
https://www.youtube.com/watch?v=oIyVu0Ucz8U

歌詞と和訳: https://einzelzelle.jugem.jp/?eid=1806

こういうのがブルーグラスのテイストなのか

-------------------------

Fly Me To The Moon  作詞・作曲 Bart Howard
https://www.youtube.com/watch?v=CNLJLNtSn4U

歌詞と和訳:
https://jazzvocal.hatenablog.com/entry/fly-me-_to-_the-_moon  

ゆるい感じの編曲と歌が心地よい

-------------------------

Cotton Eye Joe アメリカ民謡
https://www.youtube.com/watch?v=FkWxskeTl3U

歌詞と和訳: https://aanii.net/cotton-eye-joe/

めずらしくフリつき 素晴らしい演奏

-------------------------

Orange Blossom Special 作曲 Ervin T. Rouse
https://www.youtube.com/watch?v=NhM4sIeeHYQ

解説: https://note.com/schumio/n/n0af9f830805a

クラシックの名曲をちりばめたスペシャルアレンジ

-------------------------

You raise me up  Song by Secret Garden
https://www.youtube.com/watch?v=ROKjY9-nb1I

21世紀の曲ですが、まるで民謡のようにみんなが歌っている曲
英語圏のバラードシンガーにとってマストソングみたいですが
ブルーグラスの歌手までレパートリーにしています

しおたん
https://www.youtube.com/watch?v=spjSCZgQaR0

-------------------------

You've Got a Friend Song by Carol King
https://www.youtube.com/watch?v=3rLj9HkCngE

和訳:https://ameblo.jp/junkoym81/entry-12730405742.html

かわいい犬出演で個人的に映像のポイント高し
彼らにしては珍しく原曲に比較的忠実に歌っている

-------------------------

16 tons
https://www.youtube.com/watch?v=QfgGsIFHZ7w

Love Carries On
https://www.youtube.com/watch?v=6xRww6pqhg4

Have You Ever Seen The Rain?
https://www.youtube.com/watch?v=l7uqnTShGSg

Take Me Home, Country Roads
https://www.youtube.com/watch?v=GGzj37OgQNI

Ravens Still Fly
https://www.youtube.com/watch?v=TG7BraOa-ns

Rise again
https://www.youtube.com/watch?v=rLseO7pw4KE&list=PLHb_Bb9pUV9mwbqdEX5k3I8EjvHgJR7Mf

-------------------------

ヴィヴァルディの四季「夏」
https://www.youtube.com/watch?v=uACAZq9HD-g

Beethoven's 5th Symphony
https://www.youtube.com/watch?v=PmqHYGukU2E

Beethoven's 9th Symphony
https://www.youtube.com/watch?v=8e1K6YVGZTY

終楽章ではなく第2楽章で、しかも歌付き

The Prairie Spring Waltz
https://www.youtube.com/watch?v=lVzJFQKRZww

-------------------------

 

| | | コメント (0)

2024年8月 1日 (木)

パリオリンピック:なでしこジャパン3

Photo_20240801144401

(北川ひかる選手 画像はJFAのサイトより)

スペインにもブラジルにも大苦戦したなでしこジャパンですが、ブラジルには谷川萌々子選手の奇跡のロングループで勝利し、ナイジェリア戦をむかえました。

ナイジェリアはスペインやブラジルと違ってなでしこが球を保持できるので、余裕を持ってプレーできる感じです。こういう試合展開だと長谷川選手も存分に力を発揮できます。22分にオフサイドぎりぎりのスルーパスを抜け出す植木選手に供給。植木選手は自分でシュートすることもできましたが、中央に走り込む浜野選手を確認して奥ゆかしいプレゼントパスを供給し、確実に先取点をゲット。

さらに32分こぼれ球を、ここまでかみ合ってなかったCF田中選手がひろってゴール。これで余裕を持ってプレーしてほしいものです。42分にナイジェリアにきれいなゴールを決められますが、その後がすごかった。アディショナルタイムに得たFKを、初めて出場した北川ひかる選手が、左足でまるでロナウジーニョのようなバナナゴラッソをゴール右上隅に決めてナイジェリアは唖然。マッスルを見よ❗

後半は長谷川選手や北川選手を休ませる余裕で勝利。グループ2位で決勝リーグ進出を決めました。北川選手は相手に球を持たれる試合でも、サイドを突破してクロスを供給できる力がありそうなので、なでしこにとっては貴重なピースです。決勝リーグ(ノックアウトステージ)ではまずアメリカとあたり、勝てばカナダとドイツの勝者とあたります。これに勝つと決勝戦です。

フォルサ 

 

| | | コメント (0)

2024年7月30日 (火)

続・生物学茶話242:脚橋被蓋核

前回は基底核がエディアカラ紀から存在したということを述べました(1)。プランクトンであっても触手を動かして水流を起こしたり、エサを捕獲したり、消化器官を動かしたりする生物は存在します。しかしそのような生物は基底核とか脳幹とか脊髄は持っていません。私たちとヤツメウナギの共通祖先はなぜ基底核-脳幹-脊髄というシステムを必要としたのでしょう?

それはおそらく姿勢制御・左右のバランスがとれた運動のためだったのではないでしょうか。左右相称のネクトンやベントスの場合、空間の座標軸を決めてその中で活動するために基底核-脳幹-脊髄というシステムが必要だったのではないかと推測されます。今生きている私たちの基底核は非常に多くの役割をになっていますが、現在でも歩くことや姿勢を正しく保つことは無意識のうちにこの基底核-脳幹-脊髄が行っています(2)。これはエディアカラ紀から現代まで受け継がれているシステムです。

しかし左右相称動物が最初からこのシステムをもっていたわけではなく、当初はナメクジウオのように基底核を持たない生物であったことは確かでしょう。ただナメクジウオも姿勢は制御しているし、多少は泳ぐので、その程度の運動制御なら脊髄だけで制御できると思われます(3)。ただナメクジウオもそのエディアカラ紀の祖先から数億年の進化を経て現代に至っているので、彼らなりに姿勢制御や運動制御をスムースに行うための進化を遂げてきたとも考えられます。

基底核が私たちの脳の端緒であったということ、それはエディアカラ紀に準備されたということは信じるべきことだと思います(4、5)。ここで以前に示した基底核システムの概要図とほぼ同じ図を再掲します(1、図242-1)。

2421a

図242-1 私たちの脳のシステム

しかし図242-1を眺めていると、ひとつ大きな疑問がわいてきます。それは基底核から下方(posterior)に出ているシグナルがGABA系の [not go] シグナルだけだということです。このことは基底核はすでに完成されていた [go] シグナルに基づいた体を動かす神経-筋メカニズムを制御するためのシステムなのではないかということを思わせます。そしてその [go] システムは脳幹-脊髄に追加して基底核が誕生する前からあったとしても不思議ではありません。

1936年に出版された著書の中で、クロスビーらは橋に存在する脚橋被蓋核が多くの生物で共通の構造と連結パターンを持つことを報告しました(図242-2、6)。私はこの本を読んだわけではなくて、Gut と Winn の総説(7)に書いてあったことを受け売りしているだけですが、この本はなんとアマゾンで販売していて、325ドル99セントで買えます(8)。ご興味のある方はどうぞと言いたいところですが、なんと1845ページもあるので抱えるだけでも大変そうです。

2422a

図242-2 脚橋被蓋核のユニバーサリティ

脚橋被蓋核は英語では Pedunculopontine Tegmental Nucleus で (Tegmental が省略されることもあります)、ヒトではこのブログですでに取り上げた青斑核より少し上部 (anterior) の橋 (pons)領域 に存在します(図242-3、9)。この部域はアセチルコリン作動性ニューロンが豊富に存在することが知られており、その他にグルタミン酸作動性、GABA作動性ニューロンも存在します(9、10)。同じニューロンにアセチルコリンとグルタミン酸が混在する場合があることも知られています(10)。このことは脚橋被蓋核が基本的に [go] のシグナルを出すことを意味します。またこのようなニューロンの混在、神経伝達物質の混在は始原的な神経系の状況を想像させてくれます。

2423a

図242-3 脚橋被蓋核の位置

脳が基本的に前方に新組織を形成して進化してしてきたこと(11)、基底核のなかでも脳幹に近い淡蒼球や黒質網様部は [not go] のシグナルを常時出していること(1)を考えると、基底核ができる前の生物は脳幹の最前部にあった脚橋被蓋核が行動や姿勢制御(さわる・食べる・動く)のコントロールセンターであり、その活動は内部のGABA作動性ニューロンや青斑核ニューロンの活動レベルによって制御されていたのではないかという推測が成り立ちます(図242-4)。

2424a

図242-4 エディアカラ紀における原始脳の進化仮説

すなわちエディアカラ紀において、まだ基底核が形成されていない生物では脳幹特に現在橋の一部とされている脚橋被蓋核の原型が当時の脳そのものであり、全神経・筋肉の統御を行っていたのではないかと思われます。中には当時からメモリーを担当する細胞をその近辺に持っている生物がいて、その部域が小脳に進化したのかもしれません(5)。そのような状況が図424-4の左図であり、カンブリア紀を迎える前におそらく脚橋被蓋核の上部構造である基底核が形成され、さらにメモリーシステムをになうニューロンの数が増えたのではないかと思われます(図242-4 右図)。エディアカラ紀において、どんな理由で図242-4左図のシステムから右図のシステムに進化したのかは謎です。

もちろん最初に基底核ができたときには、図242-1のような複雑な構造であるはずはなく、直接路だけだったと思われますが、線条体→ not go → 淡蒼球・黒質網様部 → not go → 脚橋被蓋核 → go というシステムがカンブリア紀には機敏な行動を行うために急速に発展したのだろうということは理解できます。

参照

1)続・生物学茶話241:基底核1 ヤツメウナギの場合
http://morph.way-nifty.com/grey/2024/07/post-35ba6c.html

2)高草木薫 大脳基底核による運動の制御 臨床神経学 49巻 6号 325-244頁 (2009)
https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/049060325.pdf

3)山田格 脊椎動物四肢の変遷一四肢の確立一 Journal of Fossil Research, Vol.23, pp.10-18 (1990)
https://www.kasekiken.jp/kaishi/kaishi_23(1)/kasekiken_23(1)_10-18.pdf

4)Marcus Stephenson-Jones, Ebba Samuelsson, Jesper Ericsson, Brita Robertson, and Sten Grillner, Evolutionary Conservation of the Basal Ganglia as a Common Vertebrate Mechanism for Action Selection., Current Biology vol.21, pp.1081–1091, (2011)
DOI 10.1016/j.cub.2011.05.001
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21700460/

5)Fumiaki Sugahara, Juan Pascual-Anaya, Yasuhiro Oisi, Shigehiro Kuraku, Shin-ichi Aota, Noritaka Adachi, Wataru Takagi, Tamami Hirai, Noboru Sato, Yasunori Murakami, Shigeru Kuratani, Evidence from cyclostomes for complex regionalization of the ancestral vertebrate brain., Nature, vol.531, pp.97-100 (2016) DOI: 10.7875/first.author.2016.015
https://first.lifesciencedb.jp/archives/12168

6)C. U. Ariens Kappers, G. Carl Huber, and Elizabeth Caroline Crosby, The Comparative Anatomy of the Nervous System of Vertebrates, Including Man., Macmillan (1936)

7)Nadine K. Gut and Philip Winn, The Pedunculopontine Tegmental Nucleus—A Functional
Hypothesis From the Comparative Literature., Movement Disorders, Vol. 31, No. 5, pp.615-624, (2016) DOI: 10.1002/mds.26556
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26880095/

8)https://www.amazon.com/Comparative-Anatomy-Nervous-Vertebrates-Including/dp/B000MIAMJ4

9)Wikipedia: peduncuropontine nucleus
https://en.wikipedia.org/wiki/Pedunculopontine_nucleus

10)脳科学辞典:脚橋被蓋核
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%84%9A%E6%A9%8B%E8%A2%AB%E8%93%8B%E6%A0%B8

 

 

 

| | | コメント (0)

2024年7月29日 (月)

パリオリンピック:なでしこジャパン2

Tanikawa_momoko

なでしこジャパン 谷川萌々子の機転の一発でブラジルに勝利

ピッチに出てきた選手の髪は、ブラジルがほぼ全員ロングヘヤーなのに対して、日本はほぼ全員が体育会系のショートカットでどうかと思いましたが、まあ自分が選手だったとしてもショートカットにするだろうなとも思いました。

ブラジルはスペインのチーム一体のティキタカフットボルとは違って、個人技の集積です。その個人技が半端じゃなくて、スペインとは違った理由でなでしこは球を保持できません。PK機会を得ましたが、田中美南の不可解なキックで得点ならず。前半はそれでも耐えきりましたが、後半ついに失点。

しかしアディショナルタイムに再度得たPKで、今度はキャプテンの熊谷紗希が蹴って冷静なゴール。引き分けで終了かとほっとしていたら、なんとオリンピック初出場の谷川萌々子が、GKが前に出てきているのを冷静に見逃さず、ロングループを決めてくれました。スウェーデンのチームでプレーする19才の選手だそうです。

(画像はJFAのサイトより)

谷川萌々子さんのインスタグラム
https://www.instagram.com/momoko.tanikawa/?locale=de&hl=am-et

インスタグラムを見ると、FCバイエルンが保有権をもったままスウェーデンのチームに期限付き移籍しているようです。

サラも目を丸くしてびっくり

Imga-2

| | | コメント (0)

2024年7月27日 (土)

パリオリンピック:なでしこジャパン1

Photo_20240727091301

バルサファンにとってオリンピックでスペインと対戦したなでしこジャパンの試合は、とても複雑な気持ちになるものでした。なでしこは完全にバルサスタイルのサッカーにはめられて、身動きがとれないまま敗れてしまいました。

もともとバルサスタイルとは、体格やフィジカルに劣るスペイン人がその欠点を補うために、ポゼッションによって相手の攻撃時間を減らすために考案された作戦ですが、現在のスペイン女子は体格・フィジカルも一流で、そんな人たちが完成されたバルサスタイルでやっているわけですからたまりません。現在のバルサトップチーム(FCバルセロナ)はボランチもトップも外国で育った選手の場合が多いので、必ずしもバルサスタイルのサッカーをやっているわけではなく、むしろこの女子チームの方に伝統のスタイルを感じます。

なでしこはよくスペインの田舎のチームがやるようにファイブバックで守備を固めてカウンターを狙うという作戦でしたが、これは中盤で自由に回せるのでバルサスタイルにとって思う壺で、手慣れた感じであしらわれてしまいました。

バルサスタイルを破壊するには、相手のサイドバック(SB)より走力が勝るSBを配置して、必ず前に出てくるSBの裏を狙うというのが定石です。そのための選手を選出して長谷川からのパスで走らせるという作戦をとるべきでした。

そもそも高倉監督時代から長谷川は軽視されていて、その天才を利用しようとせず、ベンチを温めるケースすら多かったように思います。池田監督になってから出られるようにはなりましたが、チーム全体として彼女を司令塔としてプレーしようという雰囲気は全く感じられず、それはなでしこの伝統ともいえます。

Yui_hasegawa_20240228tokyo

長谷川唯 (画像はウィキペディアより)

 

| | | コメント (0)

2024年7月25日 (木)

都響 これはヤバい

2024

サマーミューザ2024ですが、東響・読響・新日本フィルが完売なのに、都響は売れ残っています。

プログラムに問題はないと思いますが、オーケストラも間断なく新機軸を打ち出していかないと、演奏自体の完成度が高くても飽きられるということを考えないとね。

https://www.kawasaki-sym-hall.jp/festa/calendar/

 

| | | コメント (0)

2024年7月24日 (水)

炎暑に涼を求めて

A_20240724113001

霧が深くなって、道を見失った
しだいに寒さがおそいかかってくる
夕暮れは近く、今日は野宿するしかない

野宿する場所をさがして彷徨っていると
突然霧の中から子犬を連れた少女が現れた

震えている私を見て、少女は
「寒いの? うちに来ればサモワールがあるわよ」
と言った

私「熱い紅茶を飲ませてくれるのかい」
少女「ついていらっしゃい」

霧の中を少女と子犬についていくと、森の入口に
小さなログハウスがあった

少女がドアを開けると、なかから父親らしき
長いあごひげの男があらわれた

少女「寒いみたい 震えているの」
私「道に迷った旅人です」
男「はいれ」

少女:オーボエ
子犬:フルート
男:ホルン
私:チェロ

==========

チャイコフスキー 交響曲第1番「冬の日の幻想」
第2楽章「陰気な土地、霧の土地」
Adagio cantabile ma non tanto - Pochissimo piu mosso

https://www.youtube.com/watch?v=THT5PjadpIc

https://www.youtube.com/watch?v=9w4cNAXUii8

 

| | | コメント (0)

2024年7月22日 (月)

エアコンつけざるを得ず

Img_1041a

ミーナ「こんなに暑い日は、エアコン効かせて昼寝が一番」

サラ「そんなに押すなよ 座布団からずり落ちてしまう」

私「外で用があるから留守番頼むよ」

サラ ミーナ「これから熟睡だから知らないよ 💤」

 

| | | コメント (0)

2024年7月20日 (土)

高関-東京シティ・フィル カルミナ・ブラーナ 2024/07/20 @ティアラ江東

炎暑の中、住吉駅からティアラ江東へ。この異常な暑さの中で咲き乱れる薔薇(品種はフランクリー・スカーレット)を発見。変わり者はどの世界にもいます。

Img_0876a

今日のチケットは何ヶ月か前に完売しています。それもそのはず、高関-シティフィルの「カルミナ・ブラーナ」です。

Img_0881b

前半のニールセン:アラジン組曲というのは初めて聴く曲でしたが、これがなかなか楽しい曲で、ニールセンってこんな親しみ深い曲も書いているんだと驚きました。しかもコーラス付きの原典版というのはほんとに珍しいそうです。コーラスの効果は大いにありました。

後半のオルフ作曲世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」は東京シティ・フィルグループが総力を挙げて取り組んだ今シーズンの目玉です。カルミナ・ブラーナは中世の修道院に保管されていた作者不明の古い歌を、シュメラーという人が編集して1847年に出版した歌集だそうです。カール・オルフはこの詩に自作の曲をつけて壮大なカンタータを制作して1936年に完成し、1937年にフランクフルト歌劇場で初演が行われました。

ウィキペディアをみると現代においてもドラマ・映画・バラエティ・ゲームなどで使われており、なかでも驚いたのは「ももいろクローバーZ」がカバーしていることです。これが結構すごい。

Momoiro Clover Z - Neo Stargate ZZ
https://www.youtube.com/watch?v=7SK0C874CcM

この曲は冒頭 O Fortuna という女神への呼びかけから始まります。フォーチュンの語源になっている女神だそうで、バランスボールに乗って現れるというのがなんとも・・・
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%8A

途中で藤木(カウンターテナー)が寝てるので何やってるんだろうと?だったのですが、考えてみると第12曲に備えて焼き魚の体勢になっていたんですね(爆)。バリトンの萩原氏は大熱演、森麻季さんは後半からの登場でしたが相変わらずの美声とテクニックで魅せてくれました。コンマスは戸澤さん。

このクラッシック音楽のなかでもヘビメタといわれるカルミナ・ブラーナ、きっちり制御されているのに激しく突き刺さってくるというこの感覚はたまりません。シティフィル・コーアも大熱演でした。ティアラ江東の広すぎないサイズ&響きすぎない音響もよくて、音の洪水と興奮に包まれて圧倒されたコンサートでした✨

 

| | | コメント (0)

2024年7月14日 (日)

成田空港にて

Narita

ここのところ成田空港に行く機会が多くなりました。でもそれは海外旅行のためではなく、電車の乗り換えのためですが💦。

最近はキャリーを楽々と動かせる、キックボード付きや電動アシストのものが発売されているようです。

【革命】まさかのキックボード付きキャリーケースが誕生!
https://kakakumag.com/houseware/?id=8620

スマートだけどちょっと恥ずかしい? 荷物と一緒に乗って移動できる“スマートキャリー”がいよいよ発売
https://time-space.kddi.com/digicul-column/world/20170314.html

でも私が見たその人(30才台くらいの外国人の女性)は、そんなたった1台のキャリーを楽に動かそうと言うようなケチなアイテムなんて吹っ飛ばすような迫力でした。

彼女は大型キャリー2個と中型キャリーを1個もっていて、その中型キャリ-の上に座って両手に大型キャリーをもち、地面を足でキックしながら移動していたのです。手慣れた感じで、大型キャリーの中身は商品かもしれません。その迫力には圧倒されました。

多忙にて1週間ほど更新をお休みします。7月22日からの週には復活する予定です。

では皆様 ごきげんよう

| | | コメント (0)

2024年7月12日 (金)

全盛期のバルサと日産スタジアム

WOWOWを解約したのでユーロ2024は見ていませんが、バルサのヤマルが最年少ゴール(16才)を決めたとかで盛り上がっているようです。これ報道ステーションでもゴールシーンを放映していました。スペインはオランダを破り、7月15日(月)4:00からイングランドとの決勝戦に臨みます。

ヤマル
https://sports.yahoo.co.jp/video/player/15414566

でもいいことばかりじゃなくて、ペドリがクロースに潰されて負傷というバルサにとっては痛い悪夢もあったようです。

https://web.gekisaka.jp/news/euro/detail/?410830-410830-fl

バルサは若い力が台頭し、2~3年後には下のような黄金時代の到来を期待したい。この写真は日産スタジアムで撮影しました。

A_20240712092901

ところで写真の頃は、日産スタジアムで試合をするバルサを見に行くのに、品川駅から新幹線に乗って新横浜からバスという径路でしたが、最近たまたま久しぶりに南北線に乗る機会があって、なんと南北線でスタジアムに直行できることに気がつきました(遅い)。南北線は相鉄線にまで乗り入れてるんですね。びっくりしました。

A_20240712093001

 

| | | コメント (0)

2024年7月 9日 (火)

もはや盛夏

Img_0816a

やたらと私事関係の所用が多い忙しい夏です。そんなときに限って盛夏が早くやってきます。

今日も吹雪のようにケサランパサランが舞うなか出かけました。まだ7月初旬だというのに盛大に蝉の鳴き声が聞こえます。

蝉を注視するサラとミーナ。

 

| | | コメント (0)

2024年7月 8日 (月)

Walk down the memory lane 9: Ishikawa Yuko (石川優子)

Imgisikawayuko

One of the gifted singer song writers in 20th century. Sometimes I hear (auditory hallucination?) her footsteps dancing on the street.

石川優子さんは1979年デビューのシンガーソングライターで、同じ姓の石川ひとみさんがその1年前にデビューし、さらにその前に石川さゆりさんがデビューしていたので混乱を招きました。皆さんほぼ同じ年齢のようです。優子さんはヤマハポプコンがデビューのきっかけだったようで、これは当時のエリートコースでした。

-----------------------------------

Fly away  作詞・作曲 石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=VEMl-rf03m4
https://www.youtube.com/watch?v=diBpxEOJHfo

初期の傑作。自身で作詞・作曲を行っていて、アイドルじゃありませんよと宣言しました。
クリスタルボイスでスローバラードを歌う。歌詞の内容は「復讐」なので驚いた覚えがあります。

-----------------------------------

雨の降る日曜日 作詞・作曲 石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=_0a9D6lv2HE
https://www.youtube.com/watch?v=TVAgEFpg2dI

若い頃はこんな暗いメランコリックな曲が歌いたかったのだと思う。そういうタイプのシンガーソングライターは結構多いと思います。

-----------------------------------

シンデレラサマー 作詞・作曲:石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=4pF57iIvdWI
https://www.youtube.com/watch?v=LxW0_XwKnKo

アップテンポの曲ももちろんやりますよ ってこと。

-----------------------------------

涙のソリティア 作詞・作曲:石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=dhPpiIV35gs
https://www.youtube.com/watch?v=nmzc9_B_GT0

美しいメロディは昭和歌謡を超越した感じがします。

-----------------------------------

春でも夏でもない季節 作詞:秋元康作 作曲:石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=NagL2ZwotfA
https://www.youtube.com/watch?v=LvPuWC3kOFA

5分でsunset 作詞:秋元康作 作曲:石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=nSPXwfoAV-E
https://www.youtube.com/watch?v=HF02ci7icXc

この頃ダンスミュージックに凝っていました。

米国西海岸でレーザーディスク(LPサイズのDVDのようなもの)を作ったのですが、そのとき当地で雇用したダンサー4人がなんと全員お釜でびっくりしたという発言をきいたことがあります。多分そのレーザーディスクを私は持っていて見た記憶があります。アマゾンなどでDVD版を売ってないので、多分DVD化されなかったのだと思います。LPレコードと違ってハードウェアが絶滅したため、素晴らしい映像作品が多数消えてしまいました。

https://www.youtube.com/watch?v=5Bw3luWZ154

高級オーディオで鳴らして空気録音。

-----------------------------------

よそゆきのSmilin' Face  作詞:小林和子 作曲:伊丹哲也

個人的に一番好きな曲です

https://www.youtube.com/watch?v=wLUlXDacXk4

https://www.youtube.com/watch?v=IYWEISnko_E

コーラス、ドラムス、ベース、エコー、ペーソスのある歌詞、みんな素晴らしい。

-----------------------------------

雑踏 作詞・作曲 石川優子

https://www.youtube.com/watch?v=jNih9xaAtn4

ビジュアルはレアですが音割れがあります 音質は下の方がベター

https://www.youtube.com/watch?v=wYyg-33hmRI
https://www.youtube.com/watch?v=6O4qBPpmCoo

-----------------------------------

ふたりの愛ランド 作詞:チャゲ・松井五郎 作曲:チャゲ

多分最大のヒット曲

https://www.youtube.com/watch?v=7dC0idgd6bQ
https://www.youtube.com/watch?v=mKanR_QJTKM

-----------------------------------

HP: https://www.sonymusic.co.jp/artist/YukoIshikawa/

ヤマハのサイト: https://www.yamahamusic.co.jp/s/ymc/artist/114?ima=0000&link=ROBO004

 

 

| | | コメント (0)

2024年7月 5日 (金)

フルシャ-都響@サントリーホール 2024/07/05

Imghrusa

本日のコンマスはボス矢部(サイドは水谷氏)にもかかわらず、そして梅雨中にもかかわらず、お天気はなんと快晴。しかも異常な暑さです。かなり久しぶりのサントリーホールですが無事帰れるか!?

数ヶ月ぶりで森ビル2Fの水内庵(みのちあん)に行ったら数人表に並んでいました。私も後ろについていたら入店する前に注文をとりにきましたので玉丼を注文。ここの味はとても家庭でだせるものではありません。夜の営業は予約で満席だそうです。

カラヤン広場に降りていくと、さすがに滝が稼働していました。

Img_0844a

この滝 昔はこうでした

Img_2926a

水は流しているので、ここをケチったわけではありませんが、滝の裏側にあった数台以上のテーブルと椅子は撤去されました。多分管理の問題なのでしょうが、最近はなんでもプロバイダー・カンパニ-の都合で事が運ばれ、カスタマー・市民の便益は無視される傾向にあります(駅から時計を撤去する、健康保険証を廃止するなどその典型)。政権交代したら是非ここは改善して欲しいと思います。

前半のプログラムのソリストは五明佳廉さんです。前に聴いたときは若手のバリバリでしたが、とんがることなくロマンチックな演奏を聴かせてくれました(1)。今回はさらにそれが進化して自信を持って大胆に演奏しているようで、大家っぽくなってきました。興に乗るとものすごく背中をそらせて演奏するのが気になりましたが・・・。ソリストアンコールのピアソラもすごい技巧で聴かせてくれました。

フルシャは電話帳みたいな分厚いスコアを譜面台において、5秒おきくらいにページをめくりますが、それが全く気にならないくらい音楽に没入させてくれます。じっくりとかみしめるような演奏で、それはそれで素晴らしいのですが、カラヤンの演奏ではじめてブルックナーに目覚めた私としてはかなり違和感はありましたね。

指揮者のソロアンコールでボス矢部をつれて現れたフルシャ。

Img1a_20240705201701

 

1)http://morph.way-nifty.com/grey/2022/10/post-0ce609.html

 

 

| | | コメント (0)

2024年7月 2日 (火)

続・生物学茶話241:基底核の起源 ヤツメウナギの場合

大脳基底核は大脳の最深部にありますが英語では basal ganglia であり、大脳の一部というわけではありません。ウィキペディアでは「大脳基質と視床、脳幹を結びつけている神経核の集まり」と定義されています(1)。したがって大脳をはずして「基底核」または「脳基底核」と呼ぶのがベターだと思います。主な構成要素は「線条体 corpus striatum または単に striatum、被殻と尾状核で構成される」「淡蒼球 globus pallidus、内節と外節で構成される」「視床下核 subthalamic nucleus」「黒質 substantia nigra、緻密部と網様部で構成される」の4つのパーツですが、左右にあるので脳全体では8つです。このほか図241-1のように側座核・嗅結節・腹側淡蒼球、図には示されていませんがマイネルト基底核などを含めることもあるようです。英語版のウィキペディアではこれらを大脳基底核に含めてあります(2)。日本語版のウィキペディア大脳基底核では全く触れられていませんが(1)、アミグダラ(扁桃体)を基底核に含めることもあるようです(3)。

このようにどこを基底核に含めるかについては研究者によってさまざま異なる見解があるようで、注意を要します。国立生理学研究所によれば最初に示した4つのパーツということになっているので、とりあえずこの定義でここでは話を進めることとします(4)。

2411a

図241-1 ヒト大脳基底核の構成要素および関連構造の位置

エサがある方向に向かって移動するというのは従属栄養生物にとって圧倒的に生存に有利な機能であり、細菌ですら繊毛という精密機械のような移動用パーツを保有しています。真核生物に進化した単細胞生物は主に鞭毛を使って移動します。しかし多細胞生物が生まれたばかりの時代には、個々の細胞が保有している移動用の細胞器官をどのように統合制御してめざした方向に移動するのかという問題が発生し、これが解決するまで彼らは海底にへばりついてあるいは固着して生活するか、海流に依存して漂流するかしかなく、運動機能の観点からはある意味退化した時代があったと思われます。そのような問題を解決するために中枢神経系が生まれたに違いありません。

海底を這うベントスや遊泳するネクトンに進化する生物にとっては、神経系の重要性はプランクトンよりもずっと大きいことは間違いないでしょう。目のない時代でも自らの意志で移動することが可能な従属栄養生物は、ケミカルセンサーによってエサがある方向を特定し、神経によって筋肉などの動きを統御してある方向に進むというシステムを進化させて生活してきたのでしょう。そしてこのようなシステムを効率的に稼働させるには、次のステップとしてある部位のニューロンが「進むか進まないか」「どの方向に進むか(左右のバランスなど)」という指令を体全体に出すという方向で進化が進行しました。その指令を出す「ニューロン」はおそらく基底核のプロトタイプだと考えられます。

時代は進みカンブリアになると、そこは弱肉強食の世界だったので、食べられても平気なくらい旺盛な繁殖力を持つ生物や、食べられないように体を守る強固な装甲を持つ生物以外は、捕食者を認識して逃げなければいけません。私たちの祖先である魚類も逃げなければいけない生物で、当然逃げることを決断し、逃げる方向を決定し、逃げ切ったことを判断して行動を停止する・・・という活動を日常的に行わなければいけない生活をしていたに違いないので、脳の中に行動を決断して体全体に指令を出すシステムはその頃から存在したに違いなく、実際現存の魚類にも基底核が存在することは報告されています(5、6)。

では脊椎動物のルーツに近いところで分岐した円口類(ヤツメウナギ・ヌタウナギ)はどうなのでしょうか。彼らの祖先が魚類の祖先と分岐したのは約5億6千万年前のエディアカラ紀とされています(7、8、図241-2)。

2412a

図241-2 脊椎動物の進化系統図

哺乳類の基底核システムはかなり研究されていて、図241-3のような径路が明らかになっています(1、4)。中脳・脳幹・脊髄などに運動の go, not go のシグナルを直接投射しているのは淡蒼球内接・黒質網様部・腹側淡蒼球で、これらのニューロンは主にGABAを投射に使う抑制性なので、デフォルトは not go なのですが、線条体によってこれらのニューロンを抑制するシグナルが出されると、抑制が解除されて結果的に go のシグナルに変わることになります。線条体と情報出口(淡蒼球内接・黒質網様部・腹側淡蒼球)が直接つながっている径路を直接路、淡蒼球外節を経由する径路を関接路、大脳皮質から視床下核を通じて情報出口につながっている径路をハイパー直接路と呼びます(4、図241-3)。

黒質緻密部と腹側被蓋野にはドーパミンを放出するニューロンが多く、線条体をコントロールする機能を持ち、脳から発出される情報の源流のような機能を持っていると思われます。情報出口(淡蒼球内接・黒質網様部・腹側淡蒼球)の活動は視床にも投射され、その結果を大脳皮質の運動野に報告したり、線条体とのコラボによって情報出口の活動を制御することができます(図241-3)。

2413a

図241-3 哺乳類の基底核の構成要素と相関概略図

Marcus Stephenson-Jones らは哺乳類の祖先と5億6千万年前に分岐し、現代に至るまで命を繋いでいるヤツメウナギの基底核について研究しました(9)。まず一般的な脊椎動物において淡蒼球などGABAを伝達物質として使用しているニューロンに特異的なパルブアルブミン、線条体のマーカーとなるエンケファリンやサブスタンスPなどをマーカーとして形態学的な検討を行った結果が図241-4です。これらのマーカーによって識別できる部位は確かに存在します。ここでパルブアルブミン+の領域の細胞を調べると19個の細胞のうち13個が自発的に発火しており(シナプスインプットを阻害しても影響を受けない)、ここが情報出口(淡蒼球内接・黒質網様部・腹側淡蒼球)に相当する部位であることが示唆されました(9、図231-4F、G)。この部位の下側に線条体に相当するとみられるエンケファリンやサブスタンスP陽性の領域がみられます(図231-4H、I)。

2414a

図241-4 ヤツメウナギ基底核の免疫組織化学

Marcus Stephenson-Jones らは電気生理学的なデータも採取して、線条体による情報出口の制御なども確認し、線条体および淡蒼球に相当する領域を推定して図241-5を発表しました(9)。さらに調べれば調べるほど、5億6千万年前に分岐したヤツメウナギ(円口類)の基底核システムと私たちのシステムが類似していることが明らかになってきました。黒質や視床下核に相当する部位も論文に記載されていますので、興味のある方は原著をご覧下さい(9)。グリルナー研究室のより新しい成果をまとめた総説も出版されています(10)。

2415a

図241-5 ヤツメウナギで推定される線条体と淡蒼球の位置

 

参照文献

1)ウィキペディア:大脳基底核
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%84%B3%E5%9F%BA%E5%BA%95%E6%A0%B8

2)Wikipedia: basal ganglia
https://en.wikipedia.org/wiki/Basal_ganglia

3)ウィキペディア:扁桃体
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%81%E6%A1%83%E4%BD%93

4)国立生理学研究所 生体システム研究部門 大脳基底核とは
https://www.nips.ac.jp/sysnp/ganglia.html

5)理化学研究所 プレスリリース ヒトと魚の賢さの共通基盤の発見-魚の進化的に保存された大脳皮質-基底核回路の全貌を解明-
https://www.riken.jp/press/2024/20240314_1/index.html

6)Yuki Tanimoto, Hisaya Kakinuma, Ryo Aoki, Toshiyuki Shiraki, Shin-ichi Higashijima, Hitoshi Okamoto, "Transgenic tools targeting the basal ganglia reveal both evolutionary conservation and specialization of neural circuits in zebrafish", Cell Reports 43, 113916 (2024) https://doi.org/10.1016/j.celrep.2024.113916
https://www.cell.com/action/showPdf?pii=S2211-1247%2824%2900244-4

7)続・生物学茶話195:円口類の源流
http://morph.way-nifty.com/grey/2022/11/post-1f4cf6.html

8)Kumar,S., and Hedges,S.B., A molecular time scale for vertebrate evolution. Nature vol.392, pp.917–920 (1998)
https://bip.weizmann.ac.il/education/course/evogen/Clocks/Kumar_Nature_1998.pdf

9)Marcus Stephenson-Jones, Ebba Samuelsson, Jesper Ericsson, Brita Robertson, and Sten Grillner, Evolutionary Conservation of the Basal Ganglia as a Common Vertebrate Mechanism for Action Selection., Current Biology vol.21, pp.1081–1091, (2011)
DOI 10.1016/j.cub.2011.05.001
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21700460/

10)Sten Grillner and Brita Robertson, The Basal Ganglia Over 500 Million Years., Current Biology 26, R1088–R1100, (2016) doi: 10.1016/j.cub.2016.06.041.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27780050/

 

| | | コメント (0)

2024年6月30日 (日)

猫の美術館 サラとミーナ 脳の劣化

大脳基底核についてなにか書こうとしているわけですが、さすがにもう脳科学の核心部に突入してきたので、記事執筆が困難を極めエンスト中です。それに「今日のアルツ」というシリーズを始めようかと思うくらい、自分の脳が劣化してきたので悪い方に拍車がかかっています。たとえばある場所を通ると必ずプルルルルという電話の音が聞こえるのですが、そんな音きこえるはずがないのです。必ずと言いましたが正確には意識しているときは聞こえないのです。なにげなく通過したときだけ聞こえてくるのです。今日に至っては、はさみがないと探していたら、あきらめて立ち上がったときに座布団の上にありました。お尻がはさみを認識できないのは、やはり感覚が劣化しているからでしょう。困ったものです。

Imga-9

ご多分に漏れず。古いことはよく思い出します。

これは横浜の外人墓地の近くにあった猫の美術館。いまでもあるのだろうか?

Yokohama3

ここで買った象嵌のアクセサリーはいまでも大事にしています。

Yokohama4

ちょっと調べてみたら、どうやら経営の形態はかわったみたいですがまだ営業しているようでした。

http://www.galerieparis.net/cat.html

 

 

| | | コメント (0)

2024年6月27日 (木)

隠岐彩夏 愛しの夜

Img_20240627103501

クラシックの女性歌手にとって、意外に普通の女性として歌えるオペラの役というのはないのです。コケティッシュな若い女性とか、ドラマティックな強い女性、運命に翻弄される悲劇のヒロインなどが当然と言えば当然ですが、普通主役となります。日本で一番需要がある第九も非常にドラマティックな歌唱が要求されます。

隠岐彩夏氏は中庸で穏やかな歌唱が持ち味の方なので、第85回日本音楽コンクール声楽部門第1位という実力と栄誉にもかかわらず、いまいち注目されなかったのではないでしょうか。宗教音楽はぴったりはまるので、その方面でご活躍なさっていたようです。

しかし都響コンマスの矢部達哉氏が「声のストラディバリウス」と絶賛してから、すっかり有名人となりました。そしてピアニストの横山幸雄氏のアシストも得てアルバムも発売しました。帯には矢部達哉氏の言葉が書いてあります。

メインはシューマンの「女の愛と生涯」。これは普通の女性が自分の人生を語った内容なので、ぴったりはまった選曲でした。「静かな夜に」という曲では、横山氏とともにシンガーソングライターとしてもデビューしています。しかし「愛しの夜」とはなんともレトロなタイトルです。

HP: https://ayakaoki.com/

浜離宮アフタヌーンコンサート: 隠岐彩夏 × 横山幸雄 × 矢部達哉
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/event/2024/10/event2756.html

F.ヘンゼル=メンデルスゾーン  五月の夜
https://www.youtube.com/watch?v=TtwPufxtkSg

アイアランド 春の悲しみ
https://www.youtube.com/watch?v=EpROCZome8w

ヘンデルのオラトリオより
https://www.youtube.com/watch?v=UK0kcmJK394

 

| | | コメント (0)

2024年6月25日 (火)

お互いのキャラを尊重して生きる

Img03

また暑苦しい夏がやってきました。
子供の頃虫を追いかけていた夏は、こんなに湿度が高い感じはなかったのですが 気のせいかな?

サラとミーナは、それぞれお互いのキャラを尊重しながら生きていたように思います。
人間とのつきあいだけでは得られない心の充足があったように感じました。
いっしょに暮らして本当に良かったなと思います。

ところで最近はあらゆる公共場所から時計が撤去されたように思います。
そんなにコストがかかるとは思えないのに、どうしてこんなことになったのか?
なかには鉄道の「駅」なのにないところもあります。

困ります💦💦💦

私は体質的に腕時計ができない上に、携帯電話も苦手なので・・・。
仕方がないので、懐中時計を常に持ち歩くことになりました。

五輪真弓 時計
https://www.youtube.com/watch?v=BjM_7IxGDIw
https://www.youtube.com/watch?v=vz4EGdxryRM

五輪真弓 海と風と砂と
https://www.youtube.com/watch?v=BS8eHH2QZmE
https://www.youtube.com/watch?v=LjHRw7bWM4M

 

| | | コメント (0)

2024年6月22日 (土)

またもや大規模漏洩

Publicdomainq0076290

IT media news:
第三者が個人情報15万人分ダウンロード 労務管理クラウド「WelcomeHR」で漏えい マイナカードや免許証の画像も
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2404/01/news081.html

Rocket Boys
WelcomeHRを運営するワークスタイルテックが約15万人の個人情報漏洩を発表
https://rocket-boys.co.jp/welcome-hr-information-leak/

YAHOO! ニュース
マイナカードに免許、パスポート…16万人以上の個人データ「外部から閲覧可能」でダウンロード被害も
https://news.yahoo.co.jp/articles/0f9c61a6422d386f00219d562ab79c95e1e6d25c

日経XTECH
カオナビの子会社が設定ミスで15万人超の個人情報流出、マイナンバーも対象
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00598/040500259/

カオナビ子会社であるワークスタイルテックは漏洩した情報の中に、マイナンバー関連の個人情報やクレジットカード、デビットカードなどが含まれていると発表しました。なぜかあまりマスコミでは派手に報道されていません。

情報漏えいが発生したのは労務管理クラウドサービス「WelcomeHR」で、サーバー設定の誤設定によってユーザーの氏名や住所、電話番号、身分証明書(マイナンバーカードや運転免許証など)、履歴書などの個人情報16万2830人分が2022年1月5日から2024年3月22日にかけて外部から閲覧することが出来る状態になっていたとのことです。
その内の15万445人の情報が第三者からダウンロードされたとして、ワークスタイルテックは今回の事態を受けて6社からサービス解約の申し出があったと発表。クレジットカードやデビットカードは8073人分、その他にも2707人分の健康診断や障害の情報が漏えいしたと報告されています。

マイナンバー画像など15万人分漏えいの労務クラウド、クレカ情報も流出していた
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2406/01/news047.html

カオナビ子会社で、3月に約15万人分のユーザー情報漏えいを発表したワークスタイルテック(東京都港区)は5月31日、漏えいした情報の中にクレジットカードやデビットカードの情報が含まれることを発表した。調査の結果詳細が分かったとして、当初発表した漏えい件数も変更した。

個人データの漏えいに関するお詫びと再発防止に関するご報告
https://workstyletech.com/incident_report05312024/

本事案により漏えいが確認された個人データは、本対象期間中にお客様が弊社サービスを通じてクラウドストレージにアップロードしていた各種身分証明書等のPDFファイル及び画像ファイル(当該ファイル内に含まれる氏名、住所、生年月日、性別、電話番号等)です。当該データに係るエンドユーザーのお客様の数は、以下のとおりです。調査の結果、前回公表時の数値から変更がございます。
なお、漏えいがあったご契約先の企業様及びエンドユーザーのお客様には順次個別にご連絡を差し上げております。

個人データが漏えいした人数(総数):158,929人

(1)上記総数のうち 第三者による個人データのダウンロードが確認された人数:150,445人
(2)上記総数のうち 個人番号情報を含む人数:46,329人
(3)上記総数のうち クレジットカード又はデビットカード情報を含む人数:8,073人
(4)上記総数のうち 要配慮個人情報を含む人数:2,707人
(i) 上記(4)のうち 健康診断情報を含む人数:1,937人
(ii) 上記(4)のうち 障がい情報を含む人数:798人

管理人:結構大事件だと思いますが・・・   政府はセキュリティーゆるゆるのままマイナンバーカードを強行しようとしていますが、とんでもない話だと思います。実は私もクレジットカードの情報が漏れて、勝手に買い物をされた経験があります。

| | | コメント (0)

«バラの香りは催淫剤なのだろうか?