2017年12月17日 (日)

都響-フルシャ フェアウェル@サントリーホール2017・12・16

1フルシャのフェアウェルコンサートのプログラムは

1.マルティヌー 交響曲第1番
2.ブラームス 交響曲第1番

でした。コンマスは矢部、サイドはマキロンです。

マルティヌーの曲は思いの外の傑作で、最後の最後にはじめてマルティヌーの音楽の良さを感じることができました。特に第3楽章ラルゴには深く感動しました。

ブラームスは音楽に込められた詩情を次々と浮かび上がらせたような前回第2番の演奏と違って、力のこもった爆演でした。

第1楽章のはじめの部分に注目していましたが、重苦しい空気が押し寄せるような演奏でした。このような気分になったのは記憶がありません。面白い解釈なのではないでしょうか。

あとは矢部・広田がフルシャを強力にサポートするエネルギッシュな音楽が展開されました。団員の気迫も尋常ではありませんでした。ただ終楽章はちょっと走りすぎて落ち着かなかった感じが残念。それにしても柳原(フルート)の音は素晴らしい。都響の宝物のひとつです。

最後はスタンディングオベーションでマエストロとお別れしました。これでマエストロ・フルシャとの首席客演契約は終了してしまいましたが、ヨーロッパで少し落ち着いたら、是非また都響に客演してもらいたいと思います。

カラヤン広場はきれいなクリスマス・デコレーションで、華やかに雰囲気を盛り上げてくれました。

P1060931

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2017年12月14日 (木)

やぶにらみ生物論96: クリスパー(補足)

前稿「やぶにらみ生物論95.クリスパー」(1)で、「クリスパーシステムを用いた遺伝子治療を行なうには、プラスミドかウィルスにCAS-クリスパーを潜入させて、標的になる細胞にとりこませなければなりません。受精卵は大きいのでマイクロインジェクションで注入できますが、体細胞にはこのやり方は向いていません。このあたりがなかなか難しいところです。」と記述しました。

これは動物に関する話ですが、植物の場合この困難をうまく乗り越えられる方法があります。アグロバクテリウムというグループの土壌細菌は、植物の根に感染すると、自分の遺伝子を植物細胞のゲノムの任意の位置に組み込む性質を持っています(2、図1)。この細菌にCas9(タンパク質)とsgRNAをとりこませ(またはこれらの遺伝情報を持ったプラスミドをとりこませ)植物に感染させると、任意の位置ではなく、狙った植物の遺伝子に変異を導入して無効化することができます。

Agrobacteriumgall_2この方法でALS(アセト乳酸合成酵素)の遺伝子を無効化すると、除草剤耐性の植物ができあがります。最初はジャガイモで成功しました(2)。最近では、Cas9の代わりにシトシン→チミンの変換を行なう酵素を使って(TargetAID)、除草剤耐性のイネを作成したという報告があります(3、4)。このような除草剤耐性を付与されるタイプの作物は需要が大きいらしく、次々と製造されると思われますが、それぞれの除草剤の安全性チェックが形ばかりで実質後手になる可能性が大きく、このために折角の叡智であるクリスパーが十把一絡げで悪者になってしまうのはあまりにも残念です。

モンサント社のラウンドアップを農家が大量散布したため、土壌が汚染された上に耐性雑草が蔓延してどうにもならなくなったという歴史に学ぶ必要があります(5、6)。これでラウンドアップをやめたのはいいけれど、次々に新しい農薬で汚染に汚染を重ね、多剤耐性の雑草が蔓延するような世界はみたくありません。モンサントも会社が立ちゆかなくなり、バイエルに買収されるという話がありましたが難航しているようです(7)。

もうひとつの大きな問題は殺虫剤耐性植物の蔓延です。これは過度の殺虫剤散布を誘発し、その結果ミツバチやその他の花粉を運ぶ昆虫の激減を招くことになります。ミツバチの減少はすでに報告されています(8)。これは虫媒花を持つ現在の地球でメインの植物の繁殖に大きな影響があり、生態系の異常な変動を招く恐れがあります。またネオニコチノイドなどの薬剤は人体にも影響があることがしられています(9)。

現在クリスパーを利用した品種改良はほとんど特定の位置で遺伝子に変異を導入するという形(NHEJ)で行なわれており、遺伝子組み換えはありません(10)。これはほぼ今まで行なわれてきた品種改良と同じで、遺伝子組み換え作物と比べて安全性は高いと思われますが、ひとつ心配なのはその改良の速度が速すぎて安全性のチェックが後手に回る恐れがあることです。現に2016年時点での遺伝子組み換え作物の日本への輸入量は約1471万トンということで(10)、商品の表示とはほど遠い数値であり、人体実験をやりながら食事をしているような状況でしょう。いずれクリスパーで改良した作物由来の食品はもっと大量に輸入されるでしょうし、この種の作物は国内でも生産されるでしょう。

クリスパーは本来医学でも活用されるべきものであり、特に遺伝病の治療や予防に有効だと思われます。ただそれを理想的に行なうには今の技術には足りない部分が多々あり、特に人工遺伝子の移入にはもっと新しい技術が求められます。私はそれが完成したときに、はじめて遺伝子編集という言葉を使っても良いと思います。

そのような技術が完成した際には、当然親が子のゲノムのデザインをやってもいいかという議論になるとおもいますが、私はそれには「否」を唱えます。ただ重篤な遺伝病がみつかったときには、治療してから受胎するという行為は許容されるべきです。私達には病気を治療する権利があり、それは卵や胎児にもあると思うからです。どこまで遺伝子の変換を認めるかかというのは、厚生労働省がガイドラインを作成して医師に守らせるように指導するしかありませんし、守らない医師は処罰することも必要でしょう。

参照

1)http://morph.way-nifty.com/grey/2017/12/post-0ba2.html

2)Nathaniel M. Butler, Paul A. Atkins, Daniel F. Voytas, David S. Douches., Generation and Inheritance of TargetedMutations in Potato (Solanum tuberosum L.)Using the CRISPR/Cas System., PLoS ONE 10(12):e0144591.(2015) doi:10.1371/journal.pone.0144591
http://journals.plos.org/plosone/article/file?id=10.1371/journal.pone.0144591&type=printable

3)http://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2017_03_28_01.html

4)Nishida, K., T. Arazoe, N. Yachie, S. Banno, M. Kakimoto, M. Tabata, M. Mochizuki, A. Miyabe, M. Araki, K. Y. Hara, Z. Shimatani and A. Kondo: Targeted nucleotide editing using hybrid prokaryotic and vertebrate adaptive immune systems. Science, 10.1126/science.aaf8729 (2016).

5)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97#ラウンドアップ耐性雑草の世界的な問題

6)深刻化する除草剤耐性雑草~傾向と対策
http://www.foocom.net/column/gmo2/6839/

7)Bayer to Acquire Monsanto. Cautionary Statements Regarding Forward-Looking Information.
https://www.advancingtogether.com/en/disclaimer-b/

8)消えるハチ Bees in decline
http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/201404_BeesInDecline.pdf

9)猪瀬聖 ガラパゴス化する日本の食品安全行政
https://news.yahoo.co.jp/byline/inosehijiri/20150623-00046911/

10)石井哲也 ゲノム編集を問う-作物からヒトまで 岩波新書 (2017)

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2017年12月12日 (火)

都響-フルシャ ブラームス交響曲第2番@東京文化会館2017・12・11

Imgaヤクブ・フルシャは昨年からバンベルク交響楽団の指揮者に就任し、今年の12月のコンサートを最後に都響のポストを去ることになります。ほとんどはずれのない演奏をたくさん聴かせてくれて有難う。1番印象に残っているのは、マーラーの交響曲第1番かな。

すっぽかし事件もありました。譜面台に指揮棒をたたきつけて吹っ飛ばしたこともありました。懐かしい思い出です。

今夜のコンマスは四方さん、サイドは矢部さんです。ラス前のコンサートとあって、平日の夜にしては盛況でした。悪いけど私はマルティヌーの音楽はさっぱりわかりません。この人の音楽が第二次世界大戦中の米国で大人気だったとは、ちょっと信じられません。まあ眠りはしませんでしたが。

ブラームスの交響曲第2番は本当に素晴らしい演奏でした。フルシャはブラームスのシンフォニーに潜むポエジーを、根こそぎ掘り出して聴衆に提示してくれました。このような詩的かつ女性的な演奏をインバルや大野や小泉がやったら気持ち悪いでしょう。フルシャならではの演奏です。それだけに彼を失うのは都響にとって痛すぎます。

驚いたのは広田のオーボエ。なんとサーモンピンクです。広田モデルなのでしょう(1)。普通のオーボエと違って、ふくよかな音がします。ブラームスの交響曲第2番にはぴったりの感じでした。都響のアンサンブルも気合いが入っていて驚異的(あれっと思うところはありましたけどね)。ともあれ、しみじみとした良い演奏会でした。

1)https://jp.yamaha.com/products/musical_instruments/winds/oboes/yob-832hg_black__opal/index.html

ヤクブ・フルシャ in YOUTUBE

happy birthday to you
https://www.youtube.com/watch?v=H5g7CTcMWIs

Dvorak & Suk: A Journey with Jakub Hrusa
https://www.youtube.com/watch?v=D4MlPnY2Hg8

A portrait of Jakub Hrusa
https://www.youtube.com/watch?v=RcxL9TphQk4

Rehearsal - Smetana's Moldau - RCO Amsterdam
https://www.youtube.com/watch?v=1g-fM15BbII

Antonin Dvorak: Stabat Mater
https://www.youtube.com/watch?v=92cl5yuWFtM

Bedrich Smetana: Ma Vlast
https://www.youtube.com/watch?v=flwHnoZhOY8

都響はフルシャのMVを公開しないのでしょうか?

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2017年12月11日 (月)

バルサレポート2017~2018

Braugranaユニフォームが楽天色のバルサはめずらしい。違和感満点です。対するビジャレアルはイエローサブマリン。

セルタ戦でもそうでしたが、最近のバルサはパスカットされたり、メッシがひっかかったりしたときに、すぐ守備が破綻状態になるというまずい状況が増えています。パウリーニョが前過ぎるのかもしれません。何か対策を講じないと。

ビジャレアル戦もいつものパターンで、しばしば守備が破綻してソリアーノらに良い位置からシュートを打たれ、テア=シュテーゲンが大活躍になってしまいます。よくまあ0:0で折り返せたものです。

メッシ起点のワンツーというパターンが読まれています。それでもいけるだろうというのがバルサですが、パコやデウロフェウを入れてパターンを変えることも考えておいた方がよいと思いますね。デウロフェウがベンチ外というのは理解できません。

後半にラバが足を上げたままブスケツにチャージして一発レッド。これはブスケツが1回転する激しいチャージで血の気が失せましたが、ブスケツ欠場はバルサにとっては致命的なので、こういうのは本当に勘弁して欲しいです。

とはいえこれで一転して完全なバルサペースの試合となり、スアレス→パコ→スアレスで点が取れて一安心。このあとビジャレアルからのプレゼントパスでメッシがゴール。楽な試合となりました。

https://www.youtube.com/watch?v=mxpd6esNayQ

https://www.youtube.com/watch?v=8yQsY5YKGU0

ベトの Dime (歌付きでバルセロナを満喫できます)
https://www.youtube.com/watch?v=_3CPg-2V54s

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2017年12月 7日 (木)

JPOP名曲徒然草183: 「train-train」 by 中ノ森バンド

Img中ノ森バンドは2004年~2008年に活動していました。私のCD棚には「Whatever」というシングル盤があります(YOUTUBEにアップされているMVを発見しました↓)。

それにしてもこの写真のテレビは古すぎます。そんなに懐古趣味のバンドとも思えませんでしたが。よくこんなものがありましたね。

「Train-train」は言わずと知れたブルーハーツのヒット曲ですが、このライヴ映像のインパクトもすごいものがあると思います。作詞・作曲 真島昌利 

https://www.youtube.com/watch?v=hIM5-aVGXoQ

ブルーハーツのオリジナル
https://www.youtube.com/watch?v=mypxeFPYsd0

Oh My Darlin' (名曲)
https://www.youtube.com/watch?v=v0qdK_aIilI

旅への扉
https://www.youtube.com/watch?v=sXyfeKT5axA

風になりたい
https://www.youtube.com/watch?v=TLjm2DGEnRc

Fly High
https://www.youtube.com/watch?v=XseHM-AdiHk

イソブラボー
https://www.youtube.com/watch?v=pKLXriBZC_c


https://www.youtube.com/watch?v=97UWziHzjGg

サテライト
https://www.youtube.com/watch?v=zide2Mr5XoQ

Whatever
https://www.youtube.com/watch?v=e-gKhfz2Km0

バンド解散後も、リードボーカルの中ノ森文子はソロで活動しているそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=MSgl3OWzn4U

オフィシャルHP:http://nakanomori.jp/

オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/ayakonakanomori/

Twitter:https://twitter.com/ayakoman0404

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2017年12月 5日 (火)

やぶにらみ生物論95: クリスパー

遺伝病は遺伝子のたった一組の塩基対の異常によっても発生し、それが原因で落命するということもあり得ます。有名なのは鎌形赤血球貧血症で、一対の塩基対の異常によってヘモグロビンベータのグルタミン酸がバリンに代わり、ヘモグロビンの機能が低下して貧血になります。どの遺伝子のどの塩基対が変異をきたしても病気になる可能性があるので、遺伝病のバラエティは無数にあります。

これらの遺伝子を正常にもどして病気を治療するというのは、分子生物学者にとってのひとつの夢でした。当初考えられたのは、レトロウィルスベクターを使って正常な遺伝子を細胞に注入するというやり方でした。

しかしそこで予想もしなかった事態が発生しました。まず1999年にゲルシンガー事件というのがおこりました。患者のゲルシンガー氏の免疫系がベクターに異常に強い反応を起こして、患者が死亡してしまったのです。

2000年代のはじめには、X連鎖重症複合型免疫不全症(SCID-X1)と呼ばれる疾患に対して、20人の小児患者が遺伝子治療を受けましたが、そのうちの5人が白血病を発症し、1人が死亡するという事件が起きました。この原因は患者のゲノムに挿入された治療用遺伝子が「がん遺伝子」を活性化したためと考えられています(1、2)。現在ではレトロウィルスベクターのかわりに、より安全性を担保されたレンチウィルスベクターが用いられ、ウィルスベクターによる遺伝子治療が再出発しています(3)

しかしこのようなウィルスベクターによる治療にはいつくか問題点があります。ひとつは遺伝子が挿入される場所を指定できないので、何が起こるか判らないという怖さがあること。いまひとつはハンチントン病のように、変異遺伝子が生成する異常タンパク質が、正常なタンパク質の作用を妨害するような場合には無効であることです(4)。

したがって、そのようなウィルスベクターによる治療に危惧を抱いていたグループの中では、前稿でとりあげたカペッキやスミティーズの相同遺伝子組み換え技術によって、異常遺伝子を正常遺伝子に組み換えるという可能性を追求しようという機運がひろがっていました。

そもそも相同遺伝子組み換えというのは、真核生物では主に減数分裂の時におこる現象ですが、どのようなメカニズムで行なわれるのでしょうか? このそもそも論に取り組んだのがジャック・ショスタクです。彼はテロメア・テロメラーゼ関連でノーベル賞を受賞しましたが、それ以外の仕事でもその天才ぶりを遺憾なく発揮しました。

DNAは常に放射線・紫外線・化学物質などにさらされており、日常的に損傷を受けています。損傷のタイプは大きく分けて二つあり、ひとつは1本鎖の切断で、これは修復機構が数多く知られています(5、6、図1)。いまひとつは2本鎖の切断で、1本鎖の切断の場合と異なり、断点でDNAが生き別れてしまうおそれがあるという生命にとって極めて危険な状況が発生します(図1)。しかし生命はあえて損傷時以外にも、減数分裂時には染色体の組み換えを行なって、遺伝子のシャフリングを行なっています。そのためには2本鎖の切断と修復が必要です(図1)。

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ショスタクらは1983年に、2本鎖切断を修復する機構のモデル(仮説)を発表しました(7、図2)。今見てみると非常に味わい深いモデルだと思いますが、発表された当時はあまりに都合の良いことを単純につなぎ合わせたような気がして、信じ難い感じがしました。多くの研究者が当時はそう思っていたのではないでしょうか。しかし現在では着々とその正しさが証明されつつあります(8)。

2本鎖の断点から、まず1本鎖が断点の5’側からエクソヌクレアーゼによってかじられ(タンパク質がとりつくスペースを空けるためでしょう)、かじられなかったもう1本の鎖にRAD51(図2の赤丸)というタンパク質がとりつきます。これとRAD54(図2のオレンジ楕円)などが協力して相同染色体の対応部位をさがしてとりつきます。ここで相同染色体にある塩基配列を利用して図2のような修復を行ないます。結果的に染色体の組み換えが行なわれていることに注意して下さい。修復に利用された相同染色体側から見れば、染色体の一部が切り取られて移動しただけですが、2本鎖切断を受けた側の染色体では、極めて複雑なプロセスがあることがわかります。このプロセスの全貌はまだ解明されていません。

重要なのは、生物が本来持っている遺伝子組み換え機構を発動するには、DNA2本鎖切断、相同染色体、DNA加工酵素、相同部位を探すために必要なタンパク質、の4者が必要だということです。

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DNAの2本鎖修復が、切断を受けたDNA以外のDNAを利用して行なわれることの証拠をはじめて示したのはマリア・ジャシンらでした。彼女らは18塩基配列を認識して2本鎖DNAを切断する特殊なエンドヌクレアーゼをマウスに導入し(マウスにはこ18塩基配列がないため、ずっと発現していても何もおこらない)、18塩基配列をマウスゲノムに埋め込むとともに、この配列に相補的なDNA断片を供給すると、約10%の細胞が相同組み換えによってDNAを修復することができました(9)。

この記事「クリスパー」の主役であるジェニファー・ダウドナはショスタクの研究室で博士号を得ているので、当然相同遺伝子組み換えには関心を持っていたはずですが、ポストドクはコロラド大学のトム・チェックの研究室でリボザイムの研究を行なっていました。しかし彼女が就職してから最初に取り組んだのは、「細菌の免疫機構」というテーマでした。

参照(4)によると、2006年のある日会ったこともないジリアン・バンフィールド(ジル)という研究者から電話がかかってきて、共同研究のオファーがあったそうです。よくわけがわからなかったそうですが、ダウドナはその熱意にほだされて会って話を聴くことにしました。ジルはあらゆる細菌DNAが規則的にとびとびに並んだクラスター状の回文反復配列を持っており、その反復配列の間に異なる配列がはさまれているという話をしました(図3、灰色部が反復配列、赤・青・緑がそれぞれ異なる配列)。

この回文反復配列は、もともと別の大腸菌遺伝子の研究をしていた石野良純がその隣接領域に発見して報告していたものです(10、図3の赤枠の中)。当時はこの配列の重要性に誰も気づきませんでしたが、かなり後になって、この配列が多くの細菌・古細菌にみられるということをフランシスコ・モヒカらが報告しました(11)。ウィキペディアによれば、配列決定された原核生物のうち真正細菌の4割と古細菌の9割に見出されているそうです。この配列は2002年にルート・ヤンセンらによってCRISPR(クリスパー=Clustered Regularly Interspersed Short Palindromic Repeats)と命名され、この近傍にはCAS遺伝子群(CRISPR-associated genes)が存在することも明らかになりました(12)。


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ダウドナがジルに会う少し前に、アレグザンダー・ボロティンらが、反復配列にはさまれた赤・青・緑の領域がウィルスの塩基配列とホモロジーがあることを発表していました(13)。さらにジルはダウドナにマカロヴァらの最新の論文を見せ、そこにはクリスパーが細菌の免疫機構のひとつであることが示唆されていました(14)。 ダウドナは自分がそれまで研究していたRNA干渉(mRNAの相補配列をもつRNAが転写を制御する機構)が、原核生物の免疫に関与しているという話に驚愕し、ただちに食いつきました(4)。ダウドナの本には、海中の細菌の40%が毎日ウィルス感染によって死んでいると書いてあります。細菌にはすごい増殖能力があるので、ウィルス感染なんて「へ」でもないというわけにはいかないようです。

ちょうどその頃、ロドルフ・バランガウらはウィルス抵抗性を獲得した細菌のクリスパーを調べて、新規にそのウィルスのゲノム配列がスペーサー部にコピーされていることを発見し、クリスパーが細菌の獲得免疫をになう機構であることを証明しました(15)。この免疫機構が素晴らしいのは、いったん獲得するとそれが子孫にも受け継がれるという点です。

2008年になりスタン・ブロウンズらは、まずクリスパー全体が転写され、次に転写されたRNAがリピート部分でRNA分解酵素によって切断されて、各スペーサー部分と相補的なRNA分子が生成されることを示しました(図4、16)。この短いRNAはウィルスゲノムと相補的な構造をもっているため、ウィルスを不活化することができると考えられます。しかしそのメカニズムはそのようなものなのでしょうか。最近の研究ではこのメカニズムは大きくわけて大腸菌などに適用される I 型と レンサ球菌などに適用される II型があることがわかっています。

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ダウドナの研究室では2011年頃までは主に特異性の低いクリスパー I 型について研究していたのですが、プエルトリコのカフェで偶然エマニュエル・シャルパンティエと出会って共同研究を始めた頃から、特異性の高い II 型の研究に重心を移しました(4)。エマニュエルは II 型クリスパーシステムを持つレンサ球菌のCAS9を研究していて、この遺伝子の突然変異によって免疫機構が失われることをみつけていました。ダウドナ研ではエマニュエルの研究室の他各地から人材を集めてCAS9の機能分析を行ないました。中心となったのはダウドナ研のマーティン・イーネック(Martin Jinek) とシャルパンディエ研の クシシュトフ・チリンスキ(Krzysztof Chylinski)です(図5)。二人ともポーランド語を話せたので意思疎通はうまくいったようです。

当初はクリスパーRNAとCAS9でファージDNAを切断できると思っていたわけですが、実はそれ以外に tracrRNA(trans-activated RNA)というもうひとつの役者が必要であることがわかりました。このRNAはクリスパーRNAと相補配列をもち、ハイブリッドを形成してCAS9を分解すべきDNAの特定部位に導きます。PAM配列という生物種や関連分子種によって異なる特異配列が誘導に介在しています。CAS9がDNAの2本鎖をこじ開けると、クリスパーRNAがその片側と結合します。その状態でCAS9のふたつのヌクレアーゼサイトを同時に使って2本鎖の両方を同時に切断します(17、図5)。

ダウドナ研で tracrRNAとクリスパーRNA(crRNA)を人工RNAで接続し1分子(キメラ分子)に統合してもCAS9を切断部位に誘導できることが示され、図5のようにクリスパーをツールとして用いるときは、このようなキメラ分子を使うのが便利ということになりました(図5)。この人工キメラ分子はsgRNA(シングルガイドRNA)と名付けられました。

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図6はクリスパーの基礎研究を主導した3人の女性研究者です。彼女たちは研究者としてのみならずマネージャーとしても一流で、多額の研究費を得て大規模な研究室を維持し切り盛りしています。ちょっとバークレイのダウドナ研のサイトをのぞいてみましたが(18)、主要メンバーはほとんど中国系で驚かされます。まもなくノーベル賞を受賞しようかという研究室にもかかわらず、ポストドク、学生のなかに日本人がみあたらないのは残念です。CAS-クリスパーシステムのもう少し専門的または詳しい日本語解説をみたい方は(19)などを参照されるとよいでしょう。

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CAS-クリスパーシステム(sgRNA+Cas)と挿入用のDNAを使えば、正確な位置にDNAを挿入することができます(図7)。といっても遺伝子をまるごと挿入できるわけではありません。ダウドナはその著書のなかで「CRISPRは私たちに生命の分子そのものを思うままに書き換える手段を与え」と述べていますが、それはちょっと大げさです。たとえば2種類のsgRNAを用いてひとつの遺伝子を両端で切断してとりはずし、別の遺伝子と入れ換えるなどということはできません。ただ遺伝子に突然変異を導入する効率は飛躍的に進歩しました。

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CAS-クリスパーシステム(sgRNA+Cas)を使ってDNAを切断すると、2本鎖切断がおきるので、鋳型に依存しない通常不正確な修復機構によってDNAがつながります。この結果しばしば遺伝情報のフレームシフト(横ずれ)によってコードが意味をなさなくなり、遺伝子の機能が失われます(図8)。

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マウスの受精卵にCAS-クリスパーシステム(sgRNA+Cas)を注入し、胚盤胞まで培養して仮親に育てさせると、狙った遺伝子が図8のような機構で無効化し、ノックアウトマウスを作成できます(図9)。また同時にオリゴDNAを注入すると、そのオリゴDNAをゲノムDNAにとりこんだ動物ができます。たとえば点突然変異を持つ動物を作成できます(20、図7)。

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ある遺伝子に変異を導入して病原菌のターゲットにならないように遺伝子を改変するというのは、CAS-クリスパーシステムの特異とするところです。うどんこ病に抵抗性のコムギなどは大きな成功でしょう(21)。このシステムでは狙った特定の位置に正確に変異を導入できるので、X線・ガンマ線・化学物質などを使ってランダムに導入された変異などとはわけが違う、素性のはっきりした品種改良であり、これは私達が慎重さを確保した上で受け入れるべきものでしょう。

ダウドナの本(4)は非常によくまとめられていて、著者の頭の良さをうかがわせますが、同時にクリスパーのプロパガンダの本でもあります。クリスパーはもともとウィルスのDNAを破壊するためのシステムであり、特定の配列を認識してDNAを切断することはできますが、これを遺伝子編集というのはかなりおおげさな表現だと思います。クリスパーシステムが制限酵素のシステムと違うのは、ひとつはウィルスのDNA配列を記憶しておけるということ。もうひとつは制限酵素よりはるかに長い配列(20塩基)を認識できるので、自分のDNAを間違って切断する心配はない(したがってメチル化による保護は不要)ということです。

クリスパーシステムを用いた遺伝子治療を行なうには、プラスミドかウィルスにCAS-クリスパーを潜入させて、標的になる細胞にとりこませなければなりません。受精卵は大きいのでマイクロインジェクションで注入できますが、体細胞にはこのやり方は向いていません。このあたりがなかなか難しいところです。

参照

1)免疫不全症の遺伝子治療 AASJ
http://aasj.jp/news/watch/2281

2)遺伝子治療の現状と課題 PMDA科学委員会
https://www.pmda.go.jp/files/000156275.pdf

3)遺伝子治療の再来 北青山Dクリニック がん遺伝子治療センター
https://cancergenetherapy-dclinic.info/knowledge/treatment/457/

4)ジェニファー・ダウドナ、サミュエル・スターンバーグ著 櫻井裕子訳 「クリスパー 究極の遺伝子編集技術の発見」文藝春秋社(2017)

5)http://morph.way-nifty.com/grey/2016/11/post-4728.html

6)http://morph.way-nifty.com/grey/2016/12/post-1ebc.html

7)Jack W. Szostak , Terry L. Orr-Weaver , Rodney J. Rothstein , Franklin W. Stahl., The double-strand-break repair model for recombination., Cell Vol. 33, Issue 1,  pp. 25-35 (1983)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0092867483903318

8)黒沢綾、足立典隆 ヒト細胞における DNA 二本鎖切断の修復 Isotope News  2014 年 5 月号 No.721、 pp. 8-14
https://www.jrias.or.jp/books/pdf/201405_TENBO_KUROSAWA_ADACHI.pdf#search=%27%E9%BB%92%E6%B2%A2%E7%B6%BE%E3%80%81%E8%B6%B3%E7%AB%8B%E5%85%B8%E9%9A%86%27

9)Philippe Rouet, Fatima Smih and Maria Jasin., Expression of a Site-Specific Endonuclease Stimulates Homologous Recombination in Mammalian Cells., Proc. NAS., Vol. 91, No. 13, pp. 6064-6068 (1994)
https://www.jstor.org/stable/2365114

10)Ishino, Y., Shinagawa, H., Makino, K., Amemura, M., and Nakata, A. (1987) Nucleotide sequence of the iap gene, responsible for alkaline phosphatase isozyme conversion in Escherichia coli, and identification of the gene product. J. Bacteriol. 169, 5429-5433.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC213968/pdf/jbacter00202-0107.pdf

11)Francisco J. M. Mojica, Cesar Díez-Villaseñor, Elena Soria, Guadalupe Juez., Biological significance of a family of regularly spaced repeats in the genomes of Archaea, Bacteria and mitochondria., Molec. Microbiol., vol. 36, Issue 1, pp. 244–246 (2000)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1046/j.1365-2958.2000.01838.x/full

12)Jansen R, Embden JD, Gaastra W, Schouls LM.,  “Identification of genes that are associated with DNA repeats in prokaryotes”. Mol Microbiol vol. 43 (6): pp. 1565–1575. (2002) doi:10.1046/j.1365-2958.2002.02839.x. PMID 11952905

13)Bolotin A, Quinquis B, Sorokin A, Ehrlich SD., Clustered regularly interspaced short palindrome repeats (CRISPRs) have spacers of extrachromosomal origin., Microbiology. vol. 151(Pt 8): pp. 2551-2261. (2005)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16079334

14)Makarova KS, Grishin NV, Shabalina SA, Wolf YI, Koonin EV., A putative RNA-interference-based immune system in prokaryotes: computational analysis of the predicted enzymatic machinery, functional analogies with eukaryotic RNAi, and hypothetical mechanisms of action.,  Biology Direct, 1:7, (2006)  doi:10.1186/1745-6150-1-7
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16545108

15)Rodolphe Barrangou et al., CRISPR Provides Acquired Resistance Against Viruses in Prokaryotes., Science vol. 315, Issue 5819, pp. 1709-1712 (2007)
DOI: 10.1126/science.1138140
http://science.sciencemag.org/content/315/5819/1709.long

16)Brouns SJ et al., Small CRISPR RNAs guide antiviral defense in prokaryotes., Science. vol. 321 (5891): pp. 960-964. (2008)  doi: 10.1126/science.1159689.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18703739

17)Jinek M, Chylinski K, Fonfara I, Hauer M, Doudna JA, Charpentier E., A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity.,
Science vol. 337(6096):  pp. 816-821. (2012)  doi: 10.1126/science.1225829. Epub 2012 Jun 28.

18)http://rna.berkeley.edu/people.html

19)新海暁男  CRISPR-Casシステムの構造と機能 生物物理 vol. 54(5),pp. 247-252(2014)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/54/5/54_247/_pdf

20)H Wang et al., One step generation of mice carrying mutations in multiple genes by CRISPR/Cas-mediated genome engineering., Cell vol. 153 pp. 910-918 (2013)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3969854/

21)Yanpeng Wang et al., Simultaneous editing of three homoeoalleles in hexaploid bread wheat confers heritable resistance  to powdery mildew., Nature Biotechnology, vol. 32, pp. 947-952  (2014 ) DOI: 10.1038/nbt.2969

 

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2017年12月 4日 (月)

バルサレポート2017~2018

Braugrana今年もしバルサが優勝するようなことがあれば、MVPはテア=シュテーゲンでしょう。セルタ戦(第14節)は2:2で引き分けましたが、ようやくスアレスとメッシの調子が上向いてきたので、これからは期待できるでしょう。

セルタ戦の失点のひとつはウンティティの肉離れが原因でしたが、どうも最初からやや違和感があって加減していたような気もします。ジョルディ=アルバの裏は相手の狙い所なので、これは問題です。マスチェラーノも故障中なので、ヴェルマーレンが居てよかったバルサです。

メッシとスアレスも調子が上向いて来ただけに、ちょっと無理なプレーが多くて、球を失う場面が多かったように思いました。彼ら以外にもセルタ戦のバルサメンバーは、プレーにいつになく慎重さがなく、無理なパス、無理なドリブルが多すぎた感じです。2バックなので、こんなに球を奪われると耐えられません。ドローはラッキーだったかもしれません。

クラシコは12月23日(土)夜8:30 WOWOWライヴで放送(生中継)。日本での視聴に配慮してこのような時間になったようです。渋谷のカフェ・ドセがまだ営業していたら大盛況になっていただろうに閉店は残念です。来週のヘタフェ(柴崎)vsエイバル(乾)も日本での視聴に配慮したのかもしれません(12月9日8:59分から生中継)。

セルタ戦の解説は田中隼磨氏でした。橫浜の日産スタジアムでバルサSBと互角以上にプレーしていたのが懐かしく思い出されます。解説はまだまだ素人。観戦を盛り上げるのが役目というのがわかっていない。ヒデはサッカーを知っているだけ、かえって司会としては不適任だと思いますね。横にボケ役がいないと面白みもありませんし。

https://www.youtube.com/watch?v=lJTNm4ELCTY
https://www.youtube.com/watch?v=RP4xupVIrJQ


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2017年12月 2日 (土)

サラとミーナ195: 冬の陽ざし

Imga


寒い日々ですが、昼間には陽ざしのある窓際の猫ベッドで過ごすサラとミーナ。いつもこの調子で仲良く生きていってほしいですが・・・。

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2017年11月30日 (木)

小泉-都響@東京芸術劇場2017・11・30 with 堀米ゆず子

Imga本日の指揮はマエストロ小泉、コンマスは四方さん。ソリストは堀米ゆず子さん。矢部ちゃんは母君に、堀米さんのように熱心に練習するようにと命じられたことがあるようです。本日の矢部ちゃんはサイドで四方さんをサポートでした。

オーケストラ・オンリーの曲も団員が素晴らしい名技を発揮し楽しめましたが、今日の主役はなんと言ってもソリストの堀米さん。曲はブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番。

頭髪はもう白かったですが、実に若々しく瑞々しい演奏で、完全にノックアウトされました。音の美しさもさることながら、特に第2楽章でオーディエンスに語りかけてくれるような繊細な演奏が素晴らしい。

指揮台の手すりがグラグラだったらしく、休憩の時に係員がねじを締め直していました。事故がなくてよかったです。小泉さんといい、マエストロ・インバルといい、年齢を超越してよいお仕事をなさっているのには驚きます。ベームなんてほとんど指揮台にいるだけでしたから。

帰りに都響からシャトレーゼのバウムクーヘンをいただきました。結構うれしい。上部にサラの足が見えています。写真を撮影していると、めずらしく寄ってきました。

Imgb

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2017年11月29日 (水)

ジョージ2世が今年の冬もやってきた

Imgaあと数日でケヤキの葉がほとんど落葉しようとする頃、またジョージ2世とおぼしきヒヨドリがやってきました。

今年もひと冬、また私とつきあってくれるのでしょうか?

だとするとこのヒヨドリは漂鳥ではなく、多分この団地の留鳥だと思います。春夏秋にも団地内のやや離れた場所では、しばしばヒヨドリをみかけることがあるので。

この団地の留鳥は多分カラス、スズメ、キジバト、ハクセキレイ、そしてこのヒヨドリくらいでしょうかね? ムクドリはかなり行動範囲が広いようです。

団地は定期的に殺虫剤をまいていますし、植物の生育もかなり制限しているので、よくまあ命をつないでいるものだと関心します。

葉がエレベータに入って故障するとか、車が樹液で汚れるとか、虫が繁殖するとか、掃除に手間がかかるとか、植物をいじめる理由には事欠きません。

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2017年11月26日 (日)

やぶにらみ生物論94: ノックアウトマウス

1970年代後半から、遺伝子クローニングやDNA塩基配列解析の技術が飛躍的に進歩しました。それにともなって、構造はわかったが機能がわからない遺伝子がたまっていくことになりました。このような未知遺伝子の機能を解析するには、とりあえずその遺伝子を無効化して何が起こるか見てみたいわけです。

1980年代になってエヴァンスらが胚盤胞の内部細胞塊から多分化能をもつ細胞株(ES細胞)の樹立に成功し(1、図1))、ES細胞由来のマウスを作成することが可能になりました。

1985年には、スミティーズらが相同遺伝子組み換え法によって、ベータグロビン遺伝子領域に外来のDNAを挿入できることを示しました(2、図1)。そしてついに1987年になって、カペッキらは、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ (HPRT)という酵素の遺伝子の一部に、ネオマイシン耐性遺伝子を組み込んだベクタ-作成し、ES細胞内で相同遺伝子組み換えを起こさせてHPRTを欠損する細胞を作成しました(3、図1)。個体レベルでは、HPRTを欠損すると体内に尿酸が蓄積して痛風や腎不全が引き起こされます(4)。

エヴァンス・スミティーズ・カペッキらによって開発された技術は一般化され、どの遺伝子でも人為的に欠損させてその機能を調べられるようになりました。この功績によって彼ら3人に2007年のノーベル生理学・医学賞が授与されました(5)。マリオ・カペッキはイタリア人ですが、父親は戦死、母親は反ファシスト運動でダッハウ収容所に送られ、4才から放浪して数年間コチェビのような生活(ストリート・チルドレン)をしていたそうです(6)。

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ノックアウトマウス作成の概要は次のようになります。まず標的遺伝子と似ているが不活化した遺伝子を含むベクターを用意します。通常この内部にはネオマイシン耐性遺伝子などの、組み換えが成功した細胞を選択するための遺伝子を挿入しておきます。このベクターを胚性幹細胞(ES細胞)を培養しているシャーレに投入して、電気ショック・リン酸カルシウム処理などで細胞内に侵入させ、標的遺伝子との組み換えを行なわせます(図2)。

組み換えに成功した細胞はネオマイシン耐性などで選別します。生き残ったES細胞(相同遺伝子組み換えに成功した細胞)を胚盤胞に注入します(図2)。注入された細胞は、内部細胞塊の細胞と混ざって、これから生まれる個体の一部になります。つまりこの胚盤胞はキメラ動物になります。

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通常図2のような操作を行なう場合、分子生物学担当、細胞培養・胚操作担当、などとは別に動物実験担当者を決めておき、担当者はまずパイプカット手術(無精子となる)をした♂と正常なメスを交配させて、偽妊娠状態の♀を作成しておきます。偽妊娠状態の♀に図2で作成した胚盤胞を移植して着床させます(図3)。この仮親となった♀から生まれた子供は、本来の親由来の細胞とES細胞由来の細胞の両者を持っており、いわゆるキメラの状態になります(図3)。

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キメラマウスの卵または精子のなかにはES細胞由来の遺伝子を持つものがあるはずで、そのような生殖細胞と正常な動物の生殖細胞が接合すると、ES細胞由来の遺伝子をヘテロで保有する動物が生まれてきます(図4)。そのヘテロ動物同士をかけあわせると、メンデルの法則に基づいて25%の確率でホモの生物が生まれます。

このマウスは本来持つべき遺伝子を2本の染色体共に喪失しているので、当該遺伝子に関していわゆるノックアウト状態になります(図4)。このような状態のマウスをノックアウトマウスとよびます。

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相同組み換えを起こさせるために、通常はES細胞の培養系にベクターを投入するのですが、もともとは図5のように、受精卵の核にDNAを注射する(マイクロインジェクション)という方法も採られました。

吸引用の毛細管で吸引することによって卵を固定し、反対側から注射用毛細管でDNAを卵核に注入します。難しい技術で効率もよくないのですが、この方法でもノックアウトマウス作成が可能です(図5)。

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遺伝子は必要であるからこそ代々受け継がれてくるわけで、ノックアウトすれば当然不都合が発生するはずです。特に日常的に必要とされるタンパク質をコードする遺伝子をノックアウトすると、胚または胎仔のうちに死亡して生まれてさえこないということになります。それでは遺伝子の機能解析ができません。

そこで外部からなんらかのシグナルを送らない限り遺伝子の喪失がおこらないような生物が、ブライアン・ザウアーらによって考案されました(7、8、図6)。それはCre/loxPというシステムですが、このシステムのルーツはバクテリオファージP1にあります。このファージは環状化するためにloxPという配列(図6)を両端に持っており、この2ヶ所にCreというリコンビナーゼが結合し、その後それぞれのCreが結合することによって反応がはじまって、ホストDNAからファージDNAが切り出されて環状化します。

ブライアン・ザウアーという人はもともと天文学者になりたかったそうですが、ウィスコンシン大学の数学科を卒業してから縁あってデュポン社の研究所で仕事をするようになり、そこで同僚がバクテリオファージのCre/loxPシステムを研究していたので、それを真核生物の研究に役立てる方法はないかと考えるうちに、遺伝子ノックアウトに使えるのではないかと思いついたそうです(9)。

標的遺伝子と相同組み換えを行なうDNAの両端にloxP配列を入れておくと、そのDNAが標的遺伝子と同じ機能を持つとしても、Creが作用すればloxPにはさまれた部分は環状化してゲノムから切り離され、遺伝子機能は失われます(図6)。ここでCreを核内に侵入させる方法を考えます。あるシグナルがあると核内に移行するタンパク質があれば使えるかもしれません。

たとえばエストロジェン受容体にCreを結合し、タモキシフェンを作用させるとエストロジェン受容体はCreと共に核内に移行します。そうするとCreはloxPと反応して標的DNAを切り出し無効化させることができます。すなわちタモキシフェンの投与によって、随時遺伝子をノックアウトできるのです(10、図6)。

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このCre/loxPというシステムは大変便利なもので、例えばCreの上流にあるプロモーターを組織特異的に機能するプロモーターに付け替えておくと、例えば筋組織だけで機能するプロモーターだと、筋組織だけでCreが発現して遺伝子が無効化する生物を作成することができます。

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また、標的遺伝子をloxPではさみ、さらにレポーター遺伝子(たとえば細胞を緑色に光らせるGFP遺伝子など)をつないだ相同組み換えを行なったマウス(floxedマウス)を作成し、これとCreをゲノムに組み込んだマウスを交配するとCre/loxPマウスが作成できます(図8)。あとは上記の通り、時期特異的なり組織特異的なりの方法で遺伝子機能を解析することができます。これらのプロセスのかなりの部分は、お金さえあれば業者に委託してやってもらうことも可能です(11)。また胚や精子を大学や業者に預けて保存してもらうことも可能です(12、13)。

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参照

1) Evans, M. J., and Kaufman, M. H. Establishment in culture of pluripotential cells from mouse embryos. Nature, vol. 292, pp. 154-156 (1981). doi:10.1038/292154a0
http://www.nature.com/articles/292154a0

2) Oliver Smithies, Ronald G. Gregg, Sallie S. Boggs, Michael A. Koralewski & Raju S. Kucherlapati., Insertion of DNA sequences into the human chromosomal β-globin locus by homologous recombination., Nature vol. 317, pp. 230–234 (1985) doi:10.1038/317230a0
http://www.nature.com/articles/317230a0

3)Thomas, K. R., and Capecchi, M. R. Site-directed mutagenesis by gene targeting in mouse embryo-derived stem cells. Cell, vol. 51, pp. 503-512 (1987).
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2822260

4)レッシュ・ナイハン症候群
https://www.weblio.jp/wkpja/content/%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%8F%E3%83%B3%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4_%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%8F%E3%83%B3%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81

5)The Nobel Prizein Physiology or Medicine 2007 is awarded jointly to Mario R. Capecchi, Martin J. Evans and Oliver Smithiesfor their discoveries of “principles for introducing specific gene modifications in mice by the use of embryonic stem cells”
https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/2007/popular-medicineprize2007.pdf

6)https://en.wikipedia.org/wiki/Mario_Capecchi

7)Sauer, B. "Functional expression of the Cre-Lox site-specific recombination system in the yeast Saccharomyces cerevisiae". Mol Cell Biol. vol. 7 (6): pp. 2087–2096. (1987)doi:10.1128/mcb.7.6.2087. PMC 365329 Freely accessible. PMID 3037344.

8)Sauer, B.; Henderson, N. (1988). "Site-specific DNA recombination in mammalian cells by the Cre recombinase of bacteriophage P1". Proc. Natl. Acad. Sci. USA. vol.85 (14): pp. 5166–5170. (1988)  doi:10.1073/pnas.85.14.5166. PMC 281709 Freely accessible. PMID

9)https://www.dnalc.org/view/16868-Biography-41-Brian-Sauer-1949-.html

10)D Metzger, J Clifford, H Chiba, P Chambon.,  Conditional site-specific recombination in mammalian cells using a ligand-dependent chimeric Cre recombinase. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., vol. 92(15); pp. 6991-6995 (1995) [PubMed:7624356]  [WorldCat.org]

11)http://www.funakoshi.co.jp/contents/7812

12)http://www.transgenic.co.jp/products/mice-service/modified_mouse/icsi.php

13)http://www.anim.med.kyoto-u.ac.jp/NEW_ILA/reports/v2/2seijyou.htm

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2017年11月23日 (木)

井上道義-都響@チャイコフスキー交響曲第5番 & 村治佳織

Img会議が長引いて、私にしてはめずらしくギリギリセーフ。おかげで傘を持たずに出かけられたのはラッキーでしたが。

今日の演奏会@蒲田アプリコはチケット完売。さすが村治佳織の威力か?マエストロ井上の指揮、コンマスは山本さん、サイドはゆづきです。

昔村治佳織がロドリーゴに会いに行ったというドキュメンタリーをテレビでみたことがあります。ロドリーゴはベッドから起き上がれない状態でしたが、なにがしかのふれあいはできたようでした。非常に印象的なドキュメンタリーでした。

上はピッチリ、下はフワフワの衣装で登場。ちょっと変。最初の曲はソロでロドリーゴの「小麦畑で」。あれ、昔からこんなひなびた感じの枯淡の演奏をしていたでしょうか? 意外でした。

アランフェスも同じ感じで、大変味わい深い演奏でした。いつもながら南方(起立演奏)のイングリッシュホルンが情感豊かにサポートする素晴らしい第2楽章でした。会場も楽章によって明るさを変えるというめずらしい趣向。これはいいかもしれません。

アンコールは「アルハンブラの思い出」
https://www.youtube.com/watch?v=m25YhdI1Pvo

どんな会社でも、社員をやる気にさせる幹部社員は貴重ですが、井上さんはまさしくそのような人。小林久美などは、この寒さでノースリーブに近い半袖でした(関係ないって? 私はあると思う)。

彼には独特のカリスマと湧き上がるスピリットがあって、濃密な情念に充ち満ちた、最高のチャイコフスキーを聴かせてくれました。この人間力は何なのでしょう。

マエストロ井上の指揮
https://www.youtube.com/watch?v=XFudgOzQEW8

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2017年11月21日 (火)

誰がこんな仕事の注文を出しているのか?

ネット上でいわゆるネット右翼を募集するための広告が掲載されていると話題になっています(ソースはhttp://saigaijyouhou.com/blog-entry-18347.html)。

問題となっているのはインターネットを通して発注者が受注者を公募して仕事を発注するサービス「クラウドワークス」で、ホームページ作成からブログ記事まで様々な公募が掲載されているサイトです。誰かが発注したからクラウドワークスが人を募集しているわけです。これは世論操作のための商売であることは明らかであり、選挙時以外はただちに違法行為とはいえないものの、好ましくはないことでしょう。

もし某政党関係者/某政治団体が注文したとすれば、ウソや誇張があったとしても発信したアルバイトや雇用した会社の責任にできるので、悪賢いダーティなやり方でしょう。容認できません。主張したいことがあるなら、自分で主張すればいいんです。

クラウドワークス https://crowdworks.jp/

注目を浴びているのは政治部門の募集内容で、そこの中には「政治系の記事作成。保守系の思想を持っている方限定」というようなタイトルで政治系の記事作成者を募集していました。

内容は野党批判系で「1記事で手数料込み800円+消費税(合計864円)」となっており、動画の方も報酬は5動画で300円、本採用だと1動画80円になっています。10日10本くらいが目安で、widowsムービーメーカーでのテキストスクロールが動画のメインとして掲載されていました。

クラウドワークスは2015年に安倍首相から直々に日本ベンチャー大賞で表彰を受けています。今回の騒動を受けてクラウドワークスは政治系の制限をするとしていますが、他の会社でもネットの政治部門で同じような事が行われていました。

==============
このお仕事って、どんな内容?

政治系の記事作成です。政治にある程度詳しい方がいいです。保守系の思想を持っている方限定というのは、私が保守系だからです。自民党は保守系と言われていますが、左派的な政策もかなり行っているので、自民党の意見に必ずしも賛成である必要はないです。批判をしてもいいです。

例えば記事の内容として:

〇憲法9条を改正し、軍隊を保有すること、当然だと思っています。国際法上も当然の権利として認められていることが憲法では否定されているので、これは絶対に改正すべきです。安倍総理の改正案では緩いです。

〇韓国とはもう付き合うべきではない。安倍さんの合意は間違えていた。

〇外国人に土地を買わせないように

〇石破さんは首相候補として相応しくない

〇共産党の議員に票を入れる人って反日ではないか

〇民進党の政策を反対のことを行えば日本は良くなる

〇天皇制が絶対に男系であるべき

こんな感じで、あなたの考えを記事にしてください。

書きたいテーマを提案してください。内容としては民進党とか共産党にくみする記事は採用しません。

[参考記事]http://xn--n8jxbh.jp/foreigner-welfarehttp://xn--n8jxbh.jp/iapan-protect
〇文字数は1800文字以上であれば上限はありません。
〇1記事税金や手数料込みで800円+消費税です(合計864円)
〇納品はワードかtxtファイルでお願いします。

[形式]以下の記事のように小見出しと段落を付けてください
http://xn--n8jxbh.jp/iapan-protect

[注意]コピー記事は絶対にやめてください。発見した場合には承認は出来ません。

内容としては民進党とか共産党にくみする記事は採用しません。
==============

クラウドワークスによる上記の募集記事は、現在は削除されているようです。

情報速報ドットコムより
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-18347.html

参照:
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C0%A4%CF%C0%C1%E0%BA%EE

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2017年11月20日 (月)

熊木杏里 中国でスター街道を驀進

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なんと熊木杏里はカウントダウン公演を北京でやるそうです。日本の産業・社会・文化が衰退していっていることの、ひとつの象徴かもしれません。それにしても、クマッキーが日本ではなく中国で大スターになっていくのをみるのは、ファンとしては忸怩たる思いです。

せめて来年3月24日 東京国際フォーラムでのコンサートは成功して欲しいですね。
https://www.t-i-forum.co.jp/calendar/?date=20180324

熊木杏里15周年記念中国巡回演唱会“雪的物語”

日時:2017年12月21日 広州公演
会場:広州星海音楽庁大庁
時間:20:00~

日時:2017年12月22日 深セン公演
会場:深セン南山文体中心劇院
時間:20:00~

日時:2017年12月24日 無錫公演
会場:無錫人民大会堂
時間:19:30~

日時:2017年12月26日 上海公演
会場:上海美琪大劇院
時間:19:30~

日時:2017年12月27日 重慶公演
会場:重慶労働文化宮
時間:19:30~

日時:2017年12月28日 成都公演
会場:西女単国際劇場
時間:19:30~

日時:2017年12月30日 大連公演
会場:大連開発区大劇院
時間:19:00~

日時:2017年12月31日 北京公演
会場:疆進酒
時間:21:30~
終了後年越しカウントダウン有

冬です

「ひみつ」
http://v.youku.com/v_show/id_XMTAwMjQ4ODA0.html?debug=flv

「一等星」
http://v.youku.com/v_show/id_XNzQ1Mjk2NDEy.html?s=362628&debug=flv

「こと」
http://v.youku.com/v_show/id_XNzQ1MjkxNzky.html?spm=a2h0j.8191423.playlist_content.5!22~5~5~A&sid=362628&debug=flv

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2017年11月17日 (金)

やぶにらみ生物論93: ES細胞とiPS細胞

哺乳動物はプラナリアのように分断してもまた個体が再生されるという生物ではありません。トカゲのようにしっぽを切ったらまた生やすという能力もありません。成体のカエルも哺乳動物と同様足を切ったらまた生えてくるわけではない生物ですが、1958年にガードン( J. B. Gurdon )が、カエルの腸の細胞の核を、予め除核した卵に移植すると、低い確率ですがカエルが発生することを発見していました(1)。

すなわち成体のカエルはプラナリアのように体を切り刻んでも個体の再生はできないけれど、少なくとも一部の体細胞には発生の全過程をサポートする能力のある遺伝子が残っているということが示されました。この実験は後に ワブル(M. R. Wabl )らによって検証され、たまたま腸に残存していた多能性幹細胞の核が採取されたのではなく、実際に分化が完了している細胞のDNAに発生の全過程をサポートする遺伝情報が存在することが証明されました(2)。また哺乳類でもテラトカルシノーマという癌は内部に様々な分化した細胞を内包することは昔から知られていました(3)。これらのことは組織や臓器を培養容器内で生成しようとする人々に勇気を与えました。

1996年になって、キース・キャンベルとイアン・ウィルムット(Keith Campbell and Ian Wilmut )らは羊の乳腺細胞を通常の血清濃度の1/20で培養して多能性を復活させ、別の個体から得られた未受精卵の核を除去して、多能性復活処理した乳腺細胞と電気刺激で融合させました。さらにその細胞を胚盤胞まで体外で育て(図2)、代理母の子宮に移植すると子羊が誕生しました。

この子羊は乳腺細胞を採取した羊のクローンであり、ドリーと名付けられました(4,図1)。ドリーは哺乳類初のクローン個体であり、その誕生は畏怖の念をもって世界から注目されました。ノーベル文学賞のカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」(2005年刊)でも、ヒトのクローンがとりあげられました。

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同じ方法ではありませんが、クローン動物は優秀な種牛の保存などに実用化されました。ペット(イヌ・ネコ)を復活させようという試みも成功しています。遺伝子は同じでも全く別の個体なので、こんな技術は倫理的にも問題があり無用という人もいますが、私もペットを飼育しているので、永年寄り添って生きてきたペットが死んだ後、姿形だけでも同じ個体が再生できるというのは心がさわぎます。

学術的な見地からは、絶滅危惧種の保存などには有用でしょう。哺乳類成体の組織から幹細胞を採取してドリーのようなクローンをつくる技術は、非常に成功率が低い上にヒトに応用するにはあまりにも倫理的な問題が大きすぎて、その後華々しく発展することはありませんでした。とはいえ多能性幹細胞を採取して研究しようという試みの際には、常にバックグラウンドとなっていることに間違いはありません。

医学的な応用や分子生物学的な研究のためには、やはり多能性幹細胞を培養器の中で制御しながら分化させていくという技術が必要です。さて組織や臓器を培養容器内で高い効率で作成するには、その種になる細胞をどこから採ってきましょうか?

哺乳類の場合図2のように、受精した卵はまず不規則に卵割し桑実胚という細胞の集塊を形成します。その後細胞は2つのグループに分かれ、片方は栄養細胞層、他方は内部細胞塊を形成します。その際に卵割腔という空洞も形成されます。実験技術上の観点や実用的な観点から言えば、その多能性幹細胞をシャーレで培養し、何らかの方法で筋肉や皮膚などの組織を誘導できれば有難いわけです。

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少しさかのぼりますが1981年、マーチン・エヴァンス のグループと彼の弟子である ゲイル・マーチン は、独立にそれぞれヒト胚の内部細胞塊から細胞を取り出して培養し、さまざまな細胞に分化させることに成功しました(5、6、図2、図3)。

女性が生涯に生み出せる卵子は400個くらいですが、そのひとつをもらって人工受精させ、培養容器内で胚盤胞(図2)まで発生させます。この胚盤胞の中にある内部細胞塊は、このあとヒトの様々な組織をつくる未分化な細胞群です。マーチン・エヴァンスはこの未分化細胞にレトロウィルスベクターを用いて遺伝子を導入し、代理母の子宮で育てさせてトランスジェニックマウスの作成に成功しました。マーチン・エヴァンスは2007年にノーベル生理学医学賞を授賞しました。

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エヴァンスやゲイル・マーチンが開発した多能性幹細胞培養技術を飛躍的に進化させたのはジェームス・トムソン(James A. Thomson、図3)でした。トムソンはまずサルの内部細胞塊からES細胞(胚性幹細胞 embryonic stem cell)の株を樹立することに成功しました(7)。細胞株というのは、長期間にわたってシャーレ内で細胞分裂を繰り返しても、分化して分裂を停止することなく、そのままの状態で継代しながら培養可能な細胞のことです。

通常癌化した細胞を継代培養して樹立されますが、哺乳類の多能性幹細胞でこのような株がつくられたのははじめてのことです。トムソンはこれですぐ誰かがヒトのES細胞株をつくるだろうと予想したそうですが、意外にも誰も手を出さず、ならばと自分でとヒトES細胞株を自作しました(8、9)。トムソンの株は8ヶ月培養しても変化なく、カリオタイプも安定していて優秀な細胞株でした。

トムソン自身は医学的利用にはあまり関心がなく、この細胞株を使ってヒトの発生過程における遺伝子発現の変化などを研究しようと考えていたようです(9)。一方でこれで様々な組織や臓器を作成して、病気の治療に利用しようとするグループは勢いづきました。クローン人間も容易に制作できそうでした。そのためこの分野の研究に危機感を抱くグループ、特に宗教関係者からは激しい拒否反応がおきました(9)。胚を実験に使うのは殺人行為で許されないという主張です。ジョージ・ブッシュ大統領はこの勢力に同調し、2001年にはES細胞研究には助成金を出さないことを決定しました(10)。この措置はオバマ大統領に代わるまで継続しました。

もし胚の細胞ではなく、成体の幹細胞から株を作成できれば反対派の主張を回避できます。乳腺細胞からクローン羊ができたわけですから、そのような細胞株ができても不思議ではありません。ここで登場したのが黄禹錫(ファン・ウソク)です。黄禹錫事件に興味のある方は私の過去記事(11-13)などを参照して下さい。黄禹錫の実験の概要は、成体の幹細胞(体性幹細胞)の核を除核した受精卵に移植し、電気ショックを与えるとES細胞ができるというものでした(図4)。

彼の論文は続けざまにサイエンス誌に掲載され、世界の大注目を浴びましたが、これが捏造論文だということがわかって、韓国のみならず世界の科学界は底知れぬ衝撃を受け、かつ信用を失ってしまいました。

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黄禹錫事件の影響もあって、ヒト胚の幹細胞を使って研究や医療技術の開発を進めることは困難になってきました。そうなると幹細胞は成人の組織にひそんでいるものを探し出すか、それともすでに分化が進んだ細胞を幹細胞に若返らせるかしかありません。

それを実現したのが奈良先端科学技術大学院大学の山中グループでした。徳澤佳美(図5)は初期胚や多能性幹細胞で強く発現している Fbx15 という遺伝子に注目し、この遺伝子をDNAから除外して、その場所にネオマイシン耐性遺伝子を挿入したノックインマウスを作成しました。

このマウスは多能性幹細胞をつくることができず、マウスは胎仔期に死亡することが期待されましたが、予想に反して健康に成長し、子孫をつくることもできたのです(14)。残念な結果でしたが、このようなことはままあることで、生物はフェイルセーフ機能を持つ場合があって、ある遺伝子が損傷をうけても他の遺伝子が機能を代替することがあります。この場合は Fbx15遺伝子を喪失しても、他の遺伝子が機能を代替したわけです。重要な機能であればあるほどその可能性は高まります。

機能が代替されるとはいっても、Fbx15遺伝子は初期胚や多能性幹細胞で発現しているので、Fbx15遺伝子の上流には多能性幹細胞が生成する物質を関知して、Fbx15に置き換えられたネオマイシン耐性遺伝子を活性化する領域が存在します。したがって、細胞に様々な候補遺伝子をレトロウィルスベクターを用いて投入し、遺伝子が多能性幹細胞の出現や維持に関係あれば、ネオマイシンを含む培地で生存できるというテストシステムとして使えます。

その頃には多能性幹細胞に関係がありそうな候補がかなり報告されていたので、高橋和利(図5)は24の遺伝子を選んで、それぞれひとつづつを線維芽細胞(真皮の細胞)に導入し徳澤のテストシステムにかけてみましたが、すべての細胞はネオマイシン培地で生き残ることができませんでした。

そこで高橋は24遺伝子を全部挿入したらどうなるか試してみました。24遺伝子を同時に導入すると(といっても全部が挿入されるわけではなく、ランダムにいくつかの遺伝子が導入される可能性が高い)、一部の細胞はネオマイシン培地で生き延びました。そこで高橋は24遺伝子から順次ひとつづつ遺伝子を減らした23遺伝子を挿入するという手法で、Oct3/4・Klf4・Sox2・c-Mycの遺伝子導入が多能性幹細胞形成に必須であることを示しました。つまりこの4因子のひとつを欠くと、多能性幹細胞ができないわけです。実際この4因子を導入すると、0.1%以下の低い確率とはいえ、見事に人工多能性幹細胞(iPS細胞=induced pluripotent stem cell)が生成されました(15)。2006年のことです。

徳澤はアッセイシステムを作成したばかりでなく、マウスES細胞を用いてKlf4が多能性幹細胞の維持に必要であることを示していたので、当然参照論文15の共著者になるべきだったと思いますが、山中によれば自分が黄禹錫のようになった場合を恐れて除外したそうです(16、17)。私はこの件についてはもっと裏があるような気がします。

この論文発表(15)の翌年には、山中グループはヒトの線維芽細胞を用いて、同様な方法で ヒトiPS細胞 の作成に成功しました(18)。ローマ法王庁は受精卵を破壊しない山中の手法を絶賛するコメントを発表しました(19)。山中伸弥はJ.B.ガードンと共に2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

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iPS細胞の一般的作製法をウィキペディアからコピペしたのが図6です。成体から採取した細胞を培養してある程度シャーレで増殖したら、必要な遺伝子を組み込んだベクターを投入して細胞内にとりこませ、薬剤耐性テストでとりこんだと確認された細胞をフィーダー細胞(シャーレの底に張り付いて、増殖をサポートする細胞)の上で培養し、増殖させてコロニーを形成させます。一つのコロニーを取り上げて別のシャーレで培養することにより、継代培養が可能なiPS細胞の株ができたことになります。

さまざまな微量成分を含むフィーダー細胞や血清を利用すると、それらが放出する、あるいはそれらに含まれているどんな成分が培養に必要なのかというのがブラックボックスになるので、できれば使いたくないのですが、それほど細胞培養はデリケートなものであるということは言えます。山中伸弥は「京都の水を使ったからできたなどと言われないようにしよう」と言ったそうです。

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ES細胞やiPS細胞は未分化で無限増殖能を持つわけですが、これを様々な組織に分化誘導するにはどうすればよいのでしょうか? 神経系の細胞に誘導するのは簡単で、血清や増殖因子無しで培養すると、自然に神経系細胞に分化します。上谷らは細胞内における誘導因子としてZpf521というタンパク質を同定しました(20)。高橋らによると網膜細胞はDkk-1 と Lefty-A という因子を培養に添加することによって分化誘導できるそうです(21)。

最近ではシステマティックな誘導も部分的には可能になっているようです(22)。すでにヒトiPS細胞を心筋細胞に分化させるキットなども販売されています(23)。このような方法で作成した細胞のシートを組織や器官にはりつけると、細胞は自然に組織や器官の一部となって再生医療ができる場合があります。京都大学のiPS細胞研究所では3次元的な心臓組織の作成にも成功しています(24)。このような直接治療に関わる利用以外にも、ES細胞やiPS細胞は薬剤が有効かどうか、どのような副作用があるかなどのさまざまな試験を、実験動物を使用しないで行なうことができるというメリットもあります(25)。

iPS細胞作成に必要な山中4因子のうち c-Mycは癌を発生させる可能性がある危険な因子ですが、その後 Glis1という因子を代わりに使用することができて、こちらのほうが効率が良く、癌化の危険性も少ないということがわかりました(26、27、図7)。

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iPS細胞を使った治療は、本人のiPS細胞を用いるのが理想なのですが、それには多大な費用が必要で普及させることは困難です。免疫拒否反応について配慮されたストックを使うという道が現実的です。他人のiPS細胞から誘導された網膜の移植によって滲出型加齢黄斑変性の治療を行なうという手術がすでに行なわれており、現在経過観察中だそうです(28)。良い結果となることを期待したいですね。

 

参照

1)Gurdon, J. B.; Elsdale, T. R.; Fischberg, M. (1958). "Sexually Mature Individuals of Xenopus laevis from the Transplantation of Single Somatic Nuclei". Nature. 182 (4627): 64?65. doi:10.1038/182064a0. PMID 13566187.

2)Wabl, M. R.; Brun, R. B.; Du Pasquier, L. (1975). "Lymphocytes of the toad Xenopus laevis have the gene set for promoting tadpole development". Science. 190 (4221): 1310?1312. doi:10.1126/science.1198115. PMID 1198115.

3)http://news.livedoor.com/article/detail/12531644/

4)Campbell K. H.,  McWhir J.,  Ritchie W. A., Wilmut I., "Sheep cloned by nuclear transfer from a cultured cell line". Nature. vol. 380 (6569): pp. 64–66. (1996) Bibcode:1996Natur.380...64C. PMID 8598906. doi:10.1038/380064a0.

5)Evans M, Kaufman M., “Establishment in culture of pluripotent cells from mouse embryos”. Nature vol. 292 (5819): pp. 154–156. (1981) doi:10.1038/292154a0. PMID 7242681.

6)Martin G., “Isolation of a pluripotent cell line from early mouse embryos cultured in medium conditioned by teratocarcinoma stem cells”. Proc Natl Acad Sci USA vol. 78 (12): pp. 7634–7638.  (1981) doi:10.1073/pnas.78.12.7634. PMC 349323. PMID 6950406.

7)Thomson, J. A., Kalishman, J., Golos, T. G., et al., Isolation of a primate embryonic stem cell line. Proc. Natl. Acad. Sci. USA vol. 92, pp. 7844–7848. (1995)

8)James A. Thomson et al "Embryonic Stem Cell Lines Derived from Human Blastocysts", Science, vol. 282, 5391, pp. 1145-1147 (1998)

9)クリストファー・スコット著 矢野真千子訳 「ES細胞の最前線(原題: Stem Cell Now)」 河出書房新社 (2006)

10)井樋三枝子 ES 細胞研究に関連する法案の動向 外国の立法 vol. 230 pp. 167-175 (2006)
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/legis/230/023008.pdf

11)黄禹錫(ファン・ウソク) 転落の経緯1
http://morph.way-nifty.com/grey/2007/07/post_5a4b.html

12)黄禹錫(ファン・ウソク) 転落の経緯2
http://morph.way-nifty.com/grey/2007/07/post_5dd2.html

13)黄禹錫(ファン・ウソク) 転落の経緯3
http://morph.way-nifty.com/grey/2007/07/post_aab3.html

14)田中幹人編著 「iPS細胞 ヒトはどこまで再生できるのか」 日本実業出版社 (2008) 

15)Kazutoshi Takahashi, Shinya Yamanaka., Induction of Pluripotent Stem Cells from Mouse Embryonic and Adult Fibroblast Cultures by Defined Factors., Cell Vol. 126, Issue 4,  pp. 663–676 (2006)
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867406009767

16)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%B3%E6%BE%A4%E4%BD%B3%E7%BE%8E

17)せるてく・あらかると iPS細胞の樹立--若い力がもたらした幸運 (特集 iPS細胞が与えた衝撃). 細胞工学 28(3), 242-244, (2009)
http://gakken-mesh.jp/journal/detail/9784879624949.html

18)Takahashi, K.; Tanabe, K.; Ohnuki, M.; Narita, M.; Ichisaka, T.; Tomoda, K.; Yamanaka, S.,  "Induction of Pluripotent Stem Cells from Adult Human Fibroblasts by Defined Factors". Cell. 131 (5): 861–872. (2007)  PMID 18035408. doi:10.1016/j.cell.2007.11.019.

19)万能細胞とバチカン 科学に問う生命の根源 朝日新聞 2008年01月13日
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200801130045.html

20)理研プレスリリース ES細胞から神経細胞へ分化開始させるスイッチ因子を解明
http://www.riken.jp/pr/press/2011/20110217/

21)http://kankyo-j.sakura.ne.jp/kuma2-iPS-RPE1.html

22)iPSポータル(株)のサイト
http://ips-guide.com/induction/

23)ヒト多能性幹細胞を心筋細胞に分化させるキット  PSdif-Cardio Cardiomyocyte Differentiation Kit
http://www.funakoshi.co.jp/contents/7324

24)理研プレスリリース ヒトiPS細胞から3次元的な心臓組織を作製し、 致死性不整脈の複雑な特徴を培養下に再現することに成功
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/171023-160000.html

25)iPS細胞とはなにか 朝日新聞大阪本社科学医療グループ (2011)

26)Maekawa M, Yamaguchi K, Nakamura T, Shibukawa R, Kodanaka I, Ichisaka T, Kawamura Y, Mochizuki H, Goshima N, Yamanaka S.,  "Direct reprogramming of somatic cells is promoted by maternal transcription factor Glis1". Nature. 474 (7350): 225–9. (2011)  doi:10.1038/nature10106. PMID 21654807. Lay summary – AsianScientist.

27)前川桃子助教インタビュー 工夫を重ねて出会えたGlis1 が見せてくれた可能性
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/html-newsletters/201106/#page_4

28)https://mainichi.jp/articles/20170329/k00/00m/040/124000c

 

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2017年11月14日 (火)

サラとミーナ194: みつめるミーナ

Img_2113aサラもミーナも普段はテレビをみることはありませんが、唯一の例外はミーナが「ダーウィンが来た」をみることです。

特に先週はネコの特集だったので、なんと最初から最後まで、腰を落ち着かせてずっと見ていました。これははじめてのことなので、ちょっと驚きです。

テレビを買い換えたのですが、最近のテレビは昔に比べて使い勝手が悪くなっている気がしました。

だいたいハードディスクと直結して録画する仕様になっているのですが、私達のように集合住宅に住んでいると、地上波デジタルとBSが同じ回線で入力されるので、この場合録画できるのは地上波デジタルだけだというのです。

もちろんスカパーのセットトップボックスからも録画できません。最近のDVDレコーダーはL1(外部入力)がなくて、これを使っても録画できません。つまりハードディスク付きのセットトップボックスに代えないといけないのです。

このようなことになった原因を考えてみると、どうもDVDなどのディスクに録画されるのを排除しようというのが目的ではないでしょうか。仕方がないので7年前発売のDVDレコーダーを中古で買ってセットしたのが上の写真です。

あとひとつ、このテレビはベゼルを細くみせるために、スピーカーが下向きについています。こんなバカな発想誰がするのでしょうか? あきれるしかありません。仕方がないのでパソコン用のスピーカーをテレビにつなぎ替えました。

さて番組が終わって、やっとこちら向きになったミーナです。

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ここではあんな激しい闘争の中で生きていく必要がなくてよかったね!

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2017年11月11日 (土)

サラとミーナ193: みつめるサラ

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何をみつめているのかはわかりません。サラは年をとってからだんだん普通の猫になってきたような気がします。とはいえ気の強さは若い頃と変わりなく、本気出すとミーナがかなう相手ではありません。

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2017年11月 8日 (水)

都響-リントゥ クレルヴォ交響曲@東京文化会館2017・11・8

Img1フィンランド大使館をあげての演奏会になりました。クレルヴォ交響曲はフィンランド人にとっては特別な音楽のようです。会場にもらしき人が大勢押しかけました。

本日のコンマスは山本さん。サイドはマキロンです。指揮者は先週に引き続きハンヌ・リントゥです。第1~第3楽章まではそれほどの名曲とは思いませんでしたが、オケ、指揮者、ソリスト、合唱団がみんな絶好調で、素晴らしい演奏でした。

そして第4楽章から猛然と盛り上がりました。鷹栖のオーボエが合唱をリードしていくところなどは圧巻でした。マキロンがこんなに乗りに乗って弾いているのを見るのは久しぶりです。

山本さんは頑張りすぎて手首痛めたのでしょうか? ちょっと心配。

ポリテク合唱団は理系の大学の現役と卒業生でやっているコーラスですが、とてもアマチュアとは思えません。フィンランド語は歯・舌・鼻で発音をする音があまりないのでしょう。日本語やイタリア語と同じく音楽に向いていると思われます。

都響の演奏会にはめずらしく、アンコール演奏があって、これが合唱版のフィンランディアでたまりません。とてもジェントルな味わいのフィンランディアが耳に残りました。

演奏者と聴衆が一体となって盛り上がった素晴らしい演奏会でした。毎回こんなのやってたらオケメンの体力が持たないと思いますが、いつも期待はしています。

シベリウス: クレルヴォ交響曲
https://www.youtube.com/watch?v=Nu5whGqxsgA

シベリウス: フィンランディア(合唱版)
https://www.youtube.com/watch?v=D8DxmUutTgc

それにしても近親相姦を題材にした音楽は山崎ハコの「きょうだい心中」以来で、ちょっとびっくり。
https://www.youtube.com/watch?v=I8RlWpLN2jc

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2017年11月 7日 (火)

やぶにらみ生物論92: 幹細胞

幹細胞という言葉はES細胞や i PS のおかげですっかり世の中に定着しました。しかし改めてきちんとその意味をここで復習しておきましょう。

すでに述べたように、多細胞生物は不死の生殖細胞系列と死を運命付けられた体細胞系列からなります。確かに体細胞は死する運命にありますが、なにしろヒトの体細胞は数十兆個あります。まず大量の細胞をつくらなければなりません。その上で細胞分裂を繰り返しながら3つのグループ(外胚葉・中胚葉・内胚葉)に分かれ、それぞれがまた小グループに分かれて表皮・骨格・消化管などになります(図1)。

体細胞は分裂を繰り返すごとに自分の可能性を狭めていき、最終的にひとつの目標に到達します。これは小学校ではまだ無数の可能性を秘めていた少年が、やがて進学校に合格、受験勉強を経て医学部に入学して卒業し医師免許を取得、医師として一生働くというようなことでしょう。

体細胞は人為的な操作を加えない限り、可能性を狭めることはできても広げることはできません。これは至極当然で、皮膚の中に突然消化管が現われては困るわけです。

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脳神経細胞や心臓の筋細胞などは終末分化した細胞の典型例で、幼少時に分化した細胞はそのまま死ぬまで同じ場所で働きます。ここでひとつの疑問が生じます。なぜ大人になっても髪の毛は伸びるのでしょうか? 

ヒトの毛髪は3日で約1ミリメーターくらい伸びるわけですが、細胞は高さが数マイクロメーターくらいの大きさなので、髪の毛の中の細胞縦1列について3日間で200個弱くらい新しい細胞が生み出されていることになります。1日60個とすると1時間で2.5個の細胞が毛根で生み出されていることになります。これは縦1列の分だけですから、毛1本分ではその数百倍の細胞ができているわけです。

このように多細胞生物が体を構築するシステムは、必要な体細胞を最初に大量に作っておいて、あとはそれらが分化して死んだら個体も死ぬという単純なものではなく、同じ体細胞でも途中で自己複製し補充しながら成人の体をささえていくような細胞も存在します。毛髪・皮膚・爪・血液・小腸などは特に毎日大量の細胞をつくっています。

これらの元になる自己複製しながら組織の細胞を供給していく細胞が幹細胞といわれるものです。幹細胞は細胞分裂が可能な若い細胞なのですが、かといって毛髪の幹細胞から爪や赤血球ができては困ります。各組織の幹細胞は、それぞれ運命が限定されています(1)。

図1のように受精卵は成体のあらゆる細胞を製造する能力を秘めていますが、やがて生殖細胞系と体細胞系というグループにわかれ、体細胞系は外胚葉・中胚葉・内胚葉という能力が限定されたグループにわかれ、それぞれから様々な臓器が生まれてくるわけです。

このとき例えば脳の中に爪になる細胞が混じっているとか、筋肉の中に腎臓の細胞が混じっているなどということは避けなければならないので、細胞分裂が可能な細胞は、分化が進行するあるときにデジタル的に自分の運命をはっきりと決定しなければなりません。これが図2のA、B、Cのプロセスです。

色がついている細胞は実際に分化した細胞ではなく、白い細胞に比べて分化する可能性が限定された細胞を意味します。A、Bの過程だけだと白丸で示した未分化細胞がなくなってしまうので、細胞がダメージを受けたり老化が進んだ場合、組織や臓器が必要とする細胞を補充することができません。脳神経細胞や心筋細胞は一生同じ細胞を使う場合が一般的なので、AやBのプロセスを経た色つきの細胞集団に近いと言えます。

一方毛髪など生きている間は常時補填が必要な臓器はCやDの自己複製が可能な細胞(幹細胞)を維持していかなければなりません。幹細胞を定義すればCのように、細胞分裂した際に自分自身のコピーと分化していく運命にある娘細胞を作り出す細胞ということになりますが、実際には幹細胞のある場所にはCとDが共存していると思われます。

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成人の体にも自己複製できる細胞が存在することは容易に想像できたわけですが、それを科学的に証明するのはなかなか困難でした。それを最初に行なったのはカナダの研究者Till と McCullochで、1961年のことでした。放射線医学・生物学分野の研究者なら、Till と McCulloch の業績は誰でも知っていますが、意外に若い分子生物学の研究者達は知らないのではないでしょうか。幹細胞の研究は長い間、ごく一部の研究者しか興味を持たないような不遇の時代が続いたという事情があります。

Till と McCullochの実験の概要を図3に示します。致死量の放射線を当てたマウスは造血ができなくなって、脾臓も紙のように薄くなって死亡します。マウスはヒトなどと異なり、骨髄でも造血しますが、より主要な造血器官は脾臓です。放射線を当てたマウスが死亡する前に、他のマウスの骨髄細胞を注射すると、脾臓に「こぶ」のような細胞の固まり=コロニーができて造血を行い、本来なら死亡するはずのマウスが生き延びることを彼らは実証しました(2、図3)。つまり他の個体の骨髄に含まれていた造血幹細胞から、図8にみられるような様々な血液細胞が生成されて生き延びることができたということになります。

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JohnsonとMetcalf はさらに造血幹細胞をシャーレの中で培養し、シャーレの中で1個の細胞からコロニーを作らせることに成功しました(3、図4)。そのコロニーの中に、様々な血液細胞が生成されていました。その後血液幹細胞を培養するという実験は大流行し、そこからES細胞(胚性幹細胞)へと研究がつながっていったわけです。

ES細胞やiPS細胞は血液細胞だけでなく、あらゆる細胞に分化する能力を持っています。幹細胞の分野ではES細胞や iPS細胞の作成で複数の研究者がノーベル賞を受賞していますが(4、5)、これらはむしろ応用技術であり、幹細胞の存在を証明したというルーツの業績を残した人々、すなわち Till、McCulloch、Johnson、Metcalf が授賞しないというのは納得できないところです。応用技術というのは次々と技術革新が行なわれることによって乗り越えられていくものですが、ルーツを作ったあるいは原理を証明したという業績は永遠に残るものです。

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ヒトの体内にはさまざまな幹細胞が存在します。表皮の幹細胞のように表皮にしかならないもの、毛髪の幹細胞のように毛髪だけでなく、やけどをしたときは表皮も再生できるもの、造血幹細胞のように赤血球、血小板、白血球、リンパ球など様々なタイプの細胞をつくりだせるものなど様々ですが、そのまま個体を再生できる体細胞はありません。

生物学の研究材料としては比較的ポピュラーな、プラナリアという生物がいます。水の綺麗な小川の底石をはがすとみつかることがあります。長さが1cmくらいの扁平な生き物です。プラナリアは体を切断すると、断片から個体を再生できます(図5)。このことは究極の幹細胞、すなわちあらゆる成体の組織を新生できる能力を持つ幹細胞を、彼らは多数体内に維持していることを意味します。

体を細かく分断しても断片から全体を再生できるというのはいわゆる無性生殖であり、彼らは有性生殖も行なうので、進化の途上で体細胞に含まれる全能性の幹細胞を失わなかったというのが彼らの生き方です。ES細胞や iPS細胞はヒトのプラナリア化を可能にする技術とも言えます。

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一方線虫の1種であるシー・エレガンス(Caenorhabditis elegans)は私達と同じく、体細胞は細胞分裂を繰り返すにつれてその可能性を狭めていき、最終的には特定の臓器に分化して死ぬという運命を持っています。違うのは成人が数十兆個の細胞を持っているのに対して、シー・エレガンスの大人(雌雄同体)は959個の細胞しか持っていません。それらの細胞は受精卵から終末分化するまで、まるで家系図のように出処進退が明らかにされています。

シー・エレガンスの個体も細胞も固定されているわけではなく、発生の過程で複雑に動くので、それぞれをきちんと最後まで見届けるのは途方もない作業ですが、John Edward Sulston と共同研究者達は、細胞に色をつけたりして綿密に追跡し、ついにそれを成し遂げました(6、図6)。56ページの長大な論文ですが、専門外にもかかわらず、私はコピーして手元に置いています。まさに人類の宝のような論文です。ウェブサイトにも公開されています(7)。サルストンは2002年のノーベル生理学・医学賞を受賞しています。図6の右下の系譜は大幅に省略した記載です。

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サルストンらの驚異の業績と比べると小さな知見ですが、ヒトの造血幹細胞の分化系譜も明らかになってきました。まず古典的な系譜を示します(図7)。この図では、造血幹細胞はリンパ系の細胞と骨髄系の細胞に分かれます。骨髄系の細胞は好酸球・好中球・好塩基球のグループと単球(マクロファージ・樹状細胞)のグループ、そしてそれらとは別の系譜の赤血球・血小板系のグループに分かれたあと、それぞれの細胞系譜に分化していきます。

赤血球・血小板系以外の細胞はすべて免疫関連細胞で、異物を排除するためのシステムに所属しますが、赤血球・血小板系は全く異なる役割を持っており、赤血球は呼吸=ガス交換、血小板は血液凝固=傷対策という機能を果たしています(1)。ただし、リンパ系のT細胞と骨髄系の単球に分化できる細胞(赤矢印)が存在するとの報告もあります(8)。この件について河本宏と桂義元が日本語で詳しく解説しています(9、10)。最近ではT細胞系は他の細胞と別系列だという考え方が主流のようです。

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骨髄にはおそらく図2のA~Dタイプの細胞が棲み着いており、条件によってコントロールされた増殖・分化を行なっていると思われます。最近の知見に基づけば、T細胞系の前駆細胞は骨髄に定着するB細胞とは離れた細胞系列で、胸腺に定着して増殖・分化してT細胞を生成するとされています。T細胞は抗体(イムノグロブリン)を産生する以外のさまざまな免疫機能(たとえば細菌に感染した細胞を殺すなど)を持っています。B細胞は抗体を産生する細胞で、B細胞とT細胞をまとめてリンパ球と称するのは正しくないようです。

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ES細胞や iPS細胞については次回に述べます。

参照

1)森岡清和著 「素顔の赤血球-その生いたちと運命をさぐる」 金原出版(1994)

2)Till JE, McCulloch EA: A direct measurement of the radiation sensitivity of normal mouse bone marrow cells. Rad. Res. 14, 213-222 (1961)

3)Johnson GR, Metcalf D: Pure and mixed erythroid colony formation in vitro stimulated by spleen conditioned medium with no detectable erythropoietin. Proc. Natl. Acad. Sci. USA pp. 3879-3882 (1977) 

4)https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/2007/evans-bio.html

5)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B1%B1%E4%B8%AD%E4%BC%B8%E5%BC%A5

6)J.E. Sulston, E. Schierenberg, J.G. White and J.N. Thomson., The Embryonic Cell Lineage of the Nematode Caenorhabditis elegans., Developmental Biology vol. 100: pp. 64-119  (1983)  doi: 10.1016/0012-1606(83)90201-4

7)http://www.wormatlas.org/SulstonembCellLin_1983/SulstonembCellLin1983.html

8)http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/18591

9)河本宏・桂義元 “リンパ球系列” という既成概念からの解放 科学 vol. 79, no.6, pp. 605-613 (2009)
http://kawamoto.frontier.kyoto-u.ac.jp/common/images/contents_for_researchers/d_03/kagakusousetu.pdf

10)河本宏 免疫細胞はどこで、どんな細胞からつくられるの? 
http://www.jsi-men-eki.org/general/qa_pdf/kawamoto.pdf

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2017年11月 6日 (月)

日米首脳会談

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トランプと晋三の会談ですが、はっきりしたことがひとつあります。それは日本が米国から大量に武器を買うということが明らかになったことです。日本にその財政的余力はないので、やれば自民党政権は倒れ、政権交代がおきそうです。晋三政権とすれば本当に困ったことになるでしょう。

晋三政権の支持率は北朝鮮問題で勇ましい姿勢を貫いていることと米国との蜜月が評価されて上昇していますが、それが実は政権の首を絞めていることを支持者は理解していないのでしょう。

会談の報道やトランプの雰囲気から、トランプが最終的に軍事オプションの実行を決定したという臭いはしませんでしたが、やる場合は自衛隊の全面的協力があることがひとつの条件になるでしょう。晋三がそれを認めた場合(認めないことを期待しますが)、核ミサイルが東京に飛来することは間違いないでしょう。覚悟すべし。打ち落とせるかどうかは時の運もあるでしょう。ただし軍事オプションの行使は、日韓のほか中国が承認しないと、さすがのトランプもやらないでしょうけどね。

トランプとしても非常に困った状況です。北朝鮮がICBMと原子力潜水艦を開発すれば、北朝鮮への軍事オプションは米国破滅のリスクを背負うことを覚悟しなければなりません。やるなら今年・来年が最後のチャンスで、それを逃せば事実上北朝鮮を核保有国として認めるという選択肢しかなくなります。

金正恩も本当に困っていると思います。核実験場は崩壊寸前ですし、経済も崩壊寸前。かといって核開発の国是は曲げられません。ICBM発射実験をやる度胸はないでしょう。

日本としては米国が北朝鮮を核保有国として認めることを期待するしかありませんが、晋三がそれを米国に進言することはあり得るのでしょうか? そうしてほしいですけどね。自民党の支持者には、米国が北朝鮮に軍事オプションを行使することを期待する人が多いと思いますが、それは日本という国家をかけた博打だということを考えて欲しいと思います。

同じ博打なら、核兵器非保有国が団結して保有国に対して交易を停止するという戦いをやってほしいですね。それに勝利するしか世界から核兵器をなくす方策はありません。そのためには、核兵器禁止条約加盟122ヶ国に加えてドイツと日本が反核勢力として加わることが必要ですが。

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2017年11月 4日 (土)

リントゥ-都響 シベリウス交響曲第2番@サントリーホール2017・11・03

Img1今日はお馴染みの名曲なので、安心して聴けるなと思いつつサントリーホールに突入。指揮者のリントゥはあの3.11のあとすぐ来日してフィンランディアを演奏してくれた人です。チケットは完売です。

本日のコンマスは矢部ちゃん、サイドはマキロン。ソリストはヴェロニカ・エーベルレ。最近売り出し中のヴァイオリニストのようですが、これが素晴らしい美形で、リントゥは猛獣系なので、まさに美女と野獣。

ヴェロニカの音は、まるで深い森の中の秘密の泉から湧き出るような無垢清澄な趣で、ストラディバリウスの主人としてふさわしく、まさにベートーヴェンなんてどこかに行ってしまうような独自のサウンドを響かせました。

アンコールもやってくれました。プロコフィエフのバイオリンソナタからの一節でした。

リントゥの指揮はやや軍隊系で、力業的なところはありますが、シベリウスの第2交響曲はそのような指揮者が合っているような気がします。途中で興に乗りすぎたかもしれませんが、最後はばっちり統制して盛り上げました。この曲は広田にもぴったり。ファゴットもヴェロニカとの掛け合いも含めて大活躍でした。

ただここぞと言うところで、観客席の咳の音が騒々しかったのは残念。風邪がそろそろ流行しはじめたのでしょうか? 美里も終了後咳き込んでいました。皆様お大事に。また咳止めを服用して聴きましょう。

ヴェロニカ・エーベルレ
https://www.youtube.com/watch?v=o2ExbdIvbis
https://www.youtube.com/watch?v=E8c83bpOVXo

ハンヌ・リントゥ
https://www.youtube.com/watch?v=iSMsE9cGyhk
https://www.youtube.com/watch?v=_8lIf6fFkIo
https://www.youtube.com/watch?v=lvt9VwIGROs

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2017年11月 2日 (木)

JPOP名曲徒然草182: 人のいろいろ by スズキxスズキ

090ss鈴木亜紀 with 鈴木裕 <スズキ×スズキ>

いい写真ですねえ。

鈴木亜紀
HP:http://suzukiaki.com/

鈴木裕
HP:http://kogumamusic.wixsite.com/yu-cyan/the-band

#人のいろいろ
https://www.youtube.com/watch?v=5euR96CYPs4

つまらん人生でも愛着だらけ

#午后のトカゲ
https://www.youtube.com/watch?v=7UYrrIEP60A

私の中を見せすぎたと後悔することってあるよね

#草ヒバリ
https://www.youtube.com/watch?v=8b4fDwI66sM

現代の吟遊詩人

#風と道
https://www.youtube.com/watch?v=UsPOPS9sgeU

茫洋

#Blue Black
https://www.youtube.com/watch?v=Z_J7H7Yp5Uc

シェーファーのペン

#てぶらの女
https://www.youtube.com/watch?v=lLk-eMtzpCI

スマホを持ってると、てぶらとは言えない

#港タクシー
https://www.youtube.com/watch?v=tqhkvejrWcI

灯台をじっと見ているとぼんやりしてくる 確かに

#くらげの二人
https://www.youtube.com/watch?v=6Z-n6lRa6Ss

くらげはヒトの何百倍も昔から生きている

#ハムカツサンド etc (solo)
https://www.youtube.com/watch?v=tM3D0aojGmE

いい音

#スズキパラダイス
https://www.youtube.com/watch?v=qmQ86BhPcxs

クラシック?

鈴木裕さんのバンド「キッコリーズ」

https://www.youtube.com/watch?v=M4YKXqnRh2I

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2017年10月31日 (火)

サラとミーナ192: 冬支度

寒い日が続いて冬支度をはじめました。布団を交換して、こたつも出動。ミーナもこたつは大好きですが、さすがにまだ暑すぎたのか上半身だけ出して爆睡です。

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PCの入力作業をしているとお邪魔虫。モニターに何かある?

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私の腕にアゴを乗せてごきげん。

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のんびりな毎日にみえますが、実は管理組合関連で信じられない多忙。

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2017年10月29日 (日)

やぶにらみ生物論91: 有性生殖

細菌も真核生物も常時活性酸素や環境毒素や放射線・紫外線によってタンパク質・核酸・脂質が変質する(老化)という危機にさらされており、これをどう乗り越えて若々しい個体を維持していくかということが、生物にとって大きな課題です。

細菌はコンパクトで無駄のないゲノムを保持し、高速度の増殖能によって、突然変異の蓄積でダメになった細胞を棄てても、種としては生き残れるという生き方を選択しました。それに加えてDNAの高度な修復システムやプラスミドの移動なども生存に役立っています。

真核生物の中でも多細胞生物の生存戦略は細菌とは全く異なっていて、個体の大部分の細胞(体細胞)を使い捨て、一部の細胞だけを変質要因からなるべく遠ざけて、生殖細胞系(ジャームライン)として保護して子孫に伝えるという生き方を選択しました。

細菌は主として点突然変異によってゲノムの多様性を維持するという戦略をとっていますが、真核生物は生殖細胞系で減数分裂を行ない、その際の組み換えによってゲノムの多様性を維持するシステムを選択しました。減数分裂によって多様性を獲得したゲノムは1倍体なので、もとにもどるには2倍体にならなければなりません。そこで受精というメカニズム、すなわち有性生殖が誕生したと思われます。

有性生殖について語るには、まずトレーシー・ソネボーン(図1)の業績からはじめるべきでしょう。彼は分子生物学が華やかに進展した20世紀の半ばに、近所の池にいるゾウリムシと顕微鏡と培養容器だけで素晴らしい成果を得た研究者です。

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ゾウリムシは他の繊毛虫同様、体軸方向の前後の部分に分かれるようにして細胞分裂するするというのが通常の増殖の方式で、これは無性生殖です。有性生殖としては細胞の接合が行われます。接合に先立ち大核(転写が主目的の栄養核)が消失するとともに生殖核である小核が減数分裂を行い、4つの核に分かれます。このうち3つは消失し、残った1つがさらに2つに分裂し、このうち1つの核を、接合した細胞が互いに交換します(図2)。その後、それぞれの細胞内の2核が融合することで接合は完了します。大核はこの後それぞれの細胞で新規につくられます(1)。

興味深いことに、この4つの生殖核のうち3つが消失するというのは、ヒトのメスの卵母細胞が減数分裂したときに生まれた4つの卵細胞のうち3つは極体として消滅するというのと似ています。無駄をはぶくということなのでしょうか。

ソネボーンはゾウリムシをエサが枯渇した条件に置くと、上記のような接合だけでなく、図2のようにひとつの細胞の中でnの核とnの核が融合して2nの核ができるオートガミーという現象を発見しました(2)。エサを常に十分に与えておくと、ゾウリムシは接合やオートガミーという有性生殖を起こさず無性生殖で増殖しますが、それらは次第に老化して全滅します。

エサが十分にあるのに死滅してしまうというのは、一見種の存続に不利なように感じますが、ひとつの池に大量発生すると、いずれエサ不足で全滅することになるので、それほど問題にならないかもしれません。それよりこのような寿命のある細胞があることが、多細胞生物出現の基盤になったと思われます。

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接合にせよオートガミーにせよ、有性生殖を行うと細胞はリセットされて若返り、集団(クローン)全体が老化するということはありません。つまりときどきエサが枯渇するような条件でゾウリムシを飼育すると、寿命とは関係なく長期間飼育できるということになります。オートガミーでは同じDNAを交換するのですから、遺伝情報は全く変わりません。にもかかわらずこのある種の有性生殖を行うことによって細胞は若返り、新しい生命史をきざむことができるのです。

すなわち有性生殖を行なう生物は、有性生殖を行わなかった細胞には寿命があって必ず死ぬということを意味します。このことから寿命とは「有性生殖の後、非可逆的な変化を経て死に至るまでの期間」と定義できます(3)。余談になりますが、満年齢というのは出産を寿命のはじまり(0才のつもりが実は1才)としているので生物学的には正しくなく、むしろ数え年のほうが受精をはじまりとしているので正しいと言えます。

ゾウリムシがなぜ有性生殖をするか、その理由のひとつは大核と小核に分業をさせることにしたからでしょう。大核はハウスキーピングな転写を常に行っていて、DNAに変異をきたしやすい、いわば消耗品であるのに対して、小核は遺伝子の保存を主目的としているため日常は使われません。このことによって遺伝子を修復するという負担が著しく軽減されるのが大きなメリットです。

多細胞生物に進化することによって、核の分業は細胞の分業に進化し、生殖細胞と体細胞が生まれました。このことにより、生殖細胞には寿命がなく、体細胞には寿命があるというはっきりとした区別が発生しました。

ところが多細胞生物にも例外的に個体全体をリセットできるものがいることがわかっています。そのひとつはベニクラゲです(4、7、図3)。久保田信氏はこのクラゲに100回くらい針で刺すと、彼らは死期を予感するのか若返るそうです。そうして世代を引き継ぐ培養を行ない、2年間で10回も若返らせることに成功しました(5、6)。もちろんそのような人為的な操作を行なわなくても、死期が迫ると彼らは若返ります(7)。まさしく自らを多能性幹細胞に還元して、新しい世代を作成するわけです。

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ところで読者の皆さんは、では細菌の接合は有性生殖なのかという疑問を抱かれると思います。それは現在では真核生物のトランズポゾンの伝播と同様、遺伝子の水平伝播と考えられています(8)。しかしこれはそう単純には決められないことでもあります。有性生殖を遺伝情報の多様化とする見方からすると、細菌の接合は薬剤耐性を獲得したり、有機化合物に対する分解活性を付与するなどの遺伝情報の受け渡しに貢献しているので、有性生殖の1種と考えられないわけではありません。

という訳で、定義上は細菌の接合も有性生殖としてもいいのですが、真核生物は通常2n(2倍のゲノム情報)とn(1倍のゲノム情報)の世代を持っていて、2n→(減数分裂)→n(生殖細胞)→受精→2n というライフサイクルを繰り返します。細菌はnだけなのですが、どこかでこれがまず2倍になって細胞分裂も2n→4n→2n+2nにならなければなりません。これはニワトリが先か卵が先かという話ではなく、nが先なのはわかっているので、どこで2nの細胞になったかという話です。

2nになると不利なことがあります。それは突然変異がおきても、スペアのDNAが代替してまずいところがすぐ表に出ないので、進化のスピードが著しく低下するということです。そこを乗り越えて減数分裂という作業で組み換えを行ない、ようやく進化のスピードを上げることができるのです。

この細菌:1倍体→古細菌:1倍体→古細菌:2倍体→減数分裂→受精:真核生物というプロセスの中で、2倍体の古細菌というのがミッシングリンクになっています。ひょっとすると適者生存の圧力がほとんどかからなかったと思われる深海の海底に、このような生物がいるのかもしれません(9)。ただ原生生物の中には、ある種の粘菌のように、接合や受精とは関係なくnと2nの細胞が現われる例もあるようです(10)。ですから、ひょっとすると原生生物に進化してから2n世代が出現したのかもしれません。

皮肉なことに2nになってみたものの、前記したように2nの生物は進化上の不利が生じます。これを回避するため、彼らはときどきn世代の生物に回帰する必要が生じたと考えられます。

高木由臣は図4のような細胞分裂の様式を考えています(3)。2n→4n→2nで細胞分裂を繰り返している生物が、あるとき2nの細胞が分裂した際に、ランダムに染色体を娘細胞に分配し、n、n、2n、染色体無しの娘細胞ができることを仮定します。nの細胞ができるのは染色体に蓄積された突然変異が生存に役立たない場合、それを排除するためと考えます。

nの細胞は致命的な遺伝的欠陥が生じるとバックアップの遺伝情報がないため、ただちに死滅し、これによって有害な突然変異を排除することができます。たとえば図4で遺伝子Aが突然変異を起こして遺伝子aができたとします。遺伝子aが生存に不利な変異だった場合、右端のaしかもたないn世代細胞は死滅するでしょう。

このような細胞分裂様式を獲得した生物のなかから減数分裂・受精を行なうものが現われて、現在の標準的な真核生物に進化したというわけです。減数分裂の際の組み換えシステムを確立した生物は、おそらく2n世代での選別でも事足りるようになったので、n世代をなるべく短くするような方向に進化しているようにみえます。

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前期のゾウリムシは減数分裂と接合(ある種の受精)を行なっているわけですが、ここから多細胞生物に進化すると、このシステムは非常に有効に機能します。それは生殖細胞と体細胞という分業を行なうことによって、体細胞は動いたり、栄養をとりこんだり、見たり、聴いたり、感じたりと様々な機能を持って活動し、生殖細胞はひっそりと遺伝子を守ることに専念します。これによって多細胞生物は驚異的な進化を遂げることができました。体細胞の遺伝子はきちんと守る必要がなく、どんどん使って(増殖と分化)ボロボロになれば棄てればいいのです。ここで体細胞の寿命が発生しました。そのかわり生殖細胞の遺伝子はきちんと守って、次の世代に引き継ぐという生き方になります。

最近有性生殖は減数分裂によって遺伝子を混ぜ合わせると言う意義だけではないことが証明されました。ゴミムシダマシというと見たことがない方が多いと思いますが、幼虫はミールワームといわれて、ペットのエサなどに利用されているポピュラーな昆虫です。この生物を使って、アリソン・ラムリーらは多数のオスが少数のメスを争う環境と少数のオスが少数のメスを争う環境を設定し、同系(遺伝子のエラーが蓄積しやすい近親)の集団を7年にわたって飼育してみました。するとオスが交配するメスを争わなくて良いグループは近親交配による弊害で10世代で絶滅したのに対して、厳しくメスを争ったグループは20世代まで生き延びたという実験結果を得ました(11、12、図5)。

ラムリーらは「自身のライバルを効果的に打ち負かし、争いのなかで生殖のパートナーを見つけるためには、個体はあらゆる分野で優秀でなくてはなりません。このため、性淘汰は種の遺伝的優位性を維持・改善する、重要で効果的なフィルターとなります」と結論しています。平たく言えばオスがいかにしてメスに持てようかと努力することが、生物の生存と進化にとって重要であるということでしょう。

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有性生殖は遺伝子のまぜあわせによって進化するために必要と思われますが、より短期的には進化と言うより感染あるいは寄生しようという生物にとりつかれないために変化することが必要なのだという考え方があります。

ウィキペディアによると 「ウィリアム・ハミルトン(図6)は1980年から90年にかけて、M・ズック、I・イーシェル、J・シーゲル、R・アクセルロッドらと共に、遺伝的多様性が適応や進化の速度を向上させるという従来の説を種の利益論法だと批判し、多くの生物で遺伝的多型が保持されているのは多型を支持するような選択圧が常に働いているためで、その選択圧をもたらす者は寄生者であると主張した。種やその他の集団レベルにおける進化を認めてきた古典的な理論とは対照的に、赤の女王効果は遺伝子レベルでの有性生殖の利点を説明することが可能である」 の記載があります(13)。

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「赤の女王」とはルイス・キャロルの小説『鏡の国のアリス』に登場する人物で、彼女が作中で発した「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない(It takes all the running you can do, to keep in the same place.)」という台詞から、種・個体・遺伝子が生き残るためには進化し続けなければならないことの比喩として用いられています。

サイエンスライターのマット・リドレー(図6)は、1993年の著書「赤の女王 性とヒトの進化」(14)の中で、「有性生殖の有利さは、常に変化するような環境に棲む生物で発揮される。有性生殖する生物にそのような環境の変化をもたらす者は寄生者(寄生虫、ウイルス、細菌など)と考えられる。寄生者と宿主の間での恒常的な軍拡競争において、この具体例が確認できる。一般に寄生者はその寿命の短さにより、より速く進化する。そのような寄生者の進化は、宿主に対する攻撃方法の多様化を招く(つまり、宿主にとって環境が変化する)。このような場合、有性生殖による組み替えで常に遺伝子を混ぜ合わせ短期間で集団の遺伝的多様性を増加させ続けることは、寄生者の大規模な侵略を止める効果を果たすと考えられる。

実際、ボトルネック効果(15)などによって遺伝的多様性が失われた個体群は感染症に弱いことがわかっている。通常分裂(無性生殖の一つ)を行う生物(ゾウリムシや大腸菌など)でも環境によっては接合(有性生殖の一つ)によって遺伝子を混ぜ合わせることは可能である。すなわち寄生者との間で周期的な軍拡競争を行っている生物では、性が寄生者に対する抵抗性を維持するための仕組みであると考えられる。赤の女王仮説は性の起源を説明する理論ではなく、性が維持されるメリットの一つを説明する理論である」と述べています(14)。

 

参照

1)ゾウリムシの生命サイクル
http://www.obihiro.ac.jp/~rhythms/LifeRh/02/98Bio02Paramecium.html

2)John R. Preer, JR., Biographical Memoir:Tracy Morton Sonneborn, National Academy of Sciences (1996)
http://www.nasonline.org/publications/biographical-memoirs/memoir-pdfs/sonneborn-tracy.pdf

3)高木由臣著 有性生殖論 「性」と「死」はなぜ生まれたのか NHKブックス(2014)

4)https://en.wikipedia.org/wiki/Turritopsis_dohrnii

5)Shin Kubota, Repeating rejuvenation in Turritopsis, an immortal hydrozoan (Cnidaria, Hydrozoa). Biogeography vol. 13, pp. 101-103.101-103. (2011)

6)太田出版 ケトルニュース 「若返り」を研究する京大准教授 クラゲを若返らせることに成功
http://www.ohtabooks.com/qjkettle/news/2013/01/28111848.html

7)Piraino S, Boero F, Aeschbach B, Schmid V., “Reversing the Life Cycle: Medusae Transforming into Polyps and Cell Transdifferentiation in Turritopsis nutricula (Cnidaria, Hydrozoa)”. The Biological Bulletin 190 (3): 302-12. (1996)
http://www.journals.uchicago.edu/doi/pdfplus/10.2307/1543022

8)接合 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8E%A5%E5%90%88_(%E7%94%9F%E7%89%A9)

9)日本語版:ガリレオ-矢倉美登里/高橋朋子
https://wired.jp/2008/08/05/%e3%80%8c%e3%81%bb%e3%81%a8%e3%82%93%e3%81%a9%e6%ad%bb%e3%82%93%e3%81%a7%e3%81%84%e3%82%8b%e3%80%8d%e7%94%9f%e7%89%a9%e3%80%81%e6%b5%b7%e5%ba%95%e5%9c%b0%e4%b8%8b%e3%81%ae%e3%80%8c%e5%8f%a4%e7%b4%b0/

10)R. R. Sussman AND M. Sussman., Ploidal Inheritance in the Slime Mould Dictyostelium discoideum: Haploidization and Genetic Segregationof Diploid Strains., J . gen. Microbial.,  vol. 30, pp. 349-355 (1963)
http://www.microbiologyresearch.org/docserver/fulltext/micro/30/3/mic-30-3-349.pdf?expires=1509070562&id=id&accname=guest&checksum=AD51BC0EA0609F7EBD6956F7F7A46D94

11)Alyson J. Lumley, Lukasz Michalczyk, James J. N. Kitson, Lewis G. Spurgin, Catriona A. Morrison, Joanne L. Godwin1, Matthew E. Dickinson, Oliver Y. Martin, Brent C. Emerson, Tracey Chapman & Matthew J. G. Gage., Sexual selection protects against extinction., Nature vol. 522, pp. 470–473 (2015)  doi:10.1038/nature14419
https://www.researchgate.net/publication/276849836_Sexual_selection_protects_against_extinction

12)Wired News: オスの存在理由、実験で証明される
https://wired.jp/2015/06/15/sexual-reproduction/

13)赤の女王仮説 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B5%A4%E3%81%AE%E5%A5%B3%E7%8E%8B%E4%BB%AE%E8%AA%AC

14)The Red Queen: Sex and the Evolution of Human Nature, (1993) 長谷川真理子訳 『赤の女王 性とヒトの進化』 翔泳社 (1995)

15)ボトルネック効果
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%83%83%E3%82%AF%E5%8A%B9%E6%9E%9C

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2017年10月28日 (土)

カタルーニャが独立宣言

Estelada_blava_svg昨日10月27日に州議会の議決に基づいて、カタルーニャ州政府は独立を宣言しました。左の旗はカタルーニャの国旗ですが、赤は流れる血を現しているようです。

これを受けてスペイン政府はカタルーニャの自治権を停止し、プチデモン州首相を更迭しました。

これにより軍事衝突はほぼ避けられなくなり、スペイン軍とカタルーニャ警察の対決となります。

日本時間明日早朝にアスレティック・ビルバオとバルサの試合が予定されていますが、ビルバオがバスクのチームであることが微妙です。本来サッカーどころではありませんが、開催されるかも知れません。バスクの市民はカタルーニャの独立を支持してくれるでしょうか?

http://saigaijyouhou.com/blog-entry-18800.html

カタルーニャは盛り上がっているようです。

https://www.youtube.com/watch?v=fBXiOOeJ_Bk
https://www.youtube.com/watch?v=i-RLj8jth1Y

ライヴ配信
https://www.youtube.com/watch?v=QJ9Etb-cRAk

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2017年10月25日 (水)

小泉-都響:フランク交響曲ニ短調@サントリーホール2017/10/24

Imga都響のB定期です。70~80%くらいの入りで、平日夜のコンサートとしては埋まった方だと思います。マエストロは小泉さん。コンマスは山本さん(のせいか今夜は最近ではめずらしく晴れ)。サイドはゆづき。

入場前に森ビルの水内庵(みのちあん)にはいると、トランペット軍団に遭遇。おそろいで演奏会前にご飯とは、本当に仲が良いんですね。うらやましいです。

さて本日のソリスト(Vn)イブラギモヴァは、パンフレットの写真からは15年くらい経過していると思いますが、かわいいオバチャンという感じの人です。妙にとんがったところがなく、さりげなく超絶技巧を披露してくれました。バルトークの音楽にとけこんでいるところがあります。マエストロも「どうぞご自由に、きっちりつけますよ」という感じでしょう。

後半フランクの交響曲は私のフェイバリットですが、小泉さんの演奏は結構アグレッシヴな感じで盛り上げてくれて素晴らしかったと思います。第2楽章のイングリッシュホルンが私的な聴き所なのですが、南方さんのオケを後ろに引っ張るようなやるせない演奏が耳に残ります。これなかなかいいですね。

今日は1Vnのすぐ前で聴いていたのですが、私が絵描きで誰か一人モデルに選んで肖像画を描けと言われれば、田中雅子さんが演奏している絵を描きたいですね。姿勢が絵になるというか、美しく堂々としていてはまっています。

横山さんがずっと右足かかとを床に着けないで弾いているのには驚きました。演奏前に右足だけピンヒールに履き替えればいいのにと思うくらいです。横山さんほど極端ではありませんが、ゆづきさんは左足のかかとをほとんど床に着けないで弾いていました。演奏スタイルにもいろいろあるものですね。

2~3年前から山本さんはひとり爆演をやっていますが、これはメンバーに「もっと元気のある演奏をやれ」というメッセージでしょうかね。それはわからないでもありません。


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2017年10月22日 (日)

都響2018~2019ラインアップ

Suntory Hall 2.jpg

都響2018~2019シーズンのラインアップが11日に発表されました。
http://www.tmso.or.jp/j/topics/detail.php?id=1266

今シーズンまで首席客演だったフルシャがバンベルク・フィルとチェコ・フィルに仕事を得たので退任。後釜はアラン・ギルバートになりました。彼は母親が日本人で、ミドルネームも「たけし」です。演奏は肉食系で血湧き肉躍るという感じでしょうか。どうしてニューヨーク・フィルを退任したかは謎です。

定期演奏会は音楽監督・終身名誉・桂冠の3重鎮とアランが中心のメニュー。目玉はやはり4月9日・10日の大野指揮のマーラー交響曲第3番ニ短調でしょう(Ms リリ・パーシキヴィ)。ベルティーニやインバルの偉大な演奏と比較されるのは仕方ありません。

個人的に特に楽しみな演奏会としては:

# アラン・ギルバートのドヴォルザーク「新世界」・リムスキー=コルサコフ「スペイン奇想曲」
# オリヴァー・ナッセンのホルスト「惑星」
# 大野和士のラヴェル「ダフニスとクロエ」・ブルックナー交響曲第6番
# ミヒャエル・ザンデルリンクのショスタコーヴィチ「交響曲第6番」
# クラウス・マケラのシベリウス「交響曲第1番」
# エリアフ・インバルのブルックナー「交響曲第8番」・ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」

美貌ピアニスト カティア・スカナヴィ
https://www.youtube.com/watch?v=4yl92M5BHJU

奇才ヴァイオリニスト パトリシア・コパチンスカヤ
https://www.youtube.com/watch?v=xr9KmgDFwMc

貴公子風ヴァイオリニスト レイ・チェン
https://www.youtube.com/watch?v=I03Hs6dwj7E

なども聴けます。

ベテラン指揮者中心のプログラムなので、いかに新鮮味を出すかが課題でしたが、そこそこ頑張ったと思います。特に上記3人のソリストを呼べたのは成功でしょうね。

最後に個人的な苦情:

やったばかりの「ドン・キホーテ」をなぜまたやるのかわけわかりません
ドヴォルザークの交響曲第7番は失敗作 その証拠に第8番では方向転換した
ツェムリンスキーやルトスワフスキの音楽は退屈
「春の祭典」は生け贄が踊って死ぬという状況にどう感動すれば良いのか?
3定期とプロムナードに女性指揮者を1回も起用していませんが、これはそのうち問題になります 日本の女性指揮者はみんな外国のオケが育てることになってもいいのでしょうか? (私はフィンランド人のエヴァ・オリカイネンを押しますけどね)
あと日本人若手指揮者の起用もなしですね これはお偉方の問題だけではなくて、楽団員に指揮者を育てるというという姿勢がないのではないかと疑います。

都響は札幌・名古屋・福岡・欧州・特に西東京方面にはしばしば行くのに、隅田川より東の区部・東京東部地域にはめったに来ません。すみだトリフォニーホール・江戸川総合文化センター・青砥シンフォニーホール・西新井文化ホール・サンパール荒川・北トピアなど立派なホールがたくさんあります。これは非常に不可解です。

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2017年10月21日 (土)

やぶにらみ生物論90: 染色体の数と性

いろいろな生物で染色体の数はさまざまですが、それには意味があるのでしょうか。また性染色体の数や種類が性によってどう定まっているかについてもみてみましょう。染色体の数について論じる上で、よく話題になるのがホエジカです。

ホエジカ属(ムンチャック Muntjac) のシカは東南アジア、中国南部、インドなどに分布しています。図1左はインドホエジカ、右は中国ホエジカ(キョン)で、とても良く似た動物です。キョンは房総半島や伊豆大島で野生化し、食害が問題になっています(1)。もともと日本にはいなくて、人間が持ち込んだ動物なので、駆除というのもひどい話です。

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ホエジカ(Muntiacus)属はウシ科のダイカー(https://en.wikipedia.org/wiki/Duiker)から分岐したグループです。分岐はミトコンドリアDNAから推定されました(2)。染色体の数が近縁種でも著しく異なることで有名です(図2)。図2の学名のあとについている数字は、さまざまな亜種があることを意味します。

M.reevesi は更新世初期(100万年以前)に化石がみつかっていますが、M. muntjak と M. feae は更新世中期(50~100万年前)からしか化石がみつかりません。たかだか50万年くらいの間に染色体数が変化し、新しい種が生まれたことになります。

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インドホエジカとキョンのカリオタイプを比較すると図3のようになります(3)。キョンは私達ヒトと同じ46本の染色体を持ち、そのなかにメスはXX、オスはXYという性染色体が含まれます。ところがインドホエジカはメスは6本、オスは7本の染色体を持ち、オスに余分にある1本がY染色体に相当すると思われますが、最近の文献(4)にY2などという記載があるように、一筋縄ではいかないようです。

いずれにしても染色体の数が劇的に変化しても、同じ遺伝子のセットが存在すれば、それほど生物の特徴に変化は発生しないということは結論できそうです。ただ、もしY染色体が単独の染色体であるとすると、減数分裂の際の組み換えの可能性がゼロになるので進化上不利になるのは否めません。

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前のパラグラフで「染色体の数が劇的に変化しても、同じ遺伝子のセットが存在すれば、それほど生物の特徴に変化は発生しない」と述べましたが、性に関する染色体の問題は特別です。

ヒトではメスはXX、オスはXYという組み合わせの染色体が性を指定しています。他の動物ではどうでしょうか? 図4のように大きく分けてXY型(オスがヘテロ)とZW型(メスがヘテロ)があります(5、図4)。

有羊膜類では哺乳類・単孔類がXY型、鳥類・ヘビ類がZW型です。おそらくペルム紀にZW型の爬虫類からXY型の哺乳類型爬虫類が分かれたと思われますが、真偽は定かではありません。XY型というのはここではXY型=メスXX&オスXYまたはXO型=メスXX・オスXOまたはXnYn型またはXnO型を含む総称です。

カモノハシは雄・・・X1Y1X2Y2X3Y3X4Y4X5Y5:雌・・・ X1X1X2X2X3X3X4X4X5X5 という奇妙なカリオタイプですが(XnYn型)(6)、XY型の1種とされています。

ZW型にはメスZW・オスZZというタイプと、メスZO・オスZZというタイプがあります。O(オー)というのは染色体がないという意味です。

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現在生きているヘビ以外の爬虫類は、環境の温度によってオスかメスかが決まる場合が多いようです(図5)。たとえばカミツキガメ(Chelydra serpentina) では、20°C以下の低温と30°C以上の高温の環境ではメスが産まれ、中間の22~28°Cでは主にオスが産まれます(7)。アオウミガメの場合は、28℃以下ならオス、28~29℃ならオスメス半々、30℃以上の高温だとメスとなります(7)。

一般に遺伝子にバラエティーをつくるより、ともかく種の絶滅を防ぐことを優先しなければならないときは、メスを増やすのが得策です。ただそれぞれの生物が生きている環境によって、オス・メスどちらを優先的に作成すべきかは微妙に異なるでしょう。

図5の最も古いタイプの爬虫類に似ていて生きた化石といわれるムカシトカゲが、性染色体による性決定を行うとしてありますが、ウィキペディア(8)をみると、「21℃では雌雄比は半々だが、22℃では80%がオスになる。さらに20℃では80%が、18℃でほぼ100%がメスになる。ただしムカシトカゲの性決定は環境要因(温度)だけでなく遺伝子要因も関係している複雑なものらしいという説がある」 と記載してあるので、ウィキペディアを信頼すべきだと思います。おそらくムカシトカゲも温度依存性の性決定を行なうのでしょう。

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図4に示したように、哺乳類ではXXはメス、XYはオスという染色体型によって性が決定されますが、性を決定する遺伝子はアンドリュー・シンクレア、ピーター・グッドフェローらによって解明されました(9、図6)。彼らによればY染色体上のSRY遺伝子が精巣形成を決定しているということです。クープマン、ラベル=バッジらは、さらにマウスXX胚にSRY遺伝子を導入すると、本来メスになるべきXX胚がオスになることを証明しました(10、図6)。

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性決定遺伝子の発見はめざましい業績だと思いますが、図6の4人はノーベル賞にはとどいていません。その理由はいろいろあると思いますが、ひとつはSRY遺伝子の上流に別の遺伝子があるかもしれないということです。すなわちその遺伝子がまずONになって、その遺伝子産物がSRY遺伝子を活性化するのかもしれません。性決定に関連する遺伝子も数多くあることがわかってきました(11)。もちろんSRY遺伝子の下流には、性ホルモンの産生など実際に精巣を形成するためにかかわっている遺伝子群が働いているでしょう。

驚くべき事に、トゲネズミという日本にだけ棲息する絶滅危惧種3種のうち、アマミトゲネズミとトクノシマトゲネズミは染色体がXO型で、Y染色体が存在しません(12)。黒岩麻里氏によると、これらのネズミはY染色体の一部に変異が生じて、減数分裂がうまくいかなくなり、性決定関連部位がX染色体に転移することによって生き延びたそうです(13)。その転移の際にSRY遺伝子は失われ、CBX2という遺伝子が機能を代替することになったようです。

図7のように、XX/XY型の一般的な哺乳類と同じ性決定様式だったオキナワトゲネズミからアマミトゲネズミやトクノシマトゲネズミが派生したと考えられます。

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ショウジョウバエは哺乳類と同じくメスはXX、オスはXYの染色体型ですが、性決定のメカニズムは全然違うことがわかっています。Y染色体にはSRYのような性決定遺伝子がなく、常染色体とX染色体の比率で性が決定されます。すなわちショウジョウバエの染色体は2n=8本ですが、Aを常染色体としますと、AAAAAAXX or AAAAAAXXY=♀(A:X=3:1)、AAAAAAXYor AAAAAAXO=♂(A:X=6:1)、のようにA:Xの比が大きい場合(ここでは6:1)は♂、小さい場合は♀となります(ここでは3:1)(14)。

哺乳類の場合原則的にY染色体が1本あればオス、鳥類の場合W染色体が1本あればメスになります。魚類は爬虫類と近いところがあって、性決定遺伝子は存在しますが(メダカでDMY遺伝子がみつかっている)、一筋縄ではいきません。たとえばヒラメはXX/XY型の性決定機構を持っているものの、XX稚魚を18°Cで飼育するとすべてメスになり、同じXX稚魚を20°Cで飼育するとすべてオスになることがわかっています(15)。

またベラは一夫多妻制ですが、その家族のなかで1匹のオスが死ぬと、一番大きなメスがオスに性転換することが知られています(15)。よくテレビなどに登場するコブダイはタイではなく、ベラ科の魚です。このように魚類では遺伝要因よりしばしば環境要因が優先されます。

ソードテイルは一度稚魚を産むと、オスに性転換するとされています(図8)。

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性は2種類というのが私達の常識ですが、繊毛虫(原生動物)のなかには10種類あるいはそれ以上の性をもつものがいるそうです(16)。こうなると交配する相手を見つけるのが大変だと思いますが、それはフェロモンで解決しているようです。原核生物にも性は存在し、たとえば大腸菌で性を担う遺伝子は、Fプラスミドという形でゲノム本体からは分離独立して存在し、接合(conjugation)の際に相手の細胞に注入されます。

 

参照

1)キョン房総で大繁殖14年で50倍5万頭 農業被害拡大
https://mainichi.jp/articles/20170413/k00/00e/040/242000c

2)Wen Wang, Hong Lan., Rapid and parallel chromosomal number reductions in muntjac deer inferred from mitochondrial DNA phylogeny., Molecular Biology and Evolution, vol.17, pp.1326-1333 (2000)
https://doi.org/10.1093/oxfordjournals.molbev.a026416

3)Doris H. Wurster, Kurt Benirschke., Indian Momtjac, Muntiacus muntiak: A Deer with a Low Diploid Chromosome Number., Science  Vol. 168, Issue 3937, pp. 1364-1366 (1970)
DOI: 10.1126/science.168.3937.1364

4)http://crancot-nature.blogspot.jp/2016/08/le-sambar-et-le-cerf-aboyeur-deux.html#!/2016/08/le-sambar-et-le-cerf-aboyeur-deux.html

5)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E6%9F%93%E8%89%B2%E4%BD%93

6)生物史から、自然の摂理を読み解く カモノハシの不思議?
http://www.seibutsushi.net/blog/2008/02/386.html

7)https://matome.naver.jp/odai/2138201788384062201

8)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%82%AB%E3%82%B7%E3%83%88%E3%82%AB%E3%82%B2

9)Sinclair AH, Berta P, Palmer MS, Hawkins JR, Griffiths BL, Smith MJ, Foster JW, Frischauf AM, Lovell-Badge R, Goodfellow PN (1990). “A gene from the human sex-determining region encodes a protein with homology to a conserved DNA-binding motif”. Nature vol. 346: pp. 216-217. (1990)   doi:doi:10.1038/346240a0. PMID 1695712.

10)Koopman P, Gubbay J, Vivian N, Goodfellow P, Lovell-Badge R,  “Male development of chromosomally female mice transgenic for SRY”.,  Nature vol. 351: pp.117-121. (1991) doi:10.1038/351117a0. PMID 2030730.

11)諸橋憲一郎 性の決定に働く遺伝子たち 季刊誌「生命誌」通 巻24号
https://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/024/ss_4.html

12)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%B2%E3%83%8D%E3%82%BA%E3%83%9F%E5%B1%9E

13)黒岩麻里 Y 染色体をもたない哺乳類の性決定メカニズム 生化学 第84巻 第11号 pp. 931-934 (2012)

14)啓林館 生物 I :
http://www.keirinkan.com/kori/kori_biology/kori_biology_1_kaitei/contents/bi-1/2-bu/2-3-4.htm

15)長濱嘉孝、小林亨、松田勝., 魚類の性決定と生殖腺の性分化/性転換 タンパク質・核酸・酵素 vol. 49, no. 2, pp. 116-123 (2004)

16)高木由臣著 有性生殖論 「性」と「死」は何故生まれたのか NHKブックス (2014)

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2017年10月18日 (水)

サラとミーナ191: ペアの首輪

Img_2053サラも老境に達し、かなり飼い猫らしくのんびりと過ごすようになりました。飼い主に甘える心地よさも満喫している今日この頃です。写真は頭をなでられているところ。

ミーナと一緒に首輪を買い換えてペアにしました。一時流行した脱出首輪です。このタイプに慣れているので、普通の首輪は重くて気になるのか、いやがるようです。

脱出首輪は軽いところはいいのですが、2~3年たつとよじれてきて、見栄えが悪くなるのが難点です。

サラは雨が降っていると、たいていベランダにも出てきません。

Img_2056_2久しぶりの晴天で、ミーナはベランダへ。如雨露から水を飲もうとしましたが、水が満杯にはなってなくて首をつっこめず失敗。残念でした。

ミーナは赤、サラは青ですが、まあまあ似合っていると思います。







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2017年10月16日 (月)

カルト国家としての日本

4074110943_5f49c91210「戦争は人間の霊魂進化にとって最高の宗教的行事」
これがずっと自分の生き方の根本
by 自民党 稲田朋美

この言葉は「生長の家」の谷口雅春の発言のようです。

「生長の家」はその後、日本会議と決別して独自の平和主義路線に転換したそうですが、稲田氏はその昔の発言を信奉しているようです。

https://togetter.com/li/1141069
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-650a.html

こんな人間がつい最近まで防衛大臣をやっていたわけですから、これでは日本がカルト国家と思われてもしかたありません。任命したのはもちろん晋三。

経済とか防衛とか言う前にこれは100%アウト。
ナチよりひどいね。

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2017年10月15日 (日)

2017~2018リーガ・エスパニョーラ第8節: 逆風の中でドロー

Braugranaカタルーニャ政府が独立宣言を遅らせるという決定をしたおかげで、リーガも通常通りできることになりました。

改修されてアトレチコのホームスタジアムとなったワンダ・メトロポリターノは見た目素晴らしいスタジアムです。屋根が広くて、雨天でも観客はずぶ濡れを免れそうです。

アトレチコはオーソドックスな442でコレアとグリーズマンが前線要因で、カラスコ、サウルあたりが後ろからゴールを狙ってくる形。ガビ、コケ、フィリペ=ルイス(SB)、ファンフラン(SB)、サヴィッチ(CB)、ゴディン(CB)、オブラク(GK)。

バルサはスアレスの1トップ。中盤がイニエスタ、ラキティッチ、メッシ、A・ゴメス。攻撃の観点から言えばA・ゴメスとスアレスの2トップが望ましいですが、ポゼッションを重視したのでしょう。底はブスケツ、DF:アルバ・ウムティティ・ピケ・セメド、GK:テア=シュテーゲン。私ならデウロフェウをスタメンで右エストレーモに使いたいです。彼の切れ味はみていてスリリングです。A・ゴメスはトップ下タイプなので、右エストレーモは無理。

バルベルデは前半は0:0でもいいよという考えなのでしょう。立ち上がりはバルサがポゼッションで圧倒して狙い通りでしたが、21分にサウルのミドルシュートを食って、このもくろみは崩壊しました。セメドとピケがケアしていたのですが、やられてしまいました。

メッシは代表戦でハットトリックでアルゼンチンをワールドカップに出場させるという快挙の疲労が残っていて、プレーの精度が落ちています。メッシになんとか渡してという試みはほとんど裏目。スアレスも再三の精度落ちプレーで、冬に向かってつるべ落としにならないよう選手を考えて使った方がいいとおもいます。アルダやパコを放出要因なので全く使わないというのは、せっかく保有しているわけですから間違いだと思います。

テア=シュテーゲンはグリーズマンのシュートを2発止めて、大きく貢献しました。

後半途中からイニエスタに代えてデウロフェウ、セメドに代えてセルジを投入して攻めに出たのは遅まきながら正解でした。A・ゴメスは左・中央で実力発揮。さらに34分にはラキに代えてパウリーニョを投入しました。現時点では最強の攻撃的布陣でしょう。そのとたんにセルジのロングクロスがスアレスの頭に決まってゴール。バルサ追いついて1:1。

惜しかったのはアディショナルタイムでのゴール正面のFK。壁が向かって左側に偏っていたので、スアレスが蹴ればゴールできるのではないかと思いましたが、メッシが蹴ってGK正面でした。これで万事休すでしたが、このスタジアムでエンパテならまあ良としなければでしょうか?

https://www.youtube.com/watch?v=QZuUiyM2WWE

https://www.youtube.com/watch?v=WVgLdtV-g5Q

https://www.youtube.com/watch?v=EeWf5raVS_w


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2017年10月13日 (金)

やぶにらみ生物論89: ヒトゲノム

ヒトゲノムについて語る前に、まずゲノム(英語ではジノム)とはなにか、どう定義するのでしょうか? これがなかなか一筋縄ではいきません。とりあえずウィキペディアの定義では下記のようになっています(1)。

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In modern molecular biology and genetics, a genome is the genetic material of an organism. It consists of DNA (or RNA in RNA viruses). The genome includes both the genes (the coding regions), the noncoding DNA and the genetic material of the mitochondria and chloroplasts.

拙訳:現代の分子生物学および遺伝学において、ゲノムはひとつの生命体の遺伝物質を指します。それはDNA(RNAウィルスではRNA)で構成されています。ゲノムは遺伝子(コーディング領域)、非コーディングDNA、ミトコンドリアと葉緑体の遺伝物質を含みます。
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ところが日本語版のウィキペディアでは、たとえばヒトゲノムといった場合、ヒトのミトコンドリアの遺伝物質は含まないとも解釈できる記載があるので、英語版とは若干ニュアンスの違いが感じられます(2)。日本語版の方がわかりやすい感じもするので、ここではミトコンドリアのゲノムは含まないことにします。

ここでコーディング、非コーディングという言葉が出てきました。コーディングDNAとは、その部分のDNAが転写されてmRNAとなり、さらに翻訳されてタンパク質となるDNAの領域を意味します。それ以外の部分はすべて非コーディングDNAです。非コーディングDNAには転写されてリボソームRNAやトランスファーRNAを生成するための領域、転写調節因子の結合部位、偽遺伝子、トランスポゾンなどを含みます。

ではヒトゲノムにおいて、コーディング領域、非コーディング領域はどのくらいの割合になっているのでしょうか? 図1をみてみましょう(図1は3、4などを参照して作成)。実際にその塩基配列がタンパク質と対応している、狭い意味でのコーディング領域、すなわちエクソンは全ゲノムの1.3%に過ぎません。ヒトをマシンとしてみると、非常に効率が悪いシステムです。それはもちろんヒトは誰かが設計して作った作品ではなく、進化の結果として様々な歴史をたっぷりしょって生まれてきたからです。

エクソン以外にイントロンは遺伝子の一部です。rRNA、tRNA、snRNA、miRNAなどさまざまなRNAに対応するDNAも遺伝子です。進化の過程で不要になり崩壊過程にある遺伝子は偽遺伝子です。また遺伝子を制御するために、転写因子と結合するDNAの領域もその意義が明確です。しかしこれら素性と意義が明確なDNA領域を全部たしても、ゲノムの半分にもなりません。ゲノムのそれ以外のほとんどの部分はトランスポゾンで構成されています(図1)。

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トランスポゾンはその転移能力が活発に発揮されると、頻繁に遺伝子に割り込んだり非相補的な組み換えがおこったりしてホストが死んでしまう可能性が高いので、ある程度暴れたら転移能力を失ってホストと共存します。そうなった生き物しか生き残れません。ヒトのトランスポゾンもその原理は同様で、ほぼすべてのトランスポゾンにおいてトランスポゼースの遺伝子が壊れて不活化しているので、自発的に転移することはできません(5)。

万一転移がおこってその細胞に不具合が発生しても、体細胞では代替する他の細胞がいるので、がんが引き起こされるような特殊な場合を除いては問題はおこりません。しかし生殖細胞ではそこからうまれた細胞がすべて転移したトランスポゾンを保有することになるので、深刻な疾病を引き起こす可能性があります。

例えばAluの転移が原因とみられる疾病も数多く知られていますが(6)、それらのほとんどは遺伝病であり、遠い過去に起こったことが現在まで引き継がれていると考えられます。

Alu も含めてSine は生殖巣において転写されることが知られており、しかもホストにストレスがかかるとその転写量が膨大になるそうです(7)。このことは何か意味がありそうな気がします。

コーディング領域の遺伝子については、ウィキペディアにグラフが出ていたので転載しておきます(8)。意外に構造タンパク質や酵素の割合は高くなく、転写因子・DNA結合因子・トランスポーターなどの遺伝子が多くの領域を占めていることがわかります。

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ヒトゲノムという概念は抽象的なものですが、その実体は染色体にあります。染色体を顕微鏡で見て形態を観察する技術は19世紀から開発されており、サットンはそれによって20世紀初頭に遺伝因子=染色体という説を唱えました。しかしそれからヒトの染色体は何本あるかという結論までは50年以上の歳月を要しました。アルベルト・ルヴァンとジョー・ヒン・チョー(図3)がヒトの染色体は46本であると報告したのは、ワトソンとクリックがDNAの構造を解明してから3年も後の1956年でした(9)。

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色素による染色で分別されたヒト染色体一覧を図4に示します。点線はセントロメアの位置です。X染色体とY染色体はあまりにも形態が異なりますが、この点については次回の記事に書く予定です。

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古典的なギムザ染色法によって染色体を分別する方法をGバンド法といいます。図5にその例を示します。ATリッチな部位が濃く染まり、GCリッチな部位は薄く染まるとされています(10)。今ではFISH(Fluorescent InSitu Hybridization)法によって染色体の分別がおこなわれます。この原理は図6で説明しますが、図5の下図ではAlu 配列を標的として、緑色蛍光色素で染色しています(11)。Alu の多い場所が緑色に染色されます。Alu配列のある場所に大きな偏りがあることがわかります。21番の染色体セットは片方が染色され、片方は染色されていませんが(11)、これが実験上のエラーなのか実際にそうなのかはわかりません。

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それぞれの染色体にはそれぞれ別の遺伝子が乗っているわけですし、遺伝子以外の決まった配列もそこそこあるわけですから、その相補性配列を持つDNAを合成して標識をつければ正確かつ容易に各染色体を分別できるはずです。

図6のように相補性のDNAに例えばビオチンを結合させ、これに「アビジン+蛍光色素」を結合させると(ビオチンとアビジンは強力に結合する)、染色体をそれぞれ特異的に染色することができます。ビオチン-アビジンのセットでなくても、強力に接着する化学物質でDNAまたは蛍光色素と結合する組み合わせのセットなら使えます。

それぞれ別の色に光る蛍光色素を使えば、23対の染色体をそれぞれ色で識別することができます(図6)。100年も四苦八苦して分別していた染色体を、科学技術のちょっとした進展によって、わずかな時間で正確に分別できるようになりました。

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遺伝病の中には遺伝子のミクロな変化に起因するもの他に、染色体の本数の異常などダイナミックな染色体の変化による者があり、それらは染色体検査によって診断できます。最も有名なのはダウン症候群で、この疾患の原因が21番染色体が3本ある(トリソミー)ことによることを解明したのはジェローム・ルジューヌでした(図3、図7)。

彼は敬虔なキリスト教徒で、生涯妊娠中絶に反対し、このため女性や遺伝学者らから強い反発をうけました。胎児の染色体を検査し、異常な場合には中絶を行う-という道を拓いたことを後悔していたのかもしれません。彼の人となりは映画になっており、DVDはジェローム・ルジューヌ財団から入手できます(12)。ジェローム・ルジューヌ財団はダウン症の親子をケアするための活動を行っています。

日本では敬虔なキリスト教徒が少ないせいでしょうか、ルジューヌが恐れていたことがまさしく現出しています。ある調査では胎児のダウン症が確定した346人の妊婦のうち97%が人工妊娠中絶手術で堕胎したということです(13)

ターナー症候群は通常女性が2本持つX染色体を1本しかもたない(もちろんY染色体はない)患者で(図7)、低身長で第二次性徴を欠くなどの症状を発症します(14)。ウィリアムズ症候群は第7染色体セットの1本のエラスチン遺伝子周辺の複数の遺伝子が欠失する病気で(図7)、知能低下などの精神遅滞・心臓疾患などを発症するとされています(15)。

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遺伝子は各染色体に同じ密度で存在するのではなく、疎な染色体と密な染色体があります(16)。図8で塩基対(緑 Base pairs)の数に対して遺伝子の数(ピンク)が多い場合密ということになります。13番・18番・Y染色体が特に遺伝子がまばらにしか存在しない染色体であることがわかります。13番・18番の染色体は、図5ではAlu 配列が特に少ない染色体であることがわかります。関連性があるようにみえますが、これは偶然なのでしょうか?

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さまざまな遺伝子の中でもリボソームRNAの遺伝子は特別です。なにしろリボソームRNAは、細胞内全RNAの60%の重量を占めるほど大量に存在し(17)、遺伝子も400コピーが存在するほどゲノムの中でメジャーな存在なのです(18、文献19では350コピーになっています)。

リボソーム遺伝子は図9のような構造をとっています。すなわち18S、5.8S、28Sがスペーサーをはさんで連結しており、ひとつのオペロンを構成しています。このスペーサーはITSと呼ばれており、イントロンのように転写されます。オペロンとオペロンの間にはNTSという転写されないスペーサーが存在します。ヒト染色体においては13番・14番・15番・21番・22番染色体の短腕の大部分がリボソーム遺伝子領域とされています(20)。

リボソームにはもう1種5Sタイプがありますが、これは1番目の染色体に遺伝子のクラスターが存在します(21)。図9のリボソーム遺伝子群はRNAポリメラーゼ I によって転写されますが、5SRNA遺伝子はRNAポリメラーゼ III という特殊なRNAポリメラーゼによって転写されることが知られています。

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トランスファーRNA遺伝子も、リボソームRNA遺伝子に次いでゲノムの大きな領域を占めていると思われます。これ以外の非コーディング領域には図10で示すようなものがあります。

細菌はゲノムのサイズが小さく、サーキュラー(円形)なので複製開始点がひとつでいいのですが、真核生物は一般にゲノムのサイズが大きく、複数の直鎖状DNAからなるので、1本のDNAについて複数の開始点があることは必須で、図10の1のような形になります。細菌でも真核生物でも、複製開始点には多くのタンパク質が結合して鎖をほどかなくてはなりません。このための塩基配列をDNAが用意しなければなりません。

遺伝子の特に上流にはプロモーターやエンハンサーが必須で、ここにも特定の塩基配列が必要です。この他染色体組み換えに必要な構造、セントロメア、テロメア、核の構造タンパク質にDNAを結合させる部位などに特定の塩基配列が必要です。

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参照

1)https://en.wikipedia.org/wiki/Genome

2)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%8E%E3%83%A0

3)http://researchmap.jp/jo6z5r93q-17709/#_17709

4)https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK21134/

5)西川伸一 JT生命誌研究館 ゲノムの解剖学 (2015)
https://www.brh.co.jp/communication/shinka/2015/post_000011.html

6)小林武彦編 「ゲノムを司るインターメア 非コードDNAの新たな展開」 化学同人 p. 209  (2015)

7)東京工業大学大学院 生命理工学研究科 進化・統御学講座(岡田研究室)HP:
http://www.fais.or.jp/okada/okada-past/research/keywords/m01_alu.html

8)https://en.wikipedia.org/wiki/Human_genome

9)Joe Hin Tjio and Albert Levan., The chromosome number of man. , Hereditas vol. 42:  pages 1–6, (1956)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1601-5223.1956.tb03010.x/pdf

10)http://ipsgene.com/genome/dna/band-method

11)https://en.wikipedia.org/wiki/Karyotype

12)ジェローム・ルジューヌ財団 https://lejeunefoundation.org/
または https://www.ds21.info/?p=8644

13)https://mamanoko.jp/articles/26383

14)https://en.wikipedia.org/wiki/Turner_syndrome

15)https://en.wikipedia.org/wiki/Williams_syndrome

16)https://en.wikipedia.org/wiki/Chromosome

17)小林武彦、赤松由布子 リボソームRNA 遺伝子の不安定性と生理作用-出芽酵母を中心にして 生化学 第85巻 第10号,pp. 839-844,(2013)
http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2014/06/85-10-03.pdf

18)奥脇暢 リボソームRNA 遺伝子と核小体構造の調節  生化学 第85巻 第10号,pp. 845-851,(2013)
http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2014/06/85-10-04.pdf

19)小林武彦編 「ゲノムを司るインターメア 非コードDNAの新たな展開」 化学同人 p. 111 (2015)

20)小林武彦編 「ゲノムを司るインターメア 非コードDNAの新たな展開」 化学同人 p. 2 (2015)

21)Timofeeva Mla et al.,  Organization of a 5S ribosomal RNA gene cluster in the human genome., Mol Biol (Mosk). vol. 27(4):  pp. 861-868. (1993)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8395649

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2017年10月 8日 (日)

山鳩の見る夢@三軒茶屋2017年10月6日

P1060725長い間CDを聴くだけだったのですが、ついに「まきちゃんぐ」のライヴに行くことができました。

場所は三軒茶屋のグレープフルーツムーン。

タイナカ彩智さんとのコラボ「山鳩の見る夢」です。イメージ的には巫女(タイナカ)と酋長の娘(まきちゃんぐ)のタイアップという感じかな。タイナカ彩智さんはピアノの名手で、著名なシンガーソングライターです。

http://morph.way-nifty.com/grey/2016/10/by-2666.html

まきちゃんぐはパンタロン形のジーンズにピンヒールという奇怪なファッションで登場。顔がまん丸に見えるように前髪をカットしているのもめずらしいヘヤースタイルです。

オープニングでタイナカさんが歌っているとき、まきちゃんぐがキーボードで伴奏していたのですが、どんどんペダルがずれて危ないなと思っていたら、突然演奏しながら靴を脱いで、はだしで引き寄せて踏み始めました。これはマジックです。

今回は河合さんという絵描きの方を呼んで、ライブドローイングをやってもらうという趣向だそうです。歌を歌っている間に、指に多分カーボンか黒い顔料の粉をつけて描いていくというのが河合さんの芸風のようです。モノクロですが、驚くべきパフォーマンスでした(写真)。是非画像をクリックして、大画像でご覧になってください。

P1060741

まきちゃんぐも30歳になったようで、若い頃のような毒素ただよう芸風からやや変化して、やわらかくなってきたみたいです。声に張りがある素晴らしいシンガーソングライターですが、激しさもやわらかさも変幻自在のボーカリストでもあります。

「鋼の心」や「赤い糸」もいいですが、「木漏れ日の中で、夏」 「NORA」なんかが私のフェイバリットかな。

ニューアルバム「ハナ」のトレーラー
https://www.youtube.com/watch?v=Mg1-8pFqFoI

愛の雫
https://www.youtube.com/watch?v=ESAqbWBsPjQ

満海
https://www.youtube.com/watch?v=xUWDL1KkgZg

愛と星
https://www.youtube.com/watch?v=XI468c7Hlxk

そうじゃろ
https://www.youtube.com/watch?v=nRlPARRdqs0

岡山出身だそうで関西でのライヴが多く、東京ではなかなか機会がなかったのですが、ようやく聴けて感動しました。クリスマスイヴに南青山マンダラでワンマンをやるそうです。

私の過去記事
http://morph.way-nifty.com/grey/2014/11/by-1ab6.html

オフィシャルHP
http://makichang.info/

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2017年10月 6日 (金)

「二重らせん」 by James D. Watson

Photo基礎科学研究の危機が叫ばれるなか(参照:最後の点線下のパラグラフ)、予算配分の問題もさることながら、大学や研究所の雰囲気も大事です。

ジェームス・D・ワトソンが書いた「二重らせん」(上の図、講談社文庫)を読むと、当時の英国の大学や研究所の雰囲気がビビッドに描かれていて、その自由でフレンドリーな雰囲気こそが、革命的な科学の進歩を生み出したとわかります。

研究者の方々も、研究室の雰囲気をどのように作り上げていけば良いかを考える上で、大いに参考になると思います。アングロサクソン民族や戦後のフランス人が作り上げた自由闊達な雰囲気の中でこそ、ユダヤ人達も実力を発揮できたのだと思います。ワトソンとクリックは例外的にユダヤ人ではありませんでしたが。

ここに書いてあるのは主にキングスカレッジとキャベンディッシュ研究所という英国の状況ですが、米国ではもっと自由な雰囲気だったのでしょう。日本でも昔は大学や研究所は自由な雰囲気がありました。夕方に出勤して夜明けに帰る人、学生との議論はかならず喫茶店で行う教授、学会でも会場には決して行かず、談話室でずっと話している人、スカートを翻して夜中に塀を乗り越えて帰る女性研究者、2日遅れで配達される新聞を読みながらこたつで構想を練る人里離れた研究所の面々、など様々でした。そんななかから多くの優れた研究者が出現しました。ワトソンも朝だけ仕事をして、昼からはテニスという日々もあったようです。

Photo_2
「二重らせん」によれば近隣のレストランで議論を戦わせる場面も多くて、そういう雰囲気もいいなと思いました。パーティーなども頻繁に開かれていたようです。知り合いを増やす機会が多いというのは重要です。

他の研究者との風通しも良く、ワトソンがヌクレオチドの配位に正しい答えを得たのも、結晶学者であるジェリー・ドナヒューが、教科書に書いてあるチミンとグアニンの構造式(エノール型)が実は誤りで、両者ともケト型だと教えてくれたおかげで、それがなければワトソンとクリックは悪戦苦闘して誤った結論に達していたかもしれません(下の図)。

若手研究者に研究に打ち込める環境と雰囲気を作ってあげることは重要です。

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国立大学に所属する研究者には、毎年少額とは言え研究費が支給されてきました。そのお金で研究室の電気代や水道料を支払ったり、実験動物を維持したり、標本や資料の保存、調査費・旅費などに充当してきました。しかし、その状況が大きく変わろうとしています。

「古屋准教授(徳島大学)談:2018年度からは『重点クラスター』と呼ばれる学内の特定の研究グループにだけ配分することになった。残りの人はゼロです。重点クラスターの選択基準は端的に言って、医療技術や医薬品開発など直接役に立つかどうかです。恐れていた最悪の事態がついに来ました。」

これによって、これまで積み上げてきた貴重な実験動物の系統や標本・資料の維持ができなくなり、研究室は半廃墟と化します。人件費もなくなるため期限付き研究員や秘書を解雇しなければなりません。すべて自公政権=晋三の責任でしょう。

https://news.yahoo.co.jp/feature/766






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2017年10月 5日 (木)

資本主義社会から会員制社会へ

A0001_007972日本はここ20年くらい預金金利はほぼゼロで、これは銀行がどこにお金を貸しても利益が得られない状態に近いことを意味します。株価が上昇したのは政府の操作によるもので、トリックにすぎません。

EUや米国の金利もずっと低止まりで、すなわちほぼ資本主義は終了に近づいています。詳しくは写真の水野和夫氏の本に書いてあるので参照して下さい。

水野氏は資本主義終了後の社会を明確には示していませんが、とりあえず日本政府は 1)財政収支を均衡させること、2)税負担を高くしないこと、3)石油に依存しないエネルギー社会をつくることなどを提唱しています。

1資本主義が終了するのは、地球はひとつしかなく土地も資源も有限ですから、いつかはやってくることです。

では資本主義が終了した社会はどんな社会になるのでしょうか? 

私はそれは会員制社会だと思います。投資によって社会が膨張しなくなっても、人間は食事しなければなりませんし、食糧やエネルギーを生産することは必須ですし、家も建てたい、旅行もしたい、ゴルフもしたい、野球・サッカーも見たい、観劇や音楽会にも行きたい、病院も必要です、ということでいろいろな活動がなくなることはありません。

でもそれらを実現するには、投資がない以上別の仕組みが必要です。たとえばサッカースタジアムが老朽化して使えなくなったとします。スポンサーに頼って新スタジアムを建設することは無理ですし、銀行もリスクが大きいとみてお金を貸してくれません。ではどうしてもそのチームのサッカーを見たければ、ファンがお金を出すしかないでしょう。

安普請の小規模なスタジアムしかできないかもしれませんが、ファンがチームのスポンサー(会員)になって建設するわけですから、声援は熱狂し選手は頑張るでしょう。

旅館が施設老朽化で営業できなくなったとします。そうすると、どうしてもその旅館を廃業させたくなければ、その旅館の常連(会員)がお金を出し合って修理して、営業してもらうしかありません。そういう強い思いを抱かせる旅館だけが生き残るのが、ポスト資本主義社会です。

その兆候はすでにあります。たとえばイオンはカードを配布して、カード所有者(会員)のみに値引きをしています。カード所有者は通常の銀行に預金する代わりに、イオンにお金を預けます。つまり顧客が自社への投資のための資金を提供しているわけです。

アリアCDはこのCDが売れない時代に、会員(¥1,000/年)にしか売らないという商法で成功しています。企業が顧客を囲い込み、顧客はその企業をささえるというのが基本です。昔からお寺は檀家の喜捨によって成立していますが、それに近いかもしれません。

会員制社会の実体は会員用特典カード・会員のお金を預かる・ポイント・クーポン・優先予約・会員限定バーゲン・会員限定商品など以外に、会員の商品に対するアドバイスが採用されるとポイントをくれるとか、会員の推薦で社員を採用するとか、将来はもっと進んだ囲い込みが行われるでしょう。

私が会員である都響はすごいです。会員を7ランクにわけて、一般会員は会員券チケット値引きと先行予約のみですが、最高ランクになると下のような特典があります。

サポーターズパーティーに参加
ゲネプロに招待
チケットの最優先予約
リハーサル見学
オリジナルCD&DVDの贈呈
イベントへの招待

などなど

これは未来社会を暗示しているかもしれません。つまりどのクラスの会員であるかによってできることが異なる-ある種の身分制度のような仕組み-にならざるを得ないかもしれません。

資本主義の終了によって社会の発展は停滞しますが、悪いことばかりではないと思います。拡大しなければ成り立たない社会からの決別は、確実に戦争の確率を小さくします。

企業と顧客の距離は否応なく縮まるでしょう。またこのような社会の中でも、科学技術の発展や芸術の振興は政府の責任ではからなければなりません。それによって少しづつでも人類は進歩できるでしょう。




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2017年10月 4日 (水)

枝野幸男と欅坂46

欅坂46が出現したとき、秋元康の時代の空気を読むセンサーに驚愕しました。
晋三の盟友のようなふりをして、もうダメだとなるとさっさと見限る潔さ。
都議選で小池が圧勝するという時代がやってきたわけです。

さらに「不協和音」という曲は、枝野がカラオケで歌いたいと言っているくらい現在の状況を予測したような歌詞で脱帽です。

「仲間からも撃たれると思わなかった」
「僕には僕の正義があるんだ」
「君はYesと言うのか 軍門に下るのか」

なるほどね。

ただちょっと歌詞全体にひろがる暴力的なテーストが気になります。
小池もおおさか維新の松井=他党の候補を「カス」と呼ぶような下衆な男、と組むようではいただけませんね。

枝野が新党を立ち上げたのは当然とは言え、決断は立派だと思いますよ。
どういう政策を打ち出してくるかみてみたい。

欅坂46

「不協和音」
https://www.youtube.com/watch?v=mg--6QzubhM
https://www.youtube.com/watch?v=FbtezFFBeGg

「ふたりセゾン」
https://www.youtube.com/watch?v=nykeotY-NOM
https://www.youtube.com/watch?v=mNpPQXMgtmw

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2017年10月 3日 (火)

地元の紅葉

Magnolia_hypoleuca紅葉の季節になってきました。カエデやイチョウの紅葉は美しいですが、それなりの場所に行かなければ見られません。しかし地元にもそこそこ地味な紅葉・黄葉はみられます。

しかし残念な木が多いのも事実です、家の周りに朴の木(左)が多いのですが、この木はなんと8月から非常に惨めな感じで、ボロボロに黄葉してしまうのです。

ケヤキも全然紅葉はダメです。葉のボロボロ感が強くて、ちっとも美しくありません。

Img_2038

桜は美しい年とダメな年がありますが、今年は美しい方でしょう。桜はどうも枝の先の方から紅葉するようです。ですから枝先の方と幹の方でコントラストができます。そうなったときの方が美しいです。こういうメリハリが出来たときの方が、なしくずしに紅葉していったときより、葉がボロボロでない紅葉がみられると思います。

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2017年10月 2日 (月)

2017~2018リーガエスパニョーラ第7節: 無観客試合そして・・・

Braugranaリーガ第7節はカンプノウで無観客試合となってしまいました。バルサとしては試合を中止または延期したかったようですが、そうするとこの試合のポイントを0とする上に、ペナルティーとして-3ポイントを課すと連盟が決めたことで、無観客試合をやらざるを得なくなりました。大減収です。

ミッドウィークにリスボンで勝利したバルサですが、しだいに消耗していくのは避けられませんが、現在はまだ大丈夫です。相手のラス・パルマスはバルサと同様ポゼッション命のチームで、前半はポゼッションでバルサが下回るというラス・パルマスのペースの試合でした。

バルサはデウロフェウの疲労回復がはかばかしくないのか、右のエストレーモはビダル。スアレスとメッシが前。左エストレーモはほぼSBのアルバが代役。デニス・スアレスとパウリーニョが中盤でブスケツが底。マスチェラーノ・ピケ・セルジ・(アルバ)のBKでGKはテア=シュテーゲン。

ポゼッションで優位に立たれたのはジョナタン・ビエラとアクイラーニというラス・パルマスの中盤が有能だからです。ここからウサマ・タナンやカジェリの抜けだしをサポートするスルーパスが出てくるので危険です。ただし攻撃時にはパス回しのためにどっと選手が前に出てくるので、守備が手薄になり、一発パスが通ればいつでもメッシかスアレスが抜け出せそうな感じもあります。

しかし前半は逆に抜け出されそうになってパンツをひっぱるとか、まずいプレーが多く、なんと4人がカードをもらってしまいました。まあレフェリーのミスもあったとは思いますが・・・。とはいえ失点しなかったのは守備陣とゴールポストががんばりました。

後半は消耗のないデニス・スアレスを右のエストレーモにして、ラキティッチとイニエスタが中盤をささえるという作戦に変更し、これが成功しました。50分CKをとったバルサはまずブスケツの頭に合わせて1点。70分にデニス・スアレスのスルーパスが決まって、メッシがゴール。

76分にはラキティッチ→スアレス→メッシの高速パスが決まって、メッシが3点目をたたき込み勝負を決しました。ただ途中から出たイニエスタが、終了間際に大腿二頭筋を痛めて退場したのは痛手で、これからの数試合が難しくなりました。

スペイン政府・警察はカタルーニャの投票所を襲撃して投票箱を奪うなどの暴力的対応を行い、多数の負傷者が出たようです。これによって独立へのパッションに火を付けた感じで、もう止まらなくなってしまうのではないでしょうか。今日の感じだと、とてもクラシコなんて、できそうにはありません。カンプノウでは勿論、サンチャゴ・ベルナベウでも警察に「負けろ」と指示された昔の悪夢が再来しそうな気がします。

他人事ではありませんよ。日本もこのまま沖縄を放置すると、必ずカタルーニャのようになります。これを防ぐには周辺国家と友好関係を築き、国境を確定するか協定を締結して、日米安保条約を廃棄するしかありません。改憲はそれからでも遅くありません。

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2017年9月30日 (土)

やぶにらみ生物論88: トランスポゾン2

今回はトランスポゾンの種類や構造について述べます。細菌から私達人類まで、あらゆる生物はウィルスの脅威にさらされています。しかしウィルスは細胞に感染するとすぐに増殖して細胞を破壊するようなタイプのものばかりではなく、なかにはホストのDNAに組み込まれてプロファージの状態となり、あたかもホストのDNAの一部であるように振る舞うタイプもあります(1)。

すなわち太古の昔から、素性の知れない外界DNAをホストのDNAの中に埋め込む生化学的システムは存在したと考えられます。そのために必要な最小限のメカニズムには、ホストのDNAと親和性を持った塩基配列、ホストのDNAに切れ目を入れるエンドヌクレアーゼ活性、ホストのDNAと接続するためのDNAリガーゼ活性などが含まれているはずです。

ホストのDNAに埋め込まれたウィルスのDNAの一部に突然変異が生じて、例えば殻のタンパク質をコードする遺伝子が使えなくなってしまったらどうなるでしょう。もはやウィルスはホストの外では活動できません。ただDNAを切り出したり、埋め込んだりする活性が残っていればホストのDNAの中で移動することは可能かもしれません。

真核生物の場合は、このようなDNAを遺伝物質として持つウィルス以外に、RNAを遺伝物質として持つレトロウィルスが感染する場合があります。この場合レトロは「昔の」という意味ではなく、「逆の」という意味です。普通の生物がやっているDNAからRNAへの転写ではなく、レトロウィルスはRNAを鋳型として、逆転写酵素によりDNAを合成する(=逆転写)ことができます。

レトロウィルスとは、ヒトに感染するものではインフルエンザウィルス、HIV、はしかウィルス、ムンプス(おたふくかぜ)ウィルス、B型以外の肝炎ウィルスなどがそうです。この場合も逆転写されたDNAがホストのDNAに組み込まれてプロウィルスの状態になることがあります。

プロファージと同様、プロウィルスも細胞に感染するための遺伝子が変異して役立たなくなることはあり得ます。このように感染力を失ったファージやウィルスは、本来持っていた1)細胞に外から感染するシステム、2)遺伝子を殻内部にパッケージングするためのシステム、3)遺伝子を包む殻、4)細胞を破壊するためのシステムなどはあっても無用または有害になるので、遺伝子には全く残そうという選択圧力がかからなくなり、荒れ放題(変異放題)となります。

ただしホストの細胞内でずっと遺伝子を残す手立てはあります。たとえば細菌や一部の真核生物の場合はプラスミドとなって、ずっと細菌体内で存続することができます。細菌のDNAに組み込まれた状態でも、そのまま存続できる場合があります。他のすべての遺伝子を失っても、DNAを切り出す活性とDNAに組み込む活性が保存されていれば、ホストのDNAを移動することができますし、切り出されている間にDNAを複製して増殖することすら可能です。哺乳類の場合、プラスミドとして生き残るものは多分ないと思いますが、ホストDNAの一部としては残留することができます。

細菌のトランスポゾンはすべてDNAトランスポゾンですが、真核生物のトランスポゾンにはDNAトランスポゾンとレトロトランスポゾンが存在します。まずDNAトランスポゾンからみていきましょう(2、図1)。

DNAトランスポゾンには両端にダイレクトリピート(DR)という同方向を向いた反復配列がある場合があります。これはターゲットのDNAにトランスポゾンを挿入する際に使われると考えられます。ダイレクトリピートの内側にITR(inverted terminal repeat)、またはTIR(terminal inverted repeat)という逆向きの反復配列があります(図1)。これは図3であらためて説明しますが、トランスポゾンのDNAを切り出すときに認識する配列です。

これらの反復配列以外に、DNAトランスポゾンはDNAトランズポゼースの遺伝子をもっており、この他にこの遺伝子を転写するために必要な配列があれば、最小限の構成を確保できます(図1)。なお図1の塩基配列は1例であり、実際の配列とは関係ありません。実例についてもっと詳しく知りたい方は文献(3、4)などが参考になると思います。

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細菌のトランスポゾンはDNAトランズポゾンですし、植物の中には稲のようにゲノムの大部分がDNAトランスポゾンで構成されているものも多いと思われるので、おそらく世界で一番多い遺伝子は「DNAトランスポゼースの遺伝子」でしょう。DNAトランスポゾンには図2のように2つのタイプがあり、ひとつは二重鎖ごとカットして他の部位にペーストする移動型、いまひとつは一重鎖のみ切り出して、複製して二重鎖としてから他の部位に挿入する複製型です。複製型の場合、切り出された一重鎖の部分は残された鎖を鋳型としてホストの酵素で複製されるので、結果的にコピー&ペーストとなり、トランスポゾンが2倍に増幅されます(図2)。

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Inverted terminal repeat ( ITR 、図1) がDNAトランスポゾンの両端にあることは、DNAトランスポゼースの作用機構と密接な関連があります。図3のようにDNAトランスポゼースはダイマーとしてそれぞれがITRを認識して働く、すなわちDNAを切断するので、ITRがトランズポゾンの両端にあることは都合が良いのです。このことはトランスポゾンのエリアを2つのITRにはさまれた部分という認識を酵素が行う上でも重要です(5)。右図はプロテイン・データバンク・ジャパンのイラストです。DNAトランスポゼースとDNAの関係を3Dで表現したものです。

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DNAトランスポゾンをDNAに挿入するときに、ギャップができることがわかっており、ここがダイレクトリピート(DR)あるいはターゲット・サイト・デュプリケーション(TSD)と呼ばれるサイトと考えられています(5)。この部分は当然修復されDNAの接続(ライゲーション)が行われなければなりません。

図4にみられるように、トランスポゾンが挿入されたあと、ホストの細胞が持っている酵素によってギャップは修復されます(6)。修復された部分はトランスポゾンの両端に存在し、同じ方向を向いた同じ配列となります(ダイレクトリピート)。次にこの位置のトランスポゾンを切り出すときに、ダイレクトリピートを置いていくと、DNA上に昔トランスポゾンがあったという痕跡が残りますし、持ち出すとダイレクトリピート付きのトランスポゾンができます。

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ここまでDNAトランスポゾンについて述べてきましたが、トランスポゾンにはもうひとつレトロトランスポゾンというジャンルのものがあります。これはDNAの一部が別の位置に移転するという結果は同じなのですが、メカニズムはまったく異なります。細菌にはこのタイプのトランスポゾンはみられず、真核生物だけに存在するものです。レトロトランスポゾンの場合、普通の遺伝子のようにいったんRNAに転写され、そのRNAを鋳型として逆転写によってDNAが合成され、さらにその単鎖DNAを鋳型として二重鎖DNAが合成され、ホストのDNAに埋め込まれます(7、図5)。

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大変複雑なように見えますが、実はありふれたウィルスであるインフルエンザウィルス、HIV、B型以外の肝炎ウィルス、おたふく風邪ウィルス、はしかウィルスなどはみんな遺伝子はRNAの形でホストに感染し、ホストの細胞の中で逆転写によって相補的なDNAを合成してホストDNAにプロウィルスという形で埋め込まれた状態で潜伏し、転写によって遺伝子RNAと必要なタンパク質を合成してウィルス粒子を作り、ホストを破壊して外に出るという生活史を繰り返します。

細菌のプロファージの場合と同様、ホストのDNAに必要な遺伝子のセットを埋め込んだまではいいものの、その一部が壊れてしまったらどうなるでしょう。ウィルス粒子を作って他の細胞に感染することができなくなるので、プロウィルスのままホストのDNAにとどまるしかありません。いったんとどまってしまったら、プロウィルスとして存在するための遺伝子を除いて、他の遺伝子は壊れ放題になってしまいます。そうなるとプロウィルスは原型をとどめないトランスポゾンとなってしまいます。これをレトロトランスポゾンといいます。

レトロトランスポゾンの中で、一番ウィルスの原型をとどめているのはLTR型レトロトランスポゾンで、図6に示すように、両端にLTR(long terminal repeat)という構造を持っています。ロングと言っても数百から数千塩基対というバラエティーがあって、その機能は十分には解明されていませんが、レトロウィルスはこの部位を利用してホストDNAに逆転写したDNAを組み込んでいることは間違いなさそうです(8)。

そのレトロウィルスの機能を使ってトランスポゾンをホスト内部で移動させようというのが、LTR型レトロトランスポゾンです。このトランスポゾンは内部にエンドヌクレアーゼ(DNAを切断する酵素)と逆転写酵素(リバーストランスクリプターゼ)の有効な遺伝子を保存していますが、他の構造タンパク質などの遺伝子(gag、env など)は変異して無効になっています(図6)。

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そのウィルスの遺産であるLTRを失った長鎖トランスポゾンをLine(long interspersed nuclear elements)といいます。LTRのかわりにやや長いTSDがあり、さらに長い非翻訳領域が3’と5’の両端にTSDに続いて存在し、何らかの形でLTRのかわりにトランスポゾンのDNA組み込みのメカニズムにかかわっていると思われます。LineはLTR型と同様内部にエンドヌクレアーゼとリバーストランスクリプターゼの遺伝子を持っており、それゆえに短くはなれません。だいたい4,000~10,000塩基対(bp)となっています。

これに対してSine(short interspersed nuclear elements)はLTRのみならず、内部のエンドヌクレアーゼとリバーストランスクリプターゼの遺伝子も失っており、そもそもレトロウィルスを起源とするものかどうかも定かではありません。内部にtRNA、5SrRNA、7SL-RNAなどの機能RNAの一部に類似した塩基配列を持っており、3’末にはLine相同な配列とポリAテイルがあります。おそらくレトロウィルスとは関係なく二次的に発生したものなのでしょう。転移するための酵素がないので、Lineなどが持っている酵素の支援がなければ転移することができません。構造に大きなバラエティーがあるのも特徴です(9)。

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霊長類は霊長類にしかないAluエレメントというSineの1種を持っています。Aluエレメントという名は、Aluという制限酵素で切断される部位があることから名付けられました(図8)。ヒトの場合、全ゲノムの11%がAluエレメントだとされています(10)。なぜこんなに大量の特殊なトランスポゾンがヒトのゲノムにあるのかは謎です。このトランスポゾンは7SL-RNAという、タンパク質を細胞外に分泌するためのメカニズムの一翼をになうRNAの遺伝子と共通な配列の断片を数多く持っています(図8)。

図8に両者のフルシーケンスを示しましたので、目をこらして比較してみて下さい。Aluエレメントを発見したのは、カール・シュミット(Carl W. Schmid )とプレスコット・ダイニンジャー(Prescott Deininger) (11、図8)ですが、こんな特殊なトランスポゾンがヒトのゲノムに大量にあるとわかって、さぞかしびっくりしたことでしょう。

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さまざまな生物のなかには、DNAトランスポゾンを多く持つグループとレトロトランスポゾンを多く持つグループがあります(12、図9)。この中で注目したいのは、Entamoeba histolytica という哺乳類に感染する赤痢アメーバはレトロトランスポゾンを圧倒的に多く持っている一方で、Entamoeba invadense という爬虫類に感染する赤痢アメーバはDNAトランスポゾンが圧倒的に多いという研究結果です。

つまりトランスポゾンが蔓延するために要する期間は、進化のスケールで考えるとかなり短いのではないかということが示唆されています。

実際ショウジョウバエのPエレメントというDNAトランスポゾンは、ほとんどの自然界のハエが持っているにもかかわらず、古くから飼い継がれている実験用のハエにはどれにも全くみられないということが知られており、この場合数十年の内にPエレメントが自然界で蔓延したと思われます(13)。

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参照

1)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%82%B8

2)Transposons: Mobile DNA
http://grupo.us.es/gfnl/dna/genetic_ingeniering/transposons.htm

3)  Kosuke Yusa, piggyBac Transposon., Microbiolspec, vol. 3 no. 2  (2015) doi:10.1128/microbiolspec.MDNA3-0028-2014
http://www.asmscience.org/content/journal/microbiolspec/10.1128/microbiolspec.MDNA3-0028-2014

4)Narayanavari SA, Chilkunda SS, Ivics Z, Izsvák Z., Sleeping Beauty transposition: from biology to applications., Crit Rev Biochem Mol Biol.  vol.52, no.1, pp. 18-44. (2017) doi: 10.1080/10409238.2016.1237935. Epub 2016 Oct 4.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27696897

5)JD Watson, Molecular Biology of the Gene., 6th edn., pp.334-370, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2008)

6)Jennifer McDowall, Transposase.
http://www.ebi.ac.uk/interpro/potm/2006_12/Page1.htm

7)https://en.wikipedia.org/wiki/Retrotransposon

8)http://what-when-how.com/molecular-biology/long-terminal-repeats-molecular-biology/

9)http://sines.eimb.ru/Help.html

10)Prescott Deininger, Alu elements: know the SINEs.,  Genome Biol. 2011; vo. 12(12): pp. 236-248. Published online 2011 Dec 28.  doi:  10.1186/gb-2011-12-12-236

11)Schmid CW, Deininger PL  "Sequence organization of the human genome". Cell. 6: 345–358. (1975)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3334610/

12)Leslie A. Pray, Transposons: The Jumping Genes, Nature Education vol.1(1), p. 204 (2008)
https://www.nature.com/scitable/nated/article?action=showContentInPopup&contentPK=518

13)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%82%BE%E3%83%B3 (具体例のセクションを参照)

 

 

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2017年9月29日 (金)

総選挙 まずいことになりそう

A0002_000877今回の総選挙を控えての大騒動は、あまりに晋三政権が詐欺的で強引すぎる政治をやったための副作用だと思います。

副作用ですから、まずい結果は目に見えています。どういう政策を選択するのかではなく、政策とは関係なく誰がやるかという選挙になりそうです。それは困りますよね。

まあ政権がひっくり返ったとして、1年くらいはいろんな考え方の議員がみんな我慢するとして、それ以降は分裂するのは目に見えています。

安保法制をどうするのか? 柏崎原発をどうするのか? 辺野古をどうするのか? 憲法九条をどうするのか? 日銀に株や国債を買わせる異常な政策を継続するのか? 年金で株を買い続けるのか? 郵便局を外国に売るのか? 消費税を上げるのか? 上げた消費税を何に使うのか? 財政再建をするのか、それとも棚上げするのか? 地雷原は山ほどあります。

私は前から言っているように「科学技術の推進」(=研究の自由と予算の拡大)と「移民政策の推進」(=島国からインターナショナルな国家に生まれ変わる。英語教育の推進などは、より米国の下僕化が推進されるだけです)が日本が生き残るためのキーだと思っていますが、それを第一に掲げている政党はありません。

ならば最低でも、米国と少し距離をおいて、中ソ韓の方を向いた外交を進めてくれそうな政党ができて欲しいと思うわけです。そうしなければ、いつまでたっても日本は国境も定まらない、ふわふわの国家のままです。米軍基地も永遠になくなりません。そういう意味では好きなタイプの政治家ではありませんが、鳩山由紀夫にもう一度立ち上がってもらうしかないかもしれません。

それにしても枝野はどうするんでしょうね。前原に一杯食わされてしぼむのでは、あまりにも情けない話です。「護憲」を旗印に新党を立ち上げるくらいの心意気が彼にはないのでしょうか?

考えてみれば、民進党は自由党・社民党・共産党との連携で数が増える感じだったのに、なぜここで小池にすり寄ったかと言えば、護憲派を議会で圧倒的少数派にしようというからくりじゃないのかという疑いがのこります。現時点で国民の改憲派は少数なので、議会で二大政党が改憲というのはおかしな話です。これは一種のトリックです。

(写真は「足なり」からダウンロードしました)

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クレア・フアンチ ピアノリサイタル@白寿ホール2017年9月28日

Img1クレア・フアンチはウィキペディアによると、両親が科学者だそうで、ニューヨークのロチェスター生まれ(1990年)の中国系米国人だそうです。

白寿ホールははじめてでしたが、千代田線「代々木公園」に程近いビルの7Fにある素晴らしいホールです。ピアノ演奏を聴くのに非常に適していると思います。シートがまた素晴らしく、特にランバーサポートがしっかりしていて疲れません。

フアンチはショパンのノクターン集のCDを持っていて、すごいピアニストであることは知っていましたが、実演ではもっとエモーショナルで、生演奏らしいエキサイティングな音楽を楽しめました。

さてフアンチはリサイタルなのにドレスは着用せず、地味なパンツに普段着に毛の生えたような衣装で登場。ヤマハのピアノは「月光」ソナタに向いています。第一楽章の、暗い地底からとめどなく湧き上がってくる泉のような3連符にはぞくぞくしました。

休憩後のショパンのプレリュードはエルフルン・ガブリエルのCDがあればいいと思っていましたが、今夜の演奏には完全にやられました。2曲目の暗さがたまりません。「雨だれ」もしとしとの雨ではなく、物凄い暴風雨です。終盤はやや落ち着きがなかったような気もしましたが、実演で聴いた「プレリュード」ではベストであることに間違いありません。

Img2アンコールも拍手が鳴り止まず、スカルラッティを3曲、グリーグを1曲やって、ここまで暗譜でしたが、ついに5曲目「美女と野獣より」には、タブレットを譜面台においての演奏でした。このアンコールも驚異的な名演でした。朝まで聴いていたいという感じでしたね。

私は特に彼女のショパンが好きです。感性的にフィットする演奏なので・・・。よくまあ日本でリサイタルをやってくれたと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=xziZgGfZk7g

https://www.youtube.com/watch?v=C-4H_57BW_o

https://www.youtube.com/watch?v=8oIc3A19MAc

https://www.youtube.com/watch?v=Oji289l6fQE

https://www.youtube.com/watch?v=4z5bJUtJivI

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2017年9月26日 (火)

サラとミーナ190: マミタスより長生きのサラとミーナ

Img_aすっかり定年退職で、毎日の探索作業をリタイアしたサラ。おやつの鰹節も食べなくなって、これはいよいよ寿命かと心配しましたが、ペットショップでフリーズドライのかつおを買ってきて与えると、ばくばく食べました。

ベランダに出すと、どてっと寝転んでウルトラリラックス。なかなか家の中にもどらないので困ります。しかたなく扉を開けておいたら、大ゴキブリが侵入、部屋の中をブンブン飛び回って大騒ぎしましたが逮捕できず。

ところが一晩経過すると、全く生きている兆候がみえませんしきこえません。これはサラが始末したのかと、安心と不安がよぎる今日この頃です。

しょこたん飼育のマミタスが亡くなったそうで、ご愁傷様です。

https://twitter.com/shoko55mmts

http://www.shokotan.jp/

しょこたんも @nifty ブログでアクセスがトップだったこともあるのに、アメーバに乗り換えたのは残念至極。

Img_bミーナは特に変わりなし。長い時間を私のベッドの上で過ごします、あとはキャットタワー、プリンターの上。冬になるとベッドの上の毛布の中。このあたりを探すとたいていみつかります。

写真は急に明るくしたので、「まぶしいから、はやく電気消して」と言ってるのかな?

サラはよくカーテンの裏など思わぬ場所に潜伏することがあるので、なかなかみつからないことがあります。

イベントは1.朝トイレ掃除と給餌(ad libitum)、2.朝ベランダ開放、3.夕おやつの時間、4.深夜猫会議の4回/Dayで、このときはかならず2匹+私が集結します。

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2017年9月24日 (日)

2017~2018 リーガ・エスパニョーラ第6節 オウンゴール2発でドタバタの勝利

Braugranaミッドウィークの第5節エイバル戦は、録画しようとしていたらスカパーが停止していて空振り。大失敗の巻でした。第6節のジローナ戦は、バルセロナから車で1時間~1時間半くらいらしい(WOWOW情報)エスタディ・モンティリビでのゲームです。13286人収容のスタジアムでローカルな雰囲気です。

1949年にコパで当たって以来の2戦目だそうです。オルンガというケニアの選手が1トップ気味のフォーメーションですが、マンCからレンタルのドウグラスという選手が良いセンスで攻めてくるチームです。中盤のマフェオは今時珍しいメッシのマンマーク担当。GKのイライソスはビルバオ時代におなじみの選手。

バルサは毎週2回づつ試合がある厳しい日程で、バルベルデの腕のみせどころです。第5節でのデウロフェウは明らかに疲労がみられたので、ジローナ出身ではありますが招集外。代役はアレイシ・ビダルです。トップはスアレス。MFはイニエスタ・メッシ・パウリーニョ、中盤底はラキティッチ。ブスケツを休ませるのですが、パウリーニョでなくラキが代役。DF:アルバ・ウムティティ・マスチェラーノ・セルジ。ピケとセメドはお休みです。GKはテア=シュテーゲン。

12分ドウグラスにミドルシュートを打たれ、テア=シュテーゲンがギリギリではじく。はねかえりも打たれますがなんとか体に当ててセーフ。メッシはマンマークで動きとれず、非常にまずい展開です。FKもイライソスに止められて得点できません。17分アルバのセンタリングをアダイがクリアミスしてオウンゴール。なんともあっけないゴールで、バルサついています。

しかもこのあとマフェオがカードをもらってハードマークが難しくなるという幸運もありました。ラキティッチの惜しいミドルがありましたが、イライソスにセーブされて、前半は0:1で終了。

後半3分、ビダルが右に突入してヒールの股抜きでスアレスにパスを出しますが、なんともらったスアレスが股抜きスルーして、予想外のGKがオウンゴール。爆笑でジローナ自滅しました。26分にはスアレスがフリーで独走してダメ押しのゴール。バルサ0:3の勝利です。

https://www.youtube.com/watch?v=nVg5VBk_L3w

https://www.youtube.com/watch?v=1tRMmiNZBHQ

https://www.youtube.com/watch?v=xOMglk08GVQ



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2017年9月23日 (土)

梅田-都響のエルガー「創作主題による変奏曲(エニグマ)」@サントリーホール 2017年9月23日

Imgajpgサントリーホールは改装後はじめてでした。2Fのトイレの位置が変更されていて、従来の男子トイレと女子トイレがくっついて女子トイレとなり、男子トイレは別の位置に移動しました。ところが女子トイレに進入禁止マークがついていて???と思ったら、なんと出口と入口を分けたので出口に進入禁止マークをつけたのだそうです。

出口・入口と書けばわかるだろうに馬鹿なことをするものです。

シートの背もたれが良くなった感じがしました。背骨に問題がある私のような人間には有難いことです。

本日の指揮者は梅田さん、コンマスは矢部ちゃん(札幌まで台風を連れて行ったようですが、今日は朝は雨でしたがぎりぎりセーフ)。

サイドのマキロンは札幌で暴飲暴食かと思いきや意外にすっきり。客席は地味なプログラムの割には結構埋まっていました。

ハイドンの主題による変奏曲は、マエストロ梅田が優美な演奏をめざしていたと思われますが、そのせいか若干締まりが悪かったように思いました。

本日のソリストはチェリストのユリア・ハーゲン。まだ22歳の若手ですが、なかなか豊満なルノアール風の容姿で、なぜか音楽も豊満。リッチな音と繊細な演奏で「ロココの主題による変奏曲」を聴かせてくれました。これはなかなかの掘り出し物です。チェリストの演奏台の裏には、ここで演奏した多くのチェリストのサインがありますが、彼女もサインしたのでしょう。

都響のサポートも万全で、大変素晴らしい演奏だったと思います。拍手に応えてアンコール(バッハ)もやってくれました。後半は客席で都響の演奏を聴いていました。

休憩後のエルガー「創作主題による変奏曲(エニグマ)」は、はじめて実演に接しました。店村というVlaの名手がいる都響向きの曲で、マエストロ梅田も得意の曲なのでしょうか、都響をきっちりコントロールして、かつ生気に満ちた躍動感のある音楽を聴かせてくれました。とはいえエルガーという人も、ここぞというところでキャッチーなメロディーを投入できない、あと一歩の「残念な作曲家」だなあという思いがつのる演奏会でした。

ロココ風の主題による変奏曲 チャイコフスキー
https://www.youtube.com/watch?v=wsWnOgv6RG8

創作主題による変奏曲 エルガー
https://www.youtube.com/watch?v=QB8cE0B11lE

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2017年9月21日 (木)

やぶにらみ生物論87: トランスポゾン1

トランスポゾンとは染色体上での位置を変えることができるDNA断片のことですが、発見したのはバーバラ・マクリントックという女性科学者です(図1)。

彼女が辿った道をまず見ていきましょう。彼女は1902年の生まれで日本では明治の末期ですが、当時は米国でも女性が科学者になるのはまれなことでした。実際コーネル大学の農学部に進学したのですが、希望した植物育種学科は女人禁制で、大学院も遺伝学は女性は専攻できなかったので、やむなく植物学を専攻することになりました。

マクリントックが最初に目指したのは、当時モーガン研のスターティヴァントがショウジョウバエの4つの染色体を識別し、それぞれにおける遺伝子の場所を記した染色体地図を発表していたので、彼女が研究材料としていたトウモロコシでも染色体地図を作成するということでした。彼女はまず染色体を識別する上で助けになる酢酸カーミン染色法を開発しました。これは図1のカルミン酸を酢酸に溶かして鉄イオンなどを加えた染色液を用いる方法で、現在でも使われています。カルミン酸はある種のカイガラムシが合成する色素で、1991年まで人工合成はできませんでした。

A_8


彼女はまず自らの染色法を駆使して、トウモロコシの染色体が10組20本であることを確定し、各染色体に1~10番の番号を付けました(1)。この論文を発表した年(1929)に、ハリエット・クレイトン(図2)という大学院生がやってきて、マクリントックの指導で研究をはじめました。彼女たちが興味を寄せたのは奇妙な形の染色体を持つトウモロコシの変異体でした。当時としては、組み換えという現象があることはわかっていましたが、これが線路のポイント切り替えのようなダイナミックな染色体の物理的切断と結合の結果なのか、それとも遺伝子ごとの交換のようなミクロな現象なのかよくわかっていませんでした。

クレイトンとマクリントックは、染色体の両端にそれぞれ特徴的な構造、すなわちノブとしっぽ(非染色体DNA)を持つ変異体をみつけて、ノブとしっぽが組み換えによっていれかわることを示しました。これによって組み換えが可視化され、誰もが染色体の切断と再結合(交叉)によって組み換えが行われることを納得しました(2)。図2をみると、CとWという2つの遺伝子の間で組み換えがおこると、Cはノブ、Wはしっぽと行動を共にしており、物理的な染色体の切断・結合と、形質から判断される遺伝子の組み換えが同時に起こっていることがわかります。

A_9


私はこの文章を書くに当たって、マクリントックが後にトランスポゾンの理論をうちたてるきっかけとなった論文のことを調べるために文献(参照3)にあたりました。その中には 「1931年の秋、彼女はカリフォルニア大学バークレイ校の研究者から送られてきた別刷りを受け取った。そこに彼女がミズーリで見たものと同じ種類の斑入りが載っていた。バークレイの研究者たちもまた、染色体の切断あるいは欠落で生じた小さな染色体について触れていた」 という記述があります。ところがこのバークレイの研究者が誰なのかは書かれていません。

不満を感じながら調べたところ、マクリントックの論文(4)に引用文献がありました。この論文には引用文献が2つしかなく、そのひとつでした。Nawashin M. という人物の論文なのですが、さらに調べると、どうもこの引用文献のスペルが間違っているらしくて、Navashin M. という人物なら当時バークレイ校で植物の遺伝学をやっていたようなのですが、Nawashin M. という人物は見当たりませんでした。伝記を書いて出版するのなら、ちゃんとカリフォルニア大学バークレイ校に行くなり、文献を取り寄せるなりして調べて確認してから書いてほしいと思いますね。これからは全く私の想像ですが、Navasin さんはドイツ語でも論文を書いているのでドイツ人で、本来は Nawashin だったわけですが、米国では名前の発音が違って呼ばれるのが嫌で Navashin にスペルを代えたのではないでしょうか?マクリントックへの手紙には Nawashin と書いたのかもしれません。

マクリントックは斑入りの原因が、環状染色体(5、図3)内における染色分体間での姉妹鎖交換によって、セントロメアを2個含む染色体と全く含まない染色体が形成され、セントロメアを含まない染色体は細胞分裂によって娘細胞に分配されないため、色に関する遺伝子が無効になった細胞集団ができることによって斑入りが発生することを示しました(4)。

A_10


マクリントックは米国学術研究会議から奨学金をもらって、コーネル大学、ミシガン大学、カルテックなどを渡り歩いて研究をしていましたが、それが切れてしまって、ドイツで研究を続けることにしました(6)。1933年~1934年はドイツで核小体と染色体の関係について研究していましたが、ナチスドイツの台頭もあって、コーネル大学に戻ることになりました。

そして1936年に、30才代半ばでようやくミズーリ大学での定職(assistant professor)を得ることができました。Assistant professor といえば日本では助教のようなポストでしたが、その状態で彼女は米国遺伝学会の会長になりました。マクリントックは全く協調性がなく、喧嘩っ早い人間だったので、業績は大いに評価されてもポストは与えられず、女性の地位が低かった時代とは言え、あとからきた女性に先に准教授(associate professor)のポストが与えられるという有様でした(3)。

マクリントックが幸運だったのは、このような状況の中で旧友のマーカス・ローズがコールド・スプリング・ハーバー研究所に誘ってくれたことでした。ここは生物学のジャンルでは最も有名なシンポジウムが開催される場所として業界で知らない人はいません。夏期休暇を利用して多くの研究者が集まる施設ですが、冬は静かな環境で思う存分研究ができる場所でした(図4)。

この研究所のたたずまいはちょっと変わっていて、図4のように普通のビルディングではなく、敷地に散在する個人の住宅のような建物がひとつの研究室になっています。右はマクリントックの研究室で、彼女が亡くなったあともそのまま保存されていました。

このような施設をみると、日本人は科学を利用しようとするだけで、愛してはいないということを痛感させられます。ちなみに2009年にはコールド・スプリング・ハーバー・アジアが中国の蘇州に開設され、活動を開始しました。これからの科学は中国によって牽引されることが予感させられます。

A_11


これからの話を理解するためにアントシアニジンという色素について説明しなければなりません。この色素は多くの植物で花や実の色に関与しており、複雑な過程を経て合成され、しかも図5のように側鎖の種類によって様々な発色が可能です。実際にはこの色素に糖が結合した配糖体の形で花や実に存在しています。

A_12

マクリントックは1941年12月から、ほとんどの残りの人生をコールド・スプリング・ハーバーで過ごしました。1941年12月といえば、8日の真珠湾攻撃から太平洋戦争が勃発した時期でした。彼女が「動く遺伝子」の研究を始めたのは1944年ですから、日本軍が太平洋の島々で玉砕を重ねていた時期です。「動く遺伝子」に関する仕事は非常に困難だったので、数年間は論文が書けませんでしたが、戦争中にもかかわらずカーネギー財団はずっと援助を続けました。

この間にマクリントックは、Ac と Ds というDNA上の因子が、DNA上で他の部位にジャンプして遺伝子発現の調節を行っていることをつきとめました。例えば図6で言えば、通常は紫色の実が、Dsがアントシアニジン合成遺伝子の位置に移動してくると、その合成遺伝子の発現が抑制されて実の色が白くなり、Dsがそこから抜けて移動すると、ふたたび色素が合成されるようになります。どの程度元に戻れるかによって発色の状況が違っていきます。これが斑入りの原因になります。

A_13

マクリントックは1951年にコールド・スプリング・ハーバー研究所のシンポジウムで「動く遺伝子」に関する永年の研究成果を発表しました。しかし予想に反して全く反響はなく、誰も彼女が何を言っているのか理解できませんでした。ジャコブとモノーのオペロン仮説よりも前、ワトソンとクリックの二重らせんよりも前だったので、当時としては想像もできないようなお話だったようです。DNAの一部が遺伝子の活動を制御するなどと言う概念すらなかった時代だったということもありますが、当時は遺伝学者の興味がファージや大腸菌に大きく傾いていた時代だったので、トウモロコシの話題などみんなあまり興味がなかったのでしょう。

その後も分子生物学的な裏付けがなかったので、「動く遺伝子(トランスポゾン)」はなかなか業界で認められませんでしたが、1982年にスプラドリングとルビン(図7)がショウジョウバエにPエレメントが存在することを証明し(8、9)、ついに1983年にフェドロフ(図7)がトウモロコシのAcとDsの分子的実体とその動きを解明した(10)ことで、間髪を入れずマクリントックはノーベル生理学医学賞を授けられることになりました。

授賞時マクリントックは80才を越えていましたが、メンデルと違って生きているうちにきちんと再評価されたのはよかったと思います。ただ私の意見としては、ニーナ・フェドロフと共に授賞すべきだったのではないか、そのほうがマクリントックも嬉しかったのではないかと思いますね。天才だけでなく、実験的証明を行った人々についても、きちんと評価されて然るべきです。

A_14

現在ではトランスポゾンは細菌からヒトに至るまでユニバーサルに存在することが知られていますし、種類も様々です。少し長くなりそうなので、続きは次回に述べることにします。


参照

1) B. McClintock.,  Chromosome Morphology in Zea mays. Science 69: 629 (1929)
http://science.sciencemag.org/content/69/1798/629.long

2)Creighton, H., and McClintock, B. 1931 A correlation of cytological and genetical crossing-over in Zea mays. PNAS vol. 17: pp. 492–497 (1931)
http://www.esp.org/foundations/genetics/classical/holdings/m/hc-bm-31.pdf

3)Ray Spangenberg  and  Diane Kit Moser  著,  大坪 久子 (翻訳)  「ノーベル賞学者バーバラ・マクリントックの生涯 動く遺伝子の発見」  養賢堂 2016年刊

4)B. McClintock., A correlation of ring-shaped chromosomes with variegation in zea mays., Natl. Acad. Sci. USA, vol.18, no.12, pp. 677-681 (1932)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1076312/pdf/pnas01740-0003.pdf

5)Lillian V. Morgan., Correlation between shape and behavior of archromosome., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, vol. 12., pp.180-181 (1926)
http://www.pnas.org/content/12/3/180

6)Famous scientists. Barbara McClintock.,
https://www.famousscientists.org/barbara-mcclintock/

7)Barbara McClintock, The origin and behavior of mutable loci in maize., Proc. Natl. Acad. Sci. USA vol. 36,  pp. 344-355 (1950)

8)Spradling AC, Rubin GM,  "Transposition of cloned P elements into Drosophila germ line chromosomes". Science. vol. 218 (4570): pp. 341–347. (1982)
Bibcode:1982Sci...218..341S. PMID 6289435. doi:10.1126/science.6289435.

9)Rubin GM, Spradling AC, "Genetic transformation of Drosophila with transposable element vectors". Science. vol. 218 (4570): pp. 348–353. (1982)
Bibcode:1982Sci...218..348R. PMID 6289436. doi:10.1126/science.6289436.

10)N. Fedoroff, S. Wessler, and M. Shure, Isolation of the transposable maize controlling elements Ac and Ds., Cell vol. 35, pp. 235-242 (1983)

 

 

 

 

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2017年9月18日 (月)

「バーバラ・マクリントックの生涯-動く遺伝子の発見-」

1「バーバラ・マクリントックの生涯-動く遺伝子の発見-」 Ray Spangenburg and Diane Kit Moser 著、大坪久子他訳 養賢堂 (2016)

読んで損したわけではなく、ほぼ私の目的は果たしたのですが、内容に非常に気になったところがあったので、ひと言述べたくなりました。

この本ではマクリントックの仕事の前奏曲として、メンデルやモーガンの仕事は詳しく解説しているのですが、メンデルの法則の裏付けをとったウォルター・サットンの仕事が全く無視されていて、ひと言も触れられていません。

サットンが遺伝の物理的実体が染色体であるという「染色体説」を発表した重要な論文を最初に出版したのは1902年で、これはマクリントックの生年でもありましが、巻末の年表にすらサットンの名前はありません。彼こそ方法論的にもマクリントックの研究の先駆者として記載すべきではないでしょうか?

こんなアンフェアーな本を書いた著者達がどんな人物なのか見てみようと思ったら、どこにも略歴すらありません。養賢堂はメールのひとつでも出して、本人に問い合わせる努力もしていないのでしょうか。あきれます。さらに訳者の大坪氏は5ページもの長文の訳者後書きを書いていますが、著者については何も書いていません。1987年に出版された「動く遺伝子-トウモロコシとノーベル賞」 エヴリン・フォックス・ケラー著 石館三枝子他訳(1987年)との関連についても言及していません。

理由は違いますが、科学の本でこんなに読んでいて不愉快な気分になったのは、アンドリュー・パーカーの「眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く」(草思社 2006)以来でした。

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2017年9月17日 (日)

リーガ・エスパニョーラ2017~2018 第4節: 岳のゴラッソをデニスとパウリーニョがひっくり返す

Braugranaコリセウム・アルフォンソ・ペレスでヘタフェとの対戦。ここは1万7千人しかはいらない、こじんまりとしたスタジアムです。岳が所属しています。

バルサはミッドウィークにユベントスとゲームがあって(3:0で勝利)お疲れムード。WOWOWではローテーションはないと言っていましたが、私はデウロフェウ→デンベレ、セメド→セルジはローテションだと思います。私ならイニエスタとラキティッチも休ませて、デニス・スアレスとパウリーニョを出したいところですが、バルベルデはそこまではやりませんでした。スアレス・メッシ・ブスケツ・アルバの4人は、バテバテになるまで基本的にローテーションはしないのかな? CBはウムティティとピケです。

ヘタフェは1トップのホルヘ・モリーナ中心のチーム。岳はなんとシャドーストライカー役で出場。左アマト・右ファジル、マルケルとアランバリのダブルボランチにDFはアントゥネス・カラ・ジェネ・ダミアン、GK:グアイタ。

バルサは全体的に動きが悪く、ヘタフェペースのスタートでした。10分にはピケがエリアぎりぎりでダイビングして相手をつかむという情けないプレー。16分には左からの岳のクロスをピケが手ではじいて、レフェリーによっては一発レッドもあるかという危険なプレーで肝を冷やしました。イエローでもすでにひとつもらっていたのでもらったら退場のところでした。手が体に完全にはついていなかったので、バルサにとってはラッキーでした。

27分にはデンベレが誰もバルサ選手がいないところにヒールキックして故障発生。お休みのはずだったデウロフェウに交代です。バルサが惜しかったのは32分、イニエスタの浮き球をウムティティが頭で合わせましたが、グアイタの正面でした。39分には岳がエリア外から美しいボレーを決めて、バルサ大ピンチのまま前半終了。柴崎岳は歴史に名を残すことになりました。クールな岳らしいゴールでした。

後半イニエスタをデニス・スアレスに代えると、デニスは非常に元気で動きが良く、バルサを牽引してくれました。しかも岳は足痛でピッチに倒れ込み交代です。

17分バルサは右サイドでデウロフェウとセルジが頑張って、デニスにラストパスが供給されゴール。やっと追いつきました。37分にはあわやセルジのオウンゴールかというピンチがありましたが、カウンター攻撃でメッシからラキティッチと交代して出ていたパウリーニョにパスが通って、パウリーニョがジェネをフィジカルで突破して決勝ゴール。なんとか1:2で勝利。この勝利はバルサの動きが重い試合だっただけに拾いものでした。バルベルデの好采配と言われていますが、私に言わせれば「最初からデニスとパウリーニョを出しとけよと」ですね。

中2日でエイバル戦がありますが、バルベルデがどんな選手をスタメンで起用するのか興味津々です。

https://www.youtube.com/watch?v=waevuR1pIfc
https://www.youtube.com/watch?v=tUGnRmDdS5g
https://www.youtube.com/watch?v=QGEt1UctaO4

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2017年9月14日 (木)

ある文民警察官の死

1024pxgraf_pol_pot文化庁芸術祭賞の昨年度の審査過程の興味深い記事が東京新聞のサイト(2017年9月9日)に出ていました。

引用
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昨年十二月上旬、全作品を見た各審査委員が受賞作を決めるため、文化庁内で「ある文民警察官の死」の評価を話し合っていた際、事務局の文化庁芸術文化課の職員が「国からの賞なのに、国を批判するような番組を賞に選ぶのはいかがなものか」との趣旨の発言をした。

職員に審査権限はない。複数の審査委員から「それは違う」とその場で異議が上がり、最終的に優秀賞の一つに選ばれた。

作品はNHK大阪放送局の「NHKスペシャル ある文民警察官の死~カンボジアPKO23年目の告白」。一九九三年、岡山県警の高田晴行さん=当時(33)=が武装ゲリラに襲撃され死亡した事件を、隊員らの証言や手記などから丹念に検証した。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017090990070732.html

このドキュメンタリーは私も見ました。カンボジアの国連PKOに狩り出された警察官が現地があまりにも危険なため、個人でマシンガンを購入して移動中にゲリラと撃ち合いになり死亡したという話です。これは日本政府が武器を携帯させなかったという問題もありますが、現地の国連関係者の認識が甘すぎたこともあります。私も彼らの立場なら、武器を購入したと思います。

生死に関わることなので、国連や政府がどう言おうが臨機応変に対応すれば良いことだと思いますが、そうして複数の人間がマシンガンを保有していても、襲撃で被害が出たわけですから、それだけ危険な場所だったということなのでしょう。このような場所でPKOを行うのは尚早だったと思いますし、やるなら完全武装で行うべきだったでしょう。PKOは国連の予算で行なう国連の活動であり、責任は基本的に国連にあります。

多くの人は知らないと思いますが、ホー・チミン勢力がカンボジアに浸透するのを恐れて、米国はプノンペン周辺をB52で無差別爆撃し、数万人の市民が殺害されました。1965年から1973年の間に米国がカンボジアに投下した爆弾は270万トン以上で、これは連合国が第二次世界大戦で投下した総量より多かったそうです(1)。

しかしようやくできた反米ポル・ポト政権はたちまち堕落していき、反対派を虐殺するようになっていきました。その後ポル・ポト派は辺縁に追いやられ、国連が現地を平定するためにPKOを発動していたわけです。そのような背景で起きた事件でした。

みんなが忘れた頃に、このような番組で問題提起してくれたNHKに目を見張りました。確かにこれは、日本の部隊が戦後初めて撃ち合いの実戦を経験した機会だったのでしょう。

1)舟越美夏 「人はなぜ人を殺したのか ポル・ポト派、語る」 毎日新聞社 (2013)

(写真はポル・ポトの墓 ウィキペディアより)

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2017年9月12日 (火)

愚かな国

A1380_000522太平洋戦争前にも日本には優秀なシンクタンク「総力戦研究所」があって、米国と開戦すれば日本は4年で戦闘能力を失って無条件降伏せざるを得なくなり、満州はロシアに占領されるだろうというシミュレーションを天皇・陸海軍に上奏していたそうです。

結果はシミュレーションの通りになりました。

私達戦争を知らない世代が戦争を語るには、下記の映像は見ておく必要があると思います。

なぜならば、私達日本人のDNAは戦前も戦後も同じなので、本能的に判断するなら昔と同じことをやってしまう可能性が高いからです。

【太平洋戦争】なぜ、負けた? 

① ガタルカナルの戦い
https://www.youtube.com/watch?v=YbTL74D5UlI

② インパール・コヒマの戦い
https://www.youtube.com/watch?v=XjJ8onQqHa8

③ レイテ・ルソンの戦い
https://www.youtube.com/watch?v=nXZ0QZFa7IE

絶対に勝てなかった大東亞戦争

① ゼロ戦の構造的な欠陥とは?
https://www.youtube.com/watch?v=mmSa7oS_i-Y

② 総力戦とは? 大日本帝国の弱点「海上輸送網」とは?
https://www.youtube.com/watch?v=zgD05ICdA54

③ マリアナの七面鳥撃ち「あ号作戦(マリアナ沖海戦)」とは?
https://www.youtube.com/watch?v=TFfp4P7C41k

【第二次世界大戦】なぜ、始めた?

①「国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)ヒトラー総統の誤算」
https://www.youtube.com/watch?v=fpanf_MJvZ8

②「アメリカ合衆国の参戦」 ~日本は嵌められたのか?~ 
https://www.youtube.com/watch?v=Wy2W8OyTfww

③「日本帝国の参戦」~真珠湾への奇襲はアメリカの罠だったのか?~
https://www.youtube.com/watch?v=XqWZ_1b7kvo

東條陸軍大臣がシンクタンクのシミュレーションに対して述べた意見(ウィキペディアより)

「諸君の研究の勞を多とするが、これはあくまでも机上の演習でありまして、實際の戰争といふものは、君達が考へているやうな物では無いのであります。日露戰争で、わが大日本帝國は勝てるとは思はなかつた。然し勝つたのであります。あの當時も列强による三國干渉で、やむにやまれず帝國は立ち上がつたのでありまして、勝てる戰争だからと思つてやつたのではなかつた。戰といふものは、計畫通りにいかない。意外裡な事が勝利に繋がつていく。したがつて、諸君の考へている事は机上の空論とまでは言はないとしても、あくまでも、その意外裡の要素といふものをば、考慮したものではないのであります。なほ、この机上演習の經緯を、諸君は輕はずみに口外してはならぬといふことであります。」

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2017年9月11日 (月)

リーガ・エスパニョーラ2017~2018第3節: マニータでエスパニョールを木端微塵

Braugranaカタルーニャ州議会は独立を問う住民投票を実施するための法案を可決し、10月1日に投票が決まりました。スペイン政府はもちろん認めていないので、衝突は避けられません。カタルーニャは風雲急を告げています。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2017090701000846.html

そんな騒然たる世情の中でのバルセロナダービー@カンプノウです。アラベス戦ではFWが左デウロフェウ、右ビダルという首をかしげるようなスタメンのバルサでしたが、今回はスアレスが戻ってきたこともあって、スアレス左、デウロフェウ右の納得のFWです。左イニエスタ・中央メッシ・右ラキチッチのMF。中盤底はブスケツ、DF:アルバ・ウムティティ・ピケ・セメド、GK:テア=シュテーゲン。

右SBのセメドがなかなかいいので、セルジはどうみても第一の選択肢ではないと思います(今日は負傷欠場)。セルジはMFとしてパウリーニョ、アンドレ=ゴメスあたりと競争した方がよいのではないでしょうか。メッシ引退後はトップ下はセルジかな。セメドは突破してクロス狙いではなく、たいていデウロフェウをサポートする感じで攻撃参加してくるのが好ましい。この2人はセットで考えたいですね。

エスパニョールはモレノ、ピアッティ中心の攻撃陣で、レオ・バチストン、ダルデールあたりがからんできます。

26分、実はオフサイドのメッシにラキティッチから縦パスが決まってゴール。この試合はどうもバルサに有利な判定が多く、カタルーニャのムードを反映しているような印象を受けました。エスパニョールはレアルを冠しているので(Reial Club Deportiu Espanyol de Barcelona )、独立派には受けが良くありません。

どうもこの試合からバルサはひとつの変更を決断したようです。それは左からのFKはメッシではなくスアレスが蹴ることになったみたいです。今日はすべて失敗しましたが、これは歓迎できます。35分アルバが左に突入してうまく折り返し、メッシがゴール。2:0です。エスパニョールは43分ピアッティがミドルを打ちましたがポストに跳ね返されました。

ハーフタイムの後、6分にアルバがトラップミスをして、またピアッティがシュートしましたがはずれました。12分にはカタールから帰還したセルヒオ・ガルシアに代えられてしまいました。

後半21分にはスアレス→アルバ→メッシと正3角形のパスが決まって、メッシがハットトリック達成です。さらに42分にはCKからピケが頭で合わせて4点目。45分にはイニエスタに代わって出ていたアンドレ・ゴメスから、初登場のデンベレにスルーパスが通り、デンベレからのグラウンダークロスにスアレスが合わせてマニータ達成です。

デンベレはドルトムントに足許を見られて巨額のトレードマネーで獲得した選手。どれほどの者かと思いましたが、まあ使えそうです。ただし右はデウロフェウがいるので、今日のように右FWなら完全に控え。スタメンで使うならネイマールのポジションだと思います。このポジションで活躍できるかどうかが鍵です。

https://www.youtube.com/watch?v=y8djMuI8wnk
https://www.youtube.com/watch?v=s2L3bW26zKE
https://www.youtube.com/watch?v=U1cIFzhCdOA

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«大野-都響のハイドン「天地創造」@東京芸術劇場2017年9月10日